(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記案内情報は、前記サーバ装置が有する装置側地図情報に対して前記移動案内装置が有する端末側地図情報が古いバージョンの地図情報となるエリアを対象として、前記サーバ装置から配信される請求項1に記載の移動案内装置。
前記優先度設定手段は、前記エリア特定手段により特定されたエリア区画の前記案内情報をそれ以外のエリア区画の前記案内情報よりも残存優先度を高く設定する請求項3に記載の移動案内装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る移動案内装置及びコンピュータプログラムを具体化した実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る移動案内システム1の概略構成について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る移動案内システム1を示した概略構成図である。
図2は本実施形態に係る移動案内システム1の構成を示したブロック図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る移動案内システム1は、地図情報センタ2が備えるサーバ装置3と、ユーザ4が所持する移動案内装置である通信端末5と、を基本的に有する。また、サーバ装置3と通信端末5は通信ネットワーク網6を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、通信端末5としては例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等がある。また、ユーザ4は車両に乗車している状態であっても良いし、車両に乗車していない状態であっても良い。
【0017】
ここで、サーバ装置3は、通信端末5の要求に応じて経路探索の実行を行う。具体的には、通信端末5において目的地が設定された場合や経路の再探索(リルート)を行う場合に、通信端末5からサーバ装置3へと出発地や目的地等の経路探索に必要な情報が経路探索要求とともに送信される(但し、再探索の場合には目的地に関する情報は必ずしも送信する必要は無い)。そして経路探索要求を受信したサーバ装置3は、サーバ装置3の有する地図情報を用いて経路探索を行い、出発地から目的地までの推奨経路を特定する。その後、特定された推奨経路を要求元の通信端末5へと送信する。そして、通信端末5は受信した推奨経路を案内経路に設定し、案内経路に従って移動案内を行う。それによって、経路探索時点において通信端末5が有する地図情報が古いバージョンの地図情報であったとしても、サーバ装置3が有する最新バージョンの地図情報に基づいて適切な案内経路を設定することが可能となる。
【0018】
また、サーバ装置3は、上記探索経路の配信に加えて、通信端末5においてユーザの移動案内を行う為の移動案内情報についても通信端末5の要求に応じて配信する。尚、移動案内情報は、最新バージョンの地図情報に基づいて作成され、後述のように最新バージョンの地図情報に対応して通信端末5における現在位置の特定、案内経路に沿った簡易走行案内、画像の表示を行う為の情報である。そして、通信端末5はサーバ装置3から配信された移動案内情報を用いることによって、通信端末5が有する地図情報が古いバージョンの地図情報であったとしても、最新バージョンの地図情報に基づいてサーバ装置3において探索された案内経路に沿った移動案内を実施することが可能となる。
【0019】
一方、通信端末5は、ユーザ4が所持し、ナビ機能を備えた情報端末が用いられ、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等が該当する。
【0020】
ここで、ナビ機能は、ユーザが指定した条件に該当する経路を探索したり、ユーザ4の現在位置周辺の地図画像を表示したり、表示された地図画像中においてユーザ4の現在位置を表示したり、設定された案内経路に沿った移動案内を行う機能が該当する。尚、上記ナビ機能の全てを通信端末5が備えている必要はなく、少なくとも経路の探索を行う機能と設定された案内経路に沿った移動案内を行う機能とを有していれば本願発明を構成することが可能である。
【0021】
また、通信ネットワーク網6は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局は通信端末5との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網6の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にある通信端末5の通信をサーバ装置3との間で中継する役割を持つ。
【0022】
続いて、移動案内システム1におけるサーバ装置3の構成について
図2を用いてより詳細に説明する。サーバ装置3は、
図2に示すようにサーバ制御ECU11と、サーバ制御ECU11に接続された情報記録手段としての装置側地
図DB12と、サーバ側通信装置13とを備える。
【0023】
サーバ制御ECU11(エレクトロニック・コントロール・ユニット)は、サーバ装置3の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムのほか、後述の移動案内処理プログラム(
図6、
図7参照)等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。
【0024】
また、装置側地
図DB12は、外部からの入力データや入力操作に基づいて登録された最新のバージョンの地図情報である装置側地図情報25が、エリア毎(例えば20km四方のレベル10のメッシュ毎)に区分されて記憶される記憶手段である。ここで、バージョンとは地図情報が作成された時期、最終的な更新が行われた時期、又は最終的な更新を行った際の地図更新情報(更新プログラム)が作成された時期を特定する為の作成時期情報であり、バージョンを参照することによって地図情報が作成された時期等を特定することが可能となっている。
【0025】
ここで、上記装置側地図情報25は、通信端末5に格納されている地図情報と基本的に同一の構成を有しており、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。
【0026】
探索データとしては、後述のように出発地(例えば車両の現在位置)から設定された目的地までの経路を探索する経路探索処理に使用される各種データについて記録されている。例えば、交差点に対する経路として適正の程度を数値化したコスト(以下、交差点コストという)や道路を構成するリンクに対する経路として適正の程度を数値化したコスト(以下、リンクコストという)等の探索コストを算出する為に使用するコスト算出データが記憶されている。
【0027】
また、装置側地
図DB12には、上記装置側地図情報25とは別に最新バージョンの地図情報に対応して通信端末5において現在位置の特定や案内経路に沿った簡易走行案内を行う為の情報である移動案内情報26についてもエリア毎(例えば2.5km四方のレベル13のメッシュ毎)に区分されて記憶されている。
【0028】
ここで、移動案内情報26は、ユーザの現在位置のマップマッチングを行うのに必要となるマッチングデータと、案内交差点での右左折案内等の案内経路に沿ってユーザに移動を行わせる為の案内に必要となる案内データと、地図画像や案内画面を表示する為の表示データとを含む。尚、マッチングデータは例えば道路形状を特定する為のデータからなる。また、案内データは例えば交差点の形状や交差点と道路の接続関係を特定する為のデータからなる。また、表示データは、通信端末5のディスプレイに道路網を含む地図画像や移動案内を行う為の案内画面を表示する為のデータからなる。
【0029】
