特許第6632902号(P6632902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サーパス工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6632902-圧力検出装置 図000002
  • 特許6632902-圧力検出装置 図000003
  • 特許6632902-圧力検出装置 図000004
  • 特許6632902-圧力検出装置 図000005
  • 特許6632902-圧力検出装置 図000006
  • 特許6632902-圧力検出装置 図000007
  • 特許6632902-圧力検出装置 図000008
  • 特許6632902-圧力検出装置 図000009
  • 特許6632902-圧力検出装置 図000010
  • 特許6632902-圧力検出装置 図000011
  • 特許6632902-圧力検出装置 図000012
  • 特許6632902-圧力検出装置 図000013
  • 特許6632902-圧力検出装置 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6632902
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】圧力検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/00 20060101AFI20200109BHJP
【FI】
   G01L19/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-19245(P2016-19245)
(22)【出願日】2016年2月3日
(65)【公開番号】特開2017-138202(P2017-138202A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2018年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】591257111
【氏名又は名称】サーパス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100169199
【弁理士】
【氏名又は名称】石本 貴幸
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】今井 弘
(72)【発明者】
【氏名】今井 高志
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−008706(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0076058(US,A1)
【文献】 特開2014−173995(JP,A)
【文献】 特開2009−300235(JP,A)
【文献】 特開2010−276534(JP,A)
【文献】 特開2009−264757(JP,A)
【文献】 特開2008−196858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00−23/32
G01L 27/00−27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力検出部に伝達される圧力を検出する圧力検出ユニットと、
流入口から流出口へ向けた流通方向に沿って流体を流通させる流路が形成された流路本体を有する流路ユニットと、を備え、
前記流路本体が、
前記流入口および前記流出口に配置されるとともに軸線に沿って円筒状に形成されて一定の内径の内周面を有する一対の端部流路と、
前記一対の端部流路に挟まれる位置に配置され内周面から外周面までの距離が前記一対の端部流路における内周面から外周面までの距離よりも短い薄膜状の受圧部を有する中央流路と、
前記一対の端部流路の前記中央流路側の端部と前記中央流路の両端部とをそれぞれ連結するように形成された一対の連結流路と、を有し、
前記一対の端部流路と前記中央流路と前記一対の連結流路とが可撓性の樹脂材料により一体に形成されており、
前記流路を流通する流体の圧力が前記受圧部を介して伝達されるように前記圧力検出部が配置され
前記中央流路は、前記一対の端部流路よりも流路断面積が大きく、
前記一対の連結流路は、前記中央流路の両端部へ向けて流路断面積が漸次拡大するように形成されており、
前記中央流路および前記一対の連結流路の前記圧力検出部側の内周面には、前記軸線からの距離が前記一対の端部流路の内径の1/2よりも長くなる凹部が形成されており、
前記凹部は、平面状の内周面を有するダイヤフラムを有し、
前記ダイヤフラムの水平方向の幅は、前記一対の連結流路から前記中央流路に近づくにしたがって漸次増大している圧力検出装置。
【請求項2】
前記中央流路は、前記流通方向回りの周方向の一部の領域における内周面から外周面までの距離が他の領域における内周面から外周面までの距離よりも短く、
該一部の領域を前記受圧部とした請求項1に記載の圧力検出装置。
【請求項3】
前記圧力検出ユニットが、
前記圧力検出部を有する圧力センサと、
一端が前記圧力検出部に接触しかつ他端が前記受圧部に接触した状態で配置され、前記受圧部が受けた流体の圧力を前記圧力検出部に伝達する圧力伝達部と、を有し、
前記圧力伝達部が、前記受圧部を前記流路へ向けて変位させて該受圧部から前記圧力検出部へ向けた付勢力を受ける状態で配置される請求項1または2に記載の圧力検出装置。
【請求項4】
圧力検出部に伝達される圧力を検出する圧力検出ユニットと、
