特許第6632085号(P6632085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タカラトミーの特許一覧 ▶ 株式会社東京ユニークの特許一覧

<>
  • 特許6632085-コマ玩具 図000002
  • 特許6632085-コマ玩具 図000003
  • 特許6632085-コマ玩具 図000004
  • 特許6632085-コマ玩具 図000005
  • 特許6632085-コマ玩具 図000006
  • 特許6632085-コマ玩具 図000007
  • 特許6632085-コマ玩具 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6632085
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】コマ玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 1/00 20190101AFI20200106BHJP
【FI】
   A63H1/00 F
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-130357(P2018-130357)
(22)【出願日】2018年7月10日
(65)【公開番号】特開2020-5937(P2020-5937A)
(43)【公開日】2020年1月16日
【審査請求日】2019年4月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(73)【特許権者】
【識別番号】591056846
【氏名又は名称】株式会社東京ユニーク
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀越 研次
(72)【発明者】
【氏名】前田 竹明
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−320781(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3068612(JP,U)
【文献】 特開2011−206509(JP,A)
【文献】 特開2006−055333(JP,A)
【文献】 特許第6346977(JP,B1)
【文献】 [壁にくっつく]吸盤ベイブレードバーストドライバー作ってみた,YouTube [online] [video],2017年 6月 2日,主に0:30〜1:30を参照。[2019年5月15日検索],URL,https://www.youtube.com/watch?v=txkM0d0x3KQ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心と一致する軸線を軸中心とする軸本体部と、該軸本体部を保持する軸保持部と、を有する軸部を備え、
前記軸本体部の下端部には、接地面に接地した際接地部分が弾性変形可能に形成された環状の接地部と、前記接地部の環状中心に垂設された突起部と、を有する接地部材が設けられており、
前記接地部の下端は、前記突起部の下端よりも下方に位置し、
少なくとも前記接地部材は、前記軸保持部に対して軸周りに自由回転する回転部材として構成されていることを特徴とするコマ玩具。
【請求項2】
前記接地部材の上部を挟み込んで、前記軸部の軸中心と前記接地部材の軸中心とが一致するように支持する接地支持部材を有していることを特徴とする請求項1に記載のコマ玩具。
【請求項3】
前記軸本体部は、前記回転中心と一致する軸線を軸中心とする軸芯部材を有し、前記接地部材は、該軸芯部材の下方に配置されており、
前記軸本体部全体が前記軸保持部に対して軸周りに自由回転する前記回転部材として構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコマ玩具。
【請求項4】
前記回転部材と前記軸保持部との間に介在するベアリング部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【請求項5】
前記接地部材は、前記接地部が前記接地面に吸着可能な吸盤であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【請求項6】
