【文献】
尿自動分析装置US−2200パンフレット,栄研化学株式会社、テラメックス株式会社,2013年 7月,p.1-p.2,http://www.eiken.co.jp/products_technique/medical_device/pdf/M-8J00.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記搬送ユニットは、前記無端ベルトの循環走行により前記試験片載置体が搬送される際に、前記無端ベルトの軌道からの前記試験片載置体の位置ずれを規制するガイド部を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに1項に記載の搬送ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
[分析装置]
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送ユニット1を用いた試験片分析装置10(以下、単に分析装置10という)を示す斜視図である。
図2は、分析装置10の内部構造を示す斜視図である。
図3は、分析装置10の内部構造を模式的に示す側面図である。
以下の説明では、XYZ直交座標系を設定する。X方向は、試験片を載せた試験片載置体を搬送する無端ベルトの長さ方向であり、
図3では左右方向である。Y方向は、試験片を載せた試験片載置体を搬送する無端ベルトの幅方向であり、
図3では紙面に垂直な方向である。Z方向はX方向およびY方向に直交する方向であり、
図3では上下方向である。
【0010】
試験片載置体の、試験片が載置される面側を上側とする。上下方向はZ方向に一致する。試験片を載せた試験片載置体を搬送する方向を前方といい、その反対方向を後方という。
図3では前方は右方向であり、後方は左方向である。前後方向はX方向と一致する。
【0011】
図12は、試験片の一例である試験片11を示す斜視図である。試験片11は、細長板状の基体61と、基体61の一方の面61aに形成された複数の試薬層62とを有する。試薬層62は、分析の対象となる液体試料(尿等)に接触させると、前記液体試料の成分の有無や濃度に応じて呈色する。
【0012】
図1および
図2に示すように、分析装置10は、試験片11を載置して搬送するための搬送ユニット1と、試験片11を撮像するための撮像ユニット2と、搬送ユニット2を駆動するための駆動部3と、これらを収容する筐体4と、表示部5と、制御部6とを備えている。
【0013】
図3〜
図5に示すように、搬送ユニット1は、試験片11が載置される複数の試験片載置体12と、試験片載置体12を搬送するための搬送機構13と、を有する。
図6に示すように、試験片載置体12は、例えば、平面視において長方形の底板21と、底板21の側縁21c,21cにそれぞれ立設された側板22,22と、側板22,22の上縁22b(突出端縁)からそれぞれ外側方に延出した延出板23,23(羽根部)と、を備えている。
底板21の上面21aは第1面であり、下面21bは第2面である。
【0014】
側板22,22は、側縁21c,21cから上方(上面21a側の方向。すなわち底板21の第1面側の方向)に向けて突出している。側板22,22は、YZ平面に沿って突出している。
【0015】
試験片載置体12には、試験片載置体12の長さ方向(Y方向)に間隔をおいて、一対の第1リブ状突起24,24と、一対の第2リブ状突起25,25とが形成されている。
第1リブ状突起24は、底板21の上面21aに形成された底板突起24aと、側板22の内側面22aに形成された側板突起24bと、延出板23の上面23aに形成された延出板突起24cとを有する。
底板突起24aは、底板21の上面21aに底板21の幅方向(X方向)に沿って形成されている。側板突起24bは、側板22の幅方向(Z方向)に沿って形成されている。延出板突起24cは、延出板23の幅方向(X方向)に沿って形成されている。
【0016】
第1リブ状突起24の断面形状(第1リブ状突起24の長さ方向に直交する断面の形状)は、上方に向かって徐々に幅が狭くなる形状、例えば三角形とされる。第1リブ状突起24は、底板突起24aの最上部である頂点24dで試験片11を支持することができる。
【0017】
第2リブ状突起25,25は、延出板23,23の上面23a,23aにそれぞれ形成されている。第2リブ状突起25,25は、延出板23の上面23aに、上方に突出して形成されている。第2リブ状突起25は、延出板23の長さ方向(Y方向)に沿って上面23aの全長にわたって延在している。
【0018】
