特許第6632005号(P6632005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6632005ガス吸着体とその製法及び二酸化炭素ガス濃縮装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6632005
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】ガス吸着体とその製法及び二酸化炭素ガス濃縮装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20200106BHJP
   B01J 20/22 20060101ALI20200106BHJP
   B01J 20/34 20060101ALI20200106BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20200106BHJP
【FI】
   B01D53/14 100
   B01J20/22 A
   B01J20/34 F
   C01B32/50
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-159864(P2018-159864)
(22)【出願日】2018年8月29日
【審査請求日】2019年4月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390020215
【氏名又は名称】株式会社西部技研
(72)【発明者】
【氏名】岡野 浩志
【審査官】 佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0118287(US,A1)
【文献】 特開平10−175262(JP,A)
【文献】 特開2018−061917(JP,A)
【文献】 特開2016−117052(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/013332(WO,A1)
【文献】 特開昭61−254220(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3080796(JP,U)
【文献】 特開2017−023995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02−53/18
B01D 53/26−53/28
B01J 20/00−20/28
B01J 20/30−20/34
C01B 32/50
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも片面に、固体吸着材粒子を充填密度が55Vol%以下となるように二次元的に接着固定した非通気性のシートを、巻付けて円筒状の吸着体に形成するか、又は積層して吸着体を構成し、前記固体吸着材粒子が前記シートと異なる他のシート又は他の固体吸着材粒子と一点で接触するようにし、前記吸着体に少なくとも処理ゾーンと脱着ゾーンを設け、処理ゾーンに処理ガスを通す場合に吸着体を凝縮水で湿った状態として二酸化炭素ガスを吸着させ、凝縮水の蒸発冷却が同時に進行するようにし、脱着ゾーンには二酸化炭素ガスと水蒸気の混合した飽和蒸気を通して飽和蒸気が凝縮して凝縮熱によって二酸化炭素ガスを脱着させるようにした二酸化炭素濃縮装置。
【請求項2】
少なくとも片面に固体吸着材粒子を充填密度が55Vol%以下となるように二次元的に接着固定した非通気性の平面状シートを巻付け、又は積層し、前記固体吸着材粒子が前記シートと異なる他のシート又は他の固体吸着材粒子と一点で接触するようにしたことを特徴とする吸着体。
【請求項3】
少なくとも片面に、固体吸着材をガス流に沿うように、直線状又は千鳥配列に整列し、かつ各列の間にガス導入路を構成接着した平面状シートを巻付け、又は積層したことを特徴とする請求項2に記載の吸着体。
【請求項4】
少なくとも片面に、固体吸着材をガス流に沿うように蛇行し、かつ各列の間にガス導入路を構成するように接着固定した平面状シートを巻付け、又は積層した請求項2に記載の吸着体。
【請求項5】
前記固体吸着材が、アミン化合物を担持した多孔質吸着材であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の吸着体。
【請求項6】
前記固体吸着材が、アミン基を固定イオンとして取り込んだ高分子系吸着材である請求項2〜4のいずれか一項に記載の吸着体。
【請求項7】
両面に、固体吸着材をシートの両面に同時に接着した平面状シートを交互に折り曲げながら積層し、前記固体吸着材同士が接触するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の吸着体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水蒸気の凝縮熱による脱着と、凝縮水の蒸発冷却による吸着促進効果によるサーマルスイング法により二酸化炭素ガスを高回収率で回収し、高い濃度に濃縮でき、耐久性が高く、圧力損失が比較的少なく、小型化でき、製造コストを比較的安く出来るガス吸着体とその製法、及び二酸化炭素濃縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
