(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態の取引システムについて
図1を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態の取引システムの一例を示す図である。
【0011】
取引システム50は、第1の取引装置10と第2の取引装置20と情報処理装置30とを含む。
第1の取引装置10および第2の取引装置20は、金融取引を行うための自動取引装置であり、たとえば、金融機関等が備えるATMや、コンビニエンスストア等が備える取引端末である。なお、第1の取引装置10および第2の取引装置20は、ネットワークを介して情報処理装置30やホストコンピュータに接続する。
【0012】
なお、ホストコンピュータは、取引装置から要求された金融取引を実行するコンピュータであるが、図示を省略する。また、取引システム50は複数の取引装置を含むシステムであり、第1の取引装置10および第2の取引装置20は複数の取引装置に含まれる。
【0013】
第1の取引装置10は、入力受付部11と、記憶部12と、表示部14と、制御部15とを備える。入力受付部11は、カードリーダやテンキーやタッチパネル等の入力ユニットである。入力受付部11は、顧客から出金取引の指示や、カードや、暗証番号および出金金額等を受け付ける。
【0014】
記憶部12は、第1の出金限度額13aと、第1の出金累計額13bを記憶可能であり、たとえば、HDDや各種メモリ等の記憶装置である。第1の出金限度額13aは、第1の取引装置10における出金の上限の金額である。第1の出金累計額13bは、第1の取引装置10における出金金額の累計の金額である。表示部14は、金融取引の選択を促す画面や、出金金額の入力を促す画面や、取引休止の旨の画面を表示できる。表示部14は、たとえば、表示出力による指示で表示できるディスプレイ等がある。
【0015】
制御部15は、受け付けた出金金額と第1の出金累計額13bとの合計金額が第1の出金限度額13aを超えた場合、情報処理装置30に限度額到達通知を送信し、出金取引を中止する。限度額到達通知は、第1の取引装置10が受け付けた出金金額と第1の出金累計額13bとの合計金額が、第1の出金限度額13aを超えたことを通知するものである。また、制御部15は、カードに記憶された国籍情報を読み出し、国籍情報が日本以外の国を示す情報であるか否かを判定できる。制御部15は、国籍情報が日本以外の国を示す情報である場合であり、合計金額が第1の出金限度額13aを超えていると判定した場合に、限度額到達通知を送信し、出金取引を中止できる。
【0016】
第2の取引装置20は、入力受付部21と、記憶部22と、表示部24と、制御部25とを備える。第2の取引装置20が備える構成要素で、第1の取引装置10と同一の内容については説明を適宜省略する。入力受付部21は、入力受付部11と同様の機能を備える。
【0017】
記憶部22は、第2の出金限度額23aと、第2の出金累計額23bを記憶可能であり、たとえば、HDDや各種メモリ等の記憶装置である。第2の出金限度額23aは、第2の取引装置20における出金の上限の金額である。第2の出金累計額23bは、第2の取引装置20における出金金額の累計の金額である。表示部24は、表示部14と同様の機能を備える。
【0018】
制御部25は、受け付けた出金金額と第2の出金累計額23bとの合計金額が第2の出金限度額23aを超えない場合、情報処理装置30に取引確認通知を送信し、情報処理装置30から取引許可通知又は取引抑止通知を受信する。制御部25は、取引許可通知を受信した場合に出金取引を実行し、取引抑止通知を受信した場合に出金取引を抑止する。
【0019】
情報処理装置30は、制御部31と、記憶部32とを含む。情報処理装置30は、取引装置10,20を運用および監視するための装置であり、たとえば、コンピュータである。情報処理装置30は、ネットワークを介して第1の取引装置10および第2の取引装置20と情報の送受信が可能である。なお、情報処理装置30は、複数の取引装置と接続するが、3台目以降の取引装置について図示を省略する。
【0020】
制御部31は、複数の取引装置のうちのいずれかの取引装置から限度額到達通知や取引確認通知を受信する。
制御部31は、限度額到達通知を受信した場合、記憶部32に記憶された限度額到達装置台数33aを1加算する。また、制御部31は、限度額到達装置台数33aが閾値33bを超えた場合、取引可否情報33cに予め設定されている取引可を示す情報を、取引否を示す情報に変更する。
【0021】
制御部31は、取引装置から取引確認通知を受信した場合、記憶部32に記憶された取引可否情報33cを参照する。制御部31は、取引可否情報33cが取引可を示す情報である場合に取引許可通知を取引装置に送信する。また、制御部31は、取引可否情報33cが取引否を示す情報である場合に取引抑止通知を取引装置に送信する。
【0022】
記憶部32は、限度額到達装置台数33aと、閾値33bと、取引可否情報33cとを記憶可能であり、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)や各種メモリ等の記憶装置である。限度額到達装置台数33aは、複数の取引装置のうち限度額到達通知を情報処理装置30に送信した取引装置の台数を示すものである。閾値33bは、限度額到達装置台数33aが所定の台数に達したか否かを判定するために用いる値である。限度額到達装置台数33aが閾値33bを超えた場合、情報処理装置30は、取引可否情報33cに取引否を示す情報を設定する。取引可否情報33cは、取引装置から取引確認通知を受信した際の応答として、取引許可通知を送信するか取引抑止通知を送信するかを判定するための情報である。取引可否情報33cの初期値には、取引可を示す情報が設定されている。
【0023】
ここで、取引システム50における、処理の流れについて説明する。
第1の取引装置10は、顧客から出金取引の指示と、カードと、暗証番号と出金金額とを受け付ける。第1の取引装置10は、受け付けた出金金額と第1の出金累計額13bとの合計金額が第1の出金限度額13aを超えた場合、情報処理装置30に限度額到達通知を送信し、出金取引を中止し、表示部14に全取引休止の旨を表示する指示をする。
【0024】
情報処理装置30は、第1の取引装置10から限度額到達通知を受信した場合、限度額到達装置台数33aを1加算する。情報処理装置30は、限度額到達装置台数33aが閾値33bを超えているか否かを判定し、限度額到達装置台数33aが閾値33bを超えた場合、取引可否情報33cに設定されていた取引可を示す情報を、取引否を示す情報に変更する。
【0025】
