(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の排気系に配設される消音器及び触媒コンバータ等において、その内部に流体を流す筒状の部材(以降、「筒状体」と称される場合がある。)の壁面に貫通孔を穿孔し、この貫通孔を介して筒状体の内部と連通するようにセンサ・バルブ等の機能部品を取り付ける場合がある。この場合、貫通孔を有する座面体(台座・ボス)を別途用意し、この座面体の貫通孔と筒状体の貫通孔とが連通するように、例えば溶接等の接合手法によって気密的に座面体を筒状体に接合し、この座面体に機能部品を接合するのが一般的である。このように別個の部材としての座面体を機能部品と筒状体との間に介在させる構成は、部品点数の増加に伴う重量の増大、製造コストの増大及び製造過程の複雑化等の問題に繋がる虞がある。
【0003】
また、座面体を筒状体に気密的に接合するためには、座面体の接合面を筒状体の壁面の形状に沿った形状とする必要がある。従って、座面体が接合される筒状体の壁面が例えば三次元的な曲面等の複雑な形状を有する場合、座面体自体が高価になりがちであると共に、座面体の筒状体への接合工程も複雑且つ困難となる虞がある。従って、昨今の軽量化及びコスト削減への要請に応えるためには、筒状体の壁面自体を座面とすることにより、別個の部材としての座面体を省略し、機能部品を筒状体の壁面に直接的且つ気密的に接合することが求められている。
【0004】
上述した自動車の排気系に配設される消音器及び触媒コンバータ等においては、筒状体(外筒)が硬質なステンレス材料によって形成されることが一般的である。また、塑性加工によって形成された筒状体の徐変部(例えば、スピニング加工等によって形成されたテーパ部等、筒状体の一方の端部から他方の端部へと向かう軸線の方向及び/又は断面の形状及び/又は大きさが徐々に変化する部分。)に機能部品が取り付けられる場合がある。ところが、徐変部は塑性加工によって更に硬化しているため、座面の形成及び穿孔が困難であった。
【0005】
そこで、当該技術分野においては、スピニング加工におけるローラの公転軌道を緻密に制御することにより、筒状体の徐変部の形成時に座面をも形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。しかしながら、ローラの公転軌道を公転毎に緻密に制御するためには、ソフト面及びハード面の両方における高度な処理及び制御がスピニング加工装置に求められるため、加工速度を高めることが困難であり、徐変部及び座面を形成するのに比較的長い期間(例えば、数分間)が必要とされる。また、このような技術により徐変部に座面を形成することはできるものの、貫通孔を穿孔する工程を別途設ける必要があり、別工程の追加に伴う製造コストの増大及び製造過程の複雑化に繋がる。
【0006】
一方、当該技術分野においては、(上記のような排気部品ではないものの筒状体である)ホイールリムの徐変部にプレス工程によって座面形成と穿孔とを施し、ホイールリムにエアバルブを直接(座面体を介すること無く)取り付けることができるようにする技術も提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。具体的には、ホイールリムの穿孔部位を内側から穴開きダイスによって支持した状態において、座押パンチによって押圧することにより座面を形成した後、座押パンチの内側に同軸状に装備された孔開パンチによって穿孔することにより座面形成と穿孔とを施すことができる。
【0007】
上記のような従来技術に係る方法は、通常の鋼材等の比較的軟質な材料によって形成された部材に座面形成及び穿孔を施す場合は有効である。しかしながら、上述した排気部品のような硬質なステンレス材料によって形成された部材(筒状体)に座面形成及び穿孔を施す場合、特に塑性加工によって更に硬化している部分(筒状体の徐変部)に座面形成及び穿孔を施す場合には不十分である。
【0008】
例えば、塑性加工によって形成された徐変部を有する筒状体の徐変部の開口部付近に上記のような従来技術に係る方法によって座面形成及び穿孔を施すと、徐変部を構成する材料が硬いために座面形成に伴って押圧された領域の周辺が変形する虞がある。その結果、座面の近傍にある開口部までもが変形(非真円化)したり、周辺の変形に起因して座面自体が変形して平面ではなくなったりする場合がある。更に、座面自体の変形に伴って穿孔時に孔開パンチが座面を貫通したときに孔開パンチが締め付けられ、貫通孔にバリが発生する虞もある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
《第1実施形態》
以下、本発明の第1実施形態に係る筒状体の加工方法(以降、「第1方法」と称される場合がある。)について説明する。
【0020】
