(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属磁性板は、鉄(Fe)、珪素(Si)、ホウ素(B)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニオビウム(Nb)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含む、請求項1から13のいずれか1項に記載のチップ電子部品。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0010】
以下、本発明の一実施形態によるチップ電子部品を説明するにあたり、特に、薄膜型インダクタを例に挙げて説明するが、これに制限されない。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態によるチップ電子部品の内部コイル部を示す概略斜視図である。
【0012】
図1を参照すると、チップ電子部品の一例として電源供給回路の電源ラインに用いられる薄膜型インダクタが開示される。
【0013】
本発明の一実施形態によるチップ電子部品100は、磁性体本体50と、磁性体本体50の内部に埋め込まれた内部コイル部41、42と、磁性体本体50の外側に配置されて内部コイル部41、42と連結された第1及び第2の外部電極81、82と、を含む。
【0014】
本発明の一実施形態によるチップ電子部品100において、「長さ」方向は
図1の「L」方向、「幅」方向は「W」方向、「厚さ」方向は「T」方向である。
【0015】
本発明の一実施形態によるチップ電子部品100は、絶縁基板20の一面に平面コイル状の第1の内部コイル部41が形成され、絶縁基板20の一面と対向する他面に平面コイル状の第2の内部コイル部42が形成される。
【0016】
第1及び第2の内部コイル部41、42は、絶縁基板20上に電気メッキを施して形成されることができるが、これに制限されない。
【0017】
第1及び第2の内部コイル部41、42は、スパイラル(spiral)状に形成され、絶縁基板20の一面と他面に形成された第1及び第2の内部コイル部41、42は、絶縁基板20を貫通して形成されるビア(図示せず)を介して電気的に接続される。
【0018】
第1及び第2の内部コイル部41、42とビアは、電気伝導性に優れた金属を含んで形成され、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)又はこれらの合金などで形成されることができる。
【0019】
第1及び第2の内部コイル部41、42は、絶縁膜(図示せず)で被覆され、磁性体本体50をなす磁性材料と直接接触しない。
【0020】
絶縁基板20は、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板又は金属系軟磁性基板などで形成される。
【0021】
絶縁基板20の中央部は貫通されて貫通ホールを形成し、上記貫通ホールは磁性材料で充填されてコア部55を形成する。磁性材料で充填されるコア部55を形成することによりインダクタンス(L)を向上させることができる。
【0022】
但し、絶縁基板20が必ずしも含まれる必要はなく、絶縁基板を含むことなく金属ワイヤ(wire)で内部コイル部を形成してもよい。
【0023】
絶縁基板20の一面に形成された第1の内部コイル部41の一端部は磁性体本体50の長さ(L)方向の一端面に露出し、絶縁基板20の他面に形成された第2の内部コイル部42の一端部は磁性体本体50の長さ(L)方向の他端面に露出する。
【0024】
但し、これに制限されず、第1及び第2の内部コイル部41、42のそれぞれの一端部は、磁性体本体50の少なくとも一面に露出してもよい。
【0025】
磁性体本体50の端面に露出する第1及び第2の内部コイル部41、42のそれぞれと接続するように、磁性体本体50の外側に第1及び第2の外部電極81、82が形成される。
【0026】
第1及び第2の外部電極81、82は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成され、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)又はスズ(Sn)などの単独又はこれらの合金などで形成されることができる。
【0027】
図2は、