そして、サーバ制御ECU11は、後述のように通信端末5から経路探索要求を受信した場合には、装置側地図情報25を用いて出発地から目的地までの経路探索を行う。そして、探索された経路を要求のあった通信端末5へと配信する。また、サーバ制御ECU11は、移動案内情報26についても必要に応じて通信端末5に対して配信を行う。具体的には、通信端末5が今後に移動する可能性のあるエリア(例えば、通信端末5の現在位置周辺、通信端末5で設定された案内経路の周辺)であって、通信端末5が有する地図情報のバージョンが装置側地図情報25よりも古いエリア、即ち今後の通信端末5の移動案内において移動案内情報26が必要となるエリアを対象として、対象エリアの移動案内情報26を通信端末5に対して配信するように構成する。
【0030】
一方、サーバ側通信装置13は通信端末5と通信ネットワーク網6を介して通信を行う為の通信装置である。また、通信端末5以外にインターネット網や、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報の受信についても可能である。
【0031】
次に、通信端末5の概略構成について
図3を用いて説明する。尚、以下の説明では通信端末5として車両に設置されたナビゲーション装置を用い、移動体として特に車両の走行案内を行う場合を例に挙げて説明する。但し、ナビゲーション装置の代わりに、携帯電話機、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等を用いても良い。また、携帯電話機、タブレット型端末を用いる場合には、車両以外の移動体(例えば、歩行者、自転車等)の移動案内を行うことも可能である。
図3は本実施形態に係る通信端末5であるナビゲーション装置の制御系を模式的に示すブロック図である。
【0032】
図3に示すように本実施形態に係る通信端末5は、通信端末5であるナビゲーション装置が搭載された車両(移動体)の現在位置を検出する現在位置検出部31と、各種のデータが記録されたデータ記録部32と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU33と、ユーザからの操作を受け付ける操作部34と、ユーザに対して地図や目的地までの案内経路を表示する液晶ディスプレイ35と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ36と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ37と、サーバ装置3やVICSセンタ等との間で通信を行う通信モジュール38と、を有する。
【0033】
以下に、通信端末5を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部31は、GPS41、車速センサ42、ステアリングセンサ43、ジャイロセンサ44等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ42は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU33に出力する。そして、ナビゲーションECU33は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサを通信端末5が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみを通信端末5が備える構成としても良い。
【0034】
また、データ記録部32は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された端末側地
図DB45、バージョン管理DB46、キャッシュ47及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部32をハードディスクの代わりに不揮発性メモリ、メモリーカード、CDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。
【0035】
ここで、端末側地
図DB45は、通信端末5における経路探索や走行案内に用いられる端末側地図情報48が記憶される記憶手段である。
【0036】
ここで、端末側地
図DB45に記憶される端末側地図情報48は、前記した装置側地図情報25と同様に道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。
【0037】
また、端末側地
図DB45に記憶される端末側地図情報48は、不図示の地図配信サーバから配信された地図更新情報や記録メディアから取得した地図更新情報に基づいて、該当箇所のデータを新たなデータに書き換えることによって区画単位(例えばメッシュ単位)で新たなバージョンの地図情報に更新される。また、区画単位ではなく地図情報の全体を対象とした更新も可能である。また、端末側地
図DB45には、地図情報に対応して通信端末5において現在位置の特定、案内経路に沿った走行案内、画像の表示を行う為の移動案内情報26についてもエリア毎(例えば2.5km四方のレベル13のメッシュ毎)に区分されて記憶されている。
【0038】
また、バージョン管理DB46は、現在、端末側地
図DB45に記憶されている端末側地図情報48のバージョンを特定する情報(例えばバージョン番号、最終更新日時、最終的な更新を行った地図更新情報(更新プログラム)の作成日時等)を、地図情報の区画単位(例えばメッシュ単位)毎に記録する記憶手段である。尚、バージョン管理DB46は、端末側地図情報48が新たなバージョンの地図情報に更新されるのに伴って、その内容が更新される。
【0039】
また、バージョン管理DB46には、サーバ装置3が有する装置側地図情報25に対して通信端末5が有する端末側地図情報48が古いバージョンの地図情報となるエリア(以下、更新対象エリアという)を特定する情報として、更新エリアテーブル(エリア識別情報)49が記憶される。ここで、更新エリアテーブル49は、地図情報の区画単位(例えばメッシュ単位)毎に、更新対象エリアに該当する区画と、更新対象エリアに該当しない区画とを識別するフラグを対応付けたテーブルである。
図4に更新エリアテーブル49の一例を示す。
【0040】
図4では、道路の新設があり、サーバ装置3の有する装置側地図情報25を構成する各メッシュの内、該当するエリアの計6か所のメッシュが以前のバージョン“50”から新たなバージョン“60”へと更新された状態を示す。この状況において、通信端末5の有する端末側地図情報48は現時点で更新前であり、端末側地図情報48については装置側地図情報25がバージョン“60”へと更新されたメッシュについてもバージョン“50”の状態のままである。即ち、サーバ装置3が有する装置側地図情報25に対して通信端末5が有する端末側地図情報48が古いバージョンの地図情報となる更新対象エリアが存在する。
図4に示すように更新エリアテーブル49は、メッシュ単位で更新対象エリアに該当する区画と、更新対象エリアに該当しない区画とを識別するフラグを対応付ける。具体的には、更新対象エリアに該当するメッシュに対しては“0”を対応付け、更新対象エリアに該当しないメッシュに対しては“1”を対応付ける。尚、
図4に示す例では、説明を簡略化する為に5×5のメッシュを対象とした更新エリアテーブル49を示しているが、実際の更新エリアテーブル49は全国エリアを構成する各メッシュ(メッシュが複数階層からなる場合にはエリア毎且つ階層毎)を対象としてフラグを対応付けたテーブルとなる。
【0041】
その結果、ナビゲーションECU33は更新エリアテーブル49を参照することによって、更新対象エリア(即ちサーバ装置3が有する装置側地図情報25に対して通信端末5が有する端末側地図情報48が古いバージョンの地図情報となるエリア)を容易に特定することが可能となる。尚、更新エリアテーブル49は後述のようにサーバ装置3から送信される更新情報に基づいて適宜更新される。例えば、装置側地図情報25又は端末側地図情報48が新しいバージョンの地図情報へと更新されると、更新エリアテーブル49についてもそれに応じて更新されることとなる。尚、更新エリアテーブル49におけるエリアの区画基準は、サーバ装置3と通信端末5とで共通する基準を用いる。
【0042】
