特許第6630791号(P6630791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6630791
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】無線装置、サーバ及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20200106BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20200106BHJP
   H04W 8/00 20090101ALI20200106BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20200106BHJP
【FI】
   G06Q10/08 306
   B65G61/00 524
   H04W8/00 110
   H04W52/02
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-147033(P2018-147033)
(22)【出願日】2018年8月3日
【審査請求日】2018年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】海老沢 憲一
【審査官】 久慈 渉
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−532691(JP,A)
【文献】 特開2013−246118(JP,A)
【文献】 特開2008−41104(JP,A)
【文献】 特開2008−61055(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0176570(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0324151(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
B65G 61/00
H04W 8/00
H04W 52/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から到着地に輸送される荷物に付すための無線装置であって、
前記荷物が輸送中であるかを推定するための情報を出力するセンサ部と、
前記無線装置を識別する装置識別子を送信する通信部と、
到着地に荷物が到着する予定である到着予定時刻より前の時刻であるセンサ起動時刻を記憶するための記憶部と、
現在時刻が前記センサ起動時刻に一致すると前記センサ部を休止状態から動作状態に遷移させ、前記センサ部から入力された情報から前記荷物が到着したと推定された場合に前記通信部を休止状態から動作状態に遷移させる処理部と、を有する
ことを特徴とする無線装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記センサ起動時刻を示す情報を受信し、
前記記憶部は、前記情報が示すセンサ起動時刻を記憶し、
前記処理部は、前記通信部が前記情報を受信したことに応じて、前記通信部を動作状態から休止状態に遷移させる、請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
前記通信部は、通信可能な周波数を示す報知信号を基地局から受信し、前記周波数または、報知信号で指示された周波数を使用して前記装置識別子を送信する、
請求項1又は2に記載の無線装置。
【請求項4】
前記センサ部は気圧センサを含み、気圧の変化に基づいて前記荷物を輸送する航空機の着陸を検出し、着陸の検出に基づいて荷物の到着を推定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項5】
前記センサ部は加速度センサを含み、加速度の変化に基づいて前記荷物を輸送する航空機の着陸を検出し、着陸の検出に基づいて荷物の到着を推定する、請求項1から4のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項6】
出発地から到着地に輸送される荷物に付される無線装置と、通信可能に接続されるサーバであって、
前記荷物の持ち主の旅程情報と、前記荷物に付される前記無線装置の装置識別子と、前記持ち主の連絡先とを関連付けて記憶するためのサーバ記憶部と、
前記旅程情報に含まれる到着予定時刻に基づいて、前記到着予定時刻よりも前の時刻であるセンサ起動時刻を生成するサーバ処理部と、
前記センサ起動時刻を、前記装置識別子により識別される無線装置に宛てて送信するサーバ通信部と、を備え、
前記サーバ通信部は、前記無線装置から基地局を経由して前記装置識別子を含む情報を受信し、前記サーバ処理部は、前記情報に含まれる基地局の情報に基づいて前記無線装置の現在地を推定し、前記サーバ通信部は更に、前記推定した現在地を前記連絡先に宛てて送信する、サーバ。
【請求項7】
前記サーバ処理部が推定した前記無線装置の現在地が、前記旅程情報に含まれる目的地に略一致している場合に、
前記サーバ通信部は、前記無線装置に宛てて、前記無線装置を動作状態から休止状態に遷移させる休止指示を送信する、
請求項6に記載のサーバ。
【請求項8】
出発地から到着地に輸送される荷物に付すための無線装置と、前記無線装置と通信可能に接続されるサーバと、を含むシステムであって、
前記サーバは、
前記荷物の持ち主の旅程情報と、前記荷物に付される前記無線装置の装置識別子と、前記持ち主の連絡先とを関連付けて記憶するためのサーバ記憶部と、
前記旅程情報に含まれる到着予定時刻に基づいて、前記到着予定時刻よりも前の時刻であるセンサ起動時刻を生成するサーバ処理部と、
前記センサ起動時刻を、前記装置識別子により識別される無線装置に宛てて送信するサーバ通信部とを備え、
前記無線装置は、
前記荷物が輸送中であるかを推定するためのセンサ部と、
前記無線装置を識別する装置識別子を送信する無線装置通信部と、
到着地に荷物が到着する予定である到着予定時刻より前の時刻であるセンサ起動時刻を記憶するための無線装置記憶部と、
現在時刻が前記センサ起動時刻に一致すると前記センサ部を休止状態から動作状態に遷移させ、前記センサ部から入力された情報から前記荷物が到着したと推定された場合に前記無線装置通信部を休止状態から動作状態に遷移させる処理部と、を有し、
