(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内側ウェブ部は、前記他方の交点側において、前記第1円環状リブと前記第2円環状リブとを径方向に接続する径方向リブが前記仮想径方向線を対称の軸として少なくとも一対形成され、
前記径方向リブの肉厚は、前記内側ウェブ部の最も肉厚の薄い部分の肉厚以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の樹脂製歯車。
前記内側ウェブ部は、前記他方の交点側において、前記ゲート受け突起と前記円環状リブとを径方向に接続する径方向リブが前記仮想径方向線を対称の軸として少なくとも一対形成され、
前記径方向リブの肉厚は、前記内側ウェブ部の最も肉厚の薄い部分の肉厚以下である、
ことを特徴とする請求項2に記載の樹脂製歯車。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る樹脂製歯車を示す図であり、
図1(a)は樹脂製歯車の正面図、
図1(b)は
図1(a)のA1−A1線に沿って切断して示す樹脂製歯車の断面図、
図1(c)は樹脂製歯車の背面図である。
【
図2】第1実施形態に係る樹脂製歯車の内側ウェブ部を抜き出して示す図であり、
図2(a)は内側ウェブ部の正面図、
図2(b)は内側ウェブ部の側面図、
図2(c)は
図2(a)のA2−A2線に沿って切断して示す内側ウェブ部の断面図である。
【
図3】第1実施形態の変形例に係る樹脂製歯車を示す図であり、
図3(a)は樹脂製歯車の正面図、
図3(b)は
図3(a)のA3−A3線に沿って切断して示す樹脂製歯車の断面図、
図3(c)は樹脂製歯車の背面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る樹脂製歯車の射出成形方法を説明するための図であり、
図4(a)は射出成形用の金型(型締めした状態の金型)を
図4(b)のA4−A4線に沿って切断して示すキャビティの平面図であり、
図4(b)は射出成形用の金型を
図4(a)のA5−A5線に沿って切断して示す断面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る樹脂製歯車を示す図であり、
図5(a)は樹脂製歯車の正面図、
図5(b)は
図5(a)のA6−A6線に沿って切断して示す樹脂製歯車の断面図、
図5(c)は樹脂製歯車の背面図である。
【
図6】第2実施形態の変形例に係る樹脂製歯車を示す図であり、
図6(a)は樹脂製歯車の正面図、
図6(b)は
図6(a)のA7−A7線に沿って切断して示す樹脂製歯車の断面図、
図6(c)は樹脂製歯車の背面図である
【
図7】本発明の第2実施形態に係る樹脂製歯車の射出成形方法を説明するための図であり、
図7(a)は射出成形用の金型(型締めした状態の金型)を
図7(b)のA8−A8線に沿って切断して示すキャビティの平面図であり、
図7(b)は射出成形用の金型を
図7(a)のA9−A9線に沿って切断して示す断面図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る樹脂製歯付きベルト用プーリを示す図であり、
図8(a)は樹脂製歯付きベルト用プーリの正面図、
図8(b)は
図8(a)のA10−A10線に沿って切断して示す樹脂製歯付きベルト用プーリの断面図、
図8(c)は樹脂製歯付きベルト用プーリの背面図である。
【
図9】本発明の第4実施形態に係る樹脂製回転体を示す図であり、
図9(a)は樹脂製回転体の正面図、
図9(b)は
図9(a)のA11−A11線に沿って切断して示す樹脂製回転体の断面図、
図9(c)は樹脂製回転体の背面図であり、
図9(d)は樹脂製Vベルト用プーリへの応用例を示す樹脂製回転体の一部断面図である。
【
図10】本発明の第5実施形態に係る樹脂製歯車を示す図であり、
図3に示した樹脂製歯車の変形例を示す図であって、
図10(a)は樹脂製歯車の正面図、
図10(b)は
図10(a)のA12−A12線に沿って切断して示す樹脂製歯車の断面図、
図10(c)は樹脂製歯車の背面図である。
【
図11】本発明の第6実施形態に係る樹脂製歯車を示す図であり、
図6に示した樹脂製歯車の変形例を示す図であって、
図11(a)は樹脂製歯車の正面図、
図11(b)は
図11(a)のA13−A13線に沿って切断して示す樹脂製歯車の断面図、
図11(c)は樹脂製歯車の背面図である。
【
図12】従来の樹脂製歯車を示す図であり、
図12(a)は従来の樹脂製歯車の正面図、
図12(b)は
図12(a)のA14−A14線に沿って切断して示す従来の樹脂製歯車の断面図、
図12(c)は
図12(a)のA15−A15線に沿って切断して示す従来の樹脂製歯車の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る樹脂製歯車1を示す図である。なお、
図1(a)は樹脂製歯車1の正面図、
図1(b)は
図1(a)のA1−A1線に沿って切断して示す樹脂製歯車1の断面図、
図1(c)は樹脂製歯車1の背面図である。
【0017】
