(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願が開示する無線装置及び受信方法の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る無線通信装置100の構成を示すブロック図である。
図1に示す無線通信装置100は、プロセッサ110、メモリ120、RF(Radio Frequency) LSI(Large Scale Integration)130、メインアンテナ送受信部140及びサブアンテナ受信部150を有する。
【0017】
プロセッサ110は、例えばCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はDSP(Digital Signal Processor)などを備え、無線通信装置100全体を統括制御する。すなわち、プロセッサ110は、メモリ120を使用しながら種々の処理を実行する。具体的には、プロセッサ110は、ベースバンド処理を実行して、送信データから送信信号を生成したり、受信信号から受信データを取得したりする。また、プロセッサ110は、メインアンテナからの送信電力などに基づいて、サブアンテナに接続されたLNAをバイパスするか否かを判定し、判定結果に基づくバイパス制御信号をサブアンテナ受信部150へ出力する。プロセッサ110の機能については、後に詳述する。
【0018】
メモリ120は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)又はNAND型フラッシュメモリなどを備え、プロセッサ110によって実行される処理の際に、種々の情報を記憶する。
【0019】
RF LSI130は、送信信号及び受信信号に対して無線処理を施す。具体的には、RF LSI130は、プロセッサ110から入力されるベースバンド周波数の送信信号を直交変調し、得られたキャリア周波数の送信信号をメインアンテナ送受信部140へ出力する。すなわち、RF LSI130は、ベースバンド信号を直交変調することにより、キャリアアグリゲーションに用いられる複数のキャリアのうちいずれかのキャリアの周波数の信号に変換する。また、RF LSI130は、メインアンテナ送受信部140及びサブアンテナ受信部150から入力されるキャリア周波数の受信信号を直交復調し、得られたベースバンド周波数の受信信号をプロセッサ110へ出力する。すなわち、RF LSI130は、いずれかのキャリアの周波数の信号を直交復調することにより、ベースバンド信号に変換する。
【0020】
キャリアアグリゲーションに用いられる複数のキャリアは、例えば2GHz帯などの高帯域のキャリアと例えば800MHz帯などの低帯域のキャリアとに分けられる。すなわち、各キャリアは、高帯域及び低帯域のいずれかの無線周波数帯に含まれ、高帯域及び低帯域のそれぞれの周波数帯には少なくとも1つのキャリアが含まれる。本実施の形態に係るキャリアアグリゲーションでは、高帯域及び低帯域のいずれかの周波数帯のキャリアがプライマリセル接続(Pセル接続)に使用され、無線通信装置100からの信号の送信に用いられる。なお、上述した2GHz帯及び800MHz帯は、高帯域及び低帯域の一例であり、例えば2GHz帯及び1.8GHz帯をそれぞれ高帯域及び低帯域などとしても良い。
【0021】
メインアンテナ送受信部140は、RF LSI130から出力される無線送信信号をメインアンテナを介して送信する。また、メインアンテナ送受信部140は、メインアンテナを介して受信される信号をRF LSI130へ出力する。なお、メインアンテナ送受信部140の構成については、後に詳述する。
【0022】
サブアンテナ受信部150は、サブアンテナを介して受信される信号をRF LSI130へ出力する。このとき、サブアンテナ受信部150は、バンドパスフィルタの前段に配置されたLNAによって受信信号を増幅する。また、サブアンテナ受信部150は、無線通信の条件に応じてプロセッサ110から出力されるバイパス制御信号に従って、受信信号にLNAをバイパスさせる。なお、サブアンテナ受信部150の構成については、後に詳述する。
【0023】
図2は、メインアンテナ送受信部140の構成を示すブロック図である。
図2においては、メインアンテナ送受信部140に関連するRF LSI130の構成も示している。
図2に示すメインアンテナ送受信部140は、パワーアンプ141H、141L、デュプレクサ142H、142L、スイッチ143及びダイプレクサ144を有する。
【0024】
パワーアンプ141Hは、高帯域のキャリアの信号を増幅する。また、パワーアンプ141Lは、低帯域のキャリアの信号を増幅する。
【0025】
デュプレクサ142Hは、高帯域のキャリアの信号の送受信を切り替える。すなわち、デュプレクサ142Hは、パワーアンプ141Hから出力される送信信号をスイッチ143及びダイプレクサ144経由でメインアンテナから送信する。一方、デュプレクサ142Hは、スイッチ143から出力される受信信号をRF LSI130へ出力する。また、デュプレクサ142Lは、低帯域のキャリアの信号の送受信を切り替える。すなわち、デュプレクサ142Lは、パワーアンプ141Lから出力される送信信号をスイッチ143及びダイプレクサ144経由でメインアンテナから送信する。一方、デュプレクサ142Lは、スイッチ143から出力される受信信号をRF LSI130へ出力する。
【0026】