側板22,22の、向かい合う側板突起24b,24bどうしの距離W1(X方向の距離)は、試験片11の幅より大きいことが好ましい。
距離W1が試験片11の幅より大きいと、底板21上の位置や試験片11の姿勢についての制約が少なくなる。例えば、試験片11の載置位置が底板21の幅方向(X方向)の中央でなく側方寄りの位置にあってもよいし、
図4に示すように、平面視において試験片11が試験片載置体12の長さ方向(Y方向)に対して傾いていてもよい。そのため、試験片11を試験片載置体12に載置する操作を容易にすることができる。また、試験片11を整列させるための機構が不要であるため、コスト抑制が可能である。
【0019】
試験片11の幅は例えば4〜6mmであり、距離W1はこれよりも大きく、例えば5〜12mmとなる。
距離W1は、試験片11の幅の2倍を超えないことが好ましい。距離W1を試験片11の幅の2倍以下とすることによって、試験片11を試験片載置体12に載置する際の誤操作が起こりにくくなる。
【0020】
なお、距離W1は、向かい合う側板突起24b,24bの頂点間の距離である。距離W1は、底板21と側板22,22とで形成される内部空間(上面21a側の空間)のうち、試験片11を配置可能な試験片載置体12内の空間の幅方向(X方向)の距離である。なお、側板突起がない構成の試験片載置体では、試験片11を配置可能な試験片載置体内の空間の幅方向(X方向)の距離とは、一対の側板の内側面間の距離である。
【0021】
図7〜
図9に示すように、底板21の下面21bには、底板21の長さ方向(Y方向)に間隔をおいて、一対の軸支持部27,27が形成されている。
図7に示すように、軸支持部27,27は、底板21の長さ方向(Y方向)に延在する断面半長円形の突起であり、支持バー28が挿入される挿入孔27a,27aが形成されている。挿入孔27a,27aは、底板21の長さ方向(Y方向)に沿って、軸支持部27,27を貫通して形成されている。
【0022】
軸支持部27,27の間隔は、無端ベルト14の幅とほぼ同じか、またはこれよりやや大きいことが好ましい。軸支持部27,27の間の空間29には、
図8および
図9に示すように、無端ベルト14が配置される。
【0023】
図9に示すように、挿入孔27a,27aには、支持バー28の一端部と他端部とがそれぞれ挿入される。
支持バー28は、少なくとも一部が、無端ベルト14の保持凹部31に入り込んで係止できる形状とされる。支持バー28は、例えば断面円形の棒状体であってよい。
図8および
図9に示すように、軸支持部27,27間の空間29に無端ベルト14を配置し、支持バー28を保持凹部31に係止させるとともに挿入孔27a,27aに嵌合させることによって、無端ベルト14の外面14b側に試験片載置体12を取り付けることができる。
【0024】
無端ベルト14に取り付けられた状態の試験片載置体12は、下面21bが無端ベルト14の外面14bに当接(または近接)する状態となることが好ましい。これによって、ガイド板15の上側に位置する試験片載置体12は、下面21bの全幅にわたって無端ベルト14に支持されるため、底板21の上面21aが水平となる姿勢が保たれる。
【0025】
図7に示すように、底板21の下面21bの幅方向(X方向)の一方および他方の端部である側縁部21b1,21b1のうち少なくとも一方(好ましくは両方)は、無端ベルト14に固定されていないことが好ましい。
【0026】
なお、前記軸支持部と前記支持バーとからなる取付構造は、試験片載置体の下面の幅方向の位置が異なる2カ所以上に設けることもできるが、
図9に示すように、試験片載置体12の下面21bの1カ所のみに設けるのが好ましい。この構成によれば、試験片載置体12がY方向に沿う支持バー28を回動軸として軸回りに回動可能となるため、試験片載置体12の動きを必要十分に確保することができる。
そのため、試験片載置体12は、無端ベルト14がプーリー16,17において曲線形態となったときには、側縁部21b1,21b1が無端ベルト14から離れた状態となって円滑に動作するとともに、無端ベルト14にかかる力を小さくできる。また、前プーリー16と後プーリー17との間で無端ベルト14が直線形態となったときには、試験片載置体12の姿勢を水平に保つことができる。
【0027】
図7〜
図9に示すように、底板21の下面21bには、軸支持部27,27よりも底板21の一端寄りの位置に、一対の位置決め突起30,30(30A,30A)が下方に突出して形成されている。位置決め突起30,30(30A,30A)は、底板21の幅方向(X方向)に並んで形成されている。