第2の取引装置20は、顧客から出金取引の指示と、カードと、暗証番号と出金金額とを受け付ける。第2の取引装置20は、受け付けた出金金額と第2の出金累計額23bとの合計金額が第2の出金限度額23aを超えていない場合、取引確認通知を情報処理装置30に送信する。
【0026】
情報処理装置30は、第2の取引装置20から取引確認通知を受信した場合、取引可否情報33cを読み出す。情報処理装置30は、取引可否情報33cが取引可を示す情報である場合、第2の取引装置20に取引許可通知を送信する。情報処理装置30は、取引可否情報33cが取引否を示す情報である場合、第2の取引装置20に取引抑止通知を送信する。
【0027】
第2の取引装置20は、取引許可通知を情報処理装置30から受信した場合、受け付けた出金取引を実行する。第2の取引装置20は、取引抑止通知を情報処理装置30から受信した場合、受け付けた出金取引を中止し、表示部24に出金取引は抑止する(取り扱いできない)旨を表示する指示を出す。
【0028】
このように、複数の取引装置を含む取引システム50において、各取引装置は、出金金額の累計額が取引装置毎に設定された出金金額の上限額を超える場合、受け付けた出金取引を抑止するとともに限度額到達通知を送信できる。
【0029】
情報処理装置30は、限度額到達装置台数33aが閾値33bを超えた場合、以後の取引確認通知に対する応答として出金取引を抑止する指示を送信する。言い換えると、情報処理装置30は、出金金額の累計額が上限金額を超えていない取引装置に対して、取引確認通知の応答として国籍情報が日本以外の国の出金取引を抑止する指示を送信することにより、国籍情報が日本以外の国の出金取引の多発を回避できる。情報処理装置30は、不正出金が多発する兆候を検知し、国籍情報が日本以外の国の出金取引を抑止することにより、不正出金が継続されることや被害額が増加することの防止を図ることができる。
【0030】
このように、情報処理装置30は、複数の取引装置が用いられることによる不正出金による被害が拡大することの防止を図ることができる。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態として、情報処理装置30を運用監視サーバに適用し、取引装置10,20をATMに適用した取引システムについて
図2を用いて説明する。
図2は、第2の実施形態の取引システムの一例を示す図である。
【0031】
金融機関等における取引システム400は、
図2に示すように、複数のATM100,100a,100b,100c,…,100zが備えられている。以下の説明では、特にATMを特定して説明する場合を除き、ATM100と記載する。なお、取引システム400が備えるATM100の台数は限られず、複数台のATM100を備えればよい。ATM100は、運用監視サーバ200およびホストコンピュータ300とネットワーク250を介して接続されている。ホストコンピュータ300は、データベース350と接続している。なお、ホストコンピュータ300は、ネットワーク250を介してデータベース350と接続してもよい。
【0032】
運用監視サーバ200は、ネットワーク250を介してATM100を監視し、ATM100とデータの送受信を行うコンピュータである。また、運用監視サーバ200は、ATM100を監視する情報を保持する。また、運用監視サーバ200は、ATM100に取引を抑止する命令を送信し、ATM100を用いた金融取引を抑止させることができる。
【0033】
ホストコンピュータ300は、ネットワーク250を介して、ATM100とデータの送受信を行うコンピュータである。また、ホストコンピュータ300は、ATM100から送信されたパスワードの認証処理や各種の金融取引ができる。また、ホストコンピュータ300は、データベース350と情報交換が可能である。データベース350は、認証情報や、口座残高等を保持する記憶装置である。
【0034】
次に、ATMの概略構成について
図3を用いて説明する。
図3は、第2の実施形態のATMの概略構成の一例を示す図である。
ATM100は、顧客操作部114と、カード/レシート部115と、紙幣処理部116と、テンキー入力部117と、を有する。
【0035】
顧客操作部114は、ディスプレイとタッチパネルとを有し、取引操作の案内と、入力の受け付けとを行う。なお、図示を略すが、ATM100は、ディスプレイ等の表示による指示だけでなく、受話器等の音声による指示も可能である。取引操作の案内や入力の指示等は、ディスプレイ等を用いた表示の指示に限らず、音声ガイダンスによる指示を行うこともできる。
【0036】
カード/レシート部115は、キャッシュカードやクレジットカード等のカードを用いる取引において、カードの挿入と排出を行う。また、カード/レシート部115は、取引終了の際に取引内容を印刷した明細票を印刷し排出する。紙幣処理部116では、入金および出金取引の際に、紙幣の受け渡しを処理する。
【0037】
テンキー入力部117は、数字等を入力するテンキーを備え、顧客操作部114のタッチパネルと協働して顧客の指示を受け付ける。たとえば、テンキー入力部117は、カードに記録された口座情報に対応する口座を認証するためのパスワード(暗証番号)や、金融取引の金額等の入力を受け付けることができる。
【0038】
ここで、顧客による現金を引き出す処理(出金取引)の一例について説明する。顧客は、顧客操作部114に表示された内容に従って、出金取引を選択し、カードをカード/レシート部115に挿入する。顧客は、顧客操作部114又はテンキー入力部117を介して暗証番号と出金金額を入力する。
【0039】
ATM100は、入力された出金金額とATM100が保持する出金金額を累積した金額との合計金額が、ATM100が保持する出金金額の上限の金額を超えない場合、運用監視サーバ200に取引確認の通知を送信する。ATM100は、運用監視サーバ200から取引許可の通知を受信した場合、ホストコンピュータ300に出金取引を要求する。ホストコンピュータ300は、認証処理を行い、認証処理に問題なければ出金許可をATM100に送信する。ATM100は、紙幣処理部116から出金金額で指定された現金を排出する。顧客は、紙幣処理部116から現金を受け取り、カード/レシート部115からカードと取引明細が印刷されたレシートを受け取り、取引を完了する。
【0040】
次に、第2の実施形態のATMのハードウェア構成について
図4を用いて説明する。
図4は、第2の実施形態のATMのハードウェア構成の一例を示す図である。
ATM100は、制御部150と、ディスプレイ114aと、タッチパネル114bと、カード/レシート処理ユニット171と、紙幣処理ユニット172と、テンキー処理ユニット173と、対人センサ制御174と、を含む。
