(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、複数の品目の加熱調理運転が同時点に完了するように調理スケジュールを生成して、複数の加熱部による加熱調理運転を並行して実行する際に、使用者による食材の準備の遅れ等によって、各品目の加熱調理運転の進行が調理スケジュールからずれてしまう場合がある。そして、この場合には、複数の品目の加熱調理運転が完了するタイミングがずれることによって、完成する料理の質が低下してしまうという不都合があった。
【0006】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、複数の品目の加熱調理運転を並行して実行する場合に、各加熱調理運転が完了するタイミングがずれることを抑制した加熱調理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の加熱調理装置は、
被調理物を加熱する複数の加熱部と、
複数品目の加熱調理を同じタイミングで終了させる調理スケジュールに従って、前記複数品目の加熱調理運転を、異なる前記加熱部により並行して実行する並行加熱調理運転を実行する制御部と
を備えた加熱調理装置において、
使用者による操作に応じて、前記各加熱部による加熱調理運転の開始を指示する加熱開始指示部を備え、
前記制御部は、前記並行加熱調理運転において、前記加熱開始指示部による指示に応じて前記各品目の加熱調理運転を開始して、前記各品目の加熱調理運転が完了するまでの残時間を監視し、前記各品目の加熱調理運転が完了するまでの残時間の差を減少させる残時間差減少処理を行うことを特徴とする。
【0008】
かかる本発明によれば、制御部により実行される並行加熱調理運転において、各品目の加熱調理運転は使用者による加熱開始指示部の操作に応じて開始される。そのため、使用者による食材の準備の遅れ等の要因によって、各品目の加熱運転が開始されるタイミングが調理スケジュールにより予め設定されたタイミングからずれてしまう場合があり、この場合には、各品目の加熱調理運転が完了するタイミングもずれてしまう。
【0009】
そこで、制御部は、各品目の加熱調理運転の残時間を監視して、各品目の加熱調理運転の残時間の差を減少させる残時間差減少処理を実行する。これにより、各品目の加熱調理運転が完了するタイミングがずれることを抑制することができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記残時間差減少処理として、残時間が最も短い品目の加熱調理運転の実行時間を延長する処理を行うことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、残時間が最も短い品目の加熱調理運転の実行時間を延長する処理を行うことによって、各品目の加熱調理運転が完了するタイミングがずれることを抑制することができる。
【0012】
また、前記制御部は、前記残時間差減少処理により残時間が最も短い品目の加熱調理運転の実行時間を延長する際に、該実行時間を延長する加熱調理運転に用いられている前記加熱部の加熱力を、被調理物の温度を所定温度範囲内に維持するために必要なレベルに設定することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、被調理物が過剰に加熱されることを抑制して、残時間差減少処理を実行することができる。
【0014】
また、前記複数の品目には、加熱による保温に適した品目と適さない品目とが含まれ、前記調理スケジュールにおいて、加熱による保温に適さない品目の加熱調理運転が、加熱による保温に適した品目の加熱調理運転よりも後に完了するように設定されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、加熱による保温に適さない品目の加熱調理運転が、加熱による保温に適した品目の加熱調理運転よりも後に完了するように、調理スケジュールにおいて予め設定しておくことにより、残時間差減少処理において、加熱による保温に適した加熱調理運転を実行時間の延長の対象とすることができる。これにより、加熱調理運転の実行時間を延長することによる調理への影響を低減して、良好な調理を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態の一例について、
図1〜
図5を参照して説明する。
【0018】
[1.加熱調理装置の構成]
図1を参照して、本実施形態の加熱調理装置はガスコンロ1であり、ガスコンロ1はスマートフォン50との間でBluetooth(登録商標)等による無線通信を行う機能を有している。
【0019】