サーバ通信部は、前記無線装置から基地局を経由して前記装置識別子を含む情報を受信し、前記サーバ処理部は、前記情報に含まれる前記基地局の情報に基づいて前記無線装置の現在地を推定し、前記サーバ通信部は更に、前記推定した現在地を前記連絡先に宛てて送信する、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線装置、サーバ及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機等により輸送される旅行鞄等の荷物に付された電子タグの位置を追跡することで、荷物の位置を追跡する技術が知られている。例えば、特許文献1には、手荷物に取り付けられる電子タグを使用した航空手荷物管理システムが記載されている。特許文献1に記載される航空手荷物管理システムは、荷物の持ち主が出発先空港のチェックインカウンタで荷物を預託すると、電子タグが発行され、預託された荷物に取り付けられる。荷物に取り付けられた電子タグは、航空機に搭載されるとき、爆発物検知装置の検査を受けたとき、空港に到着したとき等に読取装置によって読み取られ、荷物の位置を示す情報が荷物の持ち主が有する携帯端末に逐次通知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−289634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、出発地から到着地に輸送される荷物に無線装置を付して、無線装置が送信する識別子を受信した基地局の位置を示す情報を使用することで、荷物の位置を推定することが可能である。しかしながら、無線装置を荷物に付して使用するとき、無線装置は、無線装置を識別する識別子を送信する通信部に加えて、航空機等により荷物が輸送中であるか否かを検出するセンサ部を要するため、消費電力が大きくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、輸送される荷物に付して使用される無線装置の消費電力を低減可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る無線装置は、出発地から到着地に輸送される荷物に付すための無線装置であって、荷物が輸送中であるかを推定するための情報を出力するセンサ部と、無線装置を識別する装置識別子を送信する通信部と、到着地に荷物が到着する予定である到着予定時刻より前の時刻であるセンサ起動時刻を記憶するための記憶部と、現在時刻がセンサ起動時刻に一致するとセンサ部を休止状態から動作状態に遷移させ、センサ部から入力された情報から荷物が到着したと推定された場合に通信部を休止状態から動作状態に遷移させる処理部とを有する。
【0007】
また、本発明に係る無線装置では、通信部は、センサ起動時刻を示す情報を受信し、記憶部は、情報が示すセンサ起動時刻を記憶し、処理部は、通信部が情報を受信したことに応じて、通信部を動作状態から休止状態に遷移させることが好ましい。
【0008】
また、本発明に係る無線装置では、通信部は、通信可能な周波数を示す報知信号または、報知信号で指示された周波数を基地局から受信し、周波数を使用して装置識別子を送信することが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る無線装置では、センサ部は気圧センサを含み、気圧の変化に基づいて荷物を輸送する航空機の着陸を検出し、着陸の検出に基づいて荷物の到着を推定することが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る無線装置では、センサ部は加速度センサを含み、加速度の変化に基づいて荷物を輸送する航空機の着陸を検出し、着陸の検出に基づいて荷物の到着を推定することが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係るサーバは、出発地から到着地に輸送される荷物に付される無線装置と、通信可能に接続されるサーバであって、荷物の持ち主の旅程情報と、荷物に付される無線装置の装置識別子と、持ち主の連絡先とを関連付けて記憶するためのサーバ記憶部と、旅程情報に含まれる到着予定時刻に基づいて、到着予定時刻よりも前の時刻であるセンサ起動時刻を生成するサーバ処理部と、センサ起動時刻を、装置識別子により識別される無線装置に宛てて送信するサーバ通信部と、を備え、サーバ通信部は、無線装置から基地局を経由して装置識別子を含む情報を受信し、サーバ処理部は、情報に含まれる基地局の情報に基づいて無線装置の現在地を推定し、サーバ通信部は更に、推定した現在地を連絡先に宛てて送信する。
【0012】
また、本発明に係るサーバでは、サーバ処理部が推定した無線装置の現在地が、旅程情報に含まれる目的地に略一致している場合に、サーバ通信部は、無線装置に宛てて、通信部を動作状態から休止状態に遷移させる休止指示を送信することが好ましい。
【0013】
さらに、本発明に係るシステムは、出発地から到着地に輸送される荷物に付すための無線装置と、無線装置と通信可能に接続されるサーバと、を含むシステムであって、サーバは、荷物の持ち主の旅程情報と、荷物に付される無線装置の装置識別子と、持ち主の連絡先とを関連付けて記憶するためのサーバ記憶部と、旅程情報に含まれる到着予定時刻に基づいて、到着予定時刻よりも前の時刻であるセンサ起動時刻を生成するサーバ処理部と、センサ起動時刻を、装置識別子により識別される無線装置に宛てて送信するサーバ通信部とを備え、無線装置は、荷物が輸送中であるかを推定するための情報を出力するセンサ部と、無線装置を識別する装置識別子を送信する無線装置通信部と、到着地に荷物が到着する予定である到着予定時刻より前の時刻であるセンサ起動時刻を記憶するための無線装置記憶部と、現在時刻がセンサ起動時刻に一致するとセンサ部を休止状態から動作状態に遷移させ、センサ部から入力された情報から荷物が到着したと推定された場合に無線装置通信部を休止状態から動作状態に遷移させる無線装置処理部と、を有し、サーバ通信部は、無線装置から基地局を経由して装置識別子を含む情報を受信し、サーバ処理部は、情報に含まれる基地局の情報に基づいて無線装置の現在地を推定し、サーバ通信部は更に、推定した現在地を連絡先に宛てて送信する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る無線装置は、輸送される荷物に付して使用されるときに、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は実施形態に係る荷物位置検出システムによる荷物位置検出処理の概要を示す図であり、(b)は実施形態に係る無線装置の動作状態を説明するための図である。
図2】第1実施形態に係る荷物位置検出システムの概略構成を示す図である。
図3図2に示す無線装置の機能ブロック図である。
図4図2に示すサーバの機能ブロック図である。
図5図4に示す発着テーブルの一例を示す図である。
図6図4に示す荷物位置検出システムによる荷物位置検出処理を示すシーケンス図である。
図7図6に示すセンサ起動情報生成処理を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態に係る荷物位置検出システムの概略構成を示す図である。