流入口から流出口へ向けた流通方向に沿って流体を流通させる流路が形成された流路本体を有する流路ユニットと、を備え、
前記流路本体が、
前記流入口および前記流出口に配置される一対の端部流路と、
前記一対の端部流路に挟まれる位置に配置され内周面から外周面までの距離が前記一対の端部流路における内周面から外周面までの距離よりも短い薄膜状の受圧部を有する中央流路と、を有し、
前記一対の端部流路と前記中央流路とが可撓性の樹脂材料により一体に形成されており、
前記流路を流通する流体の圧力が前記受圧部を介して伝達されるように前記圧力検出部が配置されており、
前記圧力検出ユニットが、
前記圧力検出部を有する圧力センサと、
一端が前記圧力検出部に接触しかつ他端が前記受圧部に接触した状態で配置され、前記受圧部が受けた流体の圧力を前記圧力検出部に伝達する圧力伝達部と、を有し、
前記圧力伝達部が、前記受圧部を前記流路へ向けて変位させて該受圧部から前記圧力検出部へ向けた付勢力を受ける状態で配置され、
前記流路ユニットには、前記受圧部が配置される凹部が形成されており、
前記圧力センサが、前記凹部を覆うように前記流路ユニットに接触した状態で配置されており、
前記凹部と前記圧力センサとにより仕切られる内部空間と外部空間とを連通させる連通流路を備える圧力検出装置。
【請求項5】
前記圧力伝達部が、
前記受圧部に接触した状態で配置される第1圧力伝達部材と、
前記圧力検出部に接触した状態で配置される第2圧力伝達部材と、を有し、
前記第2圧力伝達部材と前記圧力検出部との接触面積が、前記第1圧力伝達部材と前記受圧部との接触面積よりも小さい請求項または請求項に記載の圧力検出装置。
【請求項6】
前記第1圧力伝達部材が、前記受圧部に向かって突出する球面状に形成される部材である請求項に記載の圧力検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を流通する流体の圧力を検出する圧力検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬液等の液体を流通させる流路が形成されたボディと、保護シートを介して受圧面に伝達される液体の圧力を検出するセンサ本体とが一体化されたインライン型圧力センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示される圧力センサは、センサ本体の下面に取り付けられた保護シートを介してセンサ本体に伝達される流体の圧力を検出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−207946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される圧力センサは、流体の圧力により保護シートがセンサ本体の下面に押し付けられる場合には、流体が保護シートを押し付ける圧力に応じた検出値を得ることができる。
しかしながら、特許文献1に開示される圧力センサは、ボディに形成される流体導入部をセンサ本体で封止しているため、センサ本体とボディとの間に微量の流体が滞留する可能性がある。流体が凝固性を有する血液等である場合、滞留して凝固した流体が再び流路を流通してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、流路内で流体が滞留することによる不具合を防止しつつ流路を流通する流体の圧力を検出可能とした圧力検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の一態様にかかる圧力検出装置は、圧力検出部に伝達される圧力を検出する圧力検出ユニットと、流入口から流出口へ向けた流通方向に沿って流体を流通させる流路が形成された流路本体を有する流路ユニットと、を備え、前記流路本体が、前記流入口および前記流出口に配置されるとともに軸線に沿って円筒状に形成されて一定の内径の内周面を有する一対の端部流路と、前記一対の端部流路に挟まれる位置に配置され内周面から外周面までの距離が前記一対の端部流路における内周面から外周面までの距離よりも短い薄膜状の受圧部を有する中央流路と、を有し、前記一対の端部流路と前記中央流路とが可撓性の樹脂材料により一体に形成されており、前記流路を流通する流体の圧力が前記受圧部を介して伝達されるように前記圧力検出部が配置され、前記中央流路および前記一対の連結流路の前記圧力検出部側の内周面には、前記軸線からの距離が前記一対の端部流路の内径の1/2よりも長くなる凹部が形成されたものである。
【0007】
本発明の一態様にかかる圧力検出装置によれば、一対の端部流路とそれに挟まれる位置に配置される中央流路とが可撓性の樹脂材料により一体に形成されている。そのため、本発明の一態様にかかる圧力検出装置が備える流路本体には、一部が他の部材により封止される部分がないため、この封止部分に微量の流体が滞留することがない。したがって、凝固性を有する血液等の流体を流通させる場合であっても、滞留して凝固した流体が再び流路を流通してしまう不具合を防止することができる。
【0008】
また、本発明の一態様にかかる圧力検出装置によれば、中央流路が薄膜状の受圧部を有しており、流路を流通する流体の圧力が薄膜状の受圧部を介して伝達されるように圧力検出部が配置されている。そのため、本発明の一態様にかかる圧力検出装置は、薄膜状の受圧部を介して伝達される流体の圧力を、圧力検出部により適切に検出することができる。
このように、本発明の一態様にかかる圧力検出装置によれば、流路内で流体が滞留することによる不具合を防止しつつ流路を流通する流体の圧力を検出可能とした圧力検出装置を提供することができる。
【0009】
本発明の一態様にかかる圧力検出装置において、前記中央流路は、前記流通方向回りの周方向の一部の領域における内周面から外周面までの距離が他の領域における内周面から外周面までの距離よりも短く、その一部の領域を前記受圧部とした構成であ