第1方法は、金属材料によって形成された筒状体の壁面に座面を形成し且つ貫通孔を穿つ、筒状体の加工方法である。筒状体を形成する金属材料は特に限定されないが、後述する徐変部を塑性加工によって設けることができる材料であることが望ましい。具体的には、上記金属材料としては、例えば鋼及びステンレス等の鉄系材料を挙げることができる。
【0021】
前記筒状体は、少なくとも、一方の端部に開口する第1開口端と、他方の端部に開口する第2開口端と、徐変部と、を備えている。前記徐変部は、前記筒状体の前記第1開口端から前記第2開口端へと向かう軸線の方向並びに前記軸線に直交する断面である直交断面の形状及び大きさのうちの少なくとも1つが徐々に変化する部分である。このような徐変部は様々な形状を有し得る。徐変部の形状の具体例としては、例えば、第1開口端から第2開口端へと向かうにつれて、外径は変わらずに軸線が曲がっている(軸線の方向が変化している)形状、直交断面の形状が変化している形状、及び直交断面の形状は変わらずに大きさだけが変化している形状等、並びにこれらの形状のうちの2つ以上の組み合わせ等を挙げることができるが、徐変部の形状はこれらに限定されるものではない。
【0022】
徐変部の形成方法は特に限定されないが、例えば塑性加工によって徐変部を形成することができる。具体的には、例えば円筒状の金属部材の一端側にスピニング加工等の手法を用いて縮管加工(絞り加工)を施すことにより、それぞれ異なる径を有する開口端を両端に有し、それらの開口端の間に断面積が徐々に変化するテーパ部として形成された徐辺部を有する筒状体を形成することができる。
【0023】
但し、第1方法が適用される素材(ワーク)としての筒状体の製造方法は上記に限定されず、また、筒状体が有する開口端及び徐変部の数及び形態もまた上記に限定されない。例えば、筒状体は3つ以上の開口端を有していてもよく、2つ以上の徐変部を有していてもよい。
【0024】
第1方法によれば、前記第1開口端及び前記第2開口端の少なくとも一方は所定の長さを有する内型である開口芯金が挿入されることにより支持されており且つ前記徐変部の少なくとも一部は支持されていない状態において、以下に示す第1工程及び第二工程が実行される。
【0025】
第1工程:前記徐変部の所定の領域に座押パンチを押圧することにより座面を形成する。
第2工程:前記第1工程の後に、前記座面の外縁によって囲まれる領域内の所定の領域に孔開パンチを穿つことにより穿孔する。
【0026】
第1工程及び第二工程は、例えば、当該技術分野において広く使用されているプレス機等を使用して実行することができる。第1工程において徐変部の所定の領域に座押パンチを押圧することにより座面を形成するとき、座押パンチの押圧面に対して徐変部を挟んで対向する位置には、下型となるダイス等の部材が配置されている。即ち、座押パンチと下型との間に徐変部が挟持されることにより座面が形成される。
【0027】
第1工程において形成される座面の形状及び大きさは、例えば当該座面に取り付けられる機能部品の形状及び大きさ等に応じて適宜定めることができる。また、第1工程において座押パンチを押圧する力の大きさ及び速さ等は、例えば徐変部を構成する材料の硬度及び厚み等に応じて適宜定めることができる。
【0028】
一方、第2工程において座面の外縁によって囲まれる領域内の所定の領域に孔開パンチを穿つことにより穿孔するとき、孔開パンチは上述した下型に形成された孔にまで挿通する。即ち、孔開パンチが徐変部を貫通することにより貫通孔が形成される。
【0029】
第2工程において穿孔される貫通孔の形状及び大きさは、例えば当該座面に取り付けられる機能部品の形状及び大きさ等に応じて適宜定めることができる。また、第2工程において孔開パンチを穿つ力の大きさ及び速さ等は、例えば徐変部を構成する材料の硬度及び厚み等に応じて適宜定めることができる。更に、上述したように、機能部品は貫通孔を介して筒状体の内部と連通するように座面に取り付けられる。従って、座面に取り付けられた機能部品を筒状体の内部と連通させるための貫通孔は、座面の外縁によって囲まれる領域内の所定の領域に穿孔される。
【0030】
開口芯金は、第1開口端及び第2開口端の何れか一方又は両方に挿入されて内側から嵌合される。これにより、筒状体の姿勢及び位置が固定されると共に、開口端の形状が拘束される。その結果、第1工程における座面形成及び第2工程における穿孔に起因する開口端の変形が低減され、開口端の形状が維持される。従って、開口芯金の長さ(開口端に挿入される深さ)は、開口端において形状を維持しようとする領域の大きさ(広さ)に応じて適宜定められる。
【0031】
ところで、第1方法によって加工される筒状体の形状が座面形成及び穿孔に伴って変形することを低減する観点からは、筒状体のより多くの部分を金型等によって支持・拘束することが望ましいと考えられる。しかしながら、現実には、座面形成及び穿孔が施されるときに筒状体において支持・拘束される領域を広げても、座面形成及び穿孔に伴って座面が変形したり、貫通孔にバリが発生したりする虞が却って高まる場合がある。特に、徐変部が塑性加工によって形成されたものである場合は、徐変部の硬度が非常に高いため、徐変部に割れ等の欠陥が発生する虞が高まる。
