特許第6633112号(P6633112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6633112自動ロッカー装置および対応する配出方法ならびに挿入方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6633112
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】自動ロッカー装置および対応する配出方法ならびに挿入方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20200109BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20200109BHJP
【FI】
   B65G1/04 503
   B65G1/00 501F
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-31012(P2018-31012)
(22)【出願日】2018年2月23日
(65)【公開番号】特開2018-150171(P2018-150171A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2019年1月17日
(31)【優先権主張番号】1751575
(32)【優先日】2017年2月27日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517246416
【氏名又は名称】サヴォワ
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・テスタ
(72)【発明者】
【氏名】アンヌ・ブーダリエ
(72)【発明者】
【氏名】エルワン・ゴドー
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−344303(JP,A)
【文献】 特開2010−090583(JP,A)
【文献】 特開2006−097434(JP,A)
【文献】 特開2005−225589(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0092702(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
B65G 1/00
A47G 29/124
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品(7,7’)を配出するように構成された自動ロッカー装置(2)であって、
前記物品を含むか又は前記物品から形成された荷物(9,9)を格納するための少なくとも1つの格納領域(4)と、
前記物品を受取るための少なくとも1つの受取り位置(3)と、
前記荷物の1つを前記少なくとも1つの格納領域から前記少なくとも1つの受取り位置に移動させるように構成された移送手段(10)と、
を備えるものにおいて、
前記少なくとも1つの受取り位置は、ボックス(11)を備えており、前記ボックスは、外部に向けられた第1の開口を備える1つの開口側面と第2の開口を備える開口下面とを除いて閉鎖された閉鎖面を有しており、
前記移送手段は、前記開口下面の前記第2の開口に向かって又は前記第2の開口を通して、前記荷物に含まれるか又は前記荷物を形成する前記物品の少なくとも1つが前記開口側面の前記第1の開口を通して受取り可能になる高さまで、前記荷物を垂直方向に移動させるようにさらに構成されていることを特徴とする、自動ロッカー装置。
【請求項2】
前記ボックス(11)は、4つの側面、1つの上面、及び1つの下面を備える直方体形状を有しており、前記閉鎖面は、前記4つの側面の内の3つ及び前記上面を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の自動ロッカー装置。
【請求項3】
前記荷物の内の少なくとも1つの第1の荷物(9)は、トレイ(8)と、前記物品の内の前記トレイによって支持された少なくとも1つの物品(7)とから構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の自動ロッカー装置。
【請求項4】
前記移送手段は、前記トレイによって支持された前記少なくとも1つの物品の底を前記開口側面の前記第1の開口の底に運ぶように構成されていることを特徴とする、請求項3に記載の自動ロッカー装置。
【請求項5】
