(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つのソケットは、第1のソケットおよび第2のソケットを含み、前記第1のソケットと前記第2のソケットがともに前記第1のリング形回転ガイドに取り付けられており、
前記少なくとも1つの伝達機構は、
前記第1のソケットと前記第1の回転体との間に接続され、前記第1のソケットから前記第1の回転体にトルクを伝達する第1の伝達機構と、
前記第2のソケットと前記第3の回転体との間に接続され、前記第3の回転体にトルクを伝達する第2の伝達機構とを含む、
請求項1に記載のツール配置マニピュレータ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
これらの図を通じて、特段の言及がない限り、示された実施形態の同様の特徴、要素、構成要素または部分には同じ参照番号および符号が使用されている。また、次に、これらの図を参照して主題の開示を詳細に説明するが、その説明は、例示的な実施形態に関してなされる。添付の請求項によって定義されるこの主題の開示の真の範囲および趣旨から逸脱することなく、記載された例示的な実施形態に変更および改変を加えることができることが意図されている。
【0020】
実施形態は、経皮介入用のツールを正確かつ精密に配置するツール配置マニピュレータおよび使用方法を提供することを目的としている。このツール配置マニピュレータは、回転体に接続された少なくとも2つのリング形回転ガイドを有し、これらの回転体には、伝達要素を介してトルクを与えることができる。このツール配置マニピュレータでは、リングを手動で直接に回転させる必要がなく、リング上にモータを配置する必要もない。
【0021】
(実施形態1)
次に、
図1から
図6を参照して、例示的なツール配置マニピュレータの第1の実施形態を説明する。
図1は、ツール配置マニピュレータの不等角投影図を示す。このツール配置マニピュレータは、第1のリング形回転ガイド1と、第1および第2の2つのソケット7および9を含む2つの歯車伝達ライン(gear transmission line)と、ツールホルダ(例えば針状の装置を誘導する針ホルダ)を装着するためのツールホルダインタフェース16とを備える。第1のリング形回転ガイド1は、底面に固定される。この実施形態では、この底面が特に患者の皮膚である。
【0022】
第1のリング形回転ガイド1上には、ベアリング17aによって第1の回転体2が装着されており、第1の回転体2は、自由に回転するように(回転自在に)構成および適合されている。第1の回転体2は、第2のリング形回転ガイド3に接続されており、この実施形態では、第2のリング形回転ガイド3が、第1の回転体2に対して傾いて示されており、第1の回転体2と一緒に回転する。第2の回転体4は、第2のリング形回転ガイド3と同心であり、ベアリング17cによって第2のリング形回転ガイド3上に固定されており(取り付けられており)、自由に回転するように(回転自在に)構成および適合されている。第1の回転体2には、第3のリング形回転ガイド5が埋め込まれている。ベアリング17bによって第3の回転体6が装着されており、第3の回転体6は、自由に回転するように(回転自在に)構成および適合されている。
【0023】
図2および
図3は、
図1のツール配置マニピュレータをさらに示す。前記歯車伝達ラインは、3つの回転体、すなわち第1の回転体2、第2の回転体4および第3の回転体6を含む。これらの回転体は、回転ガイド上に装着されており、後に示す歯車を含む。このツール配置マニピュレータは、面Bに装着される。この実施形態では、面Bが患者の皮膚面である。
図3の2本の曲線Cは、開口15の範囲を示しており、医師がアクセスできる方向を矢印として示している。開口15は、針ホルダ側から患者の皮膚にアクセスするための窓を提供する。
【0024】
第1のリング形回転ガイド1は、面Bに位置し、面Bに機械的に置かれている。リング形回転ガイド1は、患者の皮膚であり得る面に(例えばストラップまたは無菌テープを介して)直接に接着することができる。この表面をとすることができる。あるいは、この面に接着された別個の要素上または接着以外の手法でこの面に装着された別個の要素上に、第1のリング形回転ガイド1を装着することもできる。例えば、MRIで使用するためにリング形回転ガイド1の下方にコイルを配置することができる。第1の回転体2は、ベアリング17aによって第1のリング形回転ガイド1上に装着されており、
図3の軸Eに沿って第1のリング形回転ガイド1に対して回転自在である。第1の回転体2は、さらに、第2のリング形回転ガイド3に接続されている。第2のリング形回転ガイド3は、第1の回転体2に対して傾いており、軸Eに沿って第1の回転体2と一緒に回転する。
【0025】
第1の回転体2は、下平歯車14を含み、平小歯車(spur pinion)19aとかみ合って第1の伝達機構(transmission)8を形成する。第1のソケット7には入力トルクが加えられる。第1のソケット7は、シャフトによって平小歯車19aに接続されている。第1のソケット7は、平小歯車19a、下平歯車14を介して伝達を実施し、軸E(
図5)に沿った第2のリング形回転ガイド3の旋回(revolution)Iを生み出す。この入力トルクは、さまざまな方法によって発生させることができる。
【0026】
1つの実施態様では、第1のソケット7上または第1のソケット7内に、