前記軸本体部は、前記軸保持部に対して上下動可能な余地を備えて配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコマ玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コマ玩具を胴部と軸部(特許文献1において「芯棒」)とで構成し、軸部(芯棒)を胴部に対して回転自由とするとともに、軸部(芯棒)の底部を平面状に形成したコマ玩具(特許文献1において「こま」)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
コマ玩具をこのような構成とすることで、一点で安定的に回転する一般的なコマ玩具と異なり、回転しつつも直線的に移動するような運動をコマ玩具にさせることができ、遊戯具としての面白さを高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−47588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のコマ玩具は、軸部(芯棒)が傾いた際に、軸部(芯棒)における平面状の底部の周縁部が床面と接触することで接線方向への移動要素に従い、直線状に走るような運動をするものである。
すなわち、コマ玩具が、殆ど常に走っているような運動を続けることを特徴とし、その動きの面白さを楽しむことに主眼を置いている。
【0005】
この点、いわゆるコマバトルゲームのように、コマ玩具同士を衝突させて遊ぶ場合には、相手方のコマ玩具による攻撃を受けた際の防御力も重要であるところ、軸部(芯棒)の底部が平面状である場合には、衝撃によりバランスを崩しやすい。
そして、コマ玩具がバランスを崩した際には、上記のようにコマ玩具が直線的に走り回るように動くため、所定の対戦フィールドから飛び出しやすくなる。
このため、特許文献1に記載のコマ玩具は、コマ玩具同士を衝突・対戦させる遊び方をする場合には、不利となってしまう。
【0006】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、相手方から攻撃を受けた際にも倒れにくく、防御力に優れたコマ玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段は、
回転中心と一致する軸線を軸中心とする軸本体部と、該軸本体部を保持する軸保持部と、を有する軸部を備え、
前記軸本体部の下端部には、接地面に接地した際接地部分が弾性変形可能に形成された環状の接地部と、前記接地部の環状中心に垂設された突起部と、を有する接地部材が設けられており、
前記接地部の下端は、前記突起部の下端よりも下方に位置し、
少なくとも前記接地部材は、前記軸保持部に対して軸周りに自由回転する回転部材として構成されていることを特徴とするコマ玩具。
【0008】
第2の手段は、第1の手段において、
前記接地部材の上部を挟み込んで、前記軸部の軸中心と前記接地部材の軸中心とが一致するように支持する接地支持部材を有していることを特徴とする。
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段において、
前記軸本体部は、前記回転中心と一致する軸線を軸中心とする軸芯部材を有し、前記接地部材は、該軸芯部材の下方に配置されており、
前記軸本体部全体が前記軸保持部に対して軸周りに自由回転する前記回転部材として構成されていることを特徴とする。
【0009】
の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれか一の手段において、
前記回転部材と前記軸保持部との間に介在するベアリング部材をさらに備えていることを特徴とする。
【0010】
の手段は、第1の手段から第の手段のいずれか一の手段において、
前記接地部材は、前記接地部が前記接地面に吸着可能な吸盤であることを特徴とする。
【0011】
の手段は、第1の手段から第の手段のいずれか一の手段において、
前記軸本体部は、前記軸保持部に対して上下動可能な余地を備えて配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コマ玩具の接地部材の接地部が、接地面に接地した際接地部分が弾性変形可能に形成されており、少なくとも接地部材が軸保持部に対して軸周りに自由回転するように構成されている。
これにより、接地面に対して軸部が傾いた状態でコマ玩具が回転するようになり、対戦相手のコマ玩具と側面同士で衝突するのを避けることができ、衝突によるダメージを受けにくく、長時間回転し続けることのできるコマ玩具を実現できる。
【0013】
