特許第6631298号(P6631298)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6631298
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】操作部用照明装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   F21V 8/00 20060101AFI20200106BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20200106BHJP
【FI】
   F21V8/00 357
   F21Y115:10
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-25094(P2016-25094)
(22)【出願日】2016年2月12日
(65)【公開番号】特開2017-143045(P2017-143045A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2018年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003676
【氏名又は名称】ティアック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001988
【氏名又は名称】特許業務法人小林国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤村 信彦
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/056498(WO,A1)
【文献】 特開2008−300253(JP,A)
【文献】 特開2008−288188(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0097071(US,A1)
【文献】 特開2009−170309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 8/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部が設けられた筐体を有する電子機器に用いられ、前記操作部を照明する操作部用照明装置において、
本体に取り付けられた前記操作部の周囲に配置され、前記操作部の全周のうち少なくとも半分以上を取り囲む周壁と、
前記本体に取り付けられ、前記周壁を覆って、前記筐体の外周面の一部を構成するカバーであって、前記操作部の一部を外部に露出する開口部が形成されたカバーと、
前記周壁に配置され、前記開口部において前記操作部の周囲の隙間から外部に射出する光を発光する光源とを備え、
前記操作部の外周面、前記操作部と対向する、前記周壁の内壁面、および前記カバーの内壁面は、前記光源の光を反射する反射面で形成され
前記光源は、前記周壁の内壁面において、前記操作部を挟んで対向する2つの位置のそれぞれに少なくとも1つずつ設けられ、
前記筐体は、前記操作部の前面が露出される面を正面とした場合に、前記正面と、前記正面と対向する背面と、前記正面と前記背面とを結ぶ前後方向に延びる、上面、下面、および両側面を含む周面とで構成された形状であり、
前記カバーは、前記正面と前記周面の一部を構成する第1カバーであって、
前記開口部は、前記正面において前記操作部の前面を露出する前面部分と、前記前面部分から連続した形態で形成され、前記操作部の側面の一部を露出する側面部分とを含む操作部用照明装置。
【請求項2】
前記光源は、前記対向する2つの位置の一方に設けられた第1光源および第2光源と、他方に設けられた第3光源の少なくとも3つの光源を有しており、
前記第1光源と前記第3光源は、照射方向を前記側面部分に向けて配置され、前記第2光源は前記第1光源の向きと180°反対の向きに配置されている請求項1に記載の操作部用照明装置。
【請求項3】
前記第1カバーの内部に配置される第2カバーを有し、
前記周壁は、前記第2カバーと一体に形成されている請求項2に記載の操作部用照明装置。
【請求項4】
前記操作部と、前記光源が配置される前記周壁との間には、光透過性を有する拡散シートが配されている請求項1から3のいずれか1項に記載の操作部用照明装置。
【請求項5】
前記電子機器は、音声出力端子を有する音響機器であり、
前記操作部は、ボリューム調整つまみである請求項1から4のいずれか1項に記載の操作部用照明装置。
【請求項6】