スイッチ143は、デュプレクサ142H及びデュプレクサ142Lから出力される高帯域及び低帯域のキャリアの送信信号をダイプレクサ144へ出力する。また、スイッチ143は、高帯域のキャリアの受信信号をデュプレクサ142Hへ出力する一方、低帯域のキャリアの受信信号をデュプレクサ142Lへ出力する。すなわち、スイッチ143は、受信信号のキャリア周波数が高帯域であるか低帯域であるかによって、この受信信号の出力先をデュプレクサ142H又はデュプレクサ142Lに切り替える。
【0027】
ダイプレクサ144は、スイッチ143から出力される送信信号をメインアンテナから送信する。すなわち、ダイプレクサ144は、高帯域及び低帯域のキャリアのうち、Pセル接続に用いられるキャリアの信号をメインアンテナから送信する。また、ダイプレクサ144は、メインアンテナから信号を受信し、スイッチ143へ出力する。このとき、ダイプレクサ144は、高帯域及び低帯域のキャリアの信号を例えばフィルタによって分離し、高帯域のキャリアの信号と低帯域のキャリアの信号とを別々にスイッチ143へ出力する。
【0028】
以上のようなメインアンテナ送受信部140に関連して、RF LSI130は、直交変調部131H、131L、LNA132H、132L及び直交復調部133H、133Lを有する。
【0029】
直交変調部131H、131Lは、それぞれプロセッサ110から入力されるベースバンド信号を直交変調し、高帯域及び低帯域のキャリアの送信信号に変換する。そして、直交変調部131H、131Lは、送信信号をそれぞれパワーアンプ141H、141Lへ出力する。
【0030】
LNA132H、132Lは、それぞれデュプレクサ142H、142Lから出力される高帯域及び低帯域のキャリアの受信信号を低雑音で増幅する。そして、LNA132H、132Lは、増幅された受信信号をそれぞれ直交復調部133H、133Lへ出力する。
【0031】
直交復調部133H、133Lは、それぞれ高帯域及び低帯域のキャリアの受信信号を直交復調し、ベースバンド周波数の受信信号に変換する。そして、直交復調部133H、133Lは、得られたベースバンド信号をプロセッサ110へ出力する。
【0032】
図3は、サブアンテナ受信部150の構成を示すブロック図である。
図3においては、サブアンテナ受信部150に関連するRF LSI130の構成も示している。
図3に示すサブアンテナ受信部150は、ダイプレクサ151、LNA152H、152L、バイパススイッチ153H、153L、キャリアスイッチ154H、154L、バンドパスフィルタ155a〜155dを有する。
【0033】
ダイプレクサ151は、サブアンテナから信号を受信し、高帯域及び低帯域のキャリアの信号を例えばフィルタによって分離する。そして、ダイプレクサ151は、高帯域のキャリアの信号をLNA152H及びバイパススイッチ153Hへ出力し、低帯域のキャリアの信号をLNA152L及びバイパススイッチ153Lへ出力する。
【0034】
ダイプレクサ151がサブアンテナから受信する受信信号には、メインアンテナから送信される信号も含まれる。すなわち、例えば高帯域のキャリアを用いてPセル接続する場合には、メインアンテナから送信される高帯域のキャリアの信号がサブアンテナによって受信される。また、例えば低帯域のキャリアを用いてPセル接続する場合には、メインアンテナから送信される低帯域のキャリアの信号がサブアンテナによって受信される。したがって、無線通信装置100がPセル接続に用いる一方の周波数帯のキャリアのサブアンテナにおける受信電力は、他方の周波数帯のキャリアの受信電力よりも大きくなる。
【0035】
ダイプレクサ151は、高帯域及び低帯域のキャリアの信号を分離するため、例えば高帯域のキャリアの信号がメインアンテナから送信されサブアンテナによって受信された場合でも、受信電力が大きい高帯域のキャリアの信号は、LNA152L及びバイパススイッチ153Lには出力されない。同様に、例えば低帯域のキャリアの信号がメインアンテナから送信されサブアンテナによって受信された場合でも、受信電力が大きい低帯域のキャリアの信号は、LNA152H及びバイパススイッチ153Hには出力されない。
【0036】
LNA152Hは、ダイプレクサ151の直後に配置され、ダイプレクサ151から出力される高帯域のキャリアの信号を低雑音で増幅する。LNA152Hは、バンドパスフィルタ155a、155bの前段に配置されるため、累積的なNFが小さい段階で高帯域のキャリアの信号を増幅する。すなわち、LNA152Hの前段には、ダイプレクサ151が配置されているのみであるため、LNA152Hの前段までの回路における累積的なNFが小さく、雑音レベルに対して信号レベルが高い状態の受信信号を増幅することができる。この結果、高帯域のキャリアの信号の受信品質を向上することができる。なお、LNA152Hは、高帯域に属する複数のキャリアの信号が受信される場合には、これらの複数のキャリアの信号をまとめて増幅しても良い。
【0037】
LNA152Lは、ダイプレクサ151の直後に配置され、ダイプレクサ151から出力される低帯域のキャリアの信号を低雑音で増幅する。LNA152Lは、バンドパスフィルタ155c、155dの前段に配置されるため、累積的なNFが小さい段階で低帯域のキャリアの信号を増幅する。すなわち、LNA152Lの前段には、ダイプレクサ151が配置されているのみであるため、LNA152Lの前段までの回路における累積的なNFが小さく、雑音レベルに対して信号レベルが高い状態の受信信号を増幅することができる。この結果、低帯域のキャリアの信号の受信品質を向上することができる。なお、LNA152Lは、低帯域に属する複数のキャリアの信号が受信される場合には、これらの複数のキャリアの信号をまとめて増幅しても良い。
【0038】
