(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6630295
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】ターボ機械用のロータアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F01D 5/02 20060101AFI20200106BHJP
F02C 7/28 20060101ALI20200106BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20200106BHJP
【FI】
F01D5/02
F02C7/28 B
F01D25/00 M
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-575146(P2016-575146)
(86)(22)【出願日】2015年6月24日
(65)【公表番号】特表2017-528634(P2017-528634A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】FR2015051699
(87)【国際公開番号】WO2015197980
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2018年6月4日
(31)【優先権主張番号】1455997
(32)【優先日】2014年6月26日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブランシャール,ステファーヌ・ピエール・ギローム
(72)【発明者】
【氏名】イトウ−ラルドー,ユウキ・オリビエ
【審査官】
北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭55−115660(JP,A)
【文献】
特開2003−314205(JP,A)
【文献】
特開平11−036802(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02973433(FR,A1)
【文献】
特開2009−008086(JP,A)
【文献】
特開2003−003801(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02244100(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/02
F01D 25/00
F02C 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線(X)を有するターボ機械用のロータアセンブリにして、
ディスクに対して下流方向に延在する、スロット(22)がおよび歯(20)が交互する外周部を有するディスク(16)と、
ディスク(16)から半径方向に延在するベーン(14)であって、その根元(24)がスロット(22)に軸線方向に係合され、ディスクの歯によって半径方向に保持されるベーン(14)と、
ディスクの上流のおよび/または下流の、それぞれベーンの根元とディスクのスロットの底部との間に半径方向に形成されるキャビティ(36)を封止するための環状の封止フランジ(52)であって、ディスクによって保持される内部部分(58)とそれぞれディスクの歯のおよびベーンの根元の上流および/または下流端部と向かい合う軸線方向に配置される外部部分(56)とを備える、環状の封止フランジ(52)と、
を備える、ロータアセンブリであって、
ロータアセンブリは、封止フランジ(52)とディスクの歯(20)との間に軸線方向に、および封止フランジ(52)の内部部分と外部部分との間に半径方向に配置される中間リング(66)をさらに備え、
ロータアセンブリは、一方の側の中間リング(66)と他方の側のディスクの歯(20)およびベーンの根元(24)との間に軸線方向に配置されるシール(70)をさらに備え、
中間リングおよび封止フランジが、一方の側の封止フランジ(52)と他方の側のディスクの歯およびベーンの根元との間で回転時に封止を行うように構成され、
封止フランジ(52)が、ディスクに向かって軸線方向におよび半径方向外側に傾斜され、中間リング(66)と向かい合って軸線方向および半径方向に配置される内部円錐台形状面(64)を有することを特徴とする、ロータアセンブリ。
