(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6630223
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】電子デバイス製造装置
(51)【国際特許分類】
B41F 33/00 20060101AFI20200106BHJP
B41F 13/12 20060101ALI20200106BHJP
H05K 3/20 20060101ALI20200106BHJP
【FI】
B41F33/00 210
B41F33/00 290
B41F13/12
H05K3/20 C
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-80763(P2016-80763)
(22)【出願日】2016年4月14日
(65)【公開番号】特開2017-189929(P2017-189929A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2019年2月4日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代プリンテッドエレクトロニクス材料・プロセス基盤技術開発/次世代プリンテッドエレクトロニクス材料・プロセス基盤技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000184735
【氏名又は名称】株式会社小森コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】杉本 郁男
【審査官】
亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−153796(JP,A)
【文献】
特開2014−188741(JP,A)
【文献】
特開2016−043340(JP,A)
【文献】
特開2008−132662(JP,A)
【文献】
特開2016−007766(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0191006(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 33/00
B41F 13/12
H05K 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持されて、可撓性を有する基材を保持する圧胴と、
回転可能に支持されて、所定のパターンが形成された版面を有する版を備える版胴とを備え、
前記圧胴に保持された基材に対して、前記版胴により機能性を有する材料からなる機能性インキを前記パターンで転写することにより電子デバイスを製造する電子デバイス製造装置であって、
前記パターンの基材搬送方向に沿った長さが基材の搬送方向の長さの半分未満であり、
前記版面へ機能性インキを供給する機能性インキ供給手段と、
前記圧胴及び前記版胴をそれぞれ駆動する圧胴回転駆動手段及び版胴回転駆動手段と、
前記圧胴の位相を検知する圧胴位相検知手段と、
前記版胴の位相を検知する版胴位相検知手段と、
前記圧胴に保持された基材に対して、前記版面へ供給された機能性インキを搬送方向に異なる位置に複数回転写させるように、前記圧胴位相検知手段及び前記版胴位相検知手段からの情報に基づいて、前記機能性インキ供給手段、前記圧胴回転駆動手段、前記版胴回転駆動手段の作動をそれぞれ制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする電子デバイス製造装置。
【請求項2】
回転可能に支持された圧胴に保持された可撓性を有する基材に対して、回転可能に支持され、所定のパターンが形成された版面を有する版を備える版胴により機能性を有する材料からなる機能性インキを前記パターンで転写することにより、電子デバイスを製造する電子デバイス製造方法であって、
前記パターンの基材搬送方向に沿った長さを基材の搬送方向の長さの半分未満とするとともに、
前記版面へ機能性インキを供給する機能性インキ供給手段と、
前記圧胴及び前記版胴をそれぞれ駆動する圧胴回転駆動手段及び版胴回転駆動手段と、
前記圧胴の位相を検知する圧胴位相検知手段と、
前記版胴の位相を検知する版胴位相検知手段と
を設け、