底板21の下面21bには、軸支持部27,27よりも底板21の他端寄りの位置にも、一対の位置決め突起30,30(30B,30B)が下方に突出して形成されている。一対の位置決め突起30,30(30B,30B)は、底板21の幅方向(X方向)に並んで形成されている。
位置決め突起30は、底板21の長さ方向(Y方向)に対して垂直な半長円形の板状である。
【0028】
複数の試験片載置体12は、互いに独立して無端ベルト14に取り付けられる。そのため、例えば、
図3〜
図5および
図10に示すように、試験片載置体12の一方縁12aと、この試験片載置体12に隣り合う試験片載置体12の他方縁12bとは、互いに近接した配置をとることもできるし、互いに離間した配置をとることもできる。
【0029】
例えば、
図3に示すように、試験片載置体12は、ガイド板15の上縁15dおよび下縁15eに対応する位置にあるときは、試験片載置体12の一方縁12aと、この試験片載置体12に隣り合う試験片載置体12の他方縁12bとは互いに近接している。
これに対し、試験片載置体12がガイド板15の端縁15f,15gおよびプーリー16,17に対応する位置にあるときは、試験片載置体12の一方縁12aと、この試験片載置体12に隣り合う試験片載置体12の他方縁12bとは大きく離れている。
試験片載置体12は、ガイド板15の端縁15f,15gおよびプーリー16,17に対応する位置にあるときは、上縁15dおよび下縁15eに対応する位置にあるときに比べて、一方縁12aおよび他方縁12bは、無端ベルト14からの離間距離が大きくなる。
【0030】
複数の試験片載置体12は、無端ベルト14の長さ方向に並んで取り付けられる。これによって、複数の試験片11を続けて分析に供することができるため、作業の効率化を図ることができる。
【0031】
図3および
図4に示すように、複数の試験片載置体12は、隣り合う試験片載置体12,12の隙間ができるだけ小さくなるように無端ベルト14に取り付けられるのが好ましい。これによって、複数の試験片11を短い時間間隔で分析に供することができ、作業の効率化が可能となる。
【0032】
図4に示すように、無端ベルト14の長さ方向に並ぶ試験片載置体12の設置ピッチL1は、試験片載置体12の幅と同じか、これよりやや大きい距離とするのが好ましい。設置ピッチL1は、例えば、試験片載置体12の一方縁12aと、これに隣り合う試験片載置体12の一方縁12aとのX方向の距離である。
【0033】
試験片載置体12の色は、暗色(黒など)であることが好ましい。試験片載置体12の色が暗色であると、撮像ユニット2で得られた画像から試験片11の画像を抽出するなどの処理を行う際に、試験片11と試験片載置体12とのコントラストを高めて、前記画像処理の確実性を高めることができる。
【0034】
図5および
図10に示すように、搬送機構13は、試験片載置体12が取り付けられる無端ベルト14と、無端ベルト14の一側方および他側方に設けられたガイド板15,15(ガイド部)と、前プーリー16と、後プーリー17(回転体)と、前プーリー16に設けられた前軸部18と、後プーリー17に設けられた後軸部19とを備えている。
【0035】
無端ベルト14は、帯状体(またはベルト状体)からなり、環状に形成されている。
図9に示すように、無端ベルト14は、試験片載置体12を正確に搬送する必要があることと、取り外し可能とした搬送ユニット1を洗浄することから、歯付きベルトであることが好ましい。
歯付きベルトの材質としては、例えば合成ゴム、ポリウレタン等が用いられる。歯付きベルトは、鋼線、ガラス繊維、アラミド繊維などの心線を内部に埋め込むことにより、伸びを抑えることができる。
【0036】
図3に示すように、前プーリー16と後プーリー17とは、前後方向に間隔をおいて設けられている。前プーリー16および後プーリー17としては、歯付きプーリーを使用できる。歯付きプーリーである前プーリー16を前歯付きプーリー16といい、歯付きプーリーである後プーリー17を後歯付きプーリー17という。
【0037】
前歯付きプーリー16および後歯付きプーリー17としては、その歯が、歯付きベルト(無端ベルト14)の歯に適切にかみ合うものが使用される。
歯付きプーリー16,17の外周縁には、歯付きベルト(無端ベルト14)の歯とかみ合う歯の他に、歯付きベルトに試験片載置体12を固定するために設けられた支持バー28をかわすための切り欠き16a,17aが間欠的に形成されている。切り欠き16a,17aの形成間隔は、例えば試験片設置体12の設置ピッチL1(
図4参照)に合わせて設定される。
