(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切り換え機構は、前記第1方向に交差する軸線周りに回転可能に前記第1キャリッジに支持されたレバーと、前記第1キャリッジの前記第1方向の移動に伴って前記レバーを回転させて、前記接続状態では前記被駆動部材と前記レバーとを係合させ、前記解除状態では、前記被駆動部材と前記レバーとの係合を解除するカム機構と、を有していることを特徴とする請求項4に記載の複合駆動装置。
前記送りねじは、第1ピッチで螺旋溝が設けられた第1ねじ部と、前記第1ピッチより短い第2ピッチで螺旋溝が設けられた第2ねじ部と、を有していることを特徴とする請求項2乃至5の何れか一項に記載の複合駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の説明においては、被駆動部材の直動方向に沿う方向を第1方向Yとし、第1方向Yに交差する2方向を各々、第2方向Zおよび第3方向Xとする。また、開閉部材がスライドする方向を第2方向Zとする。第1方向Yの一方側にはY1を付し、他方側にはY2を付し、第2方向Zの一方側にはZ1を付し、他方側にはZ2を付し、第3方向Xの一方側にはX1を付し、他方側にはX2を付して説明する。
【0024】
また、本形態の駆動装置は、開閉部材による開口部の開閉動作と、開口部を介しての表示部材(被駆動部材)の出し入れとを行う複合駆動装置である。かかる複合駆動装置において、第1方向Yは上下方向であり、第2方向Zは前後方向であり、第3方向Xは横方向である。
【0025】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した複合駆動装置1を被駆動部材3の前側(第2方向Zの他方側Z2)からみた斜視図であり、
図1(a)、(b)は各々、被駆動部材3がフレーム2の内側の待機位置にある状態の説明図、および被駆動部材3がフレーム2の外側の出現位置にある状態の説明図である。
図2は、本発明を適用した複合駆動装置1を被駆動部材3の背面側(第2方向Zの一方側Z1)からみた斜視図であり、
図2(a)、(b)は各々、被駆動部材3がフレーム2の内側の待機位置にある状態の説明図、および被駆動部材3がフレーム2の外側の出現位置にある状態の説明図である。
図3は、本発明を適用した複合駆動装置1の開閉機構6および直線駆動機構7等を第3方向Xの一方側X1からみた斜視図である。なお、
図1および
図2では、フレーム2の内部の構成が分かりやすいように、フレーム2についてはその輪郭のみを模式的に示してある。
【0026】
図1および
図2に示す複合駆動装置1は、第1方向Yの一方側Y1に向けて開口する開口部20を備えたフレーム2と、フレーム2の内側に配置された被駆動部材3と、開口部20を塞ぐ開閉部材4とを有している。フレーム2は、角箱状である。被駆動部材3は、第2方向Zの一方側Z1または他方側Z2に向かって画像を表示する表示部材30である。表示部材30は、例えば、直視型表示装置や虚像表示装置の表示パネルとして構成されている。本形態において、表示部材30は、第2方向Zの他方側Z2に向けて画像を表示する。
【0027】
図1、
図2および
図3に示すように、複合駆動装置1は、駆動源5としてのモータ50と、モータ50の駆動力によって開閉部材4を駆動して開口部20を開閉する開閉機構6と、モータ50の駆動力によって被駆動部材3を第1方向Yの一方側Y1および他方側Y2に直動させる直線駆動機構7とを有している。モータ50は、双方向の回転を出力可能である。開閉機構6は、後述するように、開口部20を閉状態とする位置から第2方向Zに沿って開閉部材4をスライドさせて開閉部材4に対する第2方向Zの一方側Z1で開口部20を開状態とする。直線駆動機構7は、後述するように、被駆動部材3を開口部20から外側に突出した出現位置(
図1(b)、および
図2(b)参照)と、開口部20から
内側に引っ込んだ待機位置(
図1(a)、および
図2(a)参照)との間で移動させる。
【0028】
(開閉機構の構成)
図4は、本発明を適用した複合駆動装置1の開閉機構6を第3方向Xの一方側X1からみた斜視図である。
図5は、本発明を適用した複合駆動装置1の開閉部材4等の分解斜視図である。
図6は、本発明を適用した複合駆動装置1の開閉機構6に用いたピニオン62等の説明図である。なお、
図3、
図4、
図5および
図6では、第1ラック410の歯および第2ラック420の歯の一部のみを示し、第1ラック410および第2ラック420が形成されている範囲を一点鎖線で示してある。
【0029】
図4、
図5および
図6に示すように、開閉部材4は、第1部材41と第2部材42とを備えており、開閉機構6は、第1部材41および第2部材42を第2方向Zに移動可能に支持するホルダ61を有している。第1部材41および第2部材42はいずれも、第1方向に厚さ方向を向ける板状部材である。ホルダ61は、第3方向Xで対向する一対の側板部611、612と、第2方向Zの一方側Z1で側板部611、612の端部に接続する連結板部619を有している。
【0030】