【0032】
そこで、本発明者は、鋭意研究の結果、上述した第1工程及び第2工程を、第1開口端及び第2開口端の少なくとも一方は所定の長さを有する内型である開口芯金が挿入されることにより支持されているものの徐変部の少なくとも一部は支持されていない状態において実行することにより、上記問題を低減することができることを見出した。これは、第1工程における座面形成及び第2工程における穿孔に起因する歪みが、支持されていない徐変部が変形することによって吸収されるためであると考えられる。
【0033】
即ち、第1方法においては、第1開口端及び第2開口端の少なくとも一方は所定の長さを有する内型である開口芯金が挿入されることにより支持されており且つ徐変部の少なくとも一部は支持されていない状態において上述した第1工程及び第二工程を実行する。これにより、硬質な金属材料によって形成された筒状体の徐変部に座面形成及び穿孔を施す場合であっても、座面及び/または座面の周辺領域の変形に伴って、座面の近傍にある開口端が変形したり、穿孔時に孔開パンチが締め付けられて貫通孔にバリが発生したりする虞を低減することができる。即ち、第1方法によれば、硬質な金属材料によって形成された筒状体においても、開口端の変形を低減しつつ、徐変部に精度良く座面形成及び穿孔を施すことができる。
【0034】
《第2実施形態》
以下、本発明の第2実施形態に係る筒状体の加工方法(以降、「第2方法」と称される場合がある。)について説明する。
【0035】
上述したように、第1方法においては、徐変部の所定の領域に座押パンチを押圧することにより座面を形成する第1工程を実行した後に、座面の外縁によって囲まれる領域内の所定の領域に孔開パンチを穿つことにより穿孔する第2工程を実行する。従って、例えば第1工程を実行した後に座押パンチを取り外して孔開パンチに付け替えてから第2工程を実行してもよい。或いは、座押パンチ及び孔開パンチの位置を入れ替えることができるように構成された台座等に座押パンチ及び孔開パンチを取り付けておき、第1工程においては座押パンチを、第2工程においては孔開パンチを、それぞれ徐変部の加工部位に対応する位置に配置するようにしてもよい。より簡便には、孔開パンチを座押パンチの内側に収容しておき、第1工程においては孔開パンチを座押パンチから突出させずに徐変部に座面形成を施し、第2工程においては孔開パンチを座押パンチから突出させて徐変部に穿孔を施すようにしてもよい。
【0036】
従って、第2方法は、上述した第1方法であって、前記孔開パンチは、穿孔方向に摺動可能な状態にて前記座押パンチの内側に収容されている。これにより、第2方法においては、孔開パンチと座押パンチとの相対的な位置関係を調節することにより、例えばプレス機のラムを筒状体に近付けたときに、孔開パンチ及び座押パンチの何れを筒状体(の徐変部)に当接させるかを、異なる種類のパンチを換装すること無く、切り替えることができる。
【0037】
具体的には、第2方法において、前記第1工程においては、前記孔開パンチを前記座押パンチの押圧面から突出していない状態とする。換言すれば、第1工程において、孔開パンチの先端部は座押パンチの押圧面と面一になっているか、或いは、孔開パンチの先端は座押パンチの押圧面よりも内側に位置する(凹んでいる)。その結果、第1工程において、それぞれ、孔開パンチ及び座押パンチの両方のパンチの押圧面によって座面を形成したり、或いは、座押パンチのみの押圧面によって座面を形成したりすることができる。
【0038】
後者の場合、孔開パンチの先端が座押パンチの押圧面よりも内側に位置する(凹んでいる)ので、孔開パンチに対応する領域において押圧時に空間的な余裕が生ずる。その結果、座面形成に伴う歪みが発生しても、この押圧時に空間的な余裕のある領域において当該歪みを吸収及び/又は緩和することができるので、その他の部分における歪みを低減することができる。
【0039】
次に、前記第2工程においては、孔開パンチを前記座押パンチの押圧面から突出している状態とする。孔開パンチによって徐変部に穿孔するときに座押パンチが座面を押圧すると貫通孔及び/又は座面の寸法精度が低下する場合があるので、座押パンチの押圧面からの孔開パンチの突出量は、穿孔時に座押パンチが座面に接触しないか或いは接触しても座面を押圧しないように設定することが望ましい。
【0040】
尚、第2方法によって座面の中心部分に貫通孔を穿孔する場合は、孔開パンチは、穿孔方向に摺動可能な状態にて座押パンチの内側に同軸状に収容され得る。
【0041】
《第3実施形態》
以下、本発明の第3実施形態に係る筒状体の加工方法(以降、「第3方法」と称される場合がある。)について説明する。
