(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記撮影調整部による調整に関わらず、前記画像パラメータが前記目標値に収束しない場合、前記画像パラメータの収束を判定するために用いる前記目標値からの許容範囲を広げることを特徴とする請求項1の眼科装置。
前記制御手段は、前記画像パラメータが前記目標値に収束しない場合、前記画像パラメータの収束を判定するために用いる前記目標値に関わらず、所定時間または連続で一定の画像パラメータが得られた場合に収束したと判定する請求項1の眼科装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<概要>
本実施例の眼科装置の概要を
図1〜6に基づいて説明する。本実施例の眼科装置(例えば眼科装置100)は、例えば、被検眼を撮影することによって、被検眼の画像を取得する。眼科装置としては、例えば、細隙灯顕微鏡,眼底カメラ等が挙げられる。
【0010】
眼科装置は、例えば、観察光学系(例えば顕微鏡ユニット70)と,制御部(例えば、制御部85,制御部385)を主に備える。観察光学系は、例えば、被検眼を観察するために設けられる。制御部は、例えば、観察光学系の少なくとも一部に配置された撮像部(例えば、カメラ80)によって取得される画像の画像パラメータを監視する。そして、画像パラメータが目標値に収束したと判定された場合、画像を記憶部(例えば、メモリ83、メモリ383など)に記憶させる。ここで、画像パラメータとは、例えば、画像の輝度,コントラスト,シャープネス,色の濃さ等のことである。
【0011】
本実施例の眼科装置のように、制御部によって画像パラメータが目標値に収束するまで監視させることによって、画質の安定した画像を取得することができる。
【0012】
なお、制御部は、撮像部に接続されてもよい。この場合、撮像部と制御部は、無線又は有線によって電気的に接続され、電気的接続を介して、撮像部から出力された画像が制御部に入力される。もちろん、撮像部と制御部の間に回路等の構成が介在されてもよい。
【0013】
また、制御部は、撮影部から出力される画像の画像パラメータを監視し、画像パラメータが目標値に収束したか否かを判定する判定処理を行うようにしてもよい。この場合、制御部は、上記判定処理によってパラメータが目標値に収束したと判定された場合、そのように判定された画像、又はパラメータが目標値に収束したと判定された後に取得された画像を、記憶部に記憶させる。
【0014】
また、制御部は、検者によって操作される撮影開始スイッチからの信号をトリガとして、画像パラメータの監視を開始し、その後、画像パラメータが目標値に収束したと判定された場合、画像を記憶部に記憶させてもよい。
【0015】
なお、上記処理において、判定処理によってパラメータが目標値に収束したと判定されなかった場合、そのように判定された画像は、記憶部に記憶されず、破棄されてもよい。また、パラメータが目標値に収束したと判定されなかった画像について、記憶部に一時的に記憶されてもよく、その場合、何らかの入力信号(例えば、被検者を変更するための操作信号)をトリガとして、一時的に記憶された画像が破棄される構成であってもよい。
【0016】
さらに、撮影部は、撮像素子(例えば撮像素子81)と、撮影調整部(たとえば制御部85,制御部385など)とを備えてもよい。撮影調整部は、被検眼を撮影する際の撮像素子のシャッター速度および撮像素子からの出力信号のゲインおよび絞り値の少なくともいずれかを調整してもよい。この場合、制御部は、画像調整部による調整を介して、調整された画像の画像パラメータを監視してもよい。
【0017】
なお、撮影調整部は、画像の画像パラメータに基づいて制御されてもよい。また、撮影調整部は、画像パラメータが目標値に収束するように、シャッター速度及びゲイン及び絞り値の少なくともいずれかが自動的に調整されてもよい。
【0018】
撮影調整部は、撮像部によって取得される画像の解像度を切り換えるための指令信号が、制御部によって撮影部に送信された場合、画像パラメータが目標値に収束するように、シャッター速度及びゲイン及び絞り値の少なくともいずれかを自動的に調整してもよい。そして制御部は、撮影調整部によって目標値に収束するように調整される画像パラメータの変化を監視してもよい。この場合、目標値は、解像度の変更に合わせて設定されてもよい。
【0019】