このように、LNA152H、152Lがダイプレクサ151の直後に配置され、それぞれ高帯域又は低帯域のキャリアの信号をまとめて増幅するため、キャリアごとにLNAを配置する場合と比べてLNAの数を削減することができ、回路規模の縮小が可能となる。
【0039】
バイパススイッチ153Hは、プロセッサ110から出力されるバイパス制御信号に従ってオン状態及びオフ状態を切り替え、オン状態では、ダイプレクサ151から出力される高帯域のキャリアの信号にLNA152Hをバイパスさせる。すなわち、バイパススイッチ153Hは、オフ状態では高帯域のキャリアの信号をLNA152Hへ入力する一方、オン状態では高帯域のキャリアの信号をLNA152Hへ入力せずにキャリアスイッチ154Hへ出力する。
【0040】
バイパススイッチ153Lは、プロセッサ110から出力されるバイパス制御信号に従ってオン状態及びオフ状態を切り替え、オン状態では、ダイプレクサ151から出力される低帯域のキャリアの信号にLNA152Lをバイパスさせる。すなわち、バイパススイッチ153Lは、オフ状態では低帯域のキャリアの信号をLNA152Lへ入力する一方、オン状態では低帯域のキャリアの信号をLNA152Lへ入力せずにキャリアスイッチ154Lへ出力する。
【0041】
キャリアスイッチ154Hは、LNA152H又はバイパススイッチ153Hから出力される高帯域のキャリアの信号をキャリアの周波数に対応するバンドパスフィルタ155a、155bへ出力する。すなわち、高帯域の周波数帯には互いに周波数が異なる複数のキャリアが含まれるため、キャリアスイッチ154Hは、それぞれのキャリアの周波数に応じたバンドパスフィルタ155a、155bへ各キャリアの信号を出力する。
【0042】
キャリアスイッチ154Lは、LNA152L又はバイパススイッチ153Lから出力される低帯域のキャリアの信号をキャリアの周波数に対応するバンドパスフィルタ155c、155dへ出力する。すなわち、低帯域の周波数帯には互いに周波数が異なる複数のキャリアが含まれるため、キャリアスイッチ154Lは、それぞれのキャリアの周波数に応じたバンドパスフィルタ155c、155dへ各キャリアの信号を出力する。
【0043】
バンドパスフィルタ155a〜155dは、それぞれ対応するキャリアの周波数を透過するバンドパスフィルタであり、キャリアスイッチ154H、154Lから出力されるキャリアの信号に含まれる帯域外の雑音成分を除去する。
【0044】
以上のようなサブアンテナ受信部150に関連して、RF LSI130は、VGA(Variable Gain Amplifier:可変利得増幅器)134a〜134d及び直交復調部135a〜135dを有する。
【0045】
VGA134a〜134dは、それぞれバンドパスフィルタ155a〜155dによって帯域制限されたキャリアごとの受信信号を可変利得で増幅する。そして、VGA134a〜134dは、増幅されたキャリアごとの受信信号をそれぞれ直交復調部135a〜135dへ出力する。
【0046】
直交復調部135a〜135dは、それぞれのキャリアの受信信号を直交復調し、ベースバンド周波数の受信信号に変換する。そして、直交復調部135a〜135dは、得られたベースバンド信号をプロセッサ110へ出力する。
【0047】
次に、実施の形態1に係るプロセッサ110の機能について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、プロセッサ110の機能を示すブロック図である。
図4に示すプロセッサ110は、ベースバンド処理部111及びRF制御部112を有する。
【0048】
ベースバンド処理部111は、信号のベースバンド処理を実行する。具体的には、ベースバンド処理部111は、送信データの符号化などを実行してベースバンド周波数の送信信号を生成し、RF LSI130へ出力する。また、ベースバンド処理部111は、ベースバンド周波数の受信信号をRF LSI130から取得し、受信信号に対する復号などを実行して受信データを得る。なお、
図4においては、ベースバンド処理部111に入出力されるベースバンド信号を「BB信号」と略記している。
【0049】
ベースバンド処理部111は、ベースバンド処理によって得られた受信データのうち、無線通信の条件に関する情報をRF制御部112へ通知する。具体的には、ベースバンド処理部111は、MIMO通信を実行するか否かの情報やキャリアアグリゲーションによる通信を実行するか否かの情報をRF制御部112へ通知する。また、ベースバンド処理部111は、キャリアアグリゲーションによる通信を実行する場合には、Pセル接続に用いられるキャリアの周波数帯を示す情報をRF制御部112へ通知する。これらの無線通信の条件に関する情報は、無線通信装置100の通信相手となる基地局装置から報知される信号に含まれる。
【0050】
RF制御部112は、RF LSI130、メインアンテナ送受信部140及びサブアンテナ受信部150へ制御信号を出力することにより、これらの処理部における無線処理を制御する。すなわち、RF制御部112は、メインアンテナ送受信部140のパワーアンプ141H、141Lを制御して送信電力制御をしたり、スイッチ143を制御して高帯域及び低帯域のキャリアの受信信号の出力先を切り替えたりする。また、RF制御部112は、ベースバンド処理部111から通知される無線通信の条件に基づいてバイパス制御信号を生成し、サブアンテナ受信部150のLNA152H、152Lの使用の有無を切り替える。具体的には、RF制御部112は、送信電力制御部113、MIMO制御部114、キャリアアグリゲーション制御部(以下「CA制御部」と略記する)115及びバイパス判定部116を有する。
【0051】