【0042】
上述したように、第1方法及び第2方法においては、徐変部の所定の領域に座押パンチを押圧することにより座面を形成する第1工程を実行した後に、座面の外縁によって囲まれる領域内の所定の領域に孔開パンチを穿つことにより穿孔する第2工程を実行する。更に、これらの工程が実行される間、第1開口端及び第2開口端の少なくとも一方は所定の長さを有する内型である開口芯金が挿入されることにより支持されているものの徐変部の少なくとも一部は支持されていない状態を維持する。これにより、硬質な金属材料によって形成された筒状体においても、開口端の変形を低減しつつ、徐変部に精度良く座面形成及び穿孔を施すことができる。
【0043】
しかしながら、例えば徐変部を構成する材料の硬度及び厚み等によっては、第1工程において十分な寸法精度を有する座面を形成することができなかったり、或いは、第2工程における穿孔に伴って座面の寸法精度が低下したりする場合がある。特に、徐変部が塑性加工によって形成されたものである場合は、徐変部の硬度が非常に高いため、この傾向はより顕著となる。
【0044】
そこで、第3方法においては、前記第2工程の後に、前記座押パンチによって前記座面を再び押圧する第3工程を実行する。換言すれば、第3方法においては、第2工程を実行した後に、上述した第1工程を再び実行する。従って、第3工程の詳細については、既に説明した第1工程の詳細と同様であるので、ここでの説明は割愛する。尚、必要に応じて、第3工程を複数回繰り返して実行してもよい。
【0045】
第3方法によれば、第1工程において十分な寸法精度を有する座面を形成することができなかったり、或いは、第2工程における穿孔に伴って座面の寸法精度が低下したりする場合においても、開口端の変形を低減しつつ、徐変部に精度良く座面形成及び穿孔を施すことができる。
【0046】
《第4実施形態》
以下、本発明の第4実施形態に係る筒状体の加工方法(以降、「第4方法」と称される場合がある。)について説明する。
【0047】
上述したように、第3方法においては、第1方法と同様に、徐変部の所定の領域に座押パンチを押圧することにより座面を形成する第1工程を実行した後に、座面の外縁によって囲まれる領域内の所定の領域に孔開パンチを穿つことにより穿孔する第2工程を実行する。更に、第3方法においては、第2工程の後に、座押パンチによって座面を再び押圧する第3工程を実行する。
【0048】
従って、例えば第1工程を実行した後に座押パンチを取り外して孔開パンチに付け替えてから第2工程を実行し、更に、孔開パンチを取り外して座押パンチに戻してから第3工程を実行してもよい。或いは、座押パンチ及び孔開パンチの位置を入れ替えることができるように構成された台座等に座押パンチ及び孔開パンチを取り付けておき、第1工程においては座押パンチを、第2工程においては孔開パンチを、第3工程においては再び座押パンチを、それぞれ徐変部の加工部位に対応する位置に配置するようにしてもよい。
【0049】
より簡便には、孔開パンチを座押パンチの内側に収容しておき、第1工程においては孔開パンチを座押パンチから突出させずに徐変部に座面形成を施し、第2工程においては孔開パンチを座押パンチから突出させて徐変部に穿孔を施し、更に第3工程においては孔開パンチを座押パンチから突出させずに徐変部に座面形成を再び施すようにしてもよい。
【0050】
従って、第4方法は、上述した第3方法であって、前記孔開パンチは、穿孔方向に摺動可能な状態にて前記座押パンチの内側に収容されている。これにより、第4方法においても、上述した第2方法と同様に、孔開パンチと座押パンチとの相対的な位置関係を調節することにより、例えばプレス機のラムを筒状体に近付けたときに、孔開パンチ及び座押パンチの何れを筒状体(の徐変部)に当接させるかを、異なる種類のパンチを換装すること無く、切り替えることができる。
【0051】
具体的には、第4方法においても、前記第1工程においては、前記孔開パンチを前記座押パンチの押圧面から突出していない状態とし、次に、前記第2工程においては、孔開パンチを前記座押パンチの押圧面から突出している状態とする。ここまでは上述した第2方法と同様である。更に、第4方法においては、前記第3工程においては前記座押パンチの押圧面から突出していない状態とする。
【0052】
換言すれば、第3工程において、孔開パンチの先端部は座押パンチの押圧面と面一になっているか、或いは、孔開パンチの先端は座押パンチの押圧面よりも内側に位置する(凹んでいる)。その結果、第3工程において、それぞれ、孔開パンチ及び座押パンチの両方のパンチの押圧面によって押圧して座面を整えたり、或いは、座押パンチのみの押圧面によって押圧して座面を整えたりすることができる。
【0053】
