(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1インバータは、前記エンハンスメント型PMOSFETのソースと前記第5デプレッション型NMOSFETのソースとの間に接続された第2抵抗をさらに含むことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の入力回路。
前記第1エンハンスメント型NMOSFET、前記第3エンハンスメント型NMOSFET、及び、前記エンハンスメント型PMOSFETは、いずれも50V以上の素子耐圧を備えた高耐圧素子であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の入力回路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の入力回路では、スレッショルド電圧の設定精度について、改善の余地があった。
【0006】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者により見出された上記課題に鑑み、スレッショルド電圧の設定精度が高い入力回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書中に開示されている入力回路は、ゲートに入力信号が入力される第1エンハンスメント型NMOSFET[N-channel type metal-oxide-semiconductor field effect transistor]と;ドレインが電源端に接続されて、ゲートとソースがいずれも前記第1エンハンスメント型NMOSFETのドレインに接続された第1デプレッション型NMOSFETと;ソースが前記第1エンハンスメント型NMOSFETのドレインに接続された第2エンハンスメント型NMOSFETと;入力端が前記第1エンハンスメント型NMOSFETのドレインに接続されて、出力端が出力信号の出力端に接続された第1インバータと;入力端が前記出力信号の出力端に接続されて、出力端が前記第2エンハンスメント型NMOSFETのゲートに接続された第2インバータと;ドレインが電源端に接続されて、ゲートが前記第2エンハンスメント型NMOSFETのドレインに接続された第2デプレッション型NMOSFETと;正の温度特性を持ち、第1端が前記第2デプレッション型NMOSFETのソースに接続されて第2端が前記第2エンハンスメント型NMOSFETのドレインに接続された第1抵抗と;を有する構成(第1の構成)とされている。
【0008】
なお、上記第1の構成から成る入力回路において、前記第1エンハンスメント型NMOSFETと前記第1デプレッション型NMOSFETは、それぞれの温度特性が互いにキャンセルされるように素子設計されており、前記第2デプレッション型NMOSFETと前記第1抵抗は、それぞれの温度特性が互いにキャンセルされるように素子設計されている構成(第2の構成)にするとよい。
【0009】
また、上記第2の構成から成る入力装置は、カソードが電源端に接続されて、アノードが前記第1エンハンスメント型NMOSFETのドレインに接続された第1ツェナダイオードと;ドレインが前記第1エンハンスメント型NMOSFETのソースに接続されて、ゲートとソースがいずれも接地端に接続された第3デプレッション型NMOSFETと;をさらに有する構成(第3の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第3の構成から成る入力装置において、前記第3デプレッション型NMOSFETは、前記第1デプレッション型NMOSFETに流れる第1デプレッション電流と前記第2デプレッション型NMOSFETに流れる第2デプレッション電流とを足し合わせた合算電流よりもやや大きい第3デプレッション電流を流すように設計されている構成(第4の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第3または第4の構成から成る入力回路において、前記第1インバータは、ゲートが前記第1エンハンスメント型NMOSFETのドレインに接続されてドレインが前記出力信号の出力端に接続されたエンハンスメント型PMOSFET[P-channel type