吸着と吸収現象は異なるが似た現象で、両方の要素がある場合には収着という言葉を用いる。メソポーラスシリカ等の多孔質吸着材に、アミン系の二酸化炭素吸収材を添着する場合、吸収材の特性だけではなく、吸着材の細孔形状による影響も大きいことから吸着と呼ぶべきかも知れない。以後は冗長化を避けるため吸着と表記するが、総て収着も包含している。
【0003】
固体吸着材を用いた気体処理装置は、除湿装置、有機溶剤濃縮装置、ガス分離装置などがある。このような気体処理装置は吸着材粒子を充填した塔に、処理工程では被処理ガスを流してガス中の目標ガスを吸着し、次の再生工程では加熱した脱着ガスを流して吸着したガスを脱着して取り出し、再度処理工程に戻るというサイクルで運転される。目標吸着ガスを取り除いた残りのガスが有用な場合もあり、逆に目標ガスが有用な場合もある。
【0004】
粒状吸着材充填層を用いた気体分離装置には、固定床の多塔式吸着濃縮装置や、流動床方式、移動床方式がある。また再生方式により、サーマルスイング方式と、プレッシャースイング方式に分けられる。また粒状吸着材ではなくハニカム状に形成した吸着層では、処理気体との接触面積が広い割には圧力損失が少なく、軽量でありながら強度が高いという特徴から、近年ハニカムロータ除湿機、ロータ式VOC濃縮装置など大型気体処理装置に採用され普及している。
【0005】
本願は単なるサーマルスイング法ではなく、水蒸気の凝縮熱による脱着と凝縮水の蒸発冷却による吸着促進効果による湿式サーマルスイング方式を対象にした吸着体とその製法、及び二酸化炭素ガス濃縮装置に関するものである。また充填層ではなくハニカムでもない、夫々の特徴を有し、夫々の欠点を解消する吸着体及びその製法、及びその吸着体を用いた高効率省エネ二酸化炭素ガス回収濃縮装置を提案するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−83509号公報
【特許文献2】特開平6−91128号公報
【特許文献3】W02014/208038号公報
【特許文献4】特開2001−205045号公報
【特許文献5】特公平7‐16576号公報
【特許文献6】特開2000−246039号公報
【特許文献7】特開2001−205018号公報
【特許文献8】特開2009−209314号公報
【特許文献9】特開2010−227830号公報
【特許文献10】特開平11−76733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的なサーマルスイングガス吸着分離法には、大きく分けて粒状吸着材充填層による固定床方式、流動床方式、移動床(層)方式と、ハニカム状吸着体を用いたハニカムロータ吸着・濃縮法がある。充填層を用いる方式は比較的低コストで実現できるが圧力損失が高く、粒状吸着材の流動により粒子の磨耗、破損を生じたり、充填の偏りを生じたりする等の欠点がある。ハニカム状吸着体を用いる方法は、表面積が広くても圧力損失が低く、軽量でも強度が高いため大型の装置を実現し易い長所がある反面、ハニカム吸着体の加工工数が多く、加工が困難なため高コストになるという欠点がある。
【0008】
特許文献1、2に開示されたものは、粒状の二酸化炭素吸着材をバケット状の容器に分割して収納した円盤形状容器のロータを用いて、ロータを回転させるか、またはロータを固定してダクト装置を回転させて、吸着ゾーンで二酸化炭素を吸着して、脱着ゾーンで加熱ガスにより高濃度の二酸化炭素を脱着回収する方法が示されている。これらの方法は連続的に吸・脱着ができるが、吸着材粒子の充填層である欠点は解決されていない。
【0009】
特許文献3には移動床式の二酸化炭素回収濃縮技術が開示されている。二酸化炭素吸着材を充填した吸着塔に原料ガスを通して二酸化炭素を吸着させ、吸着後吸着材を再生塔に移動して、水蒸気の凝縮で加熱して二酸化炭素を脱着回収する。さらに二酸化炭素吸着材は乾燥塔を経て再度吸着塔に移動して二酸化炭素を吸着する連続サイクルで目的を達成する。この方法も吸着材粒子の充填層が移動するだけで充填層の欠点は解決されていない。
【0010】
特許文献1、2、3は粒状の吸着材を用いるための欠点、つまり粒子充填層の通気抵抗が大きい課題や、粒子が大きいと粒子外部と内部の拡散抵抗の違いによる性能への悪影響が有り性能向上の制約となる。かといって小さい吸着材粒子では、ガス流により粒子が浮動するので処理ガスの速度が制約される。吸着材粒子が流動するときに粒子の破損磨耗を生じる。また性能向上のため内部拡散抵抗の少ない多孔性の吸着材を用いると粒子の強度が低下して、流動や移動によって磨耗、破損し易いという問題も発生する。さらに特許文献3のように脱着気体に水蒸気又は飽和蒸気を用いる場合、凝縮水の毛細管挙動により粒子が団結したり、凝縮水により空隙が閉塞されたりするので、乾燥工程が別途必要になるなど装置設計が困難になる。
