(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る神経刺激電極の一実施形態を、
図1から
図14を参照しながら説明する。
図1及び2に示すように、本実施形態の神経刺激電極1は、血管に当接する当接面15aを有し、血管内に留置される留置部10と、留置部10に設けられた一対の電極部20と、電気的刺激を発生するパルスジェネレータ(刺激発生装置)50と留置部10とを接続するリード部30と、留置部10の当接面15aに設けられた凹凸部40とを備えている。
なお、神経刺激電極1及びパルスジェネレータ50で、神経刺激システム2を構成する。以下では、リード部30に対する留置部10側を先端側、留置部10に対するリード部30側を基端側とそれぞれ称する。
【0015】
留置部10は、弾性を有する材料で線状に形成され、リード部30の軸線C1に沿うとともに軸線C1周りに複数配置された付勢部13を有している。この例では、留置部10は4本の付勢部13を有し、4本の付勢部13は軸線C1周りに等角度(90°)ごとに配置されている。付勢部13の軸線C1に沿う中間部は、軸線C1に交差する方向に向かって凸となるように湾曲している。
付勢部13は、ワイヤ14と、ワイヤ14の外面を全周にわたり被覆する被膜(被覆部材)15とを有している。
【0016】
各ワイヤ14は、生体適合性を有する材料からなる形状記憶合金や超弾性ワイヤ等で形成されている。ワイヤ14を形成する材料には、ワイヤ14に外力を加えて変形させた後にこの外力を除去すると、ワイヤ14が元の形状に戻るための復元力を発揮するものが用いられる。ワイヤ14の外径は例えば0.2〜0.5mm程度に設定され、ワイヤ14の軸線に直交する断面形状は円形、楕円形、四角形等のものが用いられる。
ワイヤ14の外面には、ワイヤ14の軸線周りにワイヤ溝(溝部)14aがリング状に複数形成されている。複数のワイヤ溝14aは、ワイヤ14の軸線に沿って互いに離間するように形成されている。ワイヤ14のワイヤ溝14aは、例えば直線状のワイヤを切削することで設けることができるし、成形により設けることもできる。
ワイヤ溝14aは、ワイヤ14の軸線方向に広い範囲にわたり数多く形成されていることが好ましい。
【0017】
ワイヤ14の周囲に被膜15を付けることで、ワイヤ14の外面の滑らかさを向上させ、ワイヤ14に血栓低減効果や絶縁性を付与することができる。被膜15には、例えばポリウレタン樹脂やポリアミド樹脂、フッ素樹脂等を用いることができる。被膜15の厚さは、例えば50〜500μm(マイクロメートル)の一定の値である。
ワイヤ14に一定の厚さの被膜15を付けることで、被膜15の外面(付勢部13の外面)である当接面15aに、被膜15の軸線周りにリング状の溝部15bが複数形成されている。被膜15の当接面15a及び複数の溝部15bで、前述の凹凸部40が構成される。
1本の被膜15には少なくとも1つの溝部15bが形成されるが、溝部15bは、被膜15の軸線方向に広い範囲にわたり数多く形成されていることが好ましい。
【0018】
例えば、付勢部13の断面形状が円形で直径が0.3mmの場合、溝部15bの深さは0.05〜0.75mm程度に設定される。溝部15bの幅(付勢部13の軸線方向の長さ)は、例えば0.1〜1mm程度で溝部15bによらず等しくしてもよいし、溝部15bによらず等しくせず変えてもよい。
付勢部13の軸線方向の位置により溝部15bの幅を変えると、付勢部13の柔軟性に変化を持たせることができる。
各付勢部13を軸線C1周りに等角度ごとに配置すると、留置部10の良好な操作性が得られる。しかしながら、例えば特定の生体構造によりフィットさせるなどの理由で、各付勢部13を軸線C1周りに等角度ごとに配置しなくてもよい。
【0019】
4本の付勢部13のうちの1本には、前述の一対の電極部20が設けられている。
図3に示すように、電極部20は、円筒状に形成された金属片21の一部を被膜15から露出させることで形成されている。電極部20の露出面積は、例えば1〜3mm
2程度である。一対の電極部20を、付勢部13における軸線C1とは反対側(血管壁側)に設ける等、電極部20を設ける向きに方向性を持たせてもよい。