【請求項2】
中間リング(66)およびシール(70)が、回転時に半径方向に細長く開くことを特徴とする、請求項1に記載のロータアセンブリ。
【請求項3】
中間リング(66)が、ディスクに向かって軸線方向におよび半径方向外側に傾斜され、封止フランジ(52)の円錐台形状面(64)に適合する外部円錐台形状面を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のロータアセンブリ。
【請求項4】
中間リング(66)が、ディスクに向かって軸線方向におよび半径方向外側に傾斜され、シール(70)と向かい合って半径方向に配置される内部円錐台形状面を備えることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載のロータアセンブリ。
【請求項5】
シール(70)が、中間リング(66)の下流の環状溝(68)に配置されることを特徴とする、請求項1から4の一項に記載のロータアセンブリ。
【請求項6】
シール(70)が、0.6mmと1.2mmとの間の直径を有することを特徴とする、請求項1から5の一項に記載のロータアセンブリ。
【請求項7】
中間リング(66)およびシール(70)が、完全にスロット底部キャビティ(36)の外側に配置されることを特徴とする、請求項1から6の一項に記載のロータアセンブリ。
【請求項8】
中間リング(66)が、それぞれディスクの歯(20)およびベーンの根元(24)の上流および/または下流端部の方へ軸線方向に押し付けられるように封止フランジ(52)との環状支持で回転的に協働するように構成されることを特徴とする、請求項1から7の一項に記載のロータアセンブリ。
【請求項9】
シール(70)が、この場合それぞれディスクの歯(20)およびベーンの根元(24)の上流および/または下流端部に軸線方向に押し付けられるように中間リング(66)との環状支持で回転的に協働するように構成されることを特徴とする、請求項1から8の一項に記載のロータアセンブリ。
【請求項10】
前記軸線(X)の周りに中間リングを回転ロックするための要素を備える、請求項2に記載のロータアセンブリ。
【請求項11】
軸線(X)の周りに中間リングを回転ロックするための前記要素は、封止フランジ(52)の前記外部部分(56)の1つの端部から突出する部分(740)として、または、ディスク(16)の上流半径方向壁(160)から軸線方向に突出する部分(741)として形成され、前記突出部分が、ディスクおよび封止フランジ(52)に対してリングを回転ロックすることを確実にするように中間リングのスロット(660)に収容される、請求項10に記載のロータアセンブリ。
【請求項12】
請求項1から11の一項に記載のロータアセンブリを備えることを特徴とする、ターボ機械用のタービン。
【請求項13】
請求項1から11の一項に記載のロータアセンブリを備えることを特徴とする、ターボ機械。
【請求項14】
ターボ機械がターボジェットまたはターボプロップである、請求項13に記載のターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に航空機ジェットエンジンなどのターボ機械用のロータアセンブリ、およびこの種のアセンブリを含むターボ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のアセンブリは、特にタービンに認められ得るが、ディスク、およびディスクから半径方向外側に延在するベーンを備え、その根元は、ディスクの外周部のスロットに軸線方向に係合され、前記スロットと交互に配置されるディスクの歯によって半径方向に保持される。いわゆるスロット底部キャビティは、ベーンの根元とスロット底部との間に半径方向に位置する空間によって形成され、そしてそれは、スロットの下流方向に軸線方向に延在する。この種のスロット底部キャビティは、特に、ベーンが遠心効果によってディスクの歯の側部支持面に外側に半径方向に押し付けられる場合に回転時に現れる。
【0003】
また、ベーンは、タービン内で循環する高温ガス流の内部限界を一緒に画定するように端と端をつないで円周方向に配置される内部プラットフォームを備える。噴流に対して内側に、すなわち内部プラットフォームと根元との間に位置するベーンの部分は、支柱と呼ばれている。この条件によれば、空間は、2つの隣接する支柱の間に形成され、支柱間またはベーン間キャビティを形成する。
