特許第6632977号(P6632977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6632977低量のアルコールを含むピッケリングエマルションの組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6632977
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】低量のアルコールを含むピッケリングエマルションの組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20200109BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20200109BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20200109BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20200109BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20200109BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20200109BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20200109BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20200109BHJP
【FI】
   A61K8/891
   A61K8/06
   A61K8/19
   A61K8/34
   A61K8/73
   A61Q1/00
   A61Q1/04
   A61Q19/00
【請求項の数】10
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2016-538030(P2016-538030)
(86)(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公表番号】特表2016-540783(P2016-540783A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】CN2013089751
(87)【国際公開番号】WO2015089750
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年9月30日
【審判番号】不服2018-9235(P2018-9235/J1)
【審判請求日】2018年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ショウウェイ・マ
(72)【発明者】
【氏名】シリル・ルモワーヌ
【合議体】
【審判長】 關 政立
【審判官】 吉田 知美
【審判官】 冨永 みどり
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−129626(JP,A)
【文献】 特開2007−332037(JP,A)
【文献】 特開2008−291026(JP,A)
【文献】 再公表特許第2004/006871(JP,A1)
【文献】 特開平01−250305(JP,A)
【文献】 特開2004−231518(JP,A)
【文献】 特開2008−266274(JP,A)
【文献】 特開2014−169266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型エマルションの形態の組成物であって、
a)ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン又はこれらの混合物である、不揮発性フェニルシリコーン油から選択される少なくとも1種の油を含む分散した脂肪相と、
b)組成物の総質量に対して0.1質量%〜20質量%の範囲の量の、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の少なくとも1つのヒドロキシル基を有する少なくとも1種のC1〜C4アルコールを含む連続水性相と、
c) ジメチルシリル化シリカ、シリル化シリカ、エチルセルロース、デンプンオクテニルコハク酸アルミニウム又はこれらの混合物から選択される少なくとも1種の疎水性粒子と、
d)キサンタンガム及びゲランガムから成る群から選択される少なくとも1種の多糖と
を含界面活性剤を含まない、組成物。
【請求項2】
分散した脂肪相が、体積中位径Dv50が0.1mm〜10mm、好ましくは0.5mm〜5mmである液滴の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
分散した脂肪相が、組成物の総質量に対して0.1質量%〜40質量%、好ましくは1質量%〜30質量%、より好ましくは3質量%〜20質量%の範囲の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
油が、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜40質量%、好ましくは1質量%〜30質量%、より好ましくは3質量%〜20質量%の範囲の量で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
C1〜C4アルコールが、エタノール、エチレングリコール、ジアルキレングリコール、又はこれらの混合物から選択され;好ましくはC1〜C4アルコールが、エタノール、ジプロピレングリコール、又はこれらの混合物であり、組成物の総質量に対して0.5質量%〜15質量%、より好ましくは1質量%〜10質量%の量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
水性相が、組成物の総質量に対して55質量%〜99.9質量%、特に60質量%〜90質量%、より特定すると65質量%〜85質量%の範囲の量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
疎水性粒子が、組成物の総質量に対して0.001質量%〜5質量%、好ましくは0.05質量%〜2質量%の範囲の量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
多糖が、組成物の総質量に対して0.0001質量%〜5質量%、好ましくは0.001質量%〜2質量%、より好ましくは0.005質量%〜1質量%の範囲の量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
親水性溶媒、親油性溶媒、追加の油、充填剤又は増粘剤、ゲル化剤、追加のガム、追加の樹脂、追加の粘稠化剤、ワックス等の構造剤、分散剤、抗酸化剤、精油、保存剤、香料、中和剤、防腐剤、追加のUV遮蔽剤、化粧用活性剤、例えばビタミン、保湿剤、皮膚軟化剤又はコラーゲン保護剤、及びこれらの混合物から;好ましくは、充填剤又は増粘剤、ゲル化剤、又はこれらの混合物から;より好ましくはパルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、N-ラウリルグルタミン酸ジブチルアミド、N-2-エチルヘキサノイルグルタミン酸ジブチルアミド、又はこれら混合物から選択される少なくとも1種の添加剤を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に適用することによって、ケラチン物質、例えば皮膚、特には顔及び唇をメイクアップする/ケアする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品の分野に関し、特に、液体に懸濁している目視可能な液滴の形態の組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
審美性によって消費者に訴求する二相組成物が、現在、市場に存在する。これらの組成物は、相互に不混和な二相から成り、これらは使用前に振ることによって、その場で一緒に混合される。
【0003】
ピッケリングエマルションは、その審美性、及び界面活性剤を含まない特性に起因して、消費者の大きな関心事であり、化粧料において広く使用されている。ピッケリングエマルションを形成するために、微細に分割された固体粒子は、油と、均質な混合物との間の界面で吸着され、油滴を安定させるのに役立つ。
【0004】
しかしながら、これらのエマルションは、経時的な貯蔵に際して不安定になる傾向を有する。その理由は、固体粒子の沈降、又は相分離さえもが観察され、消費者が魅力的でないと見出すような外観に導くためである。
【0005】
仏国特許第1160798号は、無極性炭化水素系油、C1〜C4モノアルコール、及び疎水性シリカエアロゲル粒子を含むピッケリングエマルションを開示した。
【0006】
分散した目視可能な油相を水性相中で安定化させるために、比較的高量のアルコールが必要である。しかしながら、それは、消費者に不快感を引き起こしうる。その上、そのことは、水性相中に分散した目視可能な油滴を含むピッケリングエマルションの前記文献において疑いがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許第1160798号
【特許文献2】EP-A-0955039
【特許文献3】仏国特許第0853634号
【特許文献4】WO-93/23008[15]
【特許文献5】特開2005-298635
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】A Basic Guide To Particle Characterization、10頁、Malvern Instruments Limited、2012年
【非特許文献2】Van de Hulst, H.C.著、刊行物「Light Scattering by Small Particles」、第9章及び第10章、Wiley、ニューヨーク、1957年
【非特許文献3】ASTM規格D-445
【非特許文献4】ISO規格3679
【非特許文献5】C.M. Hansen、論文「The three dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol.、第39巻、105頁(1967年)
【非特許文献6】Brinker C.J.及びScherer G.W.、Sol-Gel Science、ニューヨーク、Academic Press、1990年
【非特許文献7】The Journal of the American Chemical Society、第60巻、309頁、1938年2月
【非特許文献8】International Standard ISO 5794/1(appendix D)
【非特許文献9】Standard NF T 30-022
【非特許文献10】Starch Chemistry and Technology、第2版、Whistlerら編、Academic Press, Inc.、オーランド(1984年)
