特許第6630102号(P6630102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6630102
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】電池式ガス警報器
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20200106BHJP
   G08B 21/16 20060101ALI20200106BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20200106BHJP
【FI】
   G08B23/00 530C
   G08B21/16
   G08B23/00 510D
   G01N27/00 K
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-193615(P2015-193615)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-68606(P2017-68606A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】宮城 正樹
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋隆
(72)【発明者】
【氏名】豊田 和男
(72)【発明者】
【氏名】中島 唯宣
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英樹
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 正幸
(72)【発明者】
【氏名】松井 巧
(72)【発明者】
【氏名】高林 亘
【審査官】 山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−103949(JP,A)
【文献】 特開昭51−137455(JP,A)
【文献】 特開平08−145761(JP,A)
【文献】 特開昭58−001289(JP,A)
【文献】 特開2002−229059(JP,A)
【文献】 特開2001−109956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00−27/10
27/14−27/24
G08B 19/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の電力により駆動すると共に、周囲に検出対象となるガスが存在する場合にその濃度に応じた信号を出力するガスセンサと、前記ガスセンサからの信号に基づいて所定濃度以上のガスが検知されるとガス漏れと判断するガス漏れ判断部と、前記ガス漏れ判断部によりガス漏れと判断された場合に、警報出力して異常状態を報知する警報部とを備えた電池式ガス警報器であって、
電池状態を表示可能な液晶ディスプレイと、
前記液晶ディスプレイの表示を制御する制御部と、を備え、
前記液晶ディスプレイは、
液晶背面に反射板を有して外部光により視認可能とさせる反射型タイプのものであって、前記反射板又は前記液晶と前記反射板との間に介在した介在部材に、前記電池の電圧が所定電圧以上であることを示す電池正常表示が、白色、黒色及びこれらの中間色を除く色の着色部のみで印刷されており、
前記電池の電圧が所定電圧以上である場合に、前記液晶ディスプレイの前記電池正常表示の印刷部位のみについて光を透過可能に制御して、前記電池正常表示を表示させると共に、前記電池の電圧が前記所定電圧以下の特定電圧未満である場合、黒いベタ表示によって前記電池正常表示が隠される
ことを特徴とする電池式ガス警報器。
【請求項2】
前記特定電圧は、前記所定電圧未満の電圧であって、
前記制御部は、前記電池の電圧が特定電圧以上所定電圧未満である場合、前記電池正常表示を間欠的に視認可能として、前記電池正常表示を点滅表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の電池式ガス警報器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池式ガス警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池残量が充分である場合にスイッチ操作や引き紐操作が行われると、LED(Light Emitting Diode)を点灯させる電池式ガス警報器が知られている。