【0004】
慣例により、上流および下流(upstream and downstream)は、流体が主に流れるターボ機械のX軸線に沿って下流方向で考えられることになる。半径方向(radial)は、軸線Xに対して半径方向を意味し、軸線方向は、軸線Xに平行するものを意味する。また、軸線Xは、ロータアセンブリの軸線である。
【0005】
ターボ機械の性能を改善するために、および上流の燃焼室からの高温ガスの流れによってディスクを加熱すること、および噴流によって流れることを回避するために、封止手段を用いて、スロット底部キャビティを通るこの種のガスの循環を最小限にすることが重要である。実際のところ、スロット底部キャビティに流れる噴流ガスの一部は、ベーンの回転駆動に関与せず、直接ディスクを加熱する。噴流がスロット底部キャビティに達することを防止する封止手段をディスクの歯およびベーンの根元の上流に配置することは、特に有利である。
【0006】
このために、封止フランジ、通常、ディスクを一緒に結び付けるタービンの2つの連続するディスクのフランジの間の内部部分、一般的には半径方向環状壁に維持されるラビリンスリングを用いることが知られている。ディスクフランジは、従来、半径方向内方に、およびディスクの両側に軸線方向に延在する円錐台形状壁によって支持される。封止フランジは、通常、ディスクの回転ベーンと軸線方向に交互する噴流を通して配置される静止ベーンの円周方向の列によって内部に支持されるアブレイダブル材料の部分と協働することを目的としている外部シールリップを備える。また、封止フランジは、1つまたは2つの環状壁、またはフランジの内部部分からディスクの歯およびそれぞれ上流および/もしくは下流のベーン根元まで、ディスクに対して外側に延在する環状アーム(複数の環状アーム)を備える。この種の環状壁の端部は、それぞれのディスクの歯のおよびベーン根元の軸線方向端面に対して環状になって支持される。したがって、封止フランジは、噴流する高温流からディスクおよびスロット底部キャビティを保護する。
【0007】
しかしながら、この解決策は、最適ではなく、次の欠点を有する。
【0008】
実際に、ベーンの根元の軸線方向長さは、ディスクの歯の軸線方向長さと異なる。したがって、第1の軸線方向クリアランスが、ディスクに対するベーンの製造公差と組立公差の両方に起因して、ベーンの根元およびディスクの歯のそれぞれの軸線方向端部の間に形成される。加えて、回転時に、封止フランジの環状壁は、先に示されたディスクへの接続点の周りに外側に半径方向に曲がる。次いで、フランジの環状壁の端部は、この種の曲げ時に、第2の軸線方向クリアランスによってディスクの歯およびベーンの根元から軸線方向に遠ざかる。したがって、噴流する気体は、フランジとディスク/ベーンアセンブリとの間を循環し、スロット底部キャビティを通して循環することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来技術の解決策の欠点を回避すると同時に、スロット底部キャビティを封止する課題に対して簡単で、効果的で経済的な解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、本発明は、ターボ機械用のロータアセンブリにして、
ディスクに対して下流方向に延在する、スロットおよび歯が交互する外周部を有するディスクと、
ディスクから半径方向に延在するベーンであって、その根元がスロットに軸線方向に係合され、ディスクの歯によって半径方向に保持されるベーンと、
ディスクの上流のおよび/または下流の、それぞれベーンの根元とディスクのスロットの底部との間に半径方向に形成されるキャビティを封止するための環状封止フランジであって、ディスクによって保持される内部部分と、それぞれディスクの歯のおよびベーンの根元の上流および/または下流端部と向かい合う軸線方向に配置される外部部分とを備える、環状封止フランジと、
を備える、ロータアセンブリであって、
フランジとディスクの歯との間に軸線方向に、およびディスクの内部部分と外部部分との間に半径方向に配置される中間リングをさらに備え、
また、一方の側の中間リングと他方の側のディスクの歯およびベーンの根元との間に軸線方向に配置されるシールを備え、
