(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
(機械式時計)
図1は、機械式時計1のムーブメントの表側の平面図である。
同図に示すように、機械式時計1は、ムーブメント10と、このムーブメント10を収納する不図示のケーシングと、により構成されている。
【0028】
ムーブメント10は、基板を構成する地板11を有している。この地板11の裏側には不図示の文字板が配置されている。なお、ムーブメント10の表側に組み込まれる輪列を表輪列と称し、ムーブメント10の裏側に組み込まれる輪列を裏輪列と称する。
地板11には、巻真案内穴11aが形成されており、ここに巻真12が回転自在に組み込まれている。この巻真12は、おしどり13、かんぬき14、かんぬきばね15および裏押さえ16を有する切換装置により、軸方向の位置が決められている。また、巻真12の案内軸部には、きち車17が回転自在に設けられている。
【0029】
このような構成のもと、巻真12が、回転軸方向に沿ってムーブメント10の内側に一番近い方の第1の巻真位置(0段目)にある状態で巻真12を回転させると、不図示のつづみ車の回転を介してきち車17が回転する。そして、このきち車17が回転することにより、これと噛合う丸穴車20が回転する。そして、この丸穴車20が回転することにより、これと噛合う角穴車21が回転する。さらに、この角穴車21が回転することにより、香箱車22に収容された不図示の主ぜんまいを巻き上げる。
【0030】
ムーブメント10の表輪列は、上述した香箱車22の他に、二番車25、三番車26、四番車27、および五番車28により構成されており、香箱車22の回転力を伝達する機能を果している。また、ムーブメント10の表側には、定力装置付トゥールビヨン30が配置されている。
二番車25は、香箱車22に噛合う歯車とされている。三番車26は、二番車25に噛合う歯車とされている。四番車27は、三番車26に噛合う歯車とされている。五番車28は、四番車27に噛合う歯車とされている。そして、五番車28に、定力装置付トゥールビヨン30が噛合されている。
【0031】
(定力装置付トゥールビヨン)
図2は、定力装置付トゥールビヨン30の脱進調速機構100の図示を省略した斜視図である。
図3は、定力装置付トゥールビヨン30の脱進調速機構100の図示を省略した側面図である。
図1〜
図3に示すように、定力装置付トゥールビヨン30は、表輪列の回転を制御するための脱進調速機構100(
図1参照)や、この脱進調速機構100に伝達される回転トルクの変動を抑制するための定力装置3を備えている。また、定力装置付トゥールビヨン30は、地板11および、この地板11に対して対向配置された不図示のキャリッジ受(輪列受)に回転自在に支持された外キャリッジ33と、この外キャリッジ33の内側に、外キャリッジ33に対して回転自在に支持された内キャリッジ34と、を備えている。
【0032】
(外キャリッジ)
図4は、外キャリッジ33をキャリッジ受側からみた斜視図である。
図3、
図4に示すように、外キャリッジ33は、地板11側に配置された略円板状の第1外キャリッジ軸受部35と、キャリッジ受側に配置された略円板状の第2外キャリッジ軸受部36と、を有している。
【0033】
第1外キャリッジ軸受部35は、地板11側の外面35aがこの地板11に回転自在に支持される一方、地板11とは反対側の内面35bが内キャリッジ34を回転自在に支持する。また、第2外キャリッジ軸受部36は、キャリッジ受側の外面36aがこのキャリッジ受に回転自在に支持される一方、キャリッジ受とは反対側の内面36bが内キャリッジ34を回転自在に支持する。
なお、以下の説明では、外キャリッジ33の回転軸方向を単に軸方向、外キャリッジ33の回転方向を周方向、これら軸方向と周方向とに直交する方向を径方向と称して説明する。
【0034】
第1外キャリッジ軸受部35よりも径方向外側には、リング状の外歯歯車部41が設けられている。この外歯歯車部41が、五番車28に噛合されている。また、外歯歯車部41と第1外キャリッジ軸受部35は、互いに3つの第1アーム部42により連結されている。3つの第1アーム部42は径方向に沿って延び、周方向に等間隔に配置されている。
一方、第2外キャリッジ軸受部36の外周部には、径方向外側に向かって延出する3つの第2アーム部43が一体成形されている。これら第2アーム部43は、第1外キャリッジ軸受部35側の第1アーム部42に対応するように、周方向に等間隔に配置されている。
【0035】
第1アーム部42と外歯歯車部41との接続部、および第2アーム部43の先端には、それぞれ略円板状のシャフト取付座44,45が一体成形されている。そして、これらシャフト取付座44,45の間に、軸方向に沿って延びるシャフト46がそれぞれ設けられている。シャフト46の両端は、シャフト取付座44,45の上から螺入されるねじ47によって、シャフト取付座44,45に締結固定されている。
【0036】