一方、キャッシュ47は、サーバ装置3から配信された移動案内情報26が一時的に保管される記憶手段である。本実施形態に係る移動案内システム1では、前述したように車両が今後に走行する可能性のあるエリア(例えば、車両の現在位置周辺、通信端末5で設定された案内経路の周辺)であって、通信端末5が有する端末側地図情報48のバージョンが装置側地図情報25よりも古いエリア、即ち今後の車両の移動案内において移動案内情報26が必要となるエリアを対象として、移動案内情報26がサーバ装置3から配信され、キャッシュ47に記憶される。ここで、移動案内情報26は前述したように最新の地図情報に対応して通信端末5において現在位置の特定、案内経路に沿った簡易走行案内、画像の表示を行う為の情報である。
【0043】
そして、ナビゲーションECU33は、通信端末5が有する端末側地図情報48のバージョンが装置側地図情報25よりも古いエリアに関しては、端末側地
図DB45に格納する古いバージョンの地図情報や移動案内情報ではなく、キャッシュ47に格納された新しいバージョンの移動案内情報26を用いて車両の現在位置の特定、案内経路に沿った走行案内、画像の表示等を行う。
【0044】
また、キャッシュ47に格納された移動案内情報26は、地図情報の区画単位(例えばメッシュ単位)毎に残存優先度が設定されている。そして、キャッシュ47の記憶領域が不足した場合には、キャッシュ47に格納された移動案内情報26の内、残存優先度の低いエリア区画の移動案内情報26から優先的に削除される。尚、残存優先度は、後述のように今後の車両の移動案内において移動案内情報が必要となるエリア区画、より具体的には車両の現在位置周辺に位置するエリア区画の移動案内情報26や、通信端末5で設定されている案内経路の周辺に位置するエリア区画の移動案内情報26が、それ以外のエリア区画の移動案内情報26よりも高く設定される。
図5はキャッシュ47に格納される移動案内情報26の一例を示した図である。
【0045】
図5に示すようにキャッシュ47には、地図情報の区画単位であるメッシュ単位で区分されて移動案内情報26が格納され、且つ残存優先度が設定されている。尚、本実施形態では残存優先度は“A(高)”と“B(低)”のいずれかに設定される。従って、
図5に示す例ではメッシュAやメッシュBの移動案内情報26よりもメッシュEやメッシュHの移動案内情報26の方が残存優先度が低いので、メッシュEやメッシュHがキャッシュ47から優先的に削除されることとなる。尚、本実施形態では残存優先度を2段階に設定しているが、より細かい段階で設定しても良い。また、残存優先度は、移動案内情報26でなくメッシュ(エリア区画)に紐付けて記憶しても良い。
【0046】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)33は、通信端末5の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラムのほか、後述の移動案内処理プログラム(
図6、
図7参照)等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU33は、サーバ装置3のECUとともに処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、案内手段は、サーバ装置3から配信された車両の走行案内を行う為の移動案内情報26を用いて車両の走行案内を行う。情報記憶手段は、サーバ装置3から配信されたエリア区画単位の移動案内情報26をキャッシュ47に記憶する。優先度設定手段は、キャッシュ47に記憶された移動案内情報26を地図情報のエリア区画単位毎に残存優先度を設定する。情報削除手段は、キャッシュ47に記憶された移動案内情報26の内、残存優先度が高いエリア区画の移動案内情報26よりも残存優先度が低いエリア区画の移動案内情報26を優先的にキャッシュ47から削除する。
【0047】
操作部34は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)を有する。そして、ナビゲーションECU33は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部34は液晶ディスプレイ35の前面に設けたタッチパネルを有しても良い。また、マイクと音声認識装置を有しても良い。
【0048】
また、液晶ディスプレイ35には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ35の代わりに、HUDやHMDを用いても良い。
【0049】
また、スピーカ36は、ナビゲーションECU33からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0050】
また、DVDドライブ37は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、端末側地
図DB45の更新等が行われる。尚、DVDドライブ37に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。
【0051】
また、通信モジュール38は、例えば、サーバ装置3やVICS(登録商標)センタやプローブセンタ等から送信された地図更新情報、経路情報、移動案内情報、交通情報等の各情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0052】
続いて、前記構成を有する移動案内システム1において、サーバ装置3及び通信端末5が実行する移動案内処理プログラムについて
図6及び
図7に基づき説明する。
図6及び
図7は本実施形態に係る移動案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、移動案内処理プログラムは、車両のACC電源(accessory power supply)がONされた後に実行され、出発地から目的地までの経路を探索するとともに案内経路に沿った走行案内を行うプログラムである。但し、通信端末5がナビゲーション装置以外である場合には、ACC電源ではなく通信端末5の本体電源が投入された後(起動後)に実行する。尚、以下の
図6、
図7及び
図12にフローチャートで示されるプログラムは、サーバ装置3や通信端末5が備えているRAMやROMに記憶されており、CPU21或いはCPU51により実行される。
【0053】
先ず、
図6に基づいて通信端末5のCPU51が実行する移動案内処理プログラムについて説明する。ステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU51は、通信端末5が有する更新エリアテーブル49を更新する為の更新情報(以下、テーブル更新情報という)の要求(以下、テーブル更新要求という)をサーバ装置3へと送信する。前述したように更新エリアテーブル49は、地図情報の区画単位(例えばメッシュ単位)毎に、更新対象エリアに該当する区画と、更新対象エリアに該当しない区画とを識別するフラグを対応付けたテーブルである(
図4)。
【0054】
また、前記S1において送信されるテーブル更新要求には、テーブル更新情報の要求の送信元の通信端末5を特定する端末IDと、地図情報の区画単位毎に現時点の端末側地図情報48のバージョンを特定する情報とを含む。尚、端末側地図情報48のバージョンを特定する情報としては、具体的に端末側地図情報48の最終的な更新を行った地図更新情報(更新プログラム)の作成時期(現在の地図情報が作成された時期にも相当)を特定する情報を送信する。尚、バージョン番号や最終的な更新を行った更新日時について送信しても良い。また、現時点の端末側地図情報48のバージョンを特定する情報についてはバージョン管理DB46に記憶されている。
【0055】