前記荷物の内の少なくとも1つの第2の荷物(9’)は、容器(8’)と、前記物品の内の前記容器内に収容された少なくとも1つの物品(7’)とから構成されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の自動ロッカー装置。
【請求項6】
前記移送手段は、前記容器の上面を前記開口側面の前記第1の開口の底の高さに運ぶように構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の自動ロッカー装置。
【請求項7】
前記荷物の内の少なくとも1つの第3の荷物は、前記物品の1つ(7)であることを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の自動ロッカー装置。
【請求項8】
前記移送手段は、前記少なくとも1つの第3の荷物の底を前記開口側面の前記第1の開口の底に運ぶように構成されていることを特徴とする、請求項7に記載の自動ロッカー装置。
【請求項9】
前記移送手段(10)は、前記荷物の以下の移動、すなわち、前記少なくとも1つの格納領域から前記少なくとも1つの受取り位置への移動、および、前記開口下面の前記第2の開口に向かうか又は前記第2の開口を通る垂直方向の移動を行うスタッカークレーン式装置又は可動ロボット式装置を備えていることを特徴とする、請求項1〜8の何れか一項に記載の自動ロッカー装置。
【請求項10】
−前記開口側面の前記第1の開口を閉じるように構成されたドア(12)と、
−前記荷物が前記高さまで垂直方向に移動 した時に前記ドアをロック解除するように構成された、前記ドアをロック/ロック解除する手段と、
を備えることを特徴とする、請求項1〜9の何れか一項に記載の自動ロッカー装置。
【請求項11】
前記自動ロッカー装置は、受入物品を前記少なくとも1つの受取り位置を通して挿入するようにさらに構成されており、前記移送手段は、
−前記受入物品の少なくとも1つを前記開口側面の前記第1の開口を通して受け入れ、前記少なくとも1つの受入物品を含むか又は前記少なくとも1つの受入物品によって形成される受入荷物を形成し、
−前記受入荷物を前記開口下面の前記第2の開口から又は前記第2の開口を通して垂直方向に移動させ、
−前記受入荷物を前記少なくとも1つの受取り位置から前記少なくとも1つの格納領域に向かって移動させるように構成されていることを特徴とする、請求項1〜10の何れか一項に記載の自動ロッカー装置。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一項に記載の自動ロッカー装置内に格納された少なくとも1つの配出物品を配出する方法であって、前記移送手段によって行われる以下のステップ、すなわち、
−前記少なくとも1つの配出物品を含むか又は前記配出物品によって形成された荷物を前記少なくとも1つの格納領域から前記少なくとも1つの受取り位置に移動させるステップ(41)と、
−前記開口下面の前記第2の開口に向かって又は前記第2の開口を通って、前記少なくとも1つの配出物品が前記開口側面の前記第1の開口を通して受取り可能になる高さまで、前記荷物を垂直方向に移動させるステップ(42)と、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の自動ロッカー装置(2)内に少なくとも1つの受入物品を挿入する方法であって、前記移送手段によって行われる以下のステップ、すなわち、
−前記少なくとも1つの受入物品を前記開口側面の前記第1の開口を通して受け入れ、前記少なくとも1つの受入物品を含むか又は前記少なくとも1つの受入物品によって形成される受入荷物を形成するステップ(51)と、
−前記受入荷物を前記開口下面の前記第2の開口から又は前記第2の開口を通して垂直方向に移動させるステップ(52)と、
−前記受入荷物を前記少なくとも1つの受取り位置から前記少なくとも1つの格納領域に移動させるステップ(53)と、
を含むことを特徴とする、方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(自動小包配出機又は宅配ロッカー装置とも呼ばれる)自動ロッカー装置に関する。このような装置は、物品(小包、封筒、袋等)を利用者に自動配出し、可能であれば、担当者によってこれらの物品を予め自動挿入できるように構成されている。
【0002】
本発明の自動ロッカー装置は、多くの用途を有している。
【0003】
例えば、本発明の自動ロッカー装置は、(例えば、インターネットを通して)注文した顧客に対する物品の自動配出に適用可能である。この場合、この自動配出は、宅配ではなく、とりわけ、B2C又はBtoCeコマースに関連する物流分野の一部である。これに関連してしばしば用いられる他の用語は、「革新的な流通方法(last-mile delivery)」である。