側板部611の第1方向Yの両側の端部は、側板部612の側に折れ曲がって、第2方向Zに延在する支持板部611a、611bを構成し、側板部612の第1方向Yの両側の端部は、側板部611の側に折れ曲がって、第2方向Zに延在する支持板部612a、612bを構成している。側板部611において第2方向Zの一方側Z1には、第2方向Zに延在する穴611cが形成されており、穴611cの第1方向Yの一方側Y1の縁からは、側板部612に向けて折れ曲がった支持板部611dが形成されている。側板部612において第2方向Zの一方側Z1には、第2方向Zに延在する穴612cが形成されており、穴612cの第1方向Yの一方側Y1の縁からは、側板部611に向けて折れ曲がった支持板部612dが形成されている。
【0031】
従って、第2部材42は、第3方向Xの両端部が支持板部611a、612aと支持板部611d、612dとの間において第2方向Zに移動可能に支持されている。また、第1部材41は、第3方向Xの両端部が支持板部611a、612aと支持板部611b、612bとの間において第2方向Zに移動可能に配置されている。
【0032】
このように構成したホルダ61は、第2方向Zの一方側Z1の端部で第3方向Xに延在する第1軸線L1周りに回転可能にフレーム2に支持されている。また、開閉機構6は、第3方向Xに延在する第2軸線L2周りに回転可能にホルダ61の側板部611、612に支持されたピニオン62と、第1軸線L1から第1方向Yの他方側Y2および第2方向Zの他方向Z2で離間する位置で第3方向Xに延在する第3軸線L3周りに回転する回転部材66とを備えている。本形態において、ピニオン62および回転部材66は、第3方向Xで離間して一対設けられている。
【0033】
ホルダ61には、第3方向Xで対向する側板部611、612の各々に第2方向Zに延在する第1スリット613が形成されている。第1スリット613は、第2方向Zに延在する第1部分613aと、第1部分613aの第2方向Zの他方側Z2の端部から第1方向Yの一方側Y1に向けて斜めに延在する第2部分613bとを有している。
【0034】
第1スリット613には、ピニオン62を回転可能に支持する支軸63が嵌っており、支軸63は、第1スリット613に沿って第2方向Zに移動可能である。従って、ピニオン62は、第2方向Zに移動可能にホルダ61に支持されている。
【0035】
回転部材66は、第3軸線L3が通る位置から第1部材41の側面411まで延在する
アームであり、回転部材66の先端側には、回転部材66の延在方向に沿って延在した長穴661が形成されている。ホルダ61には、側板部611、612の各々に第2方向Zに延在する第2スリット614が形成されており、第1部材41の側面411に設けられた軸442は、第2スリット614を貫通して長穴661に嵌っている。従って、軸442および長穴661は、回転部材66と第1部材41とを互いに回転可能に接続する接続部60を構成している。ここで、第2スリット614は、第2方向Zに延在する第1部分614aと、第1部分614aの第2方向Zの他方側Z2の端部から第1方向Yの一方側Y1に向けて斜めに延在する第2部分614bとを有している。
【0036】
第3方向Xで対向する2つの回転部材66は、連結軸662によって連結されており、一体に回転する。2つの回転部材66のうち、第3方向Xの一方側X1の回転部材66と駆動源5(モータ50)とは、伝達機構67を介して機構的に接続されている。本形態において、伝達機構67は、歯車伝達機構68とベルト伝達機構69とを備えている。
【0037】
モータ50は、第1方向Yに沿う方向にモータ軸線を向けてフレーム2に固定されており、第1方向Yの一方側Y1に突出した第1出力軸51と、第1方向の他方側Y2に突出した第2出力軸52とを有している(
図4参照)。歯車伝達機構68は、第1出力軸51に固定されたウォームからなる第1歯車681、第2歯車682、第3歯車683、および第4歯車684を有している。第2歯車682は、第1歯車681と噛み合うウォームホイール682a、およびウォームホイール682aより小径の歯車682bが一体に形成された複合歯車である。第3歯車683は、歯車682と噛み合う歯車683a、および周方向の所定の角度範囲のみに歯が設けられた歯車683bが一体に形成された複合歯車である。第4歯車684は、歯車683bと噛み合う歯車684a、およびプーリ684bが一体に形成された複合歯車である。
【0038】
2つの回転部材66のうち、第3方向Xの一方側X1の回転部材66には、プーリ692が連結されている。プーリ684b、692にはベルト691が架けられており、プーリ684b、692、およびベルト691によってベルト伝達機構69が構成されている。
【0039】
(開閉部材4の詳細構成)
第1部材41において、側面411には、第1方向Yの一方側Y1に向いた段部412が形成されており、段部412において、第2方向Zの一方側Z1に向く端部から第1方向Yの一方側Y1に向く面の途中位置まで第1ラック410が連続して設けられている。第2部材42において、側面421には、第1方向Yの他方側Y2に向いた段部422が形成されており、段部422において、第2方向Zの他方側Z2に向く端部から第1方向Yの他方側Y2に向く面の途中位置まで第2ラック420が連続して設けられている。第1ラック410と第2ラック420は、互いに反対側からピニオン62と噛み合っている。