【0041】
制御部150は、プロセッサ151、RAM(Random Access Memory)152、第1HDD153a、第2HDD153b、外部通信インタフェース154、表示処理ユニット155、タッチパネル処理ユニット156およびI/O(Input/Output)制御部157を有し、各々がバス158を介して接続されている。なお、制御部150は、コンピュータの一例でもある。
【0042】
プロセッサ151は、ATM100の全体動作を制御するものであり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)等である。RAM152には、プロセッサ151に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM152には、プロセッサ151による処理に必要な各種データが格納される。
【0043】
第1HDD153aおよび第2HDD153bには、OSやアプリケーションプログラムや取引履歴等を格納できる。第1HDD153aと、第2HDD153bとは、システム保護のために二重化されているが、いずれか一方のみで構成することもできる。また、第1HDD153aと第2HDD153bは、SSD(Solid State Drive)等他の記憶装置でも代用可能である。
【0044】
外部通信インタフェース154は、外部のネットワーク250に接続され、ホストコンピュータ300や運用監視サーバ200との間でデータの送受信を行う。また、外部通信インタフェース154は、ホストコンピュータ300へパスワードや取引情報等を送信できる。また、外部通信インタフェース154は、ホストコンピュータ300からパスワードの承認情報や取引許可情報等を受信できる。また、外部通信インタフェース154は、運用監視サーバ200と出金金額の限度額に到達した旨の通知や取引抑止の情報を送受信できる。
【0045】
表示処理ユニット155には、ディスプレイ114aが接続される。ディスプレイ114aは、タッチパネル114bとともに顧客操作部114を構成する。表示処理ユニット155は、プロセッサ151の制御の下に、操作案内等の各種情報をディスプレイ114aの画面に表示させる。なお、図示を略すが、ATM100は、表示処理ユニット155だけでなく、音声処理ユニットを備えてもよい。音声処理ユニットには、受話器やイヤホン等音声出力可能な機器が接続される。音声処理ユニットは、顧客操作部114に付随して構成されてもよい。音声処理ユニットは、プロセッサ151の制御の下に、操作案内等の各種の情報を音声ガイダンスで受話器等に出力させる。
【0046】
タッチパネル処理ユニット156には、タッチパネル114bが接続される。タッチパネル114bは、ディスプレイ114aの上層に形成される。タッチパネル処理ユニット156は、顧客の指がタッチパネル114bに接触した画面上の位置を検出し、プロセッサ151に通知する。
【0047】
I/O制御部157には、カード/レシート処理ユニット171、紙幣処理ユニット172、テンキー処理ユニット173および対人センサ制御174が接続される。I/O制御部157は、プロセッサ151の制御の下に、接続する各部にプロセッサ151からの指示を通知するとともに、各部から取得した情報をバス158経由でプロセッサ151に送る。
【0048】
カード/レシート処理ユニット171は、カード/レシート部115に設けられ、カードの取り込みと排出、および明細票(レシート)の排出を制御する。また、取り込んだカードに付された磁気ストライプやICチップ等から口座番号や国籍コード等の情報を読み取る。
【0049】
紙幣処理ユニット172は、紙幣処理部116に設けられ、プロセッサ151の指示に従って紙幣の入出金と、扉の開閉とを制御する。
テンキー処理ユニット173は、テンキー入力部117に設けられ、顧客が押下したテンキーの情報を受け付ける。顧客が押下したテンキーの情報には、パスワード、出金金額、金融取引で用いる情報等を含めてもよい。対人センサ制御174は、人の接近を検知する対人センサを制御し、ATM100に顧客が近付いたことを検出する。
【0050】
可搬型記憶媒体175は、たとえば、DVD(Digital Versatile Disk)やCD−ROM(Compact Disc − Read Only Memory)等の記憶媒体である。可搬型記憶媒体175は、取引履歴等を格納できる。
【0051】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施形態の処理機能を実現することができる。なお、上記の構成は一例であり、ATM100の構成部の組み合わせは適宜決定される。上記構成のうち必要のないものを削除するとしてもよいし、たとえば、手のひら静脈や指静脈を用いた生体認証部や、非接触ICカードに対応する非接触IC部や、硬貨処理ユニット等を加えることもできる。なお、第1の実施形態に示した第1の取引装置10、第2の取引装置20も、
図4に示したATM100と同様のハードウェアにより実現できる。
【0052】
次に、第2の実施形態の運用監視サーバのハードウェア構成について
図5を用いて説明する。
図5は、第2の実施形態の運用監視サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0053】
運用監視サーバ200は、制御部210を含む。制御部210は、プロセッサ211、RAM212、HDD213、入出力信号インタフェース214、記憶媒体インタフェース215、通信インタフェース216を含む。運用監視サーバ200は、プロセッサ211によって装置全体が制御されている。プロセッサ211には、バス217を介してRAM212と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ211は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ211は、たとえば、CPU、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はPLD(Programmable Logic Device)である。また、プロセッサ211は、CPU、MPU、DSP、ASIC、PLDのうちの2以上の要素の組み合わせであってもよい。
【0054】
RAM212は、運用監視サーバ200の主記憶装置として使用される。RAM212には、プロセッサ211に実行させるOSのプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM212には、プロセッサ211による処理に必要な各種データが格納される。
【0055】