図1に示す樹脂製歯車1は、円板状のウェブ2と、ウェブ2の径方向内方端に形成された円筒状のボス3と、ウェブ2の一方の側面2a側で且つボス3の外周面に形成された複数の歯4からなる第1歯部5と、ウェブ2の径方向外方端に位置し且つボス3と同心の円筒状のリム6と、リム6の外周面に形成された複数の歯7からなる第2歯部8と、を有している。また、樹脂製歯車1は、ウェブ2の他方の側面2bで且つボス3の近傍に、ボス3と同心の第1円環状リブ10が形成されている。また、樹脂製歯車1は、ウェブ2の他方の側面2bで且つ第1円環状リブ10とリム6との間に、リム6と同心の第2円環状リブ11が形成されている。なお、本実施形態に係る樹脂製歯車1は、強化繊維含有樹脂材料(例えば、ガラス繊維等の強化繊維を含有したPOM(ポリアセタール)、PA66(ポリアミド66))、又は強化繊維を含まない樹脂材料(例えば、POM(ポリアセタール)、PA66(ポリアミド66))で射出成形される。
【0018】
図1に示すように、ボス3は、円板状のウェブ2の径方向内方端に一体に形成された円筒体であり、ウェブ2の一方の側面2aから
図1(b)の右方向(
図1(b)の−Z軸方向)へ出っ張るように形成されており、中央に軸穴12が形成されている。このボス3は、軸穴12の軸心CLがボス3の中心になり、樹脂製歯車1の中心になるように形成されている。
【0019】
また、
図1に示すように、ウェブ2は、第1円環状リブ10と第2円環状リブ11とを径方向に沿って接続する内側ウェブ部13と、第2円環状リブ11とリム6とを径方向に沿って接続する外側ウェブ部14と、を有している。内側ウェブ部13は、ボス3の中心(CL)を通って径方向に延びる仮想径方向線15と第2円環状リブ11の内周面11bとの一対の交点16,17のうちの一方の交点16から他方の交点17に向かって肉厚が漸減するように形成されており(
図2参照)、
図2(b)及び
図2(c)に示すように楔形状になっている。そして、内側ウェブ部13の他方の交点17側(R曲面からなる隅肉部分を除いた位置)における肉厚は、第2円環状リブ11が形成された部分(第2円環状リブ11及び第2円環状リブ11が形成されたウェブ2)の肉厚(t1)よりも薄く形成されている。また、内側ウェブ部13は、他方の交点17側において、第1円環状リブ10と第2円環状リブ11とを径方向に接続する径方向リブ18が仮想径方向線15を対称の軸として二対形成されている。これら径方向リブ18は、第1円環状リブ10の外周面10aの周方向に沿って等間隔で形成されている。そして、径方向リブ18は、内側ウェブ部13の最も肉厚の薄い部分の肉厚以下の肉厚となるように形成されている。また、外側ウェブ部14は、第2円環状リブ11に接続される部分とリム6に接続される部分を除き、同一の肉厚になるように形成され、第2円環状リブ11が形成された部分の肉厚(t1)よりも薄く形成されている。なお、本実施形態において、内側ウェブ部13の一方の交点16側の端部は、第2円環状リブ11の側面11aに位置している。また、外側ウェブ部14は、
図1に示す形状に限定されず、径方向及び/又は周方向に沿って肉厚を変化させてもよい。また、
図1において、樹脂製歯車1は、第1円環状リブ10が形成された部分の肉厚と第2円環状リブ11が形成された部分の肉厚がt1で同一であるが、第1円環状リブ10が形成された部分の肉厚と第2円環状リブ11が形成された部分の肉厚とを異なる厚さにしてもよい。また、径方向リブ18は、仮想径方向線15を対称の軸として二対形成される場合に限られず、少なくとも一対以上形成されていればよい。
【0020】
また、
図1に示すように、リム6は、円板状のウェブ2の径方向外方端に一体に形成された円筒体であり、ボス3と同心に形成されている。このリム6は、歯幅方向の中央が外側ウェブ部14の径方向外方端に接続されている。
【0021】
また、
図1に示すように、第1歯部5及び第2歯部8は、インボリュート歯形の平歯であり、ボス3の中心(CL)を通って径方向に延びる仮想径方向線15と第2円環状リブ11の内周面11bとの一対の交点16,17を一方の交点16と他方の交点17とに区別すると、一つの歯4,7の歯厚方向の中央(歯先中央)がボス3の中心(CL)から一方の交点16側へ延びる仮想径方向線15上に位置している。
【0022】
また、
図1に示すように、第1円環状リブ10は、内周面10bと外周面10aがボス3の中心(CL)と同心であり、ウェブ2の他方の側面2b(
図1(b)の左側の側面2b)から左側方(
図1(b)の+Z軸方向)に出っ張ったリング状の突起である。そして、この第1円環状リブ10は、
図1(b)に示すように、その側面10cがリム6の側面6aよりも僅かに内側(−Z軸方向側)にずれて位置している。この第1円環状リブ10の側面10cは、ボス3の中心(CL)を通って径方向に延びる仮想径方向線15と第2円環状リブ11の内周面11bとの一対の交点16,17を一方の交点16と他方の交点17とに区別すると、第1歯部5よりも径方向外方側の位置で且つ仮想径方向線15上のうちの他方の交点17寄りの位置に、射出成形時のゲート痕20が1箇所だけ形成されている。なお、第1円環状リブ10は、
図1に示す形状に限定されず、側面10cがリム6の側面6aと同一に位置するか、又は側面10cがリム6の側面6aよりも外側(+Z軸方向)にずれて位置するように形成してもよい。
【0023】
また、
図1に示すように、第2円環状リブ11は、内周面11bと外周面11cがボス3の中心(CL)と同心であり、ウェブ2の他方の側面2b(
図1(b)の左側の側面)から左側方(