前記圧胴に保持された基材に対して前記版面へ供給された機能性インキを転写した後、前記圧胴と前記版胴の位相を相互にずらして同一の基材に対し先に機能性インキを転写した位置とは搬送方向に異なる位置に機能性インキを転写するように、前記圧胴位相検知手段及び前記版胴位相検知手段からの情報に基づいて前記機能性インキ供給手段、前記圧胴回転駆動手段、前記版胴回転駆動手段の作動をそれぞれ制御する
ことを特徴とする電子デバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有する基材に機能性を有する材料からなるパターンを形成することにより電子デバイスを製造する電子デバイス製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機能性を有する材料を基材上に積層して機能層を形成した薄膜トランジスタ(TFT)等のフレキシブルな電子デバイスは、例えば、下記特許文献1に記載されているように、圧胴に基材を保持させて当該圧胴を回転させることにより基材を搬送する一方、当該圧胴に対接可能なゴム胴上にインキ層を設け、当該ゴム胴に対接可能な版胴の版の凸部パターンを当該ゴム胴に対接させて、当該ゴム胴上のインキ層のうち凸部パターンと接触した部分のインキを除去して当該ゴム胴上にインキパターンを形成した後、上記圧胴に保持されている基材に対して、上記ゴム胴上の上記インキパターンを転写することにより、基材に複数の機能層を設けるようにした印刷法で製造することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−153796号公報
【特許文献2】特開2013−241275号公報
【特許文献3】特開2007−268715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、電子デバイスを印刷によって製造する装置においては、印刷条件を確認したり、版の生産性を高めたりするために、あるパターンを基板上に一度印刷した後、さらに位相をずらして同一のパターンの印刷を行いたいという要求があった。
【0005】
このようなことから本発明は、版に形成された一つのパターンを、同一の基材に位相をずらして複数回転写することを可能とした電子デバイス製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するための、本発明に係る電子デバイス製造装置は、
回転可能に支持されて、可撓性を有する基材を保持する圧胴と、
回転可能に支持されて、所定のパターンが形成された版面を有する版を備える版胴とを備え、
前記圧胴に保持された基材に対して、前記版胴により機能性を有する材料からなる機能性インキを前記パターンで転写することにより電子デバイスを製造する電子デバイス製造装置であって、
前記パターンの基材搬送方向に沿った長さが基材の搬送方向の長さの半分未満であり、
前記版面へ機能性インキを供給する機能性インキ供給手段と、
前記圧胴及び前記版胴をそれぞれ駆動する圧胴回転駆動手段及び版胴回転駆動手段と、
前記圧胴の位相を検知する圧胴位相検知手段と、
前記版胴の位相を検知する版胴位相検知手段と、
前記圧胴に保持された基材に対して、前記版面へ供給された機能性インキを搬送方向に異なる位置に複数回転写させるように、前記圧胴位相検知手段及び前記版胴位相検知手段からの情報に基づいて、前記機能性インキ供給手段、前記圧胴回転駆動手段、前記版胴回転駆動手段の作動をそれぞれ制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る電子デバイス製造方法は、
回転可能に支持された圧胴に保持された可撓性を有する基材に対して、回転可能に支持され、所定のパターンが形成された版面を有する版を備える版胴により機能性を有する材料からなる機能性インキを前記パターンで転写することにより、電子デバイスを製造する電子デバイス製造方法であって、
前記パターンの基材搬送方向に沿った長さを基材の搬送方向の長さの半分未満とするとともに、
前記版面へ機能性インキを供給する機能性インキ供給手段と、
前記圧胴及び前記版胴をそれぞれ駆動する圧胴回転駆動手段及び版胴回転駆動手段と、
前記圧胴の位相を検知する圧胴位相検知手段と、
前記版胴の位相を検知する版胴位相検知手段と
を設け、
