特許第6630354号(P6630354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6630354
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】アミン添加物を含有する液体洗濯洗剤
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/831 20060101AFI20200106BHJP
   C11D 3/30 20060101ALI20200106BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20200106BHJP
【FI】
   C11D1/831
   C11D3/30
   C11D17/08
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-518429(P2017-518429)
(86)(22)【出願日】2015年10月21日
(65)【公表番号】特表2017-531713(P2017-531713A)
(43)【公表日】2017年10月26日
(86)【国際出願番号】US2015056607
(87)【国際公開番号】WO2016064967
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2018年10月9日
(31)【優先権主張番号】14290319.4
(32)【優先日】2014年10月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガエル・デラ・ノーチェ
【審査官】 井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−500356(JP,A)
【文献】 特表2014−506264(JP,A)
【文献】 特開昭59−085000(JP,A)
【文献】 特開昭61−166896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00 − 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)10〜30重量%の直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸塩と、(b)4〜18重量%の直鎖状アルコールエトキシレートと、(c)式(I)、
【化1】
(式中、Rヒドロキシメチルである)有する、2〜10重量%のアミンと、(d)水と、を含む、液体洗濯洗剤組成物。
【請求項2】
30〜70重量%の水を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項3】
1〜15重量%の脂肪酸またはそれらの金属塩を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、概して、アミンを含有する液体洗濯洗剤組成物に関する。
【0002】
典型的には、液体洗濯洗剤組成物は、水酸化ナトリウムを使用してアルカリ性pHに調整される。ある場合には、他の塩基がこの目的のために使用されている。例えば、米国特許第5,035,838号は、洗剤組成物を中和するためのトリエタノールアミンの使用を開示している。しかしながら、この参考文献は、改善された性能を提供する本発明の組成物を開示していない。
発明の陳述
【0003】
本発明は、(a)10〜30重量%の直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸塩と、(b)4〜18重量%の直鎖状アルコールエトキシレートと、(c)式(I)、
【0004】
【化1】
【0005】
(式中、RがC−CアルキルまたはC−Cヒドロキシアルキルである)、または式(II)、
【0006】
【化2】
【0007】
(式中、RがC−Cアルキルであり、RがC−Cアルキルである)、またはそれらの組み合わせを有する、2〜10重量%のアミンと、(d)水と、を含む、液体洗濯洗剤組成物を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0008】
別途示されない限り、すべての割合は重量パーセント(重量%)であり、すべての温度は℃単位である。別途指定されない限り、すべての動作は室温(20−25℃)で行われる。本明細書で使用される場合、「クエン酸塩」という用語は、アルカリ金属クエン酸塩を指す。好ましくは、クエン酸塩は、ナトリウム、カリウム、またはリチウム塩であり、好ましくはナトリウムまたはカリウムであり、好ましくはナトリウムである。クエン酸塩の重量パーセントは、金属イオンを含む塩の実重量に基づく。本明細書で使用される場合、「脂肪酸」という用語は、12〜22個、好ましくは14〜18個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸を指す。「リンを含まない」という用語は、0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満しか(リン元素として)リンを含有しない組成物、好ましくは検出可能なリンを含有しない組成物を指す。本洗剤組成物の重量パーセントは、活性成分の割合、すなわち、市販の界面活性剤または他の成分中に存在し得るいずれの水も除く活性成分の割合である。
【0009】
好ましくは、式(I)を有するアミンは、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも3.5重量%、好ましくは少なくとも4重量%、好ましくは少なくとも4.5重量%、好ましくは8重量%以下、好ましくは7重量%以下、好ましくは6.5重量%以下の量で本液体洗濯洗剤組成物中に存在する。
【0010】
好ましくは、Rは、C−CアルキルまたはC−Cヒドロキシアルキルであり、好ましくはC−CアルキルまたはC−Cヒドロキシアルキルであり、好ましくはメチル、エチル、またはヒドロキシメチルである。
【0011】
好ましくは、式(II)を有するアミンは、少なくとも3.5重量%、好ましくは少なくとも4.5重量%、好ましくは少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも5.5重量%、好ましくは少なくとも6重量%、好ましくは9.5重量%以下、好ましくは9重量%以下、好ましくは8.5重量%以下の量で液体洗濯洗剤組成物中に存在する。
【0012】
好ましくは、Rは、C−Cアルキルであり、好ましくはメチルまたはエチルであり、好ましくはエチルである。好ましくは、Rは、C−Cアルキルであり、好ましくはC−Cアルキルであり、好ましくはC−Cアルキルであり、好ましくはCアルキルであり、好ましくはn−ブチルである。
【0013】
好ましくは、本洗剤組成物中のアミンの総量は、2.5〜9重量%であり、好ましくは2.5〜8.5重量%であり、好ましくは3〜8重量%である。
【0014】