また、第1外キャリッジ軸受部35と外歯歯車部41との間には、第1外キャリッジ軸受部35の周囲を取り囲むようにリング状に形成された支持バー48が設けられている。支持バー48は、第1アーム部42と連結するように一体成形されている。支持バー48には、ストップ車軸受ユニット50、およびこのストップ車軸受ユニット50に回転自在に支持されるストップ車70が設けられている。ここで、ストップ車軸受ユニット50およびストップ車70は定力装置3を構成するものである。定力装置3の詳細については、後述する。
【0037】
(内キャリッジ)
図5は、内キャリッジ34を地板11側からみた斜視図である。
図3、
図5に示すように、内キャリッジ34は、地板11側に配置された略円板状の第1内キャリッジ軸受部81と、キャリッジ受側に配置された略円板状の第2内キャリッジ軸受部82と、を有している。これら第1内キャリッジ軸受部81および第2内キャリッジ軸受部82は、外キャリッジ33の第1外キャリッジ軸受部35および第2外キャリッジ軸受部36と同軸上に配置されている。
【0038】
そして、第1内キャリッジ軸受部81が、定力装置3の一部を介して第1外キャリッジ軸受部35の内面35b側に回転自在に支持されている。また、第2内キャリッジ軸受部82が、第2外キャリッジ軸受部36の内面36b側に回転自在に支持されている。
このように回転自在に支持された第1内キャリッジ軸受部81と第2内キャリッジ軸受部82との間に、脱進調速機構100(
図1参照)が設けられている。
【0039】
図1に示すように、脱進調速機構100は、内キャリッジ34の回転力を受けて回転するがんぎ車101や、がんぎ車101の回転力を受けて自由振動するてんぷ102を備えている。がんぎ車101は、てんぷ102の自由振動の影響を受けて常に一定周期で脱進運動を行う。
【0040】
図3、
図5に戻り、第1内キャリッジ軸受部81の外周部には、径方向外側に向かって延出する3つの第1アーム部88が一体成形されている。また、第2内キャリッジ軸受部82の外周部には、径方向外側に向かって延出する3つの第2アーム部89が一体成形されている。これら第1アーム部88および第2アーム部89は、それぞれ周方向に等間隔に配置されており、さらに、軸方向で対向するように配置されている。
【0041】
各アーム部88,89の先端には、それぞれ略円板状のシャフト取付座91,92が一体成形されている。そして、これらシャフト取付座91,92の間に、軸方向に沿って延びるシャフト93がそれぞれ設けられている。シャフト93の両端は、シャフト取付座91,92の上から螺入されるねじ94によって、シャフト取付座91,92に締結固定されている。なお、各アーム部88,89の長さは、てんぷ102にシャフト93が干渉しない長さに設定されている。
【0042】
さらに、第1内キャリッジ軸受部81の径方向外側には、この第1内キャリッジ軸受部81の周囲を取り囲むようにリング状に形成された支持バー95が設けられている。支持バー95は、第1アーム部88と連結するように一体成形されている。支持バー95には、定力装置3を構成するストッパ96が設けられている。
ストッパ96は、ストップ車70の後述の鉤部76に対して係合、解除するものである。ストッパ96は、支持バー95に固定された支持部99と、支持部99に保持され、この支持部99から周方向に沿って突出するように設けられたつめ部98と、を備えている。
【0043】
(定力装置)
図3〜
図5に示すように、定力装置3は、外キャリッジ33に設けられたストップ車軸受ユニット50およびストップ車70と、内キャリッジ34に設けられたストッパ96の他に、外キャリッジ33の第1外キャリッジ軸受部35と内キャリッジ34の第1内キャリッジ軸受部81との間に設けられた定力ばね68を備えている。
【0044】
図3、
図4に詳示するように、ストップ車軸受ユニット50は、外キャリッジ33における支持バー48の地板11側に取り付けられている第1ストップ車軸受部52と、支持バー48のキャリッジ受側に取り付けられている第2ストップ車軸受部53と、を備えている。第1ストップ車軸受部52は、不図示のねじによって支持バー48に締結固定されている。また、第2ストップ車軸受部53は、ねじ64によって支持バー48に締結固定されている。支持バー48と第2ストップ車軸受部53との間には、隙間S1が形成されている。
【0045】
(第1実施形態)
(ストップ車)
図6は、ストップ車70の斜視図である。
図3、
図4、
図6に示すように、第1ストップ車軸受部52と第2ストップ車軸受部53とにより、ストップ車70が回転自在に支持されている。ストップ車70は、ストップ車軸体71と、ストップ車軸体71に外嵌固定されているストップ歯車72と、により構成されている。そして、ストップ歯車72が、支持バー48と第2ストップ車軸受部53との間の隙間S1に介在されている。
【0046】
ストップ車軸体71の両端には、それぞれほぞ部71a,71bが一体成形されている。地板側のほぞ部71aは、第1ストップ車軸受部52の不図示の穴石に回転自在に支持されている。一方、キャリッジ受側のほぞ部71bは、第2ストップ車軸受部53の穴石62(
図4参照)に回転自在に支持されている。
