(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6630617
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】液体処理装置および液体処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/32 20060101AFI20200106BHJP
B01J 19/12 20060101ALI20200106BHJP
B01D 24/02 20060101ALI20200106BHJP
B01D 24/46 20060101ALI20200106BHJP
B01D 29/62 20060101ALI20200106BHJP
【FI】
C02F1/32
B01J19/12 C
B01D23/16
B01D23/10 A
B01D23/24 Z
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-77192(P2016-77192)
(22)【出願日】2016年4月7日
(65)【公開番号】特開2017-185460(P2017-185460A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮ノ下 友明
(72)【発明者】
【氏名】國東 俊朗
(72)【発明者】
【氏名】土田 晃大
【審査官】
山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−311265(JP,A)
【文献】
特開平08−323374(JP,A)
【文献】
特許第5049004(JP,B2)
【文献】
国際公開第2004/006969(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/20− 1/26
1/30− 1/38
B05D 1/00− 7/26
B01D 24/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロウェーブにより紫外線発光する粒状ろ材を充填した紫外線発光ろ材層を有する反応槽と、
マイクロウェーブ発生手段と、
を備え、
前記マイクロウェーブ発生手段により発生させたマイクロウェーブを前記粒状ろ材に照射しながら、固形分を含む被処理液体を前記反応槽に通液させて、前記被処理液体の前記固形分の固液分離処理とともに紫外線照射処理を行うことを特徴とする液体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体処理装置であって、
前記粒状ろ材の沈降速度が、10〜100m/hの範囲であることを特徴とする液体処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液体処理装置であって、
前記紫外線発光ろ材層の下流部に後ろ過層を有することを特徴とする液体処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体処理装置であって、
前記粒状ろ材を逆流洗浄する逆流洗浄手段をさらに備えることを特徴とする液体処理装置。
【請求項5】
マイクロウェーブ発生手段により発生させたマイクロウェーブを、マイクロウェーブにより紫外線発光する粒状ろ材を充填した紫外線発光ろ材層を有する反応槽における前記粒状ろ材に照射しながら、固形分を含む被処理液体を前記反応槽に通液させて、前記被処理液体の前記固形分の固液分離処理とともに紫外線照射処理を行う処理工程を含むことを特徴とする液体処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の液体処理方法であって、
前記粒状ろ材の沈降速度が、10〜100m/hの範囲であることを特徴とする液体処理方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の液体処理方法であって、
前記紫外線発光ろ材層の下流部に後ろ過層を有することを特徴とする液体処理方法。
【請求項8】
請求5〜7のいずれか1項に記載の液体処理方法であって、
前記粒状ろ材を逆流洗浄する逆流洗浄工程をさらに含むことを特徴とする液体処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形分を含む液体の処理装置および処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固形分を含む液体の固液分離を行う方法として、粒状ろ材によるろ過処理が浄水処理等で行われる。一般的には、粒状ろ材としてアンスラサイトや硅砂等が用いられる。一方、紫外線殺菌または酸化処理には、紫外線(UV)を発生する紫外線ランプ等を用いた紫外線照射処理が行われる。