また、歯付きベルトを循環走行させた際、歯付きプーリー16,17の外周縁の切り欠き16a,17aと支持バー28との位置が常に一致するように、歯付きベルトおよび歯付きプーリー16,17のそれぞれの歯数を適切に選定することが好ましい。
【0038】
軸部18は、プーリー16から、プーリー16の中心軸に沿ってプーリー16の一方および他方に延出している。軸部19は、プーリー17から、プーリー17の中心軸に沿ってプーリー17の一方および他方に延出している。前軸部18および後軸部19は、プーリー16,17に固定されている。
前軸部18および後軸部19は、一端側および他端側の部分がガイド板15,15の軸受け15a,15aに嵌合することによって、ガイド板15,15に回転自在に支持される。
【0039】
図10に示すように、後軸部19の一端側の部分である延出軸20は、ガイド板15の軸受け15aを貫通し、ガイド板15の外面15bから外側方(Y方向)に延出している。
【0040】
図3に示すように、ガイド板15は、平面視において長円形とされる。ガイド板15の外周縁15cは、例えば、互いに平行な直線状の上縁15dおよび下縁15eと、上縁15dおよび下縁15eの前端に形成された半円形の前端縁15fと、上縁15dおよび下縁15eの後端に形成された半円形の後端縁15gと、を有する。なお、長円形とは、一対の互いに平行な直線と、これらの直線の一端および他端に形成された湾曲凸状の曲線とからなる形状をいう。
【0041】
図5および
図10に示すように、一対のガイド板15,15は、無端ベルト14の幅方向(Y方向)の一方および他方に、それぞれ無端ベルト14から間隔をおいて設けられる。
図8に示すように、ガイド板15,15の内面15h,15hは、無端ベルト14に取り付けられた試験片載置体12の位置決め突起30,30の外面30a,30aに近接する位置にある。そのため、ガイド板15,15は、試験片載置体12の長さ方向(Y方向)の移動を規制し、無端ベルト14の軌道からの試験片載置体12の位置ずれを規制することができる。
【0042】
ガイド板15の上縁15dは、無端ベルト14に取り付けられた試験片載置体12の底板21の下面21bに近接する位置にある。そのため、ガイド板15,15は、試験片載置体12の傾動を規制し、試験片載置体12の姿勢を水平に保つことができる。
【0043】
図5および
図10に示すように、ガイド板15,15の一端部および他端部には、前軸部18および後軸部19の先端部が回転自在に嵌合する軸受け15a,15aが形成されている。
【0044】
図3に示すように、試験片11が試験片載置体12に載置される載置位置P1(第1位置)と、撮像ユニット2によって試験片11が撮像される撮像位置P2(第2位置)とは、前後方向に離れている。
載置位置P1は、例えば前プーリー16に近い位置である。撮像位置P2は、例えば後プーリー17に近い位置である。
【0045】
搬送ユニット1は、後述するように、洗浄可能とするのが好ましい。そのため、搬送ユニット1の各部品は耐水性であることが好ましい。回転軸(軸部18,19);試験片載置体12を無端ベルト14に固定するための支持バー28;各部品を固定するためのビスは、例えばステンレススチールで構成される。
ガイド板15は、例えば摺動特性に優れたポリアセタール樹脂で構成される。その他の部品もポリエチレンテレフタラート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート、およびABS等の合成樹脂の中から適切なものを選んで使用できる。
【0046】
図2および
図3に示すように、撮像ユニット2は、試験片11を撮像するための撮像素子41と、試験片11に光を照射するための一対の光源42,42と、撮像素子41および光源42,42を支持する支持体43とを備えている。
【0047】
図3に示すように、支持体43は、上部フレーム44と、前部フレーム45と、前部フレーム45の後方に設けられた後部フレーム46とを備えている。前部フレーム45は、前方に向かって下降するように傾斜している。後部フレーム46は、後方に向かって下降するように傾斜している。
【0048】
撮像素子41は、2次元のRGBカラーイメージセンサが使用できる。撮像素子41は、RGBフィルターと組み合わせた2次元のモノクロイメージセンサであってもよい。
撮像素子41は、支持体43の上部フレーム44の下面に設けられている。
【0049】
光源42としては、例えば、発光ダイオード(LED)、白熱灯(ハロゲンランプ、タングステンランプ等)、蛍光灯、キセノンランプ等が使用できる。なかでも特に、LEDが好ましい。