図5には示されていないノブを取り付けることができる。これは、第1のソケット7が、このノブを、キーフィーチャ(key feature)によって第1のソケット7の回転軸の周囲に固定する(取り付ける)ことができるためである。このノブ、または同様にソケットの回転を容易にするための他のある要素を、医師の手によって回転させ、第1のソケット7に入力トルクを加えることができる。標的回転を示すため、第1のソケット7は、回転角および回転回数を示すための数値ガイドを有することができる。この数値ガイドによって、医師は、ノブを標的回転まで回すことができる。第1のソケット7を標的回転まで回した後にノブを取り外すことができるようにすることもできる。ノブを取り外すことにより、医師が誤って第1のソケット7を回してしまうことを防ぐことができる。
【0027】
さらに、いくつかの実施形態では、ノブの回転を知るための直観的な操作のため、および回転の物理的基準のために、このソケットが、クリック感またはクリック音を医師に提供することができる。例えば、クリックごとにノブを例えば30°、20°、15°回転させたことを医師が分かるように、このソケットが、例えば12または18または24の回転基準点を提供する。このことは、ツール配置マニピュレータの回転の手動制御に役立ち得る。いくつかの例示的な実施態様では、後に論じるようにして回転角が算出され、算出された回転角が、それぞれのノブをどれくらい回転させるのかと同じくらい単純に、医師に提供される。
【0028】
他の実施態様では、第1のソケット7上に、やはり
図5には示されていない第1のモータを取り付けることができる。このモータの可動部分を、ノブと同じ原理で固定する(取り付ける)ことができる。さらに、このモータの静止部分が、第1のリングロータリ形ガイド1上に装着される。このモータは、適当な制御コマンドによって第1のソケット7を標的まで回転させる。このモータは、ソケットの近くにまたはソケットから離れた位置(例えば外科手術中の無菌フィールドの外側)にモータが位置するような態様で、例えば駆動シャフトを介して取り付けることができる。
【0029】
他の実施態様では、第1のソケット7上に、やはり
図5には示されていない第1のモータを取り付けることができる。このモータの可動部分を、ノブと同じ原理で固定する(取り付ける)ことができる。さらに、このモータの静止部分が、第1のリングロータリ形ガイド1上に装着される。このモータは、適当な制御コマンドによって第1のソケット7を標的まで回転させる。このモータは、ソケットの近くにまたはソケットから離れた位置(例えば外科手術中の無菌フィールドの外側)にモータが位置するような態様で、例えば駆動シャフトを介して取り付けることができる。
【0030】
このモータは、ソケット7から取り外すことができる。モータのこの取外し可能な特徴によって、再使用可能な高価な部品、すなわちモータを、使い捨ての部品、すなわちツール配置マニピュレータから分離することを可能にすることができる。ツール配置マニピュレータが外科手術用の無菌部品であるときには、このモータを取り囲む殺菌されたベースと一緒に、このモータを取り付けたり取り外したりすることができる。無菌部品と非無菌部品のこの他の分割も企図される。
【0031】
上述したように、第1のソケット7は、入力トルクを発生させるさまざまなトルク発生装置を、機械的インタフェースを用いて受け取ることができる。この実施形態ではこの機械的インタフェースが雄型キーフィーチャであるが、適当な異なる設計を適用可能とすることもできる。例えば、ノブが、雌型の第1のソケット7内に置かれた雄型構成要素を含む。別の実施形態では、このソケットが雄型フィーチャを備え、ノブが雌型フィーチャを含む。また、ツール配置マニピュレータがモータに接続されるときには、モータシャフトまたは他の接続手段が、ツール配置マニピュレータとの雄型接続または雌型接続を有することができる。本明細書では、当技術分野で知られている他の接続方法も企図される。
【0032】
第2の回転体4は、ベアリング17cによって第2のリング形回転ガイド3上に固定されており(取り付けられており)、軸Fに沿って第2のリング形回転ガイド3に対して自由に回転可能(回転自在)である。第2の回転体4は、さらにかさ歯車12を含む。
第3のリング形回転ガイド5は、第1の回転体2上に埋め込まれている。第3のリング形回転ガイド5上には、ベアリング17bによって第3の回転体6が装着されており、第3の回転体6は、軸Eに沿って自由に回転可能(回転自在)である。この構成により、第1の回転体2上に第3の回転体6を積み重ねることができるため、この実施形態は、ツール配置マニピュレータの設置面積を小さくすることができる。その結果として、体の部分のよりトポロジカルな(topological)表面に対してこのツール配置マニピュレータを適用することができる。さらに、設置面積が小さいことにより、ツール配置マニピュレータのための無菌フィールドのサイズを小さくすることができる。
【0033】
第3の回転体6は、かさ小歯車12および上平歯車13(
図4)を含む。かさ小歯車12は、第2の回転体4上のかさ歯車11とかみ合っている。他方、上平歯車13は、平小歯車19b(
図6)とかみ合っている。第3の回転体6を含むこの歯車伝達ラインが第2の伝達機構10を形成する。第2の伝達機構10によって第2のソケット9の回転を伝達して、軸Fに沿った回転Hに変えることができる(
図6)。この実施形態では、かさ小歯車12の歯数と上平歯車13の歯数を、この2つのリングシステムの相対サイズおよび回転要件に応じて別々に規定することができる。
【0034】