金属片21は、例えば白金や白金イリジウム合金で形成されている。金属片21内には樹脂等の絶縁部材22を介してワイヤ14が挿通されている。ワイヤ14と絶縁部材22との間に空気層を含まないように、絶縁部材22は熱融着によりワイヤ14に溶融結合される。このように構成されることで、金属片21とワイヤ14とが短絡するのが防止される。
この例では、電極部20の外面20aと、被膜15の外面である当接面15aとは面一である。
【0020】
金属片21には、電気配線23の一端部が溶接等により接続されている。
電気配線23としては、図示はしないが耐屈曲性を有するニッケルコバルトクロム合金(35NLT20%Ag材、又は35NLT41%Ag材)からなる撚り線を、電気的絶縁材(例えば厚さ20μmのETFEやPTFEなど)で被覆したものを好適に用いることができる。電気配線23は、リード部30の内腔を通り、後述するコネクタ31まで到達する。
一対の電極部20は、例えば付勢部13に沿って3〜20mm程度の間隔を空けて配置される。
なお、一対の電極部20は互いに異なる付勢部13に設けられていてもよい。
【0021】
図1に示すように、留置部10は全体として球状に形成されている。
外力が作用しない自然状態での留置部10の外径は、上大静脈の内径を上回る20〜40mm程度である。このため、留置部10が血管内に挿入されると、留置部10は血管壁により圧縮され、血管壁に対して反力である押圧力を発生させる。
【0022】
リード部30は、例えばポリウレタン樹脂やポリアミド樹脂等の生体適合性を有する材料を用いたチューブからなる。リード部30の先端部は、留置部10に接続されている。リード部30の基端部には、パルスジェネレータ50と接続するためのコネクタ31が設けられている。
コネクタ31には、例えば公知のIS−1コネクタやその他の防水型コネクタ等を用いてもよい。リード部30の内腔には、前述の電気配線23が挿通されている。リード部30の引っ張り強度を高めるために、金属ワイヤ等のテンションメンバをリード部30の内腔に挿通してもよい。リード部30の寸法は、例えば外径は1〜2mm程度であり、長さは500〜800mm程度である。また、リード部30の外面に任意の被膜を施すことで、抗血栓性や摺動性を付与してもよい。
【0023】
パルスジェネレータ50は図示されていない電気刺激供給部を有しており、定電流方式または定電圧方式による電気的刺激を発生させることができる。この例では、パルスジェネレータ50は、
図4に示すように、定電流方式であって位相が切り替わるバイフェージック波形群を、所定の間隔を有して発生させる。
具体的な波形としては、例えば周波数10〜20Hz、パルス幅50〜400msで、プラスの最大電流0.25〜10mAからマイナスの最大電流−0.25〜−10mAの間で電流が変化するものを挙げることができる。パルスジェネレータ50はこのようなバイフェージック波形を1分間あたり任意の秒数の間印加する。任意の秒数としては、例えば3〜10秒、集中的に印加したい場合には60秒等である。
【0024】
前述のようにパルスジェネレータ50はコネクタ31によりリード部30と接続される。コネクタ31は、パルスジェネレータ50に着脱可能であってもよいし、パルスジェネレータ50に不可逆的に接続(固定)されていてもよい。
パルスジェネレータ50がリード部30と接続されると、パルスジェネレータ50は前述の電気配線23を介して、留置部10に設けられた一対の電極部20に電気的に接続され、一対の電極部20に電気的刺激を伝導する。その際に、対となる電極部20の一方がプラス電極として作用し、他方がマイナス電極として作用する。
【0025】
次に、以上のように構成された神経刺激電極1を上大静脈に留置する手技について説明する。
まず、術者は、
図5に示す患者Pの図示しない頸部近傍を切開して開口を形成する。この開口に、公知のイントロデューサやダイレータ(不図示)を設置し、内頚静脈(血管)P1にイントロデューサの先端部を挿入する。
設置したイントロデューサを介して、内頚静脈P1内に留置部10を挿入する。このとき、留置部10をイントロデューサに挿入可能な外径まで弾性的に変形(縮径)させてから挿入する。挿入時には、X線透視下で神経刺激電極1の電極部20、及び留置部10のワイヤ14の位置を確認する。
【0026】