【非特許文献11】Modified Starches:Properties and Uses、Wurzburg, O. B., CRC Press, Inc.、フロリダ(1986年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、油滴が目視可能であり且つ長期安定性を有する、比較的低量のモノアルコールを含むピッケリングエマルションタイプの組成物が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によって、分散した脂肪相、低量のアルコールを含む連続水性相、少なくとも1種の疎水性粒子、及び少なくとも1種の多糖を含む組成物が、上に挙げた課題を解決することが発見されている。
【0011】
したがって、本発明の主題は、
a)シリコーン油、炭化水素系油、又はこれらの混合物から選択される少なくとも1種の油を含む分散した脂肪相と、
b)組成物の総質量に対して0.1質量%〜20質量%の範囲の量の、少なくとも1種のC1〜C4アルコールを含む連続水性相と、
c)疎水性シリカ、デンプン、タルク、シリコーン樹脂粉末、ポリアミド、疎水性顔料、又はこれらの混合物から選択される少なくとも1種の疎水性粒子と、
d)少なくとも1種の多糖と
を含む、水中油型エマルションの形態の組成物である。
【0012】
本発明の他の主題は、ケラチン物質に本発明の組成物を適用することによって、ケラチン物質、例えば皮膚、特に顔及び唇をメイクアップする/ケアする方法である。
【0013】
用語「ピッケリングエマルション」は、二相間の界面上に吸着する固体粒子(例えばコロイダルシリカ)によって安定化されるエマルションを指す。
【0014】
用語「ケラチン物質」は、(体の、顔の且つ目の周りの)皮膚、毛髪、睫、眉毛、体毛、爪、唇又は粘膜を意味する。
【0015】
本発明の用語「目視可能な油滴」は、体積中位径(median particle size by volume)Dv50が0.1mm〜10mmの範囲である油滴を指す。油滴は、肉眼でそれらを観察することによって目視可能である。
【0016】
用語「長期安定性」は、その製造後少なくとも1か月にわたり、特にその製造後少なくとも2か月にわたり、その構造又は特性において実質的な変化を一切受けない組成物を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による組成物は、
a)シリコーン油、炭化水素系油、又はこれらの混合物から選択される少なくとも1種の油を含む分散した脂肪相と、
b)組成物の総質量に対して0.1質量%〜20質量%の範囲の量の、少なくとも1種のC1〜C4アルコールを含む連続水性相と、
c)疎水性シリカ、デンプン、タルク、シリコーン樹脂粉末、ポリアミド、疎水性顔料、又はこれらの混合物から選択される少なくとも1種の疎水性粒子と、
d)少なくとも1種の多糖と
を含む、水中油型エマルションの形態の組成物に関する。
【0018】
脂肪相
本発明によれば、組成物は、分散した脂肪相を含む。
【0019】
特に、本発明の脂肪相は、液滴の形態である。
【0020】
より特定すると、液滴は、体積中位径Dv50が0.1mm〜10mm、好ましくは0.5mm〜5mmである。
【0021】
体積中位径Dv50は、粒度分布のパラメータであり、それ以下にサンプルの体積の50%が存在する最大粒径を指す(Malvern Instruments Limitedにより2012年に出版されたA Basic Guide To Particle Characterization、10頁を参照されたい)。
【0022】
油滴の体積粒径Dv50は、Malvern社製のMasterSizer 3000機械等の市販の粒度計を用いて、静的光散乱により測定されることが可能である。データは、ミー散乱理論に基づいて処理される。この理論は、等方性粒子について厳密であり、非球形粒子の事例において「有効な」粒径を求めることを可能にする。この理論は、特に、Van de Hulst, H.C.著、刊行物「Light Scattering by Small Particles」、第9章及び第10章、Wiley、ニューヨーク、1957年に記載されている。
【0023】
好ましくは、組成物は、組成物の総質量に対して0.1質量%〜40質量%、好ましくは1質量%〜30質量%、より好ましくは3質量%〜20質量%の範囲の含有率で組成物中に存在する脂肪相を含むことができる。
【0024】

本発明による組成物は、分散した脂肪相を含み、脂肪相は、シリコーン油、炭化水素系油、又はこれらの混合物から選択される少なくとも1種の油を含む。
【0025】
油は、揮発性又は不揮発性とすることができる。
【0026】
用語「揮発性」は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で、ケラチン物質と接触すると1時間未満で蒸発することが可能な油を意味する。揮発性油は、室温で液体であり、特に蒸気圧が室温及び大気圧で非ゼロであり、蒸気圧が特に0.13Pa〜40000Pa(10-3〜300mmHg)の範囲、好ましくは1.3Pa〜13000Pa(0.01〜100mmHg)の範囲、優先的には1.3Pa〜1300Pa(0.1〜10mmHg)の範囲である揮発性の化粧用油である。
【0027】
用語「不揮発性油」は、室温及び大気圧でのその蒸気圧が非ゼロであり、0.02mmHg(2.66Pa)未満、より良好には10-3mmHg(0.13Pa)未満である油を意味する。
【0028】
1.シリコーン油
用語「シリコーン油」は、少なくとも1個のケイ素原子を含む、特にSi-O基を含む油を意味すると意図される。
【0029】
本発明中で使用されうる不揮発性シリコーン油は、特に粘度が25℃で9センチストーク(cSt)(9×10-6m2/s)以上及び好ましくは800000cSt未満、好ましくは50から600000cStの間、好ましくは100から500000cStの間であるシリコーン油から特に選択されうる。このシリコーン油の粘度は、ASTM規格D-445に従って測定されうる。
【0030】
これらのシリコーン油の中で、それらがフェニルを含有するかしないかに従って、2つのタイプの油が区別されうる。
【0031】
A.不揮発性フェニルシリコーン油又は不揮発性フェニル化シリコーン油
本発明による組成物は、少なくとも1種の不揮発性フェニルシリコーン油を含有する。
【0032】
「フェニル化シリコーン油」又は「フェニルシリコーン油」という表現は、少なくとも1つのフェニル置換基を有するシリコーン油を意味する。
【0033】
フェニルシリコーン油は、少なくとも1つのジメチコン部分を有するもの、又はジメチコン部分を有していないものの中から選ばれうる。
【0034】
本発明によれば、ジメチコン部分は、式-Si(CH3)-O-に相当する。
【0035】
より特定すると、不揮発性フェニルシリコーン油は、以下から選択されうる:
a)ジメチコン部分の有無に関わりなく、次式(I)に
【0036】
【化1】
【0037】
(式中、R基は、互いに独立に、一価又は二価の基、メチル又はフェニルを表し、但し、少なくとも1つのR基はフェニルを表す)
相当するフェニルシリコーン油。
【0038】
好ましくは、この式中、フェニルシリコーン油は、少なくとも3つのフェニル基、例えば少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つを含む。
【0039】
b)ジメチコン部分の有無に関わりなく、次式(II)
【0040】
【化2】
【0041】
(式中、R基は、互いに独立に、メチル又はフェニルを表し、但し、少なくとも1つのR基はフェニルを表す)
に相当するフェニルシリコーン油。
【0042】
好ましくは、この式中、フェニルシリコーン油は、少なくとも3つのフェニル基、例えば、少なくとも4つ又は少なくとも5つを含む。
【0043】
先に記載したフェニルオルガノポリシロキサンの混合物が使用されうる。
【0044】
挙げられる例には、トリフェニル-、テトラフェニル-又はペンタフェニル-オルガノポリシロキサンの混合物がある。
【0045】
式(II)の化合物のうち、好ましい実施形態であるのは、特に、ジメチコン部分がなく、且つ式(II)(式中、少なくとも4つ又は少なくとも5つのR基はフェニルを表し、残りのR基はメチルを表す)に相当するフェニルシリコーン油である。
【0046】
こうしたフェニルシリコーン油は、好ましくは、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、又はテトラメチルテトラフェニルトリシロキサンである。こうした油は、特にDow Corning社によって参照名PH-1555 HRI若しくはDow Corning 555 Cosmetic Fluid(化学物質名:1,3,5-トリメチル-1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン;INCI名:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン)で製造されており、又はDow Corning社によって参照名Dow Corning 554 Cosmetic Fluidで販売されているテトラメチルテトラフェニルトリシロキサンもまた使用されうる。
【0047】
特に、これらのシリコーン油は、式(III)又は(III')
【0048】
【化3】
【0049】
(式中、Meはメチルを表し、Phはフェニルを表す)
に相当する。
【0050】
c)ジメチコン部分の有無に関わりなく、次式(IV)
【0051】
【化4】
【0052】
[式中、Meはメチルを表し、yは、1から1,000の間であり、Xは、-CH2-CH(CH3)(Ph)を表す]に相当するフェニルシリコーン油。
【0053】
d)次式(V)
【0054】
【化5】
【0055】
(式中、
- R1からR10は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1〜C30炭化水素系基であり、
- m、n、p及びqは、互いに独立に、0から900の間の整数であり、但し、和n+m+qは0以外である)
に相当するフェニルシリコーン油、及びこれらの混合物。
【0056】
好ましくは、和m+n+qは、1から100の間である。好ましくは、和m+n+p+qは、1から900の間であり、なおも良好には1から800の間である。好ましくは、qは0に等しい。
【0057】
好ましくは、R1からR10は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1〜C30、好ましくはC1〜C20、特定するとC1〜C16炭化水素基を表し、好ましくは飽和の、又は単環式若しくは多環式のC6〜C14、特にC10〜C13アリール基、又はアラルキル基を表す。
【0058】
好ましくは、R1からR10は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、デシル、ドデシル又はオクタデシル基、或いはフェニル、トリル、ベンジル又はフェネチル基を表すことができる。R1からR10は、特に同一であってもよく、加えて、メチル基であってもよい。
【0059】
好ましい一実施形態では、式(V)の本発明は、以下とすることができる:
i)次式(VI)
【0060】
【化6】
【0061】
(式中、
- R1からR6は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1〜C30炭化水素系基であり、好ましくはR1からR6は、C1〜C30アルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、より好ましくはC6〜C14アリール基、又はC1〜C3アルキル基又はアラルキル基であり、
