(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のチップ部品が、インダクタチップ、コンデンサチップ、メモリチップ、抵抗器チップ、集積回路チップ、およびMEMS(Micro Electro Mechanical System)チップのうちの少なくとも一種を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマルチチップモジュール。
前記複数のチップ部品が、コントローラチップと、前記コントローラチップによって制御されるパワートランジスタチップと、インダクタチップと、抵抗器チップとを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマルチチップモジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このマルチチップモジュールは、複数のチップを介在基板で支持する構造であるので、その小型化には、介在基板の加工精度に起因する限界がある。リードフレームのような金属基板上に複数のチップを搭載してマルチチップモジュールを製造する場合にも同様に、リードフレームの微細加工限界に応じて、小型化の限界に遭遇する。
この発明の一つの目的は、小型化に有利な構造のマルチチップモジュールおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、電極をそれぞれ有する複数のチップ部品と、前記複数のチップ部品を封止する封止樹脂と、前記封止樹脂の外表面から露出するように前記封止樹脂に固定され、少なくとも一つの前記チップ部品の前記電極に電気的に接続された外部接続端子とを含む、マルチチップモジュールを提供する。
この構成によれば、封止樹脂内に複数のチップ部品が共通に封止されることにより、マルチチップモジュールが構成されている。すなわち、複数のチップ部品によって高度な機能(複合的な機能)を提供する一つの電子部品が構成されている。少なくとも一つのチップ部品の電極は外部接続端子に接続されている。この外部接続端子によって、マルチチップモジュールが外部の電気/電子回路に接続される。外部接続端子は、封止樹脂の外表面から露出するように封止樹脂に固定されている。すなわち、チップ部品を封止する封止樹脂の表面に外部接続端子が配置されている。そのため、介在基板やリードフレームといった支持基板を要することなく外部接続が可能な構造となっている。したがって、マルチチップモジュールの小型化を図る際に、支持基板の加工精度による制限を受けることがないので、支持基板の加工精度の限界を超えた小型化を達成することが可能である。
【0006】
この発明の一実施形態では、前記外部接続端子と前記封止樹脂との間に支持基板が介在せず、前記複数のチップ部品が前記封止樹脂によって支持されている。
この構成によれば、外部接続端子と封止樹脂との間に、介在基板(インターポーザ)やリードフレームといった支持基板が介在していないので、マルチチップモジュールを小型化する際に、支持基板の加工精度等の限界が制限となることがない。
【0007】
この発明の一実施形態では、前記複数のチップ部品のうちの少なくとも2つを電気的に接続する内部配線が前記封止樹脂内に封止されている。
この構成により、封止樹脂内に封止された内部配線によって複数のチップ部品が電気的に接続されている。それによって、封止樹脂内の内部配線を介して、高度な機能を実現する電子回路がマルチチップモジュール内に形成されている。したがって、少ない外部接続端子数で高度な機能を提供できるマルチチップモジュールを実現できる。それにより、一層の小型化が可能になる。
【0008】
この発明の一実施形態では、前記封止樹脂は、前記複数のチップ部品を内部に封止し、かつ一表面から露出するように前記内部配線が形成された第1樹脂部と、前記内部配線を被覆するように前記第1樹脂部の前記一表面を覆う第2樹脂部とを含み、前記外部接続端子が前記第2樹脂部から露出するように形成されている。
この構成によれば、第1樹脂部の一つの表面から露出するように内部配線が形成され、その内部配線が第2樹脂部で覆われることによって、内部配線が封止樹脂内に封止されている。これにより、比較的簡単な製造工程を経て、内部配線を封止樹脂内に封止した構造のマルチチップモジュールを提供できる。
この発明の一実施形態では、前記第2樹脂部は、前記内部配線の一部を露出させるパッド開口を有する。この場合、前記外部接続端子は、前記パッド開口を介して前記内部配線に接合される。
この発明の一実施形態では、前記外部接続端子は、前記第2樹脂部の表面に接着するように形成されて、前記封止樹脂に固定されている。
この発明の一実施形態では、前記外部接続端子は、前記パッド開口に入り込んで、当該パッド開口内を満たすように形成されている。
【0009】
この発明の一実施形態では、前記複数のチップ部品は、平面視において、重なり合わないように配置された少なくとも2つのチップ部品を含む。「平面視」とは、マルチチップモジュールが実装される面(たとえば、実装配線基板のパターン形成面)の法線方向から視ることをいう。
この構成では、少なくとも2つのチップ部品が平面視において重なり合わずに配置(いわゆるサイドバイサイド配置)されている。それにより、マルチチップモジュールの低背化を図ることができる。
【0010】