後者の場合、孔開パンチの先端が座押パンチの押圧面よりも内側に位置する(凹んでいる)ので、孔開パンチに対応する領域において押圧時に空間的な余裕が生ずる。その結果、座面を押圧して整える際に歪みが発生しても、この押圧時に空間的な余裕のある領域において当該歪みを吸収及び/又は緩和することができるので、その他の部分における歪みを低減することができる。
【0054】
尚、第4方法によって座面の中心部分に貫通孔を穿孔する場合もまた、上述した第2方法と同様に、孔開パンチは、穿孔方向に摺動可能な状態にて座押パンチの内側に同軸状に収容され得る。
【0055】
《第5実施形態》
以下、本発明の第5実施形態に係る筒状体の加工方法(以降、「第5方法」と称される場合がある。)について説明する。
【0056】
上述した第1方法乃至第4方法においては、筒状体の第1開口端及び第2開口端の少なくとも一方に開口芯金が挿入されることにより支持されている状態にて、それぞれの工程が実行される。例えば、開口芯金が挿入される開口端の形状が、例えば円筒状等、開口端の中心軸に対して回転対称である場合等においては、開口芯金が開口端に挿入されて嵌合している状態であっても、例えば上記中心軸を中心として開口芯金と摺動しながら開口端が回転可能である等、筒状体の位置及び/又は姿勢が一義的に定まらない可能性がある。このような状態のまま座面形成及び穿孔を施すと、例えば、所望の位置に座面及び/又は貫通孔を正確に形成することが困難となる等の問題に繋がる虞がある。
【0057】
そこで、第5方法においては、前記筒状体の外側面に少なくとも1つの突起が形成されている。この突起は、適当な形状及び大きさを有する別個の部材を例えば溶接等の手法によって筒状体の外側面上の適当な位置に取り付けてもよい。或いは、この突起は、筒状体の外側面を構成する壁面の適当な位置にある部分を変形させることにより適当な形状及び大きさを有する突起として形成してもよい。
【0058】
更に、第5方法においては、前記第1工程の前に、前記筒状体とは別個の部材である基準部材に前記突起を当接させることにより前記筒状体の位置決めを行う。この基準部材の形状及び大きさ並びに配設位置は、基準部材と突起とが当接することにより、座面形成及び穿孔を徐変部に施すに当たって望ましい位置及び姿勢を筒状体が採ることができるように定められる。具体的には、例えば、上述したように開口芯金が開口端に挿入されて嵌合している状態であっても開口端の中心軸を中心として開口芯金と摺動しながら開口端が回転可能である場合、基準部材と突起とを当接させることにより、開口端の回転を止めることができるように、基準部材の形状及び大きさ並びに配設位置が定められる。
【0059】
以上のように、第5方法によれば、その実行時に座面形成及び穿孔を徐変部に施すに当たって望ましい位置及び姿勢を筒状体が採ることができる。その結果、所望の位置に座面及び/又は貫通孔を正確且つ確実に形成することができる。
【0060】
《第6実施形態》
以下、本発明の第6実施形態に係る筒状体(以降、「第6筒状体」と称される場合がある。)について説明する。
【0061】
前述したように、従来
技術に係る筒状体の加工方法によっては、硬質な金属材料によって形成された筒状体の徐変部に座面形成及び穿孔を施すことは困難であり、その結果、別個の部材としての座面体を機能部品と筒状体との間に介在させる構成を採らざるを得なかった。特に、徐変部が塑性加工によって形成されたものである場合は、徐変部の硬度が非常に高いため、徐変部に座面形成及び穿孔を施すことは極めて困難であった。
【0062】
従って、上述した第1方法乃至第5方法を始めとする本発明に係る筒状体の加工方法によって加工された筒状体のように、貫通孔を有する座面体(台座・ボス)を介すること無く徐変部に座面及び貫通孔が直接形成された筒状体は、それ自体が新規であり、従来技術によっては製造することができない筒状体である。
【0063】
従って、第6筒状体は、金属材料によって形成され、少なくとも、一方の端部に開口する第1開口端と、他方の端部に開口する第2開口端と、徐変部と、を備える筒状体である。前記徐変部は、前記筒状体の前記第1開口端から前記第2開口端へと向かう軸線の方向並びに前記軸線に直交する断面である直交断面の形状及び大きさのうちの少なくとも1つが徐々に変化する部分である。
【0064】
更に、第6筒状体においては、前記徐変部に座面が形成されており、且つ、前記座面の外縁によって囲まれる領域内の所定の領域に貫通孔が形成されている。即ち、第6筒状体においては、座面体を介すること無く、徐変部に座面及び貫通孔が直接形成されている。従って、第6筒状体によれば、部品点数の増加に伴う重量の増大、製造コストの増大及び製造過程の複雑化等の問題を低減することができる。
【実施例】
【0065】
以上、本発明の種々の実施形態に係る筒状体の加工方法及び筒状体について説明してきたが、本発明の代表的な実施例につき、図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0066】
《筒状体》