- m、n及びpは、互いに独立に、0から100の間の整数であり、但し、和n+mは1から100の間である)
に相当するフェニルシリコーン油、及びこれらの混合物。
【0062】
好ましくは、R1からR6は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1〜C30炭化水素基を表し、好ましくは飽和の、特にC1〜C20又はC1〜C16炭化水素系基を表し、特定するとC3〜C16、より特定するとC4〜C10、又は単環式若しくは多環式C6〜C14、特にC10〜C13アリール基、又はアラルキル基である。好ましくは、R1からR6は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、デシル、ドデシル又はオクタデシル基、或いはフェニル、トリル、ベンジル又はフェネチル基を表す。
【0063】
R1からR6は、特に同一であってもよく、加えて、メチル基であってもよい。好ましくは、式(VI)中、m=1若しくは2若しくは3、及び/又はn=0、及び/又はp=0若しくは1が適用されうる。
【0064】
特定の一実施形態によれば、本発明の不揮発性フェニルシリコーン油は、少なくとも1つのジメチコン部分を有するフェニルシリコーン油から選択される。
【0065】
好ましくは、前記油は、式(VI)(式中、A)m=0であり、n及びpは、互いに独立して、1から100の間の整数である)に相当する。
好ましくは、R1からR6は、メチル基である。
こうしたシリコーン油の例は、例えばフェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン[例えば信越化学工業株式会社からのKF-54(400cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-54HV(5000cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-50-300CS(300cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-53(175cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-50-100CS(100cSt)]である。
B)pは、1から100の間の整数であり、和n+mは、1から100の間であり、より好ましくはn=0である。
【0066】
少なくとも1つのジメチコン部分の有無に関わりなく、こうしたフェニルシリコーン油は、特に式(VII)
【0067】
【化7】
【0068】
[式中、Meは、メチルであり、Phは、フェニルであり、OR'は、-OSiMe3基を表し、pは、0、又は1から1000の間の範囲であり、mは、1から1000の間の範囲であり、特に、m及びpは、化合物(VII)が不揮発性油であるような数である]
に相当する。
【0069】
少なくとも1つのジメチコン部分を有する不揮発性フェニルシリコーン油の第1の実施形態によれば、pは、1から1000の間の範囲であり、mは、特に、化合物(VII)が不揮発性油であるような数である。使用されうるのは、例えば、特にWacker社によって参照名Belsil PDM 1000で販売されているトリメチルシロキシフェニルジメチコンである。
【0070】
ジメチコン部分がない不揮発性フェニルシリコーン油の第2の実施形態によれば、pは、0に等しく、mは、1から1000の間の範囲であり、特に、化合物(VII)が不揮発性油であるような数である。使用されうるのは、例えば、特に参照名Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid(DC556)で販売されているフェニルトリメチルシロキシトリシロキサンである。
【0071】
ii)次式(VIII)
【0072】
【化8】
【0073】
(式中、
- Rは、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1〜C30炭化水素系基であり、好ましくはRは、C1〜C30アルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、より好ましくはRは、C6〜C14アリール基、又はC1〜C3アルキル基を有するアラルキル基である。
- m及びnは、互いに独立に、0から100の間の整数であり、但し、和n+mは1から100の間である)
に相当する、ジメチコン部分がないフェニルシリコーン油、及びこれらの混合物。
【0074】
好ましくは、Rは、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1〜C30炭化水素系基であり、好ましくは飽和の、特にC1〜C12炭化水素系基、特定するとC3〜C16、より特定するとC4〜C10、又は単環式若しくは多環式C6〜C14、特にC10〜C13アリール基、又はアラルキル基である。
【0075】
好ましくは、Rは、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、デシル、ドデシル若しくはオクタデシル基、或いはフェニル、トリル、ベンジル又はフェネチル基を表すことができる。
【0076】
Rは、特に同一であってもよく、加えて、メチル基であってもよい。
【0077】
好ましくは、式(VIII)中、m=1若しくは2若しくは3、及び/又はn=0、及び/又はp=0若しくは1が適用されうる。
【0078】
好ましい一実施形態によれば、式(VIII)中、nは、0から100の間の整数であり、mは、1から100の間の整数であり、但し、和n+mは1から100の間である。好ましくは、Rは、メチル基である。
【0079】
好ましい一実施形態によれば、式(VIII)中、nは、0から100の間の範囲の整数であり、mは、1から100の間の範囲の整数であり、但し、和n+mは1から100の間の範囲である。より好ましくは、Rは、メチル基である。
【0080】
一実施形態によれば、25℃での粘度が5から1500mm2/sの間(即ち5〜1500cSt)、好ましくは粘度が5から1000mm2/sの間(即ち5〜1000cSt)である式(VIII)のフェニルシリコーン油が使用されうる。
【0081】
この実施形態によれば、不揮発性フェニルシリコーン油は、好ましくは、フェニルトリメチコンから選択され、例えばDow Corning社からのDC556(22.5cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-56A等の油ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、Rhone-Poulenc社からの油Silbione 70663V30(28cSt)である。括弧内の値は25℃での粘度を表す。
【0082】
この実施形態によれば、n=0のとき、前記シリコーン油は、好ましくはDow Corning社からのDC556であり、m及びnが1から100の間であるとき、前記シリコーン油は、好ましくは信越化学工業株式会社からのKF-56Aである。
【0083】
e)ジメチコン部分の有無に関わりなく、次式(IX)
【0084】
【化9】
【0085】
(式中、
R1、R2、R5及びR6は、一緒に又は別々に、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、
R3及びR4は、一緒に又は別々に、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、又はアリール基であり、但し、R3及びR4の少なくとも1つはフェニル基であり、
Xは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシル基又はビニル基であり、
n及びpは、油に、質量平均分子量200000g/mol未満、好ましくは150000g/mol未満、より好ましくは100000g/mol未満をもたらすように選択される、1以上の整数である)
に相当するフェニルシリコーン油、及びこれらの混合物。
【0086】
f)並びにそれらの混合物。
【0087】
ジメチコン部分の有無に関わりなく好ましい不揮発性シリコーン油として挙げられる例には、以下のようなシリコーン油がある:
- 好ましくは以下から選択される不揮発性フェニルシリコーン油:テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン(例えばDow Corning社からのPH-1554 HRI又はDow Corning 554 Cosmetic Fluid)、トリメチルシロキシフェニルジメチコン[例としてはWacker社からのBelsil PDM 1000(上の式(V)を参照のこと)]、フェニルトリメチコン(例えばDow Corning社により商品名DC556で販売されているフェニルトリメチコン)、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン[例えば信越化学工業株式会社からのKF-54(400cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-54HV(5000cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-50-300CS(300cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-53(175cSt)、信越化学工業株式会社からのKF-50-100CS(100cSt)]、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン[例えばDow Corning社により名称Dow Corning PH-1555 HRI Cosmetic Fluidで販売されている製品(上の式(III)を参照のこと)]、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(例えば信越化学工業株式会社からのKF-56A)、
- 不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ペンダント基であり且つ/又はシリコーン鎖の末端にある、それぞれの基が2〜24個の炭素原子を有するアルキル基又はアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサン、及び
- これらの混合物。
【0088】
好ましい一実施形態によれば、本発明の組成物は、分散した脂肪相中に、少なくとも1種の不揮発性フェニルシリコーン油を含む。
【0089】
不揮発性フェニルシリコーン油は、より好ましくは、以下から選択される:
- フェニルトリメチコン、
- ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、
- トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、
- トリメチルシロキシフェニルジメチコン、及び
- これらの混合物。
【0090】
B.不揮発性非フェニルシリコーン油
本発明による組成物はまた、不揮発性非フェニルシリコーン油を含んでもよい。