また、軸本体部は、回転中心と一致する軸線を軸中心とする軸芯部材を有し、接地部材を含む軸本体部全体が軸保持部に対して軸周りに自由回転するとした場合にも接地面に対して軸部が傾いた状態でコマ玩具が回転するようになり、衝突によるダメージを受けにくい、長時間回転し続けることのできるコマ玩具とすることができる。
また、コマ玩具において自由回転する部分である軸本体部等の回転部材と軸保持部との間に介在するベアリング部材をさらに備えた場合には、軸本体部等の回転部材の軸保持部に対する摩擦を低減させることができ、コマ玩具が長時間円滑に回転し続けることができる。
さらに、コマ玩具における接地部材の接地部を接地面に吸着可能な吸盤とした場合には、接地部材が接地面に吸着することで、対戦相手のコマ玩具による攻撃等により衝撃を受けた際にも粘り強く、フィールドにとどまることができる。
また、軸本体部を軸保持部に対して上下動可能な余地を備えて配置した場合には、より回転しやすくすることができ、コマ玩具が長時間円滑に回転し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は、本発明に係るコマ玩具の一実施形態の斜視図であり、(b)は、その遊び方を説明するための図である。
図2】(a)は、本発明に係るコマ玩具の軸部の一実施形態の斜視図であり、(b)は、(a)における左右方向の断面図である。
図3】本実施形態のコマ玩具の軸部の分解斜視図である。
図4】(a)は、本実施形態のコマ玩具の軸本体部の斜視図であり、(b)は、軸本体部の断面図である。
図5】(a)は、本実施形態の接地部材の斜視図であり、(b)は、本実施形態の一変形例の接地部材の斜視図であり、(c)は、(b)に示す接地部材の断面図である。
図6】軸部の軸線が傾いている常態における接地状態を示すコマ玩具の側面図である。
図7】(a)は、軸部の軸線が傾かずに回転する一般的なコマ玩具同士が衝突する様子を示す模式図であり、(b)は、軸部の軸線が傾いて回転する本実施形態のコマ玩具と一般的なコマ玩具とが衝突する様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1(a)及び図1(b)から図7(a)及び図7(b)を参照しつつ、本発明に係るコマ玩具の一実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0016】
《全体構成》
図1(a)は、本発明に係るコマ玩具の一実施形態の斜視図であり、図1(b)は、コマ玩具の遊び方を説明した図である。
本実施形態のコマ玩具1は、いわゆるコマバトルゲームに使用することが可能なコマ玩具である。
具体的には、このコマ玩具1は、互いの衝突による衝撃力で相手方のコマ玩具1を図1(b)に示すように分解させて勝利とするようなバトルゲームに使用することができる。
このコマ玩具1は、図2に示すように、下部構造を構成しドライバとなる軸部10と、上部構造を構成する性能可変リング30及び胴体40によって構成されている。胴体40は、性能可変リング30を介して軸部10に取り付けられるようになっている。
なお、以下においては、本実施形態において特徴的構成を有する部分である軸部10について詳細に説明する。
【0017】
《軸部の細部構成》
図2(a)は、本実施形態のコマ玩具の軸部の斜視図である。なお、本実施形態においては、上下、左右及び前後は図2(a)に示した向きをいうものとする。
図2(b)は、本実施形態のコマ玩具の軸部を図2(a)における左右方向に切断した場合の断面図である。
また、図3は、本実施形態における軸部の分解斜視図である。
【0018】
本実施形態において、軸部10は、コマ玩具1の回転中心と一致する軸線を軸中心とする軸本体部20と、該軸本体部20を保持する軸保持部50と、を有している(図3参照)。
本実施形態では、軸本体部20(図3及び図4(a)、図4(b)参照)は、軸部10のほぼ中央部に、軸部10の軸線に沿って配置されている(図2(b)参照)。
図2(a)、図2(b)及び図3に示すように、軸部10の外観構成としては、上下方向中間部に鍔部12、上部に円筒部13を備え、下端部に軸本体部20を構成する接地部材25が配置されている。
図3に示すように、本実施形態において、軸部10は、軸保持部50として、上部ケース14、押圧部材15、柱状部材16、軸支持部材17等を備えている。なお、軸保持部50の構成はこれに限定されず、必ずしもこれら全ての部材を備えていなくてもよいし、これ以外の部材を備えていてもよい。
【0019】
軸部10の外観構成のうち、鍔部12と円筒部13とは、上部ケース14として一体に形成されており、軸部上部を構成している。