図9図8に示すサーバの機能ブロック図である。
図10図9に示す発着テーブルの一例を示す図である。
図11図9に示すサーバによる荷物位置検出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0017】
図1(a)は実施形態に係る荷物位置検出システムによる荷物位置検出処理の概要を示す図であり、図1(b)は実施形態に係る無線装置の動作状態を説明するための図である。図1(b)において、ハッチされていない構成素子は動作状態を示し、ハッチされた構成要素は動作状態よりも消費電力が小さい休止状態を示す。
【0018】
(実施形態に係る荷物位置検出システムの構成)
荷物位置検出システム1は、無線装置2と、サーバ4と、第1基地局5と、第2基地局6とを有する。無線装置2は、出発地である出発空港11から到着地である到着空港12に航空機100で輸送される荷物10に付される。サーバ4は、無線装置2との間で通信可能なコンピュータ等の電子計算機である。第1基地局5は、出発空港11の内部又は近傍に配置され、出発空港11における無線装置2とサーバとの間の通信を中継する。第2基地局6は、到着空港12の内部又は近傍に配置され、到着空港12における無線装置2とサーバとの間の通信を中継する。
【0019】
無線装置2は、通信部21、センサ部24、記憶部25、処理部30等を有する。通信部21は、第1基地局5及び第2基地局6等を経由してサーバ4と通信する。センサ部24は、例えば、気圧を示す気圧情報を出力する気圧センサと、加速度を示す加速度情報を出力する加速度センサとを含む。記憶部25は、例えば、半導体メモリであり、荷物位置検出処理に使用される種々の情報を記憶する。処理部30は、例えばCPUであり、荷物位置検出処理に伴う種々の処理を実行する。
【0020】
(実施形態に係る荷物位置検出システムにおける荷物位置検出処理)
荷物位置検出システム1における荷物位置検出処理では、まず、荷物10に付された無線装置2の通信部21は、無線装置2を識別する装置識別子を、第1基地局5を経由してサーバ4に送信する(S1)。
【0021】
次いで、サーバ4は、無線装置2から装置識別子を受信すると、荷物10の持ち主の旅程情報に含まれる到着予定時刻に基づいて、到着予定時刻よりも前の時刻であるセンサ起動時刻を生成する(S2)。次いで、サーバ4は、S2の処理で生成したセンサ起動時刻を示す情報を第1基地局5を経由して、無線装置2に宛てて送信する(S3)。
【0022】
次いで、通信部21はセンサ起動時刻を示す情報を受信し、記憶部25は受信した情報が示すセンサ起動時刻を記憶する。次いで、処理部30は、通信部21がセンサ起動時刻を示す情報を受信したことに応じて、通信部21を動作状態から休止状態に遷移させる(S4)。処理部30が通信部21を動作状態から休止状態に遷移させる。
【0023】
処理部30は、現在時刻がセンサ起動時刻に一致するとセンサ部24を休止状態から動作状態に遷移させる(S5)。センサ部24は、処理部30によって休止状態から動作状態に遷移されると、荷物が輸送中であるかを推定するための情報を出力する。
【0024】
処理部30は、センサ部24から入力された情報から荷物が到着したと推定した場合に通信部21を休止状態から動作状態に遷移させる(S6)。処理部30は、併せて、センサ部24を動作状態から休止状態へ遷移させる。次いで、通信部21は、到着空港12において、無線装置2を識別する装置識別子を示す装置識別子を、第2基地局6を経由してサーバ4に送信する(S7)。第2基地局6は、サーバ4に装置識別子を送信するときに、第2基地局6を識別する基地局識別子を付加する。
【0025】
次いで、サーバ4は、無線装置2から第2基地局6を経由して装置識別子を含む情報を受信し、受信した情報に含まれる第2基地局6を識別する基地局識別子等の情報に基づいて無線装置2の現在地を推定する(S8)。次いで、サーバ4は、S8の処理で推定した現在地を荷物10の持ち主の連絡先に宛てて送信する(S9)。
【0026】
次いで、サーバ4は、無線装置2の現在地が荷物10の目的地に略一致しているか否かを判定する(S10)。サーバ4は、無線装置2の現在地が荷物10の目的地に略一致していると判定すると、無線装置2に休止指示を送信する(S11)。そして、無線装置2は、休止指示を受信すると、休止状態に遷移する。
【0027】
(実施形態に係る荷物位置検出システムの作用効果)
センサ部24を使用せずに到着予定時刻を信頼して、到着予定時刻に通信部21を休止状態から動作状態に遷移させる場合には、航空機100が到着予定時刻より遅れて到着空港12に到着したときに、航空機100が到着空港12に到着する前に通信部21が電波を発する可能性がある。一方、荷物位置検出システム1では、無線装置2は、到着予定時刻に通信部21を休止状態から動作状態に遷移させるのではなく、到着予定時刻より前の時刻であるセンサ起動時刻にまずはセンサ部24を休止状態から動作状態に遷移させ、センサ部24により荷物10が到着空港12に到着したと推定された場合に通信部21を休止状態から動作状態に遷移させる。したがって、荷物位置検出システム1では、航空機100が到着空港12に到着する前に、通信のために電波を発するおそれはない。
【0028】
また、荷物位置検出システム1では、無線装置2は、到着予定時刻よりも前の時刻であるセンサ起動時刻までセンサ部24を休止状態とするので、航空機100が飛行中に無線装置2が消費する消費電力が抑制される。また、荷物位置検出システム1では、無線装置2は、センサ部24により荷物10が到着空港12に到着したと推定されるまで通信部21を休止状態とするので、航空機100が飛行中に無線装置2が消費する消費電力が更に抑制される。
【0029】
なお、無線装置2は、センサ起動時刻までセンサ部24を休止状態とするので、センサ起動時刻よりも早く航空機100が到着空港12に到着した場合、センサ部24が到着空港12への到着を推定できず、通信部21を動作状態に遷移できないおそれがある。しかしながら、航空機100が到着予定時刻よりも前に到着空港12に到着する可能性は非常に低いので、大きな問題にはならない。
【0030】
(第1実施形態に係る荷物位置検出システムの構成及び機能)
図2は、第1実施形態に係る荷物位置検出システムの概略構成を示す図である。
【0031】
荷物位置検出システム1は、無線装置2と、通信端末3と、サーバ4と、第1基地局5と、第2基地局6と、アクセスポイント8とを有する。サーバ4、第1基地局5、第2基地局6及びアクセスポイント8は、インターネット等の通信ネットワーク9を介して相互に接続される。無線装置2は、第1基地局5又は第2基地局6、及び通信ネットワーク9を介してサーバ4と通信し、通信端末3は、アクセスポイント8、通信ネットワーク9を介してサーバ4と通信する。第1基地局5は、出発地である出発空港11内部又は近傍に配置され、第2基地局6は、到着地である到着空港12内部又は近傍に配置されている。