また、液晶ディスプレイを用いて電池電圧の低下を報知する電池式ガス警報器が提案されている(例えば特許文献1参照)。この電池式ガス警報器では、反射型の液晶ディスプレイを用い、液晶ディスプレイの反射板等に電池切れの文字を印刷しているため、電池切れ時には、印刷が視認可能となり、スイッチ操作や引き紐操作を要することなく電池状態を表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−103949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載の電池式ガス警報器は、通常天井付近や床付近に設置されるものであるため、液晶ディスプレイを正面から視認し難い。このため、液晶ディスプレイを正面から視認できず、電池電圧が所定電圧以上であることを確認し難くなるものであった。特に、特許文献1に記載の電池式ガス警報器は、電池電圧が所定電圧以上である場合には液晶ディスプレイに黒いベタ表示を行う構成となっている。黒いベタ表示は、黒色の単色表示であることから反射等を招き易く、電池電圧が所定電圧以上であることをより一層確認し難くなる要因となっている。
【0005】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、電池電圧が所定電圧以上であることを確認させ易くすることが可能な電池式ガス警報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電池式ガス警報器は、電池の電力により駆動すると共に、周囲に検出対象となるガスが存在する場合にその濃度に応じた信号を出力するガスセンサと、前記ガスセンサからの信号に基づいて所定濃度以上のガスが検知されるとガス漏れと判断するガス漏れ判断部と、前記ガス漏れ判断部によりガス漏れと判断された場合に、警報出力して異常状態を報知する警報部とを備えた電池式ガス警報器であって、電池状態を表示可能な液晶ディスプレイと、前記液晶ディスプレイの表示を制御する制御部と、を備え、前記液晶ディスプレイは、液晶背面に反射板を有して外部光により視認可能とさせる反射型タイプのものであって、前記反射板又は前記液晶と前記反射板との間に介在した介在部材に、前記電池の電圧が所定電圧以上であることを示す電池正常表示が、白色、黒色及びこれらの中間色を除く色の着色部のみで印刷されており、前記電池の電圧が所定電圧以上である場合に、前記液晶ディスプレイの前記電池正常表示の印刷部位のみについて光を透過可能に制御して、前記電池正常表示を表示させると共に、前記電池の電圧が前記所定電圧以下の特定電圧未満である場合、黒いベタ表示によって前記電池正常表示が隠されることを特徴とする。
【0007】
この電池式ガス警報器によれば、電池電圧が所定電圧以上である場合に電池正常表示が視認可能となるため、所定電圧以上であるときに黒いベタ表示を表示させる場合と比較すると、電池正常表示が表示される分だけ、電池電圧が所定電圧以上であることを確認させ易くなる。特に、電池正常表示は、白色、黒色及びこれらの中間色を除く色の着色部を有しているため、彩度がゼロ以外の色による着色部を有することとなり、一層所定電圧以上であることを確認させ易くなる。従って、電池電圧が所定電圧以上であることを確認させ易くすることができる電池式ガス警報器を提供することができる。さらに、電池の電圧が所定電圧以上である場合、着色部のみによって構成される電池正常表示の印刷部位のみについて光を透過可能に制御して、電池正常表示を表示させるため、電池正常表示以外の部分については黒いベタ表示となり、黒という最も彩度が低い色との彩度差により、一層視認し易い表示とすることができる。
【0008】
また、本発明の電池式ガス警報器において、前記特定電圧は、前記所定電圧未満の電圧であって、前記制御部は、前記電池の電圧が特定電圧以上所定電圧未満である場合、前記電池正常表示を間欠的に視認可能として、前記電池正常表示を点滅表示させることが好ましい。
【0009】
この電池式ガス警報器によれば、電池の電圧が特定電圧以上所定電圧未満である場合、電池正常表示を間欠的に視認可能として、電池正常表示と黒いベタ表示とを交互に表示させるため、電池切れに近づいている状態を適切に表現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電池電圧が所定電圧以上であることを確認させ易くすることが可能な電池式ガス警報器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る電池式ガス警報器を示す外観構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る電池式ガス警報器を示す内部構成図である。