図1のI−I'線に沿う断面図であり、
図3は、
図1のII−II'線に沿う断面図である。
【0028】
図2及び
図3を参照すると、本発明の一実施形態によるチップ電子部品100の磁性体本体50は、金属磁性体粉末51を含む。但し、これに制限されず、磁気特性を示す磁性粉末であればいずれのものでもよい。
【0029】
本発明の一実施形態によるチップ電子部品100は、金属磁性体粉末51を含む磁性体本体50の上部及び下部のうち少なくとも一つに金属磁性板71を含むカバー部70が配置される。
【0030】
磁性体本体50とカバー部70との間の境界は走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて確認できるが、必ずしも走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察される境界によって磁性体本体50とカバー部70が区分されるわけではなく、金属磁性板71が含まれる領域をカバー部70として区分することができる。
【0031】
金属磁性板71を含むカバー部70は、金属磁性体粉末51を含む磁性体本体50より大きな透磁率を有する。また、金属磁性板71を含むカバー部70は、磁束(magnetic flux)が外部に流出することを防止する役割を行うことができる。
【0032】
これにより、本発明の一実施形態によるチップ電子部品100は、高いインダクタンス及び優れたDC−Bias特性を実現することができる。
【0033】
金属磁性体粉末51は、球状粉末又は片状のフレーク(flake)粉末であればよい。
【0034】
金属磁性体粉末51は、鉄(Fe)、珪素(Si)、ホウ素(B)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニオビウム(Nb)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含む結晶質又は非晶質金属であればよい。
【0035】
例えば、金属磁性体粉末51は、Fe−Si−B−Cr系の球状の非晶質金属であればよい。
【0036】
金属磁性体粉末51は、エポキシ(epoxy)樹脂又はポリイミド(polyimide)などの熱硬化性樹脂に分散された形で含まれる。
【0037】
一方、磁性体本体50は、平均粒径の大きい金属磁性体粉末と、それより平均粒径の小さい金属磁性体粉末とを混合して含むことができる。
【0038】
平均粒径の大きい金属磁性体粉末は、より高い透磁率を実現し、平均粒径の小さい金属磁性体粉末は、平均粒径の大きい金属磁性体粉末と共に混合されて充填率を向上させることができる。充填率が向上することにより透磁率をより向上させることができる。
【0039】
一方、平均粒径の大きい金属磁性体粉末を用いる場合は、高透磁率を実現することができるが、コア損失(core loss)が増加する。しかしながら、低損失材料である、平均粒径の小さい金属磁性体粉末を共に混合することにより、平均粒径の大きい金属磁性体粉末を用いることにより増加するコア損失(core loss)を補完し、Q特性を共に向上させることができる。
【0040】
これにより、平均粒径の大きい金属磁性体粉末と、それより平均粒径の小さい金属磁性体粉末とを混合して含むことにより、インダクタンス及びQ特性を向上させることができる。
【0041】
しかしながら、このように平均粒径の大きい金属磁性体粉末と、それより平均粒径の小さい金属磁性体粉末とを混合するだけでは、透磁率を向上させるのに限界がある。
【0042】
よって、本発明の一実施形態によれば、金属磁性板71を配置することにより透磁率をより向上させた。
【0043】
金属磁性板71は、金属磁性体粉末51に比べて約2〜10倍の非常に大きな透磁率を示し、板の形で磁性体本体50の上部及び下部に配置されることにより外部への磁束(magnetic flux)の漏れを防止することができる。
【0044】
金属磁性板71は、鉄(Fe)、珪素(Si)、ホウ素(B)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニオビウム(Nb)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含む結晶質又は非晶質金属からなることができる。
【0045】
金属磁性板71の端部は、磁性体本体50の外側に配置された第1及び第2の外部電極81、82と連結されずに絶縁される。