前記操作部は、金属製である請求項1から5のいずれか1項に記載の操作部用照明装置。
【請求項7】
操作部が設けられた筐体を有する電子機器において、
前記操作部が取り付けられる本体と、
前記操作部の周囲に配置され、前記操作部の全周のうち少なくとも半分以上を取り囲む周壁と、
前記本体に取り付けられ、前記周壁を覆って、前記筐体の外周面の一部を構成するカバーであって、前記操作部の一部を外部に露出する開口部が形成されたカバーと、
前記周壁に配置され、前記開口部において前記操作部の周囲の隙間から外部に射出する光を発光する光源とを備え、
前記操作部の外周面、前記操作部と対向する、前記周壁の内壁面、および前記カバーの内壁面は、前記光源の光を反射する反射面で形成され、
前記光源は、前記周壁の内壁面において、前記操作部を挟んで対向する2つの位置のそれぞれに少なくとも1つずつ設けられ、
前記筐体は、前記操作部の前面が露出される面を正面とした場合に、前記正面と、前記正面と対向する背面と、前記正面と前記背面とを結ぶ前後方向に延びる、上面、下面、および両側面を含む周面とで構成された形状であり、
前記カバーは、前記正面と前記周面の一部を構成する第1カバーであって、
前記開口部は、前記正面において前記操作部の前面を露出する前面部分と、前記前面部分から連続した形態で形成され、前記操作部の側面の一部を露出する側面部分とを含む電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の操作部を照明する操作部用照明装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子機器には、電子機器の操作に用いられる操作部が設けられている。電子機器がヘッドホンアンプなどの携帯型音響機器であれば、操作部は、例えば、ボリュームの調整操作に用いられるボリューム調整つまみなどである。
【0003】
このような電子機器には、操作部を照明する操作部用照明装置を設けることにより、操作部の操作性の向上と装飾性の向上とを図ったものもある。例えば、特許文献1に記載された操作部用照明装置は、アクリル樹脂などの透明材料により形成された操作部と、LEDなどの光源と、操作部の外周面の一部を外部に露出させる開口部を有するカバーとを備えており、操作部を導光部材として使用して、操作部を照明している。
【0004】
特許文献1の操作部用照明装置において、カバー内において光源が発光すると、光源からの光は、カバー内の操作部に入射する。カバーの内壁面は、光源からの光を反射させる反射面で形成されているため、操作部には光源から直接入射する光に加えて、内壁面で反射した反射光が入射する。これにより、カバー内において、光源の光は、操作部の外周面にムラ無く入射する。操作部は透明材料であるため、内部に入射した光は操作部全体に導光される。操作部は、一部がカバーから露出しているので、露出部分の外周面から光が均一に射出する。
【0005】
このように、特許文献1では、操作部を導光部材として機能させることで、均一な照明を可能にして、装飾性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−165213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の操作部用照明装置は、操作部が透明材料でなければならないため、操作部が透明材料で無い場合は、採用することができない。例えば、電子機器の操作パネルや操作パネルに設けられる操作部は、金属製である場合も多く、この場合には操作部を導光部材として使用できないため、特許文献1の操作部用照明装置を採用できない。
【0008】
このため、操作部用照明装置において、操作部に透明材料を使用しない場合でも、操作部の装飾性を向上させたいという要望があった。
【0009】
例えば、操作部が金属製である場合には、操作部の装飾性を向上させるため、操作部の周囲を照明する方法が考えられる。この場合において、操作部の周囲の照明にムラがあると好ましくない。照明ムラをなくす対策としては、操作部の周囲に配置する光源の数を増やしたり、プラスチック製のライトガイドなどの導光部材を使用して、操作部の周囲において照明の光量を均一化する方法が考えられる。しかし、こうした対策は部品点数が増加してコストや設置スペースが増加するという問題を生じる。
【0010】
