(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
エチレン及びプロピレンなどのようなオレフィンを重合するための触媒成分は、当業界において広く知られており、このような触媒はチーグラー・ナッタ(Ziegler−Natta)カテゴリーのタイプであり得る。産業で広く使用されているこのようなタイプの第1の触媒は、アルミニウムアルキルでTiCl
4を還元して得られた固体TiCl
3の使用に基づいていた。触媒の活性及び立体特異性は、それほど高くなく、触媒残留物を除去するために脱灰処理を実施い、生成されたアタクチックポリマー(ポリプロピレン)を除去するための洗浄ステップを実施なければならなかった。産業的に使用されるチーグラー・ナッタ触媒は、Al−アルキル化合物と組み合わして使用されるチタン化合物及びオプションとして内部電子供与体化合物が担持されたマグネシウムジハライドによって構成された固体触媒成分を含む。
【0003】
塩化マグネシウム系担体の使用は、触媒活性の増加及び塩化マグネシウム系担体及び誘導触媒の製造のための様々な技術の開発をもたらした。エチレン及びプロピレン重合の両方において、触媒活性が特に重要である。
【0004】
チーグラー・ナッタ触媒(“ZN触媒”)がプロピレン重合に使用される場合、これらは内部供与体を含有する。また、ZN触媒は、より高いアイソタクチック性を得るのに役立つ外部供与体(例えば、アルコキシシラン)と共にしばしば使用される。内部供与体の1つのクラスは、フタル酸のエステルによって構成され、ジイソブチルフタレートが最も多く使用される。フタレートは、一般に、外部供与体としてのアルキルアルコキシシランと組合されて内部供与体として使用される。このような触媒システムは、活性に関して優れた性能を提供することができ、高いアイソタクチック性及びキシレン不溶性を有するプロピレンポリマーを提供することができる。しかし、立体規則性ポリマーを生成するために、特にフタレートと異なる供与体に基づく固体触媒成分の本質的な能力を増加させる可能性が一般的な関心事である。実際に、本質的により立体特異的な触媒成分は、より少量の立体規則的なの内部及び/または外部供与体を使用してポリマーキシレン不溶性の標的に到逹することを可能にし、これは、結局、より高いプラント生産性を得る可能性に転換されるであろう。
【0005】
これに基づいて、固体触媒成分の立体特異性を向上させる方法を見出すことが非常に便利であり、特に、このような方法が広く適用可能であるということが便利であろう。
【0006】
ZN触媒の性能向上は、最終ZN触媒またはその塩化マグネシウム系担体に追加の物質を導入することによって得られることができる。このような物質が触媒構造及び/または触媒の性能を改変し得るので、これらは、また“改質剤(modifier)”とも呼ばれる。
【0007】
米国特許第4,237,254号は、ヒドロキシ塩化マグネシウム化合物を塩化ベンゾイルなどのハロゲン化剤と反応させることによって塩化マグネシウム系担体に変換させる触媒製造を開示している。次いで、担体を内部供与体として安息香酸塩(benzoate)とミルし(comilled)、TiCl
4で処理する。いくつかの場合に、担体は、内部供与体との接触前にBiCl
3のような無機化合物を含むことができる追加のハロゲン化剤で処理される。比較作業が連続的でない事実のため、この文献は、付加的な塩素化剤の使用が安息香酸塩を内部供与体として使用することに関連して立体特異性に関して助けになるか否かを明確にしなかった。しかし、出願人による試みは、触媒中のBiCl
3の使用が内部供与体として安息香酸塩の存在に関連する場合、活性/立体特異性での改善はないことを証明した。従って、BiCl
3は、米国特許第4,237,254号で使用される条件下で効果的な改質剤として作用していないように見える。
【0008】
担体またはそのMg化合物系の前駆体内に触媒改質剤を導入することは、担体または前駆体が大規模に生成された後、特定のレシピまたはさらなる成分について異なるいくつかのタイプの触媒に変換される場合に効率的でない可能性がある。その結果、特定のタイプの触媒において、担体中の改質剤の存在は不必要であるか、なお、好ましくないことさえある。一方、大規模なプラントを使用して少量の改質された担体または前駆体を生成することはまた非効率的であろう。