【0046】
図2及び
図3には金属磁性板71が磁性体本体50の最上部及び最下部に配置されてカバー部70を形成することが示されているが、これに制限されず、当業者が活用することができる範囲内で少なくとも一層の金属磁性板が配置されて本発明の効果を実現できる構造であればいずれのものでもよい。
【0047】
例えば、金属磁性板71を含むカバー部70は、磁性体本体50の側面にも形成されることができ、磁性体本体50の最上部及び最下部ではなく内部領域に形成されることもできる。
【0048】
図4は、
図2の'A'部分の一実施形態を拡大して示す図である。
【0049】
図4を参照すると、本発明の一実施形態による金属磁性板71は粉砕されて多数の金属断片71aからなる。
【0050】
金属磁性板を粉砕せず板の形のまま用いる場合は、金属磁性体粉末51に比べて約2〜10倍の非常に大きな透磁率を示すものの、渦電流によるコア損失(core loss)が非常に増加し、Q特性が悪くなる。
【0051】
よって、本発明の一実施形態によれば、金属磁性板71を粉砕して多数の金属断片71aを形成することにより、高透磁率を実現し且つコア損失(core loss)を改善した。
【0052】
したがって、本発明の一実施形態によるチップ電子部品100は、透磁率を向上させることにより高いインダクタンスを確保し且つ優れたQ特性を満たすことができる。
【0053】
金属磁性板71は、隣接する金属断片71a同士の形状が対応するように粉砕される。
【0054】
金属磁性板71が粉砕されて形成された金属断片71aは粉砕された後、不規則に分散されるのではなく、粉砕された状態のまま一つの層をなして位置するため、隣接する金属断片71a同士の形状が対応する。
【0055】
隣接する金属断片71a同士の形状が対応するというのは、隣接する金属断片71a同士が完全に整合するというのではなく、金属断片71aが粉砕された状態のまま一つの層をなして位置していることが確認できる程度をいう。
【0056】
カバー部70は、金属磁性板71の上部及び下部のうち少なくとも一つに配置された熱硬化性樹脂層72をさらに含む。
【0057】
熱硬化性樹脂層72は、エポキシ(epoxy)樹脂又はポリイミド(polyimide)などの熱硬化性樹脂を含むことができる。
【0058】
上記粉砕された金属磁性板71の隣接する金属断片71aの間には熱硬化性樹脂72aが充填される。
【0059】
熱硬化性樹脂72aは、金属磁性板を圧着及び粉砕する過程で熱硬化性樹脂層72の熱硬化性樹脂が隣接する金属断片71aの間の空間に浸透して形成されることができる。この場合、隣接する金属断片71a及び熱硬化性樹脂層72の間の空間に浸透する熱硬化性樹脂72aは一体的に形成されることができる。隣接する金属断片71aの間の空間に浸透する熱硬化性樹脂72aは、粉砕された磁性金属層71の反対側の表面上に形成される熱硬化性樹脂層72と直接連結されることができる。
【0060】
上記隣接する金属断片71aの間の空間に充填された熱硬化性樹脂72aは、隣接する金属断片71aを絶縁させる。
【0061】
これにより、金属磁性板71のコア損失(core loss)を減らし、Q特性を向上させることができる。
【0062】
図5は、本発明の他の実施形態によるチップ電子部品のLT方向の断面図である。
【0063】
図5を参照すると、本発明の他の実施形態によるチップ電子部品100のカバー部70は、複数の金属磁性板71を含む。
【0064】
カバー部70は、複数の層に積層された金属磁性板71を含む。
【0065】
図6は、
図5の'B'部分の一実施形態を拡大して示す図である。
【0066】
図6を参照すると、カバー部70は、複数の金属磁性板71と熱硬化性樹脂層72が交互に積層されて形成される。
【0067】
複数の金属磁性板71の間に熱硬化性樹脂層72が形成されることにより、隣接して積層された金属磁性板71を絶縁させる。
【0068】
金属磁性板71は、隣接する金属断片71a同士の形状が対応するように粉砕される。
【0069】
即ち、一層の金属磁性板71が粉砕されて形成された金属断片71aは、粉砕された状態のまま一つの層をなして位置する。
【0070】