【0004】
他の例によれば、本発明は、施設(倉庫、病院等)内の従業員に対する物品の自動配出に適用されてもよい。
【0005】
これらの用途例は、限定的なものではない。
【背景技術】
【0006】
本明細書において、以下、(例えば、インターネットを介して)注文した顧客に対する物品の自動配出の前述の用途に存在する問題及び課題について、より具体的に述べることにする。本発明は、勿論、この特別の用途に制限されるものではなく、最も近い又は同様の問題又は課題に対処しなければならないどのような分野にとっても意義深いものである。
【0007】
オンライン注文される商品の配達は、eコマースの決定的な役割を担う部分である。例えば、フランスにおいて、eコマースの成長の急騰に関連して、(フランス郵政公社として知られる)フランス郵便当局は、2016年末までに、小包の収集又は受取りのための1000基の自動ロッカーシステムをフランス全域にわたって展開することを計画している。これらのシステムは、中心地または極めて人通りの多い個所(例えば、鉄道駅、ショッピングセンター、又は人口密集シティの中心の重要個所)に配置されることになる。
【0008】
自動ロッカーシステムは、既存の配達モード(宅配、郵便局配送、又は地元業者が行う交換地点での配達)に加えて、小包の受取り又は収集を行うための新規の解決策である。この新規の解決策は、その使用が簡単であり、融通が利き、かつ完全に安全である。従って、インターネットで注文し、自動ロッカーを介して配達されることを選択した顧客は、小包が受取り可能になった時(すなわち、小包が配達員又は配達装置によって自動ロッカーシステムに預けられた時)、例えば、eメール又はSMSによって小包受取りコードを受け取ることになる。この後、顧客がしなければならないことは、自動小包ロッカーシステムに出向き、自動小包ロッカーシステムの人/機械インターフェイス(例えば、キーパッド又はタッチスクリーン)にコードを打込み、小包を受取ることだけである。
【0009】
自動小包ロッカーシステムの利点は、ウエブ利用者が24時間年中無休で小包を受取ることが可能になることである。また、商品が預けられる時間と該商品が顧客によって受取られる時間とを異ならせることが可能である(時間の分離)。交換地点の配達と同じように、各関係者は、配達を半分にし、第3の場所に配達することになる(空間の分離)。この手法と交換地点の配達との違いは、このプロセスが自動化されており、仲介者が存在しないことにある。
【0010】
第1の周知の自動小包ロッカー技術では、配達員は、小包の各々を自動ロッカーシステムのロッカーの1つに置く。顧客が自動ロッカーシステムに出向き、自動ロッカーシステムのキーパッドに顧客のコードを打ち込むと、顧客の小包を収容するロッカーが自動的に開くことになる。
【0011】
この第1の周知の自動ロッカー技術の1つの欠点は、物品装填操作(例えば、小包の装填)に関連する。配達員は、種々の小包を自動ロッカーシステムの種々のロッカーに装填しなければならない。従って、物品を自動ロッカーシステム内に装填する操作を容易にし、その速度を早める必要がある。
【0012】
この第1の周知の技術の他の欠点は、物品(例えば、小包)を受取る操作に関連する。小包を受取るために、顧客は、自動ロッカーシステムの各々の前に移動しなければならない。さらに、ロッカーは、種々の高さに位置しており、一部の顧客の手がロッカーに届かないことがあり、又は(ロッカーが高すぎるか又は低すぎる時)非人間工学的なものになる。従って、物品を自動小包ロッカーから受取る操作を容易にし、かつこの操作の速度を高める必要がある。
【0013】
第2の周知の技術であるCleveron社による「PackRobot(登録商標)」解決策では、自動小包ロッカー装置は、トレイ上の小包を格納するための領域(各々が複数の格納セルを含む8つの格納カラム)と、小包を受取るための受取り位置と、(小包を支持する)トレイを格納領域から受取り位置に又はその逆に移動させる移送手段と、を備えている。さらに具体的には、移送手段は、リフトと、一定面内において水平方向に平行移動するための装置とを備えている。
【0014】
小包受取り操作中、リフトは、格納セルの1つに位置する(小包を支持する)トレイを探し、該トレイを受取り位置の高さに運ぶ。次いで、水平移動装置が、(小包を支持する)トレイを受取り位置の(小包を引き渡すための操作中以外ドアによって閉じられた)開口の前に運び、これによって、利用者が小包を取ることができる。
【0015】
