【文献】
ROMBOUTS, F. J. R. et al.,Pyrido[4,3.e][1,2,4]triazolo[4,3.a]pyrazines as Selective, Brain Penetrant Phosphodiesterase 2 (PDE2) Inhibitors,ACS Med. Chem. Lett.,2015年,Vol. 6,p. 282-286
【文献】
BROCETA, A. U. et al.,Regioselective One-Pot Synthesis of 9-Alkyl-6-chloropyrido[3,2-e][1,2,4]triazolo-[4,3-a]pyrazines. Reactivity of Aliphatic and Aromatic Hydrazides,J. Org. Chem.,2005年,Vol. 70,p. 2878-2880
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と混合することを含む、医薬組成物を調製するためのプロセス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある特定のヒトPDE1阻害薬、この化合物を含む医薬組成物、この化合物を使用して生理学的障害を治療する方法、ならびにこの化合物の合成に有用な中間体およびプロセスに関する。
【0002】
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、cAMPおよびcGMPが加水分解される速度を制御することによって、これらの環状ヌクレオチドの細胞内レベルを調節する酵素である。カルシウムおよびカルモジュリン依存性PDEであるPDE1は、少なくとも11ある既知のPDEファミリーの1つである。PDE1は、脳、心臓、肺、腎臓、および平滑筋を含む多くの組織において発現する。さらに、PDE1は、PDE1A、PDE1B、およびPDE1Cという3つの既知のアイソフォームのファミリーからなる。
【0003】
糖尿病に罹患している患者は、糖尿病性腎臓病(または糖尿病性腎症)と呼ばれる慢性腎臓病の一種をしばしば発症する。糖尿病性腎臓病は、糖尿病患者の40%程度に影響を及ぼし得ると推定されている。糖尿病性腎臓病の治療の選択肢は限られており、血圧を下げる薬剤の使用、血糖値、食事、および体重の管理、ならびに定期的な身体活動の実施を含む。したがって、慢性腎臓病、特に糖尿病性腎臓病に罹患している患者のためのさらなる治療選択肢の必要性がある。
【0004】
米国特許第8,299,080号は、排尿痛および高血圧などの種々の障害を治療するのに有用なPDE9阻害活性を有するある特定のキノキサリン誘導体を開示している。さらに、欧州特許第0040401号は、降圧活性を有するある特定の置換トリアゾロキノキサリン−4−オンを開示している。
【0005】
本発明は、ヒトPDE1の阻害剤である、ある特定の新規の化合物を提供する。さらに、本発明は、PDE2A、PDE3A、PDE4D、PDE5A、PDE6AB、PDE7B、PDE8A、PDE9A、PDE10AおよびPDE11Aなどの他のヒトPDEと比較して、ヒトPDE1A、PDE1B、およびPDE1Cの選択的阻害薬である、ある特定の新規の化合物を提供する。さらに、本発明は、降圧作用を有し得、また腎血流を改善し得るある特定の新規の化合物を提供する。さらに、本発明の化合物は腎線維症を軽減し得る。
【0006】
したがって、本発明は、式Iの化合物
【化1】
またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0007】
本発明はまた、患者における慢性腎臓病を治療する方法であって、このような治療を必要としている患者へ、有効量の式Iの化合物を投与することを含む、方法を提供する。
【0008】
本発明はまた、患者における糖尿病性腎臓病を治療する方法であって、このような治療を必要としている患者へ、有効量の式Iの化合物を投与することを含む、方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、患者における高血圧を治療する方法であって、このような治療を必要としている患者へ、有効量の式Iの化合物を投与することを含む、方法を提供する。
【0010】
さらに、本発明は、療法における使用のための、式Iの化合物を提供する。本発明はさらに、慢性腎臓病の治療における使用のための式Iの化合物を提供する。さらに、本発明は、糖尿病性腎臓病の治療における使用のための式Iの化合物を提供する。さらに、本発明は高血圧の治療における使用のための式Iの化合物を提供する。さらに、本発明は、慢性腎臓病の治療用の薬剤の製造のための式Iの化合物の使用を提供する。さらに、本発明は、糖尿病性腎臓病の治療用の薬剤の製造のための式Iの化合物の使用を提供する。本発明はさらに、高血圧の治療用の薬剤の製造のための式Iの化合物の使用を提供する。
【0011】
本発明はさらに、式Iの化合物を1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と共に含む、医薬組成物を提供する。本発明はさらに、式Iの化合物を1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と混合することを含む、医薬組成物を調製するためのプロセスを提供する。本発明はまた、式Iの化合物の合成のための新規の中間体およびプロセスを包含する。