また、ストップ車軸体71には、軸方向略中央から地板側のほぞ部71aの手前に至る間に、ストップかな部71cが一体成形されている。このストップかな部71cは、地板11に設けられている固定車31(
図7参照)に噛合されている。
【0047】
図7は、ストップ歯車72の平面図である。
同図に示すように、ストップ歯車72は、例えば金属材料や単結晶シリコン等の結晶方位を有する材料等により形成された部材であって、電鋳加工や、フォトリソグラフィ技術のような光学的な手法を取り入れたLIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)プロセス、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)、MIM(Metal Injection Molding)等により形成されている。
【0048】
ストップ歯車72は、ストップ車軸体71に外嵌固定される中央のハブ部73と、ハブ部73の径方向外側に配置され、ハブ部73の周囲を取り囲むようにリング状に形成されたリム部74と、これらハブ部73とリム部74と、を連結するスポーク部75とが一体成形されたものである。
なお、ストップ車軸体71へのハブ部73の外嵌固定方法としては、ストップ車軸体71にハブ部73を圧入したり、ストップ車軸体71にハブ部73を挿入し、接着固定したりする方法がある。ストップ車軸体71にハブ部73が外嵌固定されることにより、ストップ車軸体71とストップ歯車72とが相対回転不能に一体化される。
【0049】
リム部74の外周部には、複数(本第1実施形態では5つ)の鉤部76が径方向外側に向かって突出形成されている。より具体的には、鉤部76は、全体として軸方向平面視で略三角形状に形成されている。鉤部76は、鉤部本体77と鉤部本体77とは所定の間隔K1をあけてストップ歯車72の回転方向(
図7における時計回り方向)Y1に位置する補鉤部78と、により構成されている。
【0050】
鉤部本体77は、周方向の幅が幅広で略台形状に形成されており、回転方向Y1の前側でほぼストップ歯車72の径方向(固定車31の周方向)に沿って延在する前側面77aと、前側面77aの先端に形成された先側面77bと、を有している。先側面77bは、ストップ歯車72の回転方向前方から後方に向かうに従って徐々に径方向外側に向かうように斜めに形成されている。
【0051】
一方、補鉤部78は、リム部74から鉤部本体77の前側面77aに沿って突出する脚部78aと、脚部78aの先端に一体成形された係合部78bと、により構成されている。脚部78aは、鉤部本体77と比較して周方向の幅が極端に狭い。このため、脚部78aの剛性は、弾性変形可能な程度の剛性になっている。このような脚部78aと鉤部本体77の前側面77aとの間に所定の間隔K1が形成されている。
【0052】
脚部78aの先端に形成された係合部78bは、内キャリッジ34に設けられたストッパ96のつめ部98が係合、解除される箇所である。係合部78bは略三角形状に形成されており、脚部78aと比較して剛性が高い。このため、弾性変形することが殆どない。また、係合部78bと鉤部本体77の先側面77bとの間にも所定の間隔K1が形成されている。
なお、このように構成された鉤部76の作用についての詳細は後述する。
【0053】
図4、
図5に戻り、外キャリッジ33の支持バー48には、ひげ持受66が設けられている。このひげ持受66にひげ持67が挿入され、不図示のねじによって固定されている。このようなひげ持67に、定力ばね68の外端部68aが固定されている。
定力ばね68は、外キャリッジ33に対して内キャリッジ34に回転力を付与するためのものであって、渦巻状に形成されている。定力ばね68の内端部68bは、ひげ玉69を介して内キャリッジ34に固定されている。
【0054】
(定力装置付トゥールビヨンの動作)
次に、定力装置付トゥールビヨン30の動作について説明する。
外キャリッジ33は、外歯歯車部41が五番車28(
図1参照)に噛合されているので、香箱車22の回転力が表輪列を介して外キャリッジ33に伝達される。また、ストップ車70は、ストップかな部71cが地板11に設けられている固定車31に噛合されている。このため、外キャリッジ33が回転すると、ストップ車70のストップ歯車72が、ストップかな部71cの軸心回りに自転しつつ、外キャリッジ33の回転軸回りに公転する。
【0055】
一方、内キャリッジ34は、外キャリッジ33に対して回転自在に支持されていると共に、定力ばね68を介して外キャリッジ33に連結されている。このため、外キャリッジ33に対し、内キャリッジ34が定力ばね68の付勢力を受けて回転する。
また、内キャリッジ34の回転力を受けて脱進調速機構100が駆動する。具体的には、内キャリッジ34の回転力を受け、がんぎ車101が固定車31の周りを公転しつつ自転する。そして、がんぎ車101の回転力を受け、不図示のアンクルを介しててんぷ102が自由振動する。がんぎ車101は、てんぷ102の自由振動の影響を受けて常に一定周期で脱進運動を行う。なお、内キャリッジ34は、例えば1分間で1回転するように構成されている。
【0056】