送信電力制御部113は、メインアンテナから送信される送信信号の送信電力を決定し、決定した送信電力に応じてメインアンテナ送受信部140のパワーアンプ141H、141Lの利得を制御する。このとき、送信電力制御部113は、Pセル接続に用いられるキャリアが高帯域のキャリアである場合には、高帯域のキャリアの信号を増幅するパワーアンプ141Hの利得を制御する。また、送信電力制御部113は、Pセル接続に用いられるキャリアが低帯域のキャリアである場合には、低帯域のキャリアの信号を増幅するパワーアンプ141Lの利得を制御する。そして、送信電力制御部113は、決定した送信電力をバイパス判定部116へ通知する。
【0052】
MIMO制御部114は、MIMO通信を実行するか否かの情報に従って、MIMOによる信号の受信の有無を切り替える。すなわち、MIMO制御部114は、MIMO通信が実行される場合には、メインアンテナ及びサブアンテナの双方によって信号を受信して複数の送信アンテナからそれぞれ送信された信号を分離するMIMO受信のための設定を行う。一方、MIMO制御部114は、MIMO通信が実行されない場合には、サブアンテナによる信号の受信を停止したり、メインアンテナ及びサブアンテナによるダイバーシチ受信をしたりするための設定を行う。そして、MIMO制御部114は、MIMO通信が実行されるか否かをバイパス判定部116へ通知する。
【0053】
CA制御部115は、キャリアアグリゲーションによる通信を実行するか否かの情報に従って、キャリアアグリゲーションによる信号の受信の有無を切り替える。すなわち、CA制御部115は、キャリアアグリゲーションが実行される場合には、RF LSI130、メインアンテナ送受信部140及びサブアンテナ受信部150の複数のキャリアに対応する各処理部を稼働させる。一方、CA制御部115は、キャリアアグリゲーションが実行されない場合には、RF LSI130、メインアンテナ送受信部140及びサブアンテナ受信部150の一方の周波数帯に対応する各処理部を稼働させ、他方の周波数帯に対応する各処理部を休止させる。
【0054】
したがって、例えばキャリアアグリゲーションが実行されずに高帯域のキャリアのみが使用される場合、CA制御部115は、メインアンテナ送受信部140のパワーアンプ141H及びデュプレクサ142Hを稼働させ、パワーアンプ141L及びデュプレクサ142Lを休止させる。同様に、CA制御部115は、サブアンテナ受信部150のLNA152H、バイパススイッチ153H、キャリアスイッチ154H及びバンドパスフィルタ155a、155bを稼働させ、LNA152L、バイパススイッチ153L、キャリアスイッチ154L及びバンドパスフィルタ155c、155dを休止させる。そして、CA制御部115は、キャリアアグリゲーションが実行されるか否かをバイパス判定部116へ通知する。
【0055】
バイパス判定部116は、送信電力制御部113、MIMO制御部114及びCA制御部115から通知される無線通信の条件に基づいて、サブアンテナからの受信信号にLNA152H、152Lをバイパスさせるか否かを判定する。そして、バイパス判定部116は、判定結果に基づくバイパス制御信号をサブアンテナ受信部150のバイパススイッチ153H、153Lへ出力する。
【0056】
具体的には、バイパス判定部116は、例えば
図5に示すように、無線通信の条件に従ってバイパススイッチ153H、153Lのオン及びオフを決定する。すなわち、バイパス判定部116は、送信電力制御部113から通知された送信電力が所定の閾値(例えば0dBm)以下の場合には、バイパススイッチ153H、153Lをオフ状態とすると決定する。メインアンテナからの送信電力が小さい場合には、メインアンテナから送信されてサブアンテナによって受信される信号の電力が小さく、サブアンテナからの受信信号がLNA152H、152Lへ入力されても電力飽和が発生しない。このため、送信電力が小さい場合には、バイパス判定部116は、受信信号にLNA152H、152Lをバイパスさせないと決定し、バイパススイッチ153H、153Lをオフ状態とするバイパス制御信号を生成する。
【0057】
一方、送信電力制御部113から通知された送信電力が所定の閾値(例えば0dBm)を超える場合には、バイパス判定部116は、MIMO通信が実行され、かつキャリアアグリゲーションが実行されるか否かを判定する。そして、バイパス判定部116は、MIMO通信及びキャリアアグリゲーションの少なくともいずれか一方が実行されない場合には、バイパススイッチ153H、153Lをオン状態とすると決定する。メインアンテナからの送信電力が大きい場合には、メインアンテナから送信されてサブアンテナによって受信される信号の電力が大きく、サブアンテナからの受信信号がLNA152H、152Lへ入力されると電力飽和が発生する可能性がある。また、送信電力が大きいということは、電波環境が悪い結果送信電力が大きくなったことを示しており、電波環境が悪い場合には、MIMO通信及びキャリアアグリゲーションは実行されないのが一般的である。このため、送信電力が大きく、MIMO通信及びキャリアアグリゲーションの少なくともいずれか一方が実行されない場合には、バイパス判定部116は、受信信号に152H、152Lをバイパスさせると決定し、バイパススイッチ153H、153Lをオン状態とするバイパス制御信号を生成する。
【0058】