この発明の一実施形態では、前記複数のチップ部品は、平面視において、重なり合うように配置された少なくとも2つのチップ部品を含む。
この構成では、少なくとも2つのチップ部品が平面視において重なり合っており、したがって、当該2つのチップ部品が立体的に配置されている。これにより、マルチチップモジュールの平面視におけるサイズが小さくなるので、実装時の占有面積を小さくできる。
【0011】
チップ部品同士の重なり合いは、部分的な重なり合いであってもよいし、全体的な重なり合いであってもよい。全体的な重なり合いとは、一方のチップ部品の全部が他方のチップ部品に重なり合っていることをいう。
この発明の一実施形態では、前記マルチチップモジュールが、前記複数のチップ部品のうちの第1チップ部品の前記電極と前記封止樹脂の一表面との間に配置された導電材料からなるスペーサをさらに含み、前記第1チップ部品と前記封止樹脂の前記一表面との間に、前記複数のチップ部品のうちの第2チップ部品の少なくとも一部が配置されている。
【0012】
この構成によれば、スペーサによって第1チップ部品がかさ上げされることにより、第2チップ部品の配置スペースが第1チップ部品と封止樹脂の表面との間に確保される。こうして、複数のチップ部品を立体的に配置できる。
スペーサは導電材料からなるので、第1チップ部品の電極と外部接続端子または内部配線との間の導電路として利用できる。それにより、第1チップ部品および第2チップ部品の両方を内部配線または外部接続端子に接続することができる。
【0013】
この発明の一実施形態では、前記複数のチップ部品が、機能の異なる複数種類のチップ部品を含む。これにより、複数種類のチップ部品の組み合わせによって高度な機能を実現したマルチチップモジュールを提供できる。もちろん、前記複数のチップ部品は、機能が等しい同種のチップ部品を含んでいてもよい。
この発明の一実施形態では、前記複数のチップ部品が、インダクタチップ、コンデンサチップ、メモリチップ、抵抗器チップ、集積回路チップ、およびMEMS(Micro Electro Mechanical System)チップのうちの少なくとも一種を含む。
【0014】
この発明の一実施形態では、前記複数のチップ部品が、電源ドライバチップと、インダクタチップと、抵抗器チップとを含む。これにより、電源機能を有するマルチチップモジュールを提供できる。
この発明の一実施形態では、前記インダクタチップの下方に前記電源ドライバチップが配置され、平面視において前記電源ドライバチップが前記インダクタチップに完全に重なっている。これにより、平面視におけるサイズを小型化したマルチチップモジュールを提供できる。
【0015】
この発明の一実施形態では、前記複数のチップ部品が、コントローラチップと、前記コントローラチップによって制御されるパワートランジスタチップと、インダクタチップと、抵抗器チップとを含む。これにより、コントローラチップとパワートランジスタチップを個別のチップで構成したマルチチップモジュールによって電源回路を提供できる。
この発明の一実施形態では、前記抵抗器チップが、平面視において前記インダクタチップとの重なり部分を有しないように配置されている。この構成は、とくに、抵抗器チップの高さが電源ドライバチップの高さよりも高い場合に好ましい。それにより、インダクタチップを可能な限り低い位置に配置できるので、マルチチップモジュールの低背化を図ることができる。
【0016】
とりわけ、平面視において、電源ドライバチップの大きさが抵抗器チップよりも大きい場合には、マルチチップモジュールの平面視におけるサイズを縮小しながら同時に低背化を図ることができる。
この発明は、配線転写基板に内部配線を形成する工程と、前記配線転写基板上に複数のチップ部品を配置し、前記チップ部品の電極を前記内部配線に接合する工程と、前記配線転写基板上に配置された複数のチップ部品および前記内部配線を樹脂で封止する工程と、前記配線転写基板を前記樹脂から除去し、前記内部配線を前記樹脂へと転写する工程と、前記内部配線を介して少なくとも一つの前記チップ部品に電気的に接続される外部接続端子を前記樹脂から露出するように当該樹脂に固定する工程とを含む、マルチチップモジュールの製造方法を提供する。
【0017】
この方法によれば、配線転写基板上に微細な内部配線を形成することによって、小さな領域に複数のチップ部品を配置できる。そして、配線転写基板上で複数のチップ部品を封止した後に、配線転写基板が除去されるので、支持基板がなく、封止樹脂で複数のチップ部品を支持する構造のマルチチップモジュールを製造できる。外部接続は、樹脂から露出するように当該樹脂に固定される外部接続端子によって達成される。支持基板を用いない構造であるので、支持基板の加工精度による制限を受けることがなく、小型化に有利である。
【0018】
この発明の一実施形態では、前記製造方法は、前記内部配線を転写する工程の後に、前記内部配線を覆う樹脂膜を前記樹脂の表面に形成する工程と、前記樹脂膜に、前記内部配線の一部を露出させるパッド開口を形成する工程とをさらに含み、前記外部接続端子を固定する工程が、前記パッド開口を介して前記内部配線に接合するように前記樹脂膜上に前記外部接続端子を形成する工程を含む。この方法により、内部配線を樹脂中に封止した構造のマルチチップモジュールを製造できる。
この発明の一実施形態では、前記外部接続端子は、前記樹脂膜の表面に接着するように形成される。