【0009】
さらに、担体またはそのMg化合物系前駆体の製造が連続的な工程である場合、製品キャンペーンの変化は、時間及び材料の著しい損失をもたらすことができる。また、製造レシピに応じて、特定の担体または前駆体は、化学構造及び関連する特性を変更せずに改質剤を含ませるのに適していないこともある。
【0010】
従って、同じ出発担体または前駆体に基づいた他の触媒製造経路に影響を及ぼさないように専用方法で改質剤の導入を許す改質されたZN触媒を生成する多目的工程を有することが有用である。
【0011】
今、本出願人は、驚くべきことに、エチレンまたはプロピレンのようなオレフィンを重合させるときに、活性及び/または立体特異性の改善を示す固体触媒成分を製造するための新規工程を見出した。
【0012】
さらに、前記方法は、非常に効果的で多目的であり、未改質触媒前駆体から出発するZN改質固体触媒成分を得ることを許す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特定の実施形態において、ビスマス化合物は、式Ti(OR
1)
q−yCl
yのチタン化合物を含む液体媒体中に溶解されるかまたは分散され、ここで、qはチタンの原子価であり、yは1〜qの数であり、R
1はC
1−C
20炭化水素基である。
【0015】
これらの中でも、テトラハロゲン化チタンまたはハロゲンアルコレートのようなチタンポリハロゲン化化合物が特に好ましい。好ましい特定のチタン化合物は、TiCl
4及びTi(OEt)Cl
3である。
【0016】
Ti化合物を含む液体媒体は、他の液体希釈剤中のTi化合物の混合物であり得る。好ましい希釈剤は、室温で液体である、オプションとして塩化された炭化水素である。非常に好ましい実施形態において、液体媒体は液体チタン化合物からなる。
【0017】
1つ以上のステップ(a)の第1のステップにおいて出発化合物として使用されるマグネシウム系化合物は、好ましくは、式MgCl
2・nR
1OHの付加物の中で選択され、ここで、nは0.1〜6の数であり、R
1は1〜18個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルである。好ましくは、nは1〜5、より好ましくは1.5〜4.5の範囲である。
【0018】
付加物は、付加物の溶融温度(100〜130℃)で撹拌条件下で作動して、アルコール及び塩化マグネシウムを混合することによって適切に製造することができる。次いで、付加物を付加物と非混和性である不活性炭化水素と混合することにより、これによって急速にクエンチングされるエマルジョンを生成し、これは球状粒子形態の凝固を引き起こす。この手順に従って製造された球状付加物の例は、米国特許第4,399,054号及び米国特許第4,469,648号に記載されている。
【0019】
球状化のための他の使用可能な方法は、例えば米国特許第5,100,849号及び米国特許第4,829,034号に記載されたスプレー冷却である。所望の最終アルコール含量を有する付加物は、付加物製造中に選択された量のアルコールを直接使用することによって得ることができる。
【0020】
前記言及された付加物は、Ti化合物と直接反応させることができるか、またはアルコールのモル数が減少し、その空隙率が増加される付加物を得るために、熱制御された脱アルコール化(80〜130℃)を以前に実施することができる。脱アルコール化が行われる場合、一般に、Mg1モル当たりのアルコールのモル数は3未満、好ましくは0.1〜2.5になる。
【0021】
Mg系化合物、特にMgCl
2−アルコール付加物とTi化合物との間の反応は、Mg系化合物を大過剰の冷たいTiCl
4(一般に0℃)中に懸濁させることによって行われることができ;混合物は、60〜140℃範囲の温度まで加熱し、このような温度で0.1〜4時間、好ましくは0.5〜2時間維持させる。その後、撹拌を中断し、固体粒子の沈降後に液相を除去する。