リフト及び水平移動装置は、小包を自動ロッカー装置内に挿入する逆の操作にも用いられる。この場合、リフトは、格納セルの1つに位置する空のトレイを探し、該空のトレイを受取り位置の高さに運ぶ。次いで、水平移動装置が、空のトレイを受取り位置の開口の前に運び、これによって、配達員が小包を該トレイ上に置くことができる。次いで、水平移動装置は、(小包を支持する)トレイをリフトまで後退させる。最後に、リフトが(小包を支持する)トレイを格納セルの1つ内に置くことになる。
【0016】
この第2の周知の技術の1つの欠点は、挿入及び受取り操作中、前述の水平移動に起因して、配達員又は顧客による機械(自動ロッカー装置)の他の部分への接近を禁止するものが存在しないことである。従って、この第2の周知の技術は、一般利用者又は配達員に対して最適な安全を保証しないことになる。
【0017】
第2の周知の技術の他の欠点は、この技術がトレイと共に扱われる小包形式の物品に特化されており、他の形式の物品、例えば、容器と共に扱われねばならない形式の物品(例えば、袋詰めされた物品又は任意の他の不安定な物品)に適していないことにある。実際、第2の周知の技術では、(小包を支持する)トレイは、一定面に沿った水平移動によって受取り位置の方に移され、従って、小包の底部は、受取り位置の開口の前に位置する利用者に対して(取上高さ「pick-up level」とも呼ばれる)この面の高さに常に位置することになる。実際、トレイが水平移動装置によって水平に移動する前述の面は、明らかに受取り位置の開口の底と垂直方向において一直線に並ぶことになる。換言すれば、(トレイ上に位置する)小包の底は、明らかに受取り位置の開口の底の高さに位置し、これによって、利用者は、小包を取ることが可能になる。小包(すなわち、挿入又は受取られる物品)をトレイ上に直接置くのではなく、挿入又は受取られるべき少なくとも1つの物品を含む容器をトレイ上に配置することを可能にするには、利用者(又は配達員)が物品を容器から取り上げる(又は物品を容器内に挿入する)時に利用者又は配達員の方に向けられた容器の面によって邪魔されないようにするために、前述の面(「取上高さ」)は、より低い高さに配置されるべきである。しかし、より低い位置に設定されるこのような「取上高さ」は、前述した当初の操作、すなわち、小包の受取り又は挿入に適さないことになる。要約すると、第2の周知の技術は、物品の種類(小包、封筒、袋等)及びこれらの物品の高さに関わらず人間工学的な取上(受取り)操作及び装填(挿入)操作を確実に行うことができない。
【0018】
第2の周知の技術のさらに他の欠点は、互いに異なる装置による相補的な自動運動(リフトによる垂直方向移動及び水平移動装置による水平方向移動)の実施を必要とすることである。これは、設計の複雑さ及び(信頼性の問題を伴う)故障のおそれを高めることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、少なくとも一実施形態において、先行技術のこれらの種々の欠点を解消することが特に意図されている。
【0020】
さらに具体的には、本発明の少なくとも1つの実施形態の目的は、自動ロッカー装置であって、物品をその自動配出装置内に装填するための操作を容易にし、かつその速度を高める自動ロッカー装置を提供することにある。
【0021】
本発明の少なくとも1つの実施形態の他の目的は、物品を自動ロッカー装置から受取るための操作を容易にし、かつその速度を高める自動ロッカー装置を提供することにある。
【0022】
本発明の少なくとも1つの実施形態の他の目的は、設置が容易でかつ安価な自動ロッカー装置を提供することにある。
【0023】
本発明の少なくとも1つの実施形態の他の目的は、配達される物品の形態(小包、封筒、袋等)に関わらず、物品の高さに関わらず、及び物品の取扱の種類(トレイの有無、容器の有無、等)に関わらず、どのような形式の物品にも適合する人間工学的機能を有する自動ロッカー装置を提供することにある。
【0024】
本発明の少なくとも1つの実施形態の他の目的は、設計が簡単でかつ信頼性が高く、並びに据付及び保守が容易な自動ロッカー装置を提供することにある。
【0025】