【0091】
「不揮発性非フェニルシリコーン油」又は「非フェニル化不揮発性シリコーン油」という表現は等価であり、双方が、フェニル置換基を有していないシリコーン油を意味する。
【0092】
挙げられるこれらの不揮発性非フェニルシリコーン油の代表例には、ポリジメチルシロキサン;アルキルジメチコン;ビニルメチルメチコン;及び更に任意選択でフッ素化された脂肪族基で修飾されている、又はヒドロキシル、チオール及び/若しくはアミン基等の官能基で修飾されているシリコーンがある。
【0093】
不揮発性非フェニルシリコーン油は、ポリジメチルシロキサンから好ましくは選択されるジメチコン油;アルキルジメチコンから好ましくは選択される。
【0094】
「ジメチコン」(INCI名)は、ポリジメチルシロキサン(化学物質名)に相当する。
【0095】
不揮発性非フェニルシリコーン油は、以下から選択されうる:
- 不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、
- ペンダント基であり且つ/又はシリコーン鎖の末端にあり、これらの基がそれぞれ2〜24個の炭素原子を有するアルキル基又はアルコキシ基を含むPDMS、例えばEvonik Goldschmidt社からの市販参照名ABIL WAX 9801で販売されているセチルジメチコン、
- 脂肪族基及び/若しくは芳香族基、又はヒドロキシル、チオール及び/若しくはアミン基等の官能基を含むPDMS、
- ポリアルキルメチルシロキサン、例えばEvonik Goldschmidt社から市販参照名ABIL WAX 9801で販売されているセチルジメチコン、又はフッソ化基で任意選択で置換されているポリアルキルメチルシロキサン、例えばポリメチルトリフルオロプロピルジメチルシロキサン、
- ヒドロキシル、チオール及び/又はアミン基等の官能基で置換されているポリアルキルメチルシロキサン、
- 脂肪酸、脂肪アルコール又はポリオキシアルキレンで修飾されているポリシロキサン、及びこれらの混合物。
【0096】
これらの直鎖状の不揮発性非フェニルシリコーン油は、ポリジメチルシロキサン;アルキルジメチコン;ビニルメチルメチコン;及び更に任意選択でフッ素化された脂肪族基で修飾されているシリコーン、又はヒドロキシル、チオール及び/若しくはアミン基等の官能基で修飾されているシリコーンから選択されうる。
【0097】
直鎖状の不揮発性非フェニルシリコーン油は、式(I')
【0098】
【化10】
【0099】
[式中、
R1、R2、R5及びR6は、一緒に又は別々に、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、
R3及びR4は、一緒に又は別々に、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ビニル基、アミン基又はヒドロキシル基であり、
Xは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシル基又はアミン基であり、
n及びpは、25℃での粘度が特に9センチストーク(cSt)(9×10-6m2/s)から800000cStである流体化合物を有するように選択される整数である]
のシリコーンから特に選択されうる。
【0100】
本発明に従って使用されうる不揮発性非フェニル化シリコーン油として、以下であるものが挙げられる:
- 置換基R1からR6及びXがメチル基を表し、p及びnが、粘度が500000cStであるような数のもの、例えばGeneral Electric社によって名称SE30で販売されている製品、Wacker社によって名称AK 500000で販売されている製品、Bluestar社によって名称Mirasil DM 500000で販売されている製品、及びDow Corning社によって名称Dow Corning 200 Fluid 500000cStで販売されている製品、
- 置換基R1からR6及びXがメチル基を表し、p及びnが、粘度が60000cStであるような数のもの、例えばDow Corning社によって名称Dow Corning 200 Fluid 60000 CSで販売されている製品、及びWacker社によって名称Wacker Belsil DM 60 000で販売されている製品、
- 置換基R1からR6及びXがメチル基を表し、p及びnが、粘度が350cStであるような数のもの、例えばDow Corning社によって名称Dow Corning 200 Fluid 350 CSで販売されている製品、
- 置換基R1からR6がメチル基を表し、X基がヒドロキシル基を表し、n及びpが、粘度が700cStになるような数のもの、例えばMomentive社によって名称Baysilone Fluid T0.7で販売されている製品。
【0101】
本発明においては、組成物は、揮発性シリコーン油を含んでもよい。
【0102】
本発明中で使用されうる揮発性シリコーン油は、特に、粘度が、8センチストーク(cSt)(8×10-6m2/s)以下であり、好ましくは0.5cSt超であるシリコーン油から選択されうる。
【0103】
本発明中で使用されうる揮発性シリコーン油は、引火点が40℃〜150℃を範囲とする、好ましくは引火点が55℃超で105℃以下である、優先的には65℃〜95℃を範囲とするシリコーン油から選択されうる。引火点は、特に、ISO規格3679に従って測定される。
【0104】
揮発性シリコーン油は、直鎖状又は環状のシリコーン油から、例えば3〜7個のケイ素原子を有する直鎖状又は環状のポリジメチルシロキサン(PDMS)から選択されうる。
【0105】
より特に挙げられる揮発性シリコーン油には、特にDow Corning社によって名称DC-245で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、特にDow Corning社によって名称DC-246で販売されているドデカメチルシクロヘキサシロキサン、特にDow Corning社によって名称DC-200 Fluid 1 cStで販売されているオクタメチルトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、例えば、特にDow Corning社によって名称DC-200 Fluid 1.5cStで及びDow Corning社によってDC-200 Fluid 5 cStで販売されているデカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルエチルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン及びドデカメチルペンタシロキサン、オクチルトリメチコン、ヘキシルトリメチコン、デカメチルシクロペンタシロキサン(シクロペンタシロキサン又はD5)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(シクロテトラジメチルシロキサン又はD4)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、デカメチルテトラシロキサン(L4)、信越化学工業株式会社からのKF 96A、並びにそれらの混合物がある。
【0106】
2.炭化水素化油
用語「炭化水素系油」(又は「炭化水素化油」若しくは「炭化水素油」)は、炭素原子及び水素原子、並びに任意選択で酸素原子及び窒素原子から本質的に形成され、又は構成されさえし、ケイ素原子又はフッ素原子を一切含有しない油を意味する。これは、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミン及び/又はアミド基を含有することができる。
【0107】
これらの油は、植物、鉱物又は合成起源であってもよい。
【0108】
A.不揮発性無極性炭化水素化油
本発明による組成物は、少なくとも1種の不揮発性無極性炭化水素化油(無極性「炭化水素系」油とも呼ばれる)を含んでもよい。
【0109】
本発明においては、用語「無極性油」は、25℃でのその溶解度パラメータδaが0(J/cm3)1/2に等しい油を意味する。
【0110】
ハンセン3次元溶解度空間の溶解度パラメータの定義及び計算は、C.M. Hansenによる論文「The three dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol. 第39巻、105頁(1967年)に記載されている。
【0111】
このハンセン空間によれば、
- δDは、分子の衝突中に誘起される双極子の形成から生じるロンドン分散力を特徴とし、
- δpは、永久双極子間のデバイ相互作用力、及び更に誘起双極子と永久双極子との間のケーソム相互作用力を特徴とし、
- δhは、特定の相互作用力(例えば、水素結合、酸/塩基、ドナー/アクセプター等)を特徴とし、
- δaは、等式δa=(δp2+δh2)1/2によって求められる。
【0112】
パラメータδp、δh、δD及びδaは、(J/cm3)1/2で表される。
【0113】
好ましくは、不揮発性無極性炭化水素化油は、直鎖状又は分枝状の、鉱物又は合成起源の炭化水素から選択されうる。
【0114】
特に、前記不揮発性無極性炭化水素化油は、以下から選択されうる:
- 液状パラフィン又はその誘導体、
- スクワラン、
- イソエイコサン、
- ナフタレン油、
- ポリブチレン、例えばAmoco社によって販売又は製造されているIndopol H-100(モル質量又はMW=965g/mol)、Indopol H-300(MW=1340g/mol)及びIndopol H-1500(MW=2160g/mol)、
- ポリイソブテン、
- 水添ポリイソブチレン、例えば日本油脂株式会社によって販売されているParleam(登録商標)、Amoco社によって販売又は製造されているPanalane H-300 E(MW=1340g/mol)、Synteal社によって販売又は製造されているViseal 20000(MW=6000g/mol)、及びWitco社によって販売又は製造されているRewopal PIB 1000(MW=1000g/mol)、或いはNOF Corporation社によって販売されているParleam Lite、
- デセン/ブテンコポリマー、ポリブテン/ポリイソブテンコポリマー、特にIndopol L-14、
- ポリデセン及び水添ポリデセン、例えばMobil Chemicals社によって販売又は製造されているPuresyn10(MW=723g/mol)及びPuresyn150(MW=9200g/mol)、或いはExxonMobil Chemical社により販売されているPuresyn 6、並びに
- これらの混合物。
【0115】
好ましくは、本発明による組成物は、好ましくはポリブテン、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリデセン及び/又は水添ポリデセン、並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1種の不揮発性無極性炭化水素系油を含む。
【0116】
B.不揮発性極性炭化水素化油
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、1種又は複数の不揮発性極性炭化水素化油を含んでもよい。
【0117】
本発明においては、用語「極性油」は、25℃での溶解度パラメータδaが0(J/cm3)1/2ではない油を意味する。
