(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1〜5を参照して、乾燥機および乾燥システムの一実施の形態を説明する。
図1は、本実施の形態の乾燥システムを乾燥機の側面側から見た図である。本実施の形態の乾燥システムは、乾燥機1と、搬送コンベア2と、排出コンベア3とを有する。
乾燥機1は、回転する内胴11の内部に投入された被乾燥物である脱水後の洗濯物に熱風を供給することで乾燥する乾燥機である。本実施の形態では、乾燥機1は、
図1における紙面と垂直な方向に複数台設置されている。乾燥機1の構造については、後で詳述する。
【0009】
搬送コンベア2は、不図示の脱水機で脱水された後の洗濯物を各乾燥機1に投入する搬送装置である。脱水機で脱水された後の洗濯物は、ホールケーキ状の塊となっていることから、以下の説明では、ケーキと称する。搬送コンベア2は、後に詳細に説明するように、矢印A1の方向にケーキ4を搬送して、ケーキ4を乾燥機1内に投入する。また、搬送コンベア2は、
図1における紙面と垂直な方向に移動可能に構成され、紙面と垂直な方向に複数台設置された各乾燥機1に対向する位置に移動される。また、搬送コンベア2は、後述するように後側に傾斜する乾燥機1と干渉しないように、乾燥機1から所定の距離だけ
図1における右側に離れている。
【0010】
排出コンベア3は、各乾燥機1で乾燥されて各乾燥機1から排出された洗濯物を搬出する搬送装置である。排出コンベア3は、乾燥機1の後方に配置されており、各乾燥機1から排出された洗濯物を
図1における紙面と垂直な方向に搬送する。
【0011】
以下、本実施の形態の乾燥機1の構造について説明する。
乾燥機1の筐体10内には、洗濯物が投入される円筒形状の内胴11が設けられている。内胴11は、乾燥機1の内部に設けられた乾燥部である。内胴11は、その回転軸AXがほぼ水平の横向きとなるように配置された横形の円筒であって、ステンレス鋼板等の多孔板で形成されている。内胴11の前側、すなわち
図1における左側の端面には、前側開口11aが設けられ、後側、すなわち
図1における右側の端面には、後側開口11bが設けられている。横向きに設けられた内胴11は複数の不図示のローラによって支持されている。一部のローラは内胴11を回転駆動するための駆動用ローラであり、不図示のモータにより回転駆動される。内胴11内の洗濯物を乾燥させる際には、内胴11を回転させる。回転動作としては、一方向のみに回転させても良いし、正回転と逆回転を交互に行わせるようにしても良い。
【0012】
乾燥機1の筐体10の前面、すなわち
図1における左側には、内胴11の前側開口11aに対向する冷風取入口10aが形成されている。冷風取入口10aには、洗濯物の飛び出しを防止する網13が取り付けられている。冷風取入口10aの外側には、冷風取入口10aを開閉する前側開閉扉12が設けられている。前側開閉扉12は、後述する
図3に示した流体圧シリンダ72によって上下に開閉駆動される。
【0013】
乾燥機1の筐体10の後面には、内胴11の後側開口11bに対向する投入排出口10bが形成されている。投入排出口10bの大きさは、内胴11の後側開口11bとほぼ同等、またはそれより僅かに小さくもしくは大きく定められている。投入排出口10bの外側には、投入排出口10bを開閉する後側開閉扉14が設けられている。後側開閉扉14は、後述する
図3に示した流体圧シリンダ73によって、
図1において二点鎖線で描いたように後側開閉扉14の上端のヒンジ14aを回転中心として開閉駆動される。すなわち、後側開閉扉14は、投入排出口10bを閉鎖する閉鎖位置と、外部に突出して投入排出口10bを開放する開放位置との間を回動可能である。
【0014】
後側開閉扉14には、ケーキ4を内胴11に投入するための投入開口14bが形成されている。投入開口14bは、後側開閉扉14の上半分付近の領域に形成され、矩形形状であり、その短辺が
図1の上下方向に延び、長辺が紙面に垂直方向に延びている。投入開口14bの外側、すなわち後側開閉扉14の後面には、投入開口14bを開閉する投入開口開閉扉15が設けられている。投入開口開閉扉15は、後述する