【0032】
図3は、無線装置2の機能ブロック図である。
【0033】
無線装置2は、通信部21と、入力部22と、表示部23と、センサ部24と、記憶部25と、電源部26と、処理部30とを有し、荷物10に付される。
【0034】
通信部21は、LPWA(Low Power Wide Area)の一種であるLoRa、及びNB−IoT(Narrow Band-IoT)等の無線の通信インターフェース回路を有し、電源部26から電力が供給されている間、通信処理が実行可能となる。LoRaはサブギガ帯と称される周波数帯域を使用する無線通信方式であり、NB−IoTは200KHz程度の狭帯域幅の周波数帯を使用する無線通信方式である。通信部21は、第1基地局5、第2基地局6、通信ネットワーク9等を介してサーバ4等と通信を行う。通信部21は、サーバ4等から受信したデータを処理部30に供給する。通信部21は、処理部30から供給されたデータをサーバ4等に送信する。通信部21は電源部26から電力が供給されている間は動作状態であり、通信部21は電源部26から電力が供給されていない間は休止状態である。
【0035】
入力部22は、無線装置2の電力供給の開始及び停止が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、ボタン式スイッチである。入力部22は、無線装置2の持ち主の押下に応じて、電源部26から通信部21〜記憶部25及び処理部30への電力供給を開始及び停止する。
【0036】
表示部23は、無線装置2の電力供給状態を表示可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、LED(Light Emitting Diode)等である。表示部23は、電源部26から通信部21〜記憶部25及び処理部30に電力が供給されるときに点灯し、電源部26から通信部21〜記憶部25及び処理部30に電力が供給されないときに消灯する。
【0037】
センサ部24は、気圧センサ241と、加速度センサ242とを有する。気圧センサ241は、例えば、ピエゾ抵抗方式の気圧センサを有し、電源部26から電力が供給されている間、検出した気圧を示す気圧情報を荷物が輸送中であるかを推定するための情報として出力する。
【0038】
加速度センサ242は、例えば、3軸の容量式MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)加速度センサを有し、電源部26から電力が供給されている間、検出した加速度を示す加速度情報を荷物が輸送中であるかを推定するための情報として出力する。
【0039】
記憶部25は、例えば、半導体メモリである。記憶部25は、処理部30による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、記憶部25は、ドライバプログラムとして、通信部21を制御する通信デバイスドライバプログラム等を記憶する。また、記憶部25は、オペレーティングシステムプログラムとして、LoRaWAN等の通信方式による接続制御プログラム等を記憶する。また、記憶部25は、アプリケーションプログラムとして、各種データの送受信を行うデータ処理プログラム等を記憶する。コンピュータプログラムは、例えばUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部25にインストールされてもよい。記憶部25は、世界各国で使用されている報知信号用の周波数帯を示す情報等を記憶する。
【0040】
電源部26は、一例ではコイン型のリチウムイオン電池である電池と、電池から通信部21〜記憶部25、処理部30等に電力を供給する電力供給回路とを有する。電源部26は、持ち主による入力部22の押下に応じて、通信部21〜記憶部25、処理部30等に電力を開始及び停止する。
【0041】
処理部30は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有し、無線装置2の全体的な動作を統括的に制御する。処理部30は、無線装置2の各種処理が記憶部25に記憶されているプログラム等に応じて適切な手順で実行されるように、通信部21等の動作を制御する。処理部30は、記憶部25に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、処理部30は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行できる。
【0042】
処理部30は、状態制御部31と、周波数決定部32と、情報出力部33と、到着判定部34とを有する。これらの各部は、処理部30上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして無線装置2に実装されてもよい。
【0043】
通信端末3は、一例では荷物の持ち主が使用するスマートフォン等の通信機器である。通信端末3は、無線LAN(Local Area Network)を介してサーバ4に荷物の持ち主の旅程情報を送信し、荷物の現在地をサーバ4から受信し、現在地を表示部に表示する。
【0044】
図4は、サーバ4の機能ブロック図である。
【0045】
サーバ4は、サーバ通信部41と、サーバ記憶部42と、サーバ処理部43とを有し、装置識別子及び旅程情報に応じてセンサ起動時刻を示す情報を生成するコンピュータ等の電子計算機である。
【0046】
サーバ通信部41は、Ethernet等の有線の通信インターフェース回路を有する。サーバ通信部41は、通信ネットワーク9等を介して、無線装置2、通信端末3等と通信を行い、無線装置2、通信端末3等から受信したデータをサーバ処理部43に供給する。サーバ通信部41は、サーバ処理部43から供給されたデータを無線装置2、通信端末3等に送信する。
【0047】
サーバ記憶部42は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置のうちの少なくとも一つを有する。サーバ記憶部42は、サーバ処理部43による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0048】