第2のソケット9は、第1のソケット7とちょうど同じように、入力トルクを発生させるさまざまなトルク発生装置を、機械的インタフェースを用いて受け取ることができる。ノブ19aおよび19bから入力された回転は、これらの2つの伝達ラインによって伝達されて、第2の回転体4の軸Fに沿った回転Hおよび軸Eに沿った旋回Iに変えられる。したがって、針ホルダインタフェース16に取り付けられた針ホルダは、軸EおよびFに沿って回転および旋回する。軸Eと軸Fは互いに
図3のピボット(pivot)Dのところで交差するため、針ホルダは、ピボットDにおいてピボット運動する遠隔運動中心(remote center of motion:RCM)に沿って移動する。RCMは、針を標的に誘導する医師の操作を、3次元空間内の2つの自由度でモデル化する。
【0035】
したがって、いくつかの実施態様では、第2のソケット9上または第2のソケット9内に、上で説明したノブと同様の
図6には示されていないノブを取り付けることができる。同様に、いくつかの実施態様では、第2のソケット9上に、
図6には示されていない第2のモータを取り付けることができる。このモータは、第1のモータに関して説明した原理と同じ原理に従うことができる。第2のモータは、適当な制御コマンドによって第2のソケット9を標的まで回転させる。
【0036】
ピボットDは、針状医療装置の皮膚進入点の近くに配置することができる。その結果として、針ホルダは、医師が予め計画した皮膚進入点を中心としたRCMに基づいて、針状医療装置を標的まで誘導することができる。動作に関して、この針状医療装置は、第1および第2のリング形回転ガイドを示す、米国特許第9,222,996号に記載された針配置マニピュレータと同様である。
【0037】
この実施形態では、特に、ツール配置マニピュレータが、面BとピボットDとの間にオフセットGを含む。オフセットGがあると、ツール配置マニピュレータが多数の針状医療装置を誘導するときに、ピボットDにおける針状医療装置どうしの衝突を防ぐことができる。第1の針状装置の挿入後に第2の針状装置を挿入するときには、第1の針状装置をピボットDから変位させることができる。オフセットGは、針状医療装置の直径に合った適当なサイズを有するように選択することができ、この実施形態では、このサイズが、針状医療装置の直径の数倍である。
【0038】
第1のソケット7および第2のソケット9の2つの回転角は、行列Aを用いた以下の計算を使用することによって、回転Hおよび旋回Iの2つの回転角にマップされる。
y=Ax (1)
上式で、xは、第1のソケット7および第2のソケット9の回転角ベクトル、yは、回転Hおよび旋回Iの回転角ベクトルである。すなわち、X=(θ
socket7,θ
socket9)
T、Y=(θ
H,θ
I)
Tである。
【0039】
行列Aは、以下のとおりである。
【数1】
係数aは、θ
Hとθ
socket7の回転比、係数bは、θ
Hとθ
socket9の回転比、係数cは、θ
Iとθ
socket7の回転比である。これらの係数は、ツール配置マニピュレータ内の歯数比(gear ratio)によって決定することができる。
【0040】
異なる回転比a、bおよびcを選択することにより、第1のソケット7と第2のソケット9の同じ回転速度で、第1の回転体1と第3の回転体6とを異なる速度で回転させることができる。したがって、角度分解能および標的誘導の所要時間の要件に合った回転比を選択することができる。
【0041】
(平小歯車19a/下平歯車14)と(平小歯車19b/上平歯車13)との間で回転比が同じ場合、下平歯車14と上平歯車13の同じ直径は同一の係数aおよびbを与える。したがって、最小の設置面積では、回転Xと回転Yとの間のマッピングの計算が単純になる。
【0042】
さらに、小歯車と歯車の間の歯の特定の組合せを回避するため、歯車の歯数と小歯車の歯数を、互いに割り切れない数とすることができる。割り切れない歯数にすると、伝達動作を通じて、異なる歯の組合せがかみ合う。
【0043】
回転角θ
Hは、第1のソケット7と第2のソケット9の両方および18bに関連するが、式(1)を使用することにより、第1のソケット7および第2のソケット9によって、2つの回転角θ
Hとθ
Iを独立してマップすることができる。さらに、行列Aの逆行列を用いると、逆に回転角θ
Hおよびθ
Iから、第1のソケット7および第2のソケット9の標的回転角を算出することができる。回転角θ
Hおよびθ
Iは、Songのツール配置マニピュレータの運動学(kinematics)を使用することにより、針ホルダの標的向きによって決定される[Song S,Tokuda J,Tuncali K,Yamada A,Torabi M,Hata N.,「Design Evaluation of a Double Ring RCM Mechanism for Robotic Needle Guidance in MRI−guided LiverI nterventions」,IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems(IROS),2013年11月3〜7日を参照されたい]。したがって、回転角θ
Hおよびθ
Iに関連した針ホルダの計画された目標位置に、ツール配置マニピュレータを制御することができる。
【0044】