【0022】
このような反応ステップ(a)は、同じかまたは異なる条件下で1回以上行うことができる。例えば、処理の温度及び期間を変更することができる。好ましい実施形態において、ステップ(a)の数は1〜3に含まれる。
【0023】
使用される場合、電子供与体化合物は、Mg系化合物と液体Ti化合物との間の1つ以上の反応ステップ(a)中に所望の比率で添加することができる。
【0024】
好ましくは、電子供与体化合物は、少なくともMg系化合物とTi化合物との間の反応の第1ステップ(a)中に添加される。場合によって、このような処理を1回または2回さらに繰り返すことができる。
【0025】
他の実施形態において、WO2004/106388号に記載されているような電子供与体化合物は、付加物とTi化合物との間の前述の反応によって得られた固体中間触媒成分に新たな反応物として添加することができる。
【0026】
特定の実施形態において、反応ステップ(a)は、WO02/48208号に記載されている装置及び条件下で液体Ti化合物、好ましくはTiCl
4の連続的な供給によって行われる。このような実施形態下で、Mg系化合物をバッチ式に供給しながら、所望の温度プロファイルを有する液体Ti化合物の連続ストリームを供給し、溶解した反応生成物を含有する液相を連続的に排出する。これらの基本条件下で、Bi化合物及びオプションとして電子供与体は、Ti化合物の供給中に任意の時点で添加することができる。
【0027】
前記のように、1つ以上の反応ステップ(a)において、チタン化合物を含む液体媒体はまた、溶解されるかまたは分散されたBi化合物を含む。
【0028】
Bi化合物は、好ましくは、Bi−炭素結合を有さない。特に、Bi化合物は、Biハロゲン化物、Bi炭酸塩、Bi酢酸塩、Bi硝酸塩、Bi酸化物、Bi硫酸塩、Bi硫化物から選択され得る。Biが原子価+3を有する化合物が好ましい。Biハロゲン化物の中で、三塩化物Bi及び三臭化物Biが好ましい。最も好ましいBi化合物はBiCl
3である。
【0029】
チタン化合物中に分散または可溶化されたビスマス化合物の量は、Mg1モル当たり0.005〜0.1モル、好ましくは0.010〜0.040の範囲である。
【0030】
Bi化合物は、Ti化合物を含む液体媒体中に既にMg系化合物を含む反応システムに添加することができるが、これはTi化合物を含む液体媒体中にBi化合物を溶解されるかまたは分散させた後、前記混合物をMg系化合物と反応させることを含む液体混合物を製造するのが好ましい実施形態を構成する。前記反応ステップ(a)について記載された反応条件も同様に適用される。
【0031】
Bi化合物は、本開始の方法を含む1つ以上の反応ステップ(a)のいずれかで使用することができる。しかし、好ましくは、ステップ(a)のうちの1つのみに使用される。
【0032】
最後のステップ(a)の終了時に、固体触媒成分は、好ましくは、塩化物イオンがもはや従来の技術では検出されなくなるまで炭化水素溶媒で洗浄を実施する。
【0033】
本開始による(共)重合用固体触媒成分の製造方法は、好ましくは、固体触媒成分の総量に対して0.5〜40%、より好ましくは0.5〜35、さらにより好ましくは0.5〜20または特に1〜20%重量範囲のBiの含量を有する触媒成分を得ることを許す。
【0034】
固体触媒成分の粒子は、実質的に球状のモホロジー及び5〜150μm、好ましくは20〜100μm、より好ましくは30〜90μm範囲の平均直径を有する。実質的に球状のモホロジーを有する粒子としては、より大きい軸とより小さな軸との間の比率が1.5以下、好ましくは1.3未満であることを意味する。
【0035】
一般に、Mgの量は、好ましくは、固体触媒成分の総重量に対して8〜30%、より好ましくは10〜25%重量の範囲である。
【0036】
Tiの量は、固体触媒成分の総重量に対して0.5〜5%、より好ましくは0.7〜3%重量の範囲であり得る。
【0037】
Biの量が増加するにつれてTiの量が減少することが観察された。結果的に、これは本開示の特定の態様であり、開示された触媒のMg/Tiモル比は、Biを含有しない触媒の対応する比よりも大きい。