バス217に接続されている周辺機器としては、HDD213、入出力信号インタフェース214、記憶媒体インタフェース215および通信インタフェース216がある。
HDD213は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD213は、運用監視サーバ200の補助記憶装置として使用される。HDD213には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、補助記憶装置としては、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置を使用することもできる。
【0056】
入出力信号インタフェース214には、入出力デバイス218が接続されている。入出力デバイス218は、入力デバイスと出力デバイスを含む。入力デバイスの一例として、キーボードや、マウスや、タッチパネル等がある。また、出力デバイスの一例には、モニタや、液晶表示や、各種パネル表示装置等がある。
【0057】
入出力信号インタフェース214は、キーボードやマウスから送られてくる信号をプロセッサ211に送信する。なお、マウスは、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボール等がある。
【0058】
入出力デバイス218の出力デバイスは、プロセッサ211からの命令に従って、画像をモニタの画面に表示させる。モニタとしては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0059】
記憶媒体インタフェース215は、磁気やレーザ等を利用して記憶媒体219に記録されたデータの読み取りや書き込みを行う。また、記憶媒体インタフェース215は、半導体メモリ等の記憶媒体に記録されたデータの読み取りを行うものであってもよい。記憶媒体219とは、たとえば、光ディスクや、フラッシュメモリ等の半導体メモリ等を含む。光ディスクは、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記憶媒体である。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等がある。
【0060】
記憶媒体インタフェース215は、運用監視サーバ200に周辺機器を接続するための通信インタフェースとしても用いることができる。たとえば、記憶媒体インタフェース215には、メモリ装置やメモリリーダライタを接続することができる。メモリ装置は、記憶媒体インタフェース215との通信機能を搭載した記憶媒体である。メモリリーダライタは、メモリカードへのデータの書き込み、又はメモリカードからのデータの読み出しを行う装置である。メモリカードは、カード型の記憶媒体である。
【0061】
通信インタフェース216は、ネットワーク250に接続されている。通信インタフェース216は、ネットワーク250を介して、他のコンピュータ又は通信機器との間でデータの送受信を行う。なお、ネットワーク250は、有線ネットワークでもよいし、無線ネットワークでもよい。通信インタフェース216は、双方向デジタル通信を送受信可能なインタフェースでもよいし、その他のものでもよい。
【0062】
以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施形態の運用監視サーバ200の処理機能を実現することができる。なお、ホストコンピュータ300も、
図4に示した運用監視サーバ200と同様のハードウェアにより実現できる。なお、第1の実施形態に示した情報処理装置30も、
図5に示した運用監視サーバ200と同様のハードウェアにより実現できる。
【0063】
運用監視サーバ200は、たとえばコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施形態の処理機能を実現する。運用監視サーバ200に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記憶媒体に記録しておくことができる。たとえば、運用監視サーバ200に実行させるプログラムをHDD213に格納しておくことができる。プロセッサ211は、HDD213内のプログラムの少なくとも一部をRAM212にロードし、プログラムを実行する。また、運用監視サーバ200に実行させるプログラムを、光ディスク、メモリ装置、メモリカード等の可搬型記憶媒体に記録しておくこともできる。可搬型記憶媒体に格納されたプログラムは、たとえばプロセッサ211からの制御により、HDD213にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ211が、可搬型記憶媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0064】
次に、第2の実施形態のATMと運用監視サーバのシーケンスについて
図6を用いて説明する。
図6は、第2の実施形態のATMと運用監視サーバのシーケンスを示す図である。
【0065】
ATM100と運用監視サーバ200で実行される処理のシーケンスについて説明する。なお、ATM100が実行する処理は、制御部150(プロセッサ151)が実行する。運用監視サーバ200が実行する処理は、制御部210(プロセッサ211)が実行する。
【0066】
なお、ATM100a,100b,100c,100d,100eは、運用監視サーバ200に対して出金限度額到達通知を送信するATM100であるものとする。また、ATM100zは、出金限度額到達通知を送信しないATM100であるものとする。シーケンスにおいては、ATM100b,100c,100dの記載を省略する。
【0067】
[ステップS11]ATM100aは、顧客から出金取引が選択されカードが挿入され暗証番号と出金金額が入力された際に、出金限度額に到達したか否かを判定し、出金限度額に到達した場合に運用監視サーバ200に出金限度額到達通知を送信する。
【0068】
なお、本処理は一例であり、ATM100aは、海外カードを用いた出金取引の場合にのみ出金限度額到達通知を送信できる。海外カードとは、日本以外の国コードの情報が記憶されたカードである。海外カードには、たとえば、海外の金融機関が発行したカードや、海外の金融機関が発行したように装った偽造カードが含まれる。
【0069】
ATM100の処理の詳細については、後で
図8および
図9を用いて説明する。また、出金限度額については、後で
図7を用いて説明する。
[ステップS12]ATM100aは、カード/レシート部115から顧客が挿入したカードを返却し、顧客操作部114に「国内カードおよび海外カードの全取引休止」の旨を表示する。
【0070】