光源42,42(42A,42B)は、それぞれ、支持体43の前部フレーム45の内面45aおよび後部フレーム46の内面46aに設けられている。前部フレーム45は斜め下方に延出しているため、前部フレーム45に設けられた光源42(42A)は、斜め下後方に向けて光を照射する。後部フレーム46は斜め下方に延出しているため、後部フレーム46に設けられた光源42(42B)は、斜め下前方に向けて光を照射する。
【0050】
撮像ユニット2のX方向の位置は、撮像位置P2にある試験片載置体12に載せられた試験片11を撮像できるように定められる。
詳しくは、光源42,42は、撮像位置P2にある試験片載置体12に、それぞれ斜め上前方および斜め上後方から光を照射できる位置に設置される。撮像素子41は、撮像位置P2にある試験片載置体12の上方に設置され、試験片載置体12に載せられた試験片11を上方から撮像できる。
【0051】
図2および
図10に示すように、駆動部3は、例えばモータ等であり、搬送機構13の軸部19の延出軸20(
図10参照)に着脱自在に接続されており、軸部19を回転駆動させることができる。駆動部3は、軸部19を軸回りに回転駆動させることによって後プーリー17を回転させ、これによって無端ベルト14を循環走行させることができる。
駆動部3は、軸部19を間欠的に回転駆動させ、これによって、無端ベルト14に取り付けられた試験片載置体12を間欠的に移動させることができることが好ましい。
【0052】
駆動部3と延出軸20との接続部は、駆動部3と延出軸20とを接続した状態で、駆動部3の回転力を延出軸20に確実に伝えることができ、かつ、着脱が自在であるものであれば、形状や機構は特に問わない。前記接続部は、駆動部3と延出軸20とを切り離し可能である。前記接続部には、公知の接続機構が使用可能である。
【0053】
図1および
図11に示すように、筐体4は、外装部48(筐体主部)と、外装部48とは別体である引出し部49とを有する。
なお、撮像ユニット2と、駆動部3と、外装部48とを含む構造を「分析装置本体」ということがある。
【0054】
外装部48は、上板51と下板52との間の内部空間56に、搬送ユニット1と天板部2と駆動部3とを収容可能である。外装部48の側部には、搬送ユニット1を引き出すための引出し口53が形成されている。
【0055】
外装部48の上板51には、載置位置P1にある試験片載置体12の少なくとも一部を露出させる開口である載置口50が形成されている。載置口50は、Y方向に沿って形成されたスリット状とすることができる。
載置口50は、載置位置P1にある試験片載置体12の底板21の上面21a(
図6参照)の少なくとも一部を露出させるように形成されている。
【0056】
載置口50の幅(X方向の寸法)は、試験片11の幅より大きいことが好ましく、
図6に示した距離W1を超えないことが好ましい。載置口50の幅を試験片11の幅より大きくすることによって、平面視において試験片11の向きがY方向に対して傾いている場合でも(
図4参照)、試験片11を試験片載置体12に載置することができる。そのため、試験片11を試験片載置体12に載置する操作を容易にすることができる。
【0057】
載置口50の最奥部には、試験片載置体12に載せられた試験片11が当接可能な位置に、突き当て壁58を設けることができる。突き当て壁58は、例えばXZ平面に沿って形成されている。突き当て壁58によって、試験片11のY方向の位置を制限できるため、試験片11が、撮像ユニット2による撮像が可能な位置から外れるのを防ぐことができる。
【0058】
図3に示すように、外装部48には、試験片載置体12から落下した試験片11を排出するための排出口60が形成されている。排出口60は、筐体4の外装部48の下部に形成された開口である。
【0059】
図11に示すように、引出し部49は、引出し口53のほぼ全体を塞ぐ外板部54と、外板部54の下部から外装部48の内方に向けて延出する支持板部55とを有する。
支持板部55は、XY平面に沿って形成され、上面55aに設置された搬送ユニット1を支持しており、搬送ユニット1を外装部48に収納した状態では、外装部48の内部に収納される。
【0060】
引出し部49は、外装部48とは別体であるため、搬送ユニット1を駆動部3に対して非接続とすれば、搬送ユニット1を載せたまま外装部48からY方向に引き出すことができる。引出し部49および搬送ユニット1は、外装部48に対して出し入れ自在であり、再び搬送ユニット1および支持板部55を外装部48内に収納することもできる。