前記圧胴に保持された基材に対して前記版面へ供給された機能性インキを転写した後、前記圧胴と前記版胴の位相を相互にずらして同一の基材に対し先に機能性インキを転写した位置とは搬送方向に異なる位置に機能性インキを転写するように、前記圧胴位相検知手段及び前記版胴位相検知手段からの情報に基づいて前記機能性インキ供給手段、前記圧胴回転駆動手段、前記版胴回転駆動手段の作動をそれぞれ制御する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電子デバイス製造装置によれば、版に形成された一つのパターンを、同一の基材に位相をずらして複数回転写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る電子デバイス製造装置の実施形態の要部概略構成図である。
【
図2】
図1の電子デバイス製造装置の要部の制御ブロック図である。
【
図3】
図1の電子デバイス製造装置の版の一例を示す平面図である。
【
図4】
図1の電子デバイス製造装置を使用した電子デバイスの製造方法の手順説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る電子デバイス製造装置の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0011】
〈主な実施形態〉
本発明に係る電子デバイス製造装置の主な実施形態を
図1〜4に基づいて以下に説明する。
【0012】
図1において、110は圧胴、120は版胴、130はインクジェット装置である。
【0013】
前記圧胴110は、回転可能に支持されると共に、可撓性を有する基材であるシートSを保持する保持面である有効面110aを一つ具備する一倍径サイズをなしている。そして、前記圧胴110は、シートSの搬送方向(以下、シート搬送方向という)前方側(先端側)を着脱可能に把持するくわえ爪装置111と、シート搬送方向後方側(末端側)を着脱可能に吸引保持する吸引ヘッド112(例えば、前記特許文献2等参照)とをそれぞれ有している。前記吸引ヘッド112は、吸引ポンプ154に接続している(
図2参照)。
【0014】
前記版胴120は、回転可能に配設され、前記圧胴110に対接する作動位置と前記圧胴110から離反した退避位置との間を直線的にスライド移動できるようにガイドレール(図示省略)を介して支持されている。そして、前記版胴120は、版Pを保持する保持面である有効面120aを一つ具備する一倍径サイズをなすと共に、当該版Pの一端側(先端側)と他端側(末端側)とを着脱可能に保持する版保持装置121を有している。
【0015】
前記版Pは所定の機能をなすパターン(絵柄)Paが形成された版面を有している。前記版Pの版面のパターンPaの回転方向(シート搬送方向)に沿う長さは、シート搬送方向の長さの半分未満(
図3に示す例では、1/5未満)となっているものとする。
【0016】
機能性インキ供給手段である前記インクジェット装置130は、前記退避位置に位置する前記版胴120の前記版Pの版面に対して、導電性等の機能性を有する材料からなる機能性インキを噴射して供給することができるようになっている。
【0017】
図2に示すように、前記圧胴110を独立して回転駆動させる圧胴回転駆動手段であるモータ151と、前記版胴120を独立して回転駆動させる版胴回転駆動手段であるモータ152とは、制御手段である制御装置150の出力部にそれぞれ電気的に接続している。前記制御装置150の出力部は、前記インクジェット装置130へ電気的に接続している。
【0018】
また、前記制御装置150の出力部は、前記版胴120を前記ガイドレールに沿ってスライド移動させるアクチュエータ153と、前記吸引ポンプ154とにそれぞれ電気的に接続している。
【0019】
他方、前記制御装置150の入力部には、前記圧胴110の回転位相を検知する圧胴位相検知手段であるロータリエンコーダ155と、前記版胴120の回転位相を検知する版胴位相検知手段であるロータリエンコーダ156とがそれぞれ電気的に接続されている。
【0020】
つまり、前記制御装置150は、前記ロータリエンコーダ155,156からの情報に基づいて、前記モータ151,152の回転作動、前記アクチュエータ153の伸縮作動、前記吸引ポンプ154の作動、前記インクジェット装置130の作動等をそれぞれ制御することができるようになっている(詳細は後述する)。
【0021】
このような本実施形態に係る電子デバイス製造装置100においては、当初、前記版胴120が、前記圧胴110から離反する前記退避位置に位置している。そして、前記圧胴110の前記くわえ爪装置111がシートSの先端側(頭側)をくわえると共に、前記吸引ポンプ154が作動して前記吸引ヘッド112でシートSの末端側(尻側)を吸引することにより、当該圧胴110の前記有効面110a上にシートSが保持される。
【0022】