図1は、本発明の1つの実施例に係る筒状体の加工方法(以降、「実施例方法」と称される場合がある。)が適用される前の筒状体(a)及び実施例方法が適用された後の筒状体(b)の例を示す模式的な斜視図である。
図1の(a)に示すように、実施例方法が適用される筒状体10は、一方の端部に開口する第1開口端11aと、他方の端部に開口する第2開口端13aと、徐変部12と、を備えている。本実施例における徐変部12は、筒状体10の第1開口端11aから第2開口端13aへと向かう軸線の方向並びに当該軸線に直交する断面である直交断面の形状及び大きさが徐々に変化する部分である。
【0067】
筒状体10は、第1開口端11a側の大径部11と同じ直径を有するステンレス材料によって形成された円筒状の部材の一端をスピニング加工によって縮管加工することにより徐変部12及び小径部13を形成することによって製造されたものである。従って、従来技術に係る加工方法によって徐変部に座面形成及び穿孔を施して、
図1の(b)に示すような座面12a及び貫通孔12bが形成された筒状体を得ようとしても、前述したように、徐変部12を構成する材料が硬いために座面形成に伴って押圧された領域の周辺が変形する虞がある。その結果、座面12aの近傍にある開口部13aまでもが変形(非真円化)したり、周辺の変形に起因して座面12a自体が変形して平面ではなくなったりする場合がある。更に、座面12a自体の変形に伴って穿孔時に孔開パンチが座面12aを貫通したときに孔開パンチが締め付けられ、貫通孔12bにバリが発生する虞もある。
【0068】
《実施例方法を実行する装置》
そこで、実施例方法においては、
図2に示す装置(プレス機)100を使用して、前述した本発明方法によって筒状体10を加工し、その徐変部12に座面12a及び貫通孔12bを形成する。
【0069】
装置100は、素材(ワーク)としての筒状体10の第1開口端11a及び第2開口端13aを支持・拘束するための内型である開口芯金101及び103を備える。また、装置100は、徐変部12の所定の領域を押圧して座面12aを形成するための座押パンチ102a、座面の外縁によって囲まれる領域内の所定の領域を穿って貫通孔12bを穿孔するための孔開パンチ102bを備える。これらの座押パンチ102a及び孔開パンチ102bは、鉛直方向に移動可能に構成されたラムに取り付けられており、このラムの上下動により徐変部12に座面形成及び穿孔を施すことができるようになっている。
【0070】
尚、孔開パンチ102bは、穿孔方向(
図2における鉛直方向)に摺動可能な状態に、座押パンチ102aの内側に同軸状に収容されている。これにより、装置100においては、プレス機のラムを徐変部12に近付けたときに、座押パンチ102a及び孔開パンチ102bの何れを徐変部12に当接させるかを、異なる種類のパンチを換装すること無く、切り替えることができる。
【0071】
更に、装置100は、座押パンチ102aが徐変部12を押圧するときに座押パンチ102aと共に徐変部12を挟持して座面12aを形成する下型としてのダイス104を備える。加えて、ダイス104の徐変部を挟んで孔開パンチ102bに対向する領域には、孔開パンチ102bが徐変部12を穿孔するときに挿通する挿通孔104aが形成されている。
【0072】
《実施例方法を実行する手順》
以上のような構成を有する装置100を用いて実施例方法を実行し、筒状体10の徐変部12に座面形成及び穿孔を施す具体的な手順の一例につき、上述した
図1及び
図2に加えて、
図3乃至
図8を参照しながら、以下に詳しく説明する。尚、詳しくは後述するが、
図2に示す装置100と
図3乃至
図8に示す装置100とは一部の構成において相違点がある。また、説明を容易にすること等を目的として、
図3乃至
図8のそれぞれにおいて、装置100の構成部材の一部が省略される場合がある。
【0073】
〈手順1〉
先ず、ワークとしての筒状体10をプレス機である装置100にセットする。具体的には、筒状体10の第1開口端11aから大径部11の内側に中芯金としての開口芯金101が挿入するように、筒状体10を開口芯金101に被せて嵌合させる。これにより、大径部11の少なくとも第1開口端11aが支持・拘束されて、後の座面形成及び穿孔に伴う第1開口端11aの変形が抑制される。
【0074】
また、徐変部12を挟んで座押パンチ102aに対向する領域にはダイス104が、徐変部12を挟んで孔開パンチ102bに対向する領域にはダイス104に形成された挿通孔104aが、それぞれ配置されている。このとき、徐変部12に形成しようとする座面の形状及び/又は大きさに応じて、ダイス104は徐変部12の内壁に密着していても或いは密着していなくてもよい(ダイス104と徐変部12の内壁との間に隙間があってもよい。)
【0075】