図1(b)の+Z軸方向)に出っ張ったリング状の突起である点において、第1円環状リブ10と同様である。また、本実施形態に係る樹脂製歯車1は、第2円環状リブ11が形成された部分の肉厚が周囲のウェブ2の肉厚よりも厚くなっており、第1円環状リブ10が形成された部分の肉厚と同一の厚さになっている。また、第2円環状リブ11は、径方向に沿った幅寸法が第1円環状リブ10の径方向に沿った幅寸法よりも大きくなっている(体積が大きくなっている)。したがって、第2円環状リブ11は、射出成形時において、内側ウェブ部13に対応するキャビティ部を径方向外方へ向けて流動した溶融樹脂が溜まりやすくなっている(溶融樹脂を堰き止める効果が大きくなっている)。なお、第2円環状リブ11は、
図1に示す形状に限定されず、側面11aがリム6の側面6aと同一に位置するか、又は側面11aがリム6の側面6aよりも外側(+Z軸方向)にずれて位置するように形成してもよい。また、第2円環状リブ11は、第1円環状リブ10と異なる高さに形成してもよい。
【0024】
また、
図1に示すように、径方向リブ18は、内側ウェブ部13の薄肉側(他方の交点17側)を補強するために設けられたものであるが、第1円環状リブ10を形作るキャビティ部に射出された溶融樹脂がボス3、第1歯部5、及び内側ウェブ部13を形作る各キャビティ部に充填されるこくなく第2円環状リブ11を形作るキャビティ部側へ流動しないように、内側ウェブ部13の最も肉厚が薄い部分の肉厚以下の肉厚寸法になっている。
【0025】
(変形例)
図3は、上記第1実施形態の変形例に係る樹脂製歯車1を示す図である。なお、
図3(a)は樹脂製歯車1の正面図、
図3(b)は
図3(a)のA3−A3線に沿って切断して示す樹脂製歯車1の断面図、
図3(c)は樹脂製歯車1の背面図である。
【0026】
図3に示すように、本変形例に係る樹脂製歯車1は、内側ウェブ部13を補強する径方向リブ18を省略してある点を除き、上記第1実施形態に係る樹脂製歯車1と同様である。本変形例に係る樹脂製歯車1は、第2歯部8に作用するトルクが第1実施形態に係る樹脂製歯車1の第2歯部8に作用するトルクよりも小さな場合であって、内側ウェブ13の強度が第2歯部8に作用するトルクに耐え得る場合に採用される。なお、本変形例に係る樹脂製歯車1は、上記第1実施形態の樹脂製歯車1と同一の構成部分に同一符号を付し、上記第1実施形態の樹脂製歯車1の説明と重複する説明を省略する。
【0027】
(樹脂製歯車の射出成形方法)
図4は、本実施形態に係る樹脂製歯車1の射出成形方法を説明するための図である。なお、
図4(a)は射出成形用の金型21(型締めした状態の金型21)を
図4(b)のA4−A4線に沿って切断して示すキャビティ22の平面図であり、
図4(b)は射出成形用の金型21を
図4(a)のA5−A5線に沿って切断して示す断面図である。
【0028】
図4に示すように、金型21は、ゲート20が形成された固定側金型23と、この固定側金型23に対して移動できるようになっている可動側金型24とに大別される。そして、この金型21は、固定側金型23と可動側金型24の型合わせ面23a,24a側に、樹脂製歯車1を射出成形するためのキャビティ22が形成されている。また、この金型21は、可動側金型24側に固定された軸型25がキャビティ22に突出し、軸型25の先端面25aが固定側金型23の軸型支持穴29に係合され、軸型25がボス3の軸穴12を形成するようになっている(
図1参照)。なお、軸型25は、先端をキャビティ22の内面に突き当てるようにしてもよい。
【0029】
金型21のキャビティ22は、円板状のウェブ2を形作るための第1キャビティ部26と、ウェブ2の径方向内方端に位置する円筒状のボス3を形作るための第2キャビティ部27と、ウェブ2の一方の側面2a側で且つボス3の外周面に位置する複数の歯4からなる第1歯部5を形作る第3キャビティ部28と、ウェブ2の径方向外方端に位置し且つボス3と同心の円筒状のリム6を形作る第4キャビティ部30と、リム6の外周面に位置する複数の歯7からなる第2歯部8を形作る第5キャビティ部31と、ウェブ2の他方の側面2bで且つボス部3の近傍に位置する第1円環状リブ10を形作る第6キャビティ部32と、ウェブ2の他方の側面2bで且つ第1円環状リブ10とリム6との間に位置する第2円環状リブ11を形作る第7キャビティ部33と、を有している。また、第1キャビティ部26は、第1円環状リブ10と第2円環状リブ11とを接続する内側ウェブ部13を形作る内側ウェブ部用キャビティ部分34と、第2円環状リブ11とリム6とを接続する外側ウェブ部14を形作る外側ウェブ部用キャビティ部分35と、を有している。
【0030】
また、金型21において、第2キャビティ部27の中心36に直交して径方向に延びる仮想径方向線37と第7キャビティ部分33の径方向内方端との一対の交点38,40を一方の交点38と他方の交点40とすると、射出成形用のゲート20(ピンポイントゲート)は、第6キャビティ部32のうちで、第3キャビティ部28よりも径方向外方側の位置で且つ仮想径方向線37上のうちの他方の交点40寄りの位置に開口するように1箇所だけ形成されている。
【0031】
本実施形態に係る樹脂製歯車1は、上記のように構成された金型21を使用して射出成形される。すなわち、