第1のソケット7および/または第2のソケット9は、手動操作によってまたはモータによって回転させることができる。これらのソケットの位置は、可動部品の位置によって変化しない。これは、第1のソケット7および/または第2のソケット9が、安定した部品上、すなわち第1のリング形回転ガイド1上に位置するためである。さらに、可動部品を取り外す第1のソケット7および/または第2のソケット9の安定した位置は、ソケットへの困難な手動アクセス、または可動部品が位置を変化させたときのモータからのケーブルのもつれを回避することができる。したがって、このツール配置マニピュレータは、マニピュレータを制御する全く同じ使用性(usability)を提供することができる。
【0045】
このツール配置マニピュレータは、さらに、1つまたは複数のストッパを含むことができる。それらのストッパは、例えば、第1のソケット7および/または第2のソケット9に取り付けることができる。このストッパは、医師の操作による伝達機構の運動を止めるように構成されている。このストッパは、伝達機構をしっかりと保持することができ、さらに、必要ならばツールホルダの位置をロックすることもできる。例えば、針を挿入する場合、医師は、しばしば、ツールの位置が安定したままであることを必要とする。このストッパによって、このマニピュレータは、針の位置決めの正確さおよび精度を増大させることができる。
【0046】
さらに、このストッパは、伝達機構の機械的構造ならびに第1、第2および第3の回転体を、マニピュレータが運ばれているときまたはマニピュレータが偶然に落下したときの機械的衝撃から守ることができる。さらに、それぞれの回転体から離してストッパ位置を配置することができる。したがって、第1のソケット7および/または第2のソケット9は、医師によって容易にアクセスされるスポットにストッパを提供する。
【0047】
それに加えて、またはその代わりに、ツール配置マニピュレータが手動で制御されるときに、ツール配置マニピュレータは、リング形回転ガイドを位置決めした後に取り外すことができる取外し可能なノブを有することができる。この取外し可能な特性は、位置決めが完了した後にツール配置マニピュレータが回転することを防ぐという点で、追加の安全特徴を提供する。
【0048】
いくつかの実施形態では、ツール配置マニピュレータが多数のソケットをさらに含み、それらのソケットが全く同じ機能を有する。例えば、このツール配置マニピュレータは、2つの第1のソケット7および2つの第2のソケット9を、第1のリング形回転ガイド1上の異なる位置に有することができる。これらの冗長なソケットは、医師が、使用するソケットを、介入のワークフローに従って選択することを可能にする。したがって、このマニピュレータを、ドレープおよび他の装置ならびにケーブル/管を含むさまざまな介入設定と組み合わせることができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、ツール配置マニピュレータは、ストッパとモータを同時に含むことができる。したがって、このマニピュレータは、モータを用いて回転体を作動させた後に、ツールホルダをしっかりと保持することができる。
【0050】
この実施形態のマニピュレータは、歯車を使用してモータからそれぞれの回転体にトルクを伝達するため、このマニピュレータは、伝達機構のすべりなしで、ツールホルダを標的回転角まで回転させることができる。したがって、このマニピュレータは、針の位置の正確さおよび精度を向上させる。
【0051】
このツール配置マニピュレータは、1つまたは2つのモータおよびソケットを有することができる。この2つのソケットをこの2つのモータに対応させることによって(平小歯車を示している
図1を参照されたい)、マニピュレータは、角運動の2つの自由度でツールホルダを作動させることができる。したがって、このマニピュレータは、単一のモータを有するマニピュレータに比べて、ツールホルダを導くための所要時間を短縮し、目標位置までのツールホルダの軌道の長さを短くすることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、両方の回転体を操作するのに単一のモータが使用され、第1の伝達機構8と第2の伝達機構10の両方に単一のソケットが接続される。この単一のソケットは、直径の異なる2つの平小歯車を有することができ、適当な遊び歯車列を使用することにより、異なる伝達比で回転を伝達することができる。このマニピュレータは、1つのモータおよびソケットだけを含むため、小さな設置面積を有し、モータからのケーブルが少なくて済む。したがって、このマニピュレータでは、装着スポットの選択の幅がより大きくなり、医師が使用する空間がより広くなる。さらに、単一のモータを有するマニピュレータは、他のマニピュレータに比べて重量が軽いことがある。重量を軽くすることによって、マニピュレータが患者に装着されているときの患者の快適性を向上させることができる。単一のモータを有する実施形態に関して、第1の回転体と第3の回転体の間の異なる伝達比は、そのマニピュレータ内だけにおけるツールホルダの位置決め分解能を増大させる。したがって、回転位置の高い正確さ、したがって、特に、ツール配置の高い正確さを得ることができる。
【0053】
(実施形態2)
次に、
図7および
図8を参照して第2の実施形態を説明する。第1の実施形態の構成要素と同様の構成要素は同じ参照符号で示し、それらの構成要素の説明は省略する。第1の実施形態と異なる主な特徴は、以下の3点である。
【0054】
第1の点は、第3のリング形回転ガイドの位置である。この実施形態の第3のリング形回転ガイド5の位置は、第1のリング形回転ガイド1の上にある。第3の回転体6は、第3のリング形回転ガイド5の上に装着されている。第1の実施形態では第3の回転体5が第1の回転体2の上に積み重なっているが、この実施形態では第3の回転体6が第1の回転体2の外側を取り囲んでいる(