さらに、内キャリッジ34が回転することにより、ストップ歯車72の鉤部76(係合部78b)とストッパ96のつめ部98が、係合、解除を繰り返す。
具体的には、ストップ歯車72の鉤部76とストッパ96のつめ部98とが係合されている状態では、外キャリッジ33が回転することなく、内キャリッジ34のみが回転し続ける。このとき、ストッパ96は内キャリッジ34と一体となって回転するので、鉤部76からつめ部98が解除される方向に移動する。
【0057】
そして、鉤部76とつめ部98との係合状態が解除されると、外キャリッジ33が回転し、これに伴ってストップ歯車72がストップかな部71cの軸心回りに自転しつつ、外キャリッジ33の回転軸回りに公転する。すると、再び鉤部76とつめ部98とが係合され、外キャリッジ33が停止する。このとき、外キャリッジ33が回転した分、定力ばね68が巻き上げられ、定力ばね68の付勢力によって内キャリッジ34が引き続き回転する。これを繰り返すことにより、内キャリッジ34が一定速度で回転し続けると共に、脱進調速機構100が一定周期で脱進運動を行い続ける。
【0058】
(ストップ歯車の鉤部の作用)
ここで、
図8(a)、
図8(b)に基づいて、ストップ歯車72の鉤部76の作用について詳述する。
図8は、ストップ歯車72の鉤部76の作用説明図であって、(a)、(b)はそれぞれ鉤部76の挙動を示している。
図8(a)に示すように、ストップ歯車72が回転していくと(
図8における矢印Y1参照)、まず、ストッパ96のつめ部98に補鉤部78の係合部78bが当接する。このとき、鉤部本体77と補鉤部78との間には所定の間隔K1が形成されている。補鉤部78の脚部78aは弾性を有しているので、ストップ歯車72が脚部78aの弾性力に抗してさらに回転しようとする。
【0059】
そして、
図8(b)に示すように、脚部78aが弾性変形し、鉤部本体77に補鉤部78が当接する。鉤部本体77は剛性が高く弾性変形することがないので、鉤部本体77に補鉤部78が当接した時点でストップ歯車72が完全に停止する。すなわち、鉤部76とつめ部98とが完全に係合される。
【0060】
ここで、ストップ歯車72が回転し、ストッパ96のつめ部98に補鉤部78の係合部78bが当接してから(
図8(a)参照)、鉤部76とつめ部98とが完全に係合される(
図8(b)参照)間(以下、係合区間という)は、補鉤部78の脚部78aの弾性力に抗してストップ歯車72が回転することになる。このため、係合区間のストップ歯車72の回転速度は、係合区間よりも前のストップ歯車72の回転速度と比較して減速される。すなわち、係合区間は、ストップ歯車72の減速区間といえる。
【0061】
また、ストップ歯車72は、鉤部本体77に補鉤部78が当接した時点でストップ歯車72が完全に停止する(
図8(b)参照)ことから、鉤部本体77、および補鉤部78は、鉤部本体77に補鉤部78が当接した状態がストップ歯車72の所定の停止位置となるように形成されている。
すなわち、鉤部本体77は、ストップ歯車72を所定位置に停止させる位置決め機能を有している。一方、補鉤部78は、ストップ歯車72が所定位置に停止する前(直前)に、このストップ歯車72の回転速度を減速させる減速機能を有している。
なお、補鉤部78は、この補鉤部78とつめ部98との係合状態が解除されると、脚部78aの弾性力により、元の位置に復元される。
【0062】
このように、上述の第1実施形態では、ストップ歯車72の鉤部76を、鉤部本体77と補鉤部78とにより構成している。このため、ストップ歯車72がストッパ96のつめ部98と係合することにより、所定位置に停止する前に、ストップ歯車72の回転速度を減速できる。よって、鉤部76とつめ部98との衝撃が緩和され、鉤部76やつめ部98の損傷を防止できる。
【0063】
ここで、補鉤部78の材質がストップ歯車72の材質と同様であることも重要である。これにより、つめ部98と補鉤部78とが係合された後、つめ部98上を補鉤部78が滑らかに移動するので、つめ部98と補鉤部78との係合解除もスムーズに行うことができる。
【0064】
例えば、鉤部76の前側面にゴムやスポンジ等の緩衝材を設けた場合を考える。このような場合であっても、鉤部76とつめ部98との衝撃を緩和することができるが、鉤部76とつめ部98との摺動抵抗が増加してしまう。このため、つめ部98と補鉤部78との係合解除をスムーズに行うことができない。また、ゴムやスポンジ等の緩衝材では、摩耗する可能性があるため、ストップ歯車72の製品寿命も短くなってしまう可能性がある。
【0065】
これに対し、補鉤部78は、つめ部98との摺動抵抗が大きくなったり、摩耗したりすることなく、ストップ歯車72が所定位置に停止する前に、このストップ歯車72の回転速度を減速させる減速機能として作用している。このため、本第1実施形態によれば、簡素な構造で鉤部76やつめ部98の損傷を防止できるだけでなく、定力装置付トゥールビヨン30の動作をスムーズに行うことが可能になる。
なお、補鉤部78の材質は、ストップ歯車72の材質と同様でなくてもよく、弾性変形可能で、摩耗しにくく、且つ摺動抵抗の小さい材質であればよい。