本発明は、部品点数の増加を抑えつつ、操作部の周囲を均一に照明することができる操作部用照明装置および操作部用照明装置を内蔵した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、操作部が設けられた筐体を有する電子機器に用いられ、操作部を照明する操作部用照明装置であって、本体に取り付けられた操作部の周囲に配置され、操作部の全周のうち少なくとも半分以上を取り囲む周壁と、本体に取り付けられ、周壁を覆って、筐体の外周面の一部を構成するカバーであって、操作部の一部を外部に露出する開口部が形成されたカバーと、周壁に配置され、開口部において操作部の周囲の隙間から外部に射出する光を発光する光源とを備え、操作部の外周面、操作部と対向する、周壁の内壁面、およびカバーの内壁面は、光源の光を反射する反射面で形成され
光源は、周壁の内壁面において、操作部を挟んで対向する2つの位置のそれぞれに少なくとも1つずつ設けられ、筐体は、操作部の前面が露出される面を正面とした場合に、正面と、正面と対向する背面と、正面と背面とを結ぶ前後方向に延びる、上面、下面、および両側面を含む周面とで構成された形状であり、カバーは、正面と周面の一部を構成する第1カバーであって、開口部は、正面において操作部の前面を露出する前面部分と、前面部分から連続した形態で形成され、操作部の側面の一部を露出する側面部分とを含んでいる。
【0014】
光源は、対向する2つの位置の一方に設けられた第1光源および第2光源と、他方に設けられた第3光源の少なくとも3つの光源を有しており、第1光源と第3光源は、照射方向を側面部分に向けて配置され、第2光源は第1光源の向きと180°反対の向きに配置されていることが好ましい。
【0015】
第1カバーの内部に配置される第2カバーを有し、周壁は、第2カバーと一体に形成されていることが好ましい。
【0016】
操作部と、光源が配置される周壁との間には、光透過性を有する拡散シートが配されていることが好ましい。
【0017】
電子機器は、音声出力端子を有する音響機器であり、操作部は、ボリューム調整つまみであることが好ましい。
【0018】
操作部は、金属製であることが好ましい。
【0019】
本発明は、操作部が設けられた筐体を有する電子機器であって、操作部が取り付けられる本体と、操作部の周囲に配置され、操作部の全周のうち少なくとも半分以上を取り囲む周壁と、本体に取り付けられ、周壁を覆って、筐体の外周面の一部を構成するカバーであって、操作部の一部を外部に露出する開口部が形成されたカバーと、周壁に配置され、開口部において操作部の周囲の隙間から外部に射出する光を発光する光源とを備え、操作部の外周面、操作部と対向する、周壁の内壁面、およびカバーの内壁面は、光源の光を反射する反射面で形成され、光源は、周壁の内壁面において、操作部を挟んで対向する2つの位置のそれぞれに少なくとも1つずつ設けられ、筐体は、操作部の前面が露出される面を正面とした場合に、正面と、正面と対向する背面と、正面と背面とを結ぶ前後方向に延びる、上面、下面、および両側面を含む周面とで構成された形状であり、カバーは、正面と周面の一部を構成する第1カバーであって、開口部は、正面において操作部の前面を露出する前面部分と、前面部分から連続した形態で形成され、操作部の側面の一部を露出する側面部分とを含んでいる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、部品点数の増加を抑えつつ、操作部の周囲を均一に照明することができる操作部用照明装置および操作部用照明装置を内蔵した電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】操作部用照明装置を備えた音響機器の外観を示す斜視図である。
図2】カバーを本体から取り外した状態を示す斜視図である。
図3】カバーを本体から取り外した状態を示す正面図である。
図4】カバーを本体から取り外した状態を示す拡大正面図である。
図5】カバーの斜視図である。
図6】カバーを本体から取り外した状態を示す拡大斜視図である。
図7】操作部用照明装置の作用を説明する説明図である。
図8】操作部用照明装置の作用を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1および図2において、電子機器である音響機器10は、例えば、ヘッドホンアンプである。音響機器10には、ボリュームの調整操作に用いられる操作部であるボリューム調整つまみ13が設けられている。
【0023】
ボリューム調整つまみ13は、例えば、外形が円筒形状をしており、その外周面の一部が筐体11の外周面から外部に露出している。筐体11において、ボリューム調整つまみ13の外周面のうち、円形の前面13Aが露出している面を正面とした場合に、筐体11は、正面11Aと、正面11Aと対向する背面11Bと、正面11Aと背面11Bとを結び前後方向に延びる、上面11C、下面11D、および両側面11E、11Fを含む周面とで構成された箱型形状である。周面において、上面11Cと下面11Dと接続する側面11E、11Fは、曲面で構成されており、筐体11の横断面が略長円形状をしている。