MOSFET]と;ドレインが前記出力信号の出力端に接続されて、ゲートとソースがいずれも接地端に接続された第4デプレッション型NMOSFETと;ドレインが電源端に接続されて、ゲートとソースがいずれも前記エンハンスメント型PMOSFETのソースに接続された第5デプレッション型NMOSFETと;カソードが前記出力信号の出力端に接続されて、アノードが接地端に接続された第2ツェナダイオードと;を含む構成(第5の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第5の構成から成る入力回路において、前記第5デプレッション型NMOSFETは、前記第4デプレッション型NMOSFETに流れる第4デプレッション電流よりもやや大きい第5デプレッション電流を流すように設計されている構成(第6の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第5または第6の構成から成る入力回路において、前記第1インバータは、前記エンハンスメント型PMOSFETのソースと前記第5デプレッション型NMOSFETのソースとの間に接続された第2抵抗を更に含む構成(第7の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第5〜第7いずれかの構成から成る入力回路において、前記第2インバータは、ゲートが前記出力信号の出力端に接続されて、ドレインが前記第2エンハンスメント型NMOSFETのゲートに接続された第3エンハンスメント型NMOSFETと;ドレインが電源端に接続されて、ゲートとソースがいずれも前記第3エンハンスメント型NMOSFETのドレインに接続された第6デプレッション型NMOSFETと;ドレインが前記第3エンハンスメント型NMOSFETのソースに接続されて、ゲートとソースがいずれも接地端に接続された第7デプレッション型NMOSFETと;カソードが電源端に接続されて、アノードが前記第3エンハンスメント型NMOSFETのドレインに接続された第3ツェナダイオードと;を含む構成(第8の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第8の構成から成る入力回路において、前記第7デプレッション型NMOSFETは、前記第6デプレッション型NMOSFETに流れる第6デプレッション電流よりもやや大きい第7デプレッション電流を流すように設計されている構成(第9の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第8または第9の構成から成る入力回路において、前記第1エンハンスメント型NMOSFET、前記第3エンハンスメント型NMOSFET、及び、前記エンハンスメント型PMOSFETは、いずれも50V以上の素子耐圧を備えた高耐圧素子である構成(第10の構成)にするとよい。
【0017】
また、本明細書中に開示されている半導体装置は、外部端子と、前記外部端子から入力信号の入力を受け付けて出力信号を出力する上記第1〜第10いずれかの構成から成る入力回路と、前記入力回路から前記出力信号の入力を受け付けて動作する後段回路と、を有する構成(第11の構成)とされている。
【0018】
また、本明細書中に開示されている電子機器は、上記第11の構成から成る半導体装置を有する構成(第12の構成)とされている。
【0019】
また、本明細書中に開示されている車両は、バッテリと、前記バッテリから電源電圧の供給を受けて動作する上記第12の構成から成る電子機器と、を有する構成(第13の構成)とされている。
【発明の効果】
【0020】
本明細書中に開示されている入力回路によれば、スレッショルド電圧の設定精度を高めることができるので、低電圧駆動への対応やノイズ耐性の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<半導体装置>
図1は、半導体装置の全体構成を示すブロック図である。本構成例の半導体装置100は、車載用ハイサイドスイッチICであり、装置外部との電気的な接続を確立する手段として、複数の外部端子(INピン、GNDピン、OUTピン、STピン、VBBピン)を備えている。INピンは、CMOSロジックICなどから制御信号の外部入力を受け付けるための入力端子である。GNDピンは、接地端子である。OUTピンは、負荷(エンジン制御用ECU[electronic control unit]、エアコン、ボディ機器など)が外部接続される出力端子である。STピンは、CMOSロジックICなどに自己診断信号を外部出力するための出力端子である。VBBピンは、バッテリから電源電圧Vbb(例えば4.5V〜18V)の供給を受け付けるための電源端子である。なお、VBBピンは、大電流を流すために複数並列(例えば4ピン並列)に設けてもよい。
【0023】
また、本構成例の半導体装置100は、内部電源回路1と、定電圧生成回路2と、発振回路3と、チャージポンプ回路4と、ロジック回路5と、ゲート制御回路6と、クランプ回路7と、入力回路8と、基準生成回路9と、温度保護回路10と、減電圧保護回路11と、オープン保護回路12と、過電流保護回路13と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN1〜N3と、抵抗R1及びR2と、センス抵抗Rsと、ツェナダイオードZ1及びZ2と、を集積化して成る。
【0024】