また、この発明の一実施形態では、前記外部接続端子を形成する工程において、前記パッド開口に入り込んで、当該パッド開口を満たすように前記外部接続端子が形成される。
【0019】
この発明の一実施形態では、前記配線転写基板上に複数のマルチチップモジュールにそれぞれ対応する複数の領域が設定されており、前記各工程が前記複数の領域に対して同時に実行され、前記チップ部品および前記内部配線を封止する工程が、前記複数の領域に渡る連続した前記樹脂で一括して封止する工程であり、前記製造方法が、前記樹脂を切断して前記複数の領域に分割する個片化工程をさらに含む。この方法により、複数のマルチチップモジュールを一括して製造できるので、量産に有利である。
【0020】
たとえば、配線転写基板への内部配線の形成は、半導体装置の製造工程を利用して実現できる。すなわち、半導体製造装置で取り扱うことができる大きさおよび形状の配線転写基板を用いることによって、半導体装置の製造工程を利用して内部配線を形成できる。それにより、微細な内部配線を形成できる。その内部配線上に複数のチップ部品を配置して、一括樹脂封止し、さらにその樹脂を切断する工程を経て、複数のマルチチップモジュールを得ることができる。このような方法を採用すれば、介在基板やリードフレームといった支持基板を用いる場合よりも高密度で、マルチチップモジュールのための複数の領域を配線転写基板上に設定できる。そのため、一度に多数のマルチチップモジュールを製造することができるので、高い生産性を実現できる。
【0021】
この発明の一実施形態では、前記内部配線を形成する工程が、厚膜部と、前記厚膜部よりも膜厚の小さい薄膜部とを含む前記内部配線を形成する工程を含み、前記複数のチップ部品のうちの第1チップ部品を前記厚膜部上に配置し、前記複数のチップ部品のうちの第2チップ部品を前記薄膜部に配置する。この方法により、第1および第2チップ部品を高さを異ならせて立体的に配置できる。このような立体配置によって、マルチチップモジュールの小型化を図ることができる。
【0022】
この発明の一実施形態では、前記第1チップ部品および前記第2チップ部品を、平面視において重なり合うように配置する。この方法では、第1および第2チップ部品が平面視において重なり合っているので、マルチチップモジュールの平面視における占有面積を小さくすることができる。内部配線の厚膜部は、第1チップ部品をかさ上げして配置するためのスペーサとして機能し、これによって確保されたスペースに第2チップ部品の一部または全部を配置することができる。
【0023】
この発明の一実施形態では、前記第2チップ部品を、平面視において前記第1チップ部品に完全に重なるように配置する。この方法により、マルチチップモジュールの平面視における占有面積を一層小さくできる。
この発明の一実施形態では、前記複数のチップ部品のうちの第3チップ部品を、平面視において前記第1チップ部品および前記第2チップ部品のいずれとも重なり合わないように配置する。この方法により、第3チップ部品は、第1または第2チップ部品に対して、いわゆるサイドバイサイド配置される。それにより、マルチチップモジュールの低背化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係るマルチチップモジュールの斜視図であり、
図2は、その底面図である。
マルチチップモジュール1は、パッケージ本体2を含む。パッケージ本体2は、この実施形態では、扁平な直方体形状を有し、一つの表面2aと、一つの底面2bと、4つの側面2cとを有している。4つの側面2cは、表面2aおよび底面2bの互いに対向する4対の辺にそれぞれ連なり、表面2aおよび底面2bを接続している。パッケージ本体2は、封止樹脂3を含む。封止樹脂3は、たとえばエポキシ樹脂を含む。
【0026】
パッケージ本体2の底面2bには、複数(この実施形態では6個)の外部接続端子5がパッケージ本体2から露出するように形成されている。複数の外部接続端子5は、この実施形態ではそれぞれほぼ矩形状に形成されており、互いに間隔を空けて配置されている。この実施形態では、複数の外部接続端子5は底面2bの周縁に沿って配列されている。より具体的には、矩形の底面2bの長手方向に沿う一対の長辺に沿って3つずつの外部接続端子5が間隔を空けて配列されている。各外部接続端子5は、パッケージ本体2の側面2cから内方に間隔を空けて配置されている。各外部接続端子5は、たとえば、半田によって、実装基板(図示せず。)に設けられた配線に接続される。
【0027】
図3は、マルチチップモジュール1の内部の構成を透視して表した平面図であり、
図4は、
図3のIV−IV線断面図である。マルチチップモジュール1は、封止樹脂3内に共通に封止された複数のチップ部品10を含む。複数のチップ部品10は、この実施形態では、一つのインダクタチップ11と、1つの集積回路チップ12と、2つの抵抗器チップ(チップ抵抗器)13,14とを含む。
【0028】
インダクタチップ11は、平面視においてほぼ矩形に形成されており、長手方向両端部に一対の電極11a,11bを備えている。電極11a,11bは、たとえばアルミニウムからなる。インダクタチップ11は、この実施形態では、封止樹脂3に封止された複数のチップ部品10のなかで、最も大きなチップ部品であり、平面視における面積および断面視(
図4参照)における厚みがいずれも最大である。インダクタチップ11は、平面視においてパッケージ本体2の一つの長辺を成す側面2cの近傍に、その長手方向を当該側面2cに整合させて配置されている。