【0011】
特許文献4にはハニカム構造のロータが提案され、圧力損失の低減がなされている。またロータが回転に伴って順次吸着ゾーンと、加熱二酸化炭素ガスによる脱着ゾーンと、ガスパージゾーンと、再生冷却ゾーン(以下冷却ゾーンと表示)を経て再び吸着ゾーンに戻るフローが開示されている。ハニカム吸着体は圧力損失が少なく、ハニカム壁を薄く出来るので接触効率も高く、軽量で強度が高いので大型化が容易などの長所がある。その反面製法上の吸着材充填密度の限界がある。また微粉砕、コーティング又は含浸、コルゲート加工、ロータ化等、加工工程の多さからコストが高くなるという欠点もある。
【0012】
特許文献5には小粒子状吸着材をシート両面に接着して、さらにコルゲート加工、巻き付けて熱交換吸着体を得る方法が開示されている。他にも同様な特許文献が多数見られるが、コルゲート積層ハニカムでは吸着材の高密度化は困難で高コストにならざるを得ない。本発明はコルゲート加工しないで、吸着材粒子がセパーレタ支持体を兼ねて、充填層よりも密度が低く、積層ハニカムより充填密度の高い積層吸着体を得る方法なので根本的に異なる。
【0013】
特許文献6には、通気性のフィルタ材にゼオライト系粒子が接着固定され、1〜2層にして通気して用いる場合と、通気性の無いシートに接着する場合は片面開放した1層にて用いる吸着用処理部材が開示されているが、家庭用や自動車用の空気清浄機を対象とした小型装置用であり、大容量ガスの処理に応用することは出来ない。
【0014】
特許文献7には熱溶融性接着シートと活性炭やイオン交換樹脂等の吸着材粒子群を交互に積層後、加熱して加熱溶融シートを溶かして、吸着粒子群が相互に接着された吸着体を作成する方法が開示されている。この方法であれば吸着材粒子の流動による不具合は生じない。しかし加熱前は密充填にはなっていないものの、加熱して加熱溶融シートを溶かす工程で最密化し、密充填による欠点は解決できない。
【0015】
特許文献8にはイオン交換樹脂の粒子と粉末状ホットメルト樹脂を混合充填して加熱してホットメルト樹脂を溶融して、樹脂の粒子表面にホットメルト樹脂の膜を形成すると共に接着一体化し、同時に樹脂から放出される水蒸気により樹脂膜に微細孔を生じさせた吸着体が開示されている。また一体化する際に、多数のピンにより貫通孔を形成することで、圧力損失の少ない吸着成型体にできるとしている。しかしこの方法も吸着粒子群は固定化されるものの、貫通孔以外は密充填化する課題は解決できていない。
【0016】
特許文献9には活性炭粒子と粒子状熱可塑性樹脂接着剤を混合して容器に入れ、加熱して熱可塑性樹脂接着剤を溶融して活性炭粒子を接着すると共に、同時に容器中に多数の針を刺してから抜くことで貫通孔を生ぜしめ、通気性の高いガス吸着フィルタを作成する方法が開示されている。
【0017】
以上特許文献6、7、8、9には粒状の活性炭やイオン交換樹脂を成形容器に充填してホットメルト樹脂接着剤を加熱溶融接着して、粒状吸着材が団結した吸着体を得る方法が開示されている。しかし何れの方法も粒子の密度は最密充填に近似せざるを得ない。また何れもホットメルト接着剤の耐熱温度以上に再生温度を上げることのできない、使い捨てを想定した吸着体である。
【0018】
特許文献10にはシート状基材に、短い活性炭繊維を静電植毛したシートを形成し、複数枚積層することで吸着体を作成する方法が開示されている。しかし繊維状吸着材は活性炭繊維やイオン交換繊維等、繊維化可能な一部の吸着材に限定され、応用範囲も狭く高コスト化が避けられない。
【0019】
ハニカム吸着体は接触面積が広い割に圧力損失が低く、軽量なのに強度が有り、大型処理装置に適用し易い。しかし高密度化に限界があり、製法上高コスト化しやすい問題もある。ハニカム吸着体を作製する方法は、大きく分けて吸着材を混抄又は接着コートしたシートをコルゲートしてハニカム加工する方法と、ハニカム加工した基材を、吸着材を含むスラリー中に浸漬担持する方法、他には吸着材を含む粘土を型押ししてハニカム形成する方法などがある。以上の様なハニカム吸着体を作製する場合、数ミクロンから数十ミクロンの微粉状の吸着材であればそのまま利用できるが、球状シリカゲルやイオン交換樹脂粒子等の場合は、事前に数ミクロン〜数十ミクロンの粉末に粉砕しなければならない。
【0020】
含浸法もコート法も型押し法も、吸着材微粒子を固定するためにバインダーが必要で、粒子径が細かいほど吸着材重量あたりの接着面積は多くなる。バインダー量が多いと吸着材表面を覆って性能を低下させるし、少ないと吸着材脱落のリスクがあるのでバインダーの選定や使用量の決定に当たっては細心の注意が払われる。コルゲート加工して巻付け、ハニカムロータ吸着体を作製する場合、シート厚さtとコルゲート山ピッチpと山高さhには最適比率範囲があり、要求性能と加工性からt=0.1〜1、p=2〜6、h=0.8〜4の範囲になる。高性能化のために高セル化するにはシートを薄くしなければならず、高コスト化する。高密度に吸着材を含有する吸着体を目指してシート厚さtを増すと低セル化しなければ加工できない。ハニカム基材に含浸担持する場合も同様な比率にならざるを得ない。ハニカム吸着体の場合、現実的に開口率50%程度までで、基材とバインダーを除く吸着材含有率は50%前後になり、吸着材充填密度は、現実的には25Vol%前後が加工限界になる。