内部電源回路1は、VBBピンとGNDピンとの間に接続されており、電源電圧Vbbから所定の内部電源電圧VREGを生成して半導体装置100の各部に供給する。なお、内部電源回路1は、イネーブル信号ENの論理レベルに応じて動作可否が制御される。より具体的に述べると、内部電源回路1は、イネーブル信号ENがイネーブル時の論理レベル(例えばハイレベル)であるときに動作状態となり、イネーブル信号ENがディセーブル時の論理レベル(例えばローレベル)であるときに停止状態となる。
【0025】
定電圧生成回路2は、VBBピンとGNDピンとの間に接続されており、電源電圧Vbbに応じたハイ電圧VH(=電源電圧Vbb)と、ハイ電圧VHよりも定電圧REF(=例えば5V)だけ低いロー電圧VL(=Vbb−REF)とを生成して発振回路3及びチャージポンプ回路4に供給する。なお、定電圧生成回路2は、イネーブル信号EN及び異常保護信号S5aの論理レベルに応じて動作可否が制御される。より具体的に述べると、定電圧生成回路2は、イネーブル信号ENがイネーブル時の論理レベル(例えばハイレベル)であるとき、若しくは、異常保護信号S5aが異常未検出時の論理レベル(例えばハイレベル)であるときに動作状態となり、イネーブル信号ENがディセーブル時の論理レベル(例えばローレベル)であるとき、若しくは、異常保護信号S5aが異常検出時の論理レベル(例えばローレベル)であるときに停止状態となる。
【0026】
発振回路3は、ハイ電圧VHとロー電圧VLの供給を受けて動作し、所定周波数のクロック信号CLKを生成してチャージポンプ回路4に出力する。なお、クロック信号CLKは、ハイ電圧VHとロー電圧VLとの間でパルス駆動される矩形波信号である。
【0027】
チャージポンプ回路4は、ハイ電圧VHとロー電圧VLの供給を受けて動作し、クロック信号CLKを用いてフライングキャパシタを駆動することにより、電源電圧Vbbよりも高い昇圧電圧VCPを生成してゲート制御回路6及び過電流保護回路13に供給する。
【0028】
ロジック回路5は、内部電源電圧VREGの供給を受けて動作し、ゲート制御信号S5bを生成してゲート制御回路6に出力する。ゲート制御信号S5は、トランジスタN1及びN2をオンさせるときにハイレベル(=VREG)となり、トランジスタN1及びN2をオフさせるときにローレベル(=GND)となる2値信号である。また、ロジック回路5は、温度保護信号S10、減電圧保護信号S11、オープン保護信号S12、及び、過電流保護信号S13をそれぞれ監視し、必要に応じた異常保護動作を行う機能を備えている。より具体的に述べると、ロジック回路5は、半導体装置100に何らかの異常が検出されたときに、異常保護信号S5aを異常検出時の論理レベルとして定電圧生成回路2を停止させるとともに、ゲート制御信号S5bをローレベルとしてトランジスタN1及びN2をいずれも強制的にオフさせる。また、ロジック回路5は、異常検出結果に応じてトランジスタN3のゲート信号S5cを生成する機能も備えている。
【0029】
ゲート制御回路6は、昇圧電圧VCPの印加端とOUTピン(=出力電圧Voutの印加端)との間に接続されており、ゲート制御信号S5bの電流能力を高めたゲート電圧VGを生成してトランジスタN1及びN2のゲートに出力する。ゲート電圧VGは、ゲート制御信号S5bがハイレベルであるときにハイレベル(=VCP)となり、ゲート制御信号S5bがローレベルであるときにローレベル(=Vo)となる。なお、ゲート制御回路6は、過電流保護信号S13の論理レベルに応じて動作可否が制御される。より具体的に述べると、ゲート制御回路6は、過電流保護信号S13が異常未検出時の論理レベル(例えばローレベル)であるときに動作状態となり、過電流保護信号S13が異常検出時の論理レベル(例えばハイレベル)であるときに停止状態となる。
【0030】
クランプ回路7は、VBBピンとトランジスタN1及びN2の両ゲートとの間に接続されている。OUTピンに誘導性負荷が接続されるアプリケーションでは、トランジスタN1をオンからオフへ切り替える際、誘導性負荷の逆起電力によりOUTピンが負電圧となる。そのため、エネルギー吸収用にクランプ回路7(いわゆるアクティブクランプ回路)が設けられている。なお、Vbb−(Vclp+Vgs)で表されるアクティブクランプ電圧は、例えば48Vに設定するとよい(ただし、Vbbは電源電圧、VclpはOUTピンの負側クランプ電圧、VgsはトランジスタN1のゲート・ソース間電圧)。
【0031】
入力回路8は、INピンから制御信号の入力を受け付けてイネーブル信号ENを生成するシュミットトリガである。
【0032】
基準生成回路9は、内部電源電圧VREGの供給を受けて動作し、所定の基準電圧Vrefや基準電流Irefを生成して半導体装置100の各部に供給する。なお、例えば、基準電圧Vrefや基準電流Irefは、内部電源回路1において内部電源電圧VREGの目標値を設定したり、各種保護回路9〜13において異常検出用の閾値を設定したりするために用いられる。