なお、制御部は、撮像部によって取得された画像の画像パラメータを少なくとも2回以上監視し、画像パラメータが連続で目標値の許容範囲内にあった場合、画像パラメータが目標値に収束したと判定してもよい。なお、制御部は、所定時間間隔ごとに監視し、画像パラメータが所定回数連続で目標値の許容範囲内にあった場合に、画像パラメータが目標値に収束したと判定してもよい。
【0020】
なお、制御部は、撮影調整部による調整に関わらず、撮像部によって取得された画像の画像パラメータが目標値に収束しない場合、画像パラメータの収束を判定するために用いる目標値からの許容範囲を広げてもよい。
【0021】
なお、制御部は、撮像部によって取得された画像の画像パラメータが目標値に収束しない場合、画像パラメータの収束を判定する判定時間を短くしてもよい。さらに制御部は、撮影部によって取得された画像の画像パラメータが目標値に収束しない場合、目標値に関わらず、所定時間または連続して一定の輝度が得られた場合に収束したと判定してもよい。なお、一定の輝度とは、厳密に一定でなくてもよく、同程度の輝度であればよい。上記のようにすれば、例えば、撮像部によって限界まで輝度を大きくしても目標値に届かなかった場合に撮影を行うことができる。これによって、例えば、絞り値,シャッタースピード,ゲインを調整し、輝度を最大まで大きくしたにも関わらず、目標値に届かずに撮影が行われないことを抑制できる。例えば、平均輝度が250ms(50ms×5回)の間に、輝度が所定の範囲に収まっていれば画像の保存を行ってもよい。
【0022】
なお、眼科装置は、撮影条件を設定する撮影条件設定部(例えば、操作部322,制御部385,制御部85など)をさらに備えてもよい。この場合、制御部は、撮影条件設定部によって設定された撮影条件に基づいて、画像パラメータを監視するときの画像の領域を変更してもよい。例えば、前眼部,眼底,瞳孔など、各撮影領域に関して画像パラメータの監視領域を大きく、または小さくしてもよい。これによって、撮影条件に適した輝度の画像を取得することができる。
【0023】
また、制御部は、撮影条件設定部によって設定された撮影条件に基づいて、前記画像パラメータを監視するときの前記画像の領域を変更してもよい。
【0024】
なお、制御部は、撮影条件設定部によって撮影された撮影条件に基づいて、画像パラメータの収束を判定するために用いる前記目標値を変更してもよい。例えば前眼部と眼底部の画像では輝度が異なるため、目標値を変更することによって、それぞれの撮影部位に適した輝度の画像を取得することができる。
【0025】
なお、眼科装置は、スリット光を被検眼に照射するスリット光学系を備える細隙灯顕微鏡であってもよい。また、眼科装置は、光源からの光を被検眼の眼底に照射する照射光学系を備え、眼底からの反射光を撮像部によって撮影する眼底カメラであってもよい。
【0026】
なお、撮影部は、観察光学系に対して着脱可能であってもよい。例えば、撮影部は、市販のカメラであってもよい。
【0027】
なお、眼科装置は、通信部を介して情報処理装置(例えば、PC300)と接続されてもよい。通信部は、例えば、撮影部によって取得された画像を外部に送信できる。眼科装置は、情報処理装置と接続されることによって、眼科システムとして機能してもよい。情報処理装置は、表示制御部を備えてもよい。表示制御部は、例えば、通信部を介して送信された画像を表示部に表示させてもよい。
【0028】
<実施例>
以下、本開示に係る眼科装置の実施例を図面に基づいて説明する。ここでは眼科装置として細隙灯顕微鏡(以下、スリットランプともいう)を例に挙げて説明する。スリットランプは、例えば、被検眼の前眼部,眼底等を観察するための装置であり、被検眼の観察画像を撮影することもできる。
【0029】
図1に示すように、眼科装置100は、例えば、パーソナルコンピュータ(以下、PCと略す)300と通信部2を介して接続されている。PC300は、例えば撮影に関する各種設定等を行える。PC300は、例えば、制御部385、メモリ383、表示部387、操作部322等を備えてもよい。通信部2による接続は、例えば、USBケーブル等の有線接続であってもよいし、Wi-Fi等の無線接続であってもよい。
【0030】