図4において、ゲート20から第1円環状リブ10を形作る第6キャビティ部32に射出された溶融樹脂は、ゲート20の開口位置から径方向外方へ向かってほぼ同心円状に拡がり、ボス3を形作る第2キャビティ部27、第1歯部5を形作る第3キャビティ部28、内側ウェブ部13を形作る内側ウェブ部用キャビティ部分34を流動する。この内側ウェブ部用キャビティ部分34を流動する溶融樹脂は、内側ウェブ部用キャビティ部分34の空間が一方の交点38から他方の交点40に向かうに従って狭く(楔形状に狭く)なっているため、ゲート20から遠い一方の交点38側に流れやすくなっており、ゲート20から遠い一方の交点38寄りの流動が促進され、ゲート20に近い他方の交点40側の流動が抑えられる。その結果、内側ウェブ部用キャビティ部分34を流動する溶融樹脂は、ゲート20の開口位置と第2円環状リブ11を形作る第7キャビティ部33の径方向内方端までの距離に差があるにもかかわらず、第2円環状リブ11を形作る第7キャビティ部33に到達する時間のばらつきが抑えられる。
【0032】
内側ウェブ部用キャビティ部分34を流動した溶融樹脂は、第2円環状リブ11を形作る第7キャビティ部33に流れ込んで溜められる。第2円環状リブ11を形作る第7キャビティ部33に溜められた溶融樹脂は、第7キャビティ部33の全周からほぼ同時に径方向外方へ流出し、外側ウェブ部用キャビティ部分35を流動する際に流動速度が均一化される。外側ウェブ部用キャビティ部分35で流動速度が均一化された溶融樹脂は、リム6を形作る第4キャビティ部30内をほぼ同心円状に且つ径方向外方へ向かって拡がって流動した後、最終充填箇所である第2歯部8を形作る第5キャビティ部31にほぼ同時に充填される。
【0033】
(本実施形態の効果)
以上のように本実施形態に係る樹脂製歯車1は、1箇所のゲート20で射出成形しても、ゲート20から射出された溶融樹脂が径方向外方端側のリム6を形作る第4キャビティ部30を同心円状に拡がって流動し、最終充填箇所であるリム6の外周側の第2歯部8を形作る第5キャビティ部31にほぼ同時に充填されるため、真円度等の形状精度が良く、且つ、ウェルドラインの発生を抑えることができ、樹脂材料の利用効率を向上させることができる。このような本実施形態に係る樹脂製歯車1は、強化繊維含有樹脂を使用して射出成形する場合の効果が大きい。
【0034】
また、本実施形態に係る樹脂製歯車1は、第1歯部5及び第2歯部8の一つの歯4,7で且つゲート20から最も離れた位置の歯4,7の歯先中央が、ボス3の中心(CL)を通って径方向に(一方の交点16に向かって)延びる仮想径方向線15上に位置しているため、ウェルドラインが生じたとしても、ウェルドラインが歯先中央に位置し、ウェルドラインが歯元(歯の噛み合い時に最も大きな応力が作用する部位)に位置することがない。その結果、本実施形態に係る樹脂製歯車1は、1箇所のゲート20で射出成形することによってウェルドラインが生じたとしても、ウェルドラインに起因する歯の破損が生じにくい。このような本実施形態に係る樹脂製歯車1は、強化繊維含有樹脂を使用して射出成形する場合の効果が大きい。
【0035】
また、本実施形態に係る樹脂製歯車1において、内側ウェブ部13は、ボス3の中心(CL)を通って径方向に延びる仮想径方向線15と第2円環状リブ11との一対の交点16,17のうちの一方の交点16から他方の交点17に向かって肉厚が漸減するように形成されており、ゲート20から他方の交点17(ゲート20に近い交点17)に向かうに従って肉厚が薄くなり、ゲート20から一方の交点16(ゲート20から遠い交点16)に向かうに従って肉厚が厚くなっている。その結果、本実施形態に係る樹脂製歯車1によれば、内側ウェブ部13は、ゲート20に近い位置の溶融樹脂の流れを抑え、ゲート20から遠い位置の溶融樹脂の流れを促進することができ、ゲート20から射出された溶融樹脂が第2円環状リブ11に到達する時間のばらつきを抑えることができる。
【0036】
また、本実施形態に係る樹脂製歯車1は、リム6の歯幅方向の中央が外側ウェブ部14の径方向外方端に接続されているため、強化繊維含有樹脂で射出成形された場合、リム6及び第2歯部8の歯幅方向両端の繊維配向が同一になり、リム6及び第2歯部8の歯幅方向両端における強度のばらつきがない。
【0037】
また、本実施形態に係る樹脂製歯車1は、ゲート20が第1歯部5を形作る第3キャビティ部28よりも径方向外方に位置し、ゲート20が第1円環状リブ10を形作る第6キャビティ部32及びウェブ2を形作る第1キャビティ部26に開口するようになっているため、ゲート20から略同心円状に拡がる溶融樹脂の流れを生じやすく、内側ウェブ部13の上記形状効果と相俟って、ゲート20からリム6及び第2歯部8に向かう溶融樹脂の流動速度のばらつきを抑えることができる。
【0038】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係る樹脂製歯車41を示す図である。なお、
図5(a)は樹脂製歯車41の正面図、
図5(b)は
図5(a)のA6−A6線に沿って切断して示す樹脂製歯車41の断面図、
図5(c)は樹脂製歯車41の背面図である。
【0039】