前記制御装置150は、前記版胴120の前記版Pの版面に機能性インキを供給するように、前記ロータリエンコーダ156からの情報に基づいて、前記モータ152を作動させて当該版胴120を回転させると共に、前記インクジェット装置130を作動させて当該インクジェット装置130から機能性インキを噴射させる。
【0023】
前記版胴120の前記版Pの版面に機能性インキが供給されると、前記制御装置150は、前記ロータリエンコーダ155,156からの情報に基づいて、前記圧胴110と前記版胴120との位相を合致させながら当該胴110,120を回転させるように前記モータ151,152を作動させると共に、当該版胴120を当該圧胴110に対接させるとともに所望の印圧(第一の印圧)で転写を行うように前記アクチュエータ153を作動させて、前記退避位置に位置する当該版胴120を前記作動位置にまでスライド移動させる。これにより、前記圧胴110の前記有効面110a上に保持されたシートSの規定の位置に、前記版胴120の前記版Pの版面のパターンPaに対応した機能性インキが第一の印圧で転写されて、第一の機能性パターンI1が形成される(
図4(a)参照)。
【0024】
このようにしてシートSの規定の位置に機能性インキの第一の機能性パターンI1を形成すると、前記制御装置150は、前記ロータリエンコーダ155,156からの情報に基づいて、前記作動位置に位置する前記版胴120を前記退避位置にまで戻すように前記アクチュエータ153を作動させた後、当該版胴120の前記版Pの版面に機能性インキを再び供給するように、前記ロータリエンコーダ156からの情報に基づいて、前記インクジェット装置130を作動させて当該インクジェット装置130から機能性インキを再び噴射させる。
【0025】
前記版胴120の前記版Pの版面の全体にわたって機能性インキが再び供給されると、前記制御装置150は、前記ロータリエンコーダ155,156からの情報に基づいて、シートSに転写された第一の機能性パターンI1に対して位相をずらして当該第一の機能性パターンI1と同一のパターンである第二の機能性パターンI2を転写するため、前記圧胴110の位相に対して前記版胴120の位相を調整しつつ当該胴110,120を回転させるように前記モータ151,152を作動させると共に、当該版胴120を当該圧胴110に再び対接させるとともに所望の印圧(第二の印圧)で転写を行うように前記アクチュエータ153を作動させて、前記退避位置に位置する当該版胴120を前記作動位置にまで再びスライド移動させる。これにより、前記圧胴110の前記有効面110a上のシートSの第一の機能性パターンI1の例えばシート搬送方向下流側に、前記版胴120の前記版Pの版面のパターンPaに対応した機能性インキが第二の印圧で転写されて、第二の機能性パターンI2が形成される(
図4(b)参照)。
【0026】
以下、上述した作動を繰り返すことにより(例えば、さらに3回)、シートSの前記第二の機能性パターンI2のシート搬送方向下流側に、第一,第二の機能性パターンI1,I2と同一のパターンである第三の機能性パターンI3,第四の機能性パターンI4及び第五の機能性パターンI5がそれぞれの所望の印圧(第三,第四及び第五の印圧)で順に形成される(
図4(c),4(d),4(e)参照)。
【0027】
なお、本実施例において前記制御装置150は、第一〜第五の機能性パターンI1〜I5をそれぞれ形成する際、当該第一〜第五の機能性パターンI1〜I5が相互に重ならない位置(
図4に示す例では第一〜第五の機能性パターンI1〜I5が相互に離間した位置)に転写されるように、前記圧胴110の位相に対して前記版胴120の位相を調整するものとする。
【0028】
このように、本実施形態に係る電子デバイス製造装置100においては、前記版Pの版面に形成された一つのパターンPaを利用して、一つのシートSに、シート搬送方向に沿って同一の機能性パターンを複数(本実施形態ではI1〜I5の五つ)転写することができる。
【0029】
したがって、本実施形態に係る電子デバイス製造装置100によれば、一つのシートSに同一の機能性パターンを複数(本実施形態ではI1〜I5の五つ)形成したい場合であっても、前記版Pの版面には一つのパターンPaのみを形成すればよく、前記版Pの製作コストを下げることができる。これにより、前記版Pの効率向上(製作工数低減)等の効果がある。
【0030】
また、シートSに対して、前記版Pの版面のパターンPaに対応した機能性インキを複数回(本実施形態では5回)、それぞれを所望の印圧でシート搬送方向に沿って並べて転写していることから、例えば、最適な印圧はどの程度かを検討するための適正印圧のテストを少ない工数で容易に行うことができる。