次に、S2においてCPU51は、テーブル更新要求に応じてサーバ装置3から送信されたテーブル更新情報を受信する。ここで、前記S2で受信するテーブル更新情報は、現時点での端末側地図情報48のバージョンと装置側地図情報25のバージョンとを比較することによってサーバ装置3により作成され(S32)、端末側地図情報48の最終的な更新を行った地図更新情報(更新プログラム)の作成時期以降に作成された地図更新情報により装置側地図情報25が更新された区画(即ち端末側地図情報48よりも作成時期の新しい装置側地図情報25の区画)を更新対象エリアへと更新する情報である。尚、テーブル更新要求とともにバージョン番号を通信端末5がサーバ装置3へと送信している場合には、バージョン番号を比較することによってテーブル更新情報を作成することも可能であるが、バージョン番号が古い番号へと更新(バージョンダウン)される場合があることについて考慮する必要がある。
図8はテーブル更新情報の一例を示した図である。
【0056】
例えば、
図8に示すように通信端末5の有する端末側地図情報48のバージョンが全て“50”であり、サーバ装置3の有する装置側地図情報25を構成する各メッシュの内、計6か所のメッシュがバージョン“50”より新しい時期に作成された地図更新情報により更新されたバージョン“60”である場合には、更新エリアテーブル49において該当する6か所のメッシュを更新対象エリアへと更新するテーブル更新情報が作成される。前述したように、更新エリアテーブル49は、更新対象エリアに該当するメッシュに対してはフラグ“0”を対応付け、更新対象エリアに該当しないメッシュに対してはフラグ“1”を対応付ける(
図4)。従って、テーブル更新情報は、該当する6か所のメッシュに対応付けたフラグを“0”に書き換えるデータとなる。
【0057】
続いて、S3においてCPU51は、前記S2においてサーバ装置3から受信したテーブル更新情報に基づいて更新エリアテーブル49を更新する。具体的には、
図9に示すように更新エリアテーブル49とテーブル更新情報とを合成することによって、更新エリアテーブル49に含まれる各フラグの内、テーブル更新情報によって指定されたメッシュ(
図9に示す例では計6か所のメッシュ)に対応付けたフラグを“0”に書き換える。尚、テーブル更新情報によって指定されるメッシュの内、既にフラグが“0”であったメッシュに関しては“0”の状態で維持される。
【0058】
そして、前記S3において更新エリアテーブル49の更新を行った結果、現時点(通信端末5の起動後であって移動案内情報の要求をサーバ装置3に行う前)においてサーバ装置3が有する装置側地図情報25に対して通信端末5が有する端末側地図情報48が古いバージョンの地図情報となるエリア(即ち、更新対象エリア)を正確に更新エリアテーブル49に反映することが可能となる。従って、例えば装置側地図情報25又は端末側地図情報48が新しいバージョンの地図情報へと更新されると、更新エリアテーブル49についてもそれに応じて更新されることとなる。
【0059】
次に、S4においてCPU51は、通信端末5において経路の目的地を設定する。尚、目的地は基本的に操作部34において受け付けたユーザの操作(例えば登録地点の読出操作、施設の検索や選択操作)に基づいて設定する。但し、再探索(リルート)を行う場合に関しては、目的地を新たに設定することなく通信端末5において現在設定されている目的地を継続して設定する。
【0060】
続いて、S5においてCPU51は、車両の現在位置を現在位置検出部31の検出結果や地図情報に基づいて特定する。尚、車両の現在位置を特定する際には、車両の現在位置を地図情報にマッチングさせるマップマッチング処理について行う。車両の現在位置の特定は基本的に通信端末5が有する端末側地図情報48に基づいて行われるが、車両の現在位置するエリアの端末側地図情報48のバージョンが装置側地図情報25よりも古い場合(即ち更新対象エリアである場合)には、端末側地
図DB45に格納する古いバージョンの地図情報や移動案内情報ではなく、キャッシュ47に格納された移動案内情報26を用いて特定する。但し、キャッシュ47に該当するエリアの移動案内情報26が無い場合には、端末側地
図DB45に格納する古いバージョンの地図情報や移動案内情報を用いて特定する。
【0061】
その後、S6においてCPU51は、更新エリアテーブル49と前記S5で特定された車両の現在位置に基づいて、“車両の現在位置周辺の更新対象エリア”を特定する。具体的には、CPU51は、先ず車両が現在位置するメッシュを中心とした3×3の計9メッシュを車両の現在位置周辺のメッシュとして特定する。例えば、
図10に示す例では車両が現在位置するメッシュは“メッシュQ”となるので、車両の現在位置周辺のメッシュは、メッシュQを中心としたメッシュK,L,M,P,Q,R,U,V,Wとなる。その後、更新エリアテーブル49を参照してメッシュK,L,M,P,Q,R,U,V,Wが更新対象エリアに該当するか否か判定し、更新対象エリアに該当すると判定されたメッシュ、即ち更新エリアテーブル49においてフラグ“0”が対応付けられたメッシュを“車両の現在位置周辺の更新対象エリア”に特定する。尚、前記S6で特定された“車両の現在位置周辺の更新対象エリア”は、今後の車両の移動案内において移動案内情報26が必要となるエリア区画に相当する。
【0062】
続いて、S7においてCPU51は、前記S6で特定された“車両の現在位置周辺の更新対象エリア”を対象とした移動案内情報26の要求をサーバ装置3へと送信する。但し、通信端末5のキャッシュ47に対して既に同一の移動案内情報26が格納されているエリアは要求対象から除外する。ここで、移動案内情報26は前述したようにサーバ装置3の有する最新バージョンの地図情報に対応して、通信端末5において現在位置の特定、案内経路に沿った簡易走行案内、画像の表示を行う為の情報である。尚、前記S7で送信される移動案内情報の要求には、移動案内情報の要求の送信元の通信端末5を特定する端末IDと、移動案内情報を要求する対象となるエリア(前記S6で特定された“車両の現在位置周辺の更新対象エリア”)を特定する情報(例えばメッシュ識別番号)を含む。
【0063】
その後、S8においてCPU51は、移動案内情報26の要求に応じてサーバ装置3から送信された移動案内情報26を受信する。尚、移動案内情報26は、車両のマップマッチングを行うのに必要となるマッチングデータと、案内交差点での右左折案内等の案内経路に沿って車両に走行を行わせる為の案内に必要となる案内データと、地図画像や案内画面を表示する為の表示データとを含む。即ち、前記S8で受信する移動案内情報26は、車両の現在位置周辺の更新対象エリアにおいて現在位置の特定、案内経路に沿った簡易走行案内、画像の表示を行う為の情報である。
【0064】
尚、前記S8の処理については必ずしも以下のS9以降の処理よりも先に行われるとは限らず、サーバ装置3から移動案内情報26が送信されたタイミングで実施される。従って、サーバ装置3から移動案内情報26が送信されるタイミングが遅れれば、S9〜S11の処理の間、或いは処理後に実施される場合もある。但し、案内経路に基づく移動案内が行われなかったり、誤った案内が行われる事象が生じることを防止する為に、探索経路情報の受信(S12)よりも移動案内情報の受信(S8)が先に行われるようにすることが望ましい。尚、後述のS19及びS24についても同様である。
【0065】
また、S9においてCPU51は、後述のキャッシュ管理処理(
図12)を行う。キャッシュ管理処理では、後述のようにサーバ装置3から取得した移動案内情報26を通信端末5のキャッシュ47に保管するとともに、不要な情報についてはキャッシュ47から削除する。
【0066】
次に、S10においてCPU51は、通信端末5が有する端末側地図情報48を用いて出発地から前記S4で設定された目的地までの経路探索処理を行い、出発地から目的地までの推奨経路(以下、端末推奨経路という)を特定する。具体的には、端末側地図情報48に含まれるリンクデータ、ノードデータ、探索データ等に基づいて、リンク(道路)に対する経路として適正の程度を数値化したリンクコストや、交差点(ノード)に対する経路として適正の程度を数値化した交差点コストや、走行に必要な費用の程度を数値化した料金コスト等を算出し、算出された各探索コストを用いて端末推奨経路の探索を行う。例えば公知のダイクストラ法を用い、コスト値の合計が最小となる経路を端末推奨経路とする。尚、ダイクストラ法を用いた経路探索処理は既に公知であるので詳細は省略する。また、出発地は車両の現在位置としても良いし、ユーザにより指定された任意の地点(例えば自宅)としても良い。