【0061】
引出し部49は、固定クリップ(図示略)などの結合具(結合手段)を介して着脱自在に搬送ユニット1に結合できるように構成するのが好ましい。この構成により、搬送ユニット1を引出し部49から取り外して洗浄することが可能となる。
【0062】
図1に示すように、表示部5は、操作ガイドおよび/または試験片の分析結果を表示することができる。
【0063】
制御部6は、撮像した画像のデータ処理、並びに装置の動作を制御することができる。
例えば、制御部6は、撮像ユニット2で得られた画像データから試験片11の画像を抽出するなどの処理を行うことができる。
また、制御部6は、分析装置1の動作を統括して制御することができる。例えば、駆動部3を制御して搬送ユニット1を駆動させることができる。また、撮像ユニット2の光源42,42の発光・非発光を制御するとともに、撮像素子41を動作させて試験片11を撮像することができる。
制御部6は、撮像素子41によって得られた画像に基づいて液体試料に接触させた試験片11の試薬層62(
図21参照)の呈色の度合いから液体試料の成分の有無や濃度等を演算により求めることによって、前記液体試料を分析することができる。
【0064】
[分析装置の使用方法]
次に、分析装置10の使用方法について説明する。
図3に示すように、分析装置10は、ガイド板15の上側に位置する試験片載置体12の底板21の上面21aが水平となるように設置される。
試験片11を、載置位置P1にある試験片載置体12の底板21の上に載置するとともに、駆動部3によって延出軸20を軸回りに回転させ、後プーリー17を軸回りに回転させる。後プーリー17の回転方向は、
図3に矢印で示すように、右回り方向である。試験片11は、試薬層62(
図12参照)を上に向けた姿勢とする。
【0065】
駆動部3は間欠駆動させるのが好ましい。これによって、後プーリー17および無端ベルト14も間欠駆動するため、試験片11を載せた試験片載置体12は、後方に一定距離だけ移動し、一旦停止する動作を繰り返す。一回の動作における無端ベルト14の移動距離は、試験片載置体12の設置ピッチL1(
図4参照)に等しいことが好ましい。
無端ベルト14は、試験片載置体12が載置位置P1で一旦停止した状態となるように走行することが好ましい。
【0066】
図10に示すように、後プーリー17の係止凸部34,34・・・は無端ベルト14の保持凹部31,31・・・に係止可能であるため、後プーリー17の回転に伴って、無端ベルト14は、
図3における右回り方向に循環走行する。
【0067】
図9に示すように、試験片載置体12に設けられた支持バー28は無端ベルト14の保持凹部31,31・・・に係止可能であるため、無端ベルト14の循環走行に伴って、試験片載置体12も循環走行する。
図3に示すように、搬送機構13の上側、すなわちガイド板15,15の上縁15d,15dの上に位置する試験片載置体12は、無端ベルト14の走行に伴って、後方(
図3において右方向)に移動する。
【0068】
試験片11を載せた試験片載置体12が撮像位置P2に達すると、試験片載置体12には、撮像ユニット2の光源42,42によってそれぞれ斜め上前方および斜め上後方から光を照射されるため、試験片載置体12上の試験片11には十分な明るさが与えられる。この状態で、撮像素子41によって試験片11が撮像される。
無端ベルト14は、試験片載置体12が撮像位置P2で一旦停止した状態となるように走行することが好ましい。
【0069】
試験片載置体12が載置位置P1から撮像位置P2に至るまでの時間は、液体試料の成分と試験片11の試薬層62とが過不足なく反応し、試薬層62が適切に呈色するように設定される。
【0070】
制御部6は、撮像素子41で得られた画像に基づいて、試験片11の試薬層62(
図12参照)の呈色の度合いから試料の成分の有無や濃度等を演算により求める。これによって、前記液体試料の分析結果が得られる。
図1に示すように、分析結果は表示部5に表示することが好ましい。
【0071】
無端ベルト14をさらに循環走行させると、試験片11を載せた試験片載置体12は後端縁15gに至り、底板21は水平面に対し傾斜する。これによって、試験片11は試験片載置体12から落下する。
図3に示すように、試験片載置体12から落下した試験片11は、排出口60を通して外部に排出され、使用済みの試験片11として廃棄される。
【0072】
図11に示すように、測定終了後には、引出し部49および搬送ユニット1を外装部48から引き出し、搬送ユニット1を洗浄水等により洗浄することができる。これによって、測定の際に液体試料が試験片載置体12に付着した場合でも、付着物を洗い流し、試験片載置体12を清浄化することができる。