図3図2に示した液晶ディスプレイを示す一部破断拡大図である。
図4図1に示した液晶ディスプレイの外観図であって、(a)は正面図を示し、(b)は側面図を示している。
図5図2及び図3に示した液晶ディスプレイの表示例を示す正面図であり、(a)は電池電圧が所定電圧以上のときの表示例を示し、(b)は電池電圧が特定電圧未満のときの表示例を示している。
図6】本実施形態に係る電池式ガス警報器の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0015】
さらに、以下において電池式ガス警報器は、電池式のCO警報器や火災警報器など、2以上警報器の機能を組み合わせたタイプのものであってもよい。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る電池式ガス警報器を示す外観構成図であり、図2は、本発明の実施形態に係る電池式ガス警報器を示す内部構成図である。図1及び図2に示す電池式ガス警報器1は、電池20の電力により駆動し、ガス漏れ等の異常状態を検出した場合に異常状態が発生している旨の警報を出力する定置式の警報器である。なお、本実施形態ではガス漏れの他、COによる異常状態の検知機能を有する電池式ガス警報器を例に説明する。
【0017】
本実施形態に係る電池式ガス警報器1は、図2に示すガスセンサ10、電池20、CPU30、音声出力部(警報部)40、及び液晶ディスプレイ50等を備えるものであり、これらが図1に示した樹脂ケース2に覆われた構造となっている。樹脂ケース2の正面側には、例えばガスセンサ10を内部に備えた検出部3と、警報出力用の音声出力部40を内部に備えた報知部4と、液晶ディスプレイ50の表示面(後述の符号50a参照)が外部に露出した表示部5と、警報時において警報を停止させる停止スイッチ6とが設けられている。
【0018】
ガスセンサ10は、周囲に検出対象となるガス(LPガスや都市ガス)が存在する場合にその濃度に応じた信号を出力するものである。このガスセンサ10は、半導体式、接触燃焼式等のセンサにより構成されている。また、ガスセンサ10には、上記のセンサのほか、一酸化炭素濃度に応じた信号を出力するセンサ部も併設されている。
【0019】
CPU30は、電池式ガス警報器1の全体を制御するものである。このCPU30は、ガス漏れ判断部31と、表示制御部(制御部)32とを備えている。ガス漏れ判断部31は、ガスセンサ10からの信号に基づいて所定濃度以上のガスが検知されるとガス漏れと判断するものである。ガス漏れ判断部31は、ガス漏れが発生していると判断すると、その旨の信号を音声出力部40に送信する。
【0020】
音声出力部40は、スピーカやブザーにより構成され、ガス漏れ判断部31によりガス漏れと判断された場合に、警報出力して異常状態を報知するものである。液晶ディスプレイ50は、表示のために液晶組成物を利用する表示装置であって、電池状態を表示可能なものである。表示制御部32は、液晶ディスプレイ50及びLED(図示せず)の表示を制御するものである。ここで、液晶ディスプレイ50は、電池20からの電圧により駆動される。すなわち、電池20は液晶ディスプレイ50の駆動用電源としても機能している。
【0021】
図3は、図2に示した液晶ディスプレイ50を示す一部破断拡大図である。図3に示すように、液晶ディスプレイ50は、液晶背面に反射板56を有して外部光により視認可能とさせる反射型タイプのものである。この液晶ディスプレイ50は、使用者の視認側(表側)から第1偏光フィルター51、第1ガラス基板52、スペーサ53、第2ガラス基板54、第2偏光フィルター55、及び反射板56の順に積層されて構成されている。また、スペーサ53は、第1透明電極53a、第1配向膜53b、液晶層53c、第2配向膜53d、及び第2透明電極53eの順に積層されて構成されている。
【0022】
第1偏光フィルター51及び第2偏光フィルター55は図3に示す第1方向に偏光した光だけに限って通過させるフィルターである。第1ガラス基板52及び第2ガラス基板54は、第1透明電極53a及び第2透明電極53eからの電流が外部に漏れないようにするために設けられたものである。
【0023】
スペーサ53は、2枚のガラス基板52,54との間に一定距離を確保するものである。第1透明電極53a及び第2透明電極53eは、液晶ディスプレイ50を駆動するための電極であって、表示の妨げにならないように透明度の高い材料が用いられている。第1配向膜53b及び第2配向膜53dは、液晶分子を一定方向に並べるための膜であって、第1配向膜53bは第1方向に液晶分子を並べるように溝が形成され、第2配向膜53dは第2方向に液晶分子を並べるように溝が形成されている。