そして、第1開口端11aを後軸受け111によって、大径部11の下側面を下部受け112によって、それぞれ支持して、筒状体10の位置及び姿勢を保持する。尚、後軸受け111による第1開口端11aの固定は、座面形成及び穿孔の実行時に行ってもよい。
【0076】
但し、この状態においては、開口芯金101が第1開口端11aから筒状体10の内部に挿入されて第1開口端11a及び大径部11の内側と嵌合しているものの、筒状体10(第1開口端11a、大径部11)は開口芯金101と摺動しながら大径部11の中心軸を中心として回転可能である。従って、厳密には、筒状体10の位置及び/又は姿勢が一義的に定まらない。このような状態のまま座面形成及び穿孔を施すと、例えば、所望の位置に座面及び/又は貫通孔を正確に形成することができない虞がある。
【0077】
そこで、実施例方法が適用される筒状体10においては、
図3に示すように、大径部11の外側面に1つの突起11bが形成されている。この突起11bは、適当な形状及び大きさを有する別個の部材を溶接によって大径部11の外側面上の適当な位置に取り付けられている。そして、この突起11bと基準部材114とを当接させることにより、筒状体10の上述した回転を不可能とし、筒状体10の位置及び姿勢を一義的に定める。
【0078】
一方、筒状体10の小径部13の内側には、第2開口端13aから中芯金としての開口芯金103が挿通されている。これにより、小径部13の少なくとも第2開口端13aが支持・拘束されて、後の座面形成及び穿孔に伴う第2開口端13aの変形が抑制される。更に、黒塗りの矢印によって示されているように、エアシリンダによって突当115を押し出して開口芯金103を筒状体10側に押し付けて固定する。尚、突当115による開口芯金103の固定を実行するための具体的な手法は上記に限定されず、例えば手動等の他の手法によって実行してもよい。
【0079】
また、
図3乃至
図8に示す例においては、上記のように、第2開口端13aから小径部13の内側に開口芯金103を挿通した後、突当115によって開口芯金103を筒状体10側に押し付けて固定している。しかしながら、
図2に示した例のように、開口芯金103とエアシリンダとを同軸状に結合しておき、エアシリンダによって開口芯金103の第2開口端13aへの挿入及び固定を一気に行ってもよい。
【0080】
〈手順2〉
次に、
図4において黒塗りの矢印によって示すように、上部受け113を筒状体10(の大径部11)の上側面に当接させて筒状体10の位置を更に確実に固定する。尚、
図4以降の図面においては、基準部材114は省略されている。このとき、徐変部12の少なくとも一部は芯金によって支持・拘束されていない。即ち、筒状体10は、第1開口端11a及び第2開口端13aの両方が所定の長さを有する内型である開口芯金101及び103が挿入されることにより支持されており且つ徐変部12の少なくとも一部は支持されていない状態にある。
【0081】
〈手順3〉
次に、孔開パンチ102bが座押パンチ102aの押圧面から突出していない状態において、
図5において黒塗りの矢印によって示されているように、座押パンチ102a(及び孔開パンチ102b)が取り付けられているラムを押し下げる。これにより、座押パンチ102aにより徐変部12を押圧して、徐変部12に座面12aを形成する。即ち、座押パンチ102aと下型としてのダイス104との間に徐変部12が挟持されることにより座面12aが形成される。以上のように、手順3は、徐変部の所定の領域に座押パンチを押圧することにより座面を形成する第1工程に該当する。
【0082】
このとき、前述したように、孔開パンチ102bの先端部は座押パンチ102aの押圧面と面一になっていてもよく、或いは、孔開パンチ102bの先端は座押パンチ102aの押圧面よりも内側に位置していてもよい(凹んでいてもよい)。例えば座面形成に伴う歪みが大きい場合等、座押パンチ102aによって徐変部12を押圧して座面を形成するときの歪みが逃げ込む空間がある方が、例えば徐変部12以外の部分の変形を低減する等の目的のために望ましい場合は後者の配置が望ましい。
【0083】
また、上述したように第1開口端11a及び第2開口端13aはそれぞれ開口芯金101及び103によって支持されており且つ徐変部12の少なくとも一部は支持されていない状態にある。これにより、第1開口端11a及び第2開口端13aの形状が拘束されると共に座面形成に起因する歪みが徐変部12の変形によって吸収されるので、座面形成に起因する第1開口端11a及び第2開口端13aの変形を確実に低減することができる。
【0084】
〈手順4〉
次に、
図6において黒塗りの矢印によって示されているように、座押パンチ102a(及び孔開パンチ102b)が取り付けられているラムを所定の位置まで押し上げる。
【0085】
〈手順5〉
次に、(例えばエアシリンダ等を使用して)孔開パンチ102bの先端を座押パンチ102aの押圧面から所定の長さだけ突出している状態に切り替える。そして、