【0038】
使用される場合、内部電子供与体は、エーテル、アミン、シラン、カルバメート、ケトン、脂肪酸のエステル、オプションとして置換された芳香族ポリカルボン酸のアルキル及びアリールエステル、モノエステルモノ−カルバメート及びモノエステルモノカルボナートの中から選択されたジオール誘導体またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0039】
内部供与体が、オプションとして置換された芳香族ポリカルボン酸のアルキル及びアリールエステルから選択される場合、好ましい供与体は、フタル酸のエステルである。好ましい脂肪族酸エステルは、マロン酸、グルタル酸、マレイン酸及びコハク酸から選択される。このようなエステルの具体例は、n−ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート及びジ−n−オクチルフタレートである。
【0040】
好ましくは、エーテルは、式(I)の1、3ジエテルから選択され得る:
【0042】
前記式において、R、R
I、R
II、R
III、R
IV及びR
Vは、互いに同じかまたは異なり、水素または1〜18個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルであり;R
VI及びR
VIIは、互いに同じかまたは異なり、R
VI及びR
VIIが水素であることができない場合を除いては、R−R
Vと同じ意味を有し;R−R
VII基中の1つ以上は連結されて環を形成することができる。R
VI及びR
VIIがC
1−C
4アルキルラジカルから選択される1、3−ジエーテルは特に好ましい。
【0043】
また、前記した供与体の混合物を使用することができる。特定の混合物は、WO2011/061134号に開示されているように、コハク酸と1、3ジエーテルのエステルによって構成されたものである。
【0044】
エチレン/α−オレフィンコポリマーの生成の場合のように、ポリマー鎖内にオレフィンコモノマーを分布させるための触媒の能力を増加させることが好ましい場合、エーテル及び脂肪族モノカルボン酸のC
1−C
4アルキルエステルの中から選択された単官能供与体の中から電子供与体を選択することが好ましい。好ましいエーテルは、C
2−C
20脂肪族エーテル、特に、好ましくは3〜5個の炭素原子を有する環状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのような環状エーテルである。好ましいエステルは酢酸エチル及びギ酸メチルである。これらの中でも、テトラヒドロフラン及び酢酸エチルが最も好ましい。
【0045】
一般に、固体触媒成分中の電子供与体化合物の最終量は、固体触媒成分の総重量に対して0.5〜40重量%、好ましくは1〜35重量%の範囲であり得る。
【0046】
またMg/供与体のモル比は、Biの存在によって影響を受け、一般にBiを含まない触媒に対して対応する比率よりも大きいことが観察された。
供与体がオプションとして置換された芳香族ポリカルボン酸、特にフタレートのアルキル及びアリールエステルに属する場合に、Mg/Tiモル比は13以上、好ましくは14〜40の範囲、より好ましくは15〜40である。それに対応して、Mg/供与体モル比は16より大きく、より好ましくは17より大きく、通常は18〜50の範囲である。
供与体が式(I)のジエーテルに属する場合に、Mg/Tiモル比は、6より大きく、好ましくは7より大きく、Mg/供与体のモル比は、典型的には9〜20、好ましくは10〜20の範囲である。
【0047】
本開始によって得られた固体触媒成分は、一般に20〜500m
2/g、好ましくは50〜400m
2/gの表面積(B.E,T.法による)、及び0.2cm
3/g超過、好ましくは0.3〜0.6cm
3/gの総空隙率(B.E.T.法による)を好ましく示す。10.000Åまでの空隙による空隙率は、一般に0.3〜1.5cm
3/g、好ましくは0.45〜1cm
3/gの範囲である。