上部ケース14の円筒部13及び鍔部12には、軸部10の軸線を挟み左右方向で対峙する部位2箇所それぞれに突出部141が形成されている。この突出部141の外面は鍔部12の外周面とほぼ面一となっている。
また、図2(a)、図2(b)及び図3に示すように、上部ケース14の円筒部13及び鍔部12には、軸部10の軸線を挟み前後方向で対峙する部位2箇所それぞれに切欠き部142が形成されている。切欠き部142は、軸部10の軸線に沿って延在している。
【0020】
押圧部材15は、ほぼ円筒状に形成されており、円筒部151と、天井部152と、脚部153とを備えている。
本実施形態において押圧部材15は合成樹脂で形成されているが、押圧部材15は金属製等であってもよい。
円筒部151の外径は、上部ケース14の円筒部13の内径よりも小さくなっており、組み立て状態において、押圧部材15の円筒部151は、上部ケース14の円筒部13内に配置される。
また、円筒部151の内径は、後述する柱状部材16の上端部の外径よりも大きく形成されており、柱状部材16の上端部が円筒部151内に嵌め込まれるようになっている。
天井部152は円筒部151の上端に設けられている。この天井部152には、柱状部材16の上端部に対応する形状の開口部154が形成されている。
また、脚部153は、円筒部151の外周下端部に設けられている。
この脚部153は、円筒部151の外周のうち、軸部10の軸線を挟み前後方向で対峙する部位2箇所それぞれに形成されている。
【0021】
このように構成された押圧部材15は、組み立て状態において、脚部153が上記上部ケース14の切欠き部142に挿入されるようにして設置される。切欠き部142は上下方向の寸法が脚部153の長さ寸法よりも大きく設定されており、脚部153が切欠き部142内を上下方向に案内されることで、押圧部材15は軸部10の軸線に沿って上下方向に移動可能となっている。
この押圧部材15は図示しないスプリングによって上方に付勢されている。この押圧部材15は、脚部153が切欠き部142の上縁に突き当たることにより上方への移動が規制されており、常態では、押圧部材15の上端は上部ケース14の円筒部13の上端とほぼ同じ高さ位置に配置される。
また、押圧部材15の天井部152の上面には、軸部10の軸線を挟み左右方向で対峙する部位2箇所それぞれに半径方向に延びる凸条(突起)157が形成されている。
【0022】
柱状部材16は、ほぼ円筒状に形成された筒状部161と、天井部162と、脚部163とを備えている。
筒状部161の外径は、押圧部材15の円筒部151の内径よりも小さくなっており、組み立て状態において、柱状部材16の筒状部161は、押圧部材15の円筒部151内に配置される。そして、前述のように、柱状部材16の上端部が、押圧部材15の開口部154に嵌め込まれるようになっている。
また、脚部163は、筒状部161の外周下端部に設けられている。
この脚部163は、筒状部161の外周のうち、軸部10の軸線を挟み左右方向で対峙する部位2箇所それぞれに形成されている。
この脚部163は、筒状部161からほぼ水平に張り出しており、一対の脚部163のほぼ対称位置に、軸線方向に貫通する貫通孔164が形成されている。
【0023】
軸支持部材17は、後述する軸本体部20の軸芯部材21を支持するものである。
軸支持部材17は、円筒状の柱状部171と、柱状部171の外周から外側に向かって張り出す一対の張出部172とを有している。
柱状部171の内部は柱状部171の上端部から軸支持部材17の下端部まで貫通した貫通孔173となっており、軸支持部材17における下側面であって柱状部171に対応する位置(すなわち、軸支持部材17の下側のほぼ中央部)には、凹部174(図2(b)参照)が形成されている。
柱状部171の外径は、柱状部材16の筒状部161の内径よりも小さくなっており、組み立て状態において、軸支持部材17の柱状部171は、柱状部材16の筒状部161内に配置される。
柱状部171の内径は、後述する軸本体部20の軸芯部材21の外径よりも大きく形成されており、組み立て状態において、柱状部171の内部には軸芯部材21が挿通される。
また、凹部174の内径は、後述する軸本体部20の接地支持部材24の筒状部243の外径よりも大きく形成されており、組み立て状態において、凹部174の内部には接地支持部材24の筒状部243が嵌挿される。
【0024】
一対の張出部172には、それぞれ貫通孔175が形成されている。