【0066】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を、
図9〜
図11に基づいて説明する。
【0067】
(ストップ車)
図9は、ストップ車270を軸方向からみた平面図、
図10は、ストップ車270の概略断面図である。なお、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する。
図9、
図10に示すように、前述の第1実施形態と第2実施形態との相違点は、第1実施形態のストップ車70と第2実施形態のストップ車270との構成が異なる点にある。
【0068】
より具体的には、上述の第1実施形態では、ストップ車70のストップ歯車72を構成している鉤部76は、鉤部本体77と補鉤部78とに分割構成されているが、第2実施形態におけるストップ車270のストップ歯車272を構成している鉤部276は、分割構成されていない。
つまり、鉤部276は、軸方向平面視で略三角形状に形成されており、中央の大部分に略三角形状の開口部276aが形成されている。また、鉤部276は、その頂点P1がストップ歯車272の回転方向(
図9における時計回り方向)Y1に向かうように形成されており、回転方向Y1の前側の前側面276bが回転方向Y1の後側の後側面276cよりも短く設定されている。
【0069】
また、ストップ車軸体71には、ストップ歯車272と軸方向で隣り合うように減速部200が外嵌固定されている。減速部200は、ストップ歯車272が所定位置に停止する前に、このストップ歯車272の回転速度を減速させるためのものである。減速部200は、ストップ歯車272と同様の材質により形成されている。なお、減速部200の材質は、ストップ歯車272の材質と同様でなくてもよく、弾性変形可能で、摩耗しにくく、且つ摺動抵抗の小さい材質であればよい。
また、減速部200は、ストップ車軸体71に外嵌固定される円板状の固定部201と、固定部201の外周面から接線方向に沿って延出する複数のアーム部202と、が一体成形されたものである。
【0070】
固定部201の径方向中央には、ストップ車軸体71を挿入、または圧入可能な貫通孔201aが形成されている。貫通孔201aにストップ車軸体71を挿入する場合、ストップ車軸体71と固定部201は、外嵌固定される。これにより、両者71,200が相対回転不能に一体化される。
一方、アーム部202の個数は、鉤部276の個数(本第2実施形態では5つ)に応じて設定されている。アーム部202は、固定部201の外周面から延びるアーム本体202aと、アーム本体202aの先端に一体成形された係合部202bと、により構成されている。
【0071】
アーム本体202aは、固定部201からストップ歯車272の鉤部276の頂点P1に至る間に延出形成されている。また、アーム本体202aは細長く形成されており、その剛性は弾性変形可能な程度の剛性になっている。
係合部202bは、ストップ歯車272の鉤部276の形状に対応するように略三角形状に形成されている。すなわち、係合部202bは、その頂点P2がストップ歯車272の回転方向(
図9における時計回り方向)Y1に向かうように形成されている。そして、回転方向Y1の前側の前側面202cが、鉤部276の前側面276bに沿うように形成されている。一方、係合部202bの後側面202dも、鉤部276の後側面276cに沿うように形成されている。
【0072】
このような構成のもと、係合部202bは、鉤部276の前側面276bよりも回転方向Y1の前方に突出している。
ここで、ストップ歯車272の肉厚と減速部200の肉厚は、それぞれストッパ96のつめ部98の肉厚の約半分程度に設定されている。そして、ストップ歯車272および減速部200は、互いにつめ部98に係合可能なように隣接配置されている。
【0073】
(減速部の作用)
次に、
図11(a)、
図11(b)に基づいて、減速部200の作用について説明する。
図11は、減速部200の作用説明図であって、(a)、(b)はそれぞれ減速部200の挙動を示している。
図11(a)に示すように、ストップ歯車272が回転していくと(
図11における矢印Y1参照)、まず、ストッパ96のつめ部98に減速部200の係合部202b(前側面202c)が当接する。このとき、アーム本体202aは弾性を有しているので、ストップ歯車272がアーム本体202aの弾性力に抗してさらに回転しようとする。
【0074】
そして、
図11(b)に示すように、アーム本体202aが弾性変形し、つめ部98に鉤部276の前側面276bが当接する。これにより、鉤部276とつめ部98とが係合され、ストップ歯車272が所定位置で停止する。また、このとき、アーム部202の係合部202bは、つめ部98に当接したままの状態になっている。
なお、アーム部202は、鉤部276とつめ部98との係合状態が解除されると、アーム本体202aの弾性力により、元の位置に復元される。
【0075】