【0024】
また、筐体11の正面11Aには、ボリューム調整つまみ13の他に、ヘッドホンケーブルが接続されるヘッドホン端子18と、外部機器(図示せず)からデジタル又はアナログの音声信号を入力するための入力端子19とが設けられている。ヘッドホン端子18は音響機器10の音声出力端子である。
【0025】
背面11Bには、電源端子、USB(Universal Serial Bus)コネクタ、外部機器に音声信号の出力を行うための音声出力端子(いずれも図示せず)なども設けられる。USBコネクタには、外部機器から音声信号の入力と給電との両方が可能なタイプと、音声信号の入力のみが可能なタイプとがある。出力端子は、例えば、アナログの音声信号を外部機器に出力する。
【0026】
側面11Fには、各種の操作を行うための複数の操作スイッチ17が設けられている。操作スイッチ17は、例えば、音声信号のゲインをHIGH/LOWの2値で切り替えるスイッチ、USBを用いた給電のON/OFFを切り替えるスイッチ、音声信号の入力のデジタル/アナログを切り替えるスイッチなどである。
【0027】
音響機器10には、後述するように、ボリューム調整つまみ13の周囲を照明する操作部用照明装置が内蔵されている。このような操作部用照明装置を設けることにより、ボリューム調整つまみ13の操作性や装飾性の向上を図っている。音響機器10においては、ボリューム調整つまみ13は、操作部の中でも操作頻度が高いため、比較的サイズも大きく、筐体11において最も目立つ位置に配置される場合が多い。そのため、ボリューム調整つまみ13に対して操作部用照明装置を設けることによる装飾向上効果は大きい。
【0028】
図2に示すように、筐体11は、本体12と本体12の前面に取り付けられるカバー21とで構成される。カバー21は、第1カバーに相当する。本体12には、その前面に、カバー21の内部に配置される内部カバー(第2カバーに相当する)22が設けられている。符号23は、後述するように、光を拡散する拡散シートである。
【0029】
本体12の内部には、ボリューム調整つまみ13、ヘッドホン端子18、入力端子19などが取り付けられる回路基板(図示せず)などが収容されており、内部カバー22は、本体12の前面において本体12の内部を覆う。内部カバー22には、ボリューム調整つまみ13、ヘッドホン端子18、入力端子19を挿通させる開口が形成されており、内部カバー22が取り付けられた状態において、ボリューム調整つまみ13等は、内部カバー22から外部に露出した状態で配置される。
【0030】
ボリューム調整つまみ13は、回転軸O回りに回転操作が可能とされている。本体12の内部に収容される回路基板には、入力された音声を増幅する増幅回路などの制御回路が設けられている。ボリューム調整つまみ13が回転操作されると、ヘッドホンに出力される音声のボリュームが調整される。ボリューム調整つまみ13は、例えばアルミニウムなどの金属製である。
【0031】
ボリューム調整つまみ13は、回転軸Oと直交する平面である前面13Aと、回転軸O回りの曲面で構成される側面13Bとを有しており、少なくとも側面13Bは、光を反射する反射面で構成される。
【0032】
図3に示すように、内部カバー22には、ボリューム調整つまみ13の周囲に配置される、周壁14が設けられている。周壁14は、例えば、ボリューム調整つまみ13の周囲において、上面11C側を除く、側面11E側、側面11F側、下面11D側、背面11B側に配置されている。すなわち、内部カバー22において、周壁14は、ボリューム調整つまみ13を収容するように凹型で形成されており、ボリューム調整つまみ13の側面13Bと背面と対向する面を有している。このように、ボリューム調整つまみ13は、全周のうち少なくとも半分以上が周壁14に取り囲まれている。
【0033】
周壁14の背面11B側の面には、ボリューム調整つまみ13が取り付けられる回転軸を挿通する挿通穴(図示せず)が形成されている。内部カバー22が取り付けられた状態では、挿通穴から回転軸が突出し、突出した回転軸にボリューム調整つまみ13が差し込まれる。
【0034】
内部カバー22と周壁14は、例えば、プラスチック材料で一体成形されている。内部カバー22の外周面は、周壁14部分を含めた全体に対して、メッキが施されており、これにより周壁14の内壁面は光を反射する反射面となっている。
【0035】