【0118】
これらの油は、植物、鉱物又は合成起源であってもよい。
【0119】
特に、追加の不揮発性極性炭化水素化油は、以下の油の列挙及びこれらの混合物から選択されうる:
- 4〜10個の炭素原子を有する脂肪酸の液体トリグリセリド等の植物性炭化水素化油、例としてはヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド、ホホバ油、又はカプリル酸及び/若しくはカプリン酸トリグリセリド、例えばCognis(BASF)社によって商品名Myritol(登録商標)318で販売されているもの、
- 好ましくは以下から選択される、エステル油:
- 脂肪酸エステル、特に4〜22個の炭素原子のもの、特にオクタン酸エステル、ヘプタン酸エステル、ラノリン酸エステル、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル又はステアリン酸エステルのもの、例としてはジオクタン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸プロピレングリコール又はジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、
- 合成エステル、例としては式R1COOR2(式中、R1は、4〜40個の炭素原子を含む、直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、R2は、4〜40個の炭素原子を有する、特に分枝状である炭化水素系鎖を表し、条件はR1+R2≧16である)の油、例としてはパーセリン油(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、C12〜C15安息香酸アルキル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、イソステアリン酸イソステアリル、安息香酸2-オクチルドデシル、オクタン酸アルコール又はポリアルコール、デカン酸エステル又はリシノール酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル又はコハク酸2-ジエチルヘキシル;好ましくは、好ましい合成エステルR1COOR2(式中、R1は、4〜40個の炭素原子を含む、直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、R2は、4〜40個の炭素原子を有する、特に分枝状である炭化水素系鎖を表す)は、R1+R2≧20であるようなものである、
- 直鎖状の脂肪酸エステル、総炭素数が35〜70の範囲のもの、例としてはテトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル(MW=697g/mol)、
- ヒドロキシル化エステル、好ましくは総炭素数が35〜70の範囲のもの、例としてはトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2(MW=965g/mol)、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、マレイン酸ジイソステアリル、ステアリン酸グリセリル;ジイソノナン酸ジエチレングリコール、
- 芳香族の酸とアルコールとのエステル、4〜22個の炭素原子を含むもの、例えばトリデシルトリメリテート(MW=757g/mol)、
- 分枝状の脂肪アルコール又は脂肪酸のC24〜C28エステル、例えば特許出願EP-A-0955039に記載のもの、特にクエン酸トリイソアラキジル(MW=1033.76g/mol)、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル(MW=697g/mol)、トリイソステアリン酸グリセリル(MM=891g/mol)、トリス(2-デシル)テトラデカン酸グリセリル(MW=1143g/mol)、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル(MW=1202g/mol)、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2(MW=1232g/mol)、又はテトラキス(2-デシル)テトラデカン酸ペンタエリスリチル(MW=1538g/mol)、
- 少なくとも1つのヒドロキシル化カルボン酸トリグリセリドを、脂肪族モノカルボン酸で且つ脂肪族ジカルボン酸でエステル化することから得られるポリエステル、これは任意選択で不飽和であり、例としてはZenitech社によって参照名Zeniglossで販売されている、コハク酸の及びイソステアリン酸のヒマシ油、
- 一般式HO-R1-(-OCO-R2-COO-R1-)h-OH
(式中、
R1は、ジリノール二酸の水添によって得られるジオールダイマー残基を表し、
R2は、水添ジリノール二酸残基を表し、
hは、1〜9の範囲の整数を表す)
のジオールダイマーと二酸ダイマーとのエステル、
特に日本精化株式会社によって商品名Lusplan DD-DA5(登録商標)及びDD-DA7(登録商標)で販売されている、ジリノール二酸とジリノレイルジオールダイマーとのエステル、
- 不飽和脂肪酸ダイマー及び/又はトリマーと、ジオールとの縮合によって得られるポリエステル、例えば特許出願、仏国特許第0853634号に記載のもの、特に、例えばジリノール酸と1,4-ブタンジオールとの縮合によって得られるポリエステル。この点で特に挙げられるのは、Biosynthis社によって名称Viscoplast 14436Hで販売されているポリマー(INCI名:ジリノール酸/ブタンジオールコポリマー)、又はポリオールと二酸ダイマーとのコポリマー、及びそれらのエステル、例えばHailuscent ISDA、
- 好ましくは分枝状である、12〜26個の炭素原子を有する脂肪アルコール、例としてはオクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール及びオレイルアルコール、
- 12〜26個の炭素原子を有する脂肪酸、例としてはオレイン酸、
- 植物起源の油、例えばゴマ油(820.6g/mol)、
- 2つのアルキル鎖が場合により同一である又は異なる、炭酸ジアルキル、例えばCognis社によって名称Cetiol CC(登録商標)で販売されている炭酸ジカプリリル;並びに
- ビニルピロリドンコポリマー、例えばビニルピロリドン/1-ヘキサデセンコポリマー、ISP社によって販売又は製造されているAntaron V-216(MW=7300g/mol)。
【0120】
好ましくは、本発明による組成物は、好ましくは脂肪酸の液体トリグリセリドから、更により好ましくはヘプタン酸/オクタン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ホホバ油、又はこれらの混合物から選択される植物起源の油から選択される少なくとも1種の追加の不揮発性極性炭化水素油を含む。
【0121】
C.揮発性炭化水素化油
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、イソドデカン及び/又はイソヘキサデカン等の揮発性炭化水素化油を更に含む。
【0122】
こうした化合物は、不揮発性炭化水素化油及びシリコーン油と適合性があり、適用中の展延性、及び堆積物の移り耐性を向上させる。
【0123】
揮発性炭化水素系油は、8〜16個の炭素原子を有する炭化水素系油から、特に分枝状のC8〜C16アルカン(イソパラフィンとしても知られる)、例としてはイソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとも呼ばれる)、イソデカン及びイソヘキサデカン、並びにこれらの混合物から選択されうる。
【0124】
揮発性炭化水素系油はまた、7〜17個の炭素原子、特定すると9〜15個の炭素原子、より特定すると11〜13個の炭素原子を有する直鎖状の揮発性アルカンとすることもできる。特に挙げられるのは、n-ノナデカン、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、n-ペンタデカン及びn-ヘキサデカン、並びにこれらの混合物である。
【0125】
本発明による組成物中で使用されうる他の揮発性炭化水素系溶媒(油)として、更に挙げられるのは、室温で液体であるケトン、例えばメチルエチルケトン又はアセトン;短鎖エステル(総計で3〜8個の炭素原子を有する)、例えば酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル又は酢酸n-ブチル;室温で液体であるエーテル、例えばジエチルエーテル、ジメチルエーテル又はジクロロジエチルエーテル;アルコール、特に2〜5個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の低級モノアルコール、例としてはエタノール、イソプロパノール又はn-プロパノールである。
【0126】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、組成物の総質量に対して0.1質量%〜40質量%、好ましくは1質量%〜30質量%、より好ましくは3質量%〜20質量%の少なくとも1種の油を含む。
【0127】
別の実施形態によれば、本発明の組成物は、組成物の総質量に対して0.1質量%〜40質量%、好ましくは1質量%〜30質量%、より好ましくは3質量%〜20質量%の少なくとも1種のシリコーン油を含む。
【0128】
更に別の実施形態によれば、本発明の組成物は、組成物の総質量に対して0.1質量%〜40質量%、好ましくは1質量%〜30質量%、より好ましくは3質量%〜20質量%の少なくとも1種の不揮発性フェニルシリコーン油を含む。
【0129】
水性相
本発明による組成物は、連続水性相を含む。
【0130】
連続水性相は、少なくとも1種のC1〜C4アルコールを、組成物の総質量に対して0.1質量%〜20質量%の量で含む。
【0131】
本発明によるアルコールは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のアルコール、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を有するジアルキレンアルコールから好ましくは選択されうる。好ましくは、本発明のアルコールは、直鎖状C1〜C4ヒドロキシアルキル、C1〜C4ジアルキレンアルコール、又はこれらの混合物から好ましくは選択されうる。
【0132】
好ましくは、本発明のアルコールは、エタノール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、又はこれらの混合物から選択される。
【0133】
更に好ましい一実施形態によれば、本発明のC1〜C4アルコールは、エタノール、ジプロピレングリコール、又はこれらの混合物である。
【0134】
特に、本発明の組成物は、組成物の総質量に対して0.5質量%〜15質量%、より好ましくは1質量%〜10質量%のC1〜C4アルコールを含む。
【0135】
連続水性相は、水を含む。
【0136】