【0067】
続いて、S11においてCPU51は、出発地から目的地への経路の探索を要求する為の経路探索要求をサーバ装置3へと送信する。ここで、経路探索要求には、経路探索要求の送信元の通信端末5を特定する端末IDと、経路探索の探索条件である出発地(例えば車両の現在位置)と前記S4で設定された目的地とを特定する情報と、前記S10で探索された端末推奨経路を特定する経路情報が含まれている。但し、車両が案内経路を外れたことに伴うリルート時においては、前回の探索時と目的地が基本的に同一となるので、目的地を特定する情報については送信しなくても良い。
【0068】
また、端末推奨経路を特定する経路情報としては、端末推奨経路の全体を特定する情報を送信しても良いが、端末推奨経路の内、特に出発地から所定距離以内における出発地から先の連続する道路列を特定する情報のみを送信しても良い。
【0069】
その後、S12においてCPU51は、経路探索要求に応じてサーバ装置3から送信された探索経路情報を受信する。ここで、前記S12で受信する探索経路情報は、前記S11で送信した経路探索要求に基づいてサーバ装置3が最新のバージョンの地図情報である装置側地図情報25を用いて探索した出発地から目的地までの推奨経路(以下、サーバ推奨経路という)に関する情報である。
【0070】
続いて、S13においてCPU51は、前記S12で受信したサーバ推奨経路を通信端末5の案内経路に設定するか否かを判定する。尚、サーバ装置3からサーバ推奨経路を受信した場合には、基本的に受信したサーバ推奨経路を通信端末5の案内経路に設定する。但し、例えば通信エラー等によってサーバ装置3からサーバ推奨経路を受信できなかった場合については、前記S10において通信端末5が探索した端末推奨経路等のサーバ推奨経路以外の経路を通信端末5の案内経路に設定する。
【0071】
そして、サーバ推奨経路以外の経路を通信端末5の案内経路に設定すると判定された場合(S13:NO)には、S14へと移行する。
【0072】
S14においてCPU51は、例えば前記S10の経路探索処理によって探索された端末推奨経路を、通信端末5において車両の走行案内を行う対象となる案内経路として設定する。その後、設定された案内経路に基づいて車両の走行案内が開始される。例えば、自車位置周辺の道路網を含む地図画像を表示したり、右左折の対象となる案内分岐点が車両の所定距離手前に接近した場合には、案内分岐点の拡大図を表示したり、案内分岐点での車両の進行方向を案内する。また、前記S14においてCPU51は、基本的に端末側地
図DB45に格納された端末側地図情報48や移動案内情報26に基づいて上記走行案内を行う。ここで、前記S10の経路探索処理によって探索された端末推奨経路は、通信端末5が有する端末側地図情報48に基づいて探索された経路であるので、サーバ装置3から取得する新しいバージョンの移動案内情報26でなく、旧バージョンの移動案内情報26を用いても車両の現在位置は正しい位置に特定し案内することができ、案内交差点では正しい車両の進行方向を案内することが可能となる。但し、サーバ装置3から取得した新しいバージョンの移動案内情報26が存在するエリアに関しては、それらの移動案内情報26を用いて上記走行案内を行ってもよい。
【0073】
一方、前記S12で受信したサーバ推奨経路を通信端末5の案内経路に設定すると判定された場合(S13:YES)には、S15へと移行する。
【0074】
S15においてCPU51は、前記S12で受信したサーバ推奨経路を、通信端末5において車両の走行案内を行う対象となる案内経路として設定する。その後、設定された案内経路に基づいて車両の走行案内が開始される。例えば、自車位置周辺の道路網を含む地図画像を表示したり、右左折の対象となる案内分岐点が車両の所定距離手前に接近した場合には、案内分岐点の拡大図を表示したり、案内分岐点での車両の進行方向を案内する。また、前記S15においてCPU51は、基本的に端末側地
図DB45に格納された端末側地図情報48や移動案内情報26に基づいて上記走行案内を行う。但し、端末側地
図DB45に格納された端末側地図情報48や移動案内情報26が、車両の現在位置周辺エリアや案内経路周辺エリアにおいて最新のバージョンでない場合については、サーバ装置3から取得してキャッシュ47に格納された移動案内情報26も用いて上記走行案内を行う。尚、移動案内情報26は、車両のマップマッチングを行うのに必要となるマッチングデータと、案内交差点での右左折案内等の案内経路に沿って車両に走行を行わせる為の案内に必要となる案内データと、地図画像や案内画面を表示する為の表示データとを含むので、端末側地
図DB45に格納された端末側地図情報48や移動案内情報26が最新バージョンでなかったとしても、最新バージョンの地図情報に基づいて探索された案内経路に沿った走行案内を適切に実施することが可能となる。
【0075】
続いて、S16においてCPU51は、現時点で通信端末5に設定されている案内経路を取得する。
【0076】
次に、S17においてCPU51は、更新エリアテーブル49と前記S16で取得した案内経路に基づいて、“案内経路周辺の更新対象エリア”を特定する。具体的には、CPU51は、先ず車両の現在位置から目的地方向へ所定距離L以内の案内経路の少なくとも一部を含むメッシュを、案内経路周辺のメッシュとして特定する。例えば、
図11に示す例では車両の現在位置から目的地方向へ所定距離L以内の案内経路61の少なくとも一部を含むメッシュは、メッシュH、M、Q、Rとなる。その後、更新エリアテーブル49を参照してメッシュH、M、R、Qが更新対象エリアに該当するか否か判定し、更新対象エリアに該当すると判定されたメッシュ、即ち更新エリアテーブル49においてフラグ“0”が対応付けられたメッシュを“案内経路周辺の更新対象エリア”に特定する。尚、前記S6で特定された“案内経路周辺の更新対象エリア”は、今後の車両の移動案内において移動案内情報26が必要となるエリア区画に相当する。
【0077】
続いて、S18においてCPU51は、前記S6で特定された“案内経路周辺の更新対象エリア”を対象とした移動案内情報26の要求をサーバ装置3へと送信する。但し、通信端末5のキャッシュ47に対して既に同一の移動案内情報26が格納されているエリアは要求対象から除外する。尚、前記S18で送信される移動案内情報の要求には、移動案内情報の要求の送信元の通信端末5を特定する端末IDと、移動案内情報を要求する対象となるエリア(前記S17で特定された“案内経路周辺の更新対象エリア”)を特定する情報(例えばメッシュ識別番号)を含む。
【0078】
その後、S19においてCPU51は、移動案内情報26の要求に応じてサーバ装置3から送信された移動案内情報26を受信する。尚、移動案内情報26は、車両のマップマッチングを行うのに必要となるマッチングデータと、案内交差点での右左折案内等の案内経路に沿って車両に走行を行わせる為の案内に必要となる案内データと、地図画像や案内画面を表示する為の表示データとを含む。即ち、前記S19で受信する移動案内情報26は、案内経路周辺の更新対象エリアにおいて現在位置の特定、案内経路に沿った簡易走行案内、画像の表示を行う為の情報である。
【0079】
また、S20においてCPU51は、後述のキャッシュ管理処理(
図12)を行う。キャッシュ管理処理では、後述のようにサーバ装置3から取得した移動案内情報26を通信端末5のキャッシュ47に保管するとともに、不要な情報についてはキャッシュ47から削除する。
【0080】
続いて、S21においてCPU51は、車両が地図情報の区画(例えばメッシュ)を跨いだか否かを判定する。
【0081】
そして、車両が地図情報の区画を跨いだと判定された場合(S21:YES)には、S22へと移行する。それに対して、車両が地図情報の区画を跨いでいないと判定された場合(S21:NO)には、S26へと移行する。
【0082】