図8)。この構成にすると、ツール配置マニピュレータの高さを低くすることができる。したがって、このツール配置マニピュレータは、CTまたはMRIのようなイメージング装置のボア(bore)のようなより狭い空間に適用することができる。さらに、マニピュレータの高さが小さいことにより、医用イメージング装置のボアのサイズに対して適用可能な患者サイズを最大にすることができる。
【0055】
第2の点は、回転体間のトルクの伝達機構である。この実施形態では、トルクが、歯車の代わりに摩擦面によって伝達される。かさ摩擦面(bevel friction surface)20aおよび20b、上および下摩擦面21および22、駆動摩擦ホイール(driving friction wheel)23a、23bおよび23cが、摩擦を使用することによってトルクを伝達する(
図8および
図9)。第1の伝達機構8は、駆動摩擦ホイール23a、23bおよび下摩擦面22を含む(
図9)。他方、第2の伝達機構10は、駆動摩擦ホイール23cおよび上摩擦面21を含む(
図8)。歯車に比べて、摩擦面は、伝達構造を単純にすることができる。さらに、摩擦面は、歯車伝達機構の知られている欠点であるバックラッシュ(backlash)を、複雑な構成要素なしで潜在的に回避することができる。したがって、この実施形態は、製造コストを下げることができ、製造欠陥に対して装置をロバストにすることができる。
【0056】
第3の点は、第1のソケット7および第2のソケット9の構造である。この実施形態では、ソケットの機械的インタフェースの構造が小さな穴を含む。それらの穴はボス(boss)を受け取ることができ、トルク発生装置を小さな設置面積でしっかりと固定することができる。
【0057】
(組立ておよび用途)
このツール配置マニピュレータは、医師が挿入点を確認したり触ったりするための大きな開口を提供する。したがって、医師は、目視によってまたは皮膚に触れることによって、挿入が、事故なくうまく進んでいるかどうかを確認することができる。さらに、医師は、例えばアブレーション(ablation)中の皮膚の熱傷を防ぐために、患者の皮膚に治療を施すことができる。
【0058】
さらに、モータおよびさまざまなツール配置マニピュレータ、さらにはツール配置マニピュレータとともに使用されるツールを、モジュールとして互いに取り付けることができるようにすることで、このツール配置マニピュレータをモジュール式とすることもできる。このモジュール方式では、同じ電子部品およびモータをシステム内に含む適当なツール配置マニピュレータを、医師が選択することができる。このツール配置マニピュレータは例えば、異なるサイズまたは針の運動の異なる範囲とすることができる。
【0059】
さらに、ソケットは、患者に対して動かない第1のリング形回転ガイド上にのみ位置することができる(例えば
図5を参照されたい)。モータのケーブルも患者に対して動かない。したがって、それらのケーブルは、もつれさせることなく容易に取り扱うことができ、ケーブルを移動させるためのゆとり(slack)を必要としない。さらに、ケーブルは、医師がそこでツールを操作する部品、すなわちツールホルダから離れているため、このマニピュレータは、医師/ツールとケーブルとの間の機械的干渉を防ぐために安全性を増強させることができる。
【0060】
装置の同じ側にソケットがある実施形態では、マニピュレータを反転させることなく、モータをソケットに取り付けかつ/または取り外すことができる。このようにすると、医師は、介入の際にマニピュレータを患者に装着し固定した後に、任意選択で、ソケットからモータを取り外すことができる。したがって、このマニピュレータは、介入のワークフローでは作動させる必要がないときに偶発的に作動することを防ぐ追加の安全対策として、このオプションを提供することができる。
【0061】
さらに、ツールホルダおよび皮膚進入点からモータを離すことができる。したがって、このマニピュレータは、臨床的に興味深いスポットの医用画像に対する悪影響を最小化することができる。この悪影響は、例えば、モータが原因で生じる、アーチファクト、信号対雑音比の低下、画像の歪みなどである。特に、患者の医用画像を撮影する必要があるときに、モータを、構造体の残りの部分から取り外すことができる。したがって、このツール配置ロボットは、例えば経皮的アブレーションにおけるアブレーションエリアの確認スキャンの際に、モータによる画像の劣化を排除する。
【0062】
動作中、マニピュレータの周囲の局所環境は、介入ごとに異なる湿度および温度を含む可能性がある。歯車伝達機構は湿度に対して無感応であるため、このマニピュレータは、この局所環境で安定して動作することができる。
【0063】
ソケットを使用することによって、モータを、マニピュレータの残りの部分から取り外すことができる。したがって、患者に装着する部品は全て、電子工学上および作動上の機能を考慮せずに、広範囲の材料を含むことができる。この広範囲の材料の選択は、それらの部品を殺菌すること、およびそれらの部品を合理的なコストで使い捨てにすることを可能にする。
【0064】
さらに、患者に装着する全ての部品を、合理的なコストで頻繁に交換可能とすることができる。これは、本発明が、モータおよびツール配置マニピュレータを互いにモジュールとするためである。このモジュール方式は、同じ電子部品およびモータをシステム内に有する、キットまたは別個のツール配置マニピュレータの形成を可能にする。このツール配置マニピュレータは、異なるサイズまたは針の運動の異なる範囲とすることができる。