なお、ATM100aは、運用監視サーバ200から取引の再開の指示を受信するまで、全ての取引を休止する。ATM100aは、ATM100に定められた出金限度額を超える出金累計額になる出金の指示を受け付けており、ATM100aにおいて取引を継続すると不正な取引が発生する兆候が伺える。ATM100aが不正な取引で使用される危険を回避するため、出金限度額を超える出金累計額になる出金の指示を受け付けたATM100aにおける全ての取引を休止する。
【0071】
[ステップS13]運用監視サーバ200は、ATM100aから出金限度額到達通知を受信する。
[ステップS14]運用監視サーバ200は、ステップS13で受信した情報に基づき、運用監視サーバ200が保持する監視情報を更新し、監視情報を運用監視サーバ200に接続されたモニタ等の表示部に表示する。
【0072】
なお、監視情報については、後で
図10を用いて説明する。
[ステップS15]ATM100eは、顧客から出金取引を選択されカードが挿入され暗証番号と出金金額が入力された際に、出金限度額に到達したか否かを判定し、出金限度額に到達した場合に運用監視サーバ200に出金限度額到達通知を送信する。
【0073】
[ステップS16]ATM100eは、カード/レシート部115から顧客が挿入したカードを返却し、顧客操作部114に「国内カードおよび海外カードの全取引休止」の旨を表示する。
【0074】
なお、ATM100eは、運用監視サーバ200から取引の再開の指示を受信するまで、全ての取引を休止する。本処理は、ステップS12と同様である。
[ステップS17]運用監視サーバ200は、ATM100eから出金限度額到達通知を受信する。
【0075】
[ステップS18]運用監視サーバ200は、ステップS17で受信した情報に基づき、運用監視サーバ200が保持する監視情報を更新し、監視情報を運用監視サーバ200に接続されたモニタ等の表示部に表示する。
【0076】
[ステップS19]運用監視サーバ200は、限度額到達ATM台数が閾値に到達したか否かを判定し、閾値に到達した際に縮退フラグを「ON」に設定する。
限度額到達ATM台数は、出金限度額到達通知を運用監視サーバ200に送信したATM100の台数である。言い換えると、限度額到達ATM台数は、受け付けた出金金額と出金累計額との合計金額が出金限度額以上となるATM100の台数である。閾値は、運用監視サーバ200のHDD213等の記憶部に予め設定された値であり、限度額到達ATM台数の上限を定めた台数である。なお、縮退フラグについては、後で
図11を用いて説明する。
【0077】
ここで、限度額到達ATM台数が5台(ATM100a,100b,100c,100d,100e)であり、閾値が5台であるものとする。運用監視サーバ200は、限度額到達ATM台数が閾値に到達したと判定し、縮退フラグを「ON」に設定したものとする。
【0078】
[ステップS20]ATM100zは、顧客から出金取引を選択されカードが挿入され暗証番号と出金金額が入力された際に、出金限度額に到達したか否かを判定し、出金限度額に到達していない場合に取引確認通知を運用監視サーバ200に送信する。
【0079】
なお、本処理は一例であり、ATM100zは、海外カードを用いた出金取引の場合にのみ取引確認通知を送信できる。
[ステップS21]運用監視サーバ200は、ATM100zから取引確認通知を受信する。
【0080】
[ステップS22]運用監視サーバ200は、取引確認通知を受信したことに伴い、縮退フラグを参照する。ここで、縮退フラグは「ON」に設定されている。
[ステップS23]運用監視サーバ200は、ステップS22で参照した縮退フラグが「ON」であることに伴い、取引抑止通知をATM100zに送信する。なお、取引抑止通知は、海外カードを用いた取引を抑止する命令であり、運用監視サーバ200からATM100zに送信される。
【0081】
[ステップS24]運用監視サーバ200は、監視情報をモニタ等の表示部に表示する。なお、運用監視サーバ200の処理の詳細については、後で
図12を用いて説明する。
[ステップS25]ATM100zは、運用監視サーバ200から取引抑止通知を受信する。
【0082】
[ステップS26]ATM100zは、取引抑止通知を受信したことに伴い出金取引を中止し、顧客操作部114に「海外カードの取引抑止」の旨を表示し、カード/レシート部115から顧客が挿入したカードを返却する。なお、ATM100zは、海外カードの取引のみ抑止し、国内カードの取引は継続できる。ATM100zは、ATM100に定められた出金限度額を超える出金累計額になる出金の指示を受け付けておらず、ATM100zにおいては不正な取引が発生する兆候がATM100aよりも低いと想定される。また、不正な取引が発生する兆候が低いATM100zにおいて全ての取引を抑止することは顧客の利便性を低下させるため回避し、機能の一部について抑止することに留める。
【0083】
このように、各ATM100は、ATM100に設定された出金限度額を超える出金累計額になる出金を受け付けた場合、取引を中止し出金限度額を超えた旨を運用監視サーバ200に通知することができる。また、運用監視サーバ200は、各ATM100から出金限度額到達通知を受信することで限度額到達ATM台数を管理できる。また、運用監視サーバ200は、限度額到達ATM台数が閾値に到達した後、取引確認通知を運用監視サーバ200に送信したATM100に対して取引抑止通知を送信して取引を抑止させることで、複数のATM100で出金が多発することを回避できる。
【0084】
なお、上述のシーケンスは一例であり、その他の構成および方法で実現してもよい。たとえば、運用監視サーバ200の処理について、運用サーバおよび監視サーバの2台のサーバで分担して処理を実現してもよい。
【0085】
次に、第2の実施形態のATMで設定するATM設定情報について
図7を用いて説明する。
図7は、第2の実施形態のATM設定情報の一例を示す図である。
ATM設定情報500は、ATM100が出金限度額到達通知や取引確認通知を運用監視サーバ200に送信する場合に用いられる情報である。ATM設定情報500は、ATM100の第1HDD153a等の記憶部に記憶される情報である。ATM設定情報500は、国コードと、出金限度額と、出金累計額とを含む情報である。なお、国コードと出金限度額は、ATM100のシステム管理者や保守員等に予め設定される情報である。出金累計額は、ATM100によって更新される情報である。
【0086】
国コードは、国を識別するための情報であり、ATM100に挿入されるカードの磁気ストライプやICチップに記憶される。国コードには、Numericコード,Alpha−2コード,Alpha−3コード,等の複数の種類があるがいずれでもよい。ATM100は、カードが挿入された際にカードから国コードを読み取り、国コードが海外(日本以外)か否かを判定できる。