また、周壁14の内壁面において、ボリューム調整つまみ13を挟んで対向する2つの位置には光源15が配置されている。より具体的には、光源15は、周壁14の内壁面において、側面11E側と、側面11F側に位置する2つの対向面14Aのそれぞれに配置されている。光源15は、ボリューム調整つまみ13の周囲を照明するためのものであり、操作部用照明装置の主要部を構成する。
【0036】
図4に示すように、光源15は、本体12の内部に収容される回路基板に設けられた台座16A、16Bに取り付けられる。内部カバー22には、各台座16A、16Bを挿通する切り欠きや開口が形成されている。各台座16A、16Bは、切り欠きや開口を通して、各対向面14Aからボリューム調整つまみ13の側面13Bに向けて突出している。
【0037】
光源15は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。もちろん、LEDに限らず、EL(Electro Luminescence)素子などでもよい。光源15は、2つの対向面14Aの一方に設けられた第1光源15Aと第2光源15Bと、他方の対向面14Aに設けられた第3光源15Cとを有する。
【0038】
台座16A、16Bは、平板形状であり、上面11C側に一方の面(上面)を、下面11D側に他方の面(下面)を向けた状態で配置されている。正面から見て、左側の台座16Aの上面には、第1光源15Aが設けられており、下面には第2光源15Bが設けられている。右側の台座16Bの上面には、第3光源15Cが設けられている。
【0039】
第1光源15Aおよび第3光源15Cは、照射方向を上面11C側に向けて配置され、第2光源15Bは、第1光源15Aの向きと180°反対の向き、すなわち、下面11D側に向けて配置されている。
【0040】
このように配置する理由は、周壁14の上面11C側が開口していることに起因する。すなわち、上面11C側が開口しているため、光源15から上面11C側に向かう光はロスが大きい。光のロスが大きな上面11C側の光量低下を補うために、3つの光源15A〜15Cのうちの2つの光源15A、15Cは、照射方向を上面11C側に向けて配置されている。
【0041】
また、光源15の位置は、ボリューム調整つまみ13の中心から、下面11D側にオフセットされている。オフセットされている理由も、周壁14の上面11C側が開口していることに起因する。つまり、光源15の光はボリューム調整つまみ13の周囲を照明するものであるから、光の多くを、周壁14の内壁面で反射させて、ボリューム調整つまみ13の周囲に回り込ませる必要がある。しかし、光源15の位置が開口に近いと、光のロスが多きく、ボリューム調整つまみ13の下方部分に回り込ませる光量が低下する。そのため、光源15を、開口されている上方側と反対の下方側にオフセットさせることで、光源15が発光する光のうち、ボリューム調整つまみ13の周囲において、下方部分に回り込む量を確保している。
【0042】
また、ボリューム調整つまみ13の側面13Bと、光源15が配置される周壁14との間には、光透過性を有する拡散シート23が配されている(図2も参照)。拡散シート23は、例えば、紙製であり、光源15からの直接光や周壁14で反射した光を一部透過する。拡散シート23を透過して、拡散シート23とボリューム調整つまみ13との間に進入した光は、ボリューム調整つまみ13の側面13Bで反射する。反射光は、一部は拡散シート23を透過するが一部は反射する。こうした光の反射を通じた拡散作用により、ボリューム調整つまみ13の側面13Bの近傍において、側面13Bの外形に沿って光を回り込ませることができる。これにより、ボリューム調整つまみ13の外形に倣って輪郭がはっきりとした照明光を生成することができる。
【0043】
また、拡散作用により、ボリューム調整つまみ13の周囲における照明の均一性も向上する。しかも、拡散シート23を通して光を外部に放出するため、行灯や提灯のような、やわらかな照明を生成することが可能となる。
【0044】
符号31は、拡散シート23を保持するリブであり、周壁14の背面11B側の部分に形成される。ボリューム調整つまみ13の周囲において、リブ31は、ボリューム調整つまみ13の円筒形状の外形に沿った位置に複数個配置されている。例えば、拡散シート23は外力が働いていない状態では帯状をしており、この拡散シート23がリブ31に取り付けられる際に、ボリューム調整つまみ13の外形に合わせて円筒形状に丸められて、その形状が維持されるようにリブ31によって保持される。
【0045】