【0040】
(開閉動作)
図7は、本発明を適用した複合駆動装置1の開閉機構6の動作を示す説明図である。なお、
図7では、閉状態における開閉部材4等の位置を実線で示し、開状態における開閉部材4等の位置を一点鎖線で示してある。
【0041】
図7に示すように、開閉部材4によってフレーム2の開口部20を塞いだ閉状態では、アーム状の回転部材66は、第1方向Yの一方側Y1に向かって起立した状態にあり、この状態で、開閉部材4では、第1部材41が第2部材42に対して第2方向Zの他方側Z2に並んだ状態にある。かかる閉状態において、ピニオン62は、第1スリット613の第2部分613bに位置する。また、ピニオン62は、第2方向Zにおいて第1部材41
と第2部材42との間にある。このため、第1ラック410のうち、段部412において、第2方向Zの一方側Z1に向く端部に形成された部分が第2方向Zの他方側Z2からピニオン62と噛み合い、第2ラック420のうち、段部422において、第2方向Zの他方側Z2に向く端部に形成された部分が第2方向Zの一方側Z1からピニオン62と噛み合っている。
【0042】
この状態からモータ50が一方方向に回転すると、モータ50の回転駆動力が、
図4等に示す伝達機構67(歯車伝達機構68およびベルト伝達機構69)を介して回転部材66に伝達される。従って、回転部材66が第3軸線L3周りに矢印Cで示す一方方向に回転し、回転部材66と第1部材41との接続部60が第3軸線L3周りに、矢印Cで示す一方方向に回転する。このため、接続部60の軸442は、第2スリット614に沿って、第1軸線L1に接近する方向に移動する。従って、第1部材41は、ホルダ61に支持されたまま、矢印A1で示すように、第1軸線L1に接近する方向に移動する。その結果、ホルダ61は、第1軸線L1周りに矢印Bで示す方向に回転する。その際、ピニオン62は、第2軸線L2周りに回転しながら第1ラック410に乗り上げ、ピニオン62と第1ラック410との噛み合い位置が第1ラック410の第2方向Zの他方側Z2に移動する。また、ピニオン62の回転によって、第2ラック420は、第1ラック410とは反対側でピニオン62に乗り上げ、ピニオン62と第2ラック420との噛み合い位置が第2ラック420の第2方向Zの一方側Z1に移動する。従って、第2部材42は、矢印A2で示すように、第2方向Zの他方側Z2に移動し、ピニオン62を挟んで第1部材41に対して第1方向Yの一方側Y1に重なる。かかる状態において、第1部材41および第2部材42は、第2方向Zの他方側Z2の端部41a、42aがフレーム2内に引き込まれた斜め姿勢となる。また、第2部材42の少なくとも第2方向Zの一方側Z1(開閉部材4の第2方向Zの一方側Z1)では、開口部20が開口した開状態となる。本形態では、開閉部材4の第2方向Zの他方側Z1でも、フレーム2の開口部が開口した状態となるが、かかる開口部は、被駆動部材3の出し入れには用いられない。
【0043】
かかる開状態からモータ50が他方方向に回転し、モータ50の回転駆動力が、開閉機構6の伝達機構67(歯車伝達機構68およびベルト伝達機構69)を介して回転部材66に伝達されると、回転部材66が第3軸線L3周りに矢印Cで示す一方方向とは反対側の他方方向に回転し、回転部材66と第1部材41との接続部60が第3軸線L3周りに、矢印Cで示す一方方向とは反対側の他方方向に回転する。このため、接続部60は、第2スリット614に沿って、第1軸線L1から離間する方向に移動する。従って、上記の動作とは反対側の動作が行われる結果、第2部材42が第2方向Zの一方側Z1に移動するので、第2部材42の第2方向Zの一方側Z1(開閉部材4の第2方向Zの一方側Z1)で開口部20が開閉部材4で塞がれた閉状態となる。
【0044】
(被駆動部材3の構成)
図8は、本発明を適用した複合駆動装置1の直線駆動機構7およびチルト駆動機構9を第3方向Xの一方側X1からみた斜視図である。
図9は、本発明を適用した複合駆動装置1の直線駆動機構7の分解斜視図である。
【0045】
図3、
図8および
図9に示すように、被駆動部材3は、被駆動部材3が出現位置に移動した際にフレーム2から突出する本体部31と、本体部31の第1方向Yの他方側Y2の端部を保持するベース32とを有している。本体部31は、第2方向Zに厚さ方向を向けたパネル状である。ベース32は、本体部31より第3方向Xの寸法が大であり、本体部31より第2方向Zの寸法が大である。
【0046】
(直線駆動機構7の構成)
直線駆動機構7は、第1方向Yに延在する軸線L4周りに回転する送りねじ70と、送
りねじ70と係合する第1キャリッジ71とを有しており、第1キャリッジ71は、被駆動部材3を待機位置から出現位置に移動させる際に第1方向Yの一方側Y1に移動する。本形態において、送りねじ70の両端部は、フレーム2に支持された支持部材78によって回転可能に支持されている。直線駆動機構7は、モータ50の第2出力軸52に固定された第1歯車751、第1歯車751と噛み合う第2歯車752、および第2歯車752と噛み合う第3歯車753からなる歯車伝達機構75を有しており、第3歯車753は、送りねじ70の端部709に固定されている。従って、送りねじ70は、モータ50の駆動力によって軸線L4周りに回転する。