【0021】
粒状吸着材を充填する吸着床は吸着容器に吸着材を充填するだけでよいので、容易に吸着層が構成できる。しかし、その反面充填密度は調整不能かつ圧力損失が高く、ガス流により粒子が流動して粒子が摩滅、破損して粉塵の発生や充填層の部分閉塞による圧力損失の上昇など不具合の原因になる。
【0022】
また粒状吸着材を用いる充填層では、粒子を小さくして処理ガスとの接触面積を多くする事が高性能化や小型化の点で有利であるが、小さな粒子ほど圧力損失が過大になり、ガス流による流動も誘起し易く、設計が困難になりまた大型の装置は困難である。
【0023】
さらに粒子の充填率は球状であれば充填密度は55〜74%の範囲にあり、初期は疎な密度であっても流動や振動で最密充填化する。またシリカゲルや樹脂系の粒状吸着材では、吸湿や吸水で膨潤して体積変化を生じるので、密充填では膨潤の逃げ場が無く吸着材粒子が破損するという問題もある。特許文献6、7、8、9、10に示されている方法では吸着材粒子を固定化した吸着体が得られるが、粒子の充填密度は最密化しか選択肢が無く、吸着材が吸水膨潤すれば吸着体全体も大きく体積変化する。特許文献8、9の方法では粒状吸着材群に透過通路を形成し圧力損失を低減させる方法が開示されているが、透過通路以外は最密充填であり、最密充填に起因する問題は解消できていない。
【0024】
ハニカム吸着体は接触面積が広くても圧力損失が低く、軽量でありながら強度が高いので大型化が容易というメリットから、デシカント除湿用途、有機溶剤濃縮用途、ケミカルフィルター、オゾンフィルター等多くの空気処理装置に応用されている。積層ハニカム吸着体の製法としては大きく分けて、粉状又は繊維状吸着材を抄き込んだ紙や、粉状吸着材をコーティングしたシートをコルゲート加工して、積層又は巻きつけてハニカム化する方法と、吸(収)着材を含まない基材シートをコルゲート加工して、積層または巻きつけてハニカム化した後、吸(収)着材粉末とバインダーを混合したスラリー中に浸漬して引き上げ乾燥する、含浸コート法とがある。
【0025】
吸着材含有シートのコルゲート加工法またはコルゲート積層体への吸着材含浸担持法の何れも、粉状吸着材を保持するために必ずバインダーが必要で、バインダーが吸着性能を阻害したり、バインダーが少ないと吸着材粉の脱落を生じたりするリスクがある。
【0026】
また粉状吸着材の混抄紙またはコーティングシートをコルゲート加工してから積層ハニカム吸着体を製作する加工法では、コルゲート加工に耐えるシート強度が必要であり、シート材の厚さと加工可能なセル数には可能な範囲と限界がある。吸着材の含有率はコルゲート加工性と相反する関係にあり、高性能化を困難にする。また高性能化のために高セル化しようとすれば薄葉化する必要が有り、薄葉化によりさらに抄紙加工性、コルゲート加工性の難易度も上がりコストアップの要因となる。
【0027】
コルゲート加工したハニカム基材に吸着材スラリーを含浸コートする方法では、目詰まりによる含浸の困難性から、高セル化と高担持率は相反関係にあり吸着材の高密度化には限界がある。混抄紙コルゲート法又はコーティングシートコルゲート法では30wt%程度が限界である。含浸法による担持率は40〜50wt%の例もあるが、吸着材や無機バインダーの比重が2〜3程度と重いので多く見えている。基材やバインダーを差し引いた吸着体体積あたりの吸着材含有最大体積率は25Vol%程度が限界と考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、水蒸気の凝縮熱による脱着と、凝縮水の蒸発冷却による吸着促進効果による湿式サーマルスイング法により二酸化炭素ガスを高回収率で回収し、高い濃度に濃縮でき、耐久性が高く、圧力損失が比較的少なく、小型化でき、製造コストを比較的安く出来るガス吸着体とその製法、及び二酸化炭素濃縮装置に関するものである。
【0029】
本発明の吸着体は、シートの片面、又は両面に粒状吸着材を接着固定し、そのシートを積層して製作する。粒状吸着材はシートに固定されるので、粒状吸着材を用いながら、充填塔方式や流動床方式、移動床方式の欠点である粒状吸着材同士の接触、衝突、摩擦による粒子の破壊や摩滅が無く、かつ最密充填構造ではないので、水蒸気など吸着して粒状吸着材が膨潤、膨張しても粒子の変形、破損等の不具合も防止できる。また粒子密度を任意に製作できるので、用途、吸着材種類、使用方法等に応じて最適化が容易で、粒子間のガスの流れ方も考慮した最適な設計が可能になる。
【0030】