図5に示す樹脂製歯車41は、円板状のウェブ42と、ウェブ42の径方向内方端に形成された円筒状のボス43と、ウェブ42の径方向外方端に位置し且つボス43と同心の円筒状のリム44と、リム44の外周面に形成された複数の歯45からなる歯部46と、を有している。また、樹脂製歯車41は、ボス43とリム44の間で且つリム44寄りの位置に、ボス43と同心の円環状リブ47がウェブ42の両側面にそれぞれ形成されている。また、樹脂製歯車41は、ボス43の中央に形成された軸穴48の軸心CLがボス43の中心になり、樹脂製歯車41の中心になるように形成されている。また、樹脂製歯車41は、歯部46の歯幅方向中心を通り且つ軸穴48の軸心CLに直交する中心線51(仮想径方向線54と平行の中心線)を対称の軸とする線対称形状になっている(
図5(b)参照)。なお、本実施形態に係る樹脂製歯車41は、第1実施形態に係る樹脂製歯車1と同様に、強化繊維含有樹脂材料(例えば、ガラス繊維等の強化繊維を含有したPOM(ポリアセタール)、PA66(ポリアミド66))、又は強化繊維を含まない樹脂材料(例えば、POM(ポリアセタール)、PA66(ポリアミド66))で射出成形される。
【0040】
図5に示す樹脂製歯車41において、ウェブ42は、ボス43と円環状リブ47とを径方向に沿って接続する内側ウェブ部52と、円環状リブ47とリム44とを径方向に沿って接続する外側ウェブ部53と、を有している。内側ウェブ部52は、ボス43の中心(CL)を通って径方向に延びる仮想径方向線54と円環状リブ47との一対の交点55,56のうちの一方の交点55から他方の交点56に向かって肉厚が漸減するように形成されており、楔形状になっている。そして、内側ウェブ部52は、他方の交点56側における肉厚が円環状リブ47が形成された部分(円環状リブ47,47及びこの一対の円環状リブ47,47が形成されたウェブ42)の肉厚(t2)よりも薄く形成されている。また、ウェブ42の両側面(内側ウェブ部52の両側面52a,52b)とボス43の外周面43aとのコーナー部には、ボス43と同心の円環状のゲート受け突起50がウェブ42(内側ウェブ部52)とボス43とに跨るようにそれぞれ形成されている。この両ゲート受け突起50のうちの一方の表面には、射出成形時のゲート痕58が仮想径方向線54上のうちの他方の交点56寄りの位置に1箇所だけ形成されている。また、内側ウェブ部52は、一方の交点55側における肉厚が歯部46の歯幅寸法よりも僅かに小さくなっている。また、内側ウェブ部52は、他方の交点56側において、ゲート受け突起50と円環状リブ47とを径方向に接続する径方向リブ57が仮想径方向線54を対称の軸として二対形成されている。これら径方向リブ57は、ボス43の外周面43aの周方向に沿って等間隔で形成されている。そして、径方向リブ57は、内側ウェブ部52の最も肉厚の薄い部分の肉厚以下の肉厚となるように形成されている。また、外側ウェブ部53は、円環状リブ47に接続される部分とリム44に接続される部分を除き、同一の肉厚になるように形成され、円環状リブ47が形成された部分の肉厚(t2)よりも薄く形成されている。なお、内側ウェブ部52は、
図5に示す形状に限定されず、一方の交点55側における肉厚を歯部46の歯幅寸法と同一、又は、一方の交点55側における肉厚を歯部46の歯幅寸法よりも大きく形成してもよい。また、外側ウェブ部53は、
図5に示す形状に限定されず、径方向及び/又は周方向に沿って肉厚を変化させてもよい。また、樹脂製歯車41は、円環状リブ47,47が形成された部分の肉厚(t2)が歯部46の歯幅寸法と同一か又は歯部46の歯幅寸法よりも大きくてもよい。また、径方向リブ57は、仮想径方向線54を対称の軸として二対形成される場合に限られず、少なくとも一対以上形成されていればよい。
【0041】
また、
図5に示すように、リム44は、円板状のウェブ42の径方向外方端に一体に形成された円筒体であり、ボス43と同心に形成されている。このリム44は、歯幅方向の中央が外側ウェブ部53の径方向外方端に接続されている。
【0042】
また、
図5に示すように、歯部46は、インボリュート歯形の平歯であり、ボス43の中心(CL)を通って径方向に延びる仮想径方向線54と円環状リブ47との一対の交点55,56を一方の交点55と他方の交点56とに区別すると、一つの歯45の歯厚方向の中央(歯先中央)がボス43の中心(CL)から一方の交点55側へ延びる仮想径方向線54上に位置している。
【0043】
また、
図5に示すように、円環状リブ47は、内周面47aと外周面47bがボス43の中心(CL)と同心であり、ウェブ42の両側面42a,42bからZ軸方向に沿って出っ張ったリング状の突起である(
図5(b)参照)。そして、この円環状リブ47は、
図5(b)に示すように、その両側面47a,47bがリム44の両側面44a,44bよりも僅かに内側にずれて位置している。また、本実施形態に係る樹脂製歯車41は、この円環状リブ47が形成された部分の肉厚(t2)が外側ウェブ部53の肉厚よりも厚くなっており、ゲート60から射出された溶融樹脂が溜まりやすくなっている(溶融樹脂を堰き止める効果が大きい)。
【0044】
また、
図5に示すように、径方向リブ57は、内側ウェブ部52の薄肉側を補強するために設けられたものであるが、ゲート受け突起50を形作るキャビティ部に射出された溶融樹脂がボス43に充填されることなく円環状リブ47を形作るキャビティ部側へ流動しないように、内側ウェブ部52の最も肉厚が薄い部分の肉厚以下の肉厚寸法になっている。