貫通孔175は、組み立て状態において柱状部材16の貫通孔164及び上部ケース14の孔部143に対応する位置に形成されており、図3に示すように、貫通孔175、貫通孔164及び孔部143にねじ18を挿通させることにより、上部ケース14、柱状部材16、軸支持部材17及び上部ケース14と柱状部材16との間に配置される押圧部材15が固定され、一体化される。
【0025】
図4(a)は、本実施形態における軸本体部の斜視図であり、図4(b)は、図4(a)に示す軸本体部の断面図である。
図3及び図4(a)、図4(b)に示すように、本実施形態において、軸本体部20は、軸芯部材21、緩衝部材22、ベアリング部材23、接地支持部材24、接地部材25等を備えて構成されている。なお、軸本体部20の構成はこれに限定されず、これら全ての部材を備えていなくてもよいし、これ以外の部材を備えていてもよい。
本実施形態において、軸本体部20を軸保持部50に対して上下動可能な余地を備えて配置されている。これにより一層軸本体部20が回転しやすくなり、コマ玩具1が長時間円滑に回転し続けることができる。
【0026】
軸芯部材21は、軸部10の軸中心とほぼ一致するように設けられた軸芯部211と、軸芯部211の上端に設けられ、軸芯部211の径よりも大きな径を有する軸頭部212とを有している。
軸芯部211には、環状の緩衝部材22が挿通されている。
前述のように、組み立て状態において軸芯部材21の軸芯部211は、軸支持部材17の柱状部171内に挿入された状態で、柱状部材16の筒状部161内に配置される。
このとき、緩衝部材22の外径は、柱状部171の内径よりも大きく、筒状部161の内径よりも小さいため、緩衝部材22は、柱状部171の上端面と軸頭部212の下側面との間に介在するように配置され、軸芯部材21を安定的に配置させる。
【0027】
また、軸芯部211の外径は、軸支持部材17の凹部174に嵌挿された接地支持部材24の筒状部243の内径よりも小さいため、軸芯部211は、軸支持部材17内を柱状部171から凹部174内に至るまで貫通し、さらに凹部174内に嵌挿された筒状部243内に嵌め込まれる。
軸芯部211の先端側には、環状のベアリング部材23が装着されている。このベアリング部材23の外径は、軸支持部材17の凹部174の内径よりも小さく、接地支持部材24の筒状部243の内径及び軸支持部材17の貫通孔173の内径よりも大きく形成されている。このため、ベアリング部材23は、筒状部243の上端面と凹部174内の下側面(底面)との間に介在するように配置される。
これにより、ベアリング部材23は軸本体部20を構成する軸芯部材21(軸芯部材21の軸芯部211)と軸保持部50(軸保持部50の軸支持部材17)との間に介在し、軸本体部20は、軸保持部50に対して軸周りに円滑に自由回転する回転部材として構成される。
なお、ベアリング部材23の構成はどのようなものでもよく、軸保持部50に対して軸本体部20が円滑に自由回転し得るものであれば各種の構成のものを適用することができる。また、ベアリング部材23を備えることは必須ではなく、これを備えない構成としてもよい。
【0028】
接地支持部材24は、接地部材25を支持するものである。
本実施形態では、接地支持部材24は、第1部材241と第2部材242との2つの部材で構成され、ほぼ半分に分割できるようになっている。これにより、部品の生産性に優れ、組み立て時にも容易に組み立てることができる。
第1部材241と第2部材242とを組み立てた状態において、接地支持部材24の上部ほぼ中央には、筒状部243が形成される。
なお、図3及び図4(a)、図4(b)に示す例では、第2部材242の側に筒状部243が形成されている場合を例示しているが、第1部材241及び第2部材242の形状等は図示例に限定されない。例えば、第1部材241及び第2部材242が接地支持部材24をほぼ中央部で2分割したほぼ等しい形状の部材であり、両部材を合わせることで初めて筒状部243が形成される構成としてもよい。
また、接地支持部材24内部には、後述する接地部材25の頭部252を収容保持する収容部244が形成されている。
【0029】
接地支持部材24の筒状部243は、前述のように、軸支持部材17の凹部174の内径よりも小さく形成されており、接地支持部材24の筒状部243は、組み立て時に凹部174の内部に嵌挿されるようになっている。
また、筒状部243の内径は、軸芯部材21の軸芯部211の外径よりも大きく形成されており、軸芯部211の先端側が筒状部243内に嵌め込まれるようになっている。
【0030】
接地部材25は、コマ玩具1の下端に配置され、接地面F(図6等参照)に接地するものである。