図3に示した流体圧シリンダ74によって、投入開口開閉扉15の下端のヒンジ15aを回転中心として、
図1の閉鎖位置と
図2の開放位置との間を開閉駆動される。
【0015】
図2は、投入開口開閉扉15が開駆動されて開放位置に移動し、投入開口14bを開いた状態を示す図である。
図2において、投入開口開閉扉15は、閉鎖位置から数10度、たとえば、30度〜50度程度、回動されて、開放位置に移動している。開放位置において、投入開口開閉扉15の上端は、搬送コンベア2の下流側の端部の下方、すなわち、ケーキ4の搬送方向A1における搬送コンベア2の下流側端部の下方に移動する。
投入開口開閉扉15は、開放位置において投入開口14bを開放すると同時にケーキ4の投入用傾斜面を形成する。すなわち、開放位置における投入開口開閉扉15は、搬送コンベア2から排出されるケーキ4を、投入開口14bおよび投入排出口10bを通って内胴11の内部に投入するシュートとして機能する。すなわち、投入開口開閉扉15は、投入開口14bを覆う閉鎖位置とケーキ4を内胴11の内部に投入する開放位置との間を回動可能に、後側開閉扉14に支持されたシュート部である。開放位置をシュート位置とも呼ぶ。開放位置では、投入開口開閉扉15の上端は、乾燥機1の背面、具体的には後側開閉扉14の後面から後方に突出する。
【0016】
乾燥機1では、不図示の蒸気入口から供給された蒸気が不図示のヒータに送られる。ヒータは熱交換式のヒータであり、外気を蒸気によって加熱するものである。ヒータによって加熱された高温の空気は、洗濯物を乾燥させるための乾燥風として、不図示のダクトを介して内胴11内に送り込まれる。上述したように内胴11は多孔板で形成されており、乾燥風は多孔板の孔から内胴11内に流入する。なお、乾燥機1の機種によっては、乾燥風は、前側開口11aおよび後側開口11bの上部から内胴11内に流入する。内胴11内に流入した乾燥風は、内胴11内の洗濯物を乾燥した後、内胴11の下部に設けられた不図示のダクトへ流出する。
筐体10の下方の架台16の部分には不図示のファンが設けられている。このファンを駆動することによって内胴11の内部の空気が吸引される。すなわち、ファンによって内胴11の内部の空気が吸引されることで、ヒータからの乾燥風は内胴11の内部に吹き込まれ、内胴11内の洗濯物を乾燥した後、内胴11の外部に排出される。内胴11の外部に排出された乾燥風は、乾燥機1の外部に排出される。
【0017】
筐体10は架台16上に載置されている。筐体10と架台16とは、筐体10の後側下端のヒンジ17により連結されている。筐体10の前部側の下部には、後述する
図3に示した流体圧シリンダ71が設けられている。この流体圧シリンダ71を伸長すると、後述する
図5に示すように、ヒンジ17を支点として筐体10が後側に傾く。
【0018】
図3は、乾燥機1の駆動制御に関する全体構成を示す図である。なお、
図3では、本発明に係る構成を主に記載し、他の構成を省略している。コントローラ70は、たとえば次に例示するように乾燥機1の各部を制御する。コントローラ70は、
図5に示すように、ヒンジ17を支点として筐体10を後側に傾ける流体圧シリンダ71を制御する。コントローラ70は、
図1に示す前側開閉扉12を上下に開閉駆動する流体圧シリンダ72を制御する。コントローラ70は、
図1に示す後側開閉扉14を開閉駆動する流体圧シリンダ73を制御する。コントローラ70は、
図1に示す投入開口開閉扉15を開閉駆動する流体圧シリンダ74を制御する。コントローラ70は、内胴11を回転駆動するための不図示のモータの駆動を制御する。コントローラ70は、内胴11に熱風を吹き込むための不図示のファンの駆動やダンパーの開閉等を制御する。
【0019】
このように構成される乾燥システムでは、次のようにして洗濯物を乾燥および搬送する。
(1)投入工程
投入工程は、乾燥機1にケーキ4を投入する工程である。投入工程では、コントローラ70は、
図2に示すように、前側開閉扉12で冷風取入口10aを覆い、後側開閉扉14で投入排出口10bを覆い、投入開口開閉扉15を開放位置に移動するように各流体圧シリンダ72,73,74を制御する。これにより、