【0065】
マニピュレータを反転させることなくモータをソケットに取り付けかつ/または取り外すことができるような態様で、装置の同じ側にソケットがあるように、ツール配置マニピュレータを設計することができる。したがって、この設計は、モータを含むマニピュレータの容易な組立てを提供する。
【0066】
ミリメートル規模のシステムからより大きな規模のシステムまで、歯車および摩擦面を使用してトルクを伝達するため、このツール配置マニピュレータは、広範囲のサイズで製作することができる。したがって、このツール配置マニピュレータでは、広範囲の解剖学的構造に対して、その解剖学的構造に合った適当なサイズのものを使用することができる。
【0067】
本発明は、さらに、異なるサイズを有する多数のツール配置マニピュレータを含むキットを含む。この異なるサイズは、例えば、異なる患者サイズおよび患者に接着する潜在的な異なる位置に対して適当なサイズである。それらのツール配置マニピュレータは、それぞれ、サイズの異なるどのツール配置マニピュレータでも、同じツールまたは同じ一組のツール(例えば多数のアブレーション針)を使用することができるように構成されている。このキットは、さらに、第1のリング形回転ガイドのリング構造と同心に配置されるように適合された1つまたは複数のRFコイルを含むことができる。このキットは、使い捨ての部品を含むことができ、または使い捨て部品と殺菌可能な部品の組合せを含むことができる。
【0068】
このツール配置マニピュレータは、個々の介入ごとに別の無菌ドレープとともに使用することができる。いくつかの実施形態では、無菌ドレープが、このツール配置マニピュレータと一緒にパッケージとして配布される。
【0069】
いくつかの実施形態では、このツール配置マニピュレータが、自己潤滑性プラスチックを使用して形成される。自己潤滑性プラスチックは、歯車が運動する際に潤滑剤を必要とせず、保守を必要としない期間が長い。したがって、このツール配置マニピュレータは、患者の体表の無菌フィールドを汚染する危険性を低くし、介入の際に信頼性の高い動作を与える。さらに、このツール配置マニピュレータは、マニピュレータをパッケージから出した直後であっても変わらずに使用することができる。
【0070】
さらに、プラスチックの歯車を使用することによって、マニピュレータの重量を軽くすることができる。重量を軽くすることによって、マニピュレータが患者に装着されているときの患者の快適性を向上させることができる。
【0071】
さらに、プラスチックの歯車は、マニピュレータをMRIに適合させる。したがって、このマニピュレータは、MRI誘導介入に関してMRIと一緒に機能することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、特に、拡大縮小および個人化が可能な本発明の態様が実現される。例えば、脊柱付近、膝付近または肘に配置するなど、さまざまな用途のうちの1つまたは複数の用途に合わせて、ツール配置マニピュレータのサイズおよび設計を変更することができ、したがって、それぞれ脊柱、膝または肘にツールを配置することを可能にすることができる。このサイズ変更は例えば、患者の特質に基づいて必要なサイズを測定または推定し、次いでそれらの特質に基づいてツール配置マニピュレータを3D印刷することによって達成することができる。このことは特に、患者の体のサイズおよび形状が大幅に変動する部位での使用に有利である(例えば、指定された角度に曲げなければならない肘における使用。これは、はるかに大きくかつはるかに均一な腹部での使用とは対照的である)。
【実施例1】
【0073】
本発明に基づくツール配置マニピュレータを、3−Dプリンタを使用して製造した。第2のリングは、第1のリングに比して25度傾くように設計した。歯車直径は約100mmに設計し、歯車ピッチは約5mmに設計した。この実施例では、平(spur)/小歯車(pinion)に対する割り切れない値を71:16、かさ(bevel)/小歯車(pinion)に対する割り切れない値を71:59とした。
【0074】
このツール配置マニピュレータの試験を実施して、そのロボットの正確さ、ならびに、ツールホルダが第2の回転体に固定されている(取り付けられている)ときに、回転ガイドの回転によって、ツールホルダを正確な角度および位置に配置することができるような態様で2つのリングを回転させることができるのかどうかを判定した。
【0075】
実験計画
2つのリングの運動学的構造体(kinematic structure)の外側に位置する小歯車だけを使用することによって、この運動学的構造体を動作させることができるかどうかを評価するため、2つの小歯車を回転させることによる2つのリングの回転角を評価し、回転伝達係数(rotation transmission coefficient)、2つのリングの回転角の角誤差(angular error)を計算した。2つのリングの回転角の一元配置分散分析(one−way analysis of variance)を使用することによって、下リングの初期位置に対する2つのリングの回転角の依存性も調べた。
【0076】