連続水性相はまた、水と混和性である(20〜25℃の室温で)有機溶媒も含んでよく、例としては2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜10個の炭素原子、優先的には2〜6個の炭素原子を特に有するポリオール、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール又はジエチレングリコール;グリコールエーテル(特に3〜16個の炭素原子を有するもの)、例えばモノ-、ジ-又はトリプロピレングリコール(C1〜C4)アルキルエーテル、モノ-、ジ-又はトリエチレングリコール(C1〜C4)アルキルエーテル、並びにこれらの混合物も含むことができる。
【0137】
水性相はまた、安定剤、例えば塩化ナトリウム、二塩化マグネシウム又は硫酸マグネシウムを含んでもよい。
【0138】
特に、本発明の組成物は、水性相を、組成物の総質量に対して55質量%〜99.9質量%、特定すれば60質量%〜90質量%、より特定すれば65質量%〜85質量%の範囲の量で含むことができる。
【0139】
疎水性粒子
本発明による組成物は、少なくとも1種の疎水性粒子を含む。
【0140】
本発明においては、これらの粒子は、エマルションを安定化させるために、脂肪相と水性相との間の界面上に吸着する。
【0141】
その上、これらの粒子は、目視可能である本発明の油滴が、水性相中に、長期にわたり、例えば1か月間、又は例えば2か月間、分散されていることを可能にする。
【0142】
粒子は、鉱物性又は有機であってもよく、且つ球状粒子又は層状粒子の形態であってもよい。
【0143】
本特許出願において、用語「球状粒子」は、たとえ本発明による組成物の媒体の融点(約100℃)にあったとしても該媒体に不溶性である、球状の形態の、又は実質的に球状の形態の粒子を意味する。
【0144】
用語「層状粒子」は、本明細書では、たとえ本発明による組成物の媒体の融点(約100℃)にあったとしても該媒体に不溶性である、三次元(長さ、幅及び高さ)によって特徴付けられる、平行六面体の形(長方形又は正方形の面)、円板状の形(円形の面)又は楕円体の形(楕円形の面)の粒子を意味する。
【0145】
より特定すると、疎水性粒子は、以下から選択される:
- 疎水性シリカ。
用語「疎水性シリカ」は、本発明の関連では、純粋な疎水性シリカと、疎水性シリカで被覆された粒子との双方を意味すると理解される。
【0146】
特定の一実施形態によれば、本発明の組成物中で使用されうる疎水性シリカは、非晶質であり、且つヒューム起源のものである。それらは、好ましくは粉体の形態で提供される。
【0147】
ヒューム起源の非晶質の疎水性シリカは、親水性シリカから得られる。親水性シリカは、水素及び酸素の存在下、1000℃での連続火炎中での四塩化ケイ素(SiCl4)の熱分解によって得られる。それらは、その後、ハロゲン化シラン、アルコキシシラン又はシラザンでの処理によって疎水性にされる。疎水性シリカは、出発の親水性シリカとは異なり、とりわけ、シラノール基がより低密度であることにおいて、且つ水蒸気の吸着がより少ないことにおいて、異なる。
【0148】
この実施形態によれば、疎水性シリカは、比表面が50〜500m2/gであり、数平均粒径が3〜50nmの範囲であるシリカから好ましくは選択される。これらは、より特定すると、以下の表に記載されている疎水性シリカ、及びこれらの混合物である。
【0149】
【表1】
【0150】
この実施形態によれば、本発明の組成物中で使用される疎水性シリカはまた、シリカで全体的に又は部分的に被覆された粒子から成ることもでき、特に、疎水性シリカで全体的に又は部分的に被覆された無機粒子、例えば疎水性シリカで被覆された顔料及び金属酸化物から成ることもできる。これらの粒子はまた、製品中及び皮膚上で光学的特性を有することもでき、例えば、それらは、マット感付与効果又はわずかな白色化効果を有することができる。
【0151】
疎水性シリカとして好ましくは使用されるのは、ジメチルシロキサンで表面が処理された疎水性ヒュームドシリカであり、例えばEvonik Degussa社によって名称Aerosil R972(INCI名:ジメチルシリル化シリカ)で販売されているものである。
【0152】
別の特定の実施形態によれば、本発明の組成物中で使用されうる疎水性シリカは、1質量単位当たりの比表面(SW)が500〜1500m2/gの範囲を呈し、体積平均径(D[0.5]、体積中位径Dv50としても知られる)で表されるサイズが1〜1500μmの範囲である、疎水性シリカのエアロゲル粒子である。
【0153】
シリカエアロゲルは、シリカゲルの液体成分を空気と置き換えることによって(乾燥させることによって)得られる多孔性材料である。
【0154】
これらは一般に、液体媒体中でゾル-ゲル法を介して合成され、次いで、通常は超臨界流体(最もよく使用されるものは超臨界CO2である)での抽出によって乾燥される。このタイプの乾燥は、孔及び材料の収縮を回避することを可能にする。ゾル-ゲル法及び種々の乾燥操作は、Brinker C.J.及びScherer G.W.、Sol-Gel Science、ニューヨーク、Academic Press、1990年に詳細に記載されている。
【0155】
本発明中で使用される疎水性シリカのエアロゲル粒子は、1質量単位当たりの比表面(SW)が500〜1500m2/g、好ましくは600〜1200m2/g、なおも良好には600〜800m2/gの範囲を呈し、体積平均径(D[0.5]、体積中位径Dv50としても知られる)で表されるサイズが1〜1500μm、なおも良好には1〜1000μm、好ましくは1〜100μm、特定すると1〜30μm、より好ましくは5〜25μm、なおも良好には5〜20μm、なおも更に良好には5〜15μmの範囲を呈する。
【0156】
一実施形態によれば、本発明中で使用される疎水性シリカのエアロゲル粒子は、体積平均径(D[0.5]、体積中位径Dv50としても知られる)で表されるサイズが1〜30μm、好ましくは5〜25μm、なおも良好には5〜20μm、なおも更に良好には5〜15μmの範囲を呈する。
【0157】
1質量単位当たりの比表面は、BET(Brunauer-Emmett-Teller)法として知られる窒素吸収法によって求められることが可能であり、The Journal of the American Chemical Society、第60巻、309頁、1938年2月に記載されており、International Standard ISO 5794/1(appendix D)に対応している。BET比表面は、検討中の粒子の総比表面に相当する。エアロゲルシリカ粒子のサイズは、静的光散乱により、市販の粒径アナライザのMalvern社製MasterSizer 2000型を用いて測定されうる。データは、ミー散乱理論に基づいて処理される。この理論は、等方性粒子について厳密であり、非球形粒子の事例において「有効な」粒径を求めることを可能にする。この理論は、特に、Van de Hulst, H.C.著、刊行物「Light Scattering by Small Particles」、第9章及び第10章、Wiley、ニューヨーク、1957年に記載されている。
【0158】
有利な一実施形態によれば、本発明中で使用される疎水性シリカのエアロゲル粒子は、1質量単位当たりの比表面(SW)が600〜800m2/gの範囲を呈し、体積平均径(D[0.5]、体積中位径Dv50としても知られる)で表されるサイズが5〜20μm、なおも更に良好には5〜15μmの範囲を呈する。
【0159】
本発明中で使用されるエアロゲルシリカ粒子は、有利には、充填密度ρが0.04g/cm3〜0.10g/cm3、好ましくは0.05g/cm3〜0.08g/cm3の範囲を呈することができる。
【0160】
本発明の関連において、充填密度として知られるこの密度は、以下のプロトコルにしたがって評価されうる:
粉末40gをメスシリンダーに注ぎ入れ、次いで該メスシリンダーをStampf Volumeter社製のStav 2003装置上に置き、続いて該メスシリンダーを2500回の連続充填動作にかけ(この操作は2つの連続した試験間の体積差が2%未満になるまで繰り返す)、次いで充填した粉末の最終体積Vfを直接メスシリンダー上で測定する。充填密度は、この場合40/Vfの点である、比w/Vf(Vfはcm3で、wはgで表す)によって求める。
【0161】
一実施形態によれば、本発明中で使用される疎水性シリカのエアロゲル粒子は、1体積単位当たりの比表面SVが5〜60m2/cm3、好ましくは10〜50m2/cm3、なおも良好には15〜40m2/cm3の範囲を呈する。
【0162】
1体積単位当たりの比表面は、関係式SV=SW×ρ(式中、ρは、g/cm3で表される充填密度であり、SWは、上に定義したようにm2/gで表される1質量単位当たりの比表面である)によって示される。
【0163】
好ましくは、本発明による疎水性シリカのエアロゲル粒子は、5〜18ml/g、好ましくは6〜15ml/g、更に良好には8〜12ml/gの範囲の、湿潤点で測定される吸油能を有する。
【0164】
湿潤点で測定される吸油能は、Wpと記され、均質なペーストを得るために粒子100gに加える必要がある油の量に相当する。
【0165】
吸油能は、「湿潤点」法、又はStandard NF T 30-022で説明されている、油の粉末取込み量を測定する方法に従って測定される。これは、以下に説明する湿潤点の測定による、粉末の、利用可能な表面上に吸着される油の量に、且つ/又は粉末により吸収される油の量に相当する:
粉末w=2g量をガラスプレート上に置き、次いで油(イソノナン酸イソノニル)を滴下で加える。4〜5滴の油を粉末に加えた後、スパチュラを用いて混合し、油と粉末との集成体が形成されるまで油の添加を続ける。それが形成された時点から、油を1回に1滴の割合で加え、続いてこの混合物をスパチュラで磨りつぶす。堅く滑らかなペーストが得られたら、油の添加を中止する。このペーストは、ひび割れること又は塊を形成することなしに、ガラスプレート上に広げることができなければならない。次いで、使用した油の体積Vs(mlで表す)を書き留める。
【0166】
油の取込み量は、比Vs/wに相当する。
【0167】
本発明に従って使用されるエアロゲルは、好ましくはシリル化されたシリカ(INCI名:シリル化シリカ)の、疎水性シリカエアロゲルである。
【0168】
用語「疎水性シリカ」は、OH基を、シリル基Si-Rn、例えばトリメチルシリル基で官能化させるために、その表面がシリル化剤、例えばハロゲン化シラン、例えばアルキルクロロシラン、シロキサン、特定するとジメチルシロキサン、例えばヘキサメチルジシロキサン、又はシラザンで処理された任意のシリカを意味すると理解される。
【0169】
表面がシリル化によって修飾されている疎水性シリカのエアロゲル粒子の調製に関しては、文献、米国特許第7470725号を参照されたい。
【0170】
特に使用されることになるのは、表面がトリメチルシリル基(トリメチルシロキシル化シリカ)で修飾されている疎水性シリカのエアロゲル粒子である。
【0171】
本発明中で使用されうる疎水性シリカエアロゲルとして挙げられるのは、例えば、Dow Corning社によって名称VM-2260(INCI名:シリル化シリカ)で販売されているエアロゲルであり、その粒子は、平均径がおよそ1000ミクロンを呈し、1質量単位当たりの比表面が600〜800m2/gの範囲である。
【0172】
更に挙げられるのは、Cabot社によって参照名Aerogel TLD 201、Aerogel OGD 201及びAerogel TLD 203で販売されているエアロゲルである。