ところで、メインアンテナからの送信電力が大きくても、キャリアアグリゲーションが実行されている場合には、Pセル接続に用いられる周波数帯以外の信号はメインアンテナから送信されない。このため、Pセル接続に用いられる周波数帯以外の周波数帯については、メインアンテナから送信されてサブアンテナによって受信される信号の電力が大きくなることはない。そこで、バイパス判定部116は、送信電力が所定の閾値(例えば0dBm)を超える場合でも、MIMO通信及びキャリアアグリゲーションが実行されていれば、Pセル接続に用いられる周波数帯以外の周波数帯に対応するLNA152H、152Lをバイパスさせないと決定する。
【0059】
換言すれば、バイパス判定部116は、高帯域のキャリアがPセル接続に用いられる場合は、高帯域のキャリアに対応するバイパススイッチ153Hのみをオン状態として、低帯域のキャリアに対応するバイパススイッチ153Lをオフ状態とするバイパス制御信号を生成する。また、バイパス判定部116は、低帯域のキャリアがPセル接続に用いられる場合は、低帯域のキャリアに対応するバイパススイッチ153Lのみをオン状態として、高帯域のキャリアに対応するバイパススイッチ153Hをオフ状態とするバイパス制御信号を生成する。
【0060】
次いで、上記のように構成された無線通信装置100による受信処理について、
図6に示すフロー図を参照しながら説明する。
【0061】
無線通信装置100は、通信相手となる例えば基地局装置との間で無線リンクを確立する(ステップS101)。無線リンク確立時には、無線通信に際してMIMO通信及びキャリアグリゲーションが実行されるか否かなどが基地局装置から指示される。この指示を受け、MIMO制御部114及びCA制御部115によって、MIMO通信及びキャリアアグリゲーションのための設定が行われる。そして、MIMO制御部114及びCA制御部115からバイパス判定部116へ、MIMO通信及びキャリアアグリゲーションが実行されるか否かが通知される。また、キャリアアグリゲーションが実行される場合には、Pセル接続に用いられるキャリアの周波数帯がバイパス判定部116へ通知される。
【0062】
さらに、送信電力制御部113によって、メインアンテナからの送信信号の送信電力が制御され、送信電力がバイパス判定部116へ通知される。ベースバンド処理部111によって生成される送信信号は、送信電力制御部113によって制御される送信電力で送信される。このように、確立された無線リンクでの無線通信の条件が確定すると、バイパス判定部116によって、サブアンテナからの受信信号にLNA152H、152Lをバイパスさせるか否かの判定が実行される。
【0063】
具体的には、バイパス判定部116によって、送信電力が所定の閾値(例えば0dBm)以下であるか否かが判定される(ステップS102)。この判定の結果、送信電力が所定の閾値以下である場合には(ステップS102Yes)、メインアンテナから送信されサブアンテナによって受信される信号の電力が小さく、サブアンテナからの受信信号が増幅器へ入力されても増幅器の電力飽和は発生しない。
【0064】
このため、バイパス判定部116によって、受信信号にLNA152H、152Lをバイパスさせないと決定され、バイパススイッチ153H、153Lをオフ状態とすることが決定される(ステップS103)。そして、バイパス判定部116によって、バイパススイッチ153H、153Lをオフ状態とするバイパス制御信号が生成され、バイパススイッチ153H、153Lがオフ状態とされる。これにより、サブアンテナから受信された信号は、ダイプレクサ151を経由してLNA152H又はLNA152Lへ入力されて低雑音で増幅される。結果として、サブアンテナにおける受信品質が向上し、スループットを向上することができる。
【0065】
一方、送信電力が所定の閾値(例えば0dBm)を超えている場合には(ステップS102No)、バイパス判定部116によってMIMO通信及びキャリアアグリゲーションが実行されるか否かが判定される(ステップS105)。この判定の結果、MIMO通信及びキャリアアグリゲーションのいずれか一方でも実行されない場合には(ステップS105No)、メインアンテナから送信されサブアンテナによって受信される信号の電力が大きく、サブアンテナからの受信信号が増幅器へ入力されると増幅器の電力飽和が発生する可能性がある。
【0066】
このため、バイパス判定部116によって、受信信号にLNA152H、152Lをバイパスさせると決定され、バイパススイッチ153H、153Lをオン状態とすることが決定される(ステップS106)。そして、バイパス判定部116によって、バイパススイッチ153H、153Lをオン状態とするバイパス制御信号が生成され、バイパススイッチ153H、153Lがオン状態とされる。これにより、サブアンテナから受信された信号は、ダイプレクサ151を経由した後、LNA152H、152Lへ入力されることなくキャリアスイッチ154H、154Lへ出力される。結果として、LNA152H、152Lにおける電力飽和を防止することができ、電力飽和によって受信品質が低下することを抑制することができる。
【0067】
また、MIMO通信及びキャリアアグリゲーションの双方が実行される場合には(ステップS105Yes)、Pセル接続に用いられるキャリアが高帯域に属するキャリアであるか否かが判定される(ステップS107)。この判定の結果、高帯域に属するキャリアを用いてPセル接続が行われる場合には(ステップS107Yes)、メインアンテナから大きい送信電力で送信される信号の周波数帯は高帯域であるため、サブアンテナによって受信される高帯域の信号の電力が大きい。
【0068】