上記粉砕された金属磁性板71の隣接する金属断片71aの間には熱硬化性樹脂72aが充填され、上記隣接する金属断片71aの間の空間に充填された熱硬化性樹脂72aは隣接する金属断片71aを絶縁させる。この場合、隣接する金属断片71a及び熱硬化性樹脂層72の間の空間に浸透する熱硬化性樹脂72aは一体的に形成されることができる。隣接する金属断片71aの間の空間に浸透する熱硬化性樹脂72aは、粉砕された磁性金属層71の反対側の表面上に形成される熱硬化性樹脂層72と直接連結されることができる。
【0071】
カバー部70に複数の金属磁性板71が含まれることにより、透磁率をより向上させ、より高いインダクタンスを確保することができる。
【0072】
より好ましくは、カバー部70は、4層以上の金属磁性板71を含む。
【0073】
図7は、本発明の一実施形態によるチップ電子部品の磁性体本体及びカバー部を示す断面図である。
【0074】
図7を参照すると、金属磁性体粉末51を含む磁性体本体50の厚さをt
1、金属磁性板71を含むカバー部70の厚さをt
2としたとき、カバー部70の厚さt
2は磁性体本体50の厚さt
1の5%〜50%であればよい。
【0075】
カバー部70の厚さt
2が磁性体本体50の厚さt
1の5%未満の場合は、透磁率の向上及び漏れ磁束(magnetic flux)の減少の効果が低下し、50%を超える場合は、コア損失(core loss)が増加し、Q特性が悪くなる可能性がある。
【0076】
金属磁性板71の平均厚さt
aは5μm〜30μmであればよい。
【0077】
金属磁性板71の平均厚さt
aが薄いほど、コア損失(core loss)が減少し、Q特性が向上することができる。金属磁性板71の平均厚さt
aが30μmを超える場合は、コア損失(core loss)が増加し、Q特性が悪くなる可能性がある。
【0078】
金属磁性板71を含むカバー部70の表面粗度は10μm以下であればよい。
【0079】
磁性体本体50の最上部及び最下部に、金属磁性板71を含むカバー部70を形成しない他の実施形態の場合は、表面粗度が10μmを超えて大きくなる。特に、透磁率の向上のために平均粒径の大きい金属磁性体粉末を用いるほど表面粗度が大きくなる。
【0080】
このように平均粒径の大きい金属磁性体粉末が磁性体本体の表面に突出し、個別のチップのサイズで切断された磁性体本体を研磨する過程で、突出した部位の絶縁コーティング層が剥離して、外部電極のメッキ層の形成時にメッキの拡散不良が発生する可能性がある。
【0081】
しかしながら、本発明の一実施形態によれば、金属磁性板71を含むカバー部70を形成することにより、表面粗度を10μm以下に改善し、メッキの拡散現象を防止することができる。
【0082】
金属磁性板71は粉砕されて多数の金属断片71aからなり、金属断片71aは粉砕された後、不規則に分散されるのではなく、粉砕された状態のまま一つの層をなして位置するため、金属磁性体粉末とは異なり、表面粗度が10μm以下となることができる。
【0083】
図8a及び
図8bは、本発明の一実施形態による金属磁性板の粉砕された形を示す概略斜視図である。
【0084】
図8aを参照すると、本発明の一実施形態による金属磁性板71は、格子(lattice)状の金属断片71aを有するように粉砕される。
【0085】
図8aには格子(lattice)状の金属断片71aを有するように粉砕された金属磁性板71が示されているが、これに制限されず、当業者が活用することができる範囲内で規則的な形状に粉砕された金属磁性板71であればいずれのものでもよい。
【0086】
規則的に粉砕されて形成される金属断片71aの個数、体積、形状などは、本発明の効果を実現できる構造であれば特に制限されない。
【0087】
より好ましくは、上記規則的に粉砕されて形成された金属断片71aは、長さ−幅(L−W)方向の断面、即ち、金属断片71aの上面又は下面の面積aが0.0001μm
2〜40000μm
2である。
【0088】
金属断片71aの上面又は下面の面積aが0.0001μm
2未満の場合は、透磁率が顕著に低下し、40000μm
2を超える場合は、渦電流による損失が大きくなり、Q特性が悪くなる可能性がある。
【0089】
図8bを参照すると、本発明の他の実施形態による金属磁性板71は、不定形の金属断片71aを有するように粉砕される。
【0090】
金属磁性板71は、必ずしも規則的な形状に粉砕される必要はなく、
図8bに示されているように、本発明の効果を実現できる範囲内で不定形に粉砕されてもよい。
【0091】