【0012】
本明細書で使用する場合、「治療すること」、「治療」、または「治療する」という用語は、既存の症状または障害の進行または重症度を妨げること、抑制すること、遅延させること、停止させること、または逆転させることを含む。
【0013】
本明細書で使用する場合、「患者」という用語は、マウス、モルモット、ラット、イヌ、またはヒトなどの哺乳類を指す。好ましい患者がヒトであることは理解される。
【0014】
本明細書で使用する場合、「有効量」という用語は、患者への単回用量または複数回用量の投与の際に、診断または治療の下にある患者における所望の効果を提供する、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の量または用量を指す。
【0015】
有効量は、既知の技術を用いる当業者によって、および類似の状況下で得られた結果を観察することによって、容易に判断することができる。患者のための有効量を判断する上で、患者の大きさ、年齢、および全身レベルの健康状態、関与する具体的な疾患または障害、疾患または障害の程度または関与もしくは重症度、個々の患者の応答、投与される特定の化合物、投与の様式、投与される製剤の生物学的利用率の特徴、選択された投与レジメン、付随する薬剤の使用、ならびにその他の関連する状況を含むが、これらに限定されない、多数の要因が当業者によって考慮される。
【0016】
式Iの化合物は概して、広い薬用量範囲にわたって有効である。例えば、1日当たりの薬用量は通常、約0.01〜約20mg/体重kgの範囲内に収まる。いくつかの場合においては、上述の範囲の下限値を下回る薬用量レベルが十分過ぎることがあるのに対し、他の場合においては、許容され得る副作用を伴って、さらに多い用量が採用されることがあり、それゆえ、先の薬用量範囲は、いかなる方法においても本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0017】
本発明の化合物は、好ましくは、経口経路および経皮経路を含む、この化合物を生体利用可能にするいかなる経路によっても投与される医薬組成物として製剤される。最も好ましくは、このような組成物は経口投与用である。このような医薬組成物およびこの医薬組成物の調製方法は、当該技術分野において十分に既知である。(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,L.V.Allen,Editor,22
nd Edition,Pharmaceutical Press,2012を参照されたい)。
【0018】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、例えば、当該技術分野で十分に既知の標準的な条件下での本発明の化合物の適切な遊離塩基および適切な薬学的に許容される酸の、適切な溶媒中での反応によって形成され得る。このような塩の形成は、当該技術分野で十分に既知であり、理解されている。例えば、Gould,P.L.,“Salt selection for basic drugs,”International Journal of Pharmaceutics,33:201−217(1986)、Bastin,R.J.,et al.“Salt Selection and Optimization Procedures for Pharmaceutical New Chemical Entities,”Organic Process Research and Development,4:427−435(2000)、およびBerge,S.M.,et al.,“Pharmaceutical Salts,”Journal of Pharmaceutical Sciences,66:1−19,(1977)を参照されたい。
【0019】
ある特定の略語は次のように定義される。「ACN」はアセトニトリルを指し、「AcOH」は氷酢酸を指し、「DBU」は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンを指し、「DCM」はジクロロメタンまたは塩化メチレンを指し、「DIPEA」はN,N−ジイソプロピルエチルアミンを指し、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを指し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを指し、「EDCI」は1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを指し、「ES/MS」はエレクトロスプレー質量分析を指し、「EtOAc」は酢酸エチルを指し、「Et
2O」はジエチルエーテルを指し、「EtOH」はエタノールを指し、「HMDS」はヘキサメチルジシラザンを指し、「HOBT」はヒドロキシベンゾトリアゾールを指し、「hr」は1時間または複数時間を指し、「IC
50」は薬剤について可能な最大阻害応答の50%を生じるこの薬剤の濃度を指し、「μmol」は1つまたは複数のマイクロモルを指し、「min」は1分間または複数分間を指し、「MeOH」はメタノールまたはメチルアルコールを指し、「MTBE」はメチル−tert−ブチルエーテルを指し、「NiNTA」は、キレート剤としてニトリロ三酢酸で官能化されたアガロース固定相を用いるクロマトグラフィーを指し、「POCl