このため、バイパス判定部116によって、高帯域に対応するLNA152Hをバイパスさせると決定され、バイパススイッチ153Hをオン状態とし、バイパススイッチ153Lをオフ状態とすることが決定される(ステップS108)。そして、バイパス判定部116によって、バイパススイッチ153Hをオン状態とし、バイパススイッチ153Lをオフ状態とするバイパス制御信号が生成され、バイパススイッチ153H、153Lが制御される。これにより、サブアンテナから受信された信号のうち、高帯域のキャリアの信号は、LNA152Hへ入力されることなくキャリアスイッチ154Hへ出力され、低帯域のキャリアの信号は、LNA152Lへ入力されて低雑音で増幅される。結果として、低帯域のキャリアの信号の受信品質が向上し、スループットを向上することができるとともに、電力飽和によって高帯域のキャリアの信号の受信品質が低下することを抑制することができる。
【0069】
一方、低帯域に属するキャリアを用いてPセル接続が行われる場合には(ステップS107No)、メインアンテナから大きい送信電力で送信される信号の周波数帯は低帯域であるため、サブアンテナによって受信される低帯域の信号の電力が大きい。
【0070】
このため、バイパス判定部116によって、低帯域に対応するLNA152Lをバイパスさせると決定され、バイパススイッチ153Lをオン状態とし、バイパススイッチ153Hをオフ状態とすることが決定される(ステップS109)。そして、バイパス判定部116によって、バイパススイッチ153Lをオン状態とし、バイパススイッチ153Hをオフ状態とするバイパス制御信号が生成され、バイパススイッチ153H、153Lが制御される。これにより、サブアンテナから受信された信号のうち、低帯域のキャリアの信号は、LNA152Lへ入力されることなくキャリアスイッチ154Lへ出力され、高帯域のキャリアの信号は、LNA152Hへ入力されて低雑音で増幅される。結果として、高帯域のキャリアの信号の受信品質が向上し、スループットを向上することができるとともに、電力飽和によって低帯域のキャリアの信号の受信品質が低下することを抑制することができる。
【0071】
このようなバイパススイッチ153H、153Lのオン状態及びオフ状態の判定は、受信信号のフレーム単位で実行され、1つのフレームについての判定が完了すると、受信信号に次のフレームがあるか否かが判定される(ステップS104)。この判定の結果、次のフレームがある場合には(ステップS104Yes)、無線通信の条件に基づくバイパススイッチ153H、153Lのオン状態及びオフ状態の判定が繰り返される。また、受信信号に次のフレームがない場合には(ステップS104No)、処理が終了する。
【0072】
以上のように、本実施の形態によれば、サブアンテナの受信回路においてキャリアごとのバンドパスフィルタの前段に周波数帯ごとのLNAを配置するとともに、LNAをバイパスするバイパススイッチを設ける。そして、メインアンテナからの送信電力が大きい場合には、送信に用いられるキャリアが属する周波数帯のLNAをバイパスさせ、メインアンテナからの送信電力が小さい周波数帯のLNAのみで受信信号を増幅する。このため、サブアンテナの受信回路における累積的なNFが小さい段階で、LNAにおける電力飽和を発生させずに受信信号を増幅することができ、キャリアアグリゲーション時にスループットを向上することができる。
【0073】
(実施の形態2)
実施の形態2の特徴は、LNAのバイパスの有無を切り替える代わりに、可変利得LNAの利得を制御する点である。
【0074】
実施の形態2に係る無線通信装置の構成は、実施の形態1(
図1)と同様であるため、その説明を省略する。実施の形態2においては、サブアンテナ受信部150及びプロセッサ110の機能が実施の形態1とは異なる。
【0075】
図7は、実施の形態2に係るサブアンテナ受信部150の構成を示すブロック図である。
図7において、
図3と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図7に示すサブアンテナ受信部150は、
図3に示すサブアンテナ受信部150のLNA152H、152L及びバイパススイッチ153H、153Lに代えて、可変利得LNA201H、201Lを有する。
【0076】
可変利得LNA201Hは、ダイプレクサ151の直後に配置され、プロセッサ110から出力される利得制御信号に従った利得で、ダイプレクサ151から出力される高帯域のキャリアの信号を増幅する。可変利得LNA201Hは、バンドパスフィルタ155a、155bの前段に配置されるため、累積的なNFが小さい段階で高帯域のキャリアの信号を増幅する。すなわち、可変利得LNA201Hの前段には、ダイプレクサ151が配置されているのみであるため、可変利得LNA201Hの前段までの回路における累積的なNFが小さく、雑音レベルに対して信号レベルが高い状態の受信信号を増幅することができる。この結果、高帯域のキャリアの信号の受信品質を向上することができる。なお、可変利得LNA201Hは、高帯域に属する複数のキャリアの信号が受信される場合には、これらの複数のキャリアの信号をまとめて増幅しても良い。
【0077】
可変利得LNA201Lは、ダイプレクサ151の直後に配置され、プロセッサ110から出力される利得制御信号に従った利得で、ダイプレクサ151から出力される低帯域のキャリアの信号を増幅する。可変利得LNA201Lは、バンドパスフィルタ155c、155dの前段に配置されるため、累積的なNFが小さい段階で低帯域のキャリアの信号を増幅する。すなわち、可変利得LNA201Lの前段には、ダイプレクサ151が配置されているのみであるため、可変利得LNA201Lの前段までの回路における累積的なNFが小さく、雑音レベルに対して信号レベルが高い状態の受信信号を増幅することができる。この結果、低帯域のキャリアの信号の受信品質を向上することができる。なお、可変利得LNA201Lは、低帯域に属する複数のキャリアの信号が受信される場合には、これらの複数のキャリアの信号をまとめて増幅しても良い。