例えば、サーバ記憶部42は、ドライバプログラムとして、サーバ通信部41を制御する通信デバイスドライバプログラム等を記憶する。また、サーバ記憶部42は、オペレーティングシステムプログラムとして、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の通信方式による接続制御プログラム等を記憶する。また、サーバ記憶部42は、アプリケーションプログラムとして、各種データの送受信を行うデータ処理プログラム等を記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROM、DVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いてサーバ記憶部42にインストールされてもよい。また、サーバ記憶部42は、発着テーブル421、及び空港名テーブル422等の荷物位置検出処理で使用される種々のデータを記憶する。
【0049】
図5は、発着テーブル421の一例を示す図である。
【0050】
発着テーブル421は、荷物の持ち主の連絡先、出発地を識別する出発地識別子、及び出発地を出発する予定時刻である出発予定時刻を、無線装置を識別する装置識別子に関連付けて記憶する。発着テーブル421は、到着地を識別する到着地識別子、及び到着地に到着する予定時刻である到着予定時刻、及び荷物を運搬する航空機の遅延情報を、装置識別子に関連付けて更に記憶する。
【0051】
同一の装置識別子に関連付けられた出発地識別子、出発予定時刻、到着地識別子及び到着予定時刻の組を、旅程情報とも称する。また、同一の装置識別子に関連付けられた旅程情報及び遅延情報の組を、発着情報とも称する。発着テーブル421は、装置識別子、荷物の持ち主の連絡先及び発着情報の組の集合によって構成される。
【0052】
荷物の持ち主の連絡先は、例えば、通信端末3が受信可能な電子メールのアドレス、SMS(Short Message Service)による通知のための電話番号等である。出発地識別子は、出発地に配置された基地局を識別する識別子であり、到着地識別子は、到着地に配置された基地局を識別する識別子である。
【0053】
遅延情報は、荷物を運搬する航空機の飛行予定に遅延が発生しているか否かを示す情報である。遅延情報が「あり」のときは、到着予定時刻に対応する時刻よりも航空機の到着が遅くなることを示す。遅延情報が「なし」のときは、到着予定時刻に対応する時刻の通り航空機が到着することを示す。遅延情報は、航空機のフライト情報を提供するフライトサーバから取得される。遅延情報は、少なくとも1回取得され、10〜15分毎に複数回に亘って取得されることが好ましい。また、遅延情報は、遅延情報が「あり」のときに、遅延の程度を示す情報を含んでもよい。
【0054】
空港名テーブル422は、無線装置が出発及び到着する空港の名称である空港名と、空港の内部又は近傍に配置される基地局を識別する基地局識別子に関連付けて記憶する。空港名テーブル422は、例えば、出発空港11の空港名を第1基地局5を識別する基地局識別子に関連付けて記憶し、到着空港12の空港名を第2基地局6を識別する基地局識別子に関連付けて記憶する。
【0055】
サーバ処理部43は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。サーバ処理部43は、サーバ4の全体的な動作を統括的に制御し、例えば、CPUである。サーバ処理部43は、サーバ4の各種処理がサーバ記憶部42に記憶されているプログラム等に応じて適切な手順で実行されるように、サーバ通信部41等の動作を制御する。サーバ処理部43は、サーバ記憶部42に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、サーバ処理部43は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行できる。
【0056】
サーバ処理部43は、センサ起動情報生成部431と、現在地通知部432と、休止指示部433とを有する。サーバ処理部43が有するこれらの各部は、サーバ処理部43が有するプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、サーバ処理部43が有するこれらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとしてサーバ4に実装されてもよい。
【0057】
第1基地局5及び第2基地局6は、無線装置2から送信される無線パケットをIP(Internet Protocol)パケットに変換してサーバ4に送信し、サーバ4から送信されるIPパケットを無線パケットに変換して無線装置2に送信する。第1基地局5及び第2基地局6は、無線装置2から送信される無線パケットをIPパケットに変換する際に、それぞれの基地局を識別する基地局識別子をIPパケットに含める。第1基地局5及び第2基地局6は、通信可能な周波数を示す報知信号を定期的に同報する。アクセスポイント8は、無線LANのアクセスポイントである。
【0058】
図6は、荷物位置検出システム1による荷物位置検出処理を示すシーケンス図である。図6に示す荷物位置検出処理は、各装置において予め各装置の記憶部に記憶されているプログラムに基づき、主に各装置の処理部により各装置の各要素と協働して実行される。また、第1基地局5及び第2基地局6が定期的に同報する報知信号は、シーケンス図に表示しない。
【0059】
(サーバ4による荷物の持ち主の旅程情報の取得処理)
まず、通信端末3は、無線装置2が付されて輸送される荷物の持ち主の旅程情報を、無線装置2を識別する装置識別子及び荷物の持ち主の連絡先に関連付けてサーバ4に送信する(S101)。次いで、サーバ通信部41は、通信端末3から送信された旅程情報を受信し(S102)、サーバ記憶部42はサーバ通信部41が受信した旅程情報を記憶する(S103)。S101〜S103の処理は、サーバ4が、無線装置2が付された荷物の持ち主の旅程情報を取得する処理の一例であり、サーバ4は、他の処理により旅程情報を取得してもよい。例えば、サーバ4は、通信端末3からではなく、旅行会社のサーバ等から旅程情報を取得してもよい。
【0060】
(航空機の離陸までの間の処理)
出発空港11において荷物の持ち主によって入力部22が押下されて、電源部26から記憶部25及び処理部30に電力が供給されることに応じて、状態制御部31は、通信部21を休止状態から動作状態に遷移する(S104)。状態制御部31は、通信部21への電力供給の開始を電源部26に指示する。電源部26は、処理部30からの指示に応じて通信部21への電力供給を開始する。
【0061】
次いで、周波数決定部32は、通信部21を制御して使用する周波数を変えながら記憶部25に記憶されている報知信号用の周波数帯をサーチし、報知信号を受信した周波数または、報知信号で指示された周波数を通信部21が使用する周波数に決定する(S105)。周波数決定部32は、第1基地局5が送信する報知信号を通信部21が受信したときに、第1基地局5が送信した報知信号を受信した周波数または、報知信号で指示された周波数を、通信部21が使用する周波数に決定する。報知信号用の周波数帯をサーチする技術は、よく知られているので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0062】