3」はオキシ塩化リンを指し、「RT」は室温を指し、「SNAr」は求核芳香族置換を指し、「TEA」はトリエチルアミンを指し、「THF」はテトラヒドロフランを指し、「トリス」は、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオールを指し、「U/ml」はミリリットル当たりの単位を指し、「wt」は重量を指す。
【0020】
本発明の化合物は、当業者に既知の種々の手順によって調製することができ、この化合物のうちのいくつかは、後述のスキーム、調製、および実施例において説明される。当業者は、説明される経路のそれぞれについての具体的な合成ステップが、本発明の化合物を調製するために、異なる方法で、または異なるスキームからのステップと共に、組み合わせることができることを認識している。以下のスキームにおけるそれぞれのステップの生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、濾過、磨砕、および結晶化を含む、当該技術分野で十分に既知の従来法によって回収することできる。以下のスキームにおいて、置換基はすべて、別段の記載がない限り、すでに定義された通りである。試薬および出発材料は、当業者にとって容易に入手可能である。本発明の範囲を制限することなく、以下のスキーム、調製、および実施例は、本発明をさらに説明するために提供される。
【化2】
【0021】
スキーム1は、式Iの化合物の合成を図示する。スキーム1のステップAにおいて、種々の求核試薬を用いて達成される3−フルオロ−2−ニトロピリジンのSNAr反応は、当該技術分野において十分に認識されている。例えば、約1当量の3−フルオロ−2−ニトロピリジンを、EtOHのような適切な極性溶媒中で約3当量のブタン−1−アミンと反応させる。次いで、この生成物を、抽出等の当該技術分野で周知の技術を用いることによって単離することができる。例えば、反応混合物を、水で希釈し、EtOAcのような適切な極性有機溶媒を用いて抽出することができる。有機抽出物を一緒にし、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、次のステップでの使用に十分な純度のステップAの生成物であるN−ブチル−2−ニトロ−ピリジン−3−アミンを、さらなる精製なしで提供することができる。
【0022】
その後のニトロ基の還元は、当該技術分野において十分に既知である。スキーム1のステップBにおいて、例えば、約1当量のステップAの生成物N−ブチル−2−ニトロ−ピリジン−3−アミンを、パラジウム炭素のような適切な遷移金属触媒の存在下で、MeOHのような種々の有機溶媒中で水素化することができる。次いで、この還元した生成物を、濾過および抽出のような当該技術分野で十分に既知の技術を利用することによって単離することができる。例えば、粗反応混合物を珪藻土床で濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、さらなる精製なしでの次のステップにおける使用に十分な純度の、スキーム1のステップBの生成物N3−ブチルピリジン−2,3−ジアミンを得ることができる。
【0023】
スキーム1のステップCのジオン生成物への環化は、EtOHのような適切な有機溶媒中のシュウ酸ジエチルを用いた熱アシル化条件下で達成することができる。例えば、約1当量のN3−ブチルピリジン−2,3−ジアミンを、約100℃の密封したチューブ中のEtOHのような適切な極性有機溶媒中の約5当量のシュウ酸ジエチルで処理することができる。次いで、沈殿および濾過のような当該技術分野で十分に既知の技術を利用して、環化した生成物を単離することができる。例えば、この反応混合物を約−10〜0℃へ冷却してもよく、その後の沈殿物を濾過およびジエチルエーテルによる洗浄によって収集して、追加の精製なしでの次のステップにおける使用に十分な純度の、スキーム1のステップCの生成物1−ブチル−4H−ピリド[2,3−b]ピラジン−2,3−ジオンを得ることができる。
【0024】
ヒドラジンのような求核試薬を用いた活性化カルボニルの脱水は、当該分野において十分に認識されている。例えば、約1当量のスキーム1の工程Cの生成物1−ブチル−4H−ピリド[2,3−b]ピラジン−2,3−ジオンは、加圧したチューブ内で約100℃の約5当量のヒドラジン一水和物で処理することができる。次いで、この生成物を沈殿および濾過のような当該技術分野で十分に既知の技術を利用することで単離することができる。例えば、粗反応混合物を約0℃へ冷却することができ、結果として生じる沈殿物を濾過およびジエチルエーテルによる洗浄によって回収して、さらなる精製なしで次の工程で使用するのに十分な純度のスキーム1のステップDの生成物1−ブチル−3−ヒドラジノ−ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オンを得ることができる。
【0025】