本発明の少なくとも1つの実施形態の他の目的は、一般利用者又は配達員に対して最適なレベルの安全をもたらすこの種の技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の1つの特定の実施形態は、物品を配出するように構成された自動ロッカー装置であって、前記物品を含むか又は前記物品から形成された荷物を格納するための少なくとも1つの領域と、前記物品を受取るための少なくとも1つの受取り位置と、荷物の1つを前記少なくとも1つの格納領域から前記少なくとも1つの受取り位置に移動させるように構成された移送手段と、を備える、自動ロッカー装置を提案する。前記少なくとも1つの受取り位置は、ボックスを備えており、該ボックスは、前記自動ロッカー装置の外部の方に向けられた第1の開口を備える1つの開口側面と第2の開口を備える開口下面とを除いて、閉鎖面を有している。前記移送手段は、開口下面の第2の開口に向かって又は該第2の開口を通して、前記荷物に含まれるか又は前記荷物を形成する物品の少なくとも1つが開口側面の第1の開口を通して受取り可能になる高さまで、前記荷物を垂直方向に移動させるようにさらに構成されている。
【0027】
従って、特定の移送手段と協働する特定のボックスを備える受取り位置を有する本発明のこの特定の実施形態は、自動ロッカー装置への完全に新規でかつ独創的な手法によるものである。実際、このボックスは、(外部における利用者との交換のための)開口側面及び(内部における格納領域との交換のための)開口下面を除けば、閉鎖している。移送手段は、物品が在庫されている場合、このボックスに対して荷物の特定の移動、具体的には、開口下面の第2の開口に向かうか又は該第2の開口を通る垂直方向の移動を実行するようになっている。
【0028】
従って、この解決策は、いくつかの利点、特に、但し限定されるものではないが、
・(少なくとも第1の周知の技術と比較して)自動ロッカーシステムから物品を受取るための操作を容易にし、その速度を高めるという利点と、
・機械(自動ロッカー装置)の他の部分への接近を禁止する受取りボックスの設置によって、一般利用者(又はさらに後述する配達員)に対して最適レベルの安全をもたらすという利点と、
・小包、封筒、又は袋として配達される物品の受取りに適合するという利点と、
・物品が配達される形態(小包、封筒、袋等)、物品の高さ、及び物品の取扱の種類(トレイの有無、容器の有無、等)に関わらず、どのような種類の物品にも適応する人間工学的な機能を可能にするという利点と、
・設計が簡単であり(従って、据付が簡単でかつコストが殆ど掛からず)、並びに信頼性が高いという利点と、
を有している。
【0029】
1つの特定の特性によれば、前記ボックスは、4つの側面、1つの上面、及び1つの下面を備える直方体の形状を有しており、前記閉鎖面は、前記4つの側面の内の3つ及び前記上面を含んでいる。
【0030】
この直方体の形状によって、ボックスの作製が簡単になる。
【0031】
第1の特定の実施形態によれば、前記荷物の内の少なくとも1つの第1の荷物は、トレイと、前記物品の内の前記トレイに支持された少なくとも1つの物品とから構成されている。
【0032】
従って、この提案された解決策は、第1の形式のトレイの使用に基づく物品の取扱に適合することになる。これは、例えば、小筒形式の物品に適している。
【0033】
1つの特定の特性によれば、前述の第1の実施形態に関連して、前記移送手段は、トレイによって支持された前記少なくとも1つの物品の底を開口側面の第1の開口の底に運ぶように構成されている。
【0034】
従って、(少なくとも1つの)物品の高さに関わらず、利用者は、該物品を容易に掴むことができる。
【0035】
第2の特定の実施形態によれば、前記荷物の内の少なくとも1つの第2の荷物は、容器と、前記物品の内の前記容器内に収容された少なくとも1つの物品とから構成されている。
【0036】
従って、この提案された解決策は、第2の形式の容器の使用に基づく物品の取扱に適合している。これは、例えば、袋または封筒の形式の物品に適している。1つの特定の実施形態では、該容器は、それ自体がトレイ上に配置されてもよい。
【0037】
1つの特定の特性によれば、前述の第2の実施形態に関連して、前記移送手段は、前記容器の上面を開口側面の第1の開口の高さに運ぶように構成されている。
【0038】
従って、容器の高さに関わらず、利用者は、容易に(少なくとも1つの)物品又は商品を掴むことができる。
【0039】
第3の特定の実施形態によれば、前記荷物の内の少なくとも1つの第3の荷物は、前記物品の1つを構成している。
【0040】
従って、この提案された解決策は、トレイ又は容器を用いない第3の形式の物品の取扱に適合している。換言すれば、荷物は、それ自体、物品である。これは、例えば、小包形式の物品に適している。
【0041】
1つの特定の特性によれば、前述の第3の実施形態に関連して、前記移送手段は、前記少なくとも1つの第3の荷物の底を開口側面の第1の開口の底に運ぶように構成されている。
【0042】
従って、(少なくとも1つの)物品の高さに関わらず、利用者は、該物品を容易に掴むことができる。