次いで、情報出力部33は、装置識別子を示す装置識別子情報を通信部21に出力し、通信部21は、S105の処理で決定された周波数を使用して、装置識別子をサーバ4に宛てて第1基地局5に送信する(S106)。
【0063】
次いで、第1基地局5は、受信した装置識別子に第1基地局5を識別する基地局識別子を付加してサーバ4に送信する(S107)。
【0064】
次いで、サーバ通信部41が受信した装置識別子、及び第1基地局5が付加した基地局識別子を受信し(S108)、サーバ記憶部42は、サーバ通信部41が受信した装置識別子、及び第1基地局5が付加した基地局識別子を記憶する。次いで、センサ起動情報生成部431は、S108の処理で取得された装置識別子及び基地局識別子を使用してセンサ起動情報生成処理を実行して、無線装置2のセンサ部24を起動するセンサ起動時刻を示す情報を生成する(S109)。センサ起動時刻は、荷物の到着地への到着予定時刻よりも前の時刻である。一例では、センサ起動時刻を示す情報は、現在の時刻とセンサ起動時刻との間の時差に対応する。
【0065】
次いで、センサ起動情報生成部431はセンサ起動時刻を示す情報を無線装置2に宛ててサーバ通信部41に出力し、サーバ通信部41はセンサ起動時刻を示す情報を第1基地局5を経由して無線装置2に送信する(S110)。
【0066】
次いで、通信部21はS110の処理でサーバ通信部41から送信されたセンサ起動時刻を示す情報を受信し(S111)、記憶部25は通信部21が受信したセンサ起動時刻を示す情報を記憶する。
【0067】
次いで、状態制御部31は、通信部21がセンサ起動時刻を示す情報を受信したことに応じて、通信部21を動作状態から休止状態に遷移する(S112)。状態制御部31は、通信部21への電力供給の停止を電源部26に指示する。電源部26は、処理部30からの指示に応じて通信部21への電力供給を停止する。併せて、状態制御部31は、例えば処理部30のクロックの周波数を低くする等して、処理部30を最小限の電力で動作させる休止状態に遷移させる。S112の処理の後、無線装置2が付された荷物は航空機に搭載され、航空機は、無線装置2が付された荷物の輸送するための飛行を開始する。状態制御部31は、タイマを有し、センサ起動時刻を示す情報に対応する時間に現在時刻が一致するまでの時間を計時する。
【0068】
(航空機の離陸から着陸までの間の処理)
状態制御部31は、センサ起動時刻を示す情報に対応する時間が経過して、現在時刻がセンサ起動時刻に一致すると、センサ部24を休止状態から動作状態に遷移させる(S113)。状態制御部31は、気圧センサ241及び加速度センサ242を有するセンサ部24への電力供給の開始を電源部26に指示する。電源部26は、処理部30からの指示に応じて気圧センサ241及び加速度センサ242への電力供給を開始する。気圧センサ241及び加速度センサ242のそれぞれは、気圧情報及び加速度情報の出力を開始する。併せて、状態制御部31は、処理部30を休止状態から動作状態に遷移させる。併せて、状態制御部31は、処理部30を動作状態に遷移させる。
【0069】
次いで、到着判定部34は、センサ部24から入力される気圧情報及び加速度情報から荷物の到着を推定する(S114)。到着判定部34は、例えば、センサ部24から入力される加速度情報から算出される速度、及びセンサ部24から入力される気圧情報から算出される高度の双方が所定のしきい値未満のときに、荷物が到着したと推定する。また、到着判定部34は、センサ部24から入力される気圧情報に対応する気圧及び加速度に対応する加速度の経時的変化と、予め記憶した航空機の着陸時の気圧及び加速度の経時的変化が双方共に一致すると判定したときに、荷物が到着したと推定してもよい。一方、到着判定部34は、例えば、加速度から算出される速度及び気圧から算出される高度の双方が所定のしきい値以上のときに、荷物が到着していないと推定する。また、到着判定部34は、気圧及び加速度の経時的変化と、予め記憶した航空機の着陸時の気圧及び加速度の経時的変化の何れかが一致しないと推定したときに、荷物が到着地に到着していないと推定してもよい。到着判定部34は、荷物が到着地に到着していないと推定すると、センサ部24及び処理部30を動作状態から休止状態に遷移させる。到着判定部34は、荷物が到着地に到着していないと推定してから所定の期間が経過した後に、休止状態から動作状態に遷移させて無線装置2が付された荷物の到着を再度推定する。
【0070】
(航空機の着陸後の処理)
到着判定部34が荷物が到着地に到着したと推定すると、状態制御部31は、通信部21を休止状態から動作状態に遷移する(S115)。状態制御部31は、通信部21への電力供給の開始を電源部26に指示する。電源部26は、処理部30からの指示に応じて通信部21への電力供給を開始する。併せて、状態制御部31は、センサ部24を動作状態から休止状態に遷移する。状態制御部31は、センサ部24への電力供給の停止を電源部26に指示する。電源部26は、処理部30からの指示に応じて通信部21への電力供給を停止する。
【0071】
次いで、周波数決定部32は、通信部21を制御して使用する周波数を変化させながら記憶部25に記憶されている報知信号用の周波数帯をサーチし、報知信号を受信した周波数を通信部21が使用する周波数に決定する(S116)。周波数決定部32は、第2基地局6が送信する報知信号を通信部21が受信したときに、第2基地局6が送信した報知信号を受信した周波数を、通信部21が使用する周波数に決定する。第2基地局6が送信する報知信号を通信部21が受信しながったとき、状態制御部31は、通信部21及びセンサ部24を動作状態から休止状態に遷移する。S113〜S116の処理は、第2基地局6が送信する報知信号を通信部21が受信するまで、繰り返される。
【0072】
周波数決定部32が通信部21が使用する周波数を決定する(S116)と、情報出力部33は装置識別子を示す装置識別子を通信部21に出力し、通信部21は装置識別子をサーバ4に宛てて第2基地局6に送信する(S117)。そして、状態制御部31は、通信部21〜記憶部25及び処理部30への電力供給の停止を電源部26に指示する。電源部26は、処理部30からの指示に応じて通信部21への電力供給を停止する。
【0073】
次いで、第2基地局6は、受信した装置識別子に第2基地局6を識別する基地局識別子を付加してサーバ4に送信する(S118)。
【0074】
次いで、サーバ通信部41が受信した装置識別子、及び第2基地局6が付加した基地局識別子を受信し(S119)、サーバ記憶部42は、サーバ通信部41が受信した装置識別子、及び第2基地局6が付加した基地局識別子を記憶する。