【0003】
粒状ろ材によるろ過処理の際に紫外線照射処理を行おうとする場合、アンスラサイトや硅砂等の粒状ろ材は紫外線透過性を有さないため、粒状ろ材によるろ過装置の前段または後段に紫外線照射装置を設置する必要がある。
【0004】
一方、紫外線照射装置の一つとしてマイクロウェーブ紫外線発光装置が知られている。例えば、粒状の無電極紫外線発光体に外部から2.45GHz等のマイクロウェーブを照射して、紫外線発光させるものがある(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5049004号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】堀越 智、「光触媒コーティング無電極ランプによる被災地の汚染水浄化装置の開発に関する研究」、平成26年3月、平成25年度環境研究総合推進費補助金 研究事業 総合研究報告書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、固形分を含む液体の固液分離処理とともに紫外線照射処理を行うことができる液体処理装置および液体処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、マイクロウェーブにより紫外線発光する粒状ろ材を充填した紫外線発光ろ材層を有する反応槽と、マイクロウェーブ発生手段と、を備え、前記マイクロウェーブ発生手段により発生させたマイクロウェーブを前記粒状ろ材に照射しながら、固形分を含む被処理液体を前記反応槽に通液させて、前記被処理液体の前記固形分の固液分離処理とともに紫外線照射処理を行う、液体処理装置である。
【0009】
前記液体処理装置において、前記粒状ろ材の沈降速度が、10〜100m/hの範囲であることが好ましい。
【0010】
前記液体処理装置において、前記紫外線発光ろ材層の下流部に後ろ過層を有することが好ましい。
【0011】
前記液体処理装置において、前記粒状ろ材を逆流洗浄する逆流洗浄手段をさらに備えることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、マイクロウェーブ発生手段により発生させたマイクロウェーブを、マイクロウェーブにより紫外線発光する粒状ろ材を充填した紫外線発光ろ材層を有する反応槽における前記粒状ろ材に照射しながら、固形分を含む被処理液体を前記反応槽に通液させて、前記被処理液体の前記固形分の固液分離処理とともに紫外線照射処理を行う処理工程を含む、液体処理方法である。
【0013】
前記液体処理方法において、前記粒状ろ材の沈降速度が、10〜100m/hの範囲であることが好ましい。
【0014】
前記液体処理方法において、前記紫外線発光ろ材層の下流部に後ろ過層を有することが好ましい。
【0015】
前記液体処理方法において、前記粒状ろ材を逆流洗浄する逆流洗浄工程をさらに含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、固形分を含む液体の固液分離処理とともに紫外線照射処理を行うことができる液体処理装置および液体処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る液体処理装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】比較例で用いた液体処理装置を示す概略構成図である。
【
図3】実施例1および比較例1における、通水時間と通水差圧の経時変化を示す図である。
【
図4】実施例1および比較例1における、逆洗LVと展開率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0019】
本発明の実施形態に係る液体処理装置の一例の概略を
図1に示し、その構成について説明する。
【0020】
本実施形態に係る液体処理装置1は、マイクロウェーブにより紫外線発光する粒状ろ材を充填した紫外線発光ろ材層38を有する反応槽12と、マイクロウェーブ発生手段として、マイクロウェーブ発生装置14とを備える。液体処理装置1は、原水を貯留するための原水槽10と、処理液を貯留するための処理液槽16と、凝集剤を注入するための凝集剤添加手段として凝集剤槽18とを備えてもよい。
【0021】