【0047】
直線駆動機構7は、被駆動部材3が待機位置から出現位置に向けて移動するまで被駆動部材3の姿勢を規制するガイド部材74を有している。本形態において、ガイド部材74は、第2方向Zで対向する一対の板状のガイド部を有しており、一対のガイド部の間に被駆動部材3が配置されている。このため、一対のガイド部のうち、第2方向Zの他方側Z2に位置する第1ガイド部741は、被駆動部材3に第2方向Zの他方側Z2から接し、第2方向Zの一方側Z1に位置する第2ガイド部742は、被駆動部材3に第2方向Zの一方側Z1から接する。
【0048】
本形態において、ガイド部材74は、第1ガイド部741の第1方向Yの一方側Y1で先端側が第2方向Zの他方側Z2(第2ガイド部742とは反対側)に傾いた第1支持部741aと、第2ガイド部742の第1方向Yの一方側Y1で先端側が第2方向Zの一方側Z1(第1ガイド部741とは反対側)に傾いた第2支持部742aとを有している。
【0049】
直線駆動機構7は、第1方向Yに延在するガイド軸77を有しており、ガイド軸77は、支持部材79を介してフレーム2に支持されている。直線駆動機構7は、ガイド軸77が貫通するガイド穴725が形成された第2キャリッジ72を有している。第2キャリッジ72は、ガイド穴725が形成された筒部721と、筒部721から被駆動部材3のベース32に第3方向Xの他方側X2から重なるL字形状の連結板部722とを有している。連結板部722には円形の穴723が形成されており、穴723には、被駆動部材3のベース32から第3方向Xの他方側X2に突出した丸棒状の軸部(図示せず)が嵌っている。
【0050】
従って、第2キャリッジ72と被駆動部材3とは一体に第1方向Yに移動可能であるとともに、被駆動部材3は、第2キャリッジ72に対して上記の軸部の中心を通る軸線L5周りに回転可能である。ここで、被駆動部材3と第2キャリッジ72との間には、矢印Sで示すように、被駆動部材3を第2キャリッジ72に対して軸線L5周りの一方側に付勢する付勢部材76(第2付勢部材)が設けられている。本形態において、付勢部材76は、捩りコイルばね760であり、両端が各々、被駆動部材3および第2キャリッジ72に保持されている。かかる付勢部材76は、後述するチルト駆動機構9において、当接部90に対して被駆動部材3を当接させる方向の付勢力を発生させている。
【0051】
(切り換え機構8)
図10は、本発明を適用した複合駆動装置1の切り換え機構8およびチルト駆動機構9の説明図である。本形態において、直線駆動機構7は、切り換え機構8を有している。切り換え機構8は、第1キャリッジ71が第1方向Yの一方側Y1への移動を開始する際、被駆動部材3と第1キャリッジ71との機構的な接続が解除された解除状態としておき、第1キャリッジ71が第1方向Yの一方側Y1に一定距離を移動した後、被駆動部材3と第1キャリッジ71とが機構的に接続された接続状態とする。
【0052】
本形態において、切り換え機構8は、第1キャリッジ71に対して第3方向Xに延在する軸線L6周りに回転可能に支持されたレバー81と、第1キャリッジ71の第1方向Y
の移動に伴ってレバー81の姿勢を切り換えて解除状態と接続状態とを実現するカム機構85とを有している。
【0053】
本形態において、第1キャリッジ72は、送りねじ70と係合する係合部711と、係合部711から被駆動部材3のベース32に第3方向Xの一方側X1から重なるL字形状の連結板部712と、連結板部712の第2方向Zの一方側Z1の端部から第1方向Yの一方側Y1に突出した凸部713とを有している。連結板部712には、軸線L6が通る位置に円形の穴(図示せず)が形成され、レバー81にも、軸線L6が通る位置に円形の穴816が形成されている。連結板部712の上記の穴、およびレバー81の穴816には丸棒状の軸部86が嵌っている。従って、第1キャリッジ71とレバー81とは一体に第1方向Yに移動可能であるとともに、レバー81は、第1キャリッジ71に対して上記の軸部86の中心を通る軸線L6周りに回転可能である。なお、レバー81と第1キャリッジ71との間には、矢印F2で示すように、レバー81を第1キャリッジ71に対して、矢印F2で示すように、軸線L6周りに付勢する付勢部材88(第2付勢部材)が設けられている。本形態において、付勢部材88は捩りコイルばね880である。
【0054】
レバー81は、穴816が形成されている位置から第1方向Yの他方側Y2に延在する第1板部811と、穴816が形成されている位置から第1方向Yの一方側Y1に延在する第2板部812とを有している。第1板部811の縁はカム面84になっている一方、カム面84の近傍では、丸棒状のカムピン82がフレーム2に固定されている。本形態において、カム面84とカムピン82は、レバー81の軸線L6周りの姿勢を規制するカム機構85を構成している。
【0055】