【0033】
温度保護回路10は、内部電源電圧VREGの供給を受けて動作し、トランジスタN1の異常発熱を検出する温度検出素子(不図示)を含み、その検出結果(=異常発熱が生じているか否か)に応じた温度保護信号S10を生成してロジック回路5に出力する。温度保護信号S10は、例えば、異常未検出時にローレベル(=GND)となり、異常検出時にハイレベル(=VREG)となる2値信号である。
【0034】
減電圧保護回路11は、内部電源電圧VREGの供給を受けて動作し、電源電圧Vbbないしは内部電源電圧VREGの監視結果(=減電圧異常が生じているか否か)に応じた減電圧保護信号S11を生成してロジック回路5に出力する。減電圧保護信号S11は、例えば、異常未検出時にローレベル(=GND)となり、異常検出時にハイレベル(=VREG)となる2値信号である。
【0035】
オープン保護回路12は、電源電圧Vbbと内部電源電圧VREGの供給を受けて動作し、出力電圧Voutの監視結果(=負荷のオープン異常が生じているか否か)に応じたオープン保護信号S12を生成してロジック回路5に出力する。なお、オープン保護信号S12は、例えば、異常未検出時にローレベル(=GND)となり、異常検出時にハイレベル(=VREG)となる2値信号である。
【0036】
過電流保護回路13は、昇圧電圧VCPの印加端とOUTピン(=出力電圧Voutの印加端)との間に接続されており、センス電圧Vsの監視結果(=過電流が生じているか否か)に応じた過電流保護信号S13を生成してロジック回路5に出力する。過電流保護信号S13は、例えば、異常未検出時にローレベル(=GND)となり、異常検出時にハイレベル(=VREG)となる2値信号である。
【0037】
トランジスタN1は、ドレインがVBBピンに接続されてソースがOUTピンに接続されたパワートランジスタであり、バッテリから負荷に向けた出力電流I1が流れる電流経路を導通/遮断するためのスイッチ素子(ハイサイドスイッチ)として機能する。なお、トランジスタN1は、ゲート電圧VGがハイレベルであるときにオンし、ゲート電圧VGがローレベルであるときにオフする。
【0038】
なお、トランジスタN1のオン抵抗が低いほど、OUTピンの地絡時(=接地端ないしはこれに準ずる低電位端への短絡時)に過電流が流れやすくなり、異常発熱を生じやすくなる。従って、トランジスタN1のオン抵抗を下げるほど、温度保護回路10や過電流保護回路13の重要性が高くなる。
【0039】
トランジスタN2は、トランジスタN1に対して並列接続されたミラートランジスタであり、出力電流I1に応じたミラー電流I2を生成する。トランジスタN1とトランジスタN2とのサイズ比は、m:1(ただしm>1、例えばm=1000)である。従って、ミラー電流I2は、出力電流I1を1/mに減じた大きさとなる。なお、トランジスタN2は、トランジスタN1と同じく、ゲート電圧VGがハイレベルであるときにオンし、ゲート電圧VGがローレベルであるときにオフする。
【0040】
トランジスタN3は、ドレインがSTピンに接続されてソースがGNDピンに接続されたオープンドレイン形式のトランジスタである。なお、トランジスタN3は、ゲート信号S5cがハイレベルであるときにオンし、ゲート信号S5cがローレベルであるときにオフする。すなわち、STピンから外部出力される自己診断信号は、ゲート信号S5cのハイレベルであるとき(=トランジスタN3がオンしているとき)にローレベルとなり、ゲート信号S5cがローレベルであるとき(=トランジスタN3がオフしているとき)にハイレベルとなる。
【0041】
抵抗R1は、INピンと入力回路8の入力端との間に接続されており、過大なサージ電流などを抑制するための電流制限抵抗として機能する。
【0042】
抵抗R2は、入力回路8の入力端とGNDピンとの間に接続されており、INピンがオープン状態であるときに入力回路8への入力論理レベルをローレベル(=ディセーブル時の論理レベル)に確定させるためのプルダウン抵抗として機能する。
【0043】
センス抵抗Rsは、トランジスタN2のソースとOUTピンとの間に接続されており、ミラー電流I2に応じたセンス電圧Vs(=I2×Rs)を生成する電流検出素子として機能する。
【0044】
ツェナダイオードZ1は、トランジスタN1及びN2のゲートとOUTピンとの間で、カソードがトランジスタN1及びN2のゲート側となり、アノードがOUTピン側となる向きに接続されている。このように接続されたツェナダイオードZ1は、VBBピンにバッテリを接続してOUTピンに負荷を接続した正規接続状態において、トランジスタN1及びN2のゲート・ソース間電圧を所定の上限値以下に制限するクランプ素子(サージ電圧吸収素子)として機能する。
【0045】