【0173】
より特に使用されうるのは、Dow Corning社によって名称VM-2270(INCI名:シリル化シリカ)で販売されているエアロゲルであり、その粒子は、平均粒径が5〜15ミクロンの範囲を呈し、1質量単位当たりの比表面が600〜800m2/gの範囲を呈する。
- 疎水性セルロース、例えばアルキルセルロース;挙げられるのは、Dow Chemicals社から商品名Ethocel(商標)Standard 200 Industrial Etnylcelluloseで販売されている製品、エチルセルロースである、
- デンプン、
【0174】
全てのデンプン及び粉(flours)が、本明細書における使用に好適であり、任意の天然の源に由来することができる。好ましくは挙げられるのは、疎水性のデンプン、又は疎水的に修飾されているデンプンである。更に好適なのは、交雑育種、転位、転置、形質転換を含む標準的な育種技法によって、又はそれらの変形を含ませるための遺伝子工学又は染色体工学の任意の他の方法によって得られる植物由来のデンプン及び粉である。加えて、既知の標準的な方法である突然変異育種法によって生成されうる上記属組成の人工的な突然変異及び変異から育成された植物に由来するデンプン又は粉もまた、本明細書において好適である。デンプン及び粉の典型的な源は、穀草、塊茎、根、さや及び実である。天然の源は、トウモロコシ、エンドウ、ジャガイモ、サツマイモ、バナナ、大麦、小麦、コメ、サゴ、アマランス、タピオカ、クズウコン、カンナ、モロコシ、及びこれらの蝋様又は高アミロースの変種とすることができる。
【0175】
特に、本発明による、疎水的に修飾されているデンプンが好ましい。こうしたデンプンには、例えば、デンプンオクテニルコハク酸アルミニウムが挙げられる。デンプンオクテニルコハク酸アルミニウムは、一般に、Akzo Nobel社によって商品名DRY-FLO PUREで販売されている。
【0176】
デンプンは、最初に、系と、特に溶媒と適合性のあるエステル又はエーテルを使用して非イオン性に誘導体化されうる。非イオン性に誘導体化する方法は、当技術分野で周知であり、例えばStarch Chemistry and Technology、第2版、Whistlerら編、Academic Press, Inc.、オーランド(1984年)、又はModified Starches:Properties and Uses、Wurzburg, O. B., CRC Press, Inc.、フロリダ(1986年)において見出されうる。
【0177】
非イオン性試剤には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド等のアルキレンオキシド、無水酢酸、及びブチルケテンダイマーが挙げられるがこれらに限定されない。特に好適な非イオン性試剤は、アルキレンオキシドであり、より特定するとプロピレンオキシドである。
【0178】
典型的に、修飾デンプンは、室温及び大気圧で粉末である。修飾デンプン粉末は、微細に粉砕される。更に、本発明の修飾デンプンは、粒度分布が5〜30ミクロンであり、平均粒径が15ミクロンである。その上、修飾デンプンの屈折率は、25℃で、1.50から1.60の間、好ましくは1.52であると測定される。
【0179】
- タルク、
疎水性粒子は、タルクから選択されうる。
【0180】
より特定すると、タルクは、マイクロタルク(例としては日本タルク株式会社によるMicro Ace P3)である。
【0181】
マイクロタルクの粒径は、好ましくは1〜300μmの範囲であり、最も好ましくは2〜15μmの範囲である。タルク粒子は、単独で使用されても組合せで使用されてもよい。タルクを、二酸化チタン、酸化アルミニウム及びケイ素との組合せで含むハイブリッド粉末(例としてはPresperse LLC社からのCoverleaf AR80)、タルクを、酸化アルミニウム及び二酸化シリコーンとの組合せで含むハイブリッド粉末(例としてはCoverleaf AR100)が利用されうる。
【0182】
想定される他のハイブリッド粉末には、硫酸マイカ-バリウム上の酸化亜鉛(例としてはMerck社からのShadeleaf A)、マイカ上の二酸化チタン(例としてはMerck社からのBlancsealer)、シリカ上の二酸化チタン(例としては日本板硝子株式会社からのNL T30H2WA)、及び硫酸マイカ-バリウム上の二酸化チタン(例としてはMerck社からのNaturaleaf powder)が挙げられる。
【0183】
マイクロタルクが、本発明によれば好ましい。
【0184】
- シリコーン樹脂粉末、
好ましいシリコーン樹脂粉末は、例としてはGE Silicone社によって商品名Tospearl 145Aで販売されている、平均粒径が4.5ミクロンの、INCI名がポリメチルシルセスキオキサンであるシリコーン樹脂である。
【0185】
- 中空半球状シリコーン粒子、例としては竹本油脂株式会社によって商品名NLK 500、NLK 506及びNLK 510で販売されているメチルシラノール/シリケートクロスポリマー、
【0186】
- ポリアミド[Nylon(登録商標)]粉末、例としては東レ株式会社からのSP-500のNylon-12粒子、
【0187】
- 疎水性顔料、
本発明の疎水性顔料は、疎水性の顔料であってもよく、又は疎水性被覆顔料であってもよい。本発明によるエマルション中に存在する疎水性被覆顔料は、疎水剤で表面処理された顔料である。これらの処理された顔料は、脂肪相中に良好に分散される。
【0188】
疎水性顔料として、金属酸化物、例えば酸化鉄(特に、黄色、赤色、茶色又は黒色であるもの)、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム;マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、フェリックブルー、オキシ塩化ビスマス、真珠、二酸化チタンで又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、着色された真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄で着色されたマイカ-チタン、特にフェリックブルー又は酸化クロムで着色されたマイカ-チタン、上述のタイプの有機顔料で着色されたマイカ-チタン、及びオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠光沢顔料、並びにこれらの混合物を使用することが可能である。
【0189】
酸化鉄の又は二酸化チタンの疎水性顔料が、好ましくは使用される。
【0190】
疎水性処理剤は、シリコーン、例えばメチコン、ジメチコン、パーフルオロアルキルシラン;脂肪酸、例えばステアリン酸;金属石けん、例えばジミリスチン酸アルミニウム、水素化獣脂グルタメートのアルミニウム塩、パーフルオロアルキルリン酸、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルシラザン、ポリヘキサフルオロプロピレンオキシド、パーフルオロアルキルパーフルオロポリエーテル基を含むポリオルガノシロキサン、アミノ酸;N-アシル化アミノ酸又はそれらの塩;レシチン、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、及びこれらの混合物から選択されうる。
【0191】
好ましくは、ステアリン酸等の脂肪酸が、疎水性処理剤として使用される。
【0192】
挙げられるのは、疎水性被覆顔料、例えば脂肪酸で被覆された金属酸化物、例えばTayca社によって商品名Micro Titanium Dioxide MT-100 T Vで販売されている、ステアリン酸で被覆された二酸化チタン及び水酸化アルミニウムである。
【0193】
- 又はこれらの混合物。
【0194】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、疎水性シリカ、デンプン、疎水性顔料、又はこれらの混合物から選択される少なくとも1種の疎水性粒子を含む。
【0195】
より好ましくは、本発明の組成物は、ジメチルシロキサンで表面が処理された疎水性ヒュームドシリカ、1質量単位当たりの比表面(SW)が500〜1500m2/gの範囲であり、体積平均径(D[0.5]、体積中位径Dv50としても知られる)で表されるサイズが1〜1500μmの範囲である疎水性シリカのエアロゲル粒子、エチルセルロース等の疎水性セルロース、疎水的に修飾されているデンプン、疎水性顔料、又はこれらの混合物から選択される少なくとも1種の疎水性粒子を含む。
【0196】
更により好ましくは、本発明の組成物は、ジメチルシリル化シリカ、シリル化シリカ、エチルセルロース等のアルキルセルロース、デンプンオクテニルコハク酸アルミニウム、酸化鉄の顔料又は二酸化チタンの顔料、ステアリン酸等の脂肪酸で被覆された金属酸化物の顔料、又はこれらの混合物から選択される少なくとも1種の疎水性粒子を含む。
【0197】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物の総質量に対して0.001質量%〜5質量%、好ましくは0.05質量%〜2質量%の疎水性粒子を含む。
【0198】
多糖
本発明による組成物は、バイオテクノロジー起源の少なくとも1種の多糖を含む。
【0199】
特に、これらの多糖類は、適当な場合、セルロース誘導体、特にヒドロキシアルキルセルロース(例えばヒドロキシエチルセルロース)の事例であるように、その親水性の結合価を促進するために化学的に修飾されてもよい。
【0200】
本発明に従って使用されうる多糖類の例として、特に以下が挙げられる:
a)アルギネート、カラゲナン及び寒天、並びにこれらの混合物等の藻類抽出物;挙げられるカラゲナンの例には、Degussa社からのSatiagum UTC30(登録商標)及びUTC10(登録商標)があり、挙げられるアルギネートは、ISP社によって名称Kelcosol(登録商標)で販売されているアルギニン酸ナトリウムである、
b)ガム、例えばキサンタンガム、ゲランガム、グアーガム及びこれらの非イオン性誘導体(ヒドロキシプロピルグアー)、アラビアゴム、コンニャクガム又はマンナンガム、トラガカントガム、ガッティガム、カラヤゴム、ローカストビーンガム、寒天ガム、スクレログルカンガム及びこれらの混合物;挙げられる例には、CP Kelco社によって名称Keltrol(登録商標)CG-Tで販売されているキサンタンガム、CP Kelco社によって名称Kelcogel(登録商標)CG LAで販売されているゲランガム、Rhodia社によって名称Jaguar HP 105(登録商標)で販売されているグアーガム;GfN社によって販売されているマンナンガム及びKonjac gum(登録商標)(1%グルコマンナン)、
c)好ましくは修飾されている、デンプン、例えば小麦、トウモロコシ又はコメ等の穀物に由来するもの、白レンズ豆等のマメ科植物に由来するもの、ジャガイモ又はキャッサバ、タピオカデンプン等の塊茎に由来するもの;デキストリン、例えばトウモロコシデキストリン;Roquette社からのAmidon de Mais B(登録商標);National Starch社によって名称Structure Solanace(登録商標)で販売されている、水酸化ナトリウムで中和された2-クロロエチルアミノジプロピオン酸で修飾されているジャガイモフェクレント(feculent);National Starch社によって名称Tapioca Pure(登録商標)で販売されている天然タピオカデンプン粉末、