したがって、上述の第2実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2実施形態では、ストップ歯車272が所定位置に停止する前に、このストップ歯車272の回転速度を減速させるための手段として、ストップ歯車272とは別に減速部200を設けている。このため、ストップ歯車272を効果的に減速させ易くすることができる。さらに、定力装置3の仕様に応じて減速部200を取り外したり付け替えたりすることができるので、汎用性の高い定力装置3にすることができる。
【0076】
また、減速部200の係合部202bの形状が、ストップ歯車272の鉤部276の形状に対応するように略三角形状になっている。このため、例えば主ぜんまいが巻き解けた場合であっても、つめ部98が内キャリッジ34の回転トルクに及ぼす影響を抑制できる。
【0077】
より詳しくは、主ぜんまいが巻き解け、ストップ歯車272を所定位置に停止させる(減速部200のアーム部202を弾性変形させてつめ部98に鉤部276の前側面276bを当接させる)ことができなくなった場合を考える。
この場合、減速部200の係合部202b上につめ部98が当接した後、ストップ歯車272は、鉤部276につめ部98が当接することなく、停止することになる。このとき、減速部200の係合部202bが、ストップ歯車272の鉤部276の形状に対応するように形成されているので、係合部202b上をつめ部98が滑らかに(ストップ歯車272が所定位置まで達した時と同様に)摺動する。このため、つめ部98の摺動抵抗に起因する内キャリッジ34の回転トルクの低減を抑制できる。また、ストップ車70(ストップ歯車272)がストッパ96(つめ部98)に及ぼす力の向きを一定に保つことができる。このため、内キャリッジ34に与える回転トルクを一定に保つことができる。
【0078】
なお、上述の第2実施形態では、減速部200は、アーム本体202aが弾性変形するように構成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、アーム本体202aを弾性変形不能に構成し、アーム本体202aに代わって固定部201を弾性変形可能に構成してもよい。但し、この場合、固定部201は周方向に弾性変形可能となるように構成する必要がある。
【0079】
(第2実施形態の変形例)
また、上述の第2実施形態では、アーム本体202aが、固定部201からストップ歯車272の鉤部276の頂点P1に至る間に延出形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、
図12に示すように、アーム本体202aの先端(係合部202b)が、鉤部276よりも回転方向Y1の前方に位置するように構成してもよい。
【0080】
(減速部の作用)
この場合の減速部200の作用について、
図13(a)〜
図13(c)に基づいて説明する。
図13は、第2実施形態の変形例における減速部200の作用説明図であって、(a)〜(c)はそれぞれ減速部200の挙動を示している。
図13(a)に示すように、ストップ歯車272が回転していくと(
図13における矢印Y1参照)、まず、ストッパ96のつめ部98に減速部200の係合部202bが当接する。このとき、アーム本体202aは弾性を有しているので、ストップ歯車272がアーム本体202aの弾性力に抗してさらに回転しようとする。
【0081】
すると、
図13(b)に示すように、係合部202bが径方向内側に押し込まれるように、アーム本体202aが大きく湾曲変形する。この後、つめ部98と係合部202bとの係合が解除される(つめ部98から係合部202bが滑り落ちる)。さらに、そのままストップ歯車272が回転し、
図13(c)に示すように、つめ部98に鉤部276の前側面276bが当接する。これにより、鉤部276とつめ部98とが係合され、ストップ歯車272が所定位置で停止する。また、このとき、アーム部202は、アーム本体202aの弾性力により、元の位置に復元されている。
【0082】
このように、減速部200を、アーム本体202aの先端(係合部202b)が鉤部276よりも回転方向Y1の前方に位置するように構成した場合であっても、前述の第1実施形態と同様の効果を奏する。また、アーム本体202aの先端(係合部202b)が、鉤部276よりも回転方向Y1の前方に位置している分、ストップ歯車272の減速タイミングが前述の第1実施形態や第2実施形態と比較して早まる。このため、鉤部276とつめ部98との衝撃をより確実に緩和することができ、鉤部276やつめ部98の損傷をより確実に防止できる。
【0083】
(第3実施形態)
次に、この発明の第3実施形態を、
図14、
図15に基づいて説明する。
【0084】
(ストップ車)
図14は、ストップ車370を軸方向からみた平面図である。なお、前述の第2実施形態および第2実施形態の変形例と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する。
同図に示すように、前述の第2実施形態の変形例と第3実施形態との相違点は、第2実施形態の変形例における減速部200の係合部202bの形状と、第3実施形態における減速部300の係合部302bの形状とが異なる点にある。
より具体的には、第3実施形態における減速部300の係合部302bは半球状に形成されている。また、係合部302bは、球面がストップ歯車272側に向いている。