固体触媒成分は、好ましくは5〜120μm、より好ましくは10〜100μm範囲の平均粒子サイズを有する。
【0048】
本開始の方法に従って製造された固体触媒成分は、公知された方法に従って有機アルミニウム化合物と反応させることにより、オレフィン重合用触媒に変換される。
【0049】
有機アルミニウム化合物は、好ましくは、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム化合物から選択される。アルキルアルミニウムハロゲン化物、アルキルアルミニウム水素化物またはアルキルアルミニウムセスキ塩化物、例えばAlEt
2Cl及びAl
2Et
3Cl
3を使用することができ、おそらく、前記引用されたトリアルキルアルミニウムとの混合物として使用することができる。
【0050】
Al/Ti比は、1より大きく、一般に50〜2000、好ましくは50〜500に含まれる。
【0051】
オプションとして、外部電子供与体化合物が使用され得る。これは、ケイ素化合物、エーテル、エステル、アミン、ヘテロ環式化合物及び2、2、6、6−テトラメチルピペリジン及びケトンの中から好ましい選択される。好ましい外部供与体化合物の他のクラスは、式(R
6)
a(R
7)
bSi(OR
8)
cのケイ素化合物のものであり、ここでa及びbは0〜2の整数であり、cは1〜4の整数であり、(a+b+c)の合は4であり;R
6、R
7、及びR
8は、オプションとして、ヘテロ原子を含有する1〜18個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアリールラジカルである。aが1であり、bが1であり、cが2であり、R
6及びR
7のうちの少なくとも1つは、オプションとしてヘテロ原子を含む3〜10個の炭素原子を有する分岐型アルキル、シクロアルキルまたはアリール基から選択され、R
8はC
1−C
10アルキル基、特にメチルであるケイ素化合物が特に好ましい。このような好ましいケイ素化合物の例は、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン(C供与体)、ジフェニルジメトキシシラン、メチルt−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン(D供与体)、ジイソプロピルジメトキシシラン、(2−エチルピペリジニル)t−ブチルジメトキシシラン、(2−エチルピペリジニル)ジエチルジメトキシシラン、(3、3、3−トリフルオロ−n−プロピル)(2−エチルピペリジニル)ジメトキシシラン、メチル(3、3、3−トリフルオロ−n−プロピル)ジメトキシシランである。aが0であり、cが3であり、R
7がオプションとしてヘテロ原子を含有する、分枝型アルキルまたはシクロアルキル基であり、R
8がメチルであるケイ素化合物がまた好ましい。このような好ましいケイ素化合物の例は、シクロヘキシルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン及びテキシルトリメトキシシランである。
【0052】
外部電子供与体化合物は、有機アルミニウム化合物と外部電子供与体化合物とのモル比が0.1〜500、好ましくは1〜300、より好ましくは3〜100に提供する量で使用される。
【0053】
本開始に従って製造された触媒は、Rが水素または1〜12個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであるCH
2=CHRオレフィンを(共)重合するための方法に使用され得る。
【0054】
重合方法は、例えば希釈剤として不活性炭化水素溶媒を使用するスラリー重合、または反応媒体として液体モノマー(例えば、プロピレン)を使用するバルク重合のような利用可能な技術によって行われることができる。さらに、1つ以上の流動床または機械的撹拌層反応器で作動する気相で重合工程を行うことが可能である。
【0055】
重合は、20〜120℃、好ましくは40〜80℃の温度で行われる。重合が気相で行われる場合、作動圧力は0.5〜5MPa、好ましくは1〜4MPaの範囲であり得る。バルク重合において、作動圧力は1〜8MPa、好ましくは1.5〜5MPaの範囲であり得る。
