(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
器具本体と、当該器具本体内にあり水を貯水する貯水室と、当該貯水室内の水を加熱する加熱ヒータと、前記貯水室内の水からミストを発生させるミスト発生手段と、当該ミスト発生手段により発生したミストを含む加湿空気を送風口から送風するミスト運転を実施する送風ファンと、前記器具本体周辺の雰囲気温度を検知する吸気温度センサと、
前記ミスト運転を所定時間以上継続して実施したと判断したら、前記加熱ヒータで前記貯水室内を加熱して前記貯水室内を除菌する除菌運転と、前記貯水室内の水を排水して前記送風ファンを駆動させ前記貯水室内を乾燥させる乾燥運転とを実施する制御部とを備え、
前記制御部は、前記ミスト運転の開始指示が出されてから前記所定時間が経過するまでの間に前記吸気温度センサで検知された雰囲気温度が所定値以上となった時間をカウントし、当該カウントした時間が所定の積算時間未満であれば前記除菌運転及び前記乾燥運転を実施せず、前記ミスト運転を継続することを特徴とする加湿装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、花卉や果物の鮮度保持を目的として冷蔵庫内に加湿装置を設置した場合、ミスト運転の終了後に実施する除菌運転時に加熱ヒータで貯水室内の水を加熱していることで、器具本体から加熱され温度上昇した空気が排出され冷蔵庫内の温度を高めてしまい、冷蔵庫の冷却負荷を高めて電力消費が多くなることや、除菌運転及び乾燥運転を実施している時は器具本体から加湿空気を送風することができないことから、除菌運転及び乾燥運転を実施している時に冷蔵庫内の相対湿度が一時的に上昇し、花卉や果物の鮮度保持状態が維持できなくなる問題があった。
【0005】
冷蔵庫等の常時低温の空間に加湿装置を設置した場合、除菌や乾燥を実施しなくとも貯水室内で菌が増殖しないことは確認されている。よって、器具本体を冷蔵庫等に設置した時、除菌運転と乾燥運転を実施しないように設定を変更することが考えられるが、冷蔵庫等に器具本体を設置する時に設定を変更する手間が増えることや、冷蔵庫内を換気することや冷蔵保存で使用していた庫内を常温保存に切り替えて使用する等で冷蔵庫内の温度が上昇した状態が継続した時、貯水室付近で発生した菌が除菌されないことが想定されることから、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、器具本体と、当該器具本体内にあり水を貯水する貯水室と、当該貯水室内の水を加熱する加熱ヒータと、前記貯水室内の水からミストを発生させるミスト発生手段と、当該ミスト発生手段により発生したミストを含む加湿空気を送風口から送風するミスト運転を実施する送風ファンと、前記器具本体周辺の雰囲気温度を検知する吸気温度センサと、
前記ミスト運転を所定時間以上継続して実施したと判断したら、前記加熱ヒータで前記貯水室内を加熱して前記貯水室内を除菌する除菌運転と、前記貯水室内の水を排水して前記送風ファンを駆動させ前記貯水室内を乾燥させる乾燥運転とを実施する制御部とを備え、
前記制御部は、前記ミスト運転の開始指示が出され
てから前記所定時間が経過するまでの間に前記吸気温度センサで検知された雰囲気温度が所定値以上となった時間をカウントし、当該カウントした時間が所定の積算時間未満であれば前記除菌運転及び前記乾燥運転を実施せず、前記ミスト運転を継続することを特徴としている。
【0007】
また、請求項2では、前記制御部は、
前記除菌運転及び前記乾燥運転を実施せずに前記ミスト運転を継続した時間が所定の上限時間を超えたら、前記除菌運転及び前記乾燥運転を実施することを特徴としている。
【0008】
また、請求項3では、
前記ミスト発生手段は、前記貯水室内に下端を水没させ回転により水を汲み上げて飛散させる筒状の回転体と、当該回転体を回転駆動させるミストモータと、前記回転体の回転により飛散された水が衝突する衝突体とで構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、ミスト運転の開始指示が出された後、吸気温度センサで検知された雰囲気温度が所定値未満であれば除菌運転及び乾燥運転を実施せずミスト運転を継続するので、器具本体が冷蔵庫等の雰囲気温度が低温の室内に設置されていると推定したら、一時的に高温の加湿空気を室内に送風する除菌運転と、加湿空気が送風されない乾燥運転とを実施せず、ミスト運転を継続するため、冷蔵庫内の冷却効率悪化を防止すると共に室内の相対湿度の低下を防止して、花卉や果実の鮮度を適切に保持可能とした。