【0045】
(変形例)
図6は、上記第2実施形態の変形例に係る樹脂製歯車41を示す図である。なお、
図6(a)は樹脂製歯車41の正面図、
図6(b)は
図6(a)のA7−A7線に沿って切断して示す樹脂製歯車41の断面図、
図6(c)は樹脂製歯車41の背面図である。
【0046】
図6に示すように、本変形例に係る樹脂製歯車41は、内側ウェブ部52を補強する径方向リブ57を省略してある点を除き、上記第2実施形態に係る樹脂製歯車41と同様である。本変形例に係る樹脂製歯車41は、歯部46に作用するトルクが第2実施形態に係る樹脂製歯車41の歯部46に作用するトルクよりも小さな場合であって、内側ウェブ部52の強度が歯部46に作用するトルクに耐え得る場合に採用される。なお、本変形例に係る樹脂製歯車41は、上記第2実施形態の樹脂製歯車41と同一の構成部分に同一符号を付し、上記第2実施形態の樹脂製歯車41の説明と重複する説明を省略する。
【0047】
(樹脂製歯車の射出成形方法)
図7は、本実施形態に係る樹脂製歯車41の射出成形方法を説明するための図である。なお、
図7(a)は射出成形用の金型61(型締めした状態の金型61)を
図7(b)のA8−A8線に沿って切断して示すキャビティ62の平面図であり、
図7(b)は射出成形用の金型61を
図7(a)のA9−A9線に沿って切断して示す断面図である。
【0048】
図7に示すように、金型61は、ゲート60が形成された固定側金型63と、この固定側金型63に対して移動できるようになっている可動側金型64とに大別される。そして、この金型61は、固定側金型63と可動側金型64の型合わせ面63a,64a側に、樹脂製歯車41を射出成形するためのキャビティ62が形成されている。また、この金型61は、可動側金型64側に固定された軸型65がキャビティ62に突出し、軸型65の先端面65a側が固定側金型63の軸型支持穴69に係合され、軸型65がボス43の軸穴48を形成するようになっている(
図5参照)。なお、軸型65は、先端65aをキャビティ62の内面に突き当てるようにしてもよい。
【0049】
金型61のキャビティ62は、円板状のウェブ42を形作るための第1キャビティ部66と、ウェブ42の径方向内方端に位置する円筒状のボス43を形作るための第2キャビティ部67と、ウェブ42の径方向外方端に位置し且つボス43と同心の円筒状のリム44を形作る第3キャビティ部68と、リム44の外周面に位置する複数の歯45からなる歯部46を形作る第4キャビティ部70と、ウェブ42にリム44と同心の円環状リブ47を形作る第5キャビティ部71と、内側ウェブ部52の両側面52a,52bとボス43の外周面43aとのコーナー部に位置するゲート受け突起50を形作る第6キャビティ部72と、を有している。また、第1キャビティ部66は、ボス43と円環状リブ47とを接続する内側ウェブ部52を形作る内側ウェブ部用キャビティ部分73と、円環状リブ47とリム44とを接続する外側ウェブ部53を形作る外側ウェブ部用キャビティ部分74と、を有している。
【0050】
また、金型61において、第2キャビティ部67の中心75に直交して径方向に延びる仮想径方向線76と第5キャビティ部71との一対の交点77,78を一方の交点77と他方の交点78とすると、射出成形用のゲート60(ピンポイントゲート)は、第6キャビティ部72の仮想径方向線76上に開口するように1箇所だけ形成されている。この射出成形用のゲート60は、仮想径方向線76上で且つ他方の交点78寄りの位置に開口している。
【0051】
本実施形態に係る樹脂製歯車は、上記のように構成された金型61を使用して射出成形される。すなわち、
図7において、ゲート60から第6キャビティ部72に射出された溶融樹脂は、ゲート60の開口位置から第1キャビティ部66を径方向外方へ向かってほぼ同心円状に拡がり、ボス43を形作る第2キャビティ部67、内側ウェブ部52を形作る内側ウェブ部用キャビティ部分73を流動する。この内側ウェブ部用キャビティ部分73を流動する溶融樹脂は、内側ウェブ部用キャビティ部分73の空間が一方の交点77から他方の交点78に向かうに従って狭く(楔形状に狭く)なっているため、ゲート60から遠い一方の交点77側に流れやすくなっており、ゲート60から遠い一方の交点77寄りの流動が促進され、ゲート60に近い他方の交点78側の流動が抑えられる。その結果、内側ウェブ部用キャビティ部分73を流動する溶融樹脂は、ゲート60の開口位置と円環状リブ47を形作る第5キャビティ部71の径方向内端までの距離に差があるにもかかわらず、円環状リブ47を形作る第5キャビティ部71に到達する時間のばらつきが抑えられる。
【0052】
内側ウェブ部用キャビティ部分73を流動した溶融樹脂は、円環状リブ47を形作る第5キャビティ部71に流れ込んで溜められる。円環状リブ47を形作る第5キャビティ部71に溜められた溶融樹脂は、第5キャビティ部71の全周からほぼ同時に径方向外方へ流出し、外側ウェブ部用キャビティ部分74を流動する際に流動速度が均一化される。外側ウェブ部用キャビティ部分74で流動速度が均一化された溶融樹脂は、リム44を形作る第3キャビティ部68内をほぼ同心円状に且つ径方向外方へ向かって拡がって流動した後、歯部46を形作る第4キャビティ部70にほぼ同時に充填される。
【0053】
(本実施形態の効果)