【0043】
1つの特定の特性によれば、移送手段は、前記荷物の以下の移動、すなわち、前記少なくとも1つの格納領域から前記少なくとも1つの受取り位置への移動、及び開口下面の第2の開口に向かうか又は該第2の開口を通る垂直方向の移動を行うスタッカークレーン式装置又は可動ロボット式装置を備えている。
【0044】
これは、(第2の周知の解決策と対照的に)互いに相補的な自動運動を行う必要がない簡単かつ確実な設計を可能にする。何故なら、(開口下面の第2の開口に向かうか又は該第2の開口を通る垂直方向の移動を含む)全ての移動が、スタッカークレーン又は可動ロボット式装置によって実行されるからである。
【0045】
1つの特定の特性によれば、自動ロッカー装置は、
−開口側面の第1の開口を閉じるように構成されたドアと、
−前記荷物が前記高さまで垂直方向に移動した時に前記ドアをロック解除するように構成された、前記ドアをロック/ロック解除する手段と、
を備えている。
【0046】
従って、屋外において荷物がボックス内に置かれていても、最適なレベルの安全が保証される。
【0047】
1つの特定の特性によれば、自動ロッカー装置は、受入物品を前記少なくとも1つの受取り位置を通して挿入するようにさらに構成されており、前記移送手段は、
−前記受入物品の少なくとも1つを開口側面の第1の開口を通して受け入れ、前記少なくとも1つの受入物品を含むか又は前記少なくとも1つの受入物品から形成される受入荷物を形成し、
−前記受入荷物を開口側面の第2の開口から又は該第2の開口を通して垂直方向に移動させ、
−前記受入荷物を前記少なくとも1つの受取り位置から前記少なくとも1つの格納領域に向かって移動させる、
ようにさらに構成されている。
【0048】
従って、この提案された解決策は、物品を自動ロッカー装置内に装填するための操作に関連して前述の利点をもたらす。
【0049】
本発明の他の実施形態は、前述の実施形態のいずれか1つに記載の自動ロッカー装置内に格納された少なくとも1つの配出物品を配出するための方法であって、移送手段によって行われる以下のステップ、すなわち、
−前記少なくとも1つの配出物品を含むか又は該配出物品によって形成された荷物を前記少なくとも1つの格納領域から前記少なくとも1つの受取り位置に移動させるステップと、
−開口下面の第2の開口に向かって又は該第2の開口を通して、前記少なくとも1つの配出荷物が前記開口側面の第1の開口を通して受取り可能になる高さまで、前記荷物を垂直方向に移動させるステップと、
を含む、方法を提案する。
【0050】
本発明の他の実施形態は、前述の実施形態のいずれか1つに記載の自動ロッカー装置内に少なくとも1つの受入物品を挿入するための方法であって、移送手段によって行われる以下のステップ、すなわち、
−前記少なくとも1つの受入物品を開口側面の第1の開口を通して受け入れ、前記少なくとも1つの受入物品を含むか又は前記少なくとも1つの受入物品によって形成される受入荷物を形成するステップと、
−前記受入荷物を開口下面の第2の開口から又該第2の開口を通して垂直方向に移動させるステップと、
−前記受入荷物を前記少なくとも1つの受取り位置から前記少なくとも1つの格納領域に移動させるステップと、
を含む、方法を提案する。
【0051】
本発明の他の特性及び利点は、非限定的な例によって与えられる以下の説明及び添付の図面からさらに明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明の1つの特定の実施形態による自動ロッカー装置(2)の斜視図又は等角投影図である。
図2A】荷物(9’)が物品の内の容器( 8’)内に収容された少なくとも1つの物品(7’)を含んでいる、図1の自動ロッカー装置によって行われる第1の形式の配出操作の種々の段階を示す図である。
図2B】荷物(9’)が物品の内の容器( 8’)内に収容された少なくとも1つの物品(7’)を含んでいる、図1の自動ロッカー装置によって行われる第1の形式の配出操作の種々の段階を示す図である。
図2C】荷物(9’)が物品の内の容器( 8’)内に収容された少なくとも1つの物品(7’)を含んでいる、図1の自動ロッカー装置によって行われる第1の形式の配出操作の種々の段階を示す図である。
図2D】荷物(9’)が物品の内の容器( 8’)内に収容された少なくとも1つの物品(7’)を含んでいる、図1の自動ロッカー装置によって行われる第1の形式の配出操作の種々の段階を示す図である。
図3A】荷物(9)が物品の内のトレイ(8)によって支持された物品(7)を含んでいる、図1の自動ロッカー装置によって行われる第2の形式の配出操作の種々の段階を示す図である。