その後のステップDのヒドラジン生成物のアルキル化は、当該技術分野において十分に既知の種々の還元的アミノ化技術の下で達成することができる。例えば、約1当量のスキーム1のステップDの生成物1−ブチル−3−ヒドラジノ−ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オンを、約RTの触媒量のAcOHなどの適切な酸を含有するMeOHなどの適切なアルコール溶媒中で、1−メチルシクロプロパンカルボアルデヒド(CAS#4515−89−3、Enamine LLC,米国)などの約2当量の適切に置換されたアルキルアルデヒドで処理して還元してもよい。次いで、この生成物は、結晶化および濾過のような当該技術分野で十分に既知の技術を利用して単離することができる。例えば、粗反応混合物を減圧下で濃縮することができ、この生成物は、ヘキサンのような適切な有機溶媒を用いて結晶化して、続く濾過でスキーム1のステップEの生成物1−ブチル−3−[2−[(1−メチルシクロプロピル)メチレン]ヒドラジノ]ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オンを収集することができる。
【0026】
式1の化合物の調製は、超原子価ヨウ素仲介性酸化的環化(R.Aggarwal & G.Sumran,Synthetic Communications,36:1873−1876,2006)を置換イミン1−ブチル−3−[2−[(1−メチルシクロプロピル)メチレン]ヒドラジノ]ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オン上で、0℃からRTの範囲の温度で、DCMなどの適切な有機溶媒中で用いることで達成することができる。例えば、約1当量のスキーム1のステップEの生成物1−ブチル−3−[2−[(1−メチルシクロプロピル)メチレン]ヒドラジノ]ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オンは、DCMに溶解し、約0℃からRTの約2当量のヨードソベンゼンジアセタート(iodosobenzene diacetate)(CAS#3240−34−4)で処理することができる。次いで、抽出およびクロマトグラフィーのような、当該技術分野で十分に既知の技術を利用して、生成物を単離することができる。例えば、反応混合物を水で希釈して、DCMで抽出することができる。層は分離することができ、有機層を飽和NaHCO
3水溶液で連続的に洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣を、EtOAcおよびヘキサンのような適切な溶媒混合物の勾配を使用して、シリカ上でのクロマトグラフィーによって精製して、スキーム1のステップFの生成物である式Iの化合物を得ることができる。
【化3】
【0027】
スキーム2は、式Iの化合物の代替的な合成を図示する。スキーム2のステップAにおいて、スキーム1のステップCの生成物1−ブチル−4H−ピリド[2,3−b]ピラジン−2,3−ジオンは、当該技術分野で周知のようなクロロ化合物へ、RTから還流温度までの範囲の温度で、触媒量のDMFを含有するDCMまたはACNのような適切な有機溶媒中で、POCl
3、SOCl
2、塩化オキサリル、またはPCl
5のような適切な塩素化剤を用いて変換することができる。例えば、約1当量のスキーム1のステップCの生成物1−ブチル−4H−ピリド[2,3−b]ピラジン−2,3−ジオンを、DMF含有ACN中に溶解することができ、得られた反応混合物は、約3当量の塩化チオニルで処理し、約3時間加熱還流することができる。反応混合物を大気温へ冷却した後に減圧下で濃縮して、さらなる精製なしでその後に使用するのに適しているスキーム2のステップAの生成物1−ブチル−3−クロロ−ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オンを提供する。
【0028】
スキーム2のステップBにおいて、塩化物置換は、約1当量のスキーム2のステップAの生成物1−ブチル−3−クロロ−ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オンを、THFのような極性非プロトン性溶媒中で、RTで約8〜24時間、約4当量のヒドラジン一水和物水溶液で処理することによって達成することができる。次いで、生成物は、抽出および共沸蒸留のような、当該技術分野において十分に既知の技術を利用して単離することができる。例えば、反応混合物は、水で希釈し、濾過することができ、濾過ケークは、トルエンまたはMTBEのような高沸点の適切な有機溶媒を用いて洗浄することができ、得られた水を、2−メチル−テトラヒドロフランのような適切な高沸点溶媒を用いた減圧下の回転式蒸発器上での単純な共沸蒸留によって二相混合物から除去して、スキーム2のステップBの生成物1−ブチル−3−ヒドラジノ−ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オンを得ることができる。
【0029】
ステップBの生成物のアシル化は、当該技術分野で十分に既知の種々のアミドカップリング技術を用いて、適切なカルボン酸を用いて達成することができる。例えば、約1当量のスキーム2のステップBの生成物1−ブチル−3−ヒドラジノ−ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オンを、約1.5当量の1−メチルシクロプロパン−カルボン酸と、約1.5当量のEDCIと1.5当量のHOBTとを含有するTHF、DMF、またはDMSOのような適切な有機溶媒中でカップリングさせ、続いて、約3〜5当量のDIPEAまたはTEAのような非求核性有機塩基を添加することができる。次いで、この生成物は、抽出のような当該技術分野で十分に既知の技術を利用して単離することができる。例えば、反応混合物を水で希釈したHCl水溶液のような適切な鉱酸で中和し、DCM、EtOAc、MTBE、またはEt