【0056】
本開始の方法は、担体前駆体として使用されるMg系化合物にBi化合物を含める必要なく、Bi化合物を固体触媒成分中に混入させる。従って、Mg系化合物は、またBi化合物の使用を伴わない触媒製造レシピにおいて使用することができる。本開始に従って製造されたBi含有触媒は、ビズマス原子を含まない同じ条件下で製造された触媒に比べて、特に立体特異性の増加に起因する活性/立体特異性均衡がプロピレン単独重合において示された。これは、所定レベルのポリマー立体規則性(キシレン不溶性物質の百分率として表される)が、ビズマス原子を含まない同じ触媒に対してより少ない量の内部供与体を使用して得ることができることを意味する。触媒中に供与体をより効率的に混入させることは、触媒製造方法におけるより少ない量の供与体の使用を可能にし、Ti化合物、Mg化合物及び内部供与体との間の反応における副産物の生成を減少させる。
【0057】
実験セクションに示された重合条件において、本開始の方法で得られた触媒成分は、キシレン不溶性に関して表されるアイソタクチック性が少なくとも98%、好ましくは98.5超過、及びより好ましくは99%超過であるポリプロピレンを生成することができる。
【0058】
以下の実施例は、本開始をよりよく説明するために提供されると、本開始を限定しない。
【実施例】
【0059】
特徴化
Mg、Tiの測定
固体触媒成分中のMg及びTi含量の測定は、“I.C.P分光計ARL Accuris”で誘導結合型プラズマ放出分光器によって行った。
【0060】
サンプルは、“Fluxy”白金るつぼ”に0.1〜0.3グラムの触媒及び2グラムのメタボウ酸リチウム/四ボウ酸リチウム1/1混合物を分析秤量して製造した。KI溶液の数滴を添加した後、るつぼを完璧な燃焼のための“Claisse Fluxy”装置に挿入した。残留物を5%v/vHNO
3溶液を使用して収集した後、以下の波長:マグネシウム、279.08nm;チタン、368.52nmでICPを介して分析した。
【0061】
Biの測定
固体触媒成分中のBi含量の測定は、“I.C.P分光計ARL Accuris”で誘導結合型プラズマ放出分光器によって行った。
【0062】
サンプルは、200cm
3用量のフラスコに0.1〜0.3グラムの触媒を分析秤量して製造した。約10ミリリットルの65%v/vHNO
3溶液及び約50cm
3の蒸溜水の両方をゆっくり添加した後、サンプルを4÷6時間消化させる。次いで、前記用量フラスコを脱イオン水で表示まで希釈させる。得られた溶液を以下の波長:ビスマス223.06nmでICPを介して直接分析した。
【0063】
内部供与体含量の測定
固体触媒化合物の中で内部供与体の含量測定は、ガスクロマトグラフィーを介して行われた。固体成分をアセトンに溶解させ、内部標準を添加した後、有機相のサンプルをガスクロマトグラフで分析して出発触媒化合物に存在する供与体の量を測定した。
【0064】
X.I.の測定
2.5gのポリマー及び250mlのo−キシレンを冷却器及び還流凝縮器が備えられた丸底フラスコに入れ、窒素下に維持させた。得られた混合物を135℃に加熱し、約60分間撹拌下に維持させた。最終溶液を連続的に撹拌しながら25℃まで冷却させた後、不溶性ポリマーを濾過させた。濾過液を140℃の窒素気流下で蒸発させて一定の重量に到逹した。前記キシレン可溶性分画の含量は、元の2.5グラムの百分率として表され、その差によってX.I.%で表された。
【0065】
溶融流量(MIL)
重合体の溶融流量MILは、ISO 1133(230℃、2.16Kg)に従って測定した。
【0066】
Mg系化合物I(球状付加物)の製造のための手順
マイクロ球状MgCl
2・pC
2H
5OH付加物を国際公開WO98/44009号の実施例2に記載された方法に従って製造した。57重量%のエタノールを含有する得られた固体球状粒子は、エタノールのレベルが50重量%に到逹されるまで暖かい窒素流れ下で脱アルコール化ステップを経った。
【0067】