【0087】
出金限度額は、ATM100に定められた出金の上限の金額である。なお、ATM設定情報500においては、ATM100に挿入されたカードの国コードが海外(日本以外)の場合に出金限度額が100万円であることを示しているが、これは一例に過ぎない。たとえば、国コードがアメリカを示す場合は出金限度額を200万円とし、国コードが南アフリカを示す場合は出金限度額を80万円とする、等のように個別の国コードに対して出金限度額を設定してもよい。なお、出金限度額は、ATM100における1日あたりの出金の上限の金額であってもよいし、ATM100における所定の時間毎の出金の上限の金額であってもよい。
【0088】
出金累計額は、ATM100から出金された金額の累計の金額である。出金累計額の初期値は、「0(ゼロ)」である。出金累計額には、顧客がATM100から出金する毎に出金金額が加算される。ATM設定情報500においては、一例として、国コードが海外(国コードが日本以外)であるカードを用いて出金された金額の累計が5万円であることを示している。
【0089】
次に、第2の実施形態のATMが実行する取引処理について
図8および
図9を用いて説明する。
図8は、第2の実施形態のATM取引処理のフローチャートを示す図である(その1)。
図9は、第2の実施形態のATM取引処理のフローチャートを示す図である(その2)。
【0090】
ATM取引処理は、ATM100が顧客から取引の操作を受け付け、取引を行う処理である。ATM100の制御部150(プロセッサ151)は、取引選択画面において顧客から取引操作を受け付け、ATM取引処理を実行する。
【0091】
[ステップS31]制御部150は、対人センサ制御174を介し顧客が接近したことを検出した場合に、顧客操作部114において取引選択画面を表示し、国内取引又は海外取引のいずれかの選択を受け付ける。取引選択画面は、海外取引を選択するボタンや、国内取引を選択するボタンを表示する画面である。
【0092】
制御部150は、タッチパネル114bを介して海外取引を選択するボタンが押下され、海外取引を受け付けたと判定した場合にステップS32に進む。制御部150は、タッチパネル114bを介して国内取引を選択するボタンが押下され、国内取引を受け付けたと判定した場合にステップS41に進む。制御部150は、タッチパネル114bを介して海外取引および国内取引のいずれのボタンも押下されず、受け付け無しであると判定した場合にステップS31にもどる。
【0093】
ここで、ATM100が金融取引として出金処理を実行する場合について説明する。
[ステップS32]制御部150は、ATM100を識別する情報であるATM識別情報とともに取引確認通知を運用監視サーバ200に送信する。
【0094】
[ステップS33]制御部150は、運用監視サーバ200から取引許可通知を受信したか否かを判定する。制御部150は、運用監視サーバ200から取引許可通知を受信した場合にステップS34に進む。制御部150は、取引許可通知を受信しない場合、言い換えると、取引抑止通知を運用監視サーバ200から受信した場合にステップS48に進む。
【0095】
[ステップS34]制御部150は、顧客操作部114にカードを挿入する指示を表示し、カード/レシート部115からカードを受け付ける。
[ステップS35]制御部150は、ステップS24で受け付けたカードが海外カードか否かを判定し、海外カードではない場合にステップS36に進み、海外カードである場合にステップS38に進む。
【0096】
なお、制御部150は、受け付けたカードから国コードを読み出し、日本を示す国コードである場合に海外カードでないと判定し、日本以外の国を示す国コードである場合に海外カードであると判定する。
【0097】
[ステップS36]制御部150は、顧客操作部114に「海外カードではない」旨を表示する。
[ステップS37]制御部150は、カード/レシート部115からカードを排出し、ステップS31にもどる。
【0098】
[ステップS38]制御部150は、顧客操作部114に暗証番号を入力する指示を表示し、テンキー入力部117において顧客から暗証番号の入力を受け付ける。
[ステップS39]制御部150は、顧客操作部114に出金金額を入力する指示を表示し、テンキー入力部117において顧客から出金金額の入力を受け付ける。
【0099】
[ステップS40]制御部150は、ステップS39で受け付けた出金金額とATM設定情報500から読み出した出金累計額との合計金額が出金限度額以上であるか否かを判定する。
【0100】
制御部150は、合計金額が出金限度額以上でない場合にステップS49に進み、合計金額が出金限度額以上である場合にステップS54に進む。
[ステップS41]制御部150は、顧客操作部114にカードを挿入する指示を表示し、カード/レシート部115からカードを受け付ける。
【0101】
[ステップS42]制御部150は、顧客操作部114に暗証番号を入力する指示を表示し、テンキー入力部117において顧客から暗証番号の入力を受け付ける。
[ステップS43]制御部150は、顧客操作部114に出金金額を入力する指示を表示し、テンキー入力部117において顧客から出金金額の入力を受け付ける。
【0102】
[ステップS44]制御部150は、口座番号、暗証番号、出金金額をホストコンピュータ300に送信し、出金処理を要求する。ここで、口座番号は、ステップS41で受け付けたカードに記憶された情報であり、ATM100がカードから読み取る情報である。暗証番号は、ステップS42で受け付けた暗証番号である。出金金額は、ステップS43で受け付けた出金金額である。
【0103】
なお、ホストコンピュータ300において、暗証番号の認証処理を行い、口座番号に対応する口座残高から出金金額の減額等の処理を実行するが、詳細については省略する。
[ステップS45]制御部150は、ホストコンピュータ300から出金許可を受信する。
【0104】
[ステップS46]制御部150は、ステップS43で受け付けた出金金額の現金を紙幣処理部116から排出する。
[ステップS47]制御部150は、カード/レシート部115からカードを排出し、ステップS31にもどる。
【0105】
[ステップS48]制御部150は、顧客操作部114に「海外カードの取引抑止」の旨を表示し、ステップS31に進む。
[ステップS49]制御部150は、口座番号、暗証番号、出金金額をホストコンピュータ300に送信し、出金処理を要求する。ここで、口座番号は、ステップS34で受け付けたカードに記憶された情報であり、ATM100がカードから読み取る情報である。暗証番号は、ステップS38で受け付けた暗証番号である。出金金額は、ステップS39で受け付けた出金金額である。