ツェナダイオードZ2は、トランジスタN1及びN2のゲートとOUTピンとの間で、アノードがトランジスタN1及びN2のゲート側となり、カソードがOUTピン側となる向きに接続されている。このように接続されたツェナダイオードZ2は、VBBピンに負荷を接続してOUTピンにバッテリを接続した逆接続状態において、OUTピンからトランジスタN1及びN2のゲートに至る電流経路を遮断するための逆接続保護素子として機能する。
【0046】
上記したように、半導体装置100は、CMOSロジック(ロジック回路5など)と、パワーMOSデバイス(トランジスタN1など)と、を1チップ上に組み込んだモノリシックパワーICとして構成されている。
【0047】
<入力回路(第1実施形態)>
図2は、入力回路8の第1実施形態を示す回路図である。本実施形態の入力回路8は、エンハンスメント型NMOSFET21及び22と、デプレッション型NMOSFET31及び32と、インバータINV1及びINV2と、を含む。
【0048】
FET21のゲートは、入力信号Siの入力端(抵抗R1と抵抗R2との接続ノード)に接続されている。FET21のソースとバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。FET31のドレインは、VBBピン(電源端に相当)に接続されている。FET31のゲート、ソース、及び、バックゲートは、いずれもFET21のドレインに接続されている。FET22のソースとバックゲートは、いずれもFET21のドレインに接続されている。インバータINV1の入力端は、FET21のドレインに接続されている。インバータINV1の出力端は、出力信号So(=イネーブル信号EN)の出力端に接続されている。インバータINV2の入力端は、出力信号Soの出力端に接続されている。インバータINV2の出力端は、FET22のゲートに接続されている。FET32のドレインは、VBBピンに接続されている。FET32のゲートとソースは、いずれもFET22のドレインに接続されている。FET32のバックゲートは、FET21のドレインに接続されている。
【0049】
FET21及び31は、入力信号Siを論理反転させて反転入力信号SiBを生成する前段インバータ部を形成している。FET21は、入力信号Siがローレベルであるときにオフし、入力信号Siがハイレベルであるときにオンする。FET31は、電源電圧Vbbに依ることなく一定のデプレッション電流Id1を生成する。
【0050】
FET22及び32と、インバータINV1及びINV2は、入力回路8にヒステリシス特性を付与するためのヒステリシス付与部を形成している。インバータINV1は、反転入力信号SiBを論理反転させることにより出力信号Soを生成する。インバータINV2は、出力信号Soを論理反転させることにより反転出力信号SoBを生成する。FET22は、反転出力信号SoBがローレベルであるときにオフし、反転出力信号SoBがハイレベルであるときにオンする。FET32は、電源電圧Vbbに依ることなく一定のデプレッション電流Id2を生成する。
【0051】
本実施形態の入力回路8において、入力信号Siがローレベルからハイレベルに立ち上がるときには、FET21がオフからオンに切り替わる。その結果、反転入力信号SiBがハイレベルからローレベルに立ち下がり、出力信号Soがローレベルからハイレベルに立ち上がる。なお、入力信号Siのローレベル期間(≒出力信号Soのローレベル期間)には、反転出力信号SoBがハイレベルとなっているので、FET22がオンしている。従って、入力信号Siがローレベルからハイレベルに立ち上がり、FET21がオフからオンに切り替わるときには、デプレッション電流Id1及びId2がいずれもFET21に流れ込む状態となる。その結果、入力信号Siの立上り時における反転入力信号SiBは、デプレッション電流Id1及びId2の合算電流値とFET21のオン抵抗値とを掛け合わせた電圧値(=(Id1+Id2)×Ron)となる。
【0052】
一方、入力信号Siがハイレベルからローレベルに立ち下がるときには、FET21がオンからオフに切り替わる。その結果、反転入力信号SiBがローレベルからハイレベルに立ち上がり、出力信号Soがハイレベルからローレベルに立ち下がる。なお、入力信号Siのハイレベル期間(≒出力信号Soのハイレベル期間)には、反転出力信号SoBがローレベルとなっているので、FET22がオフしている。従って、入力信号Siがハイレベルからローレベルに立ち下がり、FET21がオンからオフに切り替わるときには、デプレッション電流Id1のみがFET21に流れ込む状態となる。その結果、入力信号Siの立下り時における反転入力信号SiBは、デプレッション電流Id1の電流値とFET21のオン抵抗値とを掛け合わせた電圧値(=Id1×Ron)となる。
【0053】