上記不定形に粉砕されて形成された金属断片71aは、長さ−幅(L−W)方向の断面、即ち、金属断片71aの上面又は下面の面積aの平均が0.0001μm
2〜40000μm
2であればよい。
【0092】
前述したように、上記粉砕された金属磁性板71の隣接する金属断片71aの間には熱硬化性樹脂72aが充填され、上記隣接する金属断片71aの間の空間に充填された熱硬化性樹脂72aは隣接する金属断片71aを絶縁させる。
【0093】
次に、本発明の一実施形態によるチップ電子部品100の製造方法を説明する。
【0094】
図9a及び
図9bは、本発明の一実施形態によるチップ電子部品の磁性体本体を形成する工程を示す図である。
【0095】
図9aを参照すると、絶縁基板20の一面及び他面に第1及び第2の内部コイル部41、42を形成する。
【0096】
絶縁基板20にビアホール(図示せず)を形成し、絶縁基板20上に開口部を有するメッキレジストを形成した後、ビアホール及び開口部をメッキによって導電性金属で充填して、第1及び第2の内部コイル部41、42と、これらを連結するビア(図示せず)を形成する。
【0097】
但し、内部コイル部41、42の形成方法は上記メッキ工程に制限されず、金属ワイヤ(wire)で内部コイル部を形成してもよい。
【0098】
第1及び第2の内部コイル部41、42上に、当該第1及び第2の内部コイル部41、42を被覆する絶縁膜(図示せず)を形成する。
【0099】
上記絶縁膜(図示せず)は、スクリーン印刷法、フォトレジスト(Photo Resist、PR)の露光及び現像工程又はスプレー(spray)塗布工程などの公知の方法で形成されることができる。
【0100】
絶縁基板20には、第1及び第2の内部コイル部41、42が形成されていない領域の中央部が除去されてコア部ホール55'が形成される。
【0101】
絶縁基板20の除去は、機械的なドリル、レーザードリル、サンドブラスト、パンチング加工などにより行われることができる。
【0102】
図9bを参照すると、第1及び第2の内部コイル部41、42の上部及び下部に磁性体シート50'を積層する。
【0103】
磁性体シート50'は、金属磁性体粉末51、熱硬化性樹脂、バインダー及び溶剤などの有機物を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法でキャリアフィルム(carrier film)上に数十μmの厚さで塗布した後に乾燥してシート(sheet)状に製造されることができる。
【0104】
金属磁性体粉末51としては、球状粉末又は片状のフレーク(flake)粉末を用いることができる。
【0105】
磁性体シート50'を製造するにあたり、平均粒径の大きい金属磁性体粉末と、それより平均粒径の小さい金属磁性体粉末とを混合して製造することができる。
【0106】
磁性体シート50'は、金属磁性体粉末51がエポキシ(epoxy)樹脂又はポリイミド(polyimide)などの熱硬化性樹脂に分散された形で製造される。
【0107】
磁性体シート50'を積層し、圧着及び硬化して、内部コイル部41、42が埋め込まれた磁性体本体50を形成する。
【0108】
この際、コア部ホール55'は磁性材料で充填されてコア部55を形成する。
【0109】
但し、
図9bには磁性体シート50'を積層して磁性体本体50を形成する工程が示されているが、これに制限されず、内部コイル部が埋め込まれた金属磁性体粉末−樹脂複合体を形成できる方法であればいずれの方法でもよい。
【0110】
図10a〜
図10eは、本発明の一実施形態によるチップ電子部品の金属磁性板を含むカバー部を形成する工程を示す図である。
【0111】
図10aを参照すると、支持フィルム91上に金属磁性板71'及び熱硬化性樹脂層72を交互に積層して積層体70'を形成する。
【0112】
支持フィルム91としては、積層体70'を支持できるものであれば特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリフェニレンスルフィド(PPS)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリテレフタレート(PTFE)のようなフッ素樹脂系フィルムなどを用いることができる。
【0113】
支持フィルム91の厚さは0.1μm〜20μmであればよい。
【0114】