【0024】
液晶層53cは、液晶分子により形成された層である。反射板56は、液晶ディスプレイ50の視認側から入射した光を反射するものである。この反射板56により液晶ディスプレイ50はバックライトを不要としている。
【0025】
このような液晶ディスプレイ50では、液晶分子が配向膜53b,53dに沿って並んでいる。このため、光は液晶分子に沿って捩れることとなり、偏光フィルター51,55を通過しないこととなる。これにより、液晶ディスプレイ50は黒色に表示されることとなる。一方、透明電極53a,53eに電圧が印加されると、液晶分子が積層方向に並びを変えることとなる。このため、光は捩れることなく第1方向に偏光する光が偏光フィルター51,55を通過することとなる。これにより、液晶ディスプレイ50は白色に表示されることとなる。
【0026】
図4は、図1に示した液晶ディスプレイ50の外観図であって、(a)は正面図を示し、(b)は側面図を示している。図4(a)に示すように、液晶ディスプレイ50は、正面に各種表示を行う表示部50aが形成されており、これが図1に示すように、樹脂ケース2から露出している。また、液晶ディスプレイ50の下部には複数本の端子50bが形成されている。端子50bは図2に示した透明電極53a,53eに電気的に接続されており、電池式ガス警報器1は端子50bを介して電圧を印加することで表示内容を制御する。
【0027】
このような電池式ガス警報器1において、液晶ディスプレイ50の反射板56には、電池電圧が所定電圧以上であることを示す電池正常表示が印刷されている。この電池正常表示は、緑色(白色、黒色及びこれらの中間色を除く色の一例)の着色部を有するものであり、本実施形態においては、その全体が緑色の着色部のみによって構成されている。なお、電池正常表示の印刷は反射板56に形成されている場合に限らず、液晶層53cと反射板56との間に介在した介在部材54,55にされていてもよい。
【0028】
次に、液晶ディスプレイ50の表示例と共に表示制御部32の動作を説明する。図5は、図2及び図3に示した液晶ディスプレイ50の表示例を示す正面図であり、(a)は電池電圧が所定電圧以上のときの表示例を示し、(b)は電池電圧が特定電圧未満のときの表示例を示している。
【0029】
本実施形態においてCPU30は、電池電圧を検出する機能を有しており、電池電圧が所定電圧(例えば2.6V)以上であるか、及び、所定電圧以下の特定電圧(例えば2.4V)未満であるかを判断するようになっている。なお、CPU30自体は、特定電圧よりも低い最低電圧(例えば2.0V)まで動作可能となっており、電池電圧が最低電圧を下回るまでは電池電圧を検出することができる。しかし、これに限らず、CPU30の外に電圧検出ICを備える構成であってもよい。
【0030】
まず、図5(a)に示すように、CPU30は、電池電圧を検出し、その電圧が所定電圧以上であると判断した場合、表示制御部32による制御によって電池正常表示NDを視認可能とさせる。本実施形態において電池正常表示NDは、電池型の外郭部ND1と、外郭部ND1の内側に配置される方形部ND2という複数の図形ND1,ND2から構成されている。電池正常表示NDを視認可能とさせる際、表示制御部32は、電池正常表示NDの印刷部位のみについて光を透過可能に制御して、電池正常表示NDを表示させる。これにより、電池正常表示ND以外の部分については黒いベタ表示BDとなり、黒という最も彩度が低い色と緑色との彩度差により、一層視認し易い表示とすることができる。特に、複数の図形ND1,ND2との隙間においても黒いベタ表示BDがされることから、彩度差を表現する箇所が多くなり、より一層視認し易い表示となっている。
【0031】
一方、CPU30は、検出した電圧が特定電圧未満であると判断した場合、周辺回路を停止させる。この結果、表示制御部32は液晶ディスプレイ50の端子50bに電圧を印加しないこととなる。これにより、図5(b)に示すように、液晶ディスプレイ50は黒いベタ表示BDを行うこととなり、図5(a)に示した電池正常表示NDの印刷は隠されることとなる。
【0032】
なお、上記において所定電圧が2.6Vであり、特定電圧が2.4Vである例を説明したが、これに限らず、所定電圧と特定電圧とは同じ値の電圧値であってもよい。
【0033】
次に、本実施形態に係る電池式ガス警報器1の制御方法を説明する。図6は、本実施形態に係る電池式ガス警報器1の制御方法を示すフローチャートである。図6に示すように、まずCPU30は、電池電圧を検出する(S1)。そして、CPU30は、ステップS1にて検出された電池電圧が所定電圧以上であるかを判断する(S2)。