リード部30を押込んで、
図5に示すように留置部10を上大静脈(血管)P2に概略配置する。留置部10は、軸線C1が上大静脈P2の長手方向にほぼ平行になるように配置される。留置部10の自然状態での外径が前述のように設定されているため、それぞれの付勢部13は上大静脈P2により軸線C1側に押し付けられる。すなわち、軸線C1側に弾性的に変形された留置部10は、上大静脈P2の内面を付勢する。
このとき、
図2中の一部拡大図に示すように、付勢部13の溝部15b内に上大静脈P2の血管壁P3が入り込む。
一対の電極部20は、付勢部13における軸線C1とは反対側に設けられているため、各電極部20が上大静脈P2の血管壁P3側に向くように配置され、各電極部20を血管壁P3に確実に接触させることができる。
この上大静脈P2に隣接して、
図5に示す迷走神経P5が併走している。
【0027】
続いて、術者は、パルスジェネレータ50を操作し、電気的刺激を一対の電極部20間に印加する。電気的刺激を印加した状態で、リード部30の基端部を押込んだり引き戻したりして上大静脈P2の長手方向に沿う留置部10の位置を調節するとともに、リード部30の基端部を軸線C1周りに回転させることで留置部10を軸線C1周りに回転させる。
留置部10を移動させながら、患者Pに取付けた心電計などにより心拍数を計測する。一対の電極部20が迷走神経P5に近づいて、対向するように配置され、一対の電極部20から迷走神経P5に印加される電気的刺激が最も大きくなったときに、患者Pの心拍数が最も低下する。術者は、心拍数が最も低下するように、すなわち、一対の電極部20が迷走神経P5側を向くように、留置部10を移動させる。
以上の手順により、上大静脈P2に対する留置部10の位置および向きを決める。
留置部10の上大静脈P2内への留置が完了したら、イントロデューサを除去する。
【0028】
この状態で一定期間、迷走神経P5に電気的刺激を印加し続ける。この間に、患者Pの体動等により留置部10に外力がかかった場合でも、付勢部13の凹凸部40における溝部15b内に上大静脈P2の血管壁P3が入り込んでいるため、上大静脈P2に対して留置部10が位置ずれしにくい。特に、溝部15bは上大静脈P2の長手方向に直交する方向に延びているため、上大静脈P2の長手方向周りよりも上大静脈P2の長手方向の位置ずれの方がより確実に抑えられる。
前述の一定期間が経過したら、パルスジェネレータ50を操作して電気的刺激の発生を停止させる。留置部10は容易に外径が変化するため、リード部30を引き戻すことで、頸部近傍の小さな開口からでも神経刺激電極1を抜去することができる。本神経刺激電極1の抜去のために、外科的な再手術は必要としない。
この後で、開口を縫合するなど適切な処置を行い、一連の手技を終了する。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の神経刺激電極1によれば、留置部10の当接面15aに凹凸部40が設けられている。上大静脈P2内に留置部10を留置したときに、凹凸部40の溝部15b内に上大静脈P2の血管壁P3が入り込む。したがって、上大静脈P2に留置部10の位置ずれを抑えて固定することができる。
凹凸部40が、被膜15の軸線周りにリング状に形成された溝部15bを有している。このため、上大静脈P2の長手方向周りよりも上大静脈P2の長手方向の位置ずれの方をより確実に抑えることができる。
上大静脈P2に対する一対の電極部20の位置が体動等により移動することで、電気的刺激の刺激効果が減少するのを防ぐことができる。
【0030】
本実施形態の神経刺激電極1の留置部10は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図6に示す留置部60のように、付勢部61が被膜を備えずにワイヤ14のみで構成されてもよい。ワイヤ14の軸線C1に沿う中間部は、軸線C1に交差する方向に向かって凸となるように湾曲している。この変形例では、ワイヤ14の外面が当接面14bとなり、ワイヤ14の当接面14b及び複数のワイヤ溝14aで、凹凸部62が構成される。
【0031】
図7に示す留置部65のように、付勢部66がワイヤ67と、ワイヤ67の外面を被覆する被膜68とを有するように構成してもよい。