レバー81の第2板部812には、第1キャリッジ72の凸部713と対向する位置で、第2方向Zの一方側Z1の縁から他方側Z2に凹んだ切欠き状の凹部813が形成されている。従って、レバー81の第2板部812には、凹部813の第1方向Yの他方側Y2の縁からなる第1当接部814と、凹部813の第1方向Yの一方側Y1の縁からなる第2当接部815とが形成されている。また、被駆動部材3のベース32から第3方向Xの一方側X1には、丸棒状の係合軸34が突出している。
【0056】
(切り換え機構8の動作)
図11は、本発明を適用した複合駆動装置1の切り換え機構8の動作を示す説明図である。なお、
図11には、矢印E1、E2で示すように、第1キャリッジ71が第1方向Yの一方側Y1に移動するにともなって、レバー81の姿勢が切り換わる様子を示してある。
【0057】
まず、
図11に示す時間t1において、被駆動部材3が待機位置にあるとき、第1キャリッジ71およびレバー81は、被駆動部材3の係合軸34に対して第1方向Yの他方側Y2にあり、レバー81と係合軸34とは係合していない。従って、被駆動部材3と第1キャリッジ71との機構的な接続が解除された解除状態にある。
【0058】
次に、
図11に示す時間t11において、モータ50が一方方向に回転し、送りねじ70が一方方向に回転すると、第1キャリッジ71は、矢印E1で示すように、第1方向Yの一方側Y1に移動する。その結果、レバー81のカム面84がカムピン82に押圧されて、レバー81は、矢印F1で示すように、軸線L6周りの一方方向に回転し、斜め姿勢となる。
【0059】
さらに、
図11に示す時間t12において、第1キャリッジ71が第1方向Yの一方側Y1に移動すると、レバー81は、カムピン82による姿勢の規制が徐々に解除され、付勢部材88の付勢力によって、矢印F2で示すように、軸線L6周りに他方方向に回転し
始める。そして、
図11に示す時間t2においては、矢印F2で示すように、レバー81が軸線L6周りに他方方向にさらに回転し、係合軸34が凹部813の開放端側から凹部813の内側に入る。その結果、係合軸34に対して第1方向Yの他方側Y2に第1当接部814が位置し、係合軸34に対して第1方向Yの一方側Y1に第2当接部815が位置し、レバー81と被駆動部材3とが第1方向Yの一方側Y1および他方側Y2の双方で係合した状態となる。かかる状態は、被駆動部材3と第1キャリッジ71とが機構的に接続されて一体に移動可能な接続状態である。かかる接続状態で、第1キャリッジ71が第1方向Yの一方側Y1にさらに移動すると、係合軸34は、レバー81の第1当接部814によって第1方向Yの一方側Y1に押圧されるので、被駆動部材3は、第1キャリッジ71とともに、第1方向Yの一方側Y1に移動し、フレーム2の開口部20から出現する。この状態で、レバー81の凹部813の開放端側は、第1キャリッジ71の凸部713で塞がれる。従って、凸部713は、レバー81の凹部813からの係合軸34の抜けを防止する抜け止め用の凸部として機能する。
【0060】
上記の動作とは反対に、モータ50が他方方向に回転すると、矢印E2で示すように、第1キャリッジ71が第1方向Yの他方側Y2に移動する。その結果、被駆動部材3の係合軸34は、レバー81の第2当接部815によって第1方向Yの他方側Y2に押圧されるので、被駆動部材3は、第1キャリッジ71とともに、第1方向Yの他方側Y2に移動し、フレーム2の開口部20からフレーム2の内側に戻る。その途中において、レバー81は、カム機構85によって姿勢が切り換わり、被駆動部材3と第1キャリッジ71との接続が解除される。
【0061】
(チルト駆動機構9の構成)
図12は、本発明を適用した複合駆動装置1のチルト駆動機構9の動作を示す説明図である。
図8等に示すように、ガイド部材74の第1方向Yの一方側Z1の端部付近には軸91が配置されており、軸91はフレーム2に固定されている。本形態において、軸91は、駆動源5の駆動力によって、出現位置に到達した被駆動部材3の先端側を第2方向Zの一方側Z1または他方側Z2に傾かせるチルト駆動機構9の当接部90として機能する。本形態では、被駆動部材3の姿勢がガイド部材74によって規制されているため、チルト駆動機構9は、出現位置において、ガイド部材74による被駆動部材3の姿勢の規制が解除された後、被駆動部材3の先端側を第2方向Zに傾かせる。
【0062】
本形態では、軸91がガイド部材74の第2方向Zの他方側Z2に配置されている。また、被駆動部材3のベース32には、本体部31より第2方向Zの他方側Z2に突出した干渉部33が設けられている。従って、
図12を参照して以下に説明するように、干渉部33が当接部90に第1方向Yの他方側Y2から当接した際、被駆動部材3の先端側は、軸線L5周りに第2方向Zの他方側Z2に傾く。
【0063】
図12に示すように、被駆動部材3は、ベース32が第1キャリッジ71および第2キャリッジ72に対して軸線L5周りに揺動可能に支持されている。また、
図10を参照して説明した付勢部材76は、軸線L5周りにおいて矢印Sで示す方向に被駆動部材3を付勢している。従って、
図12に一点鎖線で示すように、被駆動部材3の先端側は、軸線L5周りに第2方向Zの一方側Z1に傾こうとするが、被駆動部材3の姿勢は、