S22においてCPU51は、更新エリアテーブル49と車両の現在位置と前記S16で取得した案内経路に基づいて、“車両の現在位置周辺の更新対象エリア”及び“案内経路周辺の更新対象エリア”をそれぞれ特定する。尚、“車両の現在位置周辺の更新対象エリア”に特定についてはS6、“案内経路周辺の更新対象エリア”についてはS17と同様の処理であるので詳細は省略する。尚、前記S22で特定された“車両の現在位置周辺の更新対象エリア”及び“案内経路周辺の更新対象エリア”は、今後の車両の移動案内において移動案内情報26が必要となるエリア区画に相当する。
【0083】
続いて、S23においてCPU51は、前記S22で特定された“車両の現在位置周辺の更新対象エリア”及び“案内経路周辺の更新対象エリア”を対象とした移動案内情報26の要求をサーバ装置3へと送信する。但し、通信端末5のキャッシュ47に対して既に同一の移動案内情報26が格納されているエリアは要求対象から除外する。尚、前記S23で送信される移動案内情報の要求には、移動案内情報の要求の送信元の通信端末5を特定する端末IDと、移動案内情報を要求する対象となるエリア(前記S21で特定された“車両の現在位置周辺の更新対象エリア”及び“案内経路周辺の更新対象エリア”)を特定する情報(例えばメッシュ識別番号)を含む。
【0084】
その後、S24においてCPU51は、移動案内情報26の要求に応じてサーバ装置3から送信された移動案内情報26を受信する。尚、移動案内情報26は、車両のマップマッチングを行うのに必要となるマッチングデータと、案内交差点での右左折案内等の案内経路に沿って車両に走行を行わせる為の案内に必要となる案内データと、地図画像や案内画面を表示する為の表示データとを含む。即ち、前記S24で受信する移動案内情報26は、車両の現在位置周辺の更新対象エリア及び案内経路周辺の更新対象エリアにおいて現在位置の特定、案内経路に沿った簡易走行案内、画像の表示を行う為の情報である。
【0085】
また、S25においてCPU51は、後述のキャッシュ管理処理(
図12)を行う。キャッシュ管理処理では、後述のようにサーバ装置3から取得した移動案内情報26を通信端末5のキャッシュ47に保管するとともに、不要な情報についてはキャッシュ47から削除する。その後、S26へと移行する。
【0086】
S26においてCPU51は、車両が目的地に到達したか否かを判定する。
【0087】
そして、車両が目的地に到達したと判定された場合(S26:YES)には、当該移動案内処理プログラムを終了する。それに対して、車両が目的地に到達していないと判定された場合(S26:NO)にはS21へと戻り、継続して移動案内情報の受信及び受信した移動案内情報を用いた走行案内を行う。
【0088】
次に、サーバ装置3のCPU21が実行する移動案内処理プログラムについて説明する。尚、以下のS31〜S33、S34〜S36、S37〜S39、S40〜S42、S43〜S45の各処理は、通信端末5からの対応する情報を受信したタイミングで開始され、夫々並行して実施される。従って、各ステップの実施順序は必ずしもステップ番号の小さい順に実施されるとは限らない。例えば、後述のS35の処理が完了する前に、通信端末5から経路探索要求を受信した場合には、S36よりもS37及びS38が先に実施されることとなる。
【0089】
先ず、S31においてCPU21は、起動後の通信端末5から送信されるテーブル更新要求を受信する。尚、テーブル更新要求には、テーブル更新要求の送信元の通信端末5を特定する端末IDと、地図情報の区画単位毎に現時点の端末側地図情報48のバージョンを特定する情報とが含まれている。そして、通信端末5からテーブル更新要求を受信した場合に、以下のS32及びS33の処理が行われる。
【0090】
S32においてCPU21は、前記S31で受信したテーブル更新要求に基づいて、通信端末5が有する更新エリアテーブル49を更新する為のテーブル更新情報を作成する。具体的には、前記S31で受信した現時点での端末側地図情報48のバージョンと、サーバ装置3が有する装置側地図情報25のバージョンとを比較し、端末側地図情報48の最終的な更新を行った地図更新情報(更新プログラム)の作成時期以降に作成された地図更新情報により装置側地図情報25が更新された区画(例えばメッシュ)を特定する。そして、更新エリアテーブル49に含まれる各フラグの内、特定された区画のフラグを“0(更新対象エリア)”へと更新するテーブル更新情報を作成する(
図8)。
【0091】
その後、S33においてCPU21は、前記S32で作成されたテーブル更新情報を要求のあった通信端末5へと送信する。そして、テーブル更新情報を受信した通信端末5では、受信したテーブル更新情報に基づいて更新エリアテーブル49の更新が行われる(S3)。
【0092】
また、S34においてCPU21は、更新エリアテーブル49の更新が行われた後の通信端末5から送信される移動案内情報26の要求を受信する。尚、移動案内情報26の要求には、移動案内情報の要求の送信元の通信端末5を特定する端末IDと、移動案内情報を要求する対象となるエリア(前記S6で特定された車両の現在位置周辺の更新対象エリア)を特定する情報(例えばメッシュ番号)とが含まれている。そして、通信端末5から移動案内情報26の要求を受信した場合に、以下のS35及びS36の処理が行われる。
【0093】
S34においてCPU21は、更新エリアテーブル49の更新が行われた後の通信端末5から送信される移動案内情報26の要求を受信する。尚、移動案内情報26の要求には、移動案内情報の要求の送信元の通信端末5を特定する端末IDと、移動案内情報を要求する対象となるエリア(前記S6で特定された車両の現在位置周辺の更新対象エリア)を特定する情報(例えばメッシュ番号)とが含まれている。
【0094】
続いて、S35においてCPU21は、前記S34で受信した移動案内情報26の要求に基づいて、装置側地
図DB12から該当するエリアの移動案内情報26を抽出する。
【0095】
その後、S36においてCPU21は、前記S35で抽出された移動案内情報26を要求のあった通信端末5へと送信する。
【0096】
また、S37においてCPU21は、通信端末5から送信される経路探索要求を受信する。尚、経路探索要求には、経路探索要求の送信元の通信端末5を特定する端末IDと、経路探索の探索条件である出発地(例えば車両の現在位置)と前記S4で設定された目的地とを特定する情報と、前記S10で探索された端末推奨経路を特定する経路情報が含まれている。そして、通信端末5から経路探索要求を受信した場合に、以下のS38及びS39の処理が行われる。
【0097】
次に、S38においてCPU21は、前記S37で受信した経路探索要求と、サーバ装置3が有する装置側地図情報25とを用いて、出発地から目的地までの経路探索処理を行い、出発地から目的地までの推奨経路(サーバ推奨経路)を特定する。尚、サーバ推奨経路は、通信端末5で探索された端末推奨経路の少なくとも一部を含む経路となる。より具体的には、出発地から所定距離以内の端末推奨経路に接続する目的地までの経路を探索し、出発地から所定距離以内の端末推奨経路と探索された経路とを組み合わせた経路をサーバ推奨経路とする。
【0098】
続いて、S39においてCPU21は、前記S38で特定したサーバ推奨経路を特定する探索経路情報を、経路探索要求の送信元の通信端末5に対して送信する。その結果、サーバ推奨経路が通信端末5において案内経路に設定されることとなる。尚、案内経路に基づく移動案内が行われなかったり、誤った案内が行われる事象が生じることを防止する為に、探索経路情報の送信(S39)よりも移動案内情報の送信(S36)が先に行われるようにすることが望ましい。
【0099】
また、S40においてCPU21は、案内経路が設定された後の通信端末5から送信される移動案内情報26の要求を受信する。尚、移動案内情報26の要求には、移動案内情報の要求の送信元の通信端末5を特定する端末IDと、移動案内情報を要求する対象となるエリア(前記S17で特定された案内経路周辺の更新対象エリア)を特定する情報(例えばメッシュ番号)とが含まれている。そして、案内経路が設定された後の通信端末5から移動案内情報26の要求を受信した場合に、以下のS41及びS42の処理が行われる。