図5および図6に示すように、カバー21は、周壁14を含む内部カバー22を覆って、筐体11の外周面の一部を構成するカバーである。カバー21は、本体12に取り付けられる。カバー21は、アルミニウムなどの金属製であり、図5に示すように、カバー21の内壁面21Aは、光を反射する反射面である。
【0046】
カバー21は、外周面が、筐体11の正面11Aと、上面11C、下面11D、および側面11E、11Fを含む周面の一部とを構成する。カバー21は、内部が空洞となっているカップ形状であり、内部に内部カバー22が配置される。また、カバー21は、周面を構成する後端部から、正面11Aを構成する前端部に向けて先細となるように傾斜したテーパ形状となっている。カバー21には、ボリューム調整つまみ13の一部を外部に露出する開口部27が形成されている。
【0047】
開口部27は、カバー21が本体12に取り付けられた状態において、正面11Aにおいてボリューム調整つまみ13の前面13Aを露出する前面部分27Aと、前面部分27Aから連続した形態で形成され、ボリューム調整つまみ13の側面13Bの一部を露出する側面部分27Bとを有する。側面部分27Bは、カバー21の正面11Aから周面に向かう部分を切り欠くことによって形成される。
【0048】
こうした開口部27の形状により、ボリューム調整つまみ13の側面13Bの一部を外部に露出させることができるため、ボリューム調整つまみ13を正面11Aから突出させなくても、ボリューム調整つまみ13の操作が可能となる。つまり、ボリューム調整つまみ13を突出させない態様とすることで、正面11Aのデザイン性を確保しつつ、開口部27の側面部分27Bから側面13Bを露出させることによって良好な操作性を確保している。
【0049】
図1に示すように、カバー21が取り付けられた状態では、開口部27において、ボリューム調整つまみ13の周囲には隙間30が形成される。この隙間から、カバー21内部にある光源15の光がカバー21の外部に射出される。本例において、ボリューム調整つまみ13を照明する操作部用照明装置は、周壁14、カバー21、光源15および拡散シート23で構成される。
【0050】
本体12とカバー21は、カバー21を、内部カバー22を覆うように取り付けた状態で、例えば、ネジ止めされることにより、両者が結合されて音響機器10が組み立てられる。
【0051】
図6に示すように、カバー21には、ヘッドホン端子18をカバー21の外部に露出させるためのヘッドホン端子用開口24と、入力端子19をカバー21の外部に露出させるため入力端子用開口25とが形成されている。ヘッドホン端子用開口24によりヘッドホンケーブルが接続可能となり、入力端子用開口25により外部機器用ケーブルが接続可能となっている。
【0052】
次に、音響機器10の操作部用照明装置の作用について説明する。図7および図8に示すように、本体12にカバー21が取り付けられた状態では、周壁14を含む内部カバー22が覆われる。また、本体12に取り付けられたボリューム調整つまみ13の側面13Bについても、左右と下方部分がカバー21によって覆われる。ボリューム調整つまみ13の前面13Aと側面13Bの上方部分は、開口部27から外部に露出される。
【0053】
音響機器10の電源を入れると、光源15が点灯する。光源15は、周壁14に配置されており、ボリューム調整つまみ13の側面13Bと周壁14の対向面14Aとの間に位置する。開口部27において、ボリューム調整つまみ13の周囲には隙間30が形成されている。この隙間30から、光源15の光がカバー21の外部に射出される。これにより、ボリューム調整つまみ13の周囲が照明される。
【0054】
光源15は、周壁14に配置されており、ボリューム調整つまみ13の側面13Bと周壁14との間に位置する。ボリューム調整つまみ13の側面13Bと、周壁14の対向面14Aと、カバー21の内壁面21Aとは、光を反射させる反射面となっている。このため、光源15の光は、各反射面により反射を繰り返して多方向に拡散される。こうした拡散作用によって光は伝播して、ボリューム調整つまみ13の周囲に回り込む。このため、隙間30から射出される光は、照度ムラが無く、ボリューム調整つまみ13の周囲において光量が均一となる。
【0055】
また、本例では、周壁14とボリューム調整つまみ13との間に、拡散シート23が配置されているため、さらに拡散効果が向上する。すなわち、光源15の光は、一部は拡散シート23を透過する。そして、透過した光は、ボリューム調整つまみ13の側面13Bで反射し、反射光の一部は拡散シート23で反射して、再び側面13Bで反射する。こうした光の反射を通じた拡散作用により、ボリューム調整つまみ13の側面13Bの近傍において、側面13Bの外形に沿って光を回り込ませることができる。これにより、ボリューム調整つまみ13の外形に倣って輪郭がはっきりとした照明光を生成することができる。