【0078】
次に、実施の形態2に係るプロセッサ110の機能について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、実施の形態2に係るプロセッサ110の機能を示すブロック図である。
図8において、
図4と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図8に示すプロセッサ110は、
図4に示すプロセッサ110のバイパス判定部116に代えて、利得決定部202を有する。
【0079】
利得決定部202は、送信電力制御部113、MIMO制御部114及びCA制御部115から通知される無線通信の条件に基づいて、可変利得LNA201H、201Lの利得を決定する。そして、利得決定部202は、決定された利得を示す利得制御信号をサブアンテナ受信部150の可変利得LNA201H、201Lへ出力する。
【0080】
具体的には、利得決定部202は、送信電力制御部113から通知された送信電力が所定の閾値(例えば0dBm)以下の場合には、可変利得LNA201H、201Lの利得を増幅に適した比較的大きい利得に決定する。メインアンテナからの送信電力が小さい場合には、メインアンテナから送信されてサブアンテナによって受信される信号の電力が小さく、可変利得LNA201H、201Lの利得を比較的大きくしても電力飽和が発生しない。このため、送信電力が小さい場合には、利得決定部202は、受信信号の増幅に適した利得を設定するように指示する利得制御信号を生成する。
【0081】
一方、送信電力制御部113から通知された送信電力が所定の閾値(例えば0dBm)を超える場合には、利得決定部202は、MIMO通信が実行され、かつキャリアアグリゲーションが実行されるか否かを判定する。そして、利得決定部202は、MIMO通信及びキャリアアグリゲーションの少なくともいずれか一方が実行されない場合には、可変利得LNA201H、201Lの利得を所定値以下の小さい利得に決定する。メインアンテナからの送信電力が大きい場合には、メインアンテナから送信されてサブアンテナによって受信される信号の電力が大きく、可変利得LNA201H、201Lの利得を大きくすると電力飽和が発生する可能性がある。また、送信電力が大きいということは、電波環境が悪い結果送信電力が大きくなったことを示しており、電波環境が悪い場合には、MIMO通信及びキャリアアグリゲーションは実行されないのが一般的である。このため、送信電力が大きく、MIMO通信及びキャリアアグリゲーションの少なくともいずれか一方が実行されない場合には、利得決定部202は、所定値以下の小さい利得を設定するように指示する利得制御信号を生成する。
【0082】
ところで、メインアンテナからの送信電力が大きくても、キャリアアグリゲーションが実行されている場合には、Pセル接続に用いられる周波数帯以外の信号はメインアンテナから送信されない。このため、Pセル接続に用いられる周波数帯以外の周波数帯については、メインアンテナから送信されてサブアンテナによって受信される信号の電力が大きくなることはない。そこで、利得決定部202は、送信電力が所定の閾値(例えば0dBm)を超える場合でも、MIMO通信及びキャリアアグリゲーションが実行されていれば、Pセル接続に用いられる周波数帯以外の周波数帯に対応する可変利得LNA201H、201Lの利得を比較的大きい利得に決定する。
【0083】
換言すれば、利得決定部202は、高帯域のキャリアがPセル接続に用いられる場合は、高帯域のキャリアに対応する可変利得LNA201Hの利得を小さくして、低帯域のキャリアに対応する可変利得LNA201Lの利得を大きくする利得制御信号を生成する。また、利得決定部202は、低帯域のキャリアがPセル接続に用いられる場合は、低帯域のキャリアに対応する可変利得LNA201Lの利得を小さくして、高帯域のキャリアに対応する可変利得LNA201Hの利得を大きくする利得制御信号を生成する。
【0084】
次いで、上記のように構成された無線通信装置による受信処理について、
図9に示すフロー図を参照しながら説明する。
図9において、
図6と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0085】
無線通信装置100が通信相手となる例えば基地局装置との間で無線リンクを確立すると(ステップS101)、送信電力、MIMO通信の有無及びキャリアアグリゲーションの有無などの無線通信の条件が利得決定部202へ通知される。そして、確立された無線リンクでの無線通信の条件が確定すると、利得決定部202によって、可変利得LNA201H、201Lの利得が決定される。
【0086】
具体的には、利得決定部202によって、送信電力が所定の閾値(例えば0dBm)以下であるか否かが判定される(ステップS102)。この判定の結果、送信電力が所定の閾値以下である場合には(ステップS102Yes)、メインアンテナから送信されサブアンテナによって受信される信号の電力が小さく、サブアンテナからの受信信号が増幅器へ入力されても増幅器の電力飽和は発生しない。
【0087】
このため、利得決定部202によって、可変利得LNA201H、201Lにおける減衰が不要と判断され、可変利得LNA201H、201Lの利得を比較的大きい利得とすることが決定される(ステップS201)。そして、利得決定部202によって、可変利得LNA201H、201Lの利得を増幅に適した比較的大きい利得とする利得制御信号が生成され、可変利得LNA201H、201Lの利得が設定される。これにより、サブアンテナから受信された信号は、ダイプレクサ151を経由して可変利得LNA201H又は可変利得LNA201Lへ入力されて低雑音で増幅される。結果として、サブアンテナにおける受信品質が向上し、スループットを向上することができる。