このようにすることで、中央流路の周方向の一部の領域を他の領域よりも流体の圧力による変位が生じやすい領域とすることができる。この一部の領域を受圧部とすることにより、流体の圧力を適切に検出することができる。
【0010】
本発明の一態様にかかる圧力検出装置において、前記中央流路は、前記一対の端部流路よりも流路断面積が大きく、前記一対の端部流路の前記中央流路側の端部と前記中央流路の両端部とをそれぞれ連結するように形成された一対の連結流路と、を有し、前記一対の端部流路と前記中央流路と前記一対の連結流路とが可撓性の樹脂材料により一体に形成されており、前記一対の連結流路は、前記中央流路の両端部へ向けて流路断面積が漸次拡大するように形成されている構成としてもよい。
【0011】
本構成の圧力検出装置によれば、一対の連結流路により、一対の端部流路と中央流路とが、一対の端部流路から中央流路の両端部に向けて流路断面積が漸次拡大するように連結されている。そのため、流入口に配置される端部流路から中央流路へ向けて流体が流通する際に、流路上で流体が滞留することがない。また、中央流路から流出口が配置される端部流路へ向けて流体が流通する際に、流路上で流体が滞留することがない。
【0012】
本発明の一態様にかかる圧力検出装置において、前記圧力検出ユニットが、前記圧力検出部を有する圧力センサと、一端が前記圧力検出部に接触しかつ他端が前記受圧部に接触した状態で配置され、前記受圧部が受けた流体の圧力を前記圧力検出部に伝達する圧力伝達部と、を有し、前記圧力伝達部が、前記受圧部を前記流路へ向けて変位させて該受圧部から前記圧力検出部へ向けた付勢力を受ける状態で配置される構成であってもよい。
【0013】
本構成の圧力検出装置によれば、一端が圧力センサの圧力検出部に接触しかつ他端が流路ユニットの受圧部に接触した状態で配置される圧力伝達部が、受圧部から圧力検出部へ向けた付勢力を受ける状態で配置される。そのため、流路を流通する流体の圧力が一時的に低下して負圧となる場合であっても、圧力検出部は、圧力伝達部が受圧部から受ける付勢力による圧力値から負圧分の圧力値を減算した値の圧力を受ける状態となる。これにより、圧力検出部は、流体の圧力が一時的に低下して負圧となる場合であっても、負圧による圧力値の減少を、受圧部から受ける付勢力による圧力値から減少した圧力値として得ることができる。
【0014】
本発明の一態様にかかる圧力検出装置圧力検出部に伝達される圧力を検出する圧力検出ユニットと、流入口から流出口へ向けた流通方向に沿って流体を流通させる流路が形成された流路本体を有する流路ユニットと、を備え、前記流路本体が、前記流入口および前記流出口に配置される一対の端部流路と、前記一対の端部流路に挟まれる位置に配置され内周面から外周面までの距離が前記一対の端部流路における内周面から外周面までの距離よりも短い薄膜状の受圧部を有する中央流路と、を有し、前記一対の端部流路と前記中央流路とが可撓性の樹脂材料により一体に形成されており、前記流路を流通する流体の圧力が前記受圧部を介して伝達されるように前記圧力検出部が配置されており、前記圧力検出ユニットが、前記圧力検出部を有する圧力センサと、一端が前記圧力検出部に接触しかつ他端が前記受圧部に接触した状態で配置され、前記受圧部が受けた流体の圧力を前記圧力検出部に伝達する圧力伝達部と、を有し、前記圧力伝達部が、前記受圧部を前記流路へ向けて変位させて該受圧部から前記圧力検出部へ向けた付勢力を受ける状態で配置され、記流路ユニットには、前記受圧部が配置される凹部が形成されており、前記圧力センサが、前記凹部を覆うように前記流路ユニットに接触した状態で配置されており、前記凹部と前記圧力センサとにより仕切られる内部空間と外部空間とを連通させる連通流路を備える。
このようにすることで、流路ユニットの受圧部が配置される凹部と圧力センサとにより仕切られる内部空間が外部空間と連通した状態となり、受圧部の変位に伴って内部空間の容積が変動し、それに伴って内部空間の圧力が変動してしまう不具合を抑制することができる。
【0015】
上記構成の圧力検出装置においては、前記圧力伝達部が、前記受圧部に接触した状態で配置される第1圧力伝達部材と、前記圧力検出部に接触した状態で配置される第2圧力伝達部材と、を有し、前記第2圧力伝達部材と前記圧力検出部との接触面積が、前記第1圧力伝達部材と前記受圧部との接触面積よりも小さい形態であってもよい。
【0016】
このようにすることで、第1圧力伝達部材が受圧部から受ける流体の圧力を、対向する部材との接触面積が小さい第2圧力伝達部材を介して圧力検出部に局所的に集中させて伝達することができる。そのため、流体の圧力変動に対して圧力検出部が局所的に受ける圧力の変動を増加させ、流体の圧力変動の検出精度を高めることができる。
【0017】
上記形態の圧力検出装置においては、前記第1圧力伝達部材が、前記受圧部に向かって突出する球面状に形成される部材である形態であってもよい。
このようにすることで、受圧部の変位によらずに第1伝達部材が受圧部と接触する接触面積が略一定に維持され、受圧部から第1伝達部材への流体の圧力の伝達精度を高めることができる。
【0018】
上記形態の圧力検出装置においては、前記第2圧力伝達部材が、前記圧力検出部に向かって突出する球面状に形成される部材であってもよい。
このようにすることで、第1圧力伝達部材が受圧部から受ける流体の圧力を、球面状に形成される第2圧力伝達部材を介して圧力検出部に局所的に集中させて伝達することができる。そのため、流体の圧力変動に対して圧力検出部が局所的に受ける圧力の変動を増加させ、流体の圧力変動の検出精度を高めることができる。
【0019】