【0029】
集積回路チップ12は、平面視においてほぼ矩形に形成されており、一対の長辺に沿って3個ずつ配列された合計6個の電極12a,12b,12c,12d,12e,12fを底面に有している。電極12a〜12fは、たとえばアルミニウムからなる。集積回路チップ12は、この実施形態では、平面視において、その全体がインダクタチップ11と重なり合っていて、インダクタチップ11とパッケージ本体2の底面2bとの間のスペースに配置されている。
【0030】
抵抗器チップ13,14は、平面視においてほぼ矩形に形成されており、長手方向両端部に一対の電極13a,13b;14a,14bを備えている。電極13a,13b;14a,14bは、たとえばアルミニウムからなる。抵抗器チップ13,14は、パッケージ本体2の平面視において長辺を成す一つの側面2cの近傍に、その長手方向を当該側面2cと平行に整合させて配置されている。そして、2つの抵抗器チップ13,14が、当該側面2cの平面視における長手方向に沿って配列されている。平面視において、抵抗器チップ13,14とインダクタチップ11とは全く重なり合っていない。抵抗器チップ13,14の平面視における大きさは、集積回路チップ12よりも小さい。
図4に表れているように、抵抗器チップ13,14は、集積回路チップ12よりも厚く、それらの上面は、インダクタチップ11の底面よりも上に位置している。
【0031】
封止樹脂3において、パッケージ本体2の底面2bに近い位置には、内部配線20が封止樹脂3内に封止されている。内部配線20は、たとえば、銅またはニッケルからなる。内部配線20は、インダクタチップ11の電極11a,11bの下方に対応する領域に厚膜部21を有し、その他の領域の内部配線20は、厚膜部21よりも薄い薄膜部22である。厚膜部21は、インダクタチップ11をかさ上げして集積回路チップ12を配置するためのスペースをインダクタチップ11の下方に確保するスペーサである。厚膜部21には、インダクタチップ11の電極11a,11bが半田25を介して接合されている。薄膜部22には、集積回路チップ12および抵抗器チップ13,14の電極12a〜12f,13a,13b,14a,14bが半田26,27,28を介して接合されている。
【0032】
封止樹脂3は、第1樹脂部31と、第2樹脂部32とを含む。第1樹脂部31内に、複数のチップ部品10が共通に封止されている。内部配線20は、第1樹脂部31の底面31aから露出している。第1樹脂部31の底面31aおよび内部配線20を覆うように、薄膜状の第2樹脂部32が形成されている。それによって、封止樹脂3は、内部配線20をチップ部品10とともに封止している。
【0033】
外部接続端子5は、第2樹脂部32の底面32aに形成されており、それによって、封止樹脂3から露出した状態で当該封止樹脂3に固定されている。第2樹脂部32には、内部配線20を外部接続端子5に接続するためのパッド開口32bが形成されている。このパッド開口32b内に外部接続端子5が入り込んで内部配線20に接合している。
図5は、マルチチップモジュール1の製造工程の一例を説明するための工程流れ図である。また、
図6は、その製造工程において用いられる配線転写基板の平面図であり、
図7は、
図6に示す領域D1の拡大平面図である。
【0034】
マルチチップモジュール1の製造に際して、配線転写基板40が用意される(ステップS1)。配線転写基板40は、この実施形態では、平面視略円形状の円板である(
図6の実線参照)。配線転写基板40は、平面視略円形状の円板に代えて、平面視略矩形状の平板であってもよい(
図6の二点鎖線参照)。
配線転写基板40は、封止樹脂3(とくに第1樹脂部31)および内部配線20から除去(剥離および/またはエッチング)可能な板状部材であることが好ましい。封止樹脂3および内部配線20から剥離可能な板状部材は、ステンレスまたは銅を含む金属板であることが好ましい。また、封止樹脂3および内部配線20の剥離を容易にするポリマー被膜を形成した板状部材(金属板または半導体板)を配線転写基板40として用いてもよい。他方、エッチングにより封止樹脂3から除去可能な板状部材は、半導体板であってもよい。半導体板は、シリコンウエハであってもよい。
【0035】
図7に示すように、配線転写基板40の一表面であるパターン形成面41には、複数のマルチチップモジュール1に対応する複数の配置領域42が設定されている。複数の配置領域42は、この実施形態では、行方向および当該行方向に直交する列方向に沿って、互いに間隔を空けて行列状に設定されている。
図7では、理解を容易にするために、各配置領域42に複数のチップ部品10を配置した状態を示す(
図8B参照)。
【0036】
図8A〜
図8Fは、主要な工程を説明するための断面図である。
図8Aに示すように、配線転写基板40が用意された後、配線転写基板40のパターン形成面41に内部配線20が形成される(ステップS2)。この実施形態では、各配置領域42のそれぞれに、マルチチップモジュール1の内部配線20が形成される。内部配線20は、銅膜、金膜またはニッケル膜の単膜からなっていてもよいし、それらの任意の2種以上の積層膜からなっていてもよい。また、内部配線20は、配線転写基板40上に形成された金膜と、金膜上に形成されたニッケル膜とを含む積層膜からなっていてもよい。
【0037】