【0106】
なお、ホストコンピュータ300において、暗証番号の認証処理を行い、口座番号に対応する口座残高から出金金額の減額等の処理を実行するが、詳細については省略する。
[ステップS50]制御部150は、ホストコンピュータ300から出金許可を受信する。
【0107】
[ステップS51]制御部150は、ステップS39で受け付けた出金金額の現金を紙幣処理部116から排出する。
[ステップS52]制御部150は、ATM設定情報500の出金累計額にステップS39で受け付けた出金金額を加算する。
【0108】
[ステップS53]制御部150は、カード/レシート部115からカードを排出し、ステップS31にもどる。
[ステップS54]制御部150は、ATM100を識別する情報であるATM識別情報とともに出金限度額到達通知を運用監視サーバ200に送信する。
【0109】
[ステップS55]制御部150は、顧客操作部114に「海外カードの出金取引を中止する」旨を画面表示する。
[ステップS56]制御部150は、カード/レシート部115からカードを排出する。
【0110】
[ステップS57]制御部150は、全ての取引を休止させる旨を画面表示する。なお、制御部150は、運用監視サーバ200から取引再開の指示を受信した場合は、ステップS31に進むことができる。
【0111】
このように、ATM100は、ATM100に設定された出金限度額に到達した場合、運用監視サーバ200に出金限度額到達通知を送信し、ATM100において全取引を休止する。これにより、ATM100は、ATM100に設定された出金限度額以上の出金が実行されることを回避できる。また、ATM100は、出金限度額に到達していない場合であっても、運用監視サーバ200から取引抑止通知を受信して取引を抑止できる。運用監視サーバ200は、取引抑止通知をATM100に送信することにより出金限度額に達していないATM100においても海外カードを用いた出金を抑止できる。これにより、複数のATM100において海外カードを用いた出金が多発することを回避できる。
【0112】
次に、第2の実施形態の運用監視サーバが保持する監視情報について
図10を用いて説明する。
図10は、第2の実施形態の監視情報の一例を示す図である。
監視情報600は、運用監視サーバ200がATM100を監視するために用いる情報である。監視情報600は、HDD213等の記憶部に記憶される。監視情報600は、ATM識別情報と、出金限度額到達通知日時と、限度額到達フラグとを含む情報である。
【0113】
ATM識別情報は、取引システム400に含まれる複数のATM100を一意に識別するための情報である。たとえば、ATM100aのATM識別情報が「A01」、ATM100zのATM識別情報が「Z77」である。
【0114】
出金限度額到達通知日時には、運用監視サーバ200がATM100から出金限度額到達通知を受信した日時が運用監視サーバ200によって設定される。出金限度額到達通知日時の初期値は「−(日時未設定)」である。なお、出金限度額到達通知を運用監視サーバ200に送信したATM100は、ATM100において全取引を休止した状態である。
【0115】
限度額到達フラグは、ATM識別情報で示されるATM100が出金限度額に到達したATM100であるか否かを示す情報である。限度額到達フラグは、出金限度額到達通知を送信したATM100のATM識別情報に対応して運用監視サーバ200によって「ON」に設定され、出金限度額に到達したことを示す。限度額到達フラグの初期値は「OFF」であり、出金限度額に到達していないことを示す。
【0116】
ここで、ATM識別情報「A01」、出金限度額到達通知日時「2016/8/8 5:10」、限度額到達フラグ「ON」を含むエントリについて説明する。ATM識別情報「A01」で示されるATM100aから、運用監視サーバ200が2016年8月8日5時10分に出金限度額到達通知を受信し、ATM100aが出金限度額に到達したことを示している。
【0117】
次に、第2の実施形態の運用監視サーバが保持する縮退フラグ管理情報について
図11を用いて説明する。
図11は、第2の実施形態の縮退フラグ管理情報の一例を示す図である。
【0118】
縮退フラグ管理情報610は、運用監視サーバ200がATM100に対して取引を休止する指示を送信するか否かを判定するために用いる情報である。縮退フラグ管理情報610は、HDD213等の記憶部に記憶される。縮退フラグ管理情報610は、縮退フラグを含む情報である。
【0119】
縮退フラグは、限度額到達ATM台数が予め定められた閾値を超えた場合に、運用監視サーバ200によってONに設定される情報である。なお、出金限度額到達通知を送信したATM100の台数は、監視情報600において限度額到達フラグが「ON」に設定されたATM100の台数である。
【0120】
縮退フラグが「ON」の場合、運用監視サーバ200は、ATM100から受信した取引確認通知に対する応答として、取引抑止通知をATM100に送信する。縮退フラグが「OFF」の場合、運用監視サーバ200は、ATM100から受信した取引確認通知に対する応答として、取引許可通知をATM100に送信する。縮退フラグの初期値は「OFF」である。
【0121】
次に、第2の実施形態の運用監視サーバが実行する処理について
図12を用いて説明する。
図12は、第2の実施形態の運用監視サーバ処理のフローチャートを示す図である。
運用監視サーバ200の制御部210(プロセッサ211)は、ATM100から出金限度額到達通知又は取引確認通知を受信し、運用監視サーバ処理を実行する。
【0122】
[ステップS61]制御部210は、出金限度額到達通知又は取引確認通知をATM100から受信したか否かを判定する。制御部210は、出金限度額到達通知を受信した場合にステップS62に進む。制御部210は、取引確認通知を受信した場合にステップS65に進む。制御部210は、出金限度額到達通知又は取引確認通知のいずれも受信しない場合にステップS61にもどる。
【0123】
[ステップS62]制御部210は、監視情報600の限度額到達通知日時と限度額到達フラグを更新する。具体的には、制御部210は、出金限度額到達通知を送信したATM100のATM識別情報に対応する限度額到達通知日時に出金限度額到達通知を受信した日時を設定する。制御部210は、出金限度額到達通知を送信したATM100のATM識別情報に対応する限度額到達フラグを「ON」に設定する。
【0124】