図1の液体処理装置1において、原水槽10の出口と反応槽12の上部入口とは、原水ポンプ20、原水バルブ26を介して原水配管50により接続されている。反応槽12の下部出口と処理液槽16の入口とは、逆洗液バルブ30、処理液バルブ32を介して処理液配管54により接続されている。処理液槽16の下部出口と、処理液配管54における逆洗液バルブ30および処理液バルブ32の間とは、逆洗ポンプ22を介して逆洗液配管56により接続されている。原水配管50における原水バルブ26と反応槽12の上部入口との間には、逆洗排液バルブ28を介して逆洗排液配管52が接続されている。凝集剤槽18の出口と、原水配管50における原水ポンプ20および原水バルブ26の間とは、凝集剤ポンプ24を介して凝集剤配管58により接続されている。反応槽12には、マイクロウェーブにより紫外線発光する粒状ろ材が充填された紫外線発光ろ材層38が形成され、必要に応じて、紫外線発光ろ材層38の下流部に、ろ過砂等が充填された後ろ過層36と、支持砂利等が充填された支持層34とが形成されていてもよい。反応槽12には、マイクロウェーブ発生手段としてマイクロウェーブ発生装置14が、紫外線発光ろ材層38の粒状ろ材にマイクロウェーブを照射できるように設置されている。
【0022】
本実施形態に係る液体処理方法および液体処理装置1の動作について説明する。
【0023】
原水バルブ26、逆洗液バルブ30、処理液バルブ32を開状態とし、逆洗排液バルブ28を閉状態とし、マイクロウェーブ発生装置14を起動させて、発生させたマイクロウェーブを紫外線発光ろ材層38の粒状ろ材に照射しながら、原水槽10から原水ポンプ20により、固形分を含む被処理液体が原水として原水配管50を通して、反応槽12の上部入口から供給され、反応槽12を下向流で通液される。これにより、紫外線発光ろ材層38において、固形分を含む被処理液体の固液分離処理が行われるとともに、紫外線照射処理が行われる(処理工程)。通液後の処理液は、反応槽12の下部出口から排出され、処理液配管54を通して、一部または全部が処理液槽16に移される。処理液は、一部または全部が処理液配管54の例えば途中から系外に排出されてもよい。
【0024】
固液分離処理では、紫外線発光ろ材層38の粒状ろ材によって、被処理液体から固形分が分離される。紫外線発光ろ材層38の下流部に1つ以上の後ろ過層36を設けることにより、処理液の濁度をさらに低減することができる。
【0025】
紫外線照射処理では、マイクロウェーブの照射により紫外線発光ろ材層38の粒状ろ材から発光された紫外線によって、主に、細菌類の殺菌および紫外線の光酸化による有機物等の酸化分解処理が行われる。
【0026】
本実施形態に係る液体処理方法および液体処理装置により、固形分を含む液体の固液分離処理とともに紫外線照射処理を行うことができる。また、固液分離処理と紫外線照射処理をともに行うことにより、液体処理装置の設置面積を低減することができる。
【0027】
処理対象となる被処理液体は、固形分を含む液体であればよく、特に制限はない。液体としては、例えば、水や、糖液等が挙げられる。固形分としては、例えば、懸濁物質等が挙げられる。処理対象となる被処理液体の濁度は、例えば0.5度以上10度以下、色度は、例えば0.5度以上10度以下、細菌数は、例えば、100個/mL以上100,000個/mL以下である。
【0028】
反応槽12における被処理液体の通液方向は、通常は
図1に示すような下向流であるが、上向流であってもよいし、横向流であってもよい。
【0029】
マイクロウェーブ発生装置14は、マイクロウェーブ(周波数:2.45GHz±0.01GHz)を発生することができるものであればよく、その構成は特に制限はない。例えば、真空管を用いるマグネトロン方式の他に、半導体を用いるソリッドステート方式等が挙げられる。マグネトロン方式の発振器は、家庭用から業務用の電子レンジに幅広く用いられており比較的安価に入手できる利点があり、ソリッドステート方式の発振器は、寿命が比較的長く、波長の安定性が良好である等の利点がある。
【0030】
マイクロウェーブ発生装置14の構成例として、例えば、
図1に示すように、電源装置40と、マイクロウェーブ発振器42と、導波管44と、スリースタブチューナ46と、短絡器48とを備える構成が挙げられる。
【0031】
例えば、電源装置40から供給された電源により、マイクロウェーブ発振器42が発生したマイクロウェーブが、導波管44を通り、紫外線発光ろ材層38の粒状ろ材に照射される。スリースタブチューナ46により、導波管44におけるインピーダンス整合を調整することができる。
【0032】
マイクロウェーブの照射は、紫外線発光ろ材層38のある1方向から行ってもよいし、2方向以上の複数方向から行ってもよい。反応槽12の径が大きくなると(例えば、30cm以上)、マイクロウェーブが中心部まで到達しない場合があるので、紫外線発光ろ材層38に対して2方向以上の複数方向から照射を行うことが好ましい。
【0033】