Mg系化合物II(球状付加物)の製造のための手順
表1に示した量で粉末形態のBiCl
3を溶融MgCl
2−EtOH付加物製造ステップで添加したことの差は、WO98/44009号の実施例2に記載された方法に従ってマイクロ球状MgCl
2・pC
2H
5OH付加物を製造した。57重量%のエタノールを含有する得られた固体球状粒子は、エタノールのレベルが50重量%に到逹されるまで暖かい窒素流れ下で脱アルコール化ステップを経った。
【0068】
Mg系化合物IIIの製造のための手順
前駆体の合成を、米国特許第4,220,554号の実施例1に記載されているように行った。このようにして得られた担体は、以下の組成物を有する:Mg20.2重量%;Cl、29.8重量%;EtOH基41.5重量%。
【0069】
フタレート系固体触媒成分の製造のための手順
機械的攪拌機、冷却器及び温度計が備えられた500ml丸底フラスコに300mlのTiCl
4を室温で窒素雰囲気下で導入した。0℃に冷却した後、撹拌しながら、表1に示された量の粉末形態BiCl
3、表1に示された量のジイソブチルフタレート(DIBP)、及び15.0gのMg系化合物I、IIまたはIII(前記のように製造された)を順次にフラスコに添加した。供給された内部供与体の量は、表1に示されたMg/供与体モル比を満たす量であった。温度を100℃まで上昇させ、1時間維持させた(第1ステップ(a))。その後、撹拌を中止し、固体生成物を沈降させ、上澄液を100℃で吸い上げた(siphoned off)。上澄液を除去した後使用された場合、表1に示された量のジイソブチルフタレートと共に、室温で追加の新たなTiCl
4を添加して初期液体体積に再び到逹した。次いで、混合物を120℃で加熱し、このような温度で30分間維持させた(第2ステップ(a))。撹拌を再び中止し、固体を沈降させた後、100℃で上澄液を吸い上げた。上澄液を除去した後、室温で追加の新たなTiCl
4を添加して初期液体体積に再び到逹した。次いで、混合物を120℃で加熱し、このような温度で15分間維持させた(第3ステップ(a))。撹拌を再び中止し、固体を沈降させ、100℃で上澄液を吸い上げた。固体を無数ヘプタンで90℃以下の温度勾配で4回洗浄し、25℃で1回洗浄した。得られた固体を真空下で乾燥させ、分析した。
【0070】
グルタレート系固体触媒成分の製造のための手順
グルタレート系固体触媒成分の製造は、ジイソブチルフタレートの代わりにジエチル、3、3−ジプロピルグルタレートを使用し、第1ステップ(a)の温度が100℃の代わりに120℃である差を有する、フタレート系固体触媒成分と同じである。
【0071】
Mg系化合物、グルタレートの量、BiCl
3の量及びMg/グルタレートのモル比は、表2に報告されている。
【0072】
プロピレン重合の一般的な手順
撹拌機、圧力計、温度計、触媒供給システム、モノマー供給ライン及び温度調節ジャケットが備えられた4リットルの鋼鉄オートクレーブを窒素流れ下で70℃で1時間パージした。以前に5分間予め接触させた75mlの無数ヘクサン、0.76gのAlEt
3(6.66ミリモル)、0.33ミリモルの外部供与体及び0.006〜0.010gの固体触媒成分を含有する懸濁液を充填させた。ジシクロペンチルジメトキシシラン、D供与体またはシクロヘキシルメチルジメトキシシラン、C供与体中のいずれかを表1及び2に明示された外部供与体として使用した。
【0073】
オートクレーブを閉じ、所望の量の水素を添加した(特に、D供与体試験で2NL、C供与体試験で1.5NL)。次いで、撹拌下に、1.2kgの液体プロピレンを供給した。温度を約10分内で70℃まで上昇させ、このような温度で2時間重合を行った。重合の終了時に、未反応プロピレンを除去し;ポリマーを回収し、70℃で真空下で3時間乾燥させた。次いで、ポリマーを秤量し、特徴とする。
フタレート系固体触媒成分に対する重合結果は、表1に報告されており、一方、グルタレート系固体触媒成分に対する結果は、表2に報告されている。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】