図5(a)は、本実施形態における接地部材25の斜視図である。
図4(a)、図4(b)及び図5(a)に示すように、本実施形態では、接地部材25は、接地部251と、接地支持部材24に係止される頭部252と、を備えている。
前述のように、接地部材25の頭部252が接地支持部材24内部の収容部244に収容保持されることで、接地部材25が接地支持部材24に係止される。
【0031】
接地部251は、軸本体部20の、軸部10における下端部に設けられ、接地面Fに接地した際にその接地部分が弾性変形可能に形成された環状の部分である。本実施形態では、接地部251は、下端に行くにしたがって径が大きくなるテーパ状に形成されている。
接地部材25は、少なくとも接地部251が弾性変形可能な軟性の材料で形成されている。軟性の材料としては、例えばシリコーン等が考えられるが、特に限定されない。
本実施形態のコマ玩具1は、回転させた際に、接地部251の接地した部分がコマ玩具1自体の重さ等によって変形し、コマ玩具1の軸中心から離れる方向(すなわち外側)に捲れるように倒れる。
これにより、コマ玩具1の軸部10が傾くが、傾き量に応じて接地部251も大きく潰れ、接地面積が増大する。このため、コマ玩具1は軸部10が傾いたままその場で頭(胴部40)を振るように回転し続ける。
【0032】
また、本実施形態では、接地部材25は、接地部251が接地面Fに吸着可能な吸盤となっている。
このため、吸着力によって接地面Fに吸着した場合には、その場で頭(胴部40)を振るのみで接地面Fを構成するフィールド(対戦フィールド)内を動き回ることがなく、フィールドから飛び出しにくい。
そして、前述のように、軸本体部20を構成する軸芯部材21(軸芯部材21の軸芯部211)と軸保持部50(軸保持部50の軸支持部材17)との間にはベアリング部材23が介在し、軸本体部20が軸保持部50に対して軸周りに自由回転するように構成されているため、接地部251が接地面Fに吸着しても、コマ玩具1は回転を止めることなく回り続ける。
【0033】
なお、接地部材25の形状は、図5(a)に示したものに限定されない。
例えば、図5(b)に示すように、外観を側面視した場合に円筒状である接地部251aを備えていてもよい。
なお、この場合にも、コマ玩具1の軸部10が傾いた際に、接地部251aがコマ玩具1の軸中心から離れる方向(すなわち外側)に捲れるように倒れることが好ましい。
このため、図5(c)に示すように、接地部251aの内側を、下端に行くにしたがって径が大きくなるテーパ状に形成し、接地部251aがコマ玩具1の軸中心から離れる方向(すなわち外側)に捲れやすいように形成することが好ましい。
なお、接地部材25の形状は、接地部251が接地した際に、接地部251がコマ玩具1の軸中心から離れる方向(すなわち外側)に倒れて接地面積が増大するような構成のものであればよく、ここに例示した以外の形状でもよい。
【0034】
《組立方法》
次に、コマ玩具1の組立方法の一例を説明する。なお、ここでは、軸部10の組立を中心に説明する。
まず、上部ケース14、押圧部材15、柱状部材16を組み付ける。そして、軸芯部材21の軸芯部211に緩衝部材22を挿通させた後、軸芯部211を軸支持部材17の柱状部171内に上方から挿入し、軸支持部材17の下側の凹部174内に軸芯部211の先端側を突出させる。
また、接地部材25の頭部252を接地支持部材24内部の収容部244に収容保持させて、接地部材25を接地支持部材24に係止させる。
凹部174内に突出した軸芯部211の先端側にベアリング部材23を取り付け、軸芯部211の先端側を接地支持部材24の筒状部243内に圧入する。
これにより、図4(a)及び図4(b)に示す軸本体部20が、軸支持部材17に取り付けられた状態となる。
【0035】
この状態で、上部ケース14、押圧部材15、柱状部材16に、軸本体部20が取り付けられた軸支持部材17を組み付けて、貫通孔175、貫通孔164及び孔部143にねじ18を挿通させる。これにより、軸本体部20、上部ケース14、柱状部材16、軸支持部材17及び上部ケース14と柱状部材16との間に配置される押圧部材15が固定される。
これにより、軸部10を構成する全ての部品が一体化され、軸部10の組み立てが完了する。
【0036】
そして、このようにして組み立てられた軸部10の上部に性能可変リング30を嵌合状態に組み付ける。
さらに、この組付け体を下方から胴体40に対して組み付け、胴体40や性能可変リング30が容易に軸部10から外れないようにロック状態とする。
これにより、本実施形態におけるコマ玩具1の組み立てが完了する。