【0085】
(減速部の作用)
次に、
図15(a)〜
図15(c)に基づいて、減速部300の作用について説明する。
図15は、第3実施形態における減速部300の作用説明図であって、(a)〜(c)はそれぞれ減速部300の挙動を示している。
図15(a)に示すように、ストップ歯車272が回転していくと(
図15における矢印Y1参照)、まず、ストッパ96のつめ部98に減速部300の係合部302bの球面が当接する。このとき、アーム本体202aは弾性を有しているので、ストップ歯車272がアーム本体202aの弾性力に抗してさらに回転しようとする。
【0086】
すると、
図15(b)に示すように、係合部302bが軸方向でストップ歯車272とは反対側(
図15(b)における紙面手前側)に押し上げられるように、アーム本体202aが湾曲変形する。この後、つめ部98と係合部302bとの係合が解除される(つめ部98から係合部302bが滑り落ちる)。さらに、そのままストップ歯車272が回転し、
図15(c)に示すように、つめ部98に鉤部276の前側面276bが当接する。これにより、鉤部276とつめ部98とが係合され、ストップ歯車272が所定位置で停止する。また、このとき、アーム本体202aの弾性力により、係合部302bは元の位置に復元されている。
【0087】
したがって、上述の第3実施形態によれば、前述の第2実施形態における変形例と同様の効果を奏する。
【0088】
なお、上述の第3実施形態では、前述の第2実施形態の変形例と同様に、係合部302bが、鉤部276よりも回転方向Y1の前方に位置するように構成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、前述の第2実施形態のように、鉤部276の前側面276bの直前に係合部302bが位置するように構成してもよい。
【0089】
また、上述の第3実施形態では、減速部300は、アーム本体202aが弾性変形するように構成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、アーム本体202aを弾性変形不能に構成し、アーム本体202aに代わって固定部201を弾性変形可能に構成してもよい。但し、この場合、固定部201は、係合部302bが軸方向に沿って変位可能となるように構成する必要がある。
【0090】
(第4実施形態)
次に、この発明の第4実施形態を、
図16〜
図19に基づいて説明する。
【0091】
(ストップ車)
図16は、ストップ車470を軸方向からみた平面図、
図17は、ストップ車470の分解平面図、
図18は、ストップ車470の概略断面図である。なお、第2実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する(以下の第5実施形態についても同様)。
図16〜
図18に示すように、前述の第2実施形態と第4実施形態との相違点は、第4実施形態では、第2実施形態の減速部200に代わって、ばね401と減速用ストップ歯車472とが設けられている点にある。
【0092】
減速用ストップ歯車472は、ストップ歯車272と同軸上で、且つストップ歯車272と軸方向に並んで配置されている。そして、ストップ歯車272および減速用ストップ歯車472は、互いにつめ部98に係合可能なように隣接配置されている。
ばね401は、渦巻状に形成されており、内端401aに軸固定部402が一体成形されている。この軸固定部402が、ストップ車軸体71に外嵌固定されている。一方、ばね401の外端401bは、減速用ストップ歯車472に固定されている。
【0093】
減速用ストップ歯車472の基本的構成は、ストップ歯車272の構成と同様である。但し、減速用ストップ歯車472は、ストップ車軸体71に外嵌固定されておらず、ストップ車軸体71に挿入されている。すなわち、減速用ストップ歯車472は、ストップ車軸体71に対して回転可能に設けられている。
【0094】
また、減速用ストップ歯車472は、ばね401の無負荷状態において、以下のように配置されている。すなわち、減速用ストップ歯車472は、この減速用ストップ歯車472における鉤部476の前側面476bの位置が、ストップ歯車272における鉤部276の前側面276bの位置よりも回転方向Y1の前方に位置するように配置されている。なお、以下の説明では、このようなばね401の無負荷状態におけるストップ歯車272と減速用ストップ歯車472との位置関係を、無負荷時の位置関係という。
【0095】
(減速用ストップ歯車の作用)
次に、
図19(a)、
図19(b)に基づいて、減速用ストップ歯車472の作用について説明する。
図19は、減速用ストップ歯車472の作用説明図であって、(a)、(b)はそれぞれ減速用ストップ歯車472の挙動を示している。
図19(a)に示すように、ストップ歯車272と減速用ストップ歯車472は、まず、無負荷時の位置関係を維持したまま回転する(
図19(a)における矢印Y1参照)。そして、このまま回転していくと、ストッパ96のつめ部98に、減速用ストップ歯車472における鉤部476の前側面476bが当接する。このとき、ばね401のバネ力に抗し、ストップ歯車272がさらに回転しようとする。