眼科装置100は、顔支持ユニット100aと本体100bに大別される。顔支持ユニット100aは、被検者の顔を支持する額当て11と、あごを支持する顎台12を備える。顔支持ユニット100aは、2本の支柱13を介してテーブル1に固定されている。本体100bは、可動部200bと、固定部200aを有する。可動部200bは、テーブル1に対して上下方向の高さ位置が調整される。固定部200aは、可動部200bを支持する。可動部200bの筐体内には、照明ユニット60、顕微鏡ユニット(観察・撮影ユニット)70、眼科装置100全体の動作制御をする制御部85が設けられる。固定部200aの筐体内には、眼Eに対して可動部200bを上下移動させるための上下移動機構200が設けられる。
【0031】
照明ユニット60は、被検者眼Eの観察部位を照明する。照明ユニット60は、例えば、可視光源61、コンデンサレンズ62、可変アパーチャ63、可変スリット64、投影レンズ65、プリズムミラー66を備える。光源61からの光束(可視光)は、コンデンサレンズ62を透過して可変アパーチャ63及び可変スリット64を照明する。アパーチャ63及びスリット64を通過した光束は、投影レンズ65を透過してプリズムミラー66で反射され、眼Eに投射される。なお可視光源61には、ハロゲンランプ、LED等周知のものが使用される。
【0032】
なお、照明ユニット60のスリット64と投影レンズ65の間には、例えばブルーフィルタ(青色の透過フィルタ)90が挿脱可能に設けられてもよい。ブルーフィルタ90には、例えば470〜500nmの青色の可視光を透過するものが使用される。特定の波長帯域(青色)を透過するフィルタが使用されることで、励起光により患部が強調された画像が取得される。また、ブルーフィルタ90が光路中に挿入されたとき、フィルタ90の挿入を検知可能な位置には、位置センサー91が設けられる。例えば、センサー91にはフォトインタラプタ等の光学素子、スイッチ等の周知の位置検出素子が用いられる。なお、ブルーフィルタ90は照明光学系の光路中に配置されれば良く、光路中の
図2に示される位置以外に配置されても良い。
【0033】
顕微鏡ユニット70は、例えば、対物レンズ71、変倍光学系72、ハーフミラー73、結像レンズ74、正立プリズム75、視野絞り76、接眼レンズ77を備える。眼Eで反射された光束は、対物レンズ71、変倍光学系72、ハーフミラー73、結像レンズ74を透過して、正立プリズム75で反射される。プリズム75で反射された光束は、視野絞り76、接眼レンズ77を透過して、検者の眼Fに入射する。
【0034】
ハーフミラー73で反射された光束は、リレーレンズ78,可変絞り79を通過してカメラ80に入射する。可変絞り79は、例えば、駆動部79aを備え、開口の大きさを変更できてもよい。例えば制御部85は、駆動部79aの駆動を制御して可変絞り79の開口の大きさを変更することによって、カメラ80の絞り値を変更してもよい。なお、カメラ80の絞り値とは、例えば、レンズを通って撮像素子上に写る像の明るさのことである。例えば、絞り値を大きくするとは、可変絞り79が絞られて光量が少なくなる。また、例えば、絞り値を小さくすると、可変絞り79が開かれて光量が多くなる。
【0035】
なおカメラ80には、可視光に感度を持つ撮像素子(例えば、CCD)81等を備えた周知のデジタルカメラ等が使用される。制御部85は後述するスイッチ22bからの指令信号に基づき撮像素子81の撮影画像を取り込み、表示部87に表示させる。
【0036】
固定部200aの上下移動機構200は、テーブル1に固定されたベース21と、ベース21に対してスライド可能に設けられた筐体21aと、筐体21a内に設置されその一部が筐体21aの図示を略す開口を介して外側に現れる操作部材であるジョイスティック22と、筐体21a内に設置された駆動部50を備える。
【0037】
ジョイスティック22は、検者に把持されて回転操作されるグリップ(回転部)22aと、撮影(画像取得)のトリガ信号を入力するスイッチ22bと、ジョイスティック22を略鉛直方向(Y方向)に挿通するシャフト(支持部材)22cと、グリップ22aの回転角度を検知する周知のロータリーエンコーダ(不図示)から構成される。
【0038】
駆動部50は、筐体21aに固定されモータ51と、モータ51の回転を検知する駆動検出部であるセンサー56を持つ(
図2参照)。モータ51の回転は、図示無きネジ機構に伝達されるようになっており、ネジ機構の駆動によって可動部200b全体が固定部200aに対して上下に移動される。
【0039】