本発明の一態様にかかる圧力検出装置においては、前記圧力伝達部が、前記受圧部と前記圧力検出部の双方に接触した状態で配置されるとともに球体状に形成されている構成であってもよい。
このようにすることで、受圧部の変位によらずに圧力伝達部が受圧部と接触する接触面積が略一定に維持されるため、受圧部から圧力伝達部への流体の圧力の伝達精度を高めることができる。
また、圧力伝達部が受圧部から受ける流体の圧力を、球体状に形成される圧力伝達部を介して圧力検出部に局所的に集中させて伝達することができる。そのため、流体の圧力変動に対して圧力検出部が局所的に受ける圧力の変動を増加させ、流体の圧力変動の検出精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、流路内で流体が滞留することによる不具合を防止しつつ流路を流通する流体の圧力を検出可能とした圧力検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態の圧力検出装置を示す縦断面図である。
図2図1に示す圧力検出装置のI−I矢視断面図である。
図3図1に示す流路本体の縦断面図である。
図4図3に示す流路本体のII−II矢視断面図である。
図5図1に示す流路本体の平面図である。
図6図3に示す流路本体のIII−III矢視断面図である。
図7図3に示す流路本体のIVIV矢視断面図である。
図8図3に示す流路本体のV−V矢視断面図である。
図9図3に示す流路本体のVI−VI矢視断面図である。
図10図3に示す流路本体のVII−VII矢視断面図である。
図11図3に示す流路本体のVIII−VIII矢視断面図である。
図12】第2実施形態の圧力検出装置を示す縦断面図である。
図13図12に示す圧力検出装置のIX−IX矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態の圧力検出装置100を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の圧力検出装置100は、流体の圧力を検出するための圧力検出ユニット10と、流路21aが内部に形成された流路本体21を有する流路ユニット20と、圧力検出ユニット10との間に流路ユニット20を挟んだ状態で取り付けるベース部30とを備える。流路21aは、流入口21bから流出口21cへ向けた直線状の流通方向に沿って流体を流通させる流路である。
図2に示すように、ベース部30は、ベース部30に形成される締結穴30aから挿入される締結ボルト40を本体部13に形成される締結穴13bに締結することにより、本体部13に連結される。
【0023】
図1に示す圧力検出ユニット10は、ダイヤフラム12a(圧力検出部)に伝達される圧力を検出する装置である。
図1に示すように、圧力検出ユニット10は、流路本体21から伝達される流体の圧力を検出する圧力センサ12と、圧力センサ12を内部に収容する本体部13と、圧力センサ12を本体部13に配置した状態で保持するセンサ保持部14と、圧力センサ12と外部装置(図示略)に接続されるケーブル200との間で電源および電気信号を伝達するためのセンサ基板15と、圧力センサ12のゼロ点調整を行うためのゼロ点調整スイッチ16と、センサ基板15を収容するハウジング17と、を備える。
以下、圧力検出ユニット10が備える各部について説明する。
【0024】
圧力センサ12は、耐腐食性のある材料(例えば、サファイア)により薄膜状に形成されるダイヤフラム12a(圧力検出部)と、ダイヤフラム12aに貼り付けられる歪抵抗(図示略)と、ダイヤフラム12aを保持するベース部12bとを備える。圧力センサ12は、ダイヤフラム12aに伝達される圧力に応じて変化する歪抵抗に応じた圧力信号を出力する歪式のセンサである。
【0025】
本体部13は、軸線X回りに円筒状に形成される上部側の部材と流路ユニット20を収容する下部側の部材とを一体に形成した部材である。本体部13の上部側の内周面には、後述するセンサ保持部14を取り付けるための雌ねじ13aが形成されている。
【0026】
図2に示すように、本体部13の下部側には、軸線X回りの複数箇所に締結穴13bが形成されている。本体部13の下端に流路ユニット20が配置され流路ユニット20の下端にベース部30が配置された状態で、ベース部30の締結穴30aから挿入される締結ボルト40が締結穴13bに締結される。本体部13にベース部30が取り付けられた状態で、本体部13の中央部に軸線Xに沿った上方から圧力センサ12が挿入される。
【0027】
センサ保持部14は、軸線X回りに円筒状に形成される部材であり、外周面に雄ねじ14aが形成されている。センサ保持部14は、本体部13の下端の内周側に圧力センサ12を配置し、外周面に形成された雄ねじ14aを本体部13の内周面に形成された雌ねじ13aに締結することにより、圧力センサ12を本体部13に対して一定の位置に保持する。
【0028】
センサ基板15は、圧力センサ12が出力する圧力信号を増幅する増幅回路(図示略)と、増幅回路により増幅された圧力信号をケーブル200の圧力信号線(図示略)に伝達するインターフェース回路と、ケーブル200を介して外部から供給される電源電圧を圧力センサ12へ伝達する電源回路(図示略)と、ゼロ点調整スイッチ16が押下された場合にゼロ点調整を行うゼロ点調整回路(図示略)等を備える。
【0029】
ゼロ点調整スイッチ16は、ハウジング17の上面に設けられた押圧部17aを操作者が押下したことに応じてオン状態となるスイッチである。ゼロ点調整スイッチ16がオン状態となった場合に、ゼロ点調整回路は、その時点で圧力センサ12が出力する圧力信号を初期値(ゼロ)として設定するように調整する。
【0030】