【0096】
すると、
図19(b)に示すように、減速用ストップ歯車472が押し戻されるようにしてその場に止まったまま、ストップ歯車272が回転し続ける。そしてその後、つめ部98に、鉤部276の前側面276bが当接する。これにより、鉤部276とつめ部98とが係合され、ストップ歯車272が所定位置で停止する。また、このとき、減速用ストップ歯車472の鉤部476は、つめ部98に当接したままの状態になっている。
なお、減速用ストップ歯車472とストップ歯車272は、このストップ歯車272の鉤部276とつめ部98との係合状態が解除されると、ばね401のバネ力により、再び無負荷時の位置関係となる。
【0097】
したがって、上述の第4実施形態によれば、前述の第2実施形態と同様の効果を奏する。また、ストップ歯車272とほぼ同一形状の減速用ストップ歯車472とばね401を用意すればよいので、前述の第2実施形態のように新たに減速部200を用意する場合と比較して定力装置3の製造コストを低減できる。
【0098】
なお、上述の第4実施形態では、ストップ歯車272とほぼ同一形状の減速用ストップ歯車472を設け、この減速用ストップ歯車472にばね401の外端401bを固定した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、減速用ストップ歯車472の形状を任意に変更してもよい。
例えば、減速用ストップ歯車472を、ストップ車軸体71に挿入される円環状の固定部201と、固定部201から径方向に沿って延びるスポーク部75と、スポーク部75の先端に設けられる鉤部476と、により構成してもよい。また、鉤部476の形状を簡略してもよい。すなわち、ストップ歯車272が回転する際、鉤部276よりも先に、減速用ストップ歯車472がつめ部98に当接するように構成されていればよい。
【0099】
また、上述の第4実施形態では、ばね401が渦巻状である場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、板状のばね等さまざまな形状のばねを用いることが可能である。さらに、ばね401に代わり、弾性ゴムを介してストップ歯車272と減速用ストップ歯車472とを連結するように構成してもよい。
【0100】
また、上述の第4実施形態では、ばね401の内端401aに軸固定部402が一体成形されており、この軸固定部402を、ストップ車軸体71に外嵌固定した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ばね401の内端401aを直接ストップ歯車272に連結してもよい。
【0101】
(第5実施形態)
次に、この発明の第5実施形態を、
図20に基づいて説明する。
【0102】
(ストップ車)
図20は、ストップ車570を軸方向からみた平面図である。
同図に示すように、前述の第2実施形態と第5実施形態との相違点は、第2実施形態ではストップ歯車272と減速部200とが別体で構成されているが、第5実施形態では、ストップ歯車272と減速部500とが一体成形されている点にある。
減速部500は、ストップ歯車272における鉤部276の回転方向Y1の前方に配置されている。減速部500は、リム部74から径方向外側に向かって突出するアーム本体501と、アーム本体501の先端に一体成形された係合部502と、により構成されている。
【0103】
アーム本体501の突出長さは、鉤部276の前側面276bの延出長さとほぼ同程度に設定されている。つまり、アーム本体501は、リム部74から鉤部276の頂点P1に対応する位置に至る間に形成されている。また、アーム本体501は細長く形成されており、その剛性は弾性変形可能な程度の剛性になっている。係合部502は、軸方向平面性で略半円形状に形成されており、円弧面が回転方向Y1の前方に向いている。
【0104】
このように構成した場合であっても、鉤部276とつめ部98(
図20では不図示)とが係合することにより、ストップ歯車272が所定位置に停止する前に、減速部500によってストップ歯車272の回転速度が減速される。このため、鉤部276とつめ部98との衝撃が緩和され、鉤部276やつめ部98の損傷を防止できる。
また、ストップ歯車272のリム部74に減速部500が設けられており、しかもこの減速部500がストップ歯車272と同一平面上に設けられているので、定力装置3を小型化できる。
【0105】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の各実施形態の構成要素を種々組み合わせて構成してもよい。
【0106】
また、上述の実施形態では、定力装置付トゥールビヨン30の定力装置3に用いられるストップ歯車72の鉤部76を分割構成したり、ストップ歯車272に減速部200,300,500や減速用ストップ歯車472を設けたりした場合について説明した。しかしながら、これらの構成は、定力装置3以外の間欠運動する歯車(例えば、輪列)にも適用することが可能である。