【0011】
また、ミスト運転の開始指示が出されてから所
定時間が経過するまでの間、吸気温度センサで検知された雰囲気温度が所定値以上となった時間をカウントし、当該カウントした時間が所定
の積算時間未満であれば、器具本体が設置された空間が冷蔵庫等の常時雰囲気温度が低温の空間であると推定して除菌運転と乾燥運転とを実施せず、ミスト運転を継続して実施するので、冷蔵庫の冷却負荷を高めることがなく、更に、ミスト運転が継続されることで室内の相対湿度が低下しないため、花卉や果物の鮮度保持を維持することができ、また、換気や常温での保存に切り替えたことで器具本体周辺の温度が高まった時は、除菌運転と乾燥運転とを実施することで、菌の増殖を確実に防止することができる。
【0012】
また、除菌運転及び乾燥運転を実施せずにミスト運転を継続した時間が所定の上限時間を超えたら、除菌運転と乾燥運転を実施するので、短時間だけ冷蔵庫を開放する動作を実施することで菌の発生リスクが上昇しても、室内の雰囲気温度が長時間高温とならずミスト運転を長期間継続した状態である時、強制的に除菌運転及び乾燥運転を実施するため、貯水室での菌発生リスクを最小限に抑えることができる。
【0013】
また、ミスト発生手段は、貯水室に下端を水没させ回転により水を汲み上げて飛散させる筒状の回転体と、該回転体を回転駆動させるミストモータと、回転体の回転により飛散された水が衝突する衝突体とで構成されているので、貯水室内の水を回転体で汲み上げて衝突体に衝突させる簡易な構成によって加湿空気を多量に発生させることができるため、組付けが容易であり低コストでミスト発生手段を構成できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、この発明の一実施形態におけるミスト発生装置を図に基づいて説明する。
1は器具本体、2は器具本体1上部に形成され複数のルーバー3が設置された送風口、4は器具本体1の正面上部を構成する上面パネル、5は器具本体1の正面下部を構成する下面パネル、6は複数のスイッチが備えられ各種操作指令を行う操作部、7は図示しないブレーカーを隠すブレーカーカバーであり、前記器具本体1は、
図2で示すように冷蔵庫内に設置されることで、器具本体1内に取り込んだ室内空気を加湿空気として送風することで冷蔵庫内を低温かつ高湿度に保ち、冷蔵庫内にある花卉や果物の鮮度保持を実現している。
【0016】
8は器具本体1内の略中断高さ位置にあって所定量の水を貯水する貯水室であり、この貯水室8内には、水に下端を水没させ駆動軸9に軸支された筒状の回転体10が備えられている。
【0017】
前記回転体10は、中空逆円錐形で上方に向かって円周が徐々に拡大するものであり、駆動軸9に接続され回転体10を回転駆動させるミストモータ11を駆動させ、回転体10が回転することによる回転の遠心力で貯水室8の水を汲み上げ、回転体10の外壁および内壁を伝わせて水を押し上げて、回転体10の外壁を伝わせて押し上げた水を周囲に飛散させると共に、回転体10の内壁を伝わせて押し上げた水を回転体10の上端に形成された複数の図示しない飛散口から外周方向へ飛散させる。
【0018】
12は回転体10の上部外周に所定間隔を離間させて位置し、回転体10と共に回転する円筒状の多孔体で、該多孔体12には、その全周壁に多数のスリットや金網やパンチングメタル等から成る衝突体としての多孔部13が設置されており、前記回転体10、前記ミストモータ11及び前記多孔部13でミスト発生手段が構成されている。
【0019】
前記ミスト発生手段を構成するミストモータ11を駆動させ、回転体10を回転させたことで発生する遠心力で貯水室8内の水を汲み上げると共に空気を飛散させ、多孔部13を通過した水滴が破砕されることで、水を微細化して粒径がナノメートル(nm)サイズのミスト(以下、微細ミスト)が多量に生成される。
【0020】