図3B】荷物(9)が物品の内のトレイ(8)によって支持された物品(7)を含んでいる、図1の自動ロッカー装置によって行われる第2の形式の配出操作の種々の段階を示す図である。
図3C】荷物(9)が物品の内のトレイ(8)によって支持された物品(7)を含んでいる、図1の自動ロッカー装置によって行われる第2の形式の配出操作の種々の段階を示す図である。
図4図1の自動ロッカー装置によって物品を配出するための方法の特定の実施形態のフローチャートである。
図5図1の自動ロッカー装置によって物品を挿入するための方法の特定の実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本明細書の全ての図面において、同一の要素及びステップは、同一の参照番号によって示されている。
【0054】
以下、本明細書において、実例として、自動ロッカー装置が(例えば、インターネットを介して)注文した顧客への物品の自動配出を行うために用いられる前述の用途について検討する。
【0055】
勿論、本発明は、この特定の用途に制限されるものではない。
【0056】
以下、図1を参照し、本発明の1つの特定の実施形態による自動ロッカー装置2について、説明する。
【0057】
この自動ロッカー装置2は、物品を顧客又は消費者1に配出するように構成されており、
・物品を含むか又は物品によって形成された荷物を格納するように構成された(少なくとも)1つの格納領域4と、
・利用者によって物品が受取られるように構成された(少なくとも)1つの受取り位置3と、
・荷物の1つを(少なくとも1つの)格納領域4と(少なくとも1つの)受取り位置3との間で移動させるように構成された移送手段10(例えば、スタッカークレーン式装置又は可動ロボット式装置)と、
を備えている。
【0058】
格納領域4は、例えば、いくつかの柱状体を有する(格納構造又は棚構造とも呼ばれる)格納棚5を備えている。
【0059】
各柱状体は、例えば、格納棚5の垂直方向直立材に固定された(取外し可能であってもよいし、取外し不能であってもよい)プレートを用いることによって、いくつかの重なった荷物9の格納を可能にする。これらのプレートは、(格納セル(storage cell)とも呼ばれる)互いに重なった格納場所6を画定する。格納場所6は、各々、1つの荷物を受け入れることが意図されている。
【0060】
図3A−3Cを参照して以下にさらに説明する例におけるのとおなじように)、図1の例では、各荷物9は、(前述の取外し可能なプレートを形成する)トレイ8と、物品の内のこのトレイによって支持された少なくとも1つの物品7(例えば、小包)と、から構成されている。
【0061】
格納領域4は、物理的レイアウト及びフロー制約に適合させることができ、種々のケースに応じて、直線状(図1の場合)、L字状、T字状、又はU字状とすることができ、又は任意の他の形状を有することもできる。また、格納領域は、いくつかの格納棚を備えることもできる。
【0062】
受取り位置3は、ボックス11を有しており、該ボックスは、
・自動ロッカー装置の外部の方に向けられた第1の開口を備える開口側面と、
・第2の開口を備える開口下面と、
を除き、閉鎖面を有している。
【0063】
図1の特定の実施形態では、ボックス11は、4つの側面、1つの上面、及び1つの下面を有する直方体の形状を有している。閉鎖面は、4つの側面の内の3つ及び上面である。換言すれば、2つの開口面は、下面及び4つの側面の残りの1つである。
【0064】
図1の特定の実施形態では、受取り位置3は、開口側面の第1の開口を閉じるように構成されたドア12と、該ドア用のロック/ロック解除手段とをさらに備えている。ロック/ロック解除手段は、荷物が所望の高さに上昇した時にこのドアをロック解除するように構成されている(以下の説明参照)。ドア12は、例えば、(モータ駆動)支援によって垂直方向に開口するギロチンドア式であり、ロック/ロック解除手段は、例えば、ドアを垂直方向に作動させるために用いられるモータと、荷物が所望の高さに上昇した時に該荷物の垂直位置を検出し、ドアを開けるようにモータを指令するために用いられる回路(例えば、センサと協働するプロセッサ)と、を備えている。
【0065】
移送手段10は、配出物品の配出を可能にし、1つの特定の実施形態では受入物品の挿入も可能にする種々の動作を荷物に対して与えるように構成されている。自動ロッカー装置は、移送手段10を制御する(図示されない)制御モジュール(又は駆動モジュール)を備えており、これによって、移送手段1は、以下に詳細に述べる所望の動作を実行することが可能になる。制御モジュールは、指令シーケンスを含むプログラムを実行する再プログラム化可能な計算機(例えば、PCコンピュータ、DSPプロセッサ、マイクロコントローラ等)に同様に好ましく実装されてもよいし、又は専用の計算機(例えば、FPGA又はASICのような一組の論理ゲート又は任意の他のハードウエアモジュール)に同様に好ましく実装されてもよい。