d)デキストリン、例えばNational Starch社からのIndex(登録商標)という名称であるトウモロコシから抽出されたデキストリン、
e)セルロース及びそれらの誘導体、特にアルキル又はヒドロキシアルキルセルロース;特に挙げられるのは、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースである。挙げられる例には、Ashland社によって名称Natrosol(商標)250 HHR PCで販売されている、又はAmerchol社(Dow Chemical社)によって名称Cellosize(商標)QP 4400 Hで販売されているヒドロキシエチルセルロース、Aqualon社から名称Polysurf 67CS(登録商標)及びNatrosol Plus 330(登録商標)で販売されているセチルヒドロキシエチルセルロースがある、
f)ペクチン、
g)キトサン及びその誘導体、
h)好ましくは天然起源の、且つ特に以下から選択される、少なくとも2種の糖類を含むポリホロシド:
- アルドース、例えば
- ペントース:例えばリボース、アラビノース、キシロース又はアピオース、
- ヘキソース:例えばグルコース、フコース、マンノース又はガラクトース、
- ケトース、例えばフルクトース、
- デオキシオース、例えばラムノース、ジギトキソース、シマロース又はオレアンドロース、
- ウロン酸等の糖誘導体、例としてはマンヌロン酸、グルロン酸、ガラクツロン酸若しくはグリクロン酸、又はイトール、例としてはマンニトール若しくはソルビトール。
特に挙げられるのは、フコース、ガラクトース及びガラクツロン酸単位を含むポリホロシド、並びに例えば直鎖状配列のα-L-フコース、α-D-ガラクトース及びガラクツロン酸、例としてはSolabia社によって商品名Fucogel(登録商標)1000 PP又はFucogel(登録商標)1.5Pで販売されているビオサッカリドガム-1、
i)特にバイオテクノロジー起源の、アニオン性多糖類、例えばL-フコース、D-グルコース及びグルクロン酸から成る四糖を繰り返しの単位として保持するアニオン性多糖類、例えばSolabia社によって参照名Glycofilm 1.5Pで販売されている、INCI名がビオサッカリドガム-4である製品、
j)並びにこれらの混合物。
【0201】
好ましくは、本発明の多糖は、以下から選択される:
- ガム、例えばキサンタンガム、又はゲランガム、
- セルロース及びその誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、
- フコース、ガラクトース及びガラクツロン酸単位を含むポリホロシド、例えばビオサッカリドガム-1。
【0202】
好ましい一実施形態によれば、本発明は、組成物の総質量に対して0.0001質量%〜5質量%、好ましくは0.001質量%〜2質量%、より好ましくは0.005質量%〜1質量%の多糖類を含む。
【0203】
添加剤
特定の一実施形態では、本発明による組成物は、親水性溶媒、親油性溶媒、追加の油、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物を更に含む。
【0204】
本発明による化粧用組成物はまた、検討中の分野において通常使用される任意の添加剤を含んでもよく、それは例えば、充填剤又は増粘剤、ゲル化剤、追加のガム、追加の樹脂、追加の粘稠化剤、ワックス等の構造化剤、分散剤、抗酸化剤、精油、保存剤、香料、中和剤、防腐剤、追加のUV遮断剤、化粧用活性剤、例えばビタミン、保湿剤、皮膚軟化剤又はコラーゲン保護剤、及びこれらの混合物から選択される。
【0205】
好適な充填剤及び/又は増粘剤には、シリケートクレイ、例えばカルシウム、マグネシウム、アルニミウム、ナトリウム、カリウム及びリチウムカチオン、並びにこれらの混合物から選択されうる少なくとも1個のカチオンを有するシリケートクレイが挙げられる。こうした製品の非限定的な例には、モンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト、バイデライト、サポナイト、バーミキュライト、ステベンサイト及びクロライト等のスメクサイトクレイが挙げられる。本発明中で使用されうるシリケートクレイの好ましい例は、リチウムマグネシウムシリケート、アルミニウムカルシウムナトリウムシリケート、カルシウムマグネシウムシリケート、ナトリウムマグネシウムシリケート、カルシウムアルミニウムボロシリケート、マグネシウムアルミニウムシリケート、ナトリウムカリウムアルミニウムシリケート、及びナトリウム銀アルミニウムシリケートから選択される。
【0206】
存在する場合、充填剤及び/又は増粘剤は、組成物の総質量に対して0.05質量%〜10質量%、好ましくは0.1質量%〜5質量%の範囲の量で存在する。
【0207】
好適なゲル化剤には、デキストリンと、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC12〜C24、特定するとC14〜C18の炭素鎖を有する脂肪酸とのエステルが挙げられる。より特定して挙げられるのは、これらのエステル、例えば千葉製粉株式会社によって商品名Rheopearl MKL2で販売されているミリスチン酸デキストリン、又は千葉製粉株式会社によって商品名Rheopearl TL2-ORで販売されているパルミチン酸デキストリン;N-アシルアミノ酸アミド、例えばN-アシルアミノ酸の、1〜22個の炭素原子を有するアミンとの作用から得られるジアミド、例えばWO-93/23008[15]に記載されているもの、例えばN-ラウリルグルタミン酸ジブチルアミド、例えば味の素株式会社によって名称GP-1で販売又は製造されている製品、又は味の素株式会社によって名称EB-21で販売又は製造されている、INCI名がジブチルエチルヘキサノイルグルタミドであるN-2-エチルヘキサノイルグルタミン酸ジブチルアミドである。こうした化合物は、特許出願、特開2005-298635に記載されている。
【0208】
存在するとき、ゲル化剤は、本発明の脂肪相中に存在し、且つ脂肪相の総質量に対して0.05質量%〜10質量%、より特定すると0.1質量%〜5質量%の範囲の量で存在する。本発明による組成物中に存在する添加剤の性質及び量を、それによってその所望の化粧特性及びその安定性特性が影響を受けないよう調整することは、当業者にとって常法の範囲内である。
【0209】
ガレヌス形態
本発明による組成物は、水中油型エマルションの形態である。
【0210】
特に、一実施形態によれば、本発明の組成物は、水中油型ピッケリングエマルションの形態である。
【0211】
より特定すると、本発明の組成物は、体積中位径Dv50が0.1mm〜10mm、好ましくは0.5mm〜5mmである液滴、特に目視可能な油滴の形態の脂肪相を有する。
【0212】
本発明の組成物は、クリーム、ジェル、特に、透明なジェル、軟膏、乳液、ローション、セラム、ペーストの外観を有することができる。
【0213】
好ましくは、本発明によるジェルの粘度は、Rheomatにより、25℃で、10UD(Mobile 3)以上である。
【0214】
該粘度は、一般に、試験されることになる製品の粘度に適合させるMobile 3[mobileは、UD単位偏差(UD Unit Deviation)のために10から90の間の測定値を有するよう選択される]を備えた粘度計RHEOMAT RM 180を用いて25℃で測定され、該測定は、組成物の内側のmobileを10mn回転させた後に200s-1からのせん断でなされる。次いでUD値は、対応表により、ポーズ(1ポーズ=0.1Pa.s)に転換されうる。
【0215】
より好ましくは、組成物は、ゲル化された水性相を含有する。
【0216】
方法及び使用
本発明の組成物は、皮膚に、特に顔及び唇に適用されることによって、ケラチン物質、例えば皮膚、特に顔及び唇をメイクアップする/ケアする化粧の方法(process)又は方法(method)等の非治療的方法のために使用されうる。
【0217】
本発明はまた、本発明による組成物の、それ自体での、又は皮膚、特に顔及び唇のための、メイクアップする/ケアする/クレンジングする/メイクアップ除去するための化粧料中での、使用にも関する。
【0218】
以下の実施例は、本発明による組成物及び方法を例証することを目的としているが、いかなる方法においても、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0219】
(実施例1)
配合例
以下の配合物を調製した(inv flaは、本発明の配合物を表し、compa flaは、比較例の配合物を表す):
【0220】
【表2A】
【0221】
【表2B】
【0222】
【表2C】
【0223】
上に列挙した配合物を、
相Aの成分を、TURBOTESTによって製造されている混合機VMI RAYNERIを用いて25℃未満で5分間混合する工程と、
透明な溶液を得るために、相Bを、VMI RAYNERIを用いて25℃未満で20分間よく混合する工程(又は、キサンタンガム及びゲランガムが配合物中に存在していた場合は80℃で10分間混合する工程)と、混合を80℃で実施した場合は、該混合物を25℃に冷却する工程と、
成分を混合して相Cを形成し、相Cを、上の工程から得た混合物中に加え、その間、混合機VMI RAYNERIを用いて25℃未満で10分間撹拌する工程と;Inv fla 5において、上の工程から得た混合物と相Cとを、混合している間に80℃に加熱し、次いで該混合物を25℃に冷却する工程と、
相Eを、上の工程から得た混合物中に加え、該混合物を装置VMI RAYNERIを用いて5分間撹拌する工程と、
相Fを、上の工程から得た混合物中に加え、該混合物を装置VMI RAYNERIを用いて5分間撹拌する工程と
に従って調製した。
【0224】
(実施例2)
実施例の評価
実施例1において調製した本発明の配合物及び比較配合物の安定性を評価した。
【0225】
40℃、45℃及び65℃での、本発明の配合物及び比較配合物の安定性試験を、Binderオーブン(米国)を用いて2か月にわたり実施した。本発明の配合物及び比較配合物を該オーブン中に2か月間置くことにより実施した。
【0226】
4℃安定での2か月間の安定性試験を、Zhongke Meiling冷蔵庫(YC-260L、中国)を用いて実施した。本発明の配合物及び比較配合物を該冷蔵庫中に2か月間置くことにより実施した。
【0227】
24時間の光安定性試験を、ATLAC(AMETEK Measurement and Calibration Technologies社)を用いて実施した。
【0228】
最後に、冷凍-融解安定性試験を、Binderオーブン(米国)を用いて10サイクルにわたり実施した。各サイクルにおいて、温度を、24時間で20℃から-20℃に徐々に変化させることになる。
【0229】
本発明の配合物及び比較配合物の安定性の結果を、以下に列挙した。
【0230】
【表3】
【0231】
上の結果から、本発明の配合物1から7は、目視可能な油滴を伴って審美性を有し、一方で比較配合物2は、目視可能な油滴を有していないことを観察した。なお、低量のエタノールを含む本発明の配合物1から7は、比較例の配合物1及び2に比べ、多様な環境条件下で、はるかに良好な安定性を有している。