この動作は、圧力検出装置100を組み立てた後の圧力信号の計測開始時に必要となる操作となっている。これは、圧力検出装置100が負圧を計測可能とするために、あらかじめ圧力センサ12に圧力伝達部11からの付勢力が与えられた状態を圧力検出値ゼロとして設定する必要があるためである。これにより、個別の圧力検出装置100により圧力伝達部11が圧力センサ12に与える付勢力が異なる場合であっても、圧力検出値ゼロとなる状態を適切に設定し、正確な圧力測定が可能となる。
【0031】
ハウジング17は、軸線X回りに円筒状に形成される部材であり、その下端側の内周面が本体部13の上端側の外周面に取り付けられている。ハウジング17は、内周側にセンサ基板15を収容するものである。
【0032】
内部カバー18は、ハウジング17の内側に配置されるとともにセンサ保持部14の上部の外周面と接触した状態で配置される内周面を有する円筒状の部材である。内部カバー18の軸線X回りの外周面は、ハウジング17の内周面と接触した状態で配置される。
【0033】
次に、流路ユニット20について図面を参照して詳細に説明する。
流路ユニット20の流入口21bには流体を流入口21bへ流入させる流入側配管(図示略)が取り付けられ、流路ユニット20の流出口21cには流出口21cから流出する流体を流通させる流出側配管(図示略)が取り付けられる。流入口21bから流出口21cへ向けた流路21aを流通する流体の圧力は、圧力検出ユニット10によって検出される。
ここで、流体とは、例えば、血液や透析液等の液体である。
【0034】
流路本体21は、シリコン、PVC、PFAなどの可撓性を有する樹脂材料により一体に形成される部材である。流路本体21には、平面視が円形の凹部21dが形成されている。
図3に示すように、流路本体21の凹部21dが形成される部分は、ダイヤフラム22(受圧部)の中央部22aとなっている。中央部22aは、流路厚T2の薄膜状に形成されている。凹部21dには、ダイヤフラム22の外周面とダイヤフラム12aとが接触するように、圧力センサ12が配置されている。
【0035】
ダイヤフラム22の中央部22aは、薄膜状に形成されているため、流路21aを流通する流体の圧力を受けて軸線Xに沿った方向に変位する。圧力センサ12のダイヤフラム12aは、流路21aを流通する流体の圧力がダイヤフラム22を介して伝達されるように配置されている。
【0036】
図3および図4に示すように、流路本体21は、流入口21bに配置される流入側端部流路24と、流出口21cに配置される流出側端部流路25と、流入側端部流路24および流出側端部流路25に挟まれる位置に配置される中央流路28と、流入側端部流路24の中央流路28側の端部と中央流路28とを連結するように形成された流入側連結流路26と、流出側端部流路25の中央流路28側の端部と中央流路28とを連結するように形成された流出側連結流路27と、を備える。
【0037】
これら一対の端部流路(流入側端部流路24,流出側端部流路25)と、一対の連結流路(流入側連結流路26,流出側連結流路27)と、中央流路28とは、前述した可撓性を有する樹脂材料により一体に形成(一体成型)されている。一体成型された単一部材としてこれらの流路が形成されているため、これらの流路を連結する部分には継ぎ目等の連結部分が存在しない。
【0038】
流入側端部流路24は、軸線Yに沿って延びる円筒状に形成される内周面および外周面を有する流路である。図3に示すように、流入側端部流路24の内径D1と外径D2は、流入口21bから流入側連結流路26に至るまで一定となっている。
図6図3に示す流路本体21のIII―III矢視断面図)に示すように、流入側端部流路24の内周面から外周面までの距離である流路厚T1は、軸線Y回りの周方向の全周に渡って一定となっている。
【0039】
流出側端部流路25は、軸線Yに沿って延びる円筒状に形成される内周面および外周面を有する流路である。図3に示すように、流出側端部流路25の内径D1と外径D2は、流出側連結流路27から流出口21cに至るまで一定となっている。
流入側端部流路24と同様に、流出側端部流路25の内周面から外周面までの距離である流路厚T1は、軸線Y回りの周方向の全周に渡って一定となっている。
【0040】
図3において、斜線で示す領域は、流路21aの中心である軸線Yから流路本体21の内周面までの距離がD1/2よりも長くなる凹部23を示している。
流路21aの流路断面積は、流入側端部流路24と流出側端部流路25との双方において、流通方向の各位置で一定となっている。一方、流入側連結流路26と流出側連結流路27と中央流路28との各流路においては、流入側端部流路24および流出側端部流路25よりも流路断面積が大きくなっている。
【0041】
より具体的には、流通方向の各位置における流路断面積は、流入側端部流路24から中央流路28に向けた流入側連結流路26において、中央流路28に近付くにしたがって漸次増大している。また、流通方向の各位置における流路断面積は、流出側端部流路25から中央流路28に向けた流出側連結流路27において、中央流路28に近付くにしたがって漸次増大している。
【0042】
このように流路21aの各位置における流路断面積が流入側端部流路24から中央流路28に向けて漸次増大し、中央流路28から流出側端部流路25に向けて漸次減少しているのは、流入側連結流路26と流出側連結流路27と中央流路28との各流路に凹部23が形成されているからである。
【0043】
流入側連結流路26は、流入側端部流路24の流出口21c側の端部と中央流路28の流入口21b側の端部とを連結する流路である。流入側連結流路26の流路断面積は、流入側端部流路24から中央流路28に近付くにしたがって漸次増大している。
【0044】