紫外線発光ろ材層38の粒状ろ材は、マイクロウェーブにより紫外線発光するものであればよく、特に制限はない。粒状ろ材としては、例えば、石英製やテフロン(登録商標)樹脂製であって、球形状や、円筒の両端を球状にしたカプセル形状等の容器に、水銀ガス、水素ガス、キセノンガス、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、塩素ガス、重水素ガス等の、マイクロウェーブにより紫外線発光する放電ガスを所定の封入圧で封入した無電極紫外線発光カプセル等が挙げられる。放電ガスを封入した無電極紫外線発光カプセルに、マイクロウェーブを照射することにより、ガスが励起され、紫外線を発光する。また、カプセルの比重を調整するために、このカプセルの両端または一端に、カプセルと同様の材料で形成した中空または中実の突起状の比重調整部を設けてもよい。
【0034】
粒状ろ材が球形状の場合、最大径は、例えば、1.0mm〜10mmの範囲であり、2.0mm〜4.0mmの範囲であることが好ましい。粒状ろ材が円筒の両端を球状にしたカプセル形状の場合、径は、例えば、1.0mm〜10mmの範囲であり、2.0mm〜4.0mmの範囲であることが好ましく、高さは、例えば、2.0mm〜20mmの範囲であり、4.0mm〜8.0mmの範囲であることが好ましい。
【0035】
比重調整部の径は、例えば、1.0mm〜10mmの範囲であり、2.0mm〜4.0mmの範囲であることが好ましく、高さは、例えば、2.0mm〜20mmの範囲であり、4.0mm〜10mmの範囲であることが好ましい。
【0036】
粒状ろ材の沈降速度は、10〜100m/hの範囲であることが好ましく、30〜50m/hの範囲であることがより好ましい。粒状ろ材の沈降速度が10m/h未満であると、または、100m/hを超えると、後述する逆流洗浄工程において、粒状ろ材が上向流中で15〜30体積%といった適切な展開率とならず、懸濁物質等で覆われた粒状ろ材を効果的に洗浄することができない場合がある。例えば、カプセルに比重調整部を設けて、沈降速度を調整すればよい。
【0037】
後ろ過層36は、1層でもよく、2層以上から構成してもよい。紫外線発光ろ材層38の下流部に後ろ過層36を設けることにより、処理液の濁度をさらに低減することができ、例えば濁度を0.1度以下とすることも可能となる。
【0038】
後ろ過層36を構成するろ過材としては、例えば、アンスラサイト、硅砂、ガーネット、イルミナイト等のろ過砂等が挙げられる。
【0039】
支持層34は、紫外線発光ろ材層38または後ろ過層36を支持する層である。
【0040】
支持層34を構成する支持材としては、例えば、支持砂利、有孔ブロック等が挙げられる。
【0041】
例えば反応槽12からの処理液の排出量が低下する等の場合には、反応槽12内を逆流洗浄(逆洗)してもよい。例えば、原水バルブ26、処理液バルブ32を閉状態とし、逆洗液バルブ30、逆洗排液バルブ28を開状態とし、逆洗ポンプ22を起動させることにより、処理液槽16中の処理液が逆洗液として逆洗液配管56、処理液配管54を通して、反応槽12下部より上向流にて通液される。逆洗排液は、反応槽12上部より逆洗排液配管52を通して排出される(逆流洗浄工程)。この場合、処理液槽16、逆洗ポンプ22、逆洗液配管56、処理液配管54等が逆流洗浄手段として機能することになる。
【0042】
上記の通り、粒状ろ材の沈降速度を10〜100m/hの範囲とすることにより、上向流での逆流洗浄において、粒状ろ材を洗浄効果の高い展開率15〜30体積%とすることができる。粒状ろ材が上向流中で15〜30体積%といった適切な展開率となっていないと、懸濁物質等で覆われた粒状ろ材を効果的に洗浄することができない場合がある。
【0043】
被処理液体が反応槽12に供給される前に、被処理液体に凝集剤が添加されてもよい。被処理液体中の固形分の粒径が細かい等の場合には、被処理液体に凝集剤を添加することにより、処理液の濁度をより低減することができる。例えば、原水配管50において、凝集剤槽18から凝集剤ポンプ24により凝集剤を添加すればよい。凝集剤の添加は、原水槽10において行われてもよいし、原水槽10と反応槽12との間に別途、中間槽を設けて、中間槽において行われてもよい。
【0044】
凝集剤としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化第二鉄、ポリ硫酸鉄等の無機系凝集剤等が挙げられる。
【0045】
凝集剤の添加量は、例えば、1.0〜30mg/Lの範囲である。
【0046】
本実施形態に係る液体処理方法および液体処理装置は、浄水処理、下水処理、工業用水処理、下水処理、排水処理等における固液分離と、紫外線殺菌、紫外線酸化処理等の紫外線照射処理とをともに行う場合に適用することができ、特に、浄水処理に好適に適用することができる。
【0047】