【0075】
次いで、現在地通知部432は、S119の処理で受信した情報に含まれる第2基地局6の情報に基づいて無線装置2の現在地を推定する(S120)。現在地通知部432は、空港名テーブル422を参照して、S119の処理で受信した情報に含まれる第2基地局6の基地局識別子に関連付けられた空港名を現在地として推定する。
【0076】
次いで、現在地通知部432はS120の処理で現在地であると推定した空港名を現在地として通信端末3に宛ててサーバ通信部41に出力し、サーバ通信部41は現在地を持ち主の連絡先である通信端末3に送信する(S121)。現在地通知部432は、無線装置2の装置識別子に関連付けられた連絡先である通信端末3の電子メールのアドレス等を抽出して、現在地を通信端末3に宛ててサーバ通信部41に出力する。サーバ通信部41は、現在地通知部432から入力された連絡先に対応する通信端末3に宛てて現在地を送信する。そして、通信端末3は、S121の処理でサーバ通信部41から送信された現在地を受信し(S122)、受信した現在地を表示する。
【0077】
次いで、休止指示部433は、現在地通知部432が推定した無線装置2の現在地が、発着テーブル421の旅程情報に含まれる目的地に略一致しているか否かを判定する(S123)。休止指示部433は、発着テーブル421を参照して、S119の処理で受信した情報に含まれる基地局識別子と、無線装置2を識別する装置識別子に関連付けられた到着地識別子とが一致するか否かを判定する。休止指示部433は、受信した情報に含まれる基地局識別子と到着地識別子とが一致するとき、無線装置2の現在地が目的地に略一致していると判定する。休止指示部433は、受信した情報に含まれる基地局識別子と到着地識別子とが一致しないとき、無線装置2の現在地が目的地に略一致してしないと判定する。
【0078】
休止指示部433は、無線装置2の現在地が目的地に略一致していると判定する(S123)と、無線装置2を休止状態とすることを示す休止指示を無線装置2に宛ててサーバ通信部41に出力する。サーバ通信部41は、休止指示を通信端末3に送信する(S124)。次いで、通信部21はS124の処理でサーバ通信部41から送信された休止指示を受信する(S125)。
【0079】
状態制御部31は、通信部21が休止指示を受信したことに応じて、無線装置2を動作状態から休止状態に遷移させる(S126)。状態制御部31は、通信部21への電力供給の停止を電源部26に指示する。電源部26は、処理部30からの指示に応じて通信部21への電力供給を停止する。併せて、状態制御部31は、処理部30を休止状態に遷移させる。
【0080】
図7は、S109のセンサ起動情報生成処理を示すフローチャートである。
【0081】
まず、センサ起動情報生成部431は、発着テーブル421を参照して、S108の処理で取得された装置識別子に関連付けられ、且つ出発地識別子が基地局識別子に一致する発着情報から遅延情報を抽出する(S201)。次いで、センサ起動情報生成部431は、S201で抽出された遅延情報が「あり」又は「なし」の何れかであるかを判定する(S202)。
【0082】
センサ起動情報生成部431は、遅延情報が「なし」であると判定する(S202−NO)と、発着テーブル421を参照して、S107の処理で取得された装置識別子及び基地局識別子に関連付けられた到着予定時刻を抽出する(S203)。次いで、センサ起動情報生成部431は、到着予定時刻の前の時刻であるセンサ起動時刻を決定する(S204)。そして、センサ起動情報生成部431は、センサ起動時刻を示す情報を生成する(S205)。センサ起動情報生成部431は、現在の時刻とセンサ起動時刻との間の時差をセンサ起動時刻を示す情報として生成する。
【0083】
センサ起動情報生成部431は、遅延情報が「あり」であると判定する(S202−YES)と、「0」を示す情報を生成する(S206)。「0」を示す情報は、現在の時刻とセンサ起動時刻との間の時差が0秒である、すなわち現在の時刻とセンサ起動時刻との間の時差がないことを示す。センサ起動情報生成部431によって「0」を示す情報が生成される(S206)と、無線装置2は、通信部21を動作状態から休止状態に遷移した(S112)直後に、センサ部24を休止状態から動作状態に遷移する(S113)。
【0084】
(第2実施形態に係る荷物位置検出システムの構成及び機能)
図8は、第2実施形態に係る荷物位置検出システムの概略構成を示す図である。荷物位置検出システム2は、無線装置2が付された荷物が出発空港11と到着空港12との間で中継空港13で航空機を乗り継ぐときに、無線装置2から受信した旅程情報に基づいて、到着空港12まで、荷物位置検出処理を繰り返し実行する。
【0085】
荷物位置検出システム2は、第3基地局7を更に有することが荷物位置検出システム1と相違する。また、荷物位置検出システム1と相違する。荷物位置検出システム2は、サーバ104がサーバ4の代わりに配置されることが荷物位置検出システム1と相違する。第3基地局7は、第1基地局5及び第2基地局6と同様に、中継空港13の内部又は近傍に配置され、中継空港13における無線装置2とサーバとの間の通信を中継する。
【0086】
図9は、サーバ104の機能ブロック図である。
【0087】
サーバ104は、サーバ104は、サーバ記憶部44及びサーバ処理部45をサーバ記憶部42及びサーバ処理部43の代わりに有することがサーバ4と相違する。サーバ通信部41の構成及び機能は、既に説明したので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0088】
サーバ記憶部44は、発着テーブル441を発着テーブル421の代わりに記憶することがサーバ記憶部42と相違する。発着テーブル441以外のサーバ記憶部44の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付されたサーバ記憶部42の構成要素の構成及び機能と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0089】
図10は、発着テーブル441の一例を示す図である。
【0090】
発着テーブル441は、発着情報に関連付けて乗継情報を記憶する点が、発着テーブル421と相違する。発着テーブル441において、乗継情報以外の構成は、発着テーブル421の構成と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0091】
乗継情報は、装置識別子で識別される荷物が、発着情報に記憶された到着地識別子で識別される到着地から、更に別の到着地へ運搬される予定を示す情報である。乗継情報は、乗り継ぎ行程における旅程情報及び遅延情報の組から構成される。乗継情報における旅程情報、遅延情報、出発地識別子、出発予定時刻、到着地識別子及び到着予定時刻は、それぞれ第2旅程情報、第2遅延情報、第2出発地識別子、第2出発予定時刻、第2到着地識別子及び第2到着予定時刻と称される。