図7から図10に示すように、流入側連結流路26の圧力センサ12側の面(各図における上側の面)には、平面状の内周面を有するダイヤフラム22の端部22bが形成されている。端部22bの軸線Y上の各位置における水平方向の幅は、流入側端部流路24から中央流路28に近付くにしたがって漸次増大している。
【0045】
図7図3に示す流路本体21のIV−IV矢視断面図)に示す軸線Y上の位置において、ダイヤフラム22の端部22bの幅はW1となっている。図8図3に示す流路本体21のV−V矢視断面図)に示す軸線Y上の位置において、ダイヤフラム22の端部22bの幅はW2となっている。図9図3に示す流路本体21のVI−VI矢視断面図)に示す軸線Y上の位置において、ダイヤフラム22の端部22bの幅はW3となっている。図10図3に示す流路本体21のVII−VII矢視断面図)に示す軸線Y上の位置において、ダイヤフラム22の端部22bの幅はW4となっている。
各図に示すように、ダイヤフラム22の軸線Y上の各位置における水平方向の幅は、流入側端部流路24から中央流路28に近付くにしたがってW1,W2,W3,W4の順に漸次増大している。
【0046】
流出側連結流路27は、流出側端部流路25の流入口21b側の端部と中央流路28の流出口21c側の端部とを連結する流路である。流出側連結流路27の流路断面積は、流出側端部流路25から中央流路28に近付くにしたがって漸次増大している。
流出側連結流路27の圧力センサ12側の面には、平面状の内周面を有するダイヤフラム22の端部22bが形成されている。図示を省略しているが、端部22bの軸線Y上の各位置における水平方向の幅は、流出側端部流路25から中央流路28に近付くにしたがって漸次増大している。
流出側連結流路27の形状は、流路断面積が増大する方向が流通方向の反対方向である点を除き、流入側連結流路26と同様である。
【0047】
図5に示すように、流入側連結流路26と流出側連結流路27には、それぞれ軸線Y回りに環状に形成される環状溝26aおよび環状溝27aが形成されている。
環状溝26aおよび環状溝27aは、それぞれ本体部13およびベース部30の対応する位置に形成された環状突起に係合させることにより、流路本体21の軸線Y上の位置を固定するものである。
【0048】
中央流路28は、図11に示すように、流通方向である軸線Y回りの周方向の下端側領域における内周面から外周面までの距離(流路厚T2)が他の領域における内周面から外周面までの距離(流路厚T1)よりも短い形状となっている。図11に示すように、中央流路28の下端側領域が薄膜状のダイヤフラム22の中央部22aとなっている。
【0049】
中央流路28の圧力センサ12側の面(図11における上側の面)には、平面状の内周面を有するダイヤフラム22の中央部22aが形成されている。中央部22aの軸線Y上の各位置における水平方向の幅は、W5で一定となっている。また、中央部22aの軸線Y上の各位置における厚さは流路厚T2で一定となっている。
【0050】
このように、中央流路28は、内周面から外周面までの距離(流路厚)がT2となる薄膜状のダイヤフラム22の中央部22aを有する。この中央部22aの内周面から外周面までの距離(流路厚T2)は、流入側端部流路24および流出側端部流路25の内周面から外周面までの距離(流路厚T1)よりも短くなっている。
【0051】
図4に示すように、流路本体21の圧力センサ12側の内周面に形成される凹部23の一部が、中央部22aが流路厚T2の薄膜状に形成されるダイヤフラム22となっている。
図4に示すように、ダイヤフラム22の端部22bを結ぶ一対の直線が水平面上でなす角度がαとなっている。この角度αが大きくなるほど流路の単位長さあたりに増加する端部22bの幅が大きくなる。したがって、角度αが小さい方が流路21aの形状と断面積の変化が小さくなるため、流体の円滑な流通には好ましい。
【0052】
一方で、角度αが小さくなると中央流路28におけるダイヤフラム22の中央部22aの幅W5が短くなってしまう。あるいは、ダイヤフラム22の中央部22aの幅W5を大きくしようとすると、流路本体21の流路長を長くする必要がある。流路本体21の流路長を長くすると、圧力検出装置100が大型化してしまう。
【0053】
また、ダイヤフラム22の中央部22aの幅W5を流入側端部流路24および流出側端部流路25の内径に近付けるほど、流路厚T2となる領域を増加させることができる。一方で、幅W5が大きくなるほど流路の単位長さあたりに増加する端部22bの幅が大きくなって、流体の円滑な流通が阻害される可能性がある。
【0054】
そこで、流体の円滑な流通を行いつつ、流路本体21の流路長が長くなりすぎないように、以下の式(1)および式(2)を満たすようにするのが好ましい。
30°<α<50° (1)
0.6<W5/D1<1 (2)
【0055】
図7から図11に示すように、ダイヤフラム22の幅方向の両端部から流路本体21の内周面を形成する円に対して接線を引いた場合、これら一対の接線がなす角度は、θ1,θ2,θ3,θ4,θ5となっている。θ1,θ2,θ3,θ4,θ5の値は、式(1)および式(2)を満たすように任意の数値とすることができる。例えば、θ1,θ2,θ3,θ4,θ5の値として、135°〜145°,85°〜95°,25°〜35°,15°〜25°の数値を採用することができる。
図7から図11に示すように、一対の接線がなす角度は、流入側端部流路24から中央流路28へ向けて漸次増加している。
【0056】