【0034】
所定電圧以上であると判断した場合(S2:YES)、表示制御部32は、電池正常表示NDの該当箇所のみを光が透過可能に制御して、電池正常表示NDを視認可能とさせる(S3)。そして、図6に示す処理は終了する。
【0035】
一方、所定電圧以上でないと判断した場合(S2:NO)、CPU30は、電池電圧が特定電圧未満であるかを判断する(S4)。特定電圧未満であると判断した場合(S4:YES)、表示制御部32は、周辺回路(液晶ディスプレイ50の駆動回路を含む)を停止させて黒いベタ表示BDを行う(S5)。そして、図6に示す処理は終了する。
【0036】
また、特定電圧未満でないと判断した場合(S4:NO)、すなわち、電池電圧が特定電圧以上所定電圧未満である場合、表示制御部32は、電池正常表示NDを間欠的に視認可能として、電池正常表示NDを点滅表示させる(S6)。そして、図6に示す処理は終了する。
【0037】
なお、図6に示す処理は、電源投入時や前回処理実行時から特定時間(例えば25時間)経過後など、所定のタイミングで実行される。また、図6に示す処理は、電池電圧が最低電圧を下回らない限り、繰り返し実行される。一方、電池電圧が最低電圧を下回った場合(特に電池切れの場合)、図6に示す処理は実行されることなく、液晶ディスプレイ50にはが黒いベタ表示BDが表示され続ける状態となる。
【0038】
このようにして、本実施形態に係る電池式ガス警報器1によれば、電池電圧が所定電圧以上である場合に電池正常表示NDが視認可能となるため、所定電圧以上であるときに黒いベタ表示BDを表示させる場合と比較すると、電池正常表示NDが表示される分だけ、電池電圧が所定電圧以上であることを確認させ易くなる。特に、電池正常表示NDは、緑色の着色部CPを有しているため、彩度がゼロ以外の色による着色部CPを有することとなり、一層所定電圧以上であることを確認させ易くなる。従って、電池電圧が所定電圧以上であることを確認させ易くすることができる電池式ガス警報器1を提供することができる。
【0039】
しかも、着色部CPも印刷によって実現されることからカラーフィルタを使用しなくともよく、安価にカラー表示を行うことができる。
【0040】
また、電池20の電圧が特定電圧以上所定電圧未満である場合、電池正常表示NDを間欠的に視認可能として、電池正常表示NDと黒いベタ表示BDとを交互に表示させるため、電池切れに近づいている状態を適切に表現することができる。
【0041】
また、電池20の電圧が所定電圧以上である場合、着色部CPのみによって構成される電池正常表示NDの印刷部位のみについて光を透過可能に制御して、電池正常表示NDを表示させるため、電池正常表示ND以外の部分については黒いベタ表示BDとなり、黒という最も彩度が低い色との彩度差により、一層視認し易い表示とすることができる。
【0042】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせてもよい。
【0043】
例えば、上記実施形態においてCPU30は、無負荷による電池電圧の検出を行っているが、これに限らず、ダミー抵抗を接続して電池電圧の検出を行ってもよいし、スピーカ等の周辺回路を動作させて電池電圧の検出を行うようにしてもよい。
【0044】
また、電池式ガス警報器1は図1に示すように正面側の右下に液晶ディスプレイ50が設けられているが、これに限らず、他の箇所に設けられてもよい。但し、都市ガス用の電池式ガス警報器1は天井付近に設けられる関係上、液晶ディスプレイ50は樹脂ケース2の下側に設けられることが好ましい。また、LPガス用の電池式ガス警報器1は床面近くに設けられる関係上、液晶ディスプレイ50は樹脂ケース2の上側に設けられることが好ましい。
【0045】
さらに、本実施形態において電池正常表示NDは複数の図形ND1,ND2により構成されているが、1つの図形によって構成されてもよいし、文字や記号により構成されてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 :電池式ガス警報器
2 :樹脂ケース
3 :検出部
4 :報知部
5 :表示部
6 :停止スイッチ
10 :ガスセンサ
20 :電池
30 :CPU
31 :ガス漏れ判断部
32 :表示制御部(制御部)
40 :音声出力部(警報部)
50 :液晶ディスプレイ
50a :表示部
54,55 :介在部材
56 :反射板
BD :黒いベタ表示
CP :着色部
ND :電池正常表示
図1
図2
図3
図4
図5
図6