内部配線20は、前述のとおり、厚膜部21と薄膜部22とを有している。たとえば、厚膜部21および薄膜部22の両方に対応する領域に薄い導体膜を形成した後、薄膜部22に対応する領域をマスクして当該薄い導体膜上に導体をさらに堆積させて厚膜部21を形成してもよい。
一方、チップ部品10は、別の製造工程を経てそれぞれ作製される(ステップS3)。その際、各チップ部品10の電極には、半田がめっきされる(ステップS4)。
【0038】
次に、
図8Bに示すように、チップ部品10が配線転写基板40上の内部配線20に半田25〜28により接合される(ステップS5)。より具体的には、
図3を併せて参照すると、集積回路チップ12の電極12a〜12fが配線転写基板40のパターン形成面41に対向させられ、それらの電極12a〜12fが、半田26を介して内部配線20の薄膜部22に接合される。同様に、抵抗器チップ13,14の電極13a,13b,14a,14bが、配線転写基板40のパターン形成面41に対向させられ、それらの電極13a,13b,14a,14bが、半田27,28(
図4参照)を介して内部配線20の薄膜部22に接合される。そして、インダクタチップ11の電極11a,11bが配線転写基板40のパターン形成面41に対向させられ、それらの電極11a,11bが、半田25を介して内部配線20の厚膜部21に接合される。こうして、チップ部品10が、配線転写基板40に対してフリップチップ接合される。インダクタチップ11の接合は集積回路チップ12の後でなければならないが、それ以外には、チップ部品10の接合順に制限はない。配線転写基板40へのチップ部品10の接合は、具体的には、自動実装機を用いて実行される。
【0039】
チップ部品10の底面と配線転写基板40のパターン形成面41との間には、内部配線20および半田25〜28の高さに応じた空間が形成される。厚膜部21上にかさ上げされて配置されるインダクタチップ11の底面の高さは、薄膜部22上に配置される集積回路チップ12および抵抗器チップ13,14の底面の高さよりも高い。それにより、インダクタチップ11の下方に,集積回路チップ12を収容するための空間が確保されている。
【0040】
次に、
図8Cに示すように、チップ部品10が配線転写基板40に固定された状態で、たとえばエポキシ樹脂によるコーティングまたはモールドにより、複数の配置領域42に配置された複数のチップ部品10が第1樹脂部31(封止樹脂3)により一括して封止される(ステップS6)。第1樹脂部31は、複数の配置領域42に渡って連続しており、配線転写基板40上に配置された全てのチップ部品10および内部配線20を一括して封止する。第1樹脂部31は、配線転写基板40と各チップ部品10との間に形成された隙間を満たし、かつ、各チップ部品10の側面および底面を覆う。アンダーフィルを実施することにより、配線転写基板40と各チップ部品10との間の隙間に第1樹脂部31を満たしてもよい。その後、第1樹脂部31に熱が加えられて第1樹脂部31が、硬化される。これにより、内部配線20が、チップ部品10とともに第1樹脂部31に被覆されて、複数の配置領域42のチップ部品10が第1樹脂部31により一括して封止された封止構造35が形成される。
【0041】
次に、
図8Dに示すように、封止構造35から配線転写基板40が除去(この例では剥離)される(ステップS7)。配線転写基板40が封止構造35から除去されることにより、配線転写基板40に形成された内部配線20が、配線転写基板40から封止構造35(第1樹脂部31)に転写される。封止構造35に転写された内部配線20は、配線転写基板40に接続されていた面が、封止構造35の底面から露出する。
【0042】
次に、
図8Eに示すように、封止構造35が第1樹脂部31の底面31aを露出するようにフレキシブルテープ45上に支持される。そして、第2樹脂部32を構成する樹脂膜(絶縁膜)が封止構造35の底面に形成される(ステップS8)。第2樹脂部32は、第1樹脂部31の底面31aを被覆し、第1樹脂部31から露出する内部配線20の表面を被覆する。第2樹脂部32は、たとえばポリイミド膜からなっていてもよい。この場合、たとえば、感光性ポリイミドの樹脂膜が封止構造35の底面に塗布される。第2樹脂部32(樹脂膜)は、パッド開口32bに対応するパターンで露光された後、現像される。それにより、パッド開口32bが第2樹脂部32に形成される(ステップS9)。その後、必要に応じて、第2樹脂部32(樹脂膜)をキュアするための熱処理が行われる。
【0043】
次いで、たとえば無電解めっきまたは電解めっきにより、パッド開口32bを含む領域に、ニッケル膜および金膜が順に成膜されて、外部接続端子5が第2樹脂部32の表面に形成される(ステップS10)。外部接続端子5は、パッド開口32bを介して内部配線20に接合し、かつ第2樹脂部32の表面に接着して固定される。
次に、
図8Fに示すように、複数のマルチチップモジュール1に対応する複数の領域(配置領域42に対応する領域)の間に線状(格子状)に設定された切断領域50に沿って封止樹脂3が切断される(ステップS11)。これにより、封止構造35が、複数のチップ部品10をそれぞれ含む複数のマルチチップモジュール1に個片化される。この実施形態では、個片化された各封止構造体が複数のチップ部品を含む。このようにして、複数のチップ部品10が封止樹脂3内に共通に封止されたマルチチップモジュール1が製造される。
【0044】