以上説明した本実施形態の圧力検出装置100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の圧力検出装置100によれば、一対の端部流路(流入側端部流路24,流出側端部流路25)とそれに挟まれる位置に配置される中央流路28とが可撓性の樹脂材料により一体に形成されている。そのため、本実施形態の圧力検出装置100が備える流路本体21には、一部が他の部材により封止される部分がないため、この封止部分に微量の流体が滞留することがない。したがって、凝固性を有する血液等の流体を流通させる場合であっても、滞留して凝固した流体が再び流路を流通してしまう不具合を防止することができる。
【0057】
また、本実施形態の圧力検出装置100によれば、中央流路28が薄膜状のダイヤフラム22を有しており、流路21aを流通する流体の圧力が薄膜状のダイヤフラム22を介して伝達されるようにダイヤフラム12aが配置されている。そのため、本実施形態の圧力検出装置100は、薄膜状のダイヤフラム22を介して伝達される流体の圧力を、ダイヤフラム12aにより適切に検出することができる。
このように、本実施形態の圧力検出装置100によれば、流路21a内で流体が滞留することによる不具合を防止しつつ流路21aを流通する流体の圧力を検出可能とした圧力検出装置100を提供することができる。
【0058】
本実施形態の圧力検出装置100において、中央流路28は、流通方向に沿った軸線Y回りの周方向の一部の領域における内周面から外周面までの距離(流路厚T2)が他の領域における内周面から外周面までの距離(流路厚T1)よりも短く、その一部の領域をダイヤフラム22の中央部22aとした構成である。
このようにすることで、中央流路28の周方向の一部の領域を他の領域よりも流体の圧力による変位が生じやすい領域とすることができる。この一部の領域をダイヤフラム22の中央部22aとすることにより、流体の圧力を適切に検出することができる。
【0059】
本実施形態の圧力検出装置100によれば、一対の連結流路(流入側連結流路26,流出側連結流路27)により、一対の端部流路(流入側端部流路24,流出側端部流路25)と中央流路28とが、一対の端部流路から中央流路28の両端部に向けて流路断面積が漸次拡大するように連結されている。そのため、流入口21bに配置される流入側端部流路24から中央流路28へ向けて流体が流通する際に、流路21a上で流体が滞留することがない。また、中央流路28から流出口24cが配置される流出側端部流路25へ向けて流体が流通する際に、流路21a上で流体が滞留することがない。
【0060】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態の圧力検出装置について、図面を参照して説明する。
第2実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
本実施形態の圧力検出装置100’は、圧力センサ12とダイヤフラム22との間に圧力伝達部11が配置される点で第1実施形態の圧力検出装置100と異なっている。
【0062】
図12に示す圧力検出装置100’が有する圧力検出ユニット10’は、ダイヤフラム12a(圧力検出部)に伝達される圧力を検出する装置である。
図12に示すように、圧力検出ユニット10’は、流路ユニット20のダイヤフラム22(受圧部)から流体の圧力が伝達される圧力伝達部11と、圧力センサ12とダイヤフラム22との間に配置される保持部材19と、を備える。
【0063】
圧力伝達部11は、軸線Xに沿った上端(一端)がダイヤフラム12aに接触し、かつ軸線Xに沿った下端(他端)が流路ユニット20のダイヤフラム22に接触した状態で配置されるものである。圧力伝達部11は、ダイヤフラム22が受けた流体の圧力をダイヤフラム12aに伝達する。この圧力伝達部11は、流体の圧力を圧力センサ12に伝達するものなのでダイヤフラム22よりも十分に高い硬度のものが望ましい。ダイヤフラム22などで使用される硬度の低いものだと、圧力を吸収するダンパーとなってしまうため精度良く圧力を計測することができない。
【0064】
図13図12のIX−IX矢視断面図)に示すように、圧力伝達部11は、ダイヤフラム22に接触した状態で配置される球面部材11a(第1圧力伝達部材)と、ダイヤフラム12aに接触した状態で配置される軸状部材11b(第2圧力伝達部材)とを有する。軸状部材11bの上端面は、ダイヤフラム12aに接着剤により接合されている。この接着剤として、ガラスなどの熱で溶融する材料を用い、熱で接着剤を溶融させて接着させると、接着剤が冷却されることにより硬化する。この場合、接着剤が緩衝剤となることがないため、安定的に圧力を測定することができる。また、安定的に圧力を測定できて耐腐食性が高い点ではガラスよりは劣るが、エポキシ樹脂系接着剤を用いてもよい。
【0065】
図13に示すように、球面部材11aは、軸線Xに沿ってダイヤフラム22に向かって突出する球面状に形成される部材である。また、軸状部材11bは、軸線Xに沿って延びる軸状に形成される部材である。球面部材11aと軸状部材11bとは、例えばアルミ等の金属、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)、セラミック、サファイアなどよって一体に形成された部材である。
図13に示すように、軸状部材11bの上端面とダイヤフラム12aとの接触面積は、球面部材11aとダイヤフラム22との接触面積よりも小さくなっている。
【0066】
保持部材19は、ダイヤフラム22の外周部を保持するために圧力センサ12とダイヤフラム22との間に配置される部材であり、軸線Xを中心とした円環状に形成されている。
図13に示すように、保持部材19は、軸Xに沿った下端側の一方の面19bがダイヤフラム22の外周部に接触し、かつ軸線Xに沿った上端側の他方の面19aが圧力センサ12のベース部12bに接触した状態で配置される。
【0067】