ワイヤ67は、ワイヤ67の軸線方向の位置によらず外径が一定である。被膜68の外面である当接面68aには、被膜68の軸線周りにリング状の溝部68bが複数形成されている。被膜68の当接面68a及び複数の溝部68bで、凹凸部69が構成される。
この変形例の付勢部66は、例えば、被膜68の当接面68a及び溝部68bの形状に対応した図示しない型の内部にワイヤ67を配置する。そして、型の内部に被膜68の材料を溶融させたものを注入することで付勢部66を形成することができる。
【0032】
図8に示す留置部75のように、前述の変形例の留置部65において、被膜68の溝部68bが、前述のワイヤ67の外面67aに達するまで形成されてもよい。この変形例では、各被膜68はリング状に形成されている。ワイヤ67及び複数の被膜68で付勢部76を構成し、複数の被膜68及びワイヤ67の外面67aで凹凸部77を構成する。
【0033】
図9に示す留置部80のように、前述の変形例の留置部65において、各被膜68に代えて被膜81を備えてもよい。被膜81は、ワイヤ67の軸線周りに螺旋状に形成されている。この変形例では、被膜81の外面が当接面81aとなる。ワイヤ67及び被膜81で付勢部82を構成し、複数の被膜81及びワイヤ67の外面67aで凹凸部83を構成する。凹凸部83は、ワイヤ67及び被膜81により形成された溝部84を有する。溝部84は、付勢部82の外面に、付勢部82の軸線周りに螺旋状に形成されている。
被膜81は、例えば、直線状の被膜をワイヤ67に螺旋状に巻き付けて形成することができる。
このように構成された留置部80では、凹凸部83の溝部84に上大静脈P2の血管壁P3が入り込んだときには、上大静脈P2に対して留置部80は、上大静脈P2の長手方向周り、及び上大静脈P2の長手方向のいずれの位置ずれも効果的に抑えることができる。
【0034】
なお、付勢部82の外面に螺旋状の溝部84を形成する方法はこれに限らず、例えば以下のものが挙げられる。
軸線周りに螺旋状の溝部が形成されているワイヤに一定の厚さの被膜を付けることで、ワイヤ及び被膜により構成される付勢部の外面に螺旋状の溝部を形成する。
付勢部をワイヤのみで構成し、このワイヤに軸線周りに螺旋状の溝部を形成する。
付勢部を、外径が一定のワイヤと、このワイヤの外面を被覆する被膜とで構成する。被膜の外面に被膜の軸線周りに螺旋状の溝部を形成する。
【0035】
図10に示す留置部90のように、付勢部91が前述の変形例の付勢部66の被膜68に代えて被膜92を備えるように構成してもよい。この変形例では、被膜92の外面が当接面92aとなる。被膜92には、軸線Cから離間するにしたがって基端側に向かうように突出した凸部93が複数設けられている。この変形例では、被膜92の当接面92a及び複数の凸部93で凹凸部94を構成する。複数の凸部93は、付勢部91の軸線方向に沿って並べて配置されている。
【0036】
このように構成された留置部90では、隣り合う凸部93の間に上大静脈P2の血管壁P3が入り込んだときには、上大静脈P2に対して留置部90が先端側である矢印A1に移動するときには、凸部93が軸線C1側に倒れることで留置部80は移動しやすい。一方で、上大静脈P2に対して留置部90が基端側である矢印A2に移動するときには、凸部93の先端部が軸線C1から離間するように移動する(広がる)ことで留置部90は移動しにくくなる。すなわち、凸部93が突出する向きにより、留置部90が上大静脈P2に固定する力に方向性を持たせることができる。留置部90の付勢部91は、先端側と基端側とで、摺動特性の異方性を有している。
【0037】
なお、凸部93は、軸線Cから離間するにしたがって先端側に向かって突出するように形成してもよい。この場合、留置部90の挿入方向(先端側に移動する方向)には固定力を発揮させ、留置部90の抜去方向(基端側に移動する方向)にはスムーズに移動させることができる。
また、付勢部が被膜を備えずワイヤを備える場合には、ワイヤに凸部を設けてもよい。
この変形例では、
図11に示す留置部90Aのように、凸部93Aにおける突出方向の先端部を丸めてもよい。