スマートフォン50は、無線ルータ70との間でWiFi(登録商標)等による無線通信82を行い、無線ルータ70及びインターネット等のネットワーク80を介してサーバ90にアクセスする。
【0020】
サーバ90には、種々の調理レシピのデータが保持されたレシピDB(データベース)91が備えられ、スマートフォン50は、サーバ90により運用されるレシピ提供サイトにアクセスして、レシピDB91から種々のレシピデータを取得(ダウンロード)する。
【0021】
ガスコンロ1は、加熱部として、左コンロ10a、右コンロ10b、後コンロ10c、及びグリル20を備えている。各コンロ10a,10b,10cには、載置部(五徳)16a,16b,16cに載置される調理容器の底部の温度を検出する温度センサ15a,15b,15cが設けられている。
【0022】
ガスコンロ1の前面には、左コンロ10aの点火/消火と火力変更を行うための左コンロ用操作ボタン11a、右コンロ10bの点火/消火と火力変更を行うための右コンロ用操作ボタン11b、後コンロ10cの点火/消火と火力変更を行うための後コンロ用操作ボタン11c、及びグリル20の点火/消火と火力変更を行うためのグリル用操作ボタン21が設けられている。左コンロ用操作ボタン11a、右コンロ用操作ボタン11b、後コンロ用操作ボタン11c、及びグリル用操作ボタン21は、本発明の使用者による操作に応じて加熱部の作動開始を指示する加熱開始指示部に相当する。
【0023】
さらに、ガスコンロ1の前面には、プッシュオープン式のコンロ操作部12とグリル操作部22とが設けられており、使用者Pがコンロ操作部12を押し操作するとコンロ操作部12が開いてコンロ操作パネル13が現れる。コンロ操作パネル13は、左コンロ10a用の左コンロ操作部13aと、右コンロ10b用の右コンロ操作部13bと、後コンロ10c用の後コンロ操作部13cとを備えている。同様に、使用者Pがグリル操作部22を押し操作するとグリル操作部22が開いてグリル操作パネル23が現れる。
【0024】
また、ガスコンロ1の天板には、ガスコンロ1による加熱調理運転に関する報知や使用者に対する指示等を表示するための表示パネル14が設けられている。
【0025】
ガスコンロ1は、スマートフォン50により選択されたレシピに対応した調理条件データを、スマートフォン50から受信して、調理条件データに基づく自動加熱調理を行う機能を有している。使用者Pは、この機能を利用するために、レシピ選択サイトにアクセスしてレシピ選択用のアプリケーション(以下、レシピ選択アプリという)を、スマートフォン50にインストールする。
【0026】
使用者Pは、レシピ選択アプリをインストールしたときに、初期設定としてガスコンロ1の機種名を登録する操作を行う。この登録により、ガスコンロ1の仕様(各コンロ10a,10b,10c,グリル20の加熱能力等)に対応した調理条件データを、レシピ選択サイトから取得することが可能となる。
【0027】
また、使用者Pは、レシピ選択アプリにより、スマートフォン50とガスコンロ1のペアリングを行って、スマートフォン50とガスコンロ1間の無線通信81を確立する。
【0028】
[2.ガスコンロ1とスマートフォン50の構成]
次に、
図2を参照して、ガスコンロ1には、ガスコンロ1の全体的な作動を制御するコンロコントローラ30と、スピーカ26と、通信回路27とが備えられている。
【0029】
コンロコントローラ30は、CPU、メモリ、各種インターフェース回路等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持されたガスコンロ1の制御用プログラムをCPUにより実行することによって、調理条件データ保持部31、コンロ選択部32、及び制御部33として機能する。
【0030】
コンロコントローラ30には、温度センサ15a,15b,15cの検出信号と、操作ボタン(左コンロ用操作ボタン11a、右コンロ用操作ボタン11b、後コンロ用操作ボタン11c、グリル用操作ボタン21)の操作信号と、操作パネル(コンロ操作パネル13、グリル操作パネル23)の操作信号と、通信回路27により受信された信号とが入力される。
【0031】
また、コンロコントローラ30から出力される制御信号によって、左コンロ10a、右コンロ10b、後コンロ10c、グリル20、操作パネル(コンロ操作パネル13、グリル操作パネル23)の表示、スピーカ26からの音(音声ガイダンス、ブザー音等)出力、表示パネル14の表示、及び通信回路27による信号の送信が制御される。
【0032】