【0031】
〈他の実施形態〉
なお、前述した実施形態においては、前記圧胴110の位相に対して前記版胴120の位相を調整しつつ当該胴110,120を回転させるように前記モータ151,152を作動させる例を示したが、他の実施形態として、前記版胴120の位相に対して前記圧胴110の位相を調整しつつ当該胴110,120を回転させるように前記モータ151,152を作動させることも可能である。
【0032】
また、前述した実施形態においては、第一〜第五の機能性パターンI1〜I5を転写する際の印圧をそれぞれ変化させる例を示したが、他の実施形態として、例えば、第一〜第五の機能性パターンI1〜I5を転写する際に、モータ151,152の作動を制御して、各機能性パターンI1〜I5を転写する際の印刷速度を変化させることも可能である。このような構成とすれば、どの程度の印刷速度まで良好な印刷を行うことが可能かを検討するための適正印刷速度のテストを容易に行うことができる。もちろん、各機能性パターンI1〜I5を同一の条件で転写することも可能である。
【0033】
また、前述した実施形態においては、前記版Pの大きさをシートSと同様の大きさとする例を示したが、他の実施形態として、前記版Pの大きさをパターンPaのサイズに応じた大きさ(すなわち、シートSよりも小さいサイズ)としてもよい。このような構成とすれば、前記版Pの製作工数低減,材料費低減等といった効率向上、及び版の保管場所削減等の作業効率向上の効果がある。
【0034】
また、前述した実施形態においては、前記版Pに一つのパターンPaを形成する例を示したが、他の実施形態として、一つの前記版Pにシート搬送方向に沿って複数の異なるパターンを形成してもよい。このような構成とすれば、一つの前記版Pで複数の電子デバイスの印刷に対応することができる。これによって、前記版Pの枚数削減や版交換の工数削減などの効果が得られる。
【0035】
また、前述した実施形態においては、前記版胴120の前記版Pに前記インクジェット装置130により機能性インキを供給するようにしたが、他の実施形態として、例えば、インキ壺から移しローラ等を介してインキを版胴に供給するインキ装置や、インキ皿からインキを版胴に直接供給するインキ装置や、インキ皿からファニシャローラやインキ出しローラやインキ着けローラ等を介してインキを版胴に間接的に供給するインキ装置等を適用することも可能である。
【0036】
また、前述した実施形態においては、前記圧胴110の前記有効面110aに保持されたシートSに対して、前記版胴120の前記版Pに供給された機能性インキを直接的に転写するようにしたが、他の実施形態として、例えば、前記圧胴110及び前記版胴120に対して対接離反移動できるように当該圧胴110と当該版胴120との間にブランケット胴を回転可能に配設することにより、当該版胴120の前記版Pに供給された機能性インキを当該ブランケット胴に一旦転写してから上記圧胴110の前記有効面110aに保持されたシートSに転写するオフセット方式とすることも可能である。
【0037】
また、前述した実施形態においては、前記吸引ポンプ154に接続した前記吸引ヘッド112を前記圧胴110の前記有効面110aに設けることにより、シートSのシート搬送方向後方側(末端側)を当該有効面110aに着脱可能に吸引保持するようにしたが、他の実施形態として、例えば、上記吸引ヘッド112等に代えて、前記圧胴110の前記有効面110a上にシリコンゴム等からなるラバーシートを取り付けておくことにより、シート搬送方向後方側(末端側)を当該有効面110aに対して着脱可能に密着保持できるようにしても、前述した実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る電子デバイス製造装置は、版に形成された一つのパターンを、同一の基材に位相をずらして複数回転写することができるので、産業上、極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
100 電子デバイス製造装置
110 圧胴
110a 有効面
111 くわえ爪装置
112 吸引ヘッド
120 版胴
120a 有効面
121 くわえ爪装置
130 インクジェット装置
150 制御装置
151,152 モータ
153 アクチュエータ
154 吸引ポンプ
155,156 ロータリエンコーダ
P 版
Pa 版面のパターン
S シート
I1〜I5 機能性パターン