以上のように本実施形態に係る樹脂製歯車41は、1箇所のゲート60で射出成形しても、ゲート60から射出された溶融樹脂が径方向外方端側のリム44を形作る第3キャビティ部68を同心円状に拡がって流動し、最終充填箇所であるリム44の外周側の歯部46を形作る第4キャビティ部70にほぼ同時に充填されるため、真円度等の形状精度が良く、且つ、ウェルドラインの発生を抑えることができ、樹脂材料の利用効率を向上させることができる。このような本実施形態に係る樹脂製歯車41は、強化繊維含有樹脂を使用して射出成形する場合の効果が大きい。
【0054】
また、本実施形態に係る樹脂製歯車41は、歯部46の一つの歯45で且つゲート60から最も離れた位置の歯45の歯先中央が、ボス43の中心(CL)を通って径方向に(一方の交点55に向かって)延びる仮想径方向線54上に位置しているため、ウェルドラインが生じたとしても、ウェルドラインが歯先中央に位置し、ウェルドラインが歯元(歯の噛み合い時に最も大きな応力が作用する部位)に位置することがない。その結果、本実施形態に係る樹脂製歯車41は、1箇所のゲート60で射出成形することによってウェルドラインが生じたとしても、ウェルドラインに起因する歯の破損が生じにくい。このような本実施形態に係る樹脂製歯車41は、強化繊維含有樹脂を使用して射出成形する場合の効果が大きい。
【0055】
また、本実施形態に係る樹脂製歯車41において、内側ウェブ部52は、ボス43の中心(CL)を通って径方向に延びる仮想径方向線54と円環状リブ47との一対の交点55,56のうちの一方の交点55から他方の交点56に向かって肉厚が漸減するように形成されており、ゲート60から他方の交点56(ゲート60に近い交点56)に向かうに従って肉厚が薄くなり、ゲート60から一方の交点55(ゲート60から遠い交点55)に向かうに従って肉厚が厚くなっている。その結果、本実施形態に係る樹脂製歯車41によれば、内側ウェブ部52は、ゲート60に近い位置の溶融樹脂の流れを抑え、ゲート60から遠い位置の溶融樹脂の流れを促進することができ、ゲート60から射出された溶融樹脂が円環状リブ47を形作る第5キャビティ部71に到達する時間のばらつきを抑えることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る樹脂製歯車41は、リム44の歯幅方向の中央が外側ウェブ部53の径方向外方端に接続されているため、強化繊維含有樹脂で射出成形された場合、リム44及び歯部46の歯幅方向両端の繊維配向が同一になり、リム44及び歯部46の歯幅方向両端における強度のばらつきがない。
【0057】
また、本実施形態に係る樹脂製歯車41は、ゲート60がボス43を形作る第2キャビティ部67よりも径方向外方に位置し、ゲート60がゲート受け突起50を形作る第6キャビティ部72及びウェブ42を形作る第1キャビティ部66に開口するようになっているため、ゲート60から略同心円状に拡がる溶融樹脂の流れを生じやすく、内側ウェブ部52の上記形状効果と相俟って、ゲート60からリム44及び歯部46に向かう溶融樹脂の流動速度のばらつきを抑えることができる。
【0058】
[第3実施形態]
図8は、本発明の第3実施形態に係る樹脂製歯付きベルト用プーリ80を示す図である。なお、
図8(a)は樹脂製歯付きベルト用プーリ80の正面図、
図8(b)は
図8(a)のA10−A10線に沿って切断して示す樹脂製歯付きベルト用プーリ80の断面図、
図8(c)は樹脂製歯付きベルト用プーリ80の背面図である。
【0059】
図8に示す本実施形態に係る樹脂製歯付きベルト用プーリ80は、
図5に示した第2実施形態の樹脂製歯車41の歯部46を歯付きベルト(図示せず)と噛み合う複数の歯81aからなる歯部81に置き換えて構成したものであり、他の構成が
図5に示した第2実施形態の樹脂製歯車41と同様である。したがって、
図8に示す本実施形態に係る樹脂製歯付きベルト用プーリ80は、
図5に示した第2実施形態の樹脂製歯車41と同様の構成部分に同一符号を付し、第2実施形態に係る樹脂製歯車41の説明と重複する説明を省略する。
【0060】
このような構成の本実施形態に係る樹脂製歯付きベルト用プーリ80は、第2実施形態に係る樹脂製歯車41と同様に、真円度等の形状精度が良く、且つ、ウェルドラインの発生を抑えることができ、樹脂材料の利用効率を向上させることができる。
【0061】
[第4実施形態]
図9は、本発明の第4実施形態に係る樹脂製回転体82を示す図である。なお、
図9(a)は樹脂製回転体82の正面図、
図9(b)は
図9(a)のA11−A11線に沿って切断して示す樹脂製回転体82の断面図、
図9(c)は樹脂製回転体82の背面図であり、
図9(d)は樹脂製Vベルト用プーリへの応用例を示す樹脂製回転体82の一部断面図である。
【0062】
図9に示す本実施形態に係る樹脂製回転体82は、
図5に示した第2実施形態の樹脂製歯車41のリム44及び歯部46を外周側筒状部83に置き換えて構成したものであり、他の構成が
図5に示した第2実施形態の樹脂製歯車41と同様である。したがって、
図9に示す本実施形態に係る樹脂製回転体82は、
図5に示した第2実施形態の樹脂製歯車41と同様の構成部分に同一符号を付し、第2実施形態に係る樹脂製歯車41の説明と重複する説明を省略する。
【0063】