粒状吸着材の形状としてはできるだけ粒径の揃った球状が望ましいが、粒径が揃っていなくても、破砕状、円柱状等でも本発明の吸着体への適用は可能である。吸着材の種類は活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、イオン交換樹脂、固体アミンなど固体吸着材であれば吸着材種を選ばない。粒径が大きいと処理ガス流とのマクロの接触面積が減少するのと、粒子内のガスの拡散抵抗により吸・脱着速度が低下するので、吸着材粒子がシートに固定される長所を活かして性能向上のために3mm以下の粒径、望ましくは2mm以下の粒径がよく、さらに望ましくは1mm以下の粒径でも可能である。また大径の粒子は吸・脱湿による体積変化や、ヒートショックにより割れ易い欠点もあるので、小径粒子の採用でその問題が解消できる。
【0031】
装置の高性能化のため1mm以下の微小粒子を採用する場合、従来技術の充填層では圧力損失が極端に高くなり、ガス流による粒子の流動化と流動による様々な不具合が生じるが、本発明の方法では微小粒子を固定し、充填密度も自由に設定できるので、圧力損失の調整が出来、粒子の破損粉化を生じず、もし部分的に破損しても、粒子間隔を最密充填より疎に設定できるので、破片による吸着粒子層の閉塞等の不具合も生じないという特徴を有する。微小粒子とは意図して粒径の制御された吸着材粒子を指し、エマルジョン法等で0.1mm以下の微粒子吸着材の製造も可能であるが、接着するシートの厚さに対し同等又は以上、望ましくは2倍以上の粒子径の吸着材を選定しないと充填密度は高くならない。
【0032】
本発明の方法では吸着材粒子はシートの片面、又は両面に二次元的に接着固定され、粒状の吸着材を三次元的に充填した吸着層よりも重力による最密化の影響も受けず、図3左図の写真のように吸着材同士の接触も少ない。粒子が固定されているので粒状の吸着材を充填した層(床)で問題になるデメリット、流動、破砕、粉化、最密部の閉塞、疎密部の吹き抜け等は解消される。
【0033】
粒子を三次元的に充填する場合は、最も疎な場合で実験的には55Vol%程度だが、重力と粒子の振動、流動移動により最密充填化(π/√18=0.74048)74Vol%が避けられない。以上の理論は粒子の径が均一な場合で、粒子の径が不均一な場合はさらに充填密度が高くなる。
【0034】
本発明の方法では、接着固定時の粒子の重力はシート面方向に掛かるのみなので、二次元配列での最密充填化傾向も無く、充填率は特に意図しなければ実験的に40Vol%程度になる。図3左図のように粒子同士の接触は少なく、離れて接着固定されるケースが大半であることも、この粒子接着シート及び積層吸着体の特徴である。さらに粒子同士の接触が少ないため粒子間をガス流がスムーズに抜けて接触効率を高める効果と、吸湿、吸水等により粒子が膨張しても、それによる粒子の破損や目詰まりを生じることが避けられるという効果を有する。
【発明の効果】
【0035】
本発明は粒状の吸着材粒子を、粒状吸着材の製造したまま(粒状吸着材が製造された状態のまま)か、粗く破砕した状態で用いるので、ハニカムに担持する場合のように微粉砕する手間が無く、微粉状吸着材がバインダーによって覆われて吸着性能を減ずるということも無く、また微粉状吸着材が剥離して飛散するということもない。微粉砕、コルゲート加工、コーティング又は含浸乾燥等の工程が削減でき、コストダウンが可能である。
【0036】
また従来技術の粒状吸着材充填層の固定床、流動床、移動床を構成した吸着装置では、粒子の流動や接触により磨耗、破砕、粉化するという問題や、圧力損失が高い、密度ムラや変化を生じるなどの問題があるが、本発明はシートの片面又は両面に粒状吸着材を接着固定して、さらにそのシートを積層または巻きつけて吸着体を構成するので、粒子の流動が無く、従って、破砕、粉化飛散、粒子の偏りも生じないという特徴がある。本発明では製法上粒子の重力の影響による密充填部は生じないので、図3左図のように粒子同士の接触部は非常に少なくシート上に分散固定できる。さらにシート上に粒子を接着する段階で充填密度も任意に設定でき、粒子配列をコントロールしたり、粒子配列中に導風路や導風仕切りを設定したりすることも可能なので、目標となる吸着装置に最適な吸着体が製作できるという特徴もある。
【0037】
三次元的に粒子状吸着材を充填した層(床)では、球の最密充填理論から、粒子同士の接触点が一つの粒子に最大12ヶ所存在し、その接触点周辺に毛細管が形成され、接触点では図6左図のように毛細管力により凝縮水が引き寄せられ、粒子表面で凝縮水の粗密が形成されて、吸着工程での二酸化炭素吸着と水の蒸発冷却現象の同時進行現象に悪影響を及ぼす。つまり凝縮水が粗の部分では気化冷却水が途中で途切れ、粒子の接触箇所の凝縮水の密の部分では、表面を厚く覆った水膜により吸着の開始が遅れる。
【0038】
本考案の吸着体は図6右図のように、粒状吸着材がシート表面に少ない接点で分布接着しているので水膜は毛細管力により、図6右図のように主にシートとの接触点に引き寄せられ、二酸化炭素ガスの吸着を阻害しない。また凝縮水の偏在を生じてもシートの熱伝導により吸着体全体での熱伝導が促進される。つまり蒸発冷却効果は吸着体内部全体で補完向上されて、結果的に吸着体全体での吸着性能も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1はシートの片面に吸着材粒子を連続的に接着固定する装置のイメージ図である。