スマートフォン50には、スマートフォン50の全体的な作動を制御するスマホコントローラ60が備えられている。スマホコントローラ60は、CPU、メモリ、各種インターフェース回路等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持されたスマートフォン50の制御用プログラムを、CPUにより実行することによって、調理条件データ取得部61、レシピ選択部62、及び調理条件データ送信部63として機能する。
【0033】
また、スマートフォン50には、使用者Pによりタッチ操作されると共に各種の画面が表示されるタッチパネル51と、音声等が出力されるスピーカ52と、ガスコンロ1及びサーバ90との間で通信を行う通信回路53とが備えられている。
【0034】
スマホコントローラ60には、タッチパネル51におけるタッチ操作信号と、通信回路53により受信された信号が入力される。また、スマホコントローラ60から送信される制御信号によって、タッチパネル51の画面表示と、通信回路53による信号の送信が制御される。
【0035】
[3.スマートフォンによるレシピとコンロの選択処理]
次に、
図3を参照して、スマートフォン50における調理のレシピと調理に使用するコンロの選択操作について説明する。ここでは、使用者Pがかつカレーのレシピを選択した場合を例に説明する。かつカレーの調理では、「カレールー」、「ご飯」、及び「とんかつ」という3品目の加熱調理が実行される。
【0036】
そこで、使用者Pは、
図3に示した手順でスマートフォン50を操作して、各品目の加熱調理で使用する加熱部(左コンロ10a、右コンロ10b、後コンロ10c、グリル20のうちのいずれか)を選択する。
【0037】
使用者Pがかつカレーのレシピを選択すると、スマートフォン50のタッチパネル51に、かつカレーの材料や調理手順を示すレシピ選択画面51aが表示される。そして、使用者がレシピの確定操作を行うと、カレールーの加熱調理において使用する加熱部の選択画面51bが、タッチパネル51に表示される。選択画面51bでは、左コンロ10aと右コンロ10bのみが選択可能であるため、左コンロ10aの対応表示55a、右コンロ10bの対応表示55b、後コンロ10cの対応表示55c、及びグリル20の対応表示56のうち、左コンロ10aの対応表示55aと右コンロ10bの対応表示55bが強調表示(網掛け表示)されている。
【0038】
使用者Pが左コンロ10aと右コンロ10bのうちのいずれかを選択すると、タッチパネル51の表示が、ご飯の加熱調理(炊飯)に使用する加熱部の選択画面51cに切り替わる。選択画面51cでは、後コンロ10cのみが選択可能であるため、後コンロ10cの対応表示55cが強調表示されている。
【0039】
使用者Pが後コンロ10cを選択すると、タッチパネル51の表示が、とんかつ(ノンフライとんかつ)の加熱調理に使用する加熱部の選択画面51dに切り替わる。選択画面51dでは、グリル20のみが選択可能であるため、グリル20の対応表示56が強調表示されている。
【0040】
使用者Pがとんかつの加熱調理に使用する加熱部としてグリル20を選択すると、加熱部の選択処理が終了する。そして、スマートフォン50は、かつカレーのレシピデータと各品目(カレールー、ご飯、とんかつ)の加熱調理に使用する加熱部を示すデータとを含む調理条件データをガスコンロ1に送信し、レシピデータの送信画面51eをタッチパネル51に表示する。
【0041】
[4.ガスコンロによる並行加熱調理運転の処理]
ガスコンロ1の調理条件データ保持部31は、スマートフォン50から受信した調理条件データをメモリに保持する。
【0042】
そして、制御部33は、
図4に示したタイミングチャートに従って、カレールーの加熱調理運転とご飯の加熱調理運転ととんかつの加熱調理運転とを、各加熱調理運転の完了タイミングが同じになるように、並行して実行する並行加熱調理運転を実行する。
【0043】
制御部33は、
図4のt1でスマートフォン50からレシピデータを受信すると、カレールーの加熱調理の開始を促す報知を行う。この報知は、
図5に示したように、右コンロ10bの点火を促すサポート画面14aを表示パネル14に表示すると共に、「鍋を右コンロにおいて点火して下さい」との音声ガイダンス26aをスピーカ26から出力することによって行う。
【0044】
そして、使用者Pが、食材を入れた鍋を右コンロ10bの五徳16bに載置して、右コンロ用操作ボタン11bにより右コンロ10bの点火操作を行ったときに、制御部33は、右コンロ10bの点火処理を行ってカレールーの加熱調理運転を開始する。
【0045】
制御部33は、先ず「炒め調理モード」による加熱調理運転を実行する。「炒め調理モード」では、温度センサ15bの検出温度が比較的高温になることが許容される。また、制御部33は、