このように、入力信号Siの立上り時には、入力信号Siの立下り時と比べて、デプレッション電流Id2に応じたオフセット分(=Id2×Ron)だけ反転入力信号SiBが高電位側にシフトされた状態となる。従って、入力信号Siがローレベルからハイレベルに立ち上がるときには、出力信号Soがローレベルに維持されやすくなり、逆に、入力信号Siがハイレベルからローレベルに立ち下がるときには、出力信号Soがハイレベルに維持されやすくなる。
【0054】
すなわち、本実施形態の入力回路8では、入力信号Siの立上り時に参照される上側スレッショルド電圧VthHがデプレッション電流Id1及びId2に応じて設定されており、入力信号Siの立下り時に参照される下側スレッショルド電圧VthL(ただしVthL<VthH)がデプレッション電流Id1に応じて設定されている。
【0055】
図3は、第1実施形態のヒステリシス特性を示すタイミングチャートであり、上から順に、入力信号Si、及び、出力信号Soが描写されている。
【0056】
本図で示したように、入力信号Siがローレベル(=GND)からハイレベル(=Vcc)に立ち上がる場合、出力信号Soは、入力信号Siが上側スレッショルド電圧VthHよりも高くなったときにローレベル(=L)からハイレベル(=H)に立ち上がる。一方、入力信号Siがハイレベルからローレベルに立ち下がる場合、出力信号Soは、入力信号Siが下側スレッショルド電圧VthLよりも低くなったときにハイレベルからローレベルに立ち下がる。
【0057】
このように、入力信号Siに対するヒステリシス特性を持つ入力回路8であれば、入力信号Siが多少揺らいでも出力信号Soの論理レベルが変化しなくなるので、ノイズ耐性を高めることが可能となる。
【0058】
ところで、FET21のオンスレッショルド電圧Vthは、負の温度特性を持ち、温度が高いほど低くなる。この温度特性のみを鑑みると、温度が高いほど、入力信号Siの立上り時におけるFET21のオンタイミングが早まり、入力信号Siの立下り時におけるFET21のオフタイミングが遅れることになる。すなわち、入力回路8の上側スレッショルド電圧VthHと下側スレッショルド電圧VthLは、温度が高いほど低下する。
【0059】
一方、FET31及び32のデプレッション電流Id1及びId2は、いずれも正の温度特性を持ち、温度が高いほど大きくなる。この温度特性のみを鑑みると、温度が高いほど、反転入力信号SiBが高電位側にシフトされるので、入力信号Siの立上り時におけるFET21のオンタイミングが遅れて、入力信号Siの立下り時におけるFET21のオフタイミングが早まることになる。すなわち、入力回路8の上側スレッショルド電圧VthHと下側スレッショルド電圧VthLは、温度が高いほど上昇する。
【0060】
従って、エンハンスメント型のFET21とデプレッション型のFET31及び32とを組み合わせることにより、上記した正負の温度特性が互いにキャンセルし合うので、上側スレッショルド電圧VthHと下側スレッショルド電圧VthLの温度特性をフラットに近付けることが可能となる。
【0061】
ただし、先にも述べたように、上側スレッショルド電圧VthHは、デプレッション電流Id1及びId2に応じて設定されており、下側スレッショルド電圧VthLは、デプレッション電流Id1のみに応じて設定されている。
【0062】
そのため、合算デプレッション電流(Id1+Id2)の正温度特性とオンスレッショルド電圧Vthの負温度特性とが互いにキャンセルし合うように各FETの素子設計を行うと、上側スレッショルド電圧VthHの温度特性をフラットとすることはできるが、下側スレッショルド電圧VthLの温度特性をフラットとすることができなくなる。
【0063】
逆に、デプレッション電流Id1のみの正温度特性とオンスレッショルド電圧Vthの負温度特性とが互いにキャンセルし合うように各FETの素子設計を行うと、下側スレッショルド電圧VthLの温度特性をフラットとすることはできるが、上側スレッショルド電圧VthHの温度特性をフラットとすることができなくなる。
【0064】
このように、本実施形態の入力回路8では、上側スレッショルド電圧VthHの温度特性と下側スレッショルド電圧VthLの温度特性を両方ともフラットとすることはできないので、双方のバランスを考慮しながら各FETの素子設計を調整する必要がある。
【0065】
<入力回路(第2実施形態)>
図4は、入力回路8の第2実施形態を示す回路図である。本実施形態の入力回路8は、先出の第1実施形態(
図2)をベースとしつつ、さらに、抵抗41が追加されている点に特徴を有する。そこで、第1実施形態と同様の構成要素については、
図2と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第2実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
【0066】
抵抗41の第1端は、FET32のソースに接続されている。抵抗41の第2端は、FET22のドレインに接続されている。ここで、抵抗41の抵抗値は、正の温度特性を持ち、温度が上がるほど高くなる。すなわち、温度が高いほどデプレッション電流Id2が小さく抑えられる。