図2図2左図はシートの片面に粒状吸着材を接着固定したシートを示し、右図はそのシートを積層した吸着ブロックの図である。
図3図3左図は粒状吸着材接着シートの表面写真、右図はその積層吸着体の写真である。
図4図4は吸着材粒子接着シート(左図)を積層収納したブロック(中図)を円筒状に組み立てたシリンダー型吸着ロータ(右図)の実施例を示す。
図5図5はシリンダー型吸着ロータを用いた円筒型ロータ回転式二酸化炭素ガス濃縮装置の実施例を示す。
図6図6は湿式二酸化炭素ガス濃縮法への応用メリットの比較説明図、左図は従来の充填層で、右図は本願発明の粒状吸着材接着シート積層体である。
図7図7は長尺方向に粒子が整列した粒子接着シートの製法例を示す。粒子接着機に最大粒子径1個分の間隔で粒子整列ガイドを設けることで実現できる。
図8図8は長尺方向に粒子が整列した粒子接着シート内のガス流と(上図)、積層体(下図)の端面を示す。
図9図9は長尺方向に粒子が蛇行しながら整列した粒子接着シートの製法例を示す。図7と同じ装置で、粒子整列ガイドを揺動させながら粒子接着することで製作できる。
図10図10は長尺方向に粒子が千鳥に配列した粒子接着シートの製法例とそのシート(左図)及び積層体(右図)を示す。粒子接着機に粒子径約1.5個分の間隔で粒子整列ガイドを設けることで製作できる。
図11図11はシートの両面に、同時に吸着材粒子を接着する両面粒子接着シートの製法例を示す。
図12図12は、シートの両面に同時に吸着材粒子を接着する方法で製作したシート(左図)と、シートを切断せずに折り曲げて積層したブロック(右図)の製法例を示す。
図13図13は吸着材粒子接着シートを積層収納した扇形のケーシングを、円盤型ロータに組み立てた吸着濃縮ロータの実施例を示す。
図14図14は円盤型ロータを組み込んだ二酸化炭素ガス濃縮装置の図を示す。
図15図15は長尺シートの長さ方向への気流を制限し、横方向にガス流を誘導する吸着体の例で、仕切り板付き回転ローラにより、シートの横方向に吸着材粒子を整列させて横方向への導風路を形成して、接着固定させる実施例を示す。
図16図16は長尺シートの長さ方向への気流を完全に制限し、横方向にガス流を誘導する粒子接着シートの製法実施例を示す。
図17図17は軸方向にガス流を誘導するように吸着材粒子を配列したシートを巻きつけた吸着体ロータの実施例を示す。
図18図18は軸方向にガス流を誘導し、軸の横方向へのガス漏れを防止した吸着体ロータの実施例を示す。
図19図19は粒状吸着材接着シート巻付け円盤型ロータの端面拡大写真である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は粉状ではなく粒状の、望ましくは球状の固体吸着材を、非通気性のまたは接着剤の塗布により非通気性になるシート、例えば金属シート又はプラスチックシート、無機繊維シート、耐熱繊維不織布等の、シートの片面又は両面に接着固定し、さらにそのシートを複数積層または巻きつけて積層吸着体を得る。その積層吸着体を円盤型又は円筒型のロータに構成し、ロータ型吸着濃縮装置を製作する。ロータ型なのでロータの回転によって次工程に吸着体が移動するため構造が簡単で、切替え制御が容易で大型化し易いというメリットがある。
【実施例1】
【0041】
図1に実施例の吸着材粒子接着装置を示す。25μアルミシート原反の片面に、耐水性アクリル系エマルジョン接着剤を接着ローラにて塗布後、粒子ホッパーから粒径0.3〜1.2mmのアミン系弱塩基陰イオン交換樹脂を供給しながら押さえローラ1で押えて、アルミシートの片面に粒子を接着乾燥し、片面に280g/mのイオン交換樹脂粒子を接着固定した吸着シート図2左図を得る。吸着シートを所定寸法に切断して積層して図2右図の積層吸着体を得る。
【0042】
図4(左図)から吸着材粒子接着シート2を積層しながらケーシングに収めてブロック図4(中図)にする。さらにそのブロック3を円筒型ロータ枠に装着して、円筒型ロータ12図4(右図)を得る。
【0043】
前記円筒型ロータ12を搭載した二酸化炭素回収濃縮装置のフローを図5に示す。吸着ゾーン13、脱着ゾーン14が設けられ、吸着体円筒型ロータ12は、吸着ゾーン13から、脱着ゾーン14を経て吸着ゾーン13に戻るように構成されている。
【0044】
円筒の外周側吸着ゾーン13に、発電所等から排出される排ガスを脱硝、脱硫、脱塵処理し、さらに吸着可能な温度に冷却脱湿して原料ガスとして導入すると、吸着体に担持した弱塩基イオン交換樹脂に二酸化炭素が吸着され、二酸化炭素濃度の下がった原料ガスが円筒の内周側に流出し排気される。
【0045】
二酸化炭素を吸着する際に吸着熱が発生し、従来の方法であればガス温度の上昇によって二酸化炭素吸着能力が低下し、処理入口濃度10%程度の場合1パスでの回収濃度は2%程度に留まるが、ロータ12の吸着工程の吸着体は、後述する理由で脱着工程での凝縮水で湿っているため、露点温度10〜25℃D.P.程度の原料ガスの通過により凝縮水が蒸発し、気化冷却現象を生じて温度上昇は抑えられ、従って1パスでの吸着性能が飛躍的に向上する。つまり二酸化炭素ガスの吸着発熱と、水の蒸発冷却が同時進行する。
【0046】