14は下面パネル5内に設置され所定の回転数で駆動することで室内空気を吸引して器具本体1の上部方向へ送風する送風ファン、15は貯水室8と送風口2とを接続し貯水室8内で発生した微細ミストを含む加湿空気を送風口2へ送る送風経路、16は該送風経路15の途中に設置され加湿空気に含まれる大径水滴を分離し、微細ミストを含む加湿空気が送風口2から室内へ多量に送風されるようにする板状のフィルタであり、前記送風ファン14が所定の回転数で駆動すると、器具本体1の底面に形成された吸気口17から吸い込んだ室内空気を器具本体1の上部方向へ送風され、貯水室8の上流側に形成された吸入経路18から送風ファン14によって送風された室内空気が流入し、貯水室8内へ流入した室内空気が微細ミストを含んだ加湿空気になり、当該加湿空気が前記送風経路15内を上昇して、送風経路15と接続した送風口2から室内へ送風されることで、微細ミストを含んだ加湿空気を室内に供給することができる。
【0021】
19は貯水室8内に設置され貯水を加熱する加熱ヒータであり、貯水室8の外壁に設置され貯水温度を検知する貯水温度センサ20で検知される温度が所定温度となるよう、ON/OFF状態が適宜切り替えられる。
【0022】
21は貯水室8内に設置され、フロートが上下することで水位を検知する水位センサであり、貯水室8内の水位が低下して所定水位以下になったらOFF信号を出力し、水位が上昇して所定水位以上になったらON信号を出力し、更に水位が上昇して貯水室8内が満水となったら満水信号を出力する。
【0023】
22は貯水室8側面に接続され、貯水室8内に市水を給水する給水管であり、該給水管22の配管途中には、電磁弁を開閉して貯水室8内への給水を制御する給水弁23と、給水圧を所定値まで減圧する減圧弁24とが備えられている。
【0024】
25は貯水室8底部に接続され、貯水室8内の水を器具本体1外部に排水する硬質塩化ビニル管で構成された排水管であり、該排水管25の配管途中には、電磁弁を開閉して貯水室8内水の排水を制御する排水切り替え手段としての排水弁26が備えれている。
【0025】
27は送風口2の壁面に設置され、送風口2から室内へ向けて送風される加湿空気の温度を検知する送風温度センサ、28は送風ファン14の近傍に設置され、器具本体1の下部にある銅製の網が設置された吸気口17へ吸い込まれる室内空気の雰囲気温度を検知する吸気温度センサ、29は前記吸気温度センサ28の近傍に設置され、器具本体1が設置された室内の相対湿度を検知する湿度センサであり、各センサで検知された温度や相対湿度に基づいて、ミストモータ11や送風ファン14の回転数を変化させ、加熱ヒータ19のON/OFF状態を切り替える。
【0026】
操作部6には、ミスト運転の開始及び停止を指示する運転スイッチ30と、加熱ヒータ19のON/OFF状態を切り替えることで貯水室8内の貯水温度を変化させ、送風口2から室内に送風される加湿空気に含有可能な水分量の割合を変化させた3段階の加湿レベルと、湿度センサ29で検知された湿度が予め設定された湿度となるよう前記加湿レベルを変化させるオートモードとから選択可能な加湿スイッチ31と、ミストモータ11と送風ファン14との回転数の大小を設定可能な三段階の風量レベルと、湿度センサ29で設定された湿度が予め設定された湿度となるよう前記風量レベルを変化させるオードモードとから選択可能な風量スイッチ32と、加湿空気を室内に供給するミスト運転の開始時間と停止時間とを設定するタイマー切替スイッチ33と、前記加湿スイッチ31及び前記風量スイッチ32での設定に関わらず、消費電力の低いミスト運転であるエコモードを設定するエコモードスイッチ34と、現在時刻を設定する時刻設定スイッチ35と、スイッチを操作することで運転停止以外の動作を禁止するチャイルドロックスイッチ36とが備えられている。
【0027】
また、操作部6の各スイッチ上部には各スイッチに対応したランプが備えられており、運転スイッチ30が操作されたら点灯する運転ランプ37と、ミスト運転が所定時間以上継続したら開始する除菌運転時に点灯する除菌ランプ38と、加湿スイッチ31で設定された加湿レベルを1から3の数値とオートモードを示すAで表示する加湿レベルランプ39と、風量スイッチ32で設定された風量レベルを1から3の数値とオートモードを示すAで表示する風量レベルランプ40と、タイマー切替スイッチ33でミスト運転の開始及び停止が設定されたら、それぞれのランプが点灯するタイマーランプ41と、エコモードスイッチ34が操作されエコモードが設定されたら点灯するエコモードランプ42と、時刻設定スイッチ35で設定された現在時刻を表示する時刻表示パネル43と、チャイルドロックスイッチ36が操作されたら点灯するチャイルドロックランプ44とが備えられている。