以上のように、この実施形態によれば、封止樹脂3内に複数のチップ部品10を共通に封止したマルチチップモジュール1が提供される。複数のチップ部品10は、内部配線20によって電気的に接続されて高度な(複合的な)機能を有する電子回路を構成している。少なくとも一つのチップ部品10の電極が内部配線20を介して外部接続端子5に電気的に接続されており、その外部接続端子5によって、マルチチップモジュール1が外部の電気/電子回路に接続される。外部接続端子5は、封止樹脂3の外表面から露出するように封止樹脂3に固定されている。すなわち、チップ部品10を封止する封止樹脂3の表面に外部接続端子5が配置されているので、介在基板やリードフレームといった支持基板を備えることなく外部接続が可能な構造を実現している。したがって、マルチチップモジュール1の小型化を図る際に、支持基板の加工精度による制限を受けることがないので、支持基板の加工精度の限界を超えた小型化を達成することが可能である。
【0045】
また、封止樹脂3内の内部配線20によって複数のチップ部品10が封止樹脂3内で互いに接続されているので、少ない外部接続端子数で複合的な機能を提供できるマルチチップモジュール1を実現できる。それにより、一層の小型化が可能になる。
この実施形態では、封止樹脂3は、複数のチップ部品10を内部に封止し、かつ一表面から露出するように内部配線20が形成された第1樹脂部31と、内部配線20を被覆するように第1樹脂部31の当該一表面を覆う第2樹脂部32とを含む。そして、外部接続端子5が第2樹脂部32から露出するように形成されている。この構成により、比較的簡単な製造工程を経て、内部配線20を封止樹脂3脂内に封止した構造のマルチチップモジュールを提供できる。
【0046】
また、この実施形態では、集積回路チップ12と抵抗器チップ13,14とが平面視において重なり合わないように配置(いわゆるサイドバイサイド配置)されている。また、インダクタチップ11と抵抗器チップ13,14とが、サイドバイサイド配置されている。さらに、抵抗器チップ13,14同士もサイドバイサイド配置されている。それにより、マルチチップモジュール1の低背化を図ることができる構造となっている。
【0047】
その一方で、インダクタチップ11と集積回路チップ12とは、平面視において、重なり合うように配置されている。そして、インダクタチップ11と抵抗器チップ13,14とは、平面視において重なり合わないように、かつ底面の高さを異ならせて、配置されている。このような立体配置によって、マルチチップモジュール1の平面視におけるサイズが小さくなるので、実装時の占有面積を小さくできる。とくに、この実施形態では、抵抗器チップ13,14の高さが集積回路チップ12の高さよりも高く、かつ平面視における大きさは集積回路チップ12の方が抵抗器チップ13,14よりも大きい。そこで、インダクタチップ11と集積回路チップ12とを重なり合わせるとともに、抵抗器チップ13,14をインダクタチップ11と重ならないように配置することで、低背化および小面積化を図っている。
この実施形態では、集積回路チップ12の全体がインダクタチップ11と重なり合っているが、集積回路チップ12の一部だけがインダクタチップ11と重なり合っていてもよい。
【0048】
インダクタチップ11は、導電性のスペーサとして機能する内部配線20の厚膜部21によってかさ上げされており、それによってインダクタチップ11の下方に確保されたスペースに集積回路チップ12が配置されている。こうして、複数のチップ部品10が立体的に配置されている。内部配線20を利用してスペーサを構成しているので、インダクタチップ11および集積回路チップ12の両方を内部配線20に接続でき、かつ内部配線20を介して外部接続端子5に接続できる。
【0049】
この実施形態では、封止樹脂3に共通に封止されたチップ部品10は、一つのインダクタチップ11と、一つの集積回路チップ12と、二つの抵抗器チップ13,14とを含む。たとえば、集積回路チップ12は電源ドライバチップであってもよい。この場合、電源機能を有するマルチチップモジュール1を提供できる。
また、この実施形態のマルチチップモジュール1の製造方法によれば、配線転写基板40上に微細な内部配線20を形成することによって、小さな配置領域42に複数のチップ部品10を配置できる。そして、配線転写基板40上で複数のチップ部品10を封止した後に、配線転写基板40が除去されるので、支持基板がなく、封止樹脂3で複数のチップ部品10を支持する構造のマルチチップモジュール1を製造できる。外部接続は、封止樹脂3から露出するように当該封止樹脂3に固定される外部接続端子5によって達成される。支持基板を用いない構造であるので、支持基板の加工精度による制限を受けることがなく、小型化に有利である。
【0050】
また、この実施形態の製造方法では、配線転写基板40上に複数のマルチチップモジュール1にそれぞれ対応する複数の配置領域42が設定され、その複数の配置領域42に対して各工程が同時に実行される。そして、複数の配置領域42に渡る第1樹脂部31によって複数のマルチチップモジュール1の構成部分を一括して封止した封止構造35が作製され、その封止構造35を切断して複数の領域に分割することにより、複数のマルチチップモジュール1が得られる。こうして、複数のマルチチップモジュール1を一括して製造できるので、量産に有利である。
【0051】