図2に示すように、投入開口開閉扉15が開放位置に移動して、搬送コンベア2から排出されるケーキ4を、投入開口14bおよび投入排出口10bを通って内胴11の内部に案内することができる。
このように、投入工程では、開放位置に移動した投入開口開閉扉15が、搬送コンベア2から排出されるケーキ4を内胴11の内部に投入するシュートとして機能する。
上述したように、投入開口14bが後側開閉扉14の上側に設けられており、開放位置に移動した投入開口開閉扉15がシュートとして機能するので、ケーキ4は、スムーズに内胴11の内部に投入される。
ケーキ4が内胴11の内部に投入された後、コントローラ70は、投入開口開閉扉15を閉鎖位置に移動するように流体圧シリンダ74を制御する。これにより、
図1に示すように、投入開口開閉扉15が閉鎖位置に移動して投入開口14bを覆う。
以上で投入工程が終了し、次に述べる乾燥工程へ移行する。
【0020】
(2)乾燥工程
乾燥工程は、ヒータによって加熱された乾燥風(熱風)を内胴11の内部に吹き込んで洗濯物を加熱して乾燥する工程である。乾燥工程では、コントローラ70は、内胴11を回転駆動するための不図示のモータを回転駆動するように制御するとともに、内胴11に熱風を吹き込むために不図示のファンの駆動やダンパーの開閉等を制御する。なお、コントローラ70は投入工程から内胴11を回転駆動するための不図示のモータを回転駆動するように制御してもよい。複数の洗濯物からなる塊であるケーキ4は、内胴11の回転によって個々の洗濯物にほぐされて、内胴11の内部で撹拌される。そして、回転する内胴11の内部で撹拌されている洗濯物が熱風にさらされるので、洗濯物の水分が蒸発する。なお、
図1では、内胴11の内部の洗濯物の記載を省略している。
熱風による乾燥が所定時間行われた後、次に述べる冷却工程へ移行する。
【0021】
(3)冷却工程
冷却工程は、内胴11の内部に外気を導入して洗濯物を冷却する工程である。冷却工程では、内胴11を回転させつつ不図示のファンで内胴11の内部の空気を吸引することで、冷風取入口10aおよび投入開口14bから外気を内胴11の内部に導入する。
すなわち、コントローラ70は、
図4に示すように、前側開閉扉12を上方に移動させて冷風取入口10aを開放し、投入開口開閉扉15を開放位置に移動するように各流体圧シリンダ72,74を制御する。これにより、
図4に示すように、前側開閉扉12が上方に移動して冷風取入口10aを開放し、投入開口開閉扉15が開放位置に移動する。上述したように不図示のファンが内胴11の内部の空気を吸引しているので、冷風取入口10aおよび投入開口14bが開放されると、冷風取入口10aおよび投入開口14bから外気が内胴11の内部に流れ込む。したがって、内胴11内で撹拌されている洗濯物が冷却される。なお、
図4では、内胴11の内部の洗濯物の記載を省略している。
冷風取入口10aには網13が取り付けられているので、洗濯物は、冷風取入口10aから飛び出すことはない。投入開口開閉扉15が開放位置では斜め後上方に向かって傾斜しているので、洗濯物は、投入開口14bを介して乾燥機1の外部に飛び出すことはない。なお、冷却工程における前側開閉扉12および投入開口開閉扉15の開度は、全開であってもよく、適宜絞られていてもよい。また、冷却工程において、前側開閉扉12および投入開口開閉扉15のいずれか一方が閉鎖位置にあってもよい。
洗濯物を所定時間冷却した後、次に述べる排出工程へ移行する。
【0022】
(4)排出工程
排出工程は、内胴11の洗濯物を乾燥機1の外部に排出する工程である。排出工程では、コントローラ70は、
図5に示すように、筐体10を後側に傾けるとともに、後側開閉扉14を開いて投入排出口10bを開放するように、各流体圧シリンダ71,73を制御する。これにより、
図5に示すように、ヒンジ17を支点として筐体10が後側に傾き、後側開閉扉14が開かれて投入排出口10bが開放される。したがって、内胴11内の洗濯物は、投入排出口10bを介して排出コンベア3のコンベアベルト上に排出される。排出コンベア3のコンベアベルト上に排出された洗濯物は、排出コンベア3によって搬送される。なお、
図5では、乾燥後の洗濯物の記載を省略している。