水の蒸発潜熱は2500kJ/kg・Kで二酸化炭素の気化潜熱369.9kJ/kg・Kに対し、6倍以上の潜熱で吸着熱を水の蒸発潜熱に変えて効果的に除去することができるので、吸着熱により吸着性能が低下することなく、原料ガス1パスの通過で十分な回収率を達成することが出来、従って装置の小型化と、ブロアの動力削減、つまり省エネ性を同時に達成することができる。
【0047】
二酸化炭素を吸着した吸着ブロックはロータの回転によって脱着ゾーン14に移動し、脱着ゾーン14では脱着ゾーンを循環する二酸化炭素ガスと蒸気との混合気体、いわゆる飽和蒸気が円筒の内周側から外周側に向かって吸着体に導入される。吸着体は飽和蒸気の凝縮によって加熱され、飽和蒸気は吸着体内表面に凝縮する。同時に吸着体の粒状アミン系イオン交換樹脂に吸着された二酸化炭素ガスが脱着されて、再生循環路から余剰になった二酸化炭素ガスが回収される。つまり飽和蒸気の凝縮加熱と二酸化炭素の脱着冷却が同時進行する。脱着が終わった吸着体は再び吸着ゾーン13に戻ることで、連続的に二酸化炭素ガスの回収濃縮をすることが出来る。
【実施例2】
【0048】
図1の吸着材粒子接着装置にて、50μPET樹脂フィルムの片面に、耐水性アクリル系エマルジョン接着剤を接着ローラにて塗布しながら、粒子ホッパーからアミン化合物、例えばアミノシランを添着した0.8〜1.7mmの粒状のシリカゲルを分布接着したシートを得る。シリカゲル接着重量は896g/mであった。吸着シートを所定寸法に切断積層して、図3右図の積層吸着体を得る。シリカゲルの担持量は590kg/mであった。このシリカゲル粒子を充填した層は765kg/mなので、約3分の2の疎な密度に分布されている。
【0049】
図3左図は吸着シートの表面写真を示す。吸着材粒子同士は接点も少なく、二次元充填での密充填でもなく、余裕を持った分布になっている。本考案の方法では二次元充填での密充填に成り難く、逆に充填層では得られない疎な分布を容易に得られる効果は顕著で、特徴でもある。また圧力損失は層高(ロータ幅)50mm、摂氏30℃(以降、温度は全て「摂氏」とする)、前面風速1m/sにおいて、粒状シリカゲル充填層の445Paに対し、本実施例の吸着体は330Paと約3分の2に低下した。330Paの圧力損失は220セルハニカムの600mm幅に相当する。大型ロータの場合構造上の強度確保のため50mmロータ幅は現実的ではないが、本案では層高と圧損は自由に設定できるのが特徴で、粒子分布を制御して濃縮装置を自由に設計できる。
【0050】
アミノシラン添着球状シリカゲルを接着固定したシートを、200×200mmに切断してケーシングに積層収納し、図4中図の吸着体ブロック3を得る。未処理の球状シリカゲル接着固定シートをシート状又は積層後に、アミン化合物添着液に浸漬担持しても同じ効果が得られる。さらに吸着体ブロックを円筒状の枠にセットして、図4右図のような円筒型の吸着体ロータ12に組立てる。以下は実施例1と同じ原理で二酸化炭素ガスを濃縮する。
【0051】
図1の装置の応用例として、図7に吸着材粒子をシート上に整列接着する装置の実施例を示す。ホッパーから接着剤を塗布したシート上に吸着材粒子を供給する箇所に、最大直径の吸着材粒子が通過できる幅の粒子ガイド(整列フィン)を複数設けることで粒子の列の間に、図8(上図)に示すようにフィンの幅以上の、貫通したガス導入路が形成される。ガス導入通路がガス流に添う方向に積層、構成された円筒型ロータは、圧力損失を低減させる効果と、横方向へのガスの偏流を制限する効果がある。
【0052】
図7の装置で粒子ガイド(整列フィン)を揺動させるようにすると、図9のように粒状吸着材の列を蛇行させて接着固定することが出来、ガス流と吸着材粒子との接触高効率を高める効果がある。さらに吸着材粒子整列フィンの幅を、粒子の最大径の1.5倍に調整すると図10(左図)のように吸着材粒子が千鳥配列に接着固定されたシートが製作できる。本考案は、以上の様に吸着材粒子の充填密度やガス流通路を最適に制御した積層吸着体を製作できるという特徴もある。
【実施例3】
【0053】
図11に、表裏両面に吸着材粒子を接着したシートを製作する装置を示す。ホッパーの粒子は重力の影響を受けるが、シートへの接着時には二次元配列に制限され、しかも瞬時に接着されるので二次元配列での密充填に移行する間もなく、従って充填層での欠点の解消された積層体を実現できる。さらに粒子両面接着シートの特徴は、図12(右図)のようにシートを切断せずに折り返し積層ができ、積層体に構成されるシート面積の少ない低コスト積層吸着体を設計できる。以下実施例1と同時原理で二酸化炭素ガスを濃縮する。
【実施例4】
【0054】
図13に円盤型ロータの実施例を示す。吸着材接着シート4を扇形の枠に積層装着し扇形の積層吸着ブロック5を得る。扇形の積層吸着ブロック5を組み立てて円盤型ロータ6を得る。図13のように外周に直交する方向で積層装着することで、吸着体内部でのガス流の周方向つまり回転前後方向への動きを制限し処理ガスと脱着ガスの混合を防止できる。
【0055】