中間リングおよび封止フランジが、一方の側の封止フランジと他方の側のディスクの歯およびベーンの根元との間で回転時に封止を行うように構成されることを特徴とする、ロータアセンブリを提供する。
【0011】
そして、スロット底部キャビティの封止を完全にするために、
中間リングは、好ましくは、それぞれディスクの歯およびベーンの根元の上流および/または下流端部の方へ軸線方向に押し付けられるようにフランジとの環状支持で回転的に協働するように構成されること、および/または
シールは、好ましくは、それぞれディスクの歯のおよびベーンの根元の上流および/または下流端部に軸線方向に押し付けられるように中間リングとの環状支持で回転的に協働するように構成されること、
が推奨すらされる。
【0012】
したがって、回転時に、遠心力およびフランジの熱膨張のため、フランジの外部部分は、ディスクの歯およびベーンの根元から軸線方向に間隔を置いて配置される。しかしながら、中間リングは、フランジに支持され、シールを、ディスクの歯およびベーンの根元に押し付ける。
【0013】
したがって、環状接触による完全な封止チェーンが、中間リングおよびシールによって、一方の側のフランジと他方の側のディスクの歯およびベーンの根元との間に確保される。
【0014】
実際には、ベーンの根元の軸線方向長さは、ディスクの歯の軸線方向長さと異なる。したがって、軸線方向クリアランスが、ディスクに対するベーンの製造公差と組立公差の両方に起因して、ベーンの根元およびディスクの歯それぞれの軸線方向端部の間に形成される。本発明により、前記上述のクリアランスを除去するように、シールが、変形し、歯の軸線方向端部およびベーンの根元によって構成される形状故障に適合できるようになるのに十分小さな直径を持つ、従来の金属シールを使用することができるように思われる。シールは、上述の条件の下でその機能を果たすために、実際に、累積的な全軸線方向クリアランスの2倍よりも大きな直径を有さなければならない。それによって封止が確保される。
【0015】
中間リングおよびシールは、回転時に半径方向に細長く開くことが有利である。
【0016】
したがって、回転時に、中間リングおよびシールは、開き、それによって半径方向に延在し、これらの部品の間の封止を最適化するように、封止フランジおよび中間リングに対してそれぞれの環状半径方向支持体を提供する。
【0017】
封止フランジは、ディスクに向かって軸線方向におよび半径方向外側に傾斜され、中間リングと向かい合って半径方向および軸線方向に配置される内部円錐台形状面を有し、それは、回転時に中間リングを支持することが有利である。この内部円錐台形状面は、ディスクの歯と向かい合う封止フランジの軸線方向端部まで延在することが好ましい。
【0018】
回転時に、この種の表面に対する半径方向支持体は、遠心効果のため封止され、中間リングをディスクの方へ軸線方向に押す機械的反作用を与える。
【0019】
中間リングは、ディスクに向かって軸線方向におよび半径方向外側に傾斜され、封止フランジの円錐台形状面に適合する外部円錐台形状面を有することが好ましい。
【0020】
封止フランジの表面および中間リングの表面の相補性が、これらの部品間のより良好な環状接触およびより良好な封止を確保する。
【0021】
中間リングは、ディスクに向かって軸線方向におよび半径方向外側に傾斜され、かつシールと向かい合って半径方向に配置される内部円錐台形状面を備え、それは、回転時にシールを支持することが有利である。この内部円錐台形状面は、ディスクの歯と向かい合う中間リングの軸線方向端部まで延在することが好ましい。
【0022】
この種の表面に対する半径方向支持体は、封止され、シールを、ディスクの歯およびベーンの根元に軸線方向に押し付ける機械的反作用を与える。
【0023】
興味のある他の特徴によれば、シールは、中間リングの下流の環状溝に配置される。この環状溝は、この場合、中間リングの前記内部円錐台形状壁を備える。
【0024】
この溝は、アセンブリのすべての動作条件の下でシールを保持する。
【0025】
好ましい実施形態によれば、シールは、0.6mmと1.2mmとの間、好ましくは0.8mmと1mmとの間の直径を有する。シールは、特に、これらの条件の下で金属で作られてもよい。
【0026】
この直径は、金属シールが、変形し、ディスクの歯およびベーンの根元の端部によって形成される不規則性に適合できるようになるのに適応している。それによって封止が最適化される。
【0027】