また、凸部93は付勢部91において軸線Cから離間するにしたがって基端側に向かうように突出するとした。しかし、凸部93が付勢部91の軸線周りの様々な方向に突出するとしてもよい。この場合、上大静脈P2の長手方向に対して留置部90の軸線C1が傾いても、上大静脈P2に留置部90の位置ずれを抑えて固定することができる。
【0038】
図12及び13に示す留置部95のように、付勢部96が前述の変形例の付勢部66の被膜68に代えて被膜97を備えるように構成してもよい。
この変形例では、被膜97の外面が当接面97aとなる。被膜97には、付勢部96の軸線方向に延びる溝部97bが形成されている。被膜97の当接面97a及び溝部97bで凹凸部98を構成する。被膜97の溝部97bは、押し出し成形等により形成することができる。
このように構成された留置部95では、凹凸部98の溝部97bに上大静脈P2の血管壁P3が入り込んだときには、上大静脈P2に対して留置部95が上大静脈P2の長手方向周りに位置ずれするのが効果的に抑えられる。
【0039】
なお、本変形例の付勢部が被膜を備えずワイヤを備える場合には、ワイヤに溝部を設けてもよい。
これまで説明してきた付勢部13、61、66、76、82、91は、1つの留置部に組み合わせて用いられてもよい。具体的には、1つの留置部に
図12に示す付勢部96と
図6に示す付勢部61とを備えることで、上大静脈P2の長手方向周り、及び上大静脈P2の長手方向のいずれの位置ずれも効果的に抑えることができる。
【0040】
本実施形態では、電極部20の外面20aと被膜15の外面である当接面15aとは面一であるとした。しかし、
図14に示すように電極部20の外面20aと被膜15の当接面15aとの間に段差部100が形成される場合も考えられる。このような段差部100は、本発明の凹凸部には含まれないことが好ましい。
すなわち、凹凸部、すなわち当接面は、電極部以外の部分に設けられることが好ましい。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、留置部10は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図15に示す留置部110は、リード部30から先端側に延びる棒状の支持部材111と、支持部材111から軸線C1に対する一方側(片側)に向かって凸となるように湾曲した付勢部13が設けられている。この変形例では、一対の電極部20は支持部材111に設けられている。支持部材111は、絶縁性を有する樹脂などで形成する。
【0042】
図16に示す留置部120は、絶縁性および弾性を有する樹脂などで形成された、いわゆるステント状(円筒状)の付勢部材121を有している。付勢部材121の側面には、多数の孔121aが形成されている。この付勢部材121を縮径させた状態で上大静脈P2内に配置することで、上大静脈P2に留置部120を位置決めする。
図17に示す留置部130では、支持ワイヤ131、132は自然状態では同一平面上に形成されている。支持ワイヤ131、132は、超弾性ワイヤを折り曲げることで形成することができる。支持ワイヤ131、132を畳んで縮径させた状態で血管内に導入し、上大静脈P2内で支持ワイヤ131、132を広げて血管壁P3を付勢することで、上大静脈P2に留置部130を位置決めする。
【0043】
図示はしないが、このように構成された留置部110、120、130の当接面に凹凸部を設けることで、留置部の固定力を高め留置部の移動を防止することができる。
【0044】
本実施形態では、当接面に溝部を形成したり凸部を設けたりすることで凹凸部を形成した。この当接面に対して溝部や凸部が突没する位置は規則的であっても不規則的(ランダム)であってもよい。溝部や凸部が突没する高さ(深さ)は特に制限はなく、数μm〜数mm程度でもよい。手等で触るとザラザラする公知の表面処理を当接面に施すこと等によっても、当接面に凹凸部を設けることができる。
【0045】
留置部は付勢部を1本だけ備えるように構成してもよい。留置部をこのように構成しても、この付勢部が軸線C1に交差する方向に向かって凸となるように湾曲していれば、血管壁により留置部が圧縮されることで血管壁に対して押圧力を発生させることができるからである。
本実施形態の神経刺激電極1は、上大静脈P2に留置して迷走神経P5に電気的刺激を印加するだけでなく、心臓ペーシングリード等にも用いることができる。