【0066】
図4に示される1つの特定の実施形態では、(図1の自動ロッカー装置によって実行される)(少なくとも)1つの配出物品を配出する方法は、移送手段10によって実行される以下のステップ、すなわち、
・配出物品を含むか又は配出物品によって形成された荷物を格納領域4から受取り位置3に移動させるステップ(41)と、
・開口下面の第2の開口に向かって又は該第2の開口を通して、配出物品が開口側面の第1の開口を通して受取り可能になる高さまで、荷物を垂直方向に移動させるステップ(42)であって、これによって、荷物が該荷物の種類及び荷物の高さに応じて物品の人間工学的な取上げを行う正しい高さに置かれる、ステップ(42)と、
を含んでいる。
【0067】
図5に示される1つの特定の実施形態では、(図1の自動ロッカー装置によって実行される)(少なくとも)1つの受入物品を挿入する方法は、移送手段10によって実行される以下のステップ、すなわち、
・受入物品を開口側面の第1の開口を通して受け入れ、該受入物品を含むか又は該受入物品から形成される受入荷物を形成するステップ(51)と、
・受入荷物を開口下面の第2の開口から又は該第2の開口を通して垂直方向に移動させるステップ(52)と、
・受入荷物を受取り位置3から格納領域4に向かって移動させるステップ(53)と、
を含んでいる。
【0068】
以下、図2A−2Dを参照して、図1の自動ロッカー装置によって実施される第1の形式の配出操作の種々の段階について説明する。ここでは、荷物9’は、容器8’内に収容された(少なくとも)1つの物品7’(例えば、袋又は任意の種類の他の不安定な物品)からなっている。図2Aにおいて、移送手段10は、格納領域4内の荷物9’を取り上げる。図2Bにおいて、移送手段10は、荷物9’を受取り位置に運んでおり、荷物9’はボックスの下方(さらに具体的には、開口下面の第2の開口の下方)に位置している。図2Cにおいて、移送手段10は、荷物9’をボックス11の開口下面の第2の開口に向かって所望の高さまで垂直方向に移動させている。ここでは、容器8’の上面は、開口側面の第1の開口の底の高さに運ばれている。図2Dにおいて、ドア12は、開位置にあり、(従って、開口側面の第1の開口が閉じておらず)、(矢印13によって示される)利用者が物品(袋)7’を容器8’から取り出すことが可能である。
【0069】
以下、図3A−3Cを参照して、図1の自動ロッカー装置によって実施される第2の形式の配出操作の種々の段階について説明する。ここでは、荷物9は、トレイ8によって支持された(少なくとも)1つの物品7((例えば、小包)からなっている。図3Aにおいて、移送手段10は、荷物9を格納領域4から受取り位置まで運んでおり、荷物9は、ボックスの下方(さらに具体的には、開口下面の第2の開口の下方)に位置している。図3Bにおいて、移送手段10は、荷物9’をボックス11の開口下面の第2の開口を通して所望の高さまで垂直方向に移動させている。これによって、(トレイ8によって支持された)物品7の底が、開口側面の第1の開口の底まで運ばれる。図3Cにおいて、ドア12は、開位置にあり、(従って、開口側面の第1の開口をもはや閉じておらず)、利用者は、(矢印14によって示されるように)トレイ8上の物品(小包)7を取り出すことが可能である。
【0070】
本発明の枠組内において、他の形式の配出操作も可能である。例えば、第3の形式の操作では、荷物は、物品の1つである。換言すれば、物品(例えば、小包)は、トレイ又は容器を用いることなく、移送手段10によって直接移動される。この場合、移送手段10は、荷物をボックス11の開口下面の第2の開口を通して所望の高さまで垂直方向に移動させるように構成されている。この場合、物品の底が、開口側面の第1の開口の底の高さまで運ばれることになる。
【0071】
本発明の多くの他の実施形態が考えられる。特に、全く同一の自動ロッカー装置内においていくつかの形式の前述の操作を組合せことも考えられる。換言すれば、移送手段10は、
・物品を支持するトレイ及び/又は
・物品を含む容器及び/又は
・(トレイ及び容器のいずれもない)物品のみ
を移動するように構成されている。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4
図5