図5に示したように、スピーカ26から「食材をかき混ぜながら調理して下さい」との音声ガイダンス26bを出力し、「炒め調理モード」による加熱調理の残時間を示すサポート画面14bを表示パネル14に表示する。
【0046】
さらに、制御部33は、カレールーの加熱調理運転の実行状況を示すモニタデータをスマートフォン50に送信し、このモニタデータを受信したスマートフォン50は、
図5に示したように、右コンロ10bによる調理中であること、調理のコツの説明文、及びカレールーの加熱調理が完了するまでの残時間等を表示するサポート画面51fを、タッチパネル51に表示する。
【0047】
次に、制御部33は、ご飯の加熱調理(炊飯)の開始タイミングになった時(
図4のt3)に、食材(米+水)を入れた炊飯鍋を後コンロ10cにおいて点火することを促す報知を行う。この報知は、
図5に示したように、後コンロ10cの点火を促すサポート画面14cを表示パネル14に表示すると共に、「炊飯鍋を後コンロにおいて、点火して下さい」との音声ガイダンス26cをスピーカ26から出力することによって行う。
【0048】
そして、使用者Pがt3で、炊飯鍋を後コンロ10cの五徳16cに載置して、後コンロ用操作ボタン11cにより後コンロ10cの点火操作を行ったときに、制御部33は、後コンロ10cの点火処理を行って「炊飯モード」による加熱調理運転を開始する。「炊飯モード」では、温度センサ15cの検出温度に応じて、予め設定された加熱条件に従って後コンロ10cの火力が調節される。
【0049】
ここで、制御部33がt3で食材(米+水)を入れた炊飯鍋を後コンロ10cにおいて点火することを促す報知を行った時点から、使用者Pがt4で後コンロ10cの点火操作を行うまでの時間T1は、使用者Pによる調理の準備状況によって変化する。そして、この時間T1に応じてご飯の加熱調理運転が完了するタイミングが変化する。そこで、制御部33は、後述するように、各加熱調理運転(カレールー、ご飯、及びとんかつの加熱調理運転)の完了タイミングを合致させるための残時間差減少処理を実行する。
【0050】
制御部33は、
図5に示したように、「炒め調理モード」による加熱調理運転の残時間と、「炊飯モード」による加熱調理運転の残時間とを示すサポート画面14dを、表示パネル14に表示する。
【0051】
さらに、制御部33は、カレールーの加熱調理及び炊飯の実行状況を示すモニタデータをスマートフォン50に送信し、このモニタデータを受信したスマートフォン50は、
図5に示したように、右コンロ10bによるカレールーの調理と、後コンロ10cによる炊飯の調理が実行中であること、及び各調理が完了するまでの残時間等を表示するサポート画面51gを、タッチパネル51に表示する。
【0052】
次に、制御部33は、「炒めモード」による加熱調理の終了条件(加熱調理の実行時間、温度センサ15bの検出温度の変化等に応じて設定される)が成立したt5で、スピーカ26から「右コンロの鍋に水を加えて、煮込んで下さい」との音声ガイダンスを出力する。使用者Pは、この音声ガイダンスに応じて、鍋に水を加えて煮込み調理を開始する。
【0053】
制御部33は、「炒めモード」から「煮込みモード」に切り替えてカレールーの加熱調理運転を継続する。「煮込みモード」において、制御部33は、温度センサ15bの検出温度が所定範囲内に維持されるように、右コンロ10bの火力を制御する。
【0054】
続くt6で、制御部33は、ノンフライとんかつの加熱調理運転を開始するために、グリル20の点火を促す報知を行う。この報知は、グリル20の点火を促すサポート画面14eを表示パネル14に表示すると共に、「とんかつをグリルに入れて点火して下さい」との音声ガイダンスをスピーカ26から出力することによって行われる。
【0055】
制御部33は、t6を、ご飯の加熱調理運転が開始されたt4及び煮込みモードによる加熱調理運転を開始したt5に応じて決定することで、とんかつの加熱調理運転が完了するタイミングが、カレールー及びご飯の加熱調理運転が完了するタイミングに合致するようにしている。
【0056】
グリル20の点火を促す報知に応じて、使用者Pがとんかつをグリル20の収容庫20aに入れ、グリル用操作ボタン21を操作したt7で、制御部33は、グリル20の点火処理を行って「ノンフライモード」での加熱調理を開始する。「ノンフライモード」において、制御部33は、収容庫20a内に設けられた温度センサ(図示しない)の検出温度が所定温度範囲内に維持されるように、収容庫20a内に設けられたグリルバーナ(図示しない)の火力を制御する。
【0057】