図7において黒塗りの矢印によって示されているように、座押パンチ102a及び孔開パンチ102bが取り付けられているラムを再び押し下げることにより、孔開パンチ102bを徐変部12に穿ち、徐変部12に貫通孔12bを形成する。これに伴い、徐変部12の壁面の穿孔された領域が廃材120として発生する。本実施例においては、筒状体10の第1開口端11aの下端から廃材120が滑り落ちている。以上のように、手順5は、(第1工程において形成された)座面の外縁によって囲まれる領域内の所定の領域に孔開パンチを穿つことにより穿孔する第2工程に該当する。
【0086】
尚、前述したように、孔開パンチ102bによって徐変部12に穿孔するときに座押パンチ102aが座面を押圧すると貫通孔12b及び/又は座面12aの寸法精度が低下する虞があるので、座押パンチ102aの押圧面からの孔開パンチ102bの突出量及びラムの押し下げ量は、穿孔時に座押パンチ102aが座面に接触しないか或いは接触しても座面を押圧しないように設定する。
【0087】
〈手順6〉
上記のように穿孔が完了したら、
図8において黒塗りの矢印によって示されているように、座押パンチ102a及び孔開パンチ102bが取り付けられているラムを所定の位置まで押し上げる。また、孔開パンチ102bによる徐変部12の穿孔に伴って発生した廃材120が装置100から排出される。
【0088】
以上のように、実施例方法においては、第1工程及び第2工程が実行される間、第1開口端11a及び第2開口端13aはそれぞれ開口芯金101及び開口芯金103が挿入されることにより支持されているものの徐変部12の少なくとも一部は支持されていない。これにより、第1開口端11a及び第2開口端13aの変形を低減しつつ、徐変部12に精度良く座面12a及び貫通孔12bを形成することができる。
【0089】
〈手順7〉
しかしながら、例えば徐変部12を構成する材料の硬度及び厚み等によっては、第1工程において十分な寸法精度を有する座面12aを形成することができなかったり、或いは、第2工程における穿孔に伴って座面12aの寸法精度が低下したり貫通孔12bにバリが発生したりする場合がある。特に、徐変部12が例えばスピニング加工等の塑性加工によって形成されたものである場合は、徐変部12の硬度が非常に高いため、上記傾向がより顕著となる。
【0090】
このような場合は、孔開パンチ102bの先端が座押パンチ102aの押圧面から突出していない状態に戻し、上述した手順3を再び実行してもよい。即ち、手順7は、第2工程の後に座押パンチによって座面を再び押圧する第3工程に該当する。手順7の詳細については、既に説明した手順3の詳細と同様であるので、ここでの説明は割愛する。尚、必要に応じて、手順7を複数回繰り返して実行してもよい。
【0091】
手順7を実行することにより、手順3によっては十分な寸法精度を有する座面を形成することができなかったり、或いは、手順5における穿孔に伴って座面の寸法精度が低下したりする場合においても、第1開口端11a及び第2開口端13aの変形を低減しつつ、徐変部12に精度良く座面12a及び貫通孔12bを形成することができる。
【0092】
《実施例に係る筒状体》
前述したように、本発明は、上述した実施例方法を始めとする本発明に係る筒状体の加工方法によって加工された筒状体のように、貫通孔を有する座面体(台座・ボス)を介すること無く徐変部に座面及び貫通孔が直接形成された筒状体にも関する。
【0093】
従って、本発明の1つの実施例に係る筒状体(以降、「実施例筒状体」と称される場合がある。)は、前述した
図1の(b)に示した筒状体10である。筒状体10は、前述したように、金属材料によって形成され、少なくとも、一方の端部に開口する第1開口端11aと、他方の端部に開口する第2開口端13aと、徐変部12と、を備える。徐変部12は、筒状体10の第1開口端11aから第2開口端13aへと向かう軸線の方向並びに当該軸線に直交する断面である直交断面の形状及び大きさのうちの少なくとも1つが徐々に変化する部分である。更に、筒状体10においては、徐変部12に座面12aが形成されており、且つ、座面12aの外縁によって囲まれる領域内の所定の領域に貫通孔12bが形成されている。
【0094】
即ち、筒状体10においては、座面体を介すること無く、徐変部12に座面12a及び貫通孔12bが形成されている。従って、筒状体20によれば、部品点数の増加に伴う重量の増大、製造コストの増大及び製造過程の複雑化等の問題を低減することができる。
【0095】
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び実施例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び実施例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。