洗浄済みの搬送ユニット1は、前述の引き出し操作とは逆の操作によって外装部48内に戻すことができる。
【0073】
搬送ユニット1は、試験片載置体12が互いに独立に無端ベルト14に取り付けられた構造を有する。そのため、試験片載置体が互いに連結された構造の搬送ユニットに比べ、前プーリー16および後プーリー17を小径化できる。よって、搬送ユニット1の長さ(X方向のサイズ)および高さ(Z方向のサイズ)を小さくし、分析装置10の小型化を図ることができる。
【0074】
プーリー16,17を小径化できるのは、試験片載置体12,12・・・が互いに連結されておらず、独立に無端ベルト14に取り付けられているからである。
分析装置10では、
図3〜
図5および
図10に示すように、試験片載置体12,12・・・が互いに連結されていないため、試験片載置体12の一方縁12aと、この試験片載置体12に隣り合う試験片載置体12の他方縁12bとは、互いに離間した配置をとることができる。そのため、プーリー16,17が小径化された場合でも、試験片載置体12の幅寸法に関係なく、試験片載置体12をプーリー16,17に沿って移動させることができる。
これに対し、試験片載置体が互いに連結されている構造では、試験片載置体の幅が広いほど、プーリーを小径化した場合に試験片載置体をプーリーに沿って移動させるのが難しくなる。
【0075】
搬送ユニット1は、軸支持部27と支持バー28とからなる取付構造が試験片載置体12の下面21bの1カ所のみに設けられているため、試験片載置体12は、無端ベルト14がプーリー16,17において曲線形態となったときには、側縁部21b1,21b1が無端ベルト14から離れた状態となって円滑に動作し、前プーリー16と後プーリー17との間で無端ベルト14が直線形態となったときには、姿勢を水平に保つことができる。
【0076】
搬送ユニット1は、試験片載置体12の幅寸法の制限が少ないため、試験片載置体12の幅寸法を十分に大きくすることができる。試験片載置体12の幅寸法を大きくすることによって、試験片11を試験片載置体12に載置する操作を容易にすることができる。
従って、分析装置10では、操作性を低下させることなく、装置の小型化を図ることができる。
【0077】
搬送ユニット1は、外装部48に対して出し入れ自在とされているため、使用後に外装部48から取り出して洗浄することができる。
試験片11に付着していた液体試料が試験片載置体12に残留物として付着することは衛生上好ましくない。
搬送ユニット1は、容易に洗浄することができるため、衛生上の問題が生じない。
【0078】
これまで述べてきたように、本実施形態では試験片載置体同士が独立して無端ベルトに取り付けられていることで、隣り合う試験片載置体が互いに連結された構造の搬送ユニットに比べ、回転体を小径化できる。よって、試験片載置体の幅を確保しつつ、搬送ユニットの長さおよび高さを小さくし、試験片の搬送ユニットを従来よりも小型化することができる。
さらに、分析装置本体の駆動部と、搬送ユニットの回転体に設けられた軸部とを切り離し可能とすることで、搬送ユニット全体が分析装置本体から取り外し可能となる。尿分析装置では試験片載置体に付着した尿試料が放つ悪臭は大きな問題であるが、搬送ユニットが取り外し可能であることによって、ユーザーが容易に洗浄などのメンテナンスをすることができ、さらに、搬送ユニットが小型であることで、取り扱いが容易となり、メンテナンス性がより向上する。
搬送ユニットを取り外し可能とすることは、分析装置本体に取り外し用の開口部を設け、取り外しの際に他の部品と干渉しないように装置内部に余分な空間を設けたりしなければならず、装置本体は大きくなりやすい。しかしながら、本実施形態によれば、搬送ユニットを小型化できることによって、分析装置本体に設ける開口部をより小さくでき、取り外しに必要とされる装置の内部空間もより小さくできるため、装置本体の小型化と、取り外しを可能とするという利点がある。
【0079】
本発明は前記実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、分析装置10では、試験片載置体12は、無端ベルト14の内面14aの保持凹部31に支持バー28が係合することによって無端ベルト14に取り付けられるが、無端ベルトに対する試験片載置体の取付構造はこれに限らず、他の構造を採用してもよい。例えば、無端ベルトの内面の凸部に嵌合する凹部を有する取付部材を介して試験片載置体を無端ベルトに取り付けてもよい。