図13に示すように、保持部材19には、圧力センサ12が保持部材19に接触した状態において内部空間S1と連通する通気溝19c(連通流路)が形成されている。また、本体部13には、通気溝19cおよび外部空間S2と連通する通気孔13c(連通流路)が形成されている。
【0068】
通気溝19cおよび通気孔13cにより、内部空間S1と外部空間S2とが連通した状態となっている。これにより、内部空間S1が外部空間S2と同じ大気圧状態に維持される。
【0069】
図13に示すように、流路ユニット20が圧力検出ユニット10’に取り付けられた状態においては、流路ユニット20のダイヤフラム22が圧力伝達部11の球面部材11aに接触した状態となる。また、圧力伝達部11の軸状部材11bの上端面はダイヤフラム12aに接合されている。
【0070】
ダイヤフラム22は、圧力センサ12の圧力伝達部11が接触しない状態においては、軸線Xに直交する平面上に配置されるようになっている。
一方、図13に示すように、圧力伝達部11が接触した状態において、ダイヤフラム22は、圧力伝達部11により内周部が軸線Xに沿った下方に向かって変位した状態となっている。図13に示す状態において、ダイヤフラム22は、弾性変形により発生する付勢力により圧力伝達部11を軸線Xに沿った上方へ向けて押し付けている。
【0071】
このように、本実施形態の圧力検出装置100’においては、圧力伝達部11が、ダイヤフラム22を流路21aへ向けて変位させてダイヤフラム22からダイヤフラム12aへ向けた付勢力を受ける状態で配置されている。
そのため、流路21aの流体の圧力が大気圧よりも低い負圧となる場合であっても、ダイヤフラム12aは、圧力伝達部11がダイヤフラム22から受ける付勢力による圧力値から負圧分の圧力値を減算した値の圧力を受ける状態となる。
【0072】
以上説明した本実施形態の圧力検出装置100’が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の圧力検出装置100’によれば、一端が圧力センサ12のダイヤフラム12aに接触しかつ他端が流路ユニット20のダイヤフラム22に接触した状態で配置される圧力伝達部11が、ダイヤフラム22からダイヤフラム12aへ向けた付勢力を受ける状態で配置される。
【0073】
そのため、流路21aを流通する流体の圧力が一時的に低下して大気圧よりも低い負圧となる場合であっても、ダイヤフラム12aは、圧力伝達部11がダイヤフラム22から受ける付勢力による圧力値から負圧分の圧力値を減算した値の圧力を受ける状態となる。これにより、ダイヤフラム12aは、流体の圧力が一時的に低下して負圧となる場合であっても、負圧による圧力値の減少を、ダイヤフラム22から受ける付勢力による圧力値から減少した圧力値として得ることができる。
【0074】
このように、本実施形態の圧力検出装置100’によれば、流体の圧力が一時的に低下して負圧となる場合であっても流体の圧力を正確に検出することが可能となる。
【0075】
本実施形態の圧力検出装置100’は、凹部21dと圧力センサ12とにより仕切られる内部空間S1と外部空間S2とを連通させる連通流路である通気溝19cおよび通気孔13cを備える。
このようにすることで、流路ユニット20のダイヤフラム22が配置される凹部21dと圧力センサ12とにより仕切られる内部空間S1が外部空間S2と連通した状態となる。そのため、ダイヤフラム22の変位に伴って内部空間S1の容積が変動し、それに伴って内部空間S1の圧力が変動してしまう不具合を抑制することができる。
【0076】
本実施形態の圧力検出装置100’においては、軸状部材11bとダイヤフラム12aとの接触面積が、球面部材11aとダイヤフラム22との接触面積よりも小さい。
そのため、球面部材11aがダイヤフラム22から受ける流体の圧力を、軸状部材11bを介してダイヤフラム12aに局所的に集中させて伝達することができる。そのため、流体の圧力変動に対してダイヤフラム12aが局所的に受ける圧力の変動を増加させ、流体の圧力変動の検出精度を高めることができる。
【0077】
本実施形態の圧力検出装置100’においては、球面部材11aが、ダイヤフラム22に向かって突出する球面状に形成される部材である。そのため、ダイヤフラム22の変位によらずに球面部材11aがダイヤフラム22と接触する接触面積が略一定に維持され、ダイヤフラム22から球面部材11aへの流体の圧力の伝達精度を高めることができる。
【0078】
〔他の実施形態〕
以上の説明において、圧力センサ12は、ダイヤフラム12aに伝達される圧力に応じて変化する歪抵抗に応じた圧力信号を出力する歪式のセンサであるものとしたが、他の態様であってもよい。
例えば、静電容量式の圧力センサであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
10,10’ 圧力検出ユニット
11 圧力伝達部
11a 球面部材(第1圧力伝達部材)
11b 軸状部材(第2圧力伝達部材)
12 圧力センサ
12a ダイヤフラム(圧力検出部)
12b ベース部
13 本体部
13c 通気孔(連通流路)
19 保持部材
19a,19b 面
19c 通気溝(連通流路)
20 流路ユニット
21 流路本体
21a 流路
21b 流入口
21c 流出口
21d 凹部
22 ダイヤフラム(受圧部)
22a 中央部
22b 端部
23 凹部
24 流入側端部流路
25 流出側端部流路
26 流入側連結流路
27 流出側連結流路
28 中央流路
100,100’ 圧力検出装置
S1 内部空間
S2 外部空間
T1 流路厚
T2 流路厚
X,Y 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13