本実施形態に係る液体処理方法および液体処理装置により、例えば濁度で1.5度以上、色度で3.0度以上、細菌数で2,000個/mL以上の被処理水の水質を、例えば濁度で0.1度以下、色度で0.4度以下、細菌数で1個/mL以下の処理水とすることができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0049】
<実施例1,2および比較例1>
実施例1,2では
図1の液体処理装置1を用い、比較例1では
図2に示す液体処理装置3を用いた。
図2の液体処理装置3は、原水槽70と、反応槽72と、処理液槽74と、凝集剤槽76と、原水ポンプ78と、逆洗ポンプ80と、凝集剤ポンプ82と、原水バルブ84と、逆洗排液バルブ86と、逆洗液バルブ88と、処理液バルブ90とを備える。反応槽72には、下から支持層92、後ろ過層94、アンスラサイト層96が形成されている。
【0050】
以下の装置仕様、通水条件で試験を行った。
[反応槽]
・反応槽本体:圧力式ろ過塔、φ200mm×H3,000mm
・通水条件:ろ過速度10m/h(0.3m
3/h)、凝集剤(ポリ塩化アルミニウム(PAC))注入率5mg/L、有効差圧30kPa
・ろ層構成:
(比較例1)
アンスラサイト層:有効径1.0mm、均等係数1.4、層高300mm
後ろ過層(硅砂層):有効径0.7mm、均等係数1.4、層高400mm
支持層:砂利、層高400mm
(実施例1,2)
紫外線発光ろ材層:紫外線発光粒状ろ材 径(φ)2mm×高さ(L)5mm、層高300mm
後ろ過層(硅砂層):有効径0.7mm、均等係数1.4、層高400mm
支持層:砂利、層高400mm
【0051】
[紫外線発光粒状ろ材(無電極紫外線発光カプセル)の詳細]
・サイズ:ガス封入部 径(φ)2mm×高さ(L)3mm+比重調整部 径(φ)2mm×高さ(L)2mm
・材質:石英
・封入ガス:水銀ガス、封入圧力10Pa
・沈降速度:35m/h
【0052】
[逆洗装置]
・処理液槽:0.3m
3
・逆洗ポンプ:仕様3m
3/h、逆洗LV 35〜45m/h(1.1〜1.4m
3/h)×10min
【0053】
[マイクロウェーブ発生装置]
・電源装置:300W(30〜300W可変式)
・マイクロウェーブ発振器:マグネトロン
・周波数:2.45GHz
・導波管:L400mm×W200mm×H300mm、アルミニウム製
・チューナー:スリースタブ方式
【0054】
マイクロウェーブ発生装置の電源装置の投入電力を、実施例1では30Wに設定し、実施例2では60Wに設定した。原水と処理液の水質(濁度、色度、一般細菌数)を表1に示す。濁度および色度は、日本電色製、WA6000型(濁度測定は積分球式、色度測定は390nm透過光測定法式)を用いて、一般細菌数は、培地培養法(標準寒天培地を用いて36±1℃で24±2時間培養し、コロニー数を測定)で測定した。
【0055】
【表1】
【0056】
濁度、色度は従来法の比較例1の処理液と、実施例1,2の処理液で、ほぼ同等であったが、一般細菌数は比較例1では400個/mLに対して、実施例1では20個/mL、実施例2では<1個/mLとなった。マイクロウェーブ発生装置への投入電力の違いによって紫外線発光粒状ろ材からの紫外線強度が変化し、殺菌力に差がついたと考えられる。
【0057】
実施例1および比較例1における、通水時間と通水差圧の経時変化を
図3に示す。実施例1および比較例1ともに通水差圧30kPaで逆洗(LV=37.5m/h×10min)を実施した。通水差圧30kPaで逆洗を行っており、実施例1、比較例1ともに通水差圧が回復している。
【0058】
実施例1および比較例1における、逆洗LVとろ材展開率の関係を
図4に示す。水温20℃において、展開率20〜30%となる逆洗LVは、実施例1、比較例1ともに37.5m/hであった。
【0059】
実施例の液体処理装置により、固形分を含む液体の固液分離処理とともに紫外線照射処理を行うことができた。また、実施例のように、固液分離処理と紫外線照射処理(紫外線殺菌および紫外線光酸化)をともに行うことにより、液体処理装置の設置面積が低減した。
【符号の説明】
【0060】
1,3 液体処理装置、10,70 原水槽、12,72 反応槽、14 マイクロウェーブ発生装置、16,74 処理液槽、18,76 凝集剤槽、20,78 原水ポンプ、22,80 逆洗ポンプ、24,82 凝集剤ポンプ、26,84 原水バルブ、28,86 逆洗排液バルブ、30,88 逆洗液バルブ、32,90 処理液バルブ、34,92 支持層、36,94 後ろ過層、38 紫外線発光ろ材層、40 電源装置、42 マイクロウェーブ発振器、44 導波管、46 スリースタブチューナ、48 短絡器、50 原水配管、52 逆洗排液配管、54 処理液配管、56 逆洗液配管、58 凝集剤配管、96 アンスラサイト層。