【0100】
続いて、S41においてCPU21は、前記S40で受信した移動案内情報26の要求に基づいて、装置側地
図DB12から該当するエリアの移動案内情報26を抽出する。
【0101】
その後、S42においてCPU21は、前記S41で抽出された移動案内情報26を要求のあった通信端末5へと送信する。
【0102】
また、S43においてCPU21は、地図情報の区画を跨いだ後の通信端末5から送信される移動案内情報26の要求を受信する。尚、移動案内情報26の要求には、移動案内情報の要求の送信元の通信端末5を特定する端末IDと、移動案内情報を要求する対象となるエリア(前記S22で特定された車両の現在位置周辺及び案内経路周辺の更新対象エリア)を特定する情報(例えばメッシュ番号)とが含まれている。そして、地図情報の区画を跨いだ後の通信端末5から移動案内情報26の要求を受信した場合に、以下のS44及びS45の処理が行われる。
【0103】
続いて、S44においてCPU21は、前記S43で受信した移動案内情報26の要求に基づいて、装置側地
図DB12から該当するエリアの移動案内情報26を抽出する。
【0104】
その後、S45においてCPU21は、前記S44で抽出された移動案内情報26を要求のあった通信端末5へと送信する。
【0105】
次に、前記S9、S20、S25において実行されるキャッシュ管理処理のサブ処理について
図12に基づき説明する。
図12はキャッシュ管理処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0106】
先ず、S51においてCPU51は、キャッシュ47の空き容量が閾値以下であるか否か判定する。尚、閾値はサーバ装置3から1回に取得する可能性のある移動案内情報26の最大サイズとする。
【0107】
そして、キャッシュ47の空き容量が閾値以下であると判定された場合(S51:YES)には、S54へと移行する。それに対して、キャッシュ47の空き容量が閾値より大きいと判定された場合(S51:NO)には、S52へと移行する。
【0108】
S52においてCPU51は、サーバ装置3から受信した移動案内情報26をキャッシュ47に格納する。尚、キャッシュ47に格納された移動案内情報26は、その後に通信端末5における現在位置の特定、案内経路に沿った簡易走行案内、画像の表示を行うのに用いられる。
【0109】
次に、S53においてCPU51は、前記S52でキャッシュ47に新たに格納した移動案内情報26に対して、エリア区画単位で残存優先度を設定する。尚、残存優先度は、キャッシュ47の記憶領域が不足した場合において削除対象とする移動案内情報26を選別する為の情報である。具体的には、キャッシュ47に格納された移動案内情報26の内、残存優先度の低いものから優先的に削除される。
【0110】
具体的に前記S53でCPU51は、今後の車両の移動案内において移動案内情報26が必要となるエリア区画、より具体的には“車両の現在位置周辺に位置するエリア区画”及び“通信端末5で設定されている案内経路の周辺に位置するエリア区画”をそれぞれ特定する。そして、特定されたエリア区画の移動案内情報26の残存優先度を、それ以外のエリア区画の移動案内情報26の残存優先度よりも高く設定する。ここで、前記S52でキャッシュ47に新たに格納した移動案内情報26は、車両の現在位置周辺に位置するエリア区画又は通信端末5で設定されている案内経路の周辺に位置するエリア区画の移動案内情報26となる。従って、前記S53では、残存優先度は基本的に“A(高)”が設定されることとなる。尚、今後の車両の移動案内において移動案内情報26が必要となると判定されるエリア区画であれば、車両の現在位置周辺に位置するエリア区画や案内経路の周辺に位置するエリア区画以外のエリア区画の移動案内情報26についても同様に残存優先度を高く設定しても良い。
【0111】
一方、S54においてCPU51は、キャッシュ47に格納されている各移動案内情報26に対して設定されている残存優先度の更新をエリア区画単位で行う。ここで、キャッシュ47に格納された移動案内情報26は、
図5に示すように地図情報の区画単位(例えばメッシュ単位)毎に残存優先度が設定されている。前記S54でCPU51は、以下の(1)、(2)の条件に従って残存優先度の更新を行う。
(1)車両の現在位置周辺に位置するエリア区画(例えば車両の現在位置を中心とした3×3のメッシュ)や、通信端末5で設定されている案内経路の周辺に位置するエリア区画(例えば案内経路を含むメッシュ)の移動案内情報26については、今後の車両の移動案内において必要となる可能性が高いので残存優先度を“A(高)”に設定する。一方で、それ以外のエリア区画の移動案内情報26については今後必要となる可能性が低いので、残存優先度を“B(低)”に設定する。
(2)但し、上記(1)に関わらず、端末側地図情報48のバージョンが最新バージョンであるエリア区画、即ち、通信端末5が移動案内情報26を用いなくとも最新バージョンの地図情報に基づく走行案内を行うことが可能なエリア区画の移動案内情報26については残存優先度を“B(低)”に設定する。
【0112】
その後、S55においてCPU51は、キャッシュ47に格納された移動案内情報26の内、残存優先度の低いものから優先的に削除する。具体的には、残存優先度が“B(低)”に設定されている移動案内情報26をエリア区画(メッシュ)単位でキャッシュから削除する。
【0113】
その後、S56においてCPU51は、再度、キャッシュ47の空き容量が閾値以下であるか否か判定する。
【0114】
そして、キャッシュ47の空き容量が閾値以下であると判定された場合(S56:YES)には、S57へと移行する。それに対して、キャッシュ47の空き容量が閾値より大きいと判定された場合(S56:NO)には、S52へと移行する。
【0115】
S57においてCPU51は、ハードディスクやメモリの内、キャッシュ47に割り当てる記憶容量を一時的に増加する。尚、増加する容量は、増加後のキャッシュ47の空き容量が前記S51の判定基準となる閾値より大きくなる容量とする。また、増加したキャッシュの容量は、その後にキャッシュ47の空き領域が多くなったタイミングで元に戻す構成としても良いし、元に戻さない構成としても良い。その後、S52へと移行する。
【0116】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る通信端末5及び通信端末5で実行されるコンピュータプログラムでは、サーバ装置3から配信された移動体の移動案内を行う為の移動案内情報26を用いて移動体の移動案内を行うとともに(S15)、サーバ装置3から配信された移動案内情報26をキャッシュ47に記憶し(S52)、キャッシュ47に記憶された移動案内情報26を地図情報のエリア区画単位で区画して残存優先度を設定し(S53、S54)、キャッシュ47に記憶された移動案内情報26の内、残存優先度が高く設定されたエリアよりも残存優先度が低く設定されたエリアの移動案内情報26を優先的にキャッシュ47から削除する(S55)ので、移動案内に今後必要となる移動案内情報26を優先的にキャッシュ47に残存させることが可能となる。その結果、過去に取得した同一の移動案内情報26をサーバ装置3から再度取得する機会を減らし、通信負担や処理負担を軽減させることが可能となる。
また、本実施形態では地図情報(車両の移動案内を行う為の移動案内情報26に加えて、施設データや経路探索に使用するデータ等も含む)ではなく、車両の移動案内を行う為の移動案内情報26を予めサーバ装置3から取得して車両の移動案内を行う(S15)。ここで、地図情報に比べて移動案内情報26はデータ量が少なくなるので、車両の移動案内を行う為に新しいバージョンの地図情報を取得する場合(或いは新しいバージョンへと地図情報を更新する為の更新情報を取得する場合)と比較して情報の配信量を削減することが可能となる。