ここで、制御部33がt6で、ノンフライとんかつの加熱調理運転を開始するために、グリル20の点火を促す報知を行った時点から、使用者Pがt7でグリル20の点火操作を行うまでの時間T2は、使用者Pによる調理の準備状況によって変化する。そして、この時間T2に応じてノンフライとんかつの加熱調理運転が完了するタイミングが変化する。そこで、制御部33は、後述するように、各加熱調理運転(カレールー、ご飯、及びとんかつの加熱調理運転)の完了タイミングを合致させるための残時間差減少処理を実行する。
【0058】
このようにして、カレールー、ご飯、及びとんかつの加熱調理運転を並行して実行している間、制御部33は、各加熱調理運転が完了するまでの残時間(推定時間)を監視する。そして、各加熱調理運転が完了するまでの残時間の差が所定時間以上になったときには、残時間の差を減少させるための処理(残時間差減少処理)を実行する。
【0059】
かつカレーの並行加熱調理運転に含まれるカレールー、ご飯、とんかつの加熱調理運転のうち、ご飯ととんかつは、予め加熱調理の実行時間と加熱パターンが決まっているため、保温時間を追加して加熱調理の実行時間を延長することに適していない。それに対して、カレールーの煮込み時間は正確に管理する必要がないため、保温時間を追加して加熱調理運転の実行時間を延長することに適している。
【0060】
そこで、調理スケジュールにおいて、ご飯及びとんかつの加熱調理運転が、カレールーの加熱調理運転よりも後に完了するように設定されている。そして、これにより、
図4に示したように、煮込みの実行時間を保温期間t8〜t9の追加により延長して、ご飯及びとんかつの加熱調理運転が完了する時点に、カレールーの加熱調理運転が完了する時点を合致させることができる。保温期間t8〜t9において、制御部33は、温度センサ15bの検出温度が被調理物の保温に必要な温度範囲となるように、右コンロ10bの火力(本発明の加熱力に相当する)のレベルを調節する。
【0061】
続いて、制御部33は、t9で「調味料を入れ、かき混ぜながら調理して下さい」との音声ガイダンスを、スピーカ26から出力する。この音声ガイダンスに応じて、使用者Pは右コンロ10bの五徳16bに載置された調理容器に調味料(固形カレールーの素等)を入れ、鍋の中の食材をかき混ぜながら煮込む。
【0062】
カレールー、ご飯、及びとんかつの加熱調理運転を実行している間、制御部33は、各加熱調理運転の残時間を示すサポート画面14fを表示パネル14に表示すると共に、各加熱調理の実行状況を示すモニタデータをスマートフォン50に送信する。このモニタデータを受信したスマートフォン50は、各加熱調理運転の実行状況を示すサポート画面51hを、タッチパネル51に表示する。
【0063】
制御部33は、カレールー、ご飯、及びとんかつの加熱調理運転が完了したt10で、
図5に示したように、カレールー、ご飯、及びとんかつの加熱調理運転が終了したことを示すサポート画面14gを表示パネル14に表示すると共に、「カレールー、炊飯、とんかつの調理が完了しました」との音声ガイダンスをスピーカ26から出力する。
【0064】
[他の実施形態]
上記実施形態では、かつカレーの調理レシピに対応して、三つの品目(カレールー、ご飯、とんかつ)の加熱調理運転を並行して行う調理スケジュールに従って並行加熱調理運転を実行する場合を示したが、少なくとも二品目の加熱調理運転を並行して行う調理スケジュールが設定される調理レシピに対して、本発明を適用することができる。
【0065】
上記実施形態では、調理スケジュールにおいて、三つの品目(カレールー、ご飯、とんかつ)のうち、保温に適していないご飯及びとんかつの加熱調理運転よりも、保温に適したカレールーの加熱調理運転の方が先に完了するように設定したが、このような設定を行わない場合にも、本発明の効果を得ることができる。
【0066】
上記実施形態では、本発明の残時間差減少処理として、加熱調理運転が完了するまでの残時間が最も短いカレールーの加熱調理運転の実行時間(「煮込みモード」での加熱調理運転の実行時間)を、延長する処理を行ったが、他の処理によって各品目の加熱調理運転が完了する時点を合致させるようにしてもよい。例えば、加熱調理運転が完了するまでの残時間が最も長い加熱調理運転について、加熱部の火力を増大させて加熱調理運転の実行時間を短縮する処理を行ってもよい。
【0067】
上記実施形態では、スマートフォン50(通信端末)により調理レシピと使用する加熱部を選択したが、ガスコンロ1の操作パネル13,23の操作により調理レシピと使用する加熱部を選択する構成としてもよい。この場合には、調理条件データはコンロコントローラ30のメモリに保持される。
【0068】
上記実施形態では、本発明の加熱調理装置としてガスコンロ1を示したが、複数の加熱部を備えて自動加熱調理を行う加熱調理装置であれば、IHクッキングヒータ等の他の種類の加熱調理装置に対しても本発明の適用が可能である。