また、排出工程では、コントローラ70は、前側開閉扉12を下方に移動させて冷風取入口10aを閉鎖し、投入開口開閉扉15を閉鎖位置に移動するように各流体圧シリンダ72,74を制御する。これにより、前側開閉扉12が下方に移動して冷風取入口10aを閉鎖し、投入開口開閉扉15が閉鎖位置に移動して投入開口14bを閉鎖する。なお、冷風取入口10aおよび投入開口14bの少なくとも一方が開放されたままであってもよい。
排出工程が終了すると、上述した投入工程へ戻り、ケーキ4の投入待機の状態となる。
【0023】
上述したように、排出工程ではヒンジ17を支点として筐体10が後側、すなわち
図5における右側に傾き、後側開閉扉14が後方に向かって開く。そのため、筐体10や後側開閉扉14、
図5では不図示の流体圧シリンダ73,74等の扉の開閉機構と干渉しないように、搬送コンベア2は、乾燥機1から所定の距離だけ後方に離れている。よって、搬送コンベア2の下流側の端部、すなわち、ケーキ4の搬送方向A1における搬送コンベア2の下流側端部と、乾燥機1の投入開口14bとが離れてしまう。
なお、上述したように搬送コンベア2は、
図1,5における紙面と垂直な方向に移動可能に構成されているため、排出工程に移行した乾燥機1の後方から
図1,5における紙面と垂直な方向に離れることも可能である。しかし、複数台の乾燥機1の工程の進捗に関わらず、搬送コンベア2を
図1,5における紙面と垂直な方向に移動させるためには、上述したように、搬送コンベア2を乾燥機1から所定の距離だけ後方に離す必要がある。
【0024】
そこで、本実施の形態では、
図2に示すように、投入開口開閉扉15が開放位置に移動すると、投入開口14bを開放するとともに、投入開口開閉扉15が投入開口14bと搬送コンベア2の下流側の端部との間でケーキ4を案内するシュートとして機能するように各部を構成した。開放位置における投入開口開閉扉15の上端の、乾燥機1の背面からの突出量は、上述したように、乾燥機1の背面と搬送コンベア2との間隔に対応している。そのため、乾燥機1との干渉を防ぐように、搬送コンベア2を乾燥機1から離して設置しても、搬送コンベア2と乾燥機1との間でケーキ4が脱落することを防止できる。これにより、従来の乾燥機では前側、すなわち
図1における左側に配置されていた搬送コンベア2を、乾燥機1の後側、より具体的には、乾燥機1の後側に配置された排出コンベア3の上方に配置できる。換言すると、従来の乾燥機では乾燥機を挟んで前後に分かれて配置していた搬送コンベア2と排出コンベア3とを、ともに乾燥機1の後側に配置できる。これにより、乾燥システムの設置に要する面積を削減できる。
【0025】
すなわち、上述した実施の形態では、次の作用効果を奏する。
(1)乾燥機1は、内部に内胴11を有する筐体10と、筐体10の背面に設けられ、乾燥された洗濯物を内胴11から外部に排出する後側開閉扉14と、筐体10の背面に設けられ、洗濯物を内胴11内に投入する投入開口開閉扉15と、を備える。投入開口開閉扉15は、少なくとも洗濯物の投入の際には筐体10の背面から突出している。これにより、乾燥機1の背面から離れた位置に搬送コンベア2を配置しても、筐体10の背面から突出した投入開口開閉扉15がケーキ4を内胴11の内部に案内できる。したがって、乾燥機1の背面で洗濯物を出し入れできるので、搬送コンベア2と排出コンベア3とを、ともに乾燥機1の後側に配置できる。よって、乾燥システムの設置に要する面積を削減できる。
【0026】
(2)後側開閉扉14は、投入開口14bを有し、投入開口開閉扉15は、後側開閉扉14に取り付けられ、洗濯物は、投入開口開閉扉15から投入開口14bを通って、内胴11内に投入される。これにより、乾燥機1の設計変更が少なくて済み、コスト増を抑制できる。
【0027】
(3)投入開口開閉扉15は、投入開口14bを覆う閉鎖位置と洗濯物を内胴11内に投入するシュート位置との間を回動可能に、後側開閉扉14に支持される。投入開口開閉扉15は、内胴11による洗濯物の乾燥処理時は、閉鎖位置に位置し、洗濯物を内胴11内に投入する時には、シュート位置に位置する。これにより、投入開口14bを開閉する扉の機能と、ケーキ4を案内するシュートの機能とを投入開口開閉扉15に持たせることができるので、乾燥機1の構成部品を削減でき、コストダウンできる。