金属磁性板71'は、鉄(Fe)、珪素(Si)、ホウ素(B)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニオビウム(Nb)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含む結晶質又は非晶質金属からなることができる。
【0115】
金属磁性板71'の厚さt
aは5μm〜30μmであればよい。
【0116】
金属磁性板71'の平均厚さt
aが薄いほど、コア損失(core loss)が減少し、Q特性が向上することができる。金属磁性板71'の平均厚さt
aが30μmを超える場合は、コア損失(core loss)が増加し、Q特性が悪くなる可能性がある。
【0117】
熱硬化性樹脂層72は、エポキシ(epoxy)樹脂又はポリイミド(polyimide)などの熱硬化性樹脂を含むことができる。
【0118】
熱硬化性樹脂層72の厚さt
bは金属磁性板71'の厚さt
aの1.0〜2.5倍であればよい。
【0119】
熱硬化性樹脂層72の厚さt
bが金属磁性板71'の厚さt
aの1.0倍未満の場合は、隣接する金属磁性板71'及び金属断片71aとの絶縁効果が低下し、2.5倍を超える場合は、透磁率の向上の効果が低下する可能性がある。
【0120】
より好ましくは、熱硬化性樹脂層72の厚さt
bは、金属磁性板71'の厚さt
aの1.5倍〜2.0倍であり、例えば、7.5μm〜10μmである。
【0121】
図10aには4層の金属磁性板71'が積層された積層体70'が示されているが、これに制限されず、少なくとも一層の金属磁性板71'の上部及び下部のうち少なくとも一つに熱硬化性樹脂層72が積層された積層体70'を形成してもよい。
【0122】
但し、4層以上の金属磁性板71'を積層することがより好ましい。
【0123】
図10bを参照すると、積層体70'上にカバーフィルム92を形成する。
【0124】
カバーフィルム92は、積層体70'を圧着して金属磁性板71'を粉砕する過程でそれぞれの金属磁性板がそのまま一つの層をなして粉砕されるように固定させる役割を行うことができる。
【0125】
カバーフィルム92としては、積層体70'を固定できるものであれば特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリフェニレンスルフィド(PPS)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリテレフタレート(PTFE)のようなフッ素樹脂系フィルム、エポキシ樹脂フィルムなどを用いることができる。
【0126】
カバーフィルム92の厚さは1μm〜20μmであればよい。
【0127】
図10cを参照すると、支持フィルム91及びカバーフィルム92が形成された積層体70'を圧着して金属磁性板71'を粉砕する。
【0128】
金属磁性板を粉砕せず板の形のまま用いる場合は、金属磁性体粉末51に比べて約2〜10倍の非常に大きな透磁率を示すものの、渦電流による損失が非常に増加し、Q特性が悪くなる。
【0129】
よって、本発明の一実施形態によれば、金属磁性板71'を粉砕して多数の金属断片71aを形成することにより、高透磁率を実現し且つコア損失(core loss)を改善しようとする。
【0130】
金属磁性板71'が粉砕されて多数の金属断片71aが形成される場合は、透磁率が多少減少するものの、依然として高く、透磁率の減少より渦電流損失の低下がより大きくなる。
【0131】
金属磁性板71'を粉砕する方法は、例えば、
図10cに示されているように、積層体70'を形成した後、積層体70'の上部及び下部に配置されたローラー210、220の間を通すことにより、金属磁性板71'を多数の金属断片71aに粉砕することができる。
【0132】
金属磁性板71'は、結晶質又は非晶質金属からなり、熱処理して結晶質を形成する場合はより効果的に粉砕されることができる。
【0133】
ローラー210、220は金属ローラー、ゴムローラーなどであればよく、外面に複数の凹凸が形成されたローラーでもよい。
【0134】
但し、金属磁性板71'を粉砕する方法は、これに制限されず、本発明の効果を実現できるように金属磁性板71'を多数の金属断片71aに粉砕できる方法であれば当業者が活用することができる範囲内でいずれの方法でもよい。
【0135】
図10dを参照すると、金属磁性板71は粉砕されて多数の金属断片71aからなる。
【0136】