以上の構成により、検者の操作でジョイスティック22が水平方向(前後左右方向)にスライドされると、周知のスライド機構によって、眼Eに対して本体100bが水平方向に移動する。一方、グリップ22aがシャフト22bを軸として水平方向に回転されると、図示無きエンコーダによってその回転方向及び回転速度等が検知される。制御部85は図示無きエンコーダからの出力信号に基づき、後述するメモリ83に記憶されたグリップ22aの回転量とモータ51の回転量の対応関係に基づき、モータ51の回転を制御する。制御部85の駆動制御でモータ51が回転すると、図示無きネジ機構によって可動部200b全体が上下に移動される。
【0040】
制御部85は装置全体の駆動制御をする。制御部85には上述のグリップ22a、スイッチ22b、モータ51、撮像素子81、モニタ87、センサー91、メモリ83、PC300等が接続される。
【0041】
制御部85は、撮像素子81の検出結果に基づいて、絞り値、シャッタースピード調整及びゲインコントロールを自動で行うことによって、AE(Auto Exposure = 自動露出)機能を実行することができる。これによって、撮像素子81によって撮影される画像の輝度値を調整できる。なお、シャッターや可変絞りを備えていない場合、例えば制御部85は、撮像素子81から出力される信号の読み取り時間を調整することによってシャッタースピードを調整してもよいし、撮像素子81の各画素から出力される信号のゲインを調整してもよい。例えば制御部85は、画像の輝度値を上げるためにシャッタースピードを遅くする場合、撮像素子81から出力される信号の読み取り時間を長くする。これによって、露光時間が長い場合と同様の状態になり、画像の輝度を大きくすることができる。逆に、制御部85は、画像の輝度値を下げるためにシャッタースピードを速くする場合、撮影素子81から出力される信号の読み取り時間を短くする。これによって、露光時間が短い場合と同様の状態になり、画像の輝度を小さくすることができる。
【0042】
さらに、制御部85は、撮像素子81から出力される信号のゲインを高く調整することで画像の輝度を大きくすることができ、逆にゲインを低く調整することによって、画像の輝度を小さくすることができる。
【0043】
<パーソナルコンピュータ>
PC300上では専用アプリケーション(以下、アプリと略す場合がある)が動作し、カメラパラメータ(例えばシャッタースピード,ゲイン,シャープネス,コントラスト,色の濃さ,AE機能等)、撮影条件(例えば解像度,ファイル種類等)の設定や、ライブ画像の表示、静止画像の撮影等を行えるようになっている。例えば、
図3に示す表示画面の例では、ライブ画像331,静止画像のサムネイル332,ライブ画像サイズ変更ボタン333,静止画像サイズ変更ボタン334,カメラパラメータの設定を行うためのカメラ設定ボタン群335,AE機能のオン・オフを切り替えるAE設定ボタン336等が表示される。例えば、検者は表示部387でライブ画像を確認しながら、観察像に合わせカメラパラメータを調整するためにカメラ設定ボタン群335操作する。制御部385は、例えばカメラ設定ボタン群335への操作に基づいてカメラパラメータを変更し、それらの情報を即座にカメラ80へ通知する。これらのカメラパラメータの変更はライブ表示に反映される。
【0044】
なお、本実施例においてAE機能がオンになっている場合、カメラ80のシャッタースピードとゲインは自動で調整されるため、例えばカメラ設定ボタン群335のシャッタースピード変更ボタン335aと、ゲイン変更ボタン335bは無効となり、操作できなくなる。
【0045】
なお、カメラ80に指示できる出力画像の解像度は一つのみである。このため、ライブ画像の解像度と静止画像の解像度の設定が異なる状態で撮影開始操作(例えばスイッチ22bの操作)が行われた場合、制御部385はカメラ80に対して解像度の切り替えコマンドを出力する。
【0046】
この時、AE機能がオンになっていると、カメラ80は解像度の切り替えと同時にAE制御(絞り値調整,シャッタースピード調整,ゲインコントロール)を始めから開始する。例えば、カメラ80のAE制御によって調整された絞り値,シャッタースピード,ゲインでライブ画像の撮影を行っているとする。このときに解像度の切り換えコマンドを受け取った場合、例えば制御部85は、絞り値,シャッタースピード,ゲインの少なくともいずれかを初期値に戻して撮影を開始し、受光量を増やすために絞り値を小さくし、シャッタースピードを徐々に遅くし、さらにゲインを増幅させる。被写体の輝度、画像の解像度、AE制御の設定等の条件によるが、AE制御が開始されてから出力画像の輝度が安定(収束)するまでの時間は0.1〜1.5秒程度のばらつきがある。