【0028】
(4)乾燥機1は、投入開口14bを閉止可能な投入開口開閉扉15と、投入開口開閉扉15の開閉を制御するコントローラ70を備える。コントローラ70は、乾燥機1の運転中に洗濯物を冷却する冷却工程において、投入開口開閉扉15を開く。これにより、冷却工程において洗濯物を迅速に冷却でき、冷却工程を短縮できる。したがって、乾燥機1の処理能力を向上できる。
【0029】
(5)乾燥システムは、乾燥機1と、洗濯物を投入開口開閉扉15に搬送する搬送コンベア2と、後側開閉扉14から排出された洗濯物を搬送する排出コンベア3とを備える。後側開閉扉14は、上端部を回転中心として、筐体10に設けられた投入排出口10bを閉鎖する閉鎖位置と、外部に突出して投入排出口10bを開放する開放位置との間を回動可能である。搬送コンベア2は、搬送コンベア2が開放位置の後側開閉扉14と干渉しないように筐体10に対して、所定の間隔を隔てて配置されている。投入開口開閉扉15は、少なくとも洗濯物の投入の際に筐体10の背面から突出している突出量が前記所定の間隔に対応している。
これにより、乾燥機1の背面から離れた位置に搬送コンベア2を配置しても、筐体10の背面から突出した投入開口開閉扉15がケーキ4を内胴11の内部に案内できる。したがって、乾燥機1の背面で洗濯物を出し入れできるので、搬送コンベア2と排出コンベア3とを、ともに乾燥機1の後側に配置できる。よって、乾燥システムの設置に要する面積を削減できる。
【0030】
(6)乾燥システムは、乾燥された洗濯物を内胴11から外部に排出する際に、筐体10を搬送コンベア2の方に傾斜させる流体圧シリンダ71を備える。投入開口開閉扉15は、少なくとも洗濯物の投入の際に筐体10の背面から突出している突出量と筐体10の傾斜量とが上述した所定の間隔に対応している。
これにより、乾燥機1の背面から離れた位置に搬送コンベア2を配置しても、筐体10の背面から突出した投入開口開閉扉15がケーキ4を内胴11の内部に案内できる。したがって、乾燥機1の背面で洗濯物を出し入れできるので、搬送コンベア2と排出コンベア3とを、ともに乾燥機1の後側に配置できる。よって、乾燥システムの設置に要する面積を削減できる。
【0031】
次のような変形も本発明の範囲内であり、以下の変形例を上述の実施形態と適宜組み合わせることも可能である。
(変形例1)
上述した実施の形態では、開放位置に移動した投入開口開閉扉15の
図1における紙面の奥行き方向の両側端と後側開閉扉14の背面との間には、特に部材が設けられていない。そのため、投入開口開閉扉15は、内胴11の内部に投入されるケーキ4を下方から案内するが、側方からは案内していない。
本変形例では、
図6,7に示すように、投入開口開閉扉15の両側端に対応する位置であって、後側開閉扉14の背面に、たとえば三角形状の一対の側板14c,14cを取り付けている。なお、説明の便宜上、
図6では、投入開口開閉扉15を二点鎖線で描いている。
図7は、本変形例の後側開閉扉14を斜め後方から見た模式的な斜視図であり、投入開口開閉扉15の記載を省略している。なお、
図7では、後側開閉扉14および一対の側板14c,14cの厚さを誇張して描いている。
本変形例では、投入開口開閉扉15は、内胴11の内部に投入されるケーキ4を下方から案内し、一対の側板14c,14cは、内胴11の内部に投入されるケーキ4を側方から案内する。
これにより、ケーキ4から脱落した一部の洗濯物などが、開放位置に移動した投入開口開閉扉15の両側端と後側開閉扉14の背面との間から脱落することを防止できる。
【0032】
(変形例2)
上述した実施の形態では、投入開口開閉扉15が開放位置に移動してケーキ4の投入用傾斜面を形成した。これに対し、本変形例では、
図8,9に示すように、後側開閉扉14の背面にあらかじめ固定されたシュート20を設ける。シュート20は、ケーキ4の投入用傾斜面を形成する傾斜板20bと、傾斜板20bの両側端に設けられた一対の側板20c,20cとを有する。一対の側板20c,20cは、傾斜板20bの両側端と接続されている。傾斜板20bの下端および一対の側板20c,20cの前端は、後側開閉扉14の背面に取り付けられている。傾斜板20bの上端と一対の側板20c,20cの上端とによって開口20aが形成されている。