図12に実線で示すように、ガイド部材74によって規制される。
【0064】
そして、矢印E1で示すように、被駆動部材3が第1方向Yの一方側Y1に移動し、ガイド部材74による被駆動部材3の姿勢の規制が解除されると、
図12に一点鎖線で示すように、被駆動部材3の先端側は、まず、軸線L5周りに第2方向Zの一方側Z1に傾く。
【0065】
そして、被駆動部材3が第1方向Yの一方側Y1にさらに移動すると、干渉部33が当接部90に第1方向Yの他方側Y2から当接し、被駆動部材3は、
図12に実線で示す姿勢を経た後、
図12に点線で示すように、被駆動部材3の先端側は、軸線L5周りに第2方向Zの他方側Z2に傾く。ここで、付勢部材76は、被駆動部材3を干渉部33が当接部90に当接する方向に付勢しているため、被駆動部材3の先端側は、付勢部材76の付勢力に抗して、第2方向Zの他方側Z2に傾く。また、本形態では、被駆動部材3を傾かせる際、直動する距離が長ければ、被駆動部材3を大きく傾けることができる等、被駆動部材3の姿勢を容易に調整することができる。この場合でも、被駆動部材3の第1方向Yの位置は大きく変化しないので、被駆動部材3の第1方向Yの位置の変化については無視することができる。なお、付勢部材76に代えて、第1キャリッジ71と被駆動部材3との間に、被駆動部材3の干渉部33が当接部90に当接する方向に付勢する付勢部材を設けてもよい。
【0066】
(送りねじ70の構成)
図13は、本発明を適用した複合駆動装置1の送りねじ70の説明図である。
図13に示すように、直線駆動機構7に用いた送りねじ70は、丸棒状の軸体705の外周面に螺旋溝706が形成されている。ここで、送りねじ70は、第1ピッチP1で螺旋溝706が設けられた第1ねじ部701と、第1ピッチP1より短い第2ピッチP2で螺旋溝706が設けられた第2ねじ部702と、第1ねじ部701と第2ねじ部702との境界部703を有しており、境界部703では、周方向で溝の間隔が連続して変化している。このため、第1キャリッジ71の係合部711は、螺旋溝706との係合部(図示せず)を1個所に有している。
【0067】
本形態において、送りねじ70は、第1ねじ部701に対して第1方向Yの両側に第2ねじ部702を有している。第2ねじ部702は、被駆動部材3を待機位置から出現位置に移動させる際の初期期間と最終期間において第1キャリッジ71を駆動する部分であり、第1ねじ部701は、被駆動部材3を待機位置から出現位置に移動させる際の中間期間において第1キャリッジ71を駆動する部分である。
【0068】
(送りねじ70の別の構成例)
図14は、本発明を適用した複合駆動装置1の送りねじ70の別の構成例を示す説明図である。
図14に示す送りねじ70でも、
図13を参照して説明した送りねじ70と同様、丸棒状の軸体707の外周側に螺旋溝706が設けられている。送りねじ70は、第1ピッチP1で螺旋溝706が設けられた第1ねじ部701と、第1ピッチP1より短い第2ピッチP2で螺旋溝706が設けられた第2ねじ部702と、第1ねじ部701と第2ねじ部702との境界部703を有しており、境界部703では、周方向で溝の間隔が連続して変化している。このため、第1キャリッジ71の係合部711は、螺旋溝706との係合部(図示せず)を1個所に有している。送りねじ70は、第1ねじ部701に対して第1方向Yの両側に第2ねじ部702を有している。
【0069】
本形態において、螺旋溝706は、軸体707の外周面を螺旋状に巻回するように配置されたコイルばね708からなる。コイルばね708としては、線材を螺旋状に巻回した構成を採用できるとともに、
図14に示すように、軸線方向に厚さ方向を向けた板状部材を螺旋状に巻回した構成を採用することができる。
【0070】
ここで、コイルばね708は、軸線方向の両側の端部708aが軸体707と固定されている。このため、コイルばね708は、軸体707と一体に軸線周りに回転可能である。また、コイルばね708は、螺旋状に巻回されている部分が軸線方向に弾性をもって変形可能である。
【0071】
このように構成した送りねじ70によれば、
図13を参照して説明した構成と違って、丸棒状の軸体の外周面に機械加工を行って螺旋溝706を形成する必要がないので、送りねじ70を効率よく製造することができる。また、第1キャリッジ71に軸線方向の外力が加わっても、かかる力は、コイルばね708において螺旋状に巻回されている部分が軸線方向に弾性をもって変形することによって吸収することができる。それ故、第1キャリッジ71や周辺機構が損傷しにくい。
【0072】
(複合駆動装置1全体の動作)
図15は、本発明を適用した複合駆動装置の動作を示すタイミングチャートである。本形態の複合駆動装置1において、開閉機構6、直線駆動機構7およびチルト駆動機構9は、駆動源5が共通である。従って、
図1(a)および
図2(a)に示す状態から
図1(b)および
図2(b)に示す状態に移行させる際、
図15に示すように、まず、時間t1からモータ50を一方方向に回転させると、開閉機構6は、時間t3までの間に開閉部材4をスライドさせ、開閉部材4に対して第2方向Zの一方側Z1で開口部20を開状態とする。