好ましくは、本洗剤組成物は、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも6重量%、好ましくは少なくとも7重量%、好ましくは17重量%以下、好ましくは16重量%以下、好ましくは15重量%以下の直鎖状アルコールエトキシレートを含む。好ましくは、直鎖状アルコールエトキシレートは、直鎖状C−C18アルキル基を有し、好ましくは直鎖状C−C16アルキル基を有し、好ましくは直鎖状C12−C15アルキル基を有する。これらのアルキル基は、示される範囲内の異なるアルキル基の混合物であり得る。好ましくは、直鎖状アルコールエトキシレートは、5〜9つ、好ましくは6〜8つ、好ましくは7つのエチレンオキシド重合単位を含む。
【0015】
好ましくは、本洗剤組成物は、少なくとも12重量%、好ましくは少なくとも13重量%、好ましくは少なくとも14重量%、好ましくは27重量%以下、好ましくは25重量%以下、好ましくは23重量%以下の直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸塩を含む。好ましくは,アルキルベンゼンスルホン酸塩は、C10−C14アルキル基を有する。
【0016】
好ましくは、本洗剤組成物は、1〜15重量%、好ましくは少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも4重量%、好ましくは少なくとも5重量%、好ましくは13重量%以下、好ましくは12重量%以下、好ましくは11重量%以下の脂肪酸またはそれらの金属塩を含む。
【0017】
好ましくは、洗剤組成物は、0.5〜10重量%、好ましくは少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも1.5重量%、好ましくは8重量%以下、好ましくは6重量%以下、好ましくは5重量%以下のクエン酸塩を含む。
【0018】
好ましくは、本洗剤組成物は、1〜15重量%のアルコール及び/またはグリコール溶媒、例えば、プロピレングリコール及びエタノールを含む。好ましくは、溶媒は、プロピレングリコールまたはエタノールである。好ましくは、本洗剤組成物は、少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも4重量%、好ましくは12重量%以下、好ましくは10重量%以下、好ましくは9重量%以下の溶媒を含む。
【0019】
好ましくは、本洗剤組成物は、30〜70重量%、好ましくは少なくとも35重量%、好ましくは少なくとも38重量%、好ましくは少なくとも41重量%、好ましくは少なくとも43重量%、好ましくは65重量%以下、好ましくは62重量%以下、好ましくは59重量%以下、好ましくは57重量%以下の水を含む。
【0020】
好ましくは、本洗剤組成物は、0.5〜10重量%、好ましくは0.5〜6重量%、好ましくは1〜5重量%のヒドロトロープまたはそれらの塩を含む。ヒドロトロープの好ましい例は、芳香族スルホン酸、好ましくはトウエンスルホン酸である。
【0021】
本洗剤組成物の他の成分としては、例えば、界面活性剤、酸素漂白剤及び/または塩素漂白剤、漂白剤活性剤、酵素、泡止め剤、着色料、香料、抗菌剤、ならびに充填剤が挙げられ得る。香料、染料、泡止め剤、酵素、及び抗菌剤は、通常、本組成物の合計5重量%以下である。
【0022】
好ましくは、本洗剤組成物は、7.5〜10、好ましくは少なくとも8、好ましくは9.5以下、好ましくは9以下のpHを有する。
【0023】
本洗剤組成物は、任意の典型的な洗濯機の典型的な動作条件下で使用され得る。洗浄プロセス中の典型的な水温度は、好ましくは20℃〜85℃、好ましくは25℃〜70℃である。食器洗い機中の全液体のパーセントとしての本組成物の典型的な濃度は、好ましくは0.1〜1重量%、好ましくは0.2〜0.7重量%である。適切な製品形態及び追加時間を選択することで、本組成物は、前洗浄、主洗浄、最後から2番目のすすぎ、最終すすぎ、またはこれらのサイクルの任意の組み合わせにおいて存在し得る。
【0024】
好ましくは、本洗剤組成物は、酵素を実質的に含まず、すなわち、0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満しか酵素を含有せず、好ましくは検出可能な酵素を含有しない。好ましくは、本洗剤組成物は、2重量%未満、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満しかアミンオキシド界面活性剤を含有しない。好ましくは、本洗剤組成物は、式(I)及び(II)のアミン以外のアミンを実質的に含まず、すなわち、これらの他のアミンは、0.7重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.3重量%未満、好ましくは0.2重量%未満の総量でしか存在しない。
【実施例】
【0025】
DOW強力液体製剤(30℃での洗浄サイクル)における様々な染みへの従来の中和剤(NaOH)に対するアミノアルコールでの中和の利益を、一次清浄、すなわち、染み除去について調べることによって調査した。洗浄前及び洗浄後の各染みの色を測定した。
【0026】
プロトコル:
様々なアミノアルコールを以下の製剤に添加した。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
本試験で使用した染みモニタは、以下のものであった。
染みモニタ:Center for Test Materials製、参照MON DOW 7
【0030】
【表3】
【0031】
各機械に以下のものを装填した。
1台の染みモニタ+1台のSBL(土壌バラスト荷重8g)
洗剤60g
バラスト荷重3.3kg
水道水:TH18°F前後
6つの異なるサイクルを30℃で行い、(サイクル毎に新しい染みモニタを用いて)行った(=6反復)
【0032】
測定
土壌放出効果を各染みのデルタE(ΔE)により測定した。
【0033】
デルタEを、L*a*b*色空間内の未洗浄の染みと洗浄済みの染みとの間の色差として定義する。
【0034】
洗浄前及び洗浄後の各染みを、以下の設定を有するEpsonスキャンソフトウェアを使用したEpson Perfection 4490フォトスキャナで測定した。
■ プロフェッショナルモード
■ 文書型:反射
■ 文書源:文書テーブル
■ 自動露光型:光
■ 画像型:48ビットカラー
■ スキャナ品質:最良
■ 解像度:400dpi
■ 色補正なし
■ UVカット400nm
【0035】
その後、各染みの色を、L*a*b*色空間内の色情報を提供するマクロを使用したソフトウェアImage Jバージョン1.4.3.67(インターネットから入手可能な無料ソフトウェア)で分析した。
【0036】
結果(30℃での6つの異なるサイクルの平均)
【0037】
デルタEを、L*a*b*色空間内の未洗浄の染みと洗浄済みの染みとの間の色差として定義する。
【0038】
【数1】
【0039】
結果を以下の表にする。
【0040】
【表4】