【0037】
《遊び方及び作用》
続いて、このコマ玩具1を使用しての遊び方の一例及びコマ玩具1の作用を説明する。
この遊び方の一例では、コマ玩具1を回転させて、相手方のコマ玩具と戦いを行う。
この場合、コマ玩具1の回転力のチャージは、図示しないランチャー等を用いて行い、コマ玩具1を回転させて所定のフィールド(対戦フィールド)上に発射する。
【0038】
このようにして発射されたコマ玩具1は当該フィールドにおいて回転させられ、相手方のコマ玩具に衝突すると、衝突による衝撃力等がコマ玩具1に作用する。そして、衝突を繰り返すことでコマ玩具1のロック状態が解除されると、図1(b)に示すように、コマ玩具1は軸部10と性能可変リング30及び胴体40とに分解される。
【0039】
本実施形態のコマ玩具1は、フィールド上に発射され、接地部材25の接地部251がフィールドの接地面Fに接地すると、図6に示すように、接地部251における接地部分がコマ玩具1の軸中心から離れる方向(すなわち外側)に倒れる(潰れる)ように弾性変形する。
これにより、軸部10が傾き、この傾きに応じて接地部251の接地面積が増大し、コマ玩具1は、倒れることなくその場で傾いたまま回転し続ける。
【0040】
図7(a)に示すように、対戦するコマ玩具同士が、いずれも軸部10の軸線がフィールド等の接地面Fに対して垂直のまま衝突し合うと、コマ玩具は、胴体40の側面同士で衝突する。このため、受ける衝撃が大きく、強く弾き飛ばされたりすることで、コマ玩具のロック状態が解除されて分解されやすくなる。
これに対して、図7(b)に示すように、コマ玩具1が傾いた状態で回転している場合には、対戦相手のコマ玩具の側面に対して、コマ玩具1の胴体40の上面が衝突する。このため、衝撃を受け流すことができ、大きなダメージを受けにくい。
【0041】
また、接地部251が吸盤となっている場合には、フィールド等の接地面Fに接地部251が吸着し、対戦相手のコマ玩具と衝突した場合にもフィールドから弾き出されることなく、粘り強く長い時間安定して回転し続けることができる。
【0042】
《本実施形態の効果》
以上のように、本実施形態によれば、軸本体部が軸保持部に対して軸周りに自由回転するように構成されているとともに、コマ玩具の接地部が、接地面に接地した際接地部分が弾性変形可能に形成されている。
これにより、接地面Fに対して軸部10が傾いた状態でコマ玩具1が回転するようになり、対戦相手のコマ玩具と側面同士で衝突するのを避けることができ、衝突によるダメージを受けにくく、長時間回転し続けることのできるコマ玩具1を実現することができる。
【0043】
また、コマ玩具1の軸本体部20と軸保持部50との間に介在するベアリング部材23をさらに備えている。
このため、軸本体部20の軸保持部50に対する摩擦が低減されて、軸部10の回転が阻害されず、コマ玩具1が長時間円滑に回転し続けることができる。
さらに、コマ玩具1における接地部材25の接地部251を接地面Fに吸着可能な吸盤とした場合には、接地面Fに吸着することで、対戦相手のコマ玩具による攻撃等により衝撃を受けた際にも粘り強く、フィールドにとどまることができ、防御力に優れたコマ玩具1を実現することができる。
また、軸本体部20は軸保持部50に対して上下動可能な余地を備えて配置されているため、軸本体部20がより回転しやすくなり、コマ玩具1が長時間円滑に回転し続けることができる。
【0044】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0045】
例えば、上記実施形態では、軸芯部材21の軸芯部211の周りにベアリング部材23を設ける例を示したが、接地部材25又はこれを備える軸本体部20が軸保持部50に対して自由回転できる回転部材として構成されていてもよい。この場合には自由回転する部材が軸保持部50に対して自由回転できるようにベアリング部材23を配置すればよく、ベアリング部材23は軸芯部211の周りに設けられる場合に限定されない。
例えば、軸芯部材21を軸保持部50側に固定とし、接地部材25又はこれを支持する接地支持部材24の周囲等にベアリング部材23を配置してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 コマ玩具
10 軸部
17 軸支持部材
20 軸本体部
22 緩衝部材
23 ベアリング部材
25 接地部材
30 性能可変リング
40 胴体
50 軸保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7