【0056】
また、拡散作用により、ボリューム調整つまみ13の周囲における照明の均一性も向上する。しかも、拡散シート23を通して光を外部に放出するため、行灯や提灯のような、やわらかな照明を生成することが可能となり、照明の装飾効果が向上する。なお、拡散シート23は、光透過性を有する樹脂製のシートであってもよい。白色の光透過性シートであれば、紙製のシートと同じ効果を得ることができる。
【0057】
本例の操作部用照明装置は、ボリューム調整つまみ13の側面13B、周壁14、カバー21の内壁面21Aを反射面として利用して、光を拡散させる構成である。そのため、例えば、ボリューム調整つまみ13の周囲に多数の光源を配置したり、光を導光するプラスチック製のライトガイドなどを使用する場合と比較して、部品点数の増加を抑えつつ、ボリューム調整つまみ13などの操作部の周囲を均一に照明することができる。
【0058】
本例のような音響機器10は、携帯型であるため、部品点数が減ることによる、部品コストや部品の設置スペースの低下によるメリットが大きいため、本発明は特に有効である。
【0059】
また、本例では、周壁14等に加えて、拡散シート23を使用しているが、拡散シート23は、プラスチック製のライトガイドなどの導光部材と比較すると、部品コストや設置スペースも小さくて済む。そのため、拡散シート23を設けた場合でも、部品コストや設置スペースの低下によるメリットは得られる。
【0060】
さらに、周壁14は、内部カバー22と一体に形成されているため、内部カバー22と別体で形成する場合と比べて、部品コストや設置スペースの点でさらに有利である。
【0061】
また、本例の開口部27には、ボリューム調整つまみ13の側面13Bのうち、上面11C側を露出する側面部分27Bが形成されている。そして、側面部分27Bと対向して、周壁14の上面11C側も開口している。このため、光源15から上面11C側に向かう光はロスが大きく、光量が低下する。そのため、3つの光源15A〜15Cのうちの2つの光源15A、15Cは、照射方向を上面11C側に向けて配置され、上方部分における光量低下が抑えられる。
【0062】
また、各光源15A〜15Cは、ボリューム調整つまみ13の下方側にオフセットして配置されている。これにより、ボリューム調整つまみ13の周囲において、下方部分に回り込む量を確保している。
【0063】
また、本例では、ボリューム調整つまみ13、カバー21をアルミニウムなどの金属製としている。金属は、電磁ノイズの対策に有利であるため、信号ノイズの低減要求の高いヘッドホンアンプなどの音響機器10に対して、用いられることが多い。金属製の部品であれば、反射面を形成することは容易であるため、本発明を適用しやすい。もちろん、ボリューム調整つまみ13、カバー21は全体が金属製でなくてもよく、例えば、周壁14のように樹脂材料にメッキを施して反射面を形成したものでもよい。また、周壁14についても金属製としてもよい。
【0064】
また、開口部27は、側面部分27Bを有していなくてもよく、前面部分27Aのみでもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、拡散シート23を設けた例で説明したが、拡散シート23を設けなくてもよい。もちろん、上述した通り、拡散シート23を設けることにより、拡散効果や装飾効果が向上するため、拡散シート23が設けられていることが好ましい。
【0066】
なお、上記実施形態では、操作部用照明装置は、操作部をボリューム調整つまみ13とした例で説明したが、ボリューム調整つまみ13以外の操作部にも適用可能である。操作部としては、回転操作される操作部だけでなく、押圧操作される押しボタンでも良い。
【0067】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 音響機器
11 筐体
12 本体
13 ボリューム調整つまみ
13A 前面
13B 側面
14 周壁
14A 対向面
15 光源
15A 第1光源
15B 第2光源
15C 第3光源
21 カバー
21A 内壁面
22 内部カバー
23 拡散シート
27 開口部
27A 前面部分
27B 側面部分
30 隙間
31 リブ
図1
図2
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図6
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図8