【0028】
45は各センサで検知された検知値や操作部6上に備えられた各スイッチでの設定内容に基づき、運転内容や弁の開閉を制御するマイコンで構成された制御部であり、ミストモータ11を所定の回転数で駆動させるミストモータ制御手段46と、送風ファン14を所定の回転数で駆動させる送風ファン制御手段47と、加熱ヒータ19のON/OFF状態を切り替えて貯水室8内の水温を制御する加熱ヒータ制御手段48と、ミスト運転の開始指示が出されてから経過した時間をカウントする経過時間カウント手段49と、当該経過時間カウント手段49でカウントした経過時間中に吸気温度センサ28で検知した雰囲気温度が所定値である10℃以上であった時間を積算してカウントする積算時間カウント手段50とが備えられている。
【0029】
次に、この一実施形態での運転開始から終了までの動作について
図6のフローチャートに基づいて説明する。
まず、操作部6の運転スイッチ30が操作されたか、もしくはタイマー切替スイッチ33で設定された運転開始時刻になったら、制御部45は、経過時間カウント手段49で経過時間のカウントを開始すると共に、排水弁26を開放して貯水室8内の水を排水し、水位センサ21でOFF信号が検知されたら、給水弁23を開放して貯水室8内を水で洗い流すクリーニング動作を行い、所定時間経過したら排水弁26を閉止することで給水弁23から流入する水を貯水室8内に供給し、水位センサ21でON信号が検知されたら、所定量の水が貯水室8内に供給されたとして給水弁23を閉止する水入替モードを行う(ステップS101)。
【0030】
ステップS101の水入替モードが終了したら、制御部45は、貯水温度センサ20で検知される貯水温度が室温と同値になるまで加熱ヒータ制御手段48で加熱ヒータ19をON状態にして、ミストモータ11及び送風ファン14が所定の回転数となるようミストモータ制御手段46及び送風ファン制御手段47で制御する立ち上げ動作を実行する立ち上げモードを行う(ステップS102)。
【0031】
ステップS102の立ち上げモードが終了したら、制御部45は、加湿スイッチ31及び風量スイッチ32で設定された加湿レベルと風量レベルとに基づいて、ミストモータ11と送風ファン14とが所定の回転数で駆動するようミストモータ制御手段46と送風ファン制御手段47とで回転数を制御し、加熱ヒータ19のON/OFF状態を加熱ヒータ制御手段48で切り替えて制御して、加湿レベルと風量レベルとに合わせた所定の温度範囲内にするミスト運転を実行する通常運転モードを行う(ステップS103)。また、当該通常運転モード中に後述する吸気温度センサ28で検知した温度が所定値以上であった時間の積算値を積算時間カウント手段50で算出する。
【0032】
前記通常運転モードでは、加湿スイッチ31により加湿レベルを1から3及びオートから選択することができ、加湿レベル1の状態では加熱ヒータ19がOFF状態で固定され、加湿レベル2の状態では送風温度センサ27で検知される送風温度が吸気温度センサ28で検知される雰囲気温度−2℃となるように加熱ヒータ19のON/OFF状態を変化させ、加湿レベル3の状態では送風温度センサ27で検知される送風温度が吸気温度センサ28で検知される雰囲気温度+1℃となるように加熱ヒータ19のON/OFF状態を変化させるようにして、加湿レベルがオートに選択されたら湿度センサ29で検知されたる相対湿度が50%RH前後となうよう、自動で加湿レベルが選択される。
【0033】
このように、送風口2から室内へ送風される加湿空気の温度を室内の雰囲気温度に近い値となるよう各加湿レベルを設定することで、室内の雰囲気温度に依存する飽和水蒸気量をミスト運転での加湿空気送風により超過し、送風口2付近や室内の各所に水滴が付着する事態を防止する。
【0034】
また、前記通常運転モード時において風量スイッチ32により風量レベルを1から3及びオートから選択することができ、風量レベル1の状態ではミストモータ11が1000rpm、送風ファン14が400rpmで駆動され、風量レベル2の状態ではミストモータ11が1200rpm、送風ファン14が600rpmで駆動され、風量レベル3の状態ではミストモータ11が1400rpm、送風ファン14が800rpmで駆動されるようにして、風量レベルがオートに選択されたら加湿スイッチ31で選択されている加湿レベルと同等のレベルとなるよう、風量レベルが自動で選択される。