【0047】
撮影開始操作の実施後、制御部385はカメラ80からの画像出力を基に実際に記録(撮影)する静止画像を選定する。このとき、上記のようにAE機能がオンになっていると、AE制御がライブ画像撮影時と静止画像撮影時とで切り替わり、輝度が安定するまでの時間にばらつきが生じる。したがって、選定のタイミングがAE制御の完了する前であった場合、輝度が安定していない画像が記録されてしまう。そこで、本実施例の眼科装置100は、輝度(例えば画像全体の平均輝度)をモニタリングし、輝度が安定するのを待って記録を行う。
【0048】
<制御動作>
以下、上記のような眼科装置100において、ライブ画像と静止画像とで解像度の設定が異なり、AE機能がオンである場合に被検眼を撮影するときの撮影動作を
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0049】
まず検者は、眼科装置100で被検眼(前眼部,眼底など)を観察する。制御部385は、カメラ80で撮像された観察像を通信部2によってリアルタイムで受信し、表示部387でライブ画像として表示する(ステップ1)。なお、カメラ80は、ライブ画像を撮影する場合もAE制御を行い、画像の輝度を自動で調整する。
【0050】
検者は被検眼の静止画像を撮影する場合、眼科装置100のジョイスティック上に配置されたスイッチ22bを押す。スイッチ22bが押されると、制御部85はPC300の制御部385へレリーズ信号を送信する。制御部385はレリーズ信号を受信すると(ステップ2)、撮影処理を開始する。制御部385はライブ表示を停止し(ステップ3)、カメラ80に静止画像の解像度を通知する(ステップ4)。なお、本実施例のステップ4においては、ライブ画像とは異なる静止画の解像度をカメラ80に通知する。
【0051】
<AEコントロール>
カメラ80は撮影する静止画像の解像度を受信すると、AE機能による輝度の制御を一から開始する。通常、スリットランプでの観察像は暗いため、制御部85はまず絞り値を小さくし、受光量を増やす。絞り値を最大限小さくしても輝度が目標レベル(AE目標値)に達しなかった場合、制御部85は、カメラ80のシャッタースピードを遅くし、受光量を増やす。シャッタースピードを最大限遅くしても輝度がAE目標値に達しなかった場合、制御部85は撮像素子81から出力される信号のゲインを上昇させる。ここで、AE目標値とは、カメラ80に予め設定された輝度値であり、検者の操作によって値を変更できてもよい。上記のようなAE制御によって、出力輝度がAE目標値に達するまでの時間は、被写体の輝度、AE目標値設定、ゲイン設定等によるが、0.1〜1.5秒程度のばらつきがある。
【0052】
<輝度のモニタリング>
制御部385はステップ4において制御部85に静止画像の解像度を通知した後、所定の時間間隔(画像の解像度によるが、例えば50〜250ms)で、カメラ80に画像全体の平均輝度を問い合わせ(サンプリング)を行う(ステップ5)。ここで、画像全体の平均輝度とは、例えば、撮像素子81の各画素から出力された信号に基づいて算出された輝度値を、すべての画素に関して平均した平均値である。
【0053】
制御部385は、サンプリングした画像全体の平均輝度情報を基に、AE制御による輝度変化の収束を判定する(ステップ6)。例えば、
図5に示すように、サンプリングした画像全体の平均輝度が250ms(50ms×5回)の間に、AE輝度収束目標値から±20の範囲に収まるという条件を満たした場合に輝度変化が収束したと判定する。
【0054】
<撮影>
制御部385は、画像の輝度変化が収束したと判定した場合、カメラ80から送信される静止画像を即座に所定の形式でメモリ383等に保存する(ステップ7)。なお、制御部385は、撮影された静止画像を表示部387上に表示してもよい(ステップ8)。これによって、検者は撮影された静止画像を確認できる。
【0055】
以上のように、画像の輝度が安定してから静止画像の取得を行うことによって、静止画像の輝度がばらつくことが低減され、良好な画像が自動で記憶される。したがって、検者は、撮影された静止画を確認して良否を判断したり、撮り直しを行ったりすることを低減できる。
【0056】
さらに、輝度をモニタリングすることによって、瞬き中の画像を記録しないようにすることができる。例えば、輝度収束の判定条件を制限し、瞬き中の画像が条件を満たさないようにしてもよい。例えば、