【0073】
一方、直線駆動機構7では、切り換え機構8によって、第1キャリッジ71と被駆動部材3との機構的な接続が遅れるため、時間t1から遅れて、時間t2から被駆動部材3を第1方向Yの一方側Y1に向けて直動させる。そして、時間t3において、被駆動部材3が出現位置に到達した後、直線駆動機構7がさらに時間t4まで被駆動部材3を第1方向Yの一方側Y1に向けて直動させると、チルト駆動機構9は、被駆動部材3の先端側を第2方向Zの他方側Z2に向けて傾かせる。そして、被駆動部材3の姿勢の調整が終了した後、時間t5においてモータ50を停止させる。
【0074】
その際、
図13を参照して説明したように、送りねじ70では、被駆動部材3を待機位置から出現位置に移動させる際の初期期間と最終期間において第1キャリッジ71が第2ねじ部702と係合するので、第1キャリッジ71は低速度で移動する。これに対して、被駆動部材3を待機位置から出現位置に移動させる際の中間期間においては、第1キャリッジ701が第1ねじ部701と係合するので、第1キャリッジ71は高速度で移動する。また、モータ50を停止させた際、第1キャリッジ71は第2ねじ部702と係合しているので、第1キャリッジ701はセルフロックされた状態にある。このため、モータ50を停止した状態で、第1キャリッジ71に被駆動部材3の質量が作用しても、第1キャリッジ71は移動しない。それ故、
図1(b)および
図2(b)に示す状態が維持される。なお、時間t3から時間t5までの間、開閉機構6では、歯車683bによって空周りするので、開閉部材4の位置は変わらない。
【0075】
また、
図1(b)および
図2(b)に示す状態から
図1(a)および
図2(a)に示す状態に移行させる際、まず、時間t6にモータ50が他方方向に回転し始める。その結果、直線駆動機構7は、被駆動部材3を第1方向Yの他方側Y2に向けて直動させる。その際、直線駆動機構7が時間t6から時間t7まで被駆動部材3を第1方向Yの一方側Y1に向けて直動させる間に、チルト駆動機構9は、被駆動部材3の先端側が傾いた姿勢に元に戻す。そして、直線駆動機構7がさらに時間t8まで被駆動部材3を第1方向Yの他方側Y2に向けて直動させると、開閉機構6は、時間t8から時刻t10までの間において開閉部材4をスライドさせ、開口部20を閉状態とする。その際、直線駆動機構7は、時間t9まで第1キャリッジ71を第1方向Yの他方側Y2に向けて駆動し、被駆動部材3を第1方向Yの他方側Y2に向けて直動させるが、時間t9以降、切り換え機構8は、被駆動部材3の駆動を停止させる。なお、時間t6から時間t8までの間、開閉機構6では、歯車883bによって空周りするので、開閉部材4の駆動は行われない。
【0076】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の複合駆動装置1においては、開閉部材4による開口部20の開閉と、被駆動部材3の待機位置と待機位置との間の第1方向Yでの移動とを行う場合でも、開閉機構6および直線駆動機構7では、駆動源5が共通になっている。従って、複合駆動装置1の構成の簡素化を図ることができる。また、駆動源5は、互いに反対側に向けて突出した第1出力軸51および第2出力軸52を備えたモータ50である。このため、第1出力軸51から出力される駆動力によって開閉機構6を動作させ、第2出力軸52から出力される駆動力によって直線駆動機構7を動作させることができる。従って、モータ50の出力を直線駆動機構7と開閉機構6とに分岐して伝達するための機構が不要である。また、本形態の複合駆動装置1には、上記の駆動源5を用いて、被駆動部材3の先端側を第2方向Zの一方側Z1または他方側Z2に傾かせるチルト駆動機構9が設けられている。このため、1つの駆動源5を用いるという簡素な構成で、開閉部材4による開口部20の開閉、開口部20を介しての被駆動部材3の出し入れ、および被駆動部材3の姿勢の調整を行うことができる。それ故、被駆動部材3が表示部材30である場合、利用者は、表示部材30の姿勢を画像を見やすい姿勢に調整することができる。
【0077】
また、本形態において、開閉機構6は、開閉部材4を第2方向Zにスライドさせて開閉部材4の第2方向Zの一方側Z1で開口部20を開状態とする。このため、被駆動部材3が出現する側に開閉部材4が突出しないので、開閉部材4の存在が邪魔になりにくい。また、開状態では、第1部材41と第2部材42とが重なった状態となるため、開状態において開閉部材4の第2方向Zの寸法が小さくなる。それ故、開閉部材4の存在が邪魔になりにくい。
【0078】
また、チルト駆動機構9では、ガイド部材74による被駆動部材3の姿勢の規制が解除された後、直線駆動機構7が被駆動部材3をさらに出現位置に向けて駆動した際に被駆動部材3と当接部90とを第1方向Yで当接させて被駆動部材3の先端側を第2方向Zに傾かせる構成が採用されている。従って、被駆動部材3の直動を利用して被駆動部材3の姿勢を切り換えるため、チルト駆動機構9の構成の簡素化を図ることができる。また、被駆動部材3を傾かせる際、直動する距離が長ければ、被駆動部材3を大きく傾けることができる等、被駆動部材3の姿勢を容易に調整することができる。また、被駆動部材3は、出現位置に移動した際にフレーム2から突出する本体部31と、本体部31より第2方向Zに突出してフレーム2の内側で当接部90と当接する干渉部33とを備えている。このため、比較的簡素な構成で被駆動部材3の姿勢を切り換えることができる。