【0067】
従って、デプレッション電流Id1の正温度特性とオンスレッショルド電圧Vthの負温度特性とが互いにキャンセルし合うようにFET21及び31の素子設計を行った上でさらに、デプレッション電流Id2の正温度特性と抵抗41の正温度特性とが互いにキャンセルし合うようにFET32及び抵抗41の素子設計を行うことにより、上側スレッショルド電圧VthHの温度特性と下側スレッショルド電圧VthLの温度特性をいずれもフラットとすることが可能となる。
【0068】
図5は、第2実施形態のヒステリシス特性を示すタイミングチャートであり、上から順に、入力信号Si、及び、出力信号Soが描写されている。先にも述べたように、本実施形態の入力回路8では、上側スレッショルド電圧VthHの温度特性と下側スレッショルド電圧VthLの温度特性をいずれもフラットとすることができるので、それぞれの設定精度が高くなる。
【0069】
従って、先の第1実施形態(
図3)と比べて、上側スレッショルド電圧VthHと下側スレッショルド電圧VthLとの差(=ヒステリシス幅)をより大きく広げることができるので、低電圧駆動への対応やノイズ耐性の向上を図ることが可能となる。
【0070】
<入力回路(第3実施形態)>
図6は、入力回路8の第3実施形態を示す回路図である。本実施形態の入力回路8は、先出の第2実施形態(
図4)をベースとしつつ、回路全体の耐圧を高めるための工夫が施されている点に特徴を有する。そこで、第2実施形態と同様の構成要素については、
図4と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第3実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
【0071】
本実施形態の入力回路8は、第2実施形態(
図4)の構成要素に加えて、さらに、エンハンスメント型PMOSFET23と、エンハンスメント型NMOSFET24と、デプレッション型NMOSFET33〜37と、ツェナダイオード51〜53と、を含む。
【0072】
なお、上記した構成要素のうち、FET23、FET34及び35、並びに、ツェナダイオード52は、インバータINV1を形成している。また、FET24、FET36及び37、並びに、ツェナダイオード53は、インバータINV2を形成している。
【0073】
ツェナダイオード51のカソードは、VBBピンに接続されている。ツェナダイオード51のアノードは、FET21のドレインに接続されている。ツェナダイオード51を設けることにより、その両端間電圧を所定の上限値以下にクランプすることができる。
【0074】
FET33のドレインは、FET21のソースに接続されている。FET33のゲートとソースは、いずれも接地端に接続されている。なお、FET33は、そのドレイン電圧に依ることなく一定のデプレッション電流Id3を生成する。ここで、FET33は、デプレッション電流Id1及びId2を足し合わせた合算デプレッション電流(Id1+Id2)よりもやや大きいデプレッション電流Id3を流すように設計されている。このような素子設計を行うことにより、ツェナダイオード51の降伏電流を必要最小限に抑えることができる。
【0075】
次に、インバータINV1の内部構成について説明する。FET23のゲートは、FET21のドレインに接続されている。FET23のドレインとFET34のドレインは、いずれも出力信号Soの出力端に接続されている。FET34のゲートとソースは、いずれも接地端に接続されている。FET35のドレインは、VBBピンに接続されている。FET35のゲートとソースは、いずれもFET23のソースとバックゲートに接続されている。ツェナダイオード52のカソードは、出力信号Soの出力端に接続されている。ツェナダイオード52のアノードは、接地端に接続されている。
【0076】
なお、ツェナダイオード52を設けることにより、その両端間電圧を所定の上限値以下にクランプすることができる。また、FET35は、FET34に流れるデプレッション電流Id4よりもやや大きいデプレッション電流Id5を流すように設計されている。このような素子設計を行うことにより、ツェナダイオード52の降伏電流を必要最小限に抑えることができる。
【0077】
次に、インバータINV2の内部構成について説明する。FET24のゲートは、出力信号Soの出力端に接続されている。FET24のドレインは、FET22のゲートに接続されている。FET36のドレインは、VBBピンに接続されている。FET36のゲートとソースは、いずれもFET24のドレインに接続されている。FET37のドレインは、FET24のソースに接続されている。FET37のゲートとソースは、いずれも接地端に接続されている。ツェナダイオード53のカソードは、VBBピンに接続されている。ツェナダイオード53のアノードは、FET24のドレインに接続されている。