配線転写基板40上の内部配線20の形成は、半導体装置の製造工程を利用して実現できる。すなわち、半導体製造装置で取り扱うことができる大きさおよび形状の配線転写基板40を用いることによって、半導体装置の製造工程を利用して内部配線20を形成できる。それにより、微細な内部配線20を形成できる。その内部配線20上に複数のチップ部品10を配置して、一括樹脂封止し、さらにその樹脂を切断する工程を経て、複数のマルチチップモジュール1を得ることができる。このような方法を採用すれば、介在基板やリードフレームといった支持基板を用いる場合よりも高密度で、マルチチップモジュールのための複数の領域を配線転写基板上に設定できる。そのため、一度に多数のマルチチップモジュール1を製造することができるので、高い生産性を実現できる。たとえば、300mm×100mmの大きさのリードフレーム上には高々100個程度のチップを配置できるに過ぎない。それに対して、8インチウエハ大の配線転写基板40を利用する場合には、自動実装機の使用によって、配線転写基板40上に数千個のチップを配置できる。したがって、一度に生産できるマルチチップモジュールの数が桁違いに増大する。
【0052】
図9は、この発明の第2実施形態に係るマルチチップモジュールの構成を説明するための平面図であり、
図3と同様に内部の構成を透視して表してある。
図9において、
図3の各部の対応部分は同一参照符号で示す。
この実施形態のマルチチップモジュール60では、インダクタチップ11の下方(パッケージ本体2の底面との間)に複数のチップ部品10が配置されている。具体的には、コントローラチップ16と、第1トランジスタチップ17と、第2トランジスタチップ18とが、平面視においてインダクタチップ11と全体的に重なるようにインダクタチップ11の下方に配置されている。
【0053】
このマルチチップモジュール60は、たとえば、電源回路を構成している。第1トランジスタチップ17および第2トランジスタチップ18は、たとえば、ハーフブリッジ回路を構成するハイサイドパワートランジスタおよびローサイドパワートランジスタであってもよい。そして、コントローラチップ16は、第1および第2トランジスタチップ17,18を制御する制御回路を内蔵する集積回路チップであってもよい。
【0054】
コントローラチップ16は、電極16a〜16dを有しており、これらは、内部配線20の薄膜部22(
図4を併せて参照)に半田を介して接続されている。第1トランジスタチップ17は、たとえば、3つの電極17a〜17cを有し、これらは、内部配線20の薄膜部22に半田を介して接続されている。同様に、第2トランジスタチップ18は、たとえば、3つの電極18a〜18cを有し、これらは内部配線20の薄膜部22に半田を介して接続されている。このようにして、内部配線20を介して、コントローラチップ16、第1および第2トランジスタチップ17,18、インダクタチップ11、ならびに抵抗器チップ13,14が封止樹脂3の内部で接続されて、電子回路を構成している。電極16a〜16d,17a〜17c,18a〜18cは、たとえば、アルミニウムからなる。
【0055】
このような構成により、コントローラとパワートランジスタとを個別のチップ16;17,18で構成したマルチチップモジュール60によって電源回路を構成できる。
図10、
図11および
図12は、複数のチップ部品を配線基板上に実装したマルチチップモジュールの構造例を示す。
図10はその斜視図であり、
図11はその平面図であり、
図12はその断面図(
図11のXII−XII線断面)である。
【0056】
マルチチップモジュール70は、配線基板71と、配線基板71上に実装された第1チップ部品81と、配線基板71上に実装された2つの第2チップ部品82とを含む。
図10では、配線基板71上に実装される前の分離した状態の第1チップ部品81を実線で示し、配線基板71に実装された状態の第1チップ部品81を二点鎖線で示してある。
配線基板71は、絶縁基板72と、その絶縁基板72上に形成された配線パターン73とを含む。第1チップ部品81は、チップ本体部81aと、チップ本体部81aに形成された電極81bとを含む。第2チップ部品82は、チップ本体部82aと、チップ本体部82aに形成された電極82bとを含む。第1チップ部品81は、第2チップ部品82よりも大きい。たとえば、第1チップ部品81は、インダクタチップまたはキャパシタチップであってもよく、第2チップ部品82は抵抗器チップ、集積回路チップまたはトランジスタチップであってもよい。
【0057】
第2チップ部品82の電極82bは、半田84によって配線パターン73に接合されている。一方、第1チップ部品81の電極81bは、導電性材料からなる導電スペーサ75を介して配線パターン73に接合されている。第1チップ部品81は、導電スペーサ75によって配線基板71の表面から離れた位置にかさ上げされている。それによって第1チップ部品81と配線基板71との間に確保されたスペースに、第2チップ部品82が配置されている。すなわち、第1チップ部品81および第2チップ部品82の底面は異なる高さ位置にあり、これらの第1および第2チップ部品81,82は立体的に配置されている。
この実施形態では、第1チップ部品81と第2チップ部品82とは平面視において重なり部分を有している。より具体的には、第2チップ部品82は、平面視において、第1チップ部品81と完全に重なっており、第1チップ部品81の下方に第2チップ部品82が配置されている。この実施形態では、2つの第2チップ部品82の全体が平面視において第1チップ部品81と重なっている。