【0035】
ステップS103の通常運転モード中に運転スイッチ30が操作されたか、タイマー切替スイッチ33で設定した停止時間となってミスト運転終了の指示があったと判断したら、制御部45は、経過時間カウント手段49での経過時間のカウントと積算時間カウント手段50での積算時間のカウントとをリセットして停止すると共に、ミストモータ11を停止させてから排水弁26を開弁して貯水室8内の水を排水し、所定時間経過したら給水弁23を開放して貯水室8内を洗浄してから排水弁26を閉止して貯水室8内に所定量だけ貯水する水入替運転を行い、その後、加熱ヒータ19をON状態にして水を65℃前後に加熱し除菌を行う除菌運転を10分間実施し、10分経過後に貯水室8内を冷却する冷却運転を実行し、貯水温度が60℃未満になったら排水弁26を開放して排水するクリーニングモードを行う(ステップS104)。
【0036】
ステップS104のクリーニングモードが終了したら、制御部45は、乾燥モード(ステップS105)に移行し、送風ファン14が所定の回転数(例えば、800rpm)で駆動するよう送風ファン制御手段47で制御し、所定時間(例えば3時間)だけ送風ファン14を駆動させ続ける乾燥運転を実施して、3時間経過したと判断したら、送風ファン14を停止させて運転を終了する。
【0037】
次に、前記ステップS104のクリーニングモード及び前記ステップS105の乾燥モードの実施有無を判断する前記ステップS103の通常運転モード時の制御について、
図7のフローチャートに基づいて説明する。
まず、前記ステップS103の通常運転モードが開始されたら、制御部45は、加湿スイッチ31及び風量スイッチ32で設定された加湿レベルと風量レベルとに基づいて、ミストモータ11と送風ファン14とを所定の回転数で駆動させ、加熱ヒータ19のON/OFF状態を切り替えるミスト運転を開始すると共に、吸気温度センサ28で検知された室内の雰囲気温度が所定値である10℃以上か判断し(ステップS201)、検知温度が10℃以上であれば、積算時間カウント手段50で積算時間のカウントを開始する(ステップS202)。
【0038】
前記ステップS202で積算時間カウント手段50による積算時間のカウントを開始したら、制御部45は、吸気温度センサ28で検知された室内の雰囲気温度が10℃未満か判断し(ステップS203)、検知温度が10℃未満であれば、積算時間カウント手段50での積算時間のカウントを停止して現在の積算時間を記憶する(ステップS204)。また、吸気温度センサ28での検知温度が10℃以上であれば、ステップS203の判断を繰り返す。
【0039】
前記ステップS204で積算時間のカウントを停止し現在の積算時間を記憶したか、あるいは前記ステップS201で吸気温度センサ28の検知温度が10℃未満であれば、制御部45は、経過時間カウント手段49でカウントしていた経過時間のカウント値が所定の経過時間である20時間以上かを判断し(ステップS205)、経過時間のカウント値が20時間以上であると判断したら、制御部45は、積算時間カウント手段49でカウントした積算時間が1時間未満であるか判断し(ステップS206)、カウントした積算時間が1時間未満であると判断したら、経過時間カウント手段49でカウントした経過時間を過去にカウントした経過時間に追加した総経過時間として記憶し、積算時間カウント手段50でカウントした積算時間をリセットして(ステップS207)、カウントした積算時間が1時間以上であると判断したら、器具本体1周辺の温度が常温の室内と同等であり貯水室8の周辺で菌が発生し活性化する可能性が高いとして通常運転モードを終了させた後、前記ステップS104のクリーニングモードと前記ステップS105の乾燥モードとを順次実行し、菌の増殖を防止する。
【0040】
前記ステップS207で総経過時間を記憶し、積算時間をリセットしたら、制御部45は、記憶した総経過時間が所定の上限時間である720時間(30日間連続運転に相当)以下か判断し(ステップS208)、総経過時間が720時間以下であればミスト運転を継続すると共に前記ステップS201へ戻り吸気温度センサ28での検知温度が10℃以上かを判断し、総経過時間が720時間を超えていれば貯水室8内の除菌及び乾燥が必要だとして通常運転モードを終了させた後、記憶していた総経過時間のカウント値をリセットしてから前記ステップS104のクリーニングモードと前記ステップS105の乾燥モードとを順次実行する。