回転角を測定するため、小歯車、上リングおよび下リングに物理的基準を取り付け、最小目盛り値0.25度でそれらの基準を観察した。小歯車1または2を、計画された入力回転角(360、720および1080度)だけ回転させることによって、上リングおよび下リングを手動で回転させた。その間、小歯車1または2のうちの残りの小歯車は固定した。両方の小歯車1および2について、それぞれの入力回転角の試行を5回繰り返し、これらの試行を、下リングの異なる初期位置(0、120および240度の位置)で3セット実行した。この測定の試行の総数は135であった。
【0077】
回転伝達係数。線形回帰を実行して、2つのリングと小歯車との間の実験に基づく回転伝達係数を計算し、小歯車の入力角に対する2つのリングの回転角の線形性を評価した。さらに、設計値からの回転伝達係数の誤差を算出し、全ての計算結果を表にまとめた。
【0078】
2つのリングの回転角の角誤差。式(¥ref{mapping})によって決定された回転角からの2つのリングの回転角の角誤差を算出して、2つのリングの回転角の正確さを評価した。これらの誤差を、それぞれの小歯車のそれぞれの入力角度の平均値および標準偏差とともに表にまとめた。
【0079】
2つのリングの回転角の依存性。下リングの初期位置に対する2つのリングの回転角の依存性を評価するため、下リングの初期位置を説明因子(explanatory factor)として使用することにより、2つのリングの回転角の一元配置分散分析を実行した。帰無仮説は、0.05未満のp値で棄却した。F値を、p値を用いた仮説検定の結果とともに表にまとめた。統計解析は、全て、R version 3.0.2(Foundation for Statistical Computing(オーストリア、ウィーン)。URL:http://www.R−project.org/)を使用することによって実行した。
【0080】
結果
回転伝達係数。2つの入力小歯車1(P1)および2(P2)を回転させることによって、2つのリングは、下リングの3つの全ての初期位置において、うまく回転した。上リングの回転伝達係数は、小歯車1の回転からは0.269、小歯車2の回転からは0.266であった(表1)。式(1)における測定値と設計値の間の誤差は、−0.78%および−2.01%であった。また、小歯車1の回転からの下リングの回転伝達係数は0.231、設計値からの誤差は2.70%であった。線形回帰に対する判定の係数(R
2値)は、3つの全ての係数で0.99よりも大きく、入力小歯車と出力リングの間の線形関係に対する良好な寄与を示した。
【表1】
【0081】
リングの回転の角誤差。上リングの角誤差は、小歯車1では、360、720および1080度の入力回転角で0.3±1.7度から−2.4±1.9度の範囲、小歯車2では同じ入力角度で1.7±1.1度から−6.8±2.0度の範囲にあった(表2)。また、下リングの角誤差は、1.8±1.9度から6.9±1.2度の範囲にあり、小歯車2を回転させたときの上リングの角誤差と同様の大きさであった。3つの全ての場合で、角誤差は、小歯車の入力回転角を増大させるにつれて、正または負の値に累積した。
【表2】
【0082】
2つのリングの回転角の一元配置分散分析。一元配置分散分析は、下リングの3つの異なる初期位置の間で、小歯車1の回転による下リングの回転角の有意差を導き出さなかった(表3)。他方、小歯車1または小歯車2の上リングの回転角の3つの条件のうちの2つの条件は、下リングの3つの初期位置の間で有意差があると結論された(p<0.05)。
【表3】
【0083】
2つのリングの運動学的構造体を歯車列に組み込むことによる画像誘導針挿入用の患者装着式の歯車付きロボットが提示される。この実験では、運動学的構造体の外側に位置する小歯車を制御することによって、および歯車列を通して回転を伝達することによって、2つのリングはうまく回転した。線形回帰は、回転伝達機構と設計された歯車列との間の線形関係を明らかにし、小歯車と2つのリングとの間の回転伝達機構の設計値からの誤差は3%以内であると判定された。したがって、小歯車の回転角を2つのリングの回転角にマップする式(1)の線形結合が、実験的に確認された。2つのリングの角誤差は、小歯車の回転を増大させるにつれて累積し、最大でもリングの回転の2.7%(下リングの243.4度の回転での−2.4度)であった。歯車の歯ピッチ(5mm)を3D印刷の分解能(0.18mm)と比較すると、この誤差は合理的と思われる。この分解能は、歯ピッチの約3%の誤差を提供すると推定される。この誤差を改善するため、異なる製造方法または機器を使用することができる。
【0084】
この例示的なツール配置マニピュレータの2つのリングの回転角の一元配置分散分析において、本発明の発明者は、上リングの動作が、下リングの初期位置に依存することを見出した。しかし、本発明者の設計では、入力小歯車ごとの上リングの回転角が、下リングのこれらの初期位置から独立しているべきである。この依存性はおそらく、回転中に軸受支え(bearing support)が上かさ歯車を移動させることに起因すると本発明者は予想した。上リングが回転すると、上かさ歯車が、その回転軸に沿って推力(thrust force)を受け、回転軸に沿った軸受支えの剛性が弱いと、上かさ歯車が移動する可能性がある。この移動によって、上かさ歯車と下かさ歯車の間の有効距離の誤差および上リングの回転角の誤差が生じる。3Dプリンタの比較的に劣等な製作公差に起因するロボットの部品の歪みにより、この移動は、下リングの位置を中心にして不規則に分布し、下リングの初期位置に対する上リングの回転角の依存性を生じさせる。製作公差および軸受支えの剛性の改良は、依存性を低下させるのに有用であり、正確な位置決めを増強すると予想される。
【0085】