【0033】
シュート20には、開口20aを開閉する扉21が設けられている(
図8)。扉21は、不図示のアクチュエータによって、たとえば
図8の矢印B1で示すように、前後方向に駆動されて、開口20aを閉鎖および開放する。
図9は、本変形例のシュート20を斜め後方から見た模式的な斜視図であり、扉21の記載を省略している。なお、
図9では、シュート20の肉厚を誇張して描いている。
ケーキ4は、シュート20の上端の開口20aから投入されて、投入開口14bおよび投入排出口10bを通って内胴11の内部に到達する。
【0034】
扉21は、上述した投入開口開閉扉15と同様に、投入工程および冷却工程で開口20aを開放し、乾燥工程および排出工程で開口20aを閉鎖する。
このように、投入開口開閉扉15に代えてシュート20および扉21を設けることによっても、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏する。
なお、扉21は、
図8における紙面と垂直な方向に駆動されて開口20aを閉鎖および開放してもよい。また、扉21は、回転式の扉であってもよい。扉21は、開口20aを閉鎖および開放する構造であれば、上述した各種の構造に限定されない。
また、扉21に代えて、たとえば、前側開閉扉12のように、後側開閉扉14の背面に沿って上下方向に移動して投入開口14bを閉鎖および開放する扉を設けてもよい。
なお、一対の側板20c,20cの前端が後側開閉扉14の背面に取り付けられ、傾斜板20bの下端が後側開閉扉14の背面から離間していてもよい。この場合、傾斜版20bは、一対の側板20c,20cを介して後側開閉扉14に取り付けられていてもよく、他の取付部材を介して後側開閉扉14に取り付けられていてもよい。
【0035】
(変形例3)
上述した実施の形態では、投入排出口10bを後側開閉扉14で閉鎖および開放するように構成している。そして、後側開閉扉14に投入開口14bを形成し、投入開口14bを投入開口開閉扉15で閉鎖および開放している。本変形例では、
図10に示すように、筐体10の投入排出口10bを2分割構造の扉30で閉鎖および開放する。
本変形例の扉30は、上側の上扉31と、下側の下扉32とを有する。上扉31は、一部が筐体10に固定されたヒンジ33によって、下端が回転可能に支持されている。上扉31は、不図示のアクチュエータによって、実線で示した閉鎖位置と、二点鎖線で示した開放位置との間を矢印C1で示すように開閉駆動される。上扉31は、開放位置において投入排出口10bの上部を開放すると同時にケーキ4の投入用傾斜面を形成する。すなわち、開放位置における上扉31は、搬送コンベア2から排出されるケーキ4を、投入排出口10bを通って内胴11の内部に投入するシュートとして機能する。
上扉31は、上述した投入開口開閉扉15と同様に、投入工程および冷却工程では開かれ、乾燥工程および排出工程では閉じられる。
【0036】
下扉32は、上端がヒンジ33によって回転可能に支持されている。下扉32は、不図示のアクチュエータによって、実線で示した閉鎖位置と、二点鎖線で示した開放位置との間を矢印D1で示すように開閉駆動される。下扉32は、排出工程において開放位置に移動して、投入排出口10bの下部を開放する。これにより、内胴11内の洗濯物は、投入排出口10bの下部を介して排出コンベア3のコンベアベルト上に排出される。なお、
図10では図示していないが、排出工程においては、筐体10はヒンジ17を支点として後側に傾く。
すなわち、下扉32は、上述した後側開閉扉14と同様に、排出工程では開かれ、その他の工程では閉じられる。
このように、後側開閉扉14および投入開口開閉扉15に代えて2分割構造の扉30を設けることによっても、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏する。