より良好な封止を得るために、シールは、中空であってもよい。この形状は適切なサイズと相俟って、ディスクの歯およびベーンの根元の表面に最善の状態で適合する変形を許容するので、より良好な封止を可能にする。
【0028】
最適動作を確保するために、ベーンの根元およびディスクの歯の軸線方向端部の間の最大クリアランスは、押し潰された中空シールの厚さ未満であるべきである。このために、約0.8mmの直径の中央中空部分を持つ、およそ1mmの全直径を持つ中空シールが使用され得る。
【0029】
中間リングおよびシールは、完全にスロット底部キャビティの外側に配置されることが好ましい。
【0030】
特定の実施形態によれば、封止フランジの内部部分は、封止フランジの外部部分よりも、それぞれ上流および/または下流に向かって最も遠く配置される。
【0031】
そのうえ、分割中間リングの場合は、前記軸線(X)の周りに中間リングを回転ロックするための要素が、封止フランジおよび/またはディスクに対してそれの回転ロックを確実にするように設けられることができ、この種の要素は、封止フランジの前記外部部分の1つの端部から突出する部分、および/またはディスクの上流半径方向壁から軸線方向に突出する部分であることが好ましく、前記突出部分は、中間リングのスロットに収容される。
【0032】
また、本発明は、本特許出願において説明されたロータアセンブリを備えるターボ機械のタービンに関する。
【0033】
最後に、本発明は、本特許出願において説明されたロータアセンブリを備える、ターボジェット機またはターボプロップ機などのターボ機械に関する。
【0034】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら非限定的な実施例として与えられる次の説明を読むと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】従来技術によるターボ機械の低圧タービンの軸方向断面による部分概略図である。
【
図2】動作時の、従来技術によるタービンの回転ステージの軸方向断面による部分概略図である。
【
図3】本発明のロータアセンブリの概略軸方向断面図である。
【
図4】動作時の、本発明によるロータアセンブリの軸断面による概略図である。
【
図5】中間リングのおよびシールの分割構造の現実化をより詳細に示す図である。
【
図6】軸方向断面による、ベーンなしの
図4の領域VIの変更された詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
まず第1に、
図1および
図2の参照が行われるが、それらは、高圧タービン12の下流に配置される、従来技術による低圧タービン10を示している。低圧タービン10は、上流ガイドベーンと呼ばれる静止ベーン18の環状列のステージと、それらの周縁に複数のベーン14を備える回転ディスク16のステージとの軸線方向の交互列を含み、この種のステージは、ターボ機械の軸線Xの周りに配置される。
【0037】
本明細書においては、関係している技術分野の場合のように、用語上流の(AM)および下流の(AV)は、上流の(upstream)が、ターボ機械からの一般的な流れストリームが生じる側に軸線方向に位置し、下流の(douwstream)が、同じストリームがそれから流れ出る側に軸線方向に位置するように定義される。
【0038】
各ディスク16は、その外周部に、ベーンの根元(その内端部は参照符24が付けられる)が軸線方向に係合され半径方向に保持されるスロット(その底部は参照符22が付けられる)と交互に配置される歯(その頂部は参照符20が付けられる)を備え、この種のベーン14は、スロット22から、上流燃焼室(図示せず)からの高温ガスストリームの環状流の噴流26の中に半径方向に延在する。
【0039】