【0079】
また、ガイド部材74は、被駆動部材3に第2方向Zの他方側Z2から接する第1ガイド部741と、被駆動部材3に第2方向Zの一方側Z1から接する第2ガイド部742とを有している。従って、ガイド部材74は、被駆動部材3を適正な姿勢で直動させることができる。また、ガイド部材74は、第1ガイド部741の第1方向Yの一方側Y1で先端側が第2方向Zの他方側Z2に傾いた第1支持部741aと、第2ガイド部742の第1方向Yの一方側Y1で先端側が第2方向Zの一方側Z1に傾いた第2支持部742aとを有している。このため、被駆動部材が外部からの振動等によって第2方向Zに過度に傾くことを抑制することができる。
【0080】
また、チルト駆動機構9は、被駆動部材3の先端側を第2方向Zの他方側Z2に傾かせる構成である。このため、被駆動部材3が傾いた側には開閉部材4が位置するが、このような場合でも、本形態では、被駆動部材3が出現する側に開閉部材4が突出しないので、開閉部材4の存在が邪魔になりにくい。
【0081】
また、直線駆動機構7において、第2キャリッジ72と被駆動部材3との間には、被駆動部材3の干渉部33を当接部90に当接する方向に付勢する付勢部材76が設けられているため、チルト駆動機構9を確実に動作させることができる。
【0082】
さらに、直線駆動機構7には切り換え機構8が設けられているため、第1キャリッジ71が移動を開始した場合でも、被駆動部材3の直動を遅らせることができる。従って、被駆動部材3を開口部20から外側に出現させる際、被駆動部材3と開閉部材4との干渉を抑制することができる。また、切り換え機構8は、レバー81およびカム機構85を有しているため、比較的簡素な構成で、被駆動部材3と第1キャリッジ71との接続を切り換えることができる。
【0083】
また、開閉機構6は、閉状態では第1部材41が第2部材42に対して第2方向Zに並んだ状態とし、開状態では第1部材41と第2部材42とを第1方向Yで重なった状態で第2方向Zの他方側Z2の端部41a、42aがフレーム2内に引き込まれた斜め姿勢とする。このため、開閉部材4の存在が邪魔になりにくい。
【0084】
また、開閉機構6は、ピニオン62、第1ラック410および第2ラック420によって第1部材41および第2部材42を第2方向Zに沿ってスライドさせるため、比較的簡素な構成で、第1部材41と第2部材42とが第2方向Zに並んだ閉状態と、第1部材41と第2部材42とが第1方向Yで重なった開状態とを実現することができる。
【0085】
また、開閉機構6は、歯車伝達機構68に歯車683bを含んでいるため、開閉部材4に開閉動作を行わせた後、被駆動部材3の駆動を継続する一方、開閉部材4の駆動については停止することができる。それ故、共通の駆動源5によって複数の機構を作動させるのに適している。
【0086】
(他の実施の形態)
上記実施の形態では、開閉機構6において、開状態では、開閉部材4の第2方向Zの他方側Z2の端部41a、42aがフレーム2の内側に引き込まれた斜め姿勢となったが、開閉部材4の第2方向Zの一方側Z1の端部がフレーム2の内側に引き込まれた斜め姿勢となってもよい。また、開状態において開閉部材4がフレーム2の内側に引き込まれた状態とするにあたっては、斜め姿勢に限らず、水平姿勢あるいは垂直姿勢となってフレーム2の内側に引き込まれる形態を採用してもよい。また、上記実施の形態では、開閉機構6において、歯車伝達機構68とベルト伝達機構69とによって伝達機構67を構成したが、歯車伝達機構68のみによって伝達機構67を構成してもよい。上記実施の形態において、切り換え機構8では、係合軸34が被駆動部材3に形成され、第1当接部814および第2当接部815がレバー81に形成されていたが、係合軸34がレバー81に形成され、第1当接部814および第2当接部815が被駆動部材3に形成されていてもよい。上記実施の形態では、モータ50の第1出力軸51から出力される駆動力によって開閉機構6を動作させ、第2出力軸52から出力される駆動力によって直線駆動機構7を動作させる構成であったが、モータ50の共通の出力軸から出力される駆動力が開閉機構6と直線駆動機構7とに分岐して伝達される構成の駆動装置に本発明を適用してもよい。上記実施の形態では、螺旋溝706のピッチが軸線方向で切り換わっている送りねじ70を用いたが、螺旋溝706のピッチが軸線方向で等しい送りねじ70を用いた駆動装置に本発明を適用してもよい。上記実施の形態では、開閉部材4が2つの部材(第1部材41および第2部材42)を備えていたが、3つ以上の部材を有する場合に本発明を適用してもよい。上記実施の形態では、切り換え機構8を構成するにあたって、係合軸34を被駆動部材3に設け、レバー81に凹部813(第1当接部814および第2当接部815)を設けたが、係合軸34をレバー81に設け、被駆動部材3に凹部813(第1当接部814および第2当接部815)を設けてもよい。