本明細書に記載されたツール配置マニピュレータは、モータと、外科手術エリアの近くに位置する運動学的構造体との間の分離を可能にする。この分離は、患者から安全な距離だけ離れた位置にモータを配置することを可能にする。さらに、この分離は、無菌部品としての運動学的構造体と再使用可能な非無菌部品としてのモータとを区別することにより、このロボットで無菌フィールドをうまく管理することを可能にする。さらに、この運動学的構造体は潜在的に、低コストの材料を用いることにより使い捨てにできる。
【0086】
このように、外部小歯車を含む歯車列を使用することによって、2つのリングの運動学的構造体を動作させた。この運動学的構造体は、制御のために、回転伝達比の線形結合が、小歯車の回転角を2つのリングの回転角にマップすることができることを示した。
【0087】
この説明を参照するに際しては、開示した例を完全に理解することができるように、具体的な詳細を記載した。他の例では、本開示が不必要に長くならないように、周知の方法、手順、構成要素および回路については詳細な説明は省略した。
【0088】
本明細書で、1つの要素もしくは部分が、別の要素もしくは部分「上にある」、「に当たっている」、「に接続されている」もしくは「に結合されている」と記載されている場合、その要素もしくは部分は、直接にその別の要素もしくは部分「上にあり」、「に当たっており」、「に接続されており」もしくは「に結合されている」ことができ、または介在要素もしくは介在部分が存在してもよいことを理解すべきである。反対に、1つの要素が、別の要素または部分「上に直接にある」、「に直接に接続されている」、または「に直接に結合されている」と記載されている場合、介在要素または介在部分は存在しない。用語「および/または」が使用されているとき、この用語は、記載された関連アイテムのうちの1つまたは複数のアイテムの全ての組合せを含む。
【0089】
本明細書では、説明を容易にするため、さまざまな図に示されている1つの要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係を記述するために、「の下(under)」、「の下方(beneath)」、「よりも下(below)」、「下部(lower)」、「よりも上(above)」、「上部(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」などの空間に関する相対的な用語が使用されていることがある。しかしながら、空間に関するこれらの相対的な用語は、図に示された向きに加えて、装置の使用または操作の異なる向きを包含することが意図されていることを理解すべきである。例えば、図に示された装置が裏返された場合、別の要素または別の特徴の「下方に」あるまたは「下に」にあると記載された要素は、その別の要素「よりも上」になることになる。したがって、「よりも下」などの空間に関する相対的な用語は、上と下の両方の向きを包含し得る。これとは異なる向き(90度回転させた向きまたはその他の向き)に装置が配置されることもあり、その場合、本明細書で使用される空間に関する相対的な用語はそれに応じて解釈されるべきである。同様に、空間に関する相対的な用語「近位」と「遠位」も、適用可能な場合には相互に交換可能である。
【0090】
本明細書では、第1の、第2の、第3のなどの用語が、さまざまな要素、構成要素、領域、部分および/またはセクションを記述するために使用されることがある。これらの用語によってこれらの要素、構成要素、領域、部分および/またはセクションが制限されることはないことを理解すべきである。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、部分またはセクションを別の領域、部分またはセクションから区別するためだけに使用されている。したがって、以下で論じる第1の要素、構成要素、領域、部分またはセクションが、本明細書の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、部分またはセクションと呼ばれることもある。
【0091】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記述することだけが目的であり、それらの用語が、特定の実施形態を限定することは意図されていない。文脈からそうではないことが明らかでない限り、本明細書で使用されるとき、単数形の「a」、「an」および「the」は、複数形も含むことが意図されている。本明細書で使用されるとき用語「含む(includes)」および/または「含む(including)」は、明示された特徴、完全体(integer)、ステップ、操作、要素および/または構成要素の存在を指定するが、明示されていない1つまたは複数の他の特徴、完全体、ステップ、操作、要素、構成要素および/またはこれらのグループの存在または追加を排除しないことも理解すべきである。
【0092】
図面に示された例示的な実施形態を説明する際には、分かりやすくするために特定の用語が使用される。しかしながら、本特許明細書の開示が、選択された特定の用語に限定されることは意図されておらず、特定の要素はそれぞれ、同様の方式で機能する全ての技術等価物を含むことを理解すべきである。
【0093】
例示的な実施形態を参照して本開示を説明してきたが、本開示は、開示された例示的な実施形態だけに限定されないことを理解されたい。このような全ての変更ならびに等価の構造および機能を包含するように、以下の特許請求の範囲には最も広い解釈が与えられる。