【0058】
導電スペーサ75は、この実施形態では、球状体である。より具体的には、導電スペーサ75は、球状の核75aと、核75aの表面を覆う半田層75bとを含む。製造工程では、第1チップ部品81の電極81bに、たとえばフラックスを用いて導電スペーサ75が固定される。その状態で、たとえば、自動実装機によって、第1チップ部品81が配線基板71上に配置される。すなわち、導電スペーサ75が、対応する配線パターン73上に位置するように、第1チップ部品81が配線基板71上に配置される。その状態でリフローを行うことにより、導電スペーサ75の半田層75bが溶融し、溶融した半田が核75aを第1チップ部品81の電極81bおよび配線基板71の配線パターン73にそれぞれ接合する。リフロー槽から取り出して冷却することにより、半田が固化し、それられの接合が強固になる。核75aは、リフロー時の温度によって溶融することのない導電性の高融点金属(半田層75bを構成する半田よりも融点の高い金属)、たとえば銅または銅合金からなっている。そのため、第1チップ部品81は、配線基板71の表面から少なくとも核75aの直径の距離だけかさ上げされた状態で配線基板71上に実装される。
【0059】
図10に二点鎖線で示すように、配線基板71上において、第1および第2チップ部品81,82は共通の封止樹脂77中に封止されてもよい。
図13に変形例を示すように、導電スペーサ75は、ブロック状、すなわち、直方体形状を有していてもよい。より具体的には、
図13の構成では、導電スペーサ75は、直方体形状(立方体であってもよい)である。それに応じて、導電スペーサ75は、直方体形状(立方体であってもよい)の核75aと、その核75aの表面を覆う半田層75bとを含む。
【0060】
その他、導電スペーサ75は、導電材料からなる板状体であってもよい。
以上、この発明の実施形態について説明してきたが、この発明は、さらに他の形態で実施することができる。たとえば、前述の第1および第2実施形態では、内部配線20の厚膜部21によってインダクタチップ11をかさ上げするためのスペーサが構成されている。しかし、内部配線20に厚膜部21を設ける代わりに、
図10〜
図13に示した導電スペーサ75を用いてもよい。
【0061】
また、前述の実施形態では、マルチチップモジュールが備えるチップ部品は、前述の例に限らない。マルチチップモジュールは、たとえば、インダクタチップ、コンデンサチップ、メモリチップ、抵抗器チップ、集積回路チップ、およびMEMS(Micro Electro Mechanical System)チップのうちの一種以上を任意の組み合わせで含んでいてもよい。むろん、異種類のチップ部品が含まれていてもよく、同種の複数のチップ部品が含まれていてもよい。
【0062】
さらに、前述の実施形態では、封止樹脂3が第1樹脂部31および第2樹脂部32を含んでいる。しかし、封止樹脂3は、一種類の樹脂で構成されていてもよいし、3種類以上の樹脂で構成されてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0063】
この明細書および図面の記載からは、特許請求の範囲に記載した特徴以外にも、次のような特徴が抽出され得る。
1.底面位置が異なる複数のチップ部品を含むマルチチップモジュール。
2.前記複数のチップ部品が、平面視において、重なり合うように配置された少なくとも2つのチップ部品を含む、項1に記載のマルチチップモジュール。
3.前記複数のチップ部品のうちの第1チップ部品の電極の下面に接合された導電材料からなるスペーサをさらに含み、
前記スペーサによってかさ上げされた前記第1チップ部品の下方のスペースに前記複数のチップ部品のうちの第2チップ部品の少なくとも一部が配置されている、項1に記載のマルチチップモジュール。
4.前記第2チップ部品の全部が前記第1チップ部品の下方のスペースに配置されている、項3に記載のマルチチップモジュール。
5.前記スペーサが、導電材料からなる核と、核の表面に形成された半田層とを含む、項3または4に記載のマルチチップモジュール。
6.平面視において、前記第1チップ部品が前記第2チップ部品よりも大きい、項1〜5のいずれか一項に記載のマルチチップモジュール。
7.前記複数のチップ部品が、機能の異なる複数種類のチップ部品を含む、項1〜6のいずれか一項に記載のマルチチップモジュール。
8.前記複数のチップ部品が、インダクタチップ、コンデンサチップ、メモリチップ、抵抗器チップ、集積回路チップ、およびMEMSチップのうちの少なくとも一種を含む、項1〜7のいずれか一項に記載のマルチチップモジュール。
9.前記複数のチップ部品を共通に支持する基板をさらに含む、項1〜8のいずれか一項に記載のマルチチップモジュール。
10.前記基板が配線パターンを有する配線基板であり、前記配線パターンに前記複数のチップ部品のうちの少なくとも一つが接合されている、項9に記載のマルチチップモジュール。
11.前記複数のチップ部品のうちの少なくとも一つのチップ部品の電極の下面に接合された導電材料からなるスペーサをさらに含み、
前記スペーサが前記配線パターンに接合されている、項10に記載のマルチチップモジュール。
12.チップ本体と、
前記チップ本体に形成された電極と、
前記電極の下面(チップ本体の底面側)に接合された導電材料からなるスペーサとを含む、スペーサ付チップ部品。