金属磁性板71は、隣接する金属断片71a同士の形状が対応するように粉砕される。
【0137】
金属磁性板が粉砕されて形成された金属断片71aは粉砕された後、不規則に分散されるのではなく、粉砕された状態のまま一つの層をなして位置するため、隣接する金属断片71a同士の形状が対応する。
【0138】
隣接する金属断片71a同士の形状が対応するというのは、隣接する金属断片71a同士が完全に整合するというのではなく、金属断片71aが粉砕された状態のまま一つの層をなして位置していることが確認できる程度をいう。
【0139】
上記粉砕された金属磁性板71の隣接する金属断片71aの間には熱硬化性樹脂72aが充填される。
【0140】
熱硬化性樹脂72aは、積層体70'を圧着して金属磁性板を粉砕する過程で熱硬化性樹脂層72の熱硬化性樹脂が隣接する金属断片71aの間の空間に浸透して形成されることができる。
【0141】
上記隣接する金属断片71aの間の空間に充填された熱硬化性樹脂72aは、隣接する金属断片71aを絶縁させる。
【0142】
これにより、金属磁性板71のコア損失(core loss)を減らし、Q特性を向上させることができる。
【0143】
図10eを参照すると、磁性体本体50の上部及び下部に、上記粉砕された金属磁性板71を含む積層体70'を形成する。
【0144】
磁性体本体50の上部及び下部に、粉砕された金属磁性板71を含む積層体70'を形成し、ラミネート法や静水圧プレス法により圧着及び硬化して、磁性体本体50と金属磁性板71を含むカバー部70とを一体化することができる。
【0145】
図11a〜
図11dは、本発明の他の実施形態によるチップ電子部品の金属磁性板を含むカバー部を形成する工程を示す図である。
【0146】
図11aを参照すると、内部に内部コイル部41、42が埋め込まれた磁性体本体50を形成する。
【0147】
磁性体本体50を形成する方法は特に制限されず、例えば、
図9a及び
図9bに示されているように磁性体シート50'を積層して磁性体本体50を形成することができる。
【0148】
図11bを参照すると、磁性体本体50の上部及び下部に金属磁性板71'を積層する。
【0149】
この際、金属磁性板71'の上部及び下部のうち少なくとも一つに熱硬化性樹脂層72をさらに積層する。
【0150】
図11bには磁性体本体50の上部及び下部のそれぞれに一層の金属磁性板71'を積層したことが示されているが、これに制限されず、磁性体本体50の上部及び下部のうち少なくとも一つに金属磁性板71'が積層されてもよく、2層以上の金属磁性板71'が積層されてもよい。2層以上の金属磁性板71'が積層される場合は、金属磁性板71'と熱硬化性樹脂層72が交互に積層される。
【0151】
図11cを参照すると、磁性体本体50上に積層された金属磁性板71'を圧着して粉砕する。
【0152】
即ち、
図10a〜
図10eに示されているように、金属磁性板71'を先に粉砕して多数の金属断片71aからなる金属磁性板71を磁性体本体50上に形成してもよいが、
図11a〜
図11dに示されているように、本発明の他の実施形態により、粉砕されていない金属磁性板71'を磁性体本体50に形成した後、圧着過程により多数の金属断片71aに粉砕してもよい。
【0153】
図11dを参照すると、磁性体本体50の上部及び下部に、粉砕されて多数の金属断片71aからなる金属磁性板71を含むカバー部70を形成する。
【0154】
即ち、磁性体本体50上に、粉砕していない金属磁性板71'を形成した後、ラミネート法や静水圧プレス法により圧着及び硬化して、金属磁性板を多数の金属断片71aに粉砕し、磁性体本体50と金属磁性板71を含むカバー部70とを一体化することができる。
【0155】
粉砕された金属磁性板71の隣接する金属断片71aの間には熱硬化性樹脂72aが充填される。
【0156】
熱硬化性樹脂72aは、圧着して金属磁性板を粉砕する過程で熱硬化性樹脂層72の熱硬化性樹脂が隣接する金属断片71aの間の空間に浸透して形成されることができる。
【0157】
隣接する金属断片71aの間の空間に充填された熱硬化性樹脂72aは、隣接する金属断片71aを絶縁させる。
【0158】
なお、上記の説明を除き、上述した本発明の一実施形態によるチップ電子部品の特徴と重複する説明は省略する。
【0159】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。