このような構成の樹脂製回転体82は、外周側筒状部83をリム44と歯部46にすることにより、第2実施形態に係る樹脂製歯車41を構成することができる。また、樹脂製回転体82は、外周側筒状部83をリム44と歯部81にすることにより、第3実施形態に係る樹脂製歯付きベルト用プーリ80を構成することができる。また、樹脂製回転体82は、外周側筒状部83にV溝84を形成することにより、樹脂製Vベルト用プーリ85を構成することができる。また、
図9に示すように、樹脂製回転体82は、外周側筒状部83の外周面86をボス43と同心の円周面にした場合、ローラとして使用することが可能である。
【0064】
また、このような構成の本実施形態に係る樹脂製回転体82は、第2実施形態に係る樹脂製歯車41と同様に、真円度等の形状精度が良く、且つ、ウェルドラインの発生を抑えることができ、樹脂材料の利用効率を向上させることができる。
【0065】
[第5実施形態]
図10は、本発明の第5実施形態に係る樹脂製歯車1を示す図であり、
図3に示した樹脂製歯車1の変形例を示す図である。なお、
図10(a)は樹脂製歯車1の正面図、
図10(b)は
図10(a)のA12−A12線に沿って切断して示す樹脂製歯車1の断面図、
図10(c)は樹脂製歯車1の背面図である。
【0066】
図10に示す本実施形態に係る樹脂製歯車1は、
図3に示した樹脂製歯車1の第1円環状リブ10を省略し、ボス3と円環状リブ(
図3の第2円環状リブ)11とを内側ウェブ部13で接続してある。そして、内側ウェブ部13の側面(ウェブ2の一方の側面2b)は、ボス3の中心(CL)を通って径方向に延びる仮想径方向線15と第2円環状リブ11の内周面11bとの一対の交点16,17を一方の交点16と他方の交点17とに区別すると、第1歯部5よりも径方向外方側の位置で且つ仮想径方向線15上のうちの他方の交点17寄りの位置に、射出成形時のゲート痕20aが1箇所だけ形成されている。このような構成の本実施形態に係る樹脂製歯車1は、内側ウェブ部13の一方の交点16側の肉厚と他方の交点17側の肉厚の比等を工夫することにより、
図3に示した樹脂製歯車1と同様の効果を得ることができる。
【0067】
[第6実施形態]
図11は、本発明の第6実施形態に係る樹脂製歯車41を示す図であり、
図6に示した樹脂製歯車41の変形例を示す図である。なお、
図11(a)は樹脂製歯車41の正面図、
図11(b)は
図11(a)のA13−A13線に沿って切断して示す樹脂製歯車41の断面図、
図11(c)は樹脂製歯車41の背面図である。
【0068】
図11に示す本実施形態に係る樹脂製歯車41は、
図6に示した樹脂製歯車41のゲート受け突起50を省略し、ボス43と円環状リブ47とを内側ウェブ部52で接続してある。そして、ウェブ42(内側ウェブ部52)の一方の側面52aのボス43寄りの位置で且つ仮想径方向線54上のうちの他方の交点56寄りの位置には、射出成形時のゲート痕58が1箇所だけ形成されている。このような構成の本実施形態に係る樹脂製歯車41は、内側ウェブ部52の一方の交点55側の肉厚と他方の交点56側の肉厚との比等を工夫することにより、
図6に示した樹脂製歯車41と同様の効果を得ることができる。
【0069】
[その他の実施形態]
本発明は、第1実施形態に係る樹脂製歯車1の第1歯部5と第2歯部8の歯4,7が平歯であることを示したが、これに限られず、第1歯部5と第2歯部8の歯4,7をはすばにしてもよい。また、本発明は、第2実施形態に係る樹脂製歯車41の歯部46の歯45が平歯であることを示したが、これに限られず、歯部46の歯45をはすばにしてもよい。また、本発明に係る樹脂製歯車1は、かさ歯車、フェースギヤに適用できる。
【0070】
なお、第1実施形態に係る樹脂製歯車1において、内側ウェブ部13は、ボス3の中心(CL)を通って径方向に延びる仮想径方向線15と第2円環状リブ11の内周面11bとの一対の交点16,17のうちの一方の交点16から他方の交点17に向かって肉厚が楔形状に漸減するように形成されているが(
図1及び
図2参照)、肉厚が階段状に漸減されるようにしてもよい。また、第2実施形態に係る樹脂製歯車41において、内側ウェブ部52は、ボス43の中心(CL)を通って径方向に延びる仮想径方向線54と円環状リブ47の内周面47aとの一対の交点55,56のうちの一方の交点55から他方の交点56に向かって肉厚が楔形状に漸減するように形成されているが(
図5参照)、肉厚が階段状に漸減されるようにしてもよい。
【0071】
また、本発明に係る樹脂製歯車1は、第1実施形態に限定されず、外側ウェブ部14が第2歯部8の歯幅方向中央から歯幅方向へずれて位置するように構成してもよい。また、本発明に係る樹脂製歯車41は、第2実施形態に限定されず、外側ウェブ部53が歯部46の歯幅方向中央から歯幅方向へずれて位置するように構成してもよい。また、本発明に係る樹脂製歯付きベルト用プーリ80は、第3実施形態に限定されず、外側ウェブ部53が歯部81の歯幅方向中央から歯幅方向へずれて位置するように構成してもよい。また、本発明に係る樹脂製回転体82は、第4実施形態に限定されず、外側ウェブ部53が外周側筒状部83の幅方向中央から幅方向へずれて位置するように構成してもよい。
【0072】
また、本発明は、上記各実施形態に限定されず、第1円環状リブ10、第2円環状リブ11、円環状リブ47の肉厚を周方向に沿って変化させてもよい。