【0117】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、前記S6、S17、S22の車両の現在位置周辺や案内経路周辺の更新対象エリアの特定に係る処理を通信端末5が行う構成としているが、サーバ装置3が行う構成としても良い。その場合には、更新エリアテーブル49、車両の現在位置及び通信端末5で設定されている案内経路を、サーバ装置3が有する或いは通信端末5から取得する必要がある。
【0118】
また、本実施形態では、通信端末5は、車両の現在位置周辺の更新対象エリア及び案内経路周辺の更新対象エリアを対象として移動案内情報26をサーバ装置3から要求する構成としているが、液晶ディスプレイ35に地図画像が表示されるエリア内の更新対象エリアについても対象として移動案内情報26をサーバ装置3から要求しても良い。その結果、例えば液晶ディスプレイ35に表示された地図画像をスクロール表示する場合において、最新のバージョンの地図情報に基づく地図画像の表示が可能となる。
【0119】
また、本実施形態では、キャッシュ47から移動案内情報を削除する直前に移動案内情報26に設定された残存優先度を更新する(S54)構成としているが、残存優先度の更新は例えば所定時間間隔、通信端末5の起動時、車両がメッシュを跨いだ時点等のタイミングで実施するようにしても良い。
【0120】
また、本実施形態では、通信端末5がサーバ装置3に移動案内情報26を要求する場合に、通信端末5のキャッシュ47に対して既に同一の移動案内情報26が格納されているものについては要求対象から除外しているが、要求対象に含めても良い。
【0121】
また、本実施形態では、通信端末5が案内経路周辺の更新対象エリアの移動案内情報をサーバ装置3に要求する場合には、車両の現在位置から目的地方向へ所定距離L以内の案内経路の少なくとも一部を含むメッシュを対象とするが、車両の現在位置からの距離に関わらず案内経路の少なくとも一部を含むメッシュを対象としても良い。
【0122】
また、本実施形態では、更新エリアテーブル49は地図情報のメッシュ単位で更新対象エリアに該当するメッシュと更新対象エリアに該当しないメッシュとを識別したテーブルである(
図4)が、メッシュ単位ではなく例えば市区町村等の行政区画単位で識別しても良い。
【0123】
また、本実施形態では、移動案内情報26は地図情報のメッシュ単位で区分された情報である(
図5)が、移動案内情報26はメッシュ単位ではなく例えば市区町村等の行政区画単位で区分した情報であっても良い。また、移動案内情報26に対して残存優先度を設定する場合においても、メッシュ単位ではなく同じく行政区画単位で設定しても良い。
【0124】
また、本実施形態では、通信端末5は、目的地の設定(S4)が行われた後であって、且つサーバ装置3に対して経路探索要求を送信する(S11)前のタイミングで、現在位置周辺の移動案内情報26をサーバ装置3に対して要求している(S7)が、移動案内情報の要求は通信端末5の起動後であって案内経路が設定される前であれば他のタイミングで行っても良い。
【0125】
また、本発明に係る移動案内装置及びコンピュータプログラムを具体化した実施例について上記に説明したが、移動案内装置は以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
【0126】
例えば、第1の構成は以下のとおりである。
サーバ装置(3)と双方向通信可能に接続された移動案内装置(5)において、前記サーバ装置から配信された移動体の移動案内を行う為の案内情報(26)を用いて前記移動体の移動案内を行う案内手段(33)と、前記サーバ装置から配信されたエリア区画単位の前記案内情報を記憶媒体(47)に記憶する情報記憶手段(33)と、前記記憶媒体に記憶された前記案内情報を地図情報のエリア区画単位毎に残存優先度を設定する優先度設定手段(33)と、前記記憶媒体に記憶された前記案内情報の内、前記残存優先度が高いエリア区画の前記案内情報よりも前記残存優先度が低いエリア区画の前記案内情報を優先的に前記記憶媒体から削除する情報削除手段(33)と、を有する。
上記構成を有する移動案内装置によれば、移動体の移動案内を行うのに必要な案内情報をサーバ装置から取得して記憶媒体に記憶する場合に、記憶媒体に記憶された案内情報に対してエリア区画単位で残存優先度を設定することによって、移動案内に今後必要となる案内情報を優先的に残存させることが可能となる。その結果、過去に取得した同一の案内情報をサーバ装置から再度取得する機会を減らし、通信負担や処理負担を軽減させることが可能となる。
【0127】
また、第2の構成は以下のとおりである。
前記案内情報(26)は、前記サーバ装置(3)が有する装置側地図情報(25)に対して前記移動案内装置が有する端末側地図情報(48)が古いバージョンの地図情報となるエリアを対象として、前記サーバ装置から配信される。
上記構成を有する移動案内装置によれば、移動案内装置の有する地図情報がサーバ装置の有する地図情報と比べて古いバージョンの地図情報であったとしても、案内情報を用いることによって移動体の移動案内を適切に行うことが可能となる。
【0128】
また、第3の構成は以下のとおりである。
今後の前記移動体の移動案内において前記案内情報(26)が必要となるエリア区画を特定するエリア特定手段(33)を有し、前記案内情報は、前記エリア特定手段により特定されたエリア区画を対象として、前記サーバ装置から配信される。
上記構成を有する移動案内装置によれば、今後に移動体の案内を行う際に必要となるエリア区画の案内情報を予め取得することが可能となり、その後に案内情報を用いることによって移動体の移動案内を適切に行うことが可能となる。
【0129】
また、第4の構成は以下のとおりである。
前記優先度設定手段(33)は、前記エリア特定手段(33)により特定されたエリア区画の前記案内情報をそれ以外のエリア区画の前記案内情報よりも残存優先度を高く設定する。
上記構成を有する移動案内装置によれば、記憶媒体に記憶された案内情報の内、今後に移動体の案内を行う際に必要となるエリア区画の案内情報を優先的に残存させることが可能となる。
【0130】
また、第5の構成は以下のとおりである。
前記移動体の現在位置を取得する現在位置取得手段(33)を有し、前記エリア特定手段(33)は、前記移動体の現在位置周辺に位置するエリア区画を、今後の前記移動体の移動案内において前記案内情報(26)が必要となるエリア区画として特定する。
上記構成を有する移動案内装置によれば、記憶媒体に記憶された案内情報の内、今後に移動体が移動する可能性の高いエリアの案内情報、即ち移動案内に今後必要となる案内情報を優先的に残存させることが可能となる。
【0131】
また、第6の構成は以下のとおりである。
案内経路(61)を設定する案内経路設定手段(33)を有し、前記エリア特定手段(33)は、前記案内経路の周辺に位置するエリア区画を、今後の前記移動体の移動案内において前記案内情報(26)が必要となるエリア区画として特定する。
上記構成を有する移動案内装置によれば、記憶媒体に記憶された案内情報の内、今後に移動体が移動する可能性の高いエリアの案内情報、即ち移動案内に今後必要となる案内情報を優先的に残存させることが可能となる。
【0132】
また、第7の構成は以下のとおりである。
前記移動案内装置が有する端末側地図情報(48)を前記エリア区画単位で更新する地図情報更新手段(33)を有し、前記優先度設定手段(33)は、前記地図情報更新手段によって端末側地図情報が更新されたエリアの前記案内情報(26)をそれ以外のエリアの前記案内情報よりも残存優先度を低く設定する。
上記構成を有する移動案内装置によれば、案内情報を用いなくとも最新バージョンの地図情報に基づく移動案内を行うことが可能なエリアの案内情報については残存優先度を低く設定することによって、優先的に削除対象とすることが可能となる。
【0133】
また、第8の構成は以下のとおりである。
前記情報削除手段(33)は、前記記憶媒体(47)の空き容量が閾値以下となった場合に前記案内情報(26)を前記エリア区画単位で削除する。
上記構成を有する移動案内装置によれば、記憶媒体に記憶された不要な案内情報を削除し、記憶媒体の空き容量を増やすことによって、サーバ装置3から取得した新たな案内情報を記憶媒体に格納することが可能となる。