より詳細には、各ベーンは、外側から内側に向かって、ブレード28と、ベーン14の延長の軸線に対して実質的に垂直に延在するプラットフォーム30と、プラットフォームをベーン根元24に接続する支柱32とを半径方向に備える。ベーンの根元24は、たとえば、スロット22にそれの半径方向保持を確実にするようにダブテールなどの形状を有する。ベーンのプラットフォーム30は、タービンを通して流れる高温ガスの流れストリームの理想的な内部限界を一緒に画定するように端と端をつないで円周方向に配置される。この条件の下で、空間が、プラットフォーム30からディスク16まで半径方向に延在する環状領域に、円周方向に隣接する支柱32の間に形成され、支柱間またはベーン間キャビティ34と呼ばれる。また、いわゆるスロット底部キャビティ36は、ベーン根元24およびスロット16の底部を分離する半径方向空間によって形成され、ディスク16の上流および下流に開く。壁38、40は、プラットフォームの上流および下流から、ベーンの根元24まで内方に半径方向に延在し、プラットフォーム30からディスク16まで半径方向に延在する環状領域の軸線方向封止手段、およびしたがってベーン間キャビティ34を形成し、それの閉鎖を確実にする。
【0040】
プラットフォームの上流半径方向壁38は、上流に延在するスポイラー42に接続され、下流半径方向壁40は、下流に延在するスポイラー44に接続される。スポイラー42、44は、各タービンステージの間で噴流26の構造的完全性を部分的に保つようにタービンの連続的なステージの間に軸線方向に延在し、それによって、タービンの半径方向内側に向かう高温ガスの流れが制限される。
【0041】
ディスクは、各ディスクから互に向かって軸線方向に延在する環状フランジ48、50を46にてボルトで締めることによって一緒に固定される。また、封止フランジとも呼ばれるラビリンスリング52が、隣接するディスク16の各対の間に軸線方向に配置され、外部部分に、2つの環状壁、またはこの種のディスクまで軸線方向に延在する上流および下流環状アーム54、56を備える。環状アームの端部は、噴流ガスがディスクの歯に沿って内方に半径方向に流れること、およびしたがってスロット底部キャビティに達することを防止するように、スロット底部キャビティの外側に、ディスクの歯およびベーンの根元に対する環状軸線方向支持体を有するように配置される。したがって、ディスクの間の取付フランジ48、50はまた、同フランジを外側で覆うラビリンスリング52のアーム54、56によって噴流ガスから保護される。ラビリンスリング52は、内部部分に、ディスクのフランジ48、50のボルト46に対する固定のための内部半径方向環状壁58をさらに備え、この種のベーン18に対して内方に噴流ガスの軸線方向流れを制限するために、外部環状リップ60によって上流ガイドベーンのベーン18の内端部と協働する。
【0042】
ターボ機械の正しい動作を確保するために、冷却空気Aが、たとえば低圧または高圧圧縮機から取り出され、ディスク16の冷却を行いかつディスク16を噴流26からの高温ガスに起因する加熱から保護するためにスロット底部キャビティ36まで、一方ではディスクのフランジ48、50と他方ではラビリンスリングのアーム54、56との間に半径方向に形成される環状空間の方へ、タービンの内部部分を通して経路を定められる。スロット底部キャビティ36の下流の冷却空気Aの循環を可能にするために、スロット底部キャビティ36は、ディスク16によって軸線方向に支持されるラビリンスリング52のアーム54に対して内方に下流に開く。この種の形状構成により、冷却空気Aは、同様にディスク16の冷却を行うようにディスク16の間で、ラビリンスリング52と取付フランジ48、50との間を下流にさらに半径方向に流れることができる。
【0043】
動作時においては、
図2に示されるように、かつ本明細書において以上に説明したように、ラビリンスリング52の環状アーム54、56は、外側に曲がり、ディスクの歯20およびベーンの根元24から軸線方向に遠ざかり、それにより、噴流する高温ガスが、ディスクの歯20の上流面および下流面に沿って内側から半径方向に流れ、ディスク16およびスロット底部キャビティ36に達することができる。従来技術は、この現象を制限するために、支柱の上流および下流に環状フック(図示せず)を形成することができ、それは、この種の端部がディスクからあまりに遠くに遠ざかるのを防止することによって、ラビリンスリングのアームの端部をディスクの歯の近くに軸線方向に保持するのに使用される。しかしながら、この解決策は、問題を制限するだけであり、これを解決するものではない。
【0044】
本特許出願の上述の特徴による提案された解決策が、
図3および
図4に示されている。
【0045】
示された実施形態においては、本発明によるシール手段は、スロット底部キャビティの上流に形成される。この種の封止手段は、これらのキャビティの下流に均等かつ対称に配置される。
【0046】
したがって、