【0092】
サーバ処理部45は、乗継処理部451を有することがサーバ処理部43と相違する。乗継処理部451以外のサーバ処理部45の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付されたサーバ処理部43の構成要素の構成及び機能と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0093】
図11は、サーバ104による荷物位置検出処理のフローチャートである。
【0094】
S301〜S308の処理は、S101〜S102、S108〜S110及びS119〜S121の処理と同様なので、ここでは詳細な説明を省略する。サーバ通信部41は現在地を通信端末3に送信する(S308)と、乗継処理部451は、無線装置2を識別する装置識別子に関連付けられた荷物検出処理が未処理の乗継情報があるか否かを判定する(S309)。乗継処理部451は、発着テーブル441において、無線装置2を識別する装置識別子に関連付けられた乗継情報がないとき、荷物検出処理が未処理の乗継情報がないと判定する(S309−NO)。また、乗継処理部451は、発着テーブル441において、無線装置2を識別する装置識別子に関連付けられた全ての乗継情報について荷物検出処理を実行したとき、荷物検出処理が未実行の乗継情報がないと判定する(S309−NO)。乗継処理部451によって荷物検出処理が未実行の乗継情報がないと判定する(S309−NO)と、処理は終了する。
【0095】
乗継処理部451によって荷物検出処理が未処理の乗継情報があると判定される(S309−YES)と、処理はS304に戻る。以降、乗継処理部451によって荷物検出処理が未処理の乗継情報があると判定される(S309−YES)まで、S303〜S309の処理が繰り返される。そして、乗継処理部451によって荷物検出処理が未処理の乗継情報がないと判定する(S309−NO)と、状態制御部31は、S123の処理と同様に、無線装置2を休止状態とすることを示す休止指示を無線装置2に宛ててサーバ通信部41に出力する。
【0096】
(実施形態に係る荷物位置検出システムの変形例)
荷物位置検出システム1は、電力供給を停止することで、通信部21及びセンサ部24を休止状態に遷移するが、実施形態に係る荷物位置検出システムは、他の態様により消費電力を低減して、通信部21及びセンサ部24を休止状態に遷移してもよい。例えば、実施形態に係る荷物位置検出システムは、通信部21及びセンサ部24のクロックの動作を停止することで、通信部21及びセンサ部24を休止状態に遷移してもよい。
【0097】
また、荷物位置検出システム1では、センサ部24は、現在時刻がセンサ起動時刻に一致したときに動作状態に遷移した後に、荷物が目的地に到着するまで、動作状態を維持する。しかしながら、実施形態に係る荷物位置検出システムでは、センサ部24は、現在時刻がセンサ起動時刻に一致したときに動作状態に遷移した後から所定期間経過後に、休止状態に遷移してもよい。センサ部24が所定期間経過後に休止状態に遷移することで、センサ部24が無用な動作をすることにより電力が消費されることを防止できる。
【0098】
また、荷物位置検出システム1では、無線装置2は、荷物の持ち主によって入力部22が押下されることにより電力供給が開始されるが、実施形態に係る荷物位置検出システムでは、無線装置は、自動的に電力供給が開始されてもよい。例えば、無線装置2が付される荷物が航空機の荷室に預入されるスーツケースに付される場合、無線装置2は、スーツケースの横倒による90°回転、及びスーツケースの横倒後のベルトコンベアによる搬送を検知したことに応じて、電力供給が開始されてもよい。スーツケースの横倒は、加速度センサ242が検出した加速度に基づいて判定される。また、ベルトコンベアによる搬送は、加速度センサ242が検出した加速度から演算される移送速度が所定の期間に亘って所定の速度範囲に入っているか否かにより判定される。
【0099】
また、荷物位置検出システム1では、センサ部24は気圧センサ241及び加速度センサ242を有するが、実施形態に係る荷物位置検出システムでは、センサ部は気圧センサ241及び加速度センサ242の何れか一方を有していればよい。
【0100】
また、荷物位置検出システム1では、センサ起動時刻を示す情報は、現在の時刻とセンサ起動時刻との間の時差であるが、実施形態に係る荷物位置検出システムでは、センサ起動時刻を示す情報は、センサ起動時刻であってもよい。
【0101】
また、荷物位置検出システム1では、荷物10が目的地に到着したかを推定する推定処理は、処理部30が実行するが、実施形態に係る荷物位置検出システムでは、荷物10が目的地に到着したかを推定する推定処理は、センサ部が実行してもよい。例えば、センサ部は気圧センサを含み、気圧の変化に基づいて荷物を輸送する航空機の着陸を検出し、着陸の検出に基づいて荷物の到着を推定してもよい。また、センサ部は加速度センサを含み、加速度の変化に基づいて荷物を輸送する航空機の着陸を検出し、着陸の検出に基づいて荷物の到着を推定してもよい。
【0102】
また、荷物位置検出システム1は、航空機により輸送される荷物の位置を検出するが、実施形態に係る荷物位置検出システムは、貨物列車等の列車、船舶、及びトラック等の車両の他の輸送手段により輸送される荷物、貨物及びコンテナの位置を検出してもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 荷物位置検出システム
2 無線装置
3 通信端末
4、104 サーバ
21 通信部(無線装置通信部)
24 センサ部
30 処理部(無線装置処理部)
41 サーバ通信部
42、44 サーバ記憶部
43、45 サーバ処理部
【要約】
【課題】本発明は、輸送される荷物に付して使用される無線装置の消費電力を低減可能な技術を提供することを目的とする。
【解決手段】無線装置2は、出発地から到着地に輸送される荷物10に付すための無線装置2であって、荷物10が輸送中であるかを推定するための情報を出力するセンサ部24と、無線装置2を識別する装置識別子を送信する通信部21と、到着地に荷物10が到着する予定である到着予定時刻より前の時刻であるセンサ起動時刻を記憶するための記憶部25と、現在時刻がセンサ起動時刻に一致するとセンサ部24を休止状態から動作状態に遷移させ、センサ部24から入力された情報から荷物が到着したと推定された場合に通信部を休止状態から動作状態に遷移させる処理部30とを有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11