図6に示すように、瞬きによって上昇する輝度値が範囲外になるように、AE目標値の範囲を設定してもよい。
【0057】
なお、ライブ画像の解像度と静止画像の解像度の設定が異なり、AE機能がオンである場合について説明したが、ライブ画像の解像度と静止画像の解像度の設定が同じ場合、またはAE機能がオフの場合でも、制御部385で輝度変化をモニタリングすることによって、瞬き中に静止画像が撮影される可能性を低くすることができる。
【0058】
なお、画像全体の平均輝度をモニタリングする場合について説明したが、制御部385は撮影部位(前眼部、眼底)や撮影画像に合わせモニタリング領域を設定してもよい。さらに、制御部385は平均輝度ではなく単位時間あたりの輝度変化量をモニタリングしてもよい。このように、単位時間あたりの輝度変化量をモニタリングすれば、瞬きだけでなく瞳孔の静止状態も判定できる。
【0059】
なお、制御部385は、静止画像の撮影部位(例えば、前眼部、眼底)、撮影条件(照明輝度、色の濃さ等のカメラパラメータ)などによって、輝度変化が収束したと判定する条件を変更してもよい。例えば、制御部385は、AE目標値、輝度変化の許容誤差、モニタリングする画像の位置,領域等の判定条件を変更してもよい。
【0060】
なお、被検眼に点眼剤(蛍光剤)を点眼し、フィルタ90を配置した状態で被検眼を撮影する場合、制御部385は、輝度変化収束の判定条件を変更してもよい。この場合、センサー91の検知信号が検知されると、制御部85は蛍光撮影モードを認識し、制御部385に通知する。そして制御部385は、蛍光撮影モードに適した判定条件に自動的に切り換える。例えば、蛍光撮影モードの場合、通常撮影モードに比べてAE目標値を低く変更してもよい。
【0061】
なお、被検眼によっては、疾病等の影響によって輝度変化収束の判定条件を満たさない可能性がある。このような場合、制御部385は、輝度変化収束の判定条件を変更してもよい。例えば、輝度のモニタリング時間が所定時間を超えた場合、制御部385は、輝度変化の許容誤差を大きくしてもよい。これによって、疾病、撮影環境等によって輝度が収束し難い場合であっても、より輝度の安定した画像を撮影することができる。もちろん、制御部385は、輝度のモニタリング時間が所定時間を超えた場合、輝度収束の判定時間を短くしてもよい。例えば、上記の例では、サンプリングした画像全体の平均輝度が250ms(50ms×5回)の間に、AE輝度収束目標値から±20の範囲に収まるか否かを判定していたが、200ms(50ms×4回)の間で判定を行うようにしてもよい。
【0062】
なお、制御部385は、画像の輝度が変化せず、所定時間または所定回数連続で一定の輝度値が検出された場合、輝度が収束したと判定し、画像を記憶してもよい。
【0063】
なお、以上の説明において、ライブ画像と静止画像の解像度が異なる場合について説明したが、これに限らない。例えば、記録する動画,静止画等の解像度を変更した直後は、AE機能が一から働き輝度が変化する。このため、上記のように、制御部385は、画像の輝度をモニタリングすることによって、撮影タイミングを決定してもよい。
【0064】
なお、以上の説明において、眼科装置100はPC300と接続され、PC300の制御部385によって輝度値のモニタリングが行われるとしたが、これに限らない。眼科装置100の制御部85が上記のように輝度値のモニタリングを行い、輝度値が収束したか否かを判定してもよい。また、カメラ80の図示無き制御部がカメラのAEコントロールおよび撮影画像の輝度値のモニタリングの少なくともいずれかを行い、輝度が収束したか否かを判定してもよい。
【0065】
また、以上の説明において、眼科装置100はPC300と通信部を介して接続されているとしたが、眼科装置100はPC300と一体化した装置であってもよい。
【0066】
なお、カメラ80はシャッターまたは可変絞り等を備えてもよい。この場合、制御部85はシャッターまたは可変絞りの駆動を制御することによって機械的にAE機能を働かせてもよい。また、カメラ80は汎用品が用いられてもよい。
【0067】
なお、以上の説明では眼科装置100の例としてスリットランプを挙げたが、スリットランプに限らない。例えば、被検眼の眼底を撮影するための眼底カメラであってもよい。例えば、眼底のライブ画像と静止画像との解像度が異なる場合、AE機能による輝度変化をモニタリングし、輝度変化が収束したタイミングで静止画像の記録を行ってもよい。