図3を参照して、ラビリンスリング52の下流アーム56の下流端部は、半径方向外側におよび下流方向に軸線方向に傾斜される円錐台形状壁64によって外側に延在される半径方向壁62を備え、その外部環状端部は、ディスクの歯20およびベーンの根元24の上流端面の部分の間のアラインメントクリアランスを無視すると、ディスクの歯20およびベーンの根元24の上流端面と静止時に接触している。より詳細には、この接触は、ディスクの歯20の外端部に対して半径方向に生じる。
【0047】
好ましくはスリット(
図5のスロット660)中間リング66が、ラビリンスリング52の下流アーム56の下流端部とディスクの歯20との間に軸線方向に配置される。これは静止時にディスクと接触しているように寸法決めされることが有利であろう。この中間リングは、ラビリンスリングの下流アーム56の下流端部62、64の形状に適合する形状を有する、すなわちそれぞれ半径方向および円錐台形状の、半径方向外側におよび下流方向に軸線方向に傾斜された上流および外部表面を備える。中間リング66の下流面は、ディスクの歯20およびベーンの根元24に対して正しい軸線方向支持体を提供するように半径方向に平坦であり、下流方向におよび外側に傾斜される円錐台形状外部表面を持つ環状軸線方向溝68を有する。中間リング66の内端部は、スロット底部キャビティ36の外側にやはり半径方向に設置される。
【0048】
形状適合的に、中間リング66とラビリンスリング52のアーム56との間の接触は最適であり、それにより、これらの2つの部品の間の緊密な密封が確保される。加えて、回転すると、中間リング66は、遠心力の結果として、半径方向に開き、それは、アーム56の円錐台形状壁64に対する半径方向支持体の機械的反作用のため、中間リング66をディスクの歯20の方へ軸線方向に押し付ける。
【0049】
中間リングを回転ロックするための要素74を備え得ることが有利である。この回転ロック要素は、
図6に概略的に示されるように、ラビリンスリング52のアーム56の端部から突出する部分740、および/またはディスク16の上流半径方向壁160から軸線方向に突出する部分741のそれであってもよい。この突出要素は、ラビリンスリングにおよびディスクに対して中間リングの回転ロックを確実にするために、中間リングのスロット660に有利に収容されるようになる。
【0050】
好ましくはスリット(
図5のスロット700)シール70(
図3、
図4を参照されたい)が、中間リングの溝68に配置される。シール70は、0.6mmと1.2mmとの間、および好ましくは0.8mmと1mmとの間の直径を有することが有利であろう。このシール68は、中空であってもよく、また、他のタイプの材料に適応していてもよい。シール70は、先験的に金属で作られるであろう。
【0051】
図4に示されるように、動作時に、かつ従来技術と同様に、ラビリンスリング52のアーム56は、曲がり、ディスクの歯20から軸線方向に遠ざかる。しかしながら、中間リング66とアーム56の円錐台形状壁64との間の半径方向支持体の機械的反作用が、やはり生じ、中間封止リング66を、ディスクの歯20に対して軸線方向に留まるように下流方向にアームの円錐台形状壁64に沿って密封的に摺動させ、溝68は、ディスクの歯20およびベーンの根元24と向かい合う。
【0052】
動作時に、シール70は、開き、中間リング66の円錐台形状溝68の外部壁に対する半径方向支持体の機械的反作用のため、シール70を、ディスクの歯20およびベーンの根元24に軸線方向に押し付ける。したがって、シール70は、一方では中間リング66と、他方ではディスクの歯20およびベーンの根元24の両方に接触して、環状になって支持され、それによってこれらの2つの部品の封止が行われる。
【0053】
したがって、シール70は、ラビリンスリングのアーム56が曲げられるにせよ曲げられないにせよ、同じ機能を与え、溝68において同じ有効性を有する。そのうえ、アーム/中間リング、中間リング/シール、ならびにシール/ディスクの歯およびベーンの根元の封止は、動作条件のすべての下で確保される。
【0054】
従来技術と同様に、上流および内方に方向付けられる環状フック72が、ラビリンスリング52のアーム56の端部に形成される半径方向リム72の周りに、プラットフォームの上流半径方向壁38に形成され得る。このフックは、回転時に曲げられる場合に、アーム56が上流方向にあまりに遠くに軸線方向に離れることを防止する。