なお、投入排出口10bが上下2箇所に分かれて設けられ、上部の開口である投入口を上扉31で閉鎖および開放するように構成し、下部の開口である排出口を下扉32で閉鎖および開放するように構成してもよい。この場合、上部の開口からケーキ4が投入され、下側の開口から内胴11内の洗濯物が排出コンベア3のコンベアベルト上に排出される。
【0037】
(変形例4)
上述した実施の形態では、投入排出口10bを後側開閉扉14で閉鎖および開放するように構成している。そして、後側開閉扉14に投入開口14bを形成し、投入開口14bを投入開口開閉扉15で閉鎖および開放している。本変形例では、
図11に示すように、上端を回動中心として開閉可能であるとともに、下端を回動中心として開閉可能である扉40によって筐体10の投入排出口10bを閉鎖および開放する。
本変形例の扉40は、筐体10の投入排出口10bの全体を覆う形状を呈する。扉40の下端は、下側保持機構41によって筐体10の背面に取り付けられ、扉40の上端は、上側保持機構42によって筐体10の背面に取り付けられている。
【0038】
下側保持機構41は、扉40が、実線で示した閉鎖位置と、二点鎖線で示した第1開放位置との間を矢印E1で示すように回動できるように、扉40の下端を回動可能に保持する。なお、下側保持機構41は、次に述べるように扉40が上端を中心として矢印F1に示すように回動される場合には、扉40の下端を解放する。
【0039】
上側保持機構42は、扉40が、実線で示した閉鎖位置と、破線で示した第2開放位置との間を矢印F1で示すように回動できるように、扉40の上端を回動可能に保持する。なお、上側保持機構42は、上述したように扉40が下端を中心として矢印E1に示すように回動される場合には、扉40の上端を解放する。
なお、下側保持機構41は、扉40の上端が上側保持機構42から解放されている場合には、扉40の下端を解放せず、扉40の下端を回動可能に保持する。同様に、上側保持機構42は、扉40の下端が下側保持機構41から解放されている場合には、扉40の上端を解放せず、扉40の上端を回動可能に保持する。
扉40は、不図示のアクチュエータによって、実線で示した閉鎖位置と、二点鎖線で示した第1開放位置との間を、および、実線で示した閉鎖位置と、破線で示した第2開放位置との間を開閉駆動される。
【0040】
このように構成された本変形例の乾燥機1では、扉40は、二点鎖線で示した第1開放位置において投入排出口10bの上部を開放すると同時にケーキ4の投入用傾斜面を形成する。すなわち、二点鎖線で示した第1開放位置における扉40は、搬送コンベア2から排出されるケーキ4を、投入排出口10bを通って内胴11の内部に投入するシュートとして機能する。
扉40は、投入工程および冷却工程では下側保持機構41によって扉40の下端が回動可能に保持された状態で開かれ、乾燥工程および排出工程では閉じられる。
【0041】
扉40は、排出工程において破線で示した第2開放位置に移動して、投入排出口10bの下部を開放する。これにより、内胴11内の洗濯物は、投入排出口10bの下部を介して排出コンベア3のコンベアベルト上に排出される。なお、
図11では図示していないが、排出工程においては、筐体10はヒンジ17を支点として後側に傾く。
扉40は、排出工程では上側保持機構42によって扉40の上端が回動可能に保持された状態で開かれ、その他の工程では閉じられる。
このように、後側開閉扉14および投入開口開閉扉15に代えて、上述した扉40を設けることによっても、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0042】
なお、上述した実施の形態および各変形例の乾燥システムにおいて、乾燥機1は複数台設置されている。しかし、乾燥機1の設置台数は1台であってもよい。この場合には、搬送コンベア2は、
図1における紙面と垂直な方向に移動可能に構成されていなくてもよい。
また、上述した実施の形態および各変形例において、内胴11の前側開口11aや筐体10の冷風取入口10a、前側開閉扉12は、乾燥機1の必須の構成ではなく、省略されていてもよい。
【0043】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。