【0041】
このように、器具本体1付近の雰囲気温度が10℃未満の低温環境下にあれば、各加湿レベルにより室内に送風される加湿空気の温度が10℃以下となって貯水室8内に貯められた貯水温度が15℃前後に保持されることから、貯水室8付近で菌が発生し活性化する可能性がほぼ無い環境であると判断でき、クリーニングモード及び乾燥モードを実施せずに通常モードを継続するため、冷蔵庫内の相対湿度の低下を防止すると共に、除菌運転で加熱ヒータ19により貯水室8内の水温が65℃前後に保たれることで、貯水室8内で加熱された水により送風口2から温風から吹き出し、冷蔵庫内の冷却負荷を高めて電力消費が高まることを未然に防止することができる。
【0042】
また、冷蔵庫内に設置された器具本体1が運転スイッチ30を操作する等で強制的にミスト運転が終了させられなかった場合、短時間だけ冷蔵庫を換気することや一時的な停電等で室内の温度が上昇しても、雰囲気温度が10℃以上の積算時間が1時間未満であればミスト運転が継続されることで、雰囲気温度が上昇したタイミングで発生した菌が残る可能性があるが、ミスト運転が継続された期間が約1ヶ月継続したら、ミスト運転を強制的に終了させ除菌運転と乾燥運転とを実行することで、確実に貯水室8内の菌を死滅させて清潔な状態を維持することができる。
【0043】
また、前記ステップS205で経過時間カウント手段49でカウントしていた経過時間が20時間未満であると判断したら、予め定めた所定の経過時間が経過していないとしてミスト運転を継続すると共にステップS201に戻り、再び吸気温度センサ28での検知温度が10℃以上かを判断する。
【0044】
以上のように、通常運転モード時に吸気温度センサ28での検知温度が10℃以上かを判断し、吸気温度センサ28での検知温度が10℃以上であれば、10℃以上を検知した積算時間をカウントし、運転開始から経過した時間が20時間以上であり、かつ吸気温度センサ28での検知温度が10℃以上の積算時間が1時間未満であれば、器具本体1が冷蔵庫内に設置されていると判断してクリーニングモードと乾燥モードとを実施せず、通常運転モードを継続することで、除菌運転により加熱ヒータ19が駆動し送風口2から温風が吹き出されて冷蔵庫内の冷却効率が悪化することや、乾燥運転により加湿空気が送風されない時間があることで冷蔵庫内の花卉や果実の鮮度保持状態が悪化することを未然に防止することができる。
【0045】
また、通常運転モード時の吸気温度センサ28での検知温度が10℃以上であった積算時間により、クリーニングモードと乾燥モードの実施有無を判断していることから、器具本体1が設置された冷蔵庫を換気することや、常温での花卉や果実の保管に切り替えたことで室内の雰囲気温度が上昇しても、通常運転モードの終了後にクリーニングモードと乾燥モードとが自動的に実施されるため、制御部45のマイコンを操作することなく貯水室8内の除菌を可能としており、使用者の使い勝手が向上する。
【0046】
また、短時間だけ冷蔵庫内を換気する等して一時的に雰囲気温度が上昇するのみで、ミスト運転が継続され続け菌が発生することがあっても、ミスト運転の継続時間が所定の上限時間である720時間が経過したらミスト運転を強制的に停止させクリーニングモードと乾燥モードとを実施することで、貯水室8内に発生した菌を確実に死滅させ清潔な状態を維持することができる。
【0047】
なお、本実施形態では吸気温度センサ28での検知温度が10℃以上だった時の積算時間が1時間未満の時、クリーニングモードと乾燥モードを実施しないとしているが、これに限らず、貯水室8内で菌が繁殖しない範囲内で吸気温度センサ28での検知温度の上限や積算時間の上限が設定可能であり、保存する対象物によって各値を設定することが可能である。
【0048】
また、別実施形態として
図8で示すように、冷蔵庫の一部に器具本体1が組み込まれる形で設置し、冷蔵庫の電源ONに合わせて器具本体1が駆動開始し、器具本体1の下方にある吸気口17から吸い込んだ室内の空気を器具本体1内の貯水室8でミストを含んだ加湿空気にし、送風口2から室内に加湿空気を送風することで、花卉や果物の鮮度保持を実現するシステムであってもよい。
【0049】
また、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。