【0078】
なお、ツェナダイオード53を設けることにより、その両端間電圧を所定の上限値以下にクランプすることができる。また、FET37は、FET36に流れるデプレッション電流Id6よりもやや大きいデプレッション電流Id7を流すように設計されている。このような素子設計を行うことにより、ツェナダイオード53の降伏電流を必要最小限に抑えることができる。
【0079】
また、入力回路8を形成するFETのうち、FET21、FET23、及び、FET24については、いずれも高耐圧素子(例えば50V耐圧以上)を用いることが望ましい。一方、FET22及びFET31〜37については、素子サイズが小さく抑えられる低耐圧素子(例えば5V耐圧程度)を用いることが可能である。
【0080】
<入力回路(第4実施形態)>
図7は、入力回路8の第4実施形態を示す回路図である。本実施形態の入力回路8は、先出の第3実施形態(
図6)をベースとしつつ、さらに、抵抗42が追加されている点に特徴を有する。そこで、第3実施形態と同様の構成要素については、
図6と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第2実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
【0081】
抵抗42(抵抗値:R42)の第1端は、FET35のソースに接続されている。抵抗42の第2端は、FET23のソースに接続されている。このような構成を採用することにより、抵抗42における電圧降下分(=Id5×R42)だけ、FET23のゲート・ソース間電圧が低くなる。
【0082】
このような構成を採用することにより、インバータINV1のスレッショルドレベルとインバータINV2のスレッショルドレベルに任意の差を付けることができるので、ヒステリシス付与動作の確実性を高めることが可能となる。
【0083】
<車両への適用>
図8は、車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、バッテリ(本図では不図示)と、バッテリから電源電圧Vbbの供給を受けて動作する種々の電子機器X11〜X18と、を搭載している。なお、本図における電子機器X11〜X18の搭載位置については、図示の便宜上、実際とは異なる場合がある。
【0084】
電子機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
【0085】
電子機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
【0086】
電子機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
【0087】
電子機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power steering]制御、電子サスペンション制御など)を行うボディコントロールユニットである。
【0088】
電子機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
【0089】
電子機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、ダンパー(ショックアブソーバー)、電動サンルーフ、及び、電動シートなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
【0090】
電子機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[electronic toll collection system]など、ユーザオプション品として任意で車両Xに装着される電子機器である。
【0091】
電子機器X18は、車載ブロア、オイルポンプ、ウォーターポンプ、バッテリ冷却ファンなど、高耐圧系モータを備えた電子機器である。
【0092】
なお、先に説明した半導体装置100は、電子機器X11〜X18のいずれにも組み込むことが可能である。
【0093】
<その他の変形例>
なお、上記の実施形態では、車載用ハイサイドスイッチICを例に挙げて説明を行ったが、本明細書中に開示されている発明の適用対象は、これに限定されるものではなく、その他の用途に供される車載用IPD[intelligent power device](車載用ローサイドスイッチICや車載用電源ICなど)を始めとして、入力回路を有する半導体装置全般に広く適用することが可能である。
【0094】
すなわち、本明細書中に開示されている発明は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。