図14に円盤型ロータ二酸化炭素ガス回収濃縮装置の原理を示す。少なくとも原料ガスを導入する吸着処理ゾーン7と、脱着ゾーン8とを分割シールした装置内に円盤型吸着ロータ6を設置し、低速にて連続回転させる。処理ゾーン7に発電所等から排出される排ガスを脱硝、脱硫、脱塵処理し、さらに吸着可能な温度まで冷却脱湿した原料ガスをロータに導入すると、ガス中の二酸化炭素ガスを積層吸着体中の吸着材粒子が吸着する。二酸化炭素ガス吸着時には吸着熱が発生するが、吸着体は後述する理由で湿っているため、水分が蒸発することで吸着熱を水分の蒸発潜熱に変えて除去するので温度上昇が抑制され、二酸化炭素ガスの吸着性能が飛躍的に向上する。つまり二酸化炭素の吸着と凝縮水の蒸発冷却が同時に進行する。
【0056】
脱着ゾーン8では、二酸化炭素ガスを循環させながら脱着ガス加熱ヒータ9の伝熱面に水をポンプ15で供給して蒸発させ、二酸化炭素ガスと水蒸気の100℃以下の混合気体、つまり飽和蒸気を発生させて積層吸着体に導入する。積層吸着体は飽和蒸気が凝縮することで加熱され、二酸化炭素ガスが脱着される。脱着用の飽和蒸気は100℃以下の低温だが、水蒸気の潜熱が非常に大きいので、前述したように十分な脱着エネルギーを有している。脱着循環路に脱着された二酸化炭素ガスの容積増量分のガス10を、循環回路外に取り出して回収する。二酸化炭素ガスの脱着された積層吸着体はロータの回転によって、湿った状態で吸着処理ゾーン7に移動して吸着を始める。
【0057】
図19に示す写真は、巻き付け積層体の試作例である。小型ロータにて、構造の簡素化のため巻付け積層する場合、吸着体内部でのガス流の周方向の動きによって隣接ゾーンへのリークが問題になる。このような場合図15に示す装置により、シート長手方向に直交する様に粒子を整列させて、積層体ロータに軸方向の導風路を設けることも可能である。図15の粒子接着機では、粒子ホッパーから接着剤をコートした直後のシートに粒子を供給する手前で、軸方向に等間隔に配置されたフィン11にて粒子を横方向に整列しながら、シートの長手方向に直交する導入路の形成された粒子接着シートを製作する。ロータ状に巻付け積層した状態を図17に示す。
【0058】
さらに横方向のガス移動を制限する方法として柔軟性のヒモ状間隙体16を横方向に等間隔に接着しながら吸着材粒子を接着する方法を図16に示す。ヒモ状間隙体16の代わりにシリコーン等の硬化性コーキング材を線状に押し出しながら、仕切りつき吸着材粒子接着シートを製作することもできる。このシートをロータ状に巻付け積層した状態を図18に示す。仕切りが吸着体内での横方向へのガス移動を防止するので、コンパクトなシール構成であってもシール性を確保することが容易になるという特徴を有する。アミノシラン以外に、イオン液体などの吸収剤を、細孔内に添着した吸着材を用いることもできる。さらに本考案は回転型であることから、収着ゾーンと脱着ゾーンの前後の境目に、予冷‐熱回収パージゾーンを設けることもでき、コンパクトな装置であっても回収二酸化炭素ガスへの原料ガスの混入及び、回収ガスの原料ガスへの流出を防止するパージゾーンも設けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は火力発電所等から排出される燃焼ガスから二酸化炭素ガスを回収濃縮する装置に関するものである。本発明は、固定床、移動床、流動床方式等充填層の欠点を解消し、かつハニカムロータ方式の高コスト化の欠点を解決しながら、吸着粒子充填層方式、及びハニカムロータ方式両方の長所を併せ持つガス回収濃縮装置が可能になる。またこの装置は、吸着体が湿った状態から二酸化炭素ガスを吸着することで、水の蒸発冷却効果により吸着性能を飛躍的に高めると共に、二酸化炭素ガスと水蒸気の混合した飽和蒸気の循環により脱着させるので、燃焼排ガスの低温排熱を高効率に利用した省エネルギー二酸化炭素ガス回収濃縮が可能になる。
【符号の説明】
【0060】
1 押さえローラ
2 粒子接着シート
3 ブロック
4 吸着材接着シート
5 積層吸着ブロック
6 円盤型ロータ
7 処理ゾーン
8 脱着ゾーン
9 脱着ガス加熱ヒータ
10 容積増量分のガス
11 フィン
12 円筒型ロータ
13 吸着ゾーン
14 脱着ゾーン
15 ポンプ
16 ヒモ状間隙体
【要約】
【課題】本発明は、サーマルスイング法により二酸化炭素ガスを高回収率で回収し、高い濃度に濃縮でき、耐久性が高く、圧力損失が比較的少なく、小型化でき、製造コストを比較的安く出来るガス吸着体と二酸化炭素濃縮装置を提供する事を目的とする。
【解決手段】本発明は、粒状吸着材接着シート積層吸着体及び、吸着体を用いた二酸化炭素ガス回収濃縮装置に関するもので、固定床、移動床、流動床方式等充填層の欠点を解消し、ハニカムロータ方式の高コスト化の欠点を解決しながら、かつ両方式の特徴を併せ持つ二酸化炭素ガス回収濃縮装置が可能になる。またこの装置は、吸着体が湿った状態で二酸化炭素ガスを吸着することで水の蒸発冷却効果により吸着性能を飛躍的に高め、脱着時には二酸化炭素ガスと水蒸気が混合した、低温飽和蒸気による再生脱着で省エネ性も向上する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図19