【0088】
一方、送信電力が所定の閾値(例えば0dBm)を超えている場合には(ステップS102No)、利得決定部202によってMIMO通信及びキャリアアグリゲーションが実行されるか否かが判定される(ステップS105)。この判定の結果、MIMO通信及びキャリアアグリゲーションのいずれか一方でも実行されない場合には(ステップS105No)、メインアンテナから送信されサブアンテナによって受信される信号の電力が大きく、サブアンテナからの受信信号が増幅器へ入力されると増幅器の電力飽和が発生する可能性がある。
【0089】
このため、利得決定部202によって、可変利得LNA201H、201Lにおける減衰が必要と判断され、可変利得LNA201H、201Lの利得を所定値以下の利得とすることが決定される(ステップS202)。そして、利得決定部202によって、可変利得LNA201H、201Lの利得を所定値以下の小さい利得とする利得制御信号が生成され、可変利得LNA201H、201Lの利得が設定される。これにより、サブアンテナから受信された信号は、ダイプレクサ151を経由して可変利得LNA201H、201Lへ入力されて減衰される。結果として、可変利得LNA201H、201Lにおける電力飽和を防止することができ、電力飽和によって受信品質が低下することを抑制することができる。
【0090】
また、MIMO通信及びキャリアアグリゲーションの双方が実行される場合には(ステップS105Yes)、Pセル接続に用いられるキャリアが高帯域に属するキャリアであるか否かが判定される(ステップS107)。この判定の結果、高帯域に属するキャリアを用いてPセル接続が行われる場合には(ステップS107Yes)、メインアンテナから大きい送信電力で送信される信号の周波数帯は高帯域であるため、サブアンテナによって受信される高帯域の信号の電力が大きい。
【0091】
このため、利得決定部202によって、高帯域に対応する可変利得LNA201Hにおける減衰が必要と判断され、可変利得LNA201Hの利得を所定値以下の利得とし、可変利得LNA201Lの利得を比較的大きくすることが決定される(ステップS203)。そして、利得決定部202によって、可変利得LNA201Hの利得を所定値以下の小さい利得とし、可変利得LNA201Lの利得を増幅に適した比較的大きい利得とする利得制御信号が生成され、可変利得LNA201H、201Lの利得が設定される。これにより、サブアンテナから受信された信号のうち、高帯域のキャリアの信号は、可変利得LNA201Hへ入力されて減衰され、低帯域のキャリアの信号は、可変利得LNA201Lへ入力されて低雑音で増幅される。結果として、低帯域のキャリアの信号の受信品質が向上し、スループットを向上することができるとともに、電力飽和によって高帯域のキャリアの信号の受信品質が低下することを抑制することができる。
【0092】
一方、低帯域に属するキャリアを用いてPセル接続が行われる場合には(ステップS107No)、メインアンテナから大きい送信電力で送信される信号の周波数帯は低帯域であるため、サブアンテナによって受信される低帯域の信号の電力が大きい。
【0093】
このため、利得決定部202によって、低帯域に対応する可変利得LNA201Lにおける減衰が必要と判断され、可変利得LNA201Lの利得を所定値以下の利得とし、可変利得LNA201Hの利得を比較的大きくすることが決定される(ステップS204)。そして、利得決定部202によって、可変利得LNA201Lの利得を所定値以下の小さい利得とし、可変利得LNA201Hの利得を増幅に適した比較的大きい利得とする利得制御信号が生成され、可変利得LNA201H、201Lの利得が設定される。これにより、サブアンテナから受信された信号のうち、低帯域のキャリアの信号は、可変利得LNA201Lへ入力されて減衰され、高帯域のキャリアの信号は、可変利得LNA201Hへ入力されて低雑音で増幅される。結果として、高帯域のキャリアの信号の受信品質が向上し、スループットを向上することができるとともに、電力飽和によって低帯域のキャリアの信号の受信品質が低下することを抑制することができる。
【0094】
このような可変利得LNA201H、201Lの利得の決定は、受信信号のフレーム単位で実行され、1つのフレームについての判定が完了すると、受信信号に次のフレームがあるか否かが判定される(ステップS104)。この判定の結果、次のフレームがある場合には(ステップS104Yes)、無線通信の条件に基づく可変利得LNA201H、201Lの利得の決定が繰り返される。また、受信信号に次のフレームがない場合には(ステップS104No)、処理が終了する。
【0095】
以上のように、本実施の形態によれば、サブアンテナの受信回路においてキャリアごとのバンドパスフィルタの前段に周波数帯ごとの可変利得LNAを配置する。そして、メインアンテナからの送信電力が大きい場合には、送信に用いられるキャリアが属する周波数帯の可変利得LNAの利得を小さくして信号を減衰し、メインアンテナからの送信電力が小さい周波数帯の可変利得LNAのみで受信信号を増幅する。このため、サブアンテナの受信回路における累積的なNFが小さい段階で、可変利得LNAにおける電力飽和を発生させずに受信信号を増幅することができ、キャリアアグリゲーション時にスループットを向上することができる。