[ステップS63]制御部210は、監視情報600を読み出し、限度額到達ATM台数が所定時間内に閾値以上であるか否かを判定する。言い換えると、制御部210は、監視情報600を読み出し、限度額到達フラグが「ON」のATM100の台数が所定時間内に閾値以上であるか否かを判定する。
【0125】
制御部210は、限度額到達ATM台数が所定時間内に閾値以上であると判定した場合にステップS64に進む。制御部210は、限度額到達ATM台数が所定時間内に閾値以上ではないと判定した場合にステップS68に進む。
【0126】
ここで、限度額到達ATM台数が所定時間内に閾値以上であるか否かを判定する具体例について、以下の第1の例,第2の例,第3の例をあげて説明する。
まず、第1の例として、所定時間の開始時刻が予め定められた時刻(たとえば、1時,2時,…,24時)であり、所定時間が「開始時刻から後2時間単位」であり、閾値が「5台」である場合について説明する。以下の説明において、本ステップを実行する年月日は、2016年8月8日であるものとする。制御部210は、監視情報600に基づき、本ステップを実行する同年同月同日について2時間単位で限度額到達ATM台数を計数する。制御部210は、4時から6時までの2時間の間に限度額到達ATM台数が5台であり、閾値以上であると判定し、ステップS64に進む。なお、監視情報600においては、3時から5時までの2時間のように限度額到達ATM台数が0台の時間帯が存在するが、同年同月同日において、限度額到達ATM台数が閾値以上になる時間帯が1つでも存在する場合には、ステップS64に進むものとする。
【0127】
次に、第2の例として、所定時間の開始時刻が0時であり、所定時間が「開始時刻から1日単位」であり、閾値が「5台」である場合について説明する。制御部210は、監視情報600に含まれるデータに基づき、1日単位で限度額到達ATM台数を計数する。制御部210は、監視情報600に基づき、本ステップを実行した日の0時から24時までの1日の間に限度額到達ATM台数が5台であり、閾値以上であると判定し、ステップS64に進む。
【0128】
最後に、第3の例として、所定時間の開始時刻が出金限度額到達通知を受信した時刻であり、所定時間が「開始時刻から前2時間」であり、閾値が「5台」である場合について説明する。運用監視サーバ200は、ATM100から出金限度額到達通知を「2016年8月8日5時55分」に受信したものとする。制御部210は、監視情報600に基づき、5時55分から3時55分までの前2時間における限度額到達ATM台数を判定する。制御部210は、5時55分から前2時間における限度額到達ATM台数は5台であり、閾値以上であると判定し、ステップS64に進む。
【0129】
なお、所定時間は、システム管理者が予め運用監視サーバ200のHDD213等の記憶部に設定できる。また、第1の例および第2の例における所定時間の開始時刻は、システム管理者が予め運用監視サーバ200のHDD213等の記憶部に設定できる。また、上述の第1の例,第2の例,第3の例は、あくまでも一例に過ぎず、その他の方法で限度額到達ATM台数が所定時間内に閾値以上であるか否かを判定してもよい。
【0130】
[ステップS64]制御部210は、縮退フラグ管理情報610の縮退フラグを「ON」に設定する。
[ステップS65]制御部210は、縮退フラグ管理情報610の縮退フラグが「OFF」であるか否かを判定する。制御部210は、縮退フラグが「OFF」である場合にステップS66に進む。制御部210は、縮退フラグが「OFF」でない場合、言い換えると、縮退フラグが「ON」である場合にステップS67に進む。
【0131】
[ステップS66]制御部210は、取引許可通知をATM100に送信する。
[ステップS67]制御部210は、取引抑止通知をATM100に送信する。
[ステップS68]制御部210は、監視情報600をモニタに表示し、ステップS61にもどる。
【0132】
こうして、運用監視サーバ200は、ATM100から出金限度額到達通知を受信することにより、出金限度額に到達した時刻および出金限度額に到達したATM100の台数を監視できる。
【0133】
運用監視サーバ200は、縮退フラグが「ON」の場合に、まだ出金限度額に到達していないATM100から取引確認通知を受信した際に取引抑止通知を送信する。運用監視サーバ200は、まだ出金限度額に到達していないATM100に対して海外カードを用いた出金処理を抑止させることで、複数のATM100において海外カードを用いた出金処理が頻発することを防止できる。
【0134】
このようにして、取引システム400は、複数のATM100が用いられることによる不正出金による被害が拡大することの防止を図ることができる。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、第1の取引装置10、第2の取引装置20、情報処理装置30、ATM100,100a,100b,100c,…,100z、運用監視サーバ200、が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記憶媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記憶媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)、磁気テープ等がある。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM/RW等がある。光磁気記憶媒体には、MO(Magneto-Optical Disk)等がある。
【0135】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記憶媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0136】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記憶媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムにしたがった処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記憶媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムにしたがった処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムにしたがった処理を実行することもできる。
【0137】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP、ASIC、PLD等の電子回路で実現することもできる。