2Oのような適切な有機溶媒を用いて洗浄することができる。層は分離することができ、得られた水層をK
2CO
3、NaHCO
3、またはNa
2HSO
3のような適切なアルカリ性固体でpH約7〜8に塩基性化し、続いてDCM、EtOAc、またはEt
2Oのような適切な有機溶媒で抽出することができる。有機層を水、飽和NaCl水溶液で連続的に洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、スキーム2のステップCの生成物N’−(1−ブチル−2−オキソ−ピリド[2,3−b]ピラジン−3−イル)−1−メチル−シクロプロパンカルボヒドラジドを得ることができる。
【0030】
スキーム2のステップDにおいて、式1の化合物は、当該技術分野において十分に既知の温熱条件またはマイクロ波条件の下での環化によって達成することができる。例えば、約1当量のN’−(1−ブチル−2−オキソ−ピリド[2,3−b]ピラジン−3−イル)−1−メチル−シクロプロパンカルボヒドラジドを、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンのような約0.2当量の適切な非求核性有機塩基を含有するヘキサメチルジシラザンのような適切な溶媒中で、還流下で約2〜12時間加熱することができる。次いで、この生成物は、希釈、濾過、摩砕、およびクロマトグラフィーのような、当該技術分野で十分に既知の技術を利用して単離することができる。例えば、反応混合物を水中へ注ぐことができ、得られた沈殿物を濾過により集め、続いて集めた固体をDCMのような有機溶媒の適切な非混和性混合物と水との間に分画することができる。有機層を分離し、水および飽和NaCl水溶液で連続して洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮することができる。得られた残渣を、EtOAcのような適切な熱有機溶媒または沸騰中の有機溶媒で約1時間摩砕することができ、得られた固体を冷却の際の濾過によって回収することができる。この固体を、EtOAcおよびDCMのような適切な溶媒混合物の勾配を用いるシリカ上でのクロマトグラフィーによってさらに精製して、スキーム2のステップDの生成物である式Iの化合物を得てもよい。
【0031】
調製1
N−ブチル−2−ニトロ−ピリジン−3−アミン
【化4】
スキーム1のステップA:3−フルオロ−2−ニトロピリジン(5.0g、35.2mmol)をEtOH(30mL)に溶解し、この混合物を氷浴中で0℃に冷却する。ブタン−1−アミン(7.7g、105.6mmol)を混合物に添加し、この混合物をRTへ加温し、RTで2時間撹拌する。この混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出する。有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮して、さらなる精製なしでの使用に適した表題化合物(6.2g、収率90%)を黄色の油として得る。ES/MS m/z 196.1(M+1)。
【0032】
調製1の代替手順
約20〜25℃のEtOH(552mL)中の3−フルオロ−2−ニトロピリジン(92g、0.65mol)を添加する。この混合物を氷浴中で0℃に冷却する。ブタン−1−アミン(118.4g、1.6187mol)を約0〜5℃で40分かけて滴下する。約20〜25℃に加温し、16時間撹拌する。この反応混合物に水(800mL)を添加し、EtOAc(2×600mL)で抽出し、層を分離し、一緒にした有機層を水(2×1L)、飽和NaCl水溶液(2×500mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、35℃で減圧下で濃縮して、さらなる精製なしで使用するのに適した表題化合物(120.00g、95%収率)を深黄色の油として得る。ES/MS m/z 196.1(M+1)。
【0033】
調製2
N3−ブチルピリジン−2,3−ジアミン
【化5】
スキーム1のステップB:MeOH(50mL)に溶解したN−ブチル−2−ニトロ−ピリジン−3−アミン(6.0g、30.7mmol)の溶液にN
2下で5%Pd/C(3.0g、1.4mmol)を添加する。この混合物をRTでH
2バルーン下で8時間撹拌する。珪藻土パッドで混合物を濾過し、MeOHで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮して、さらなる精製なしでの使用に適した表題化合物(5.0g、収率98%)を黒色の固体として得る。ES/MS m/z 166.1(M+1)。
【0034】
調製2の代替手順
約20〜25℃のMeOH(1024mL)中にN−ブチル−2−ニトロ−ピリジン−3−アミン(128.0g、0.7mol)を添加する。約20〜25℃の5%湿Pd/C(64g、50%負荷)を添加する。得られた混合物を3気圧のH
2の下で約20〜25℃で3時間撹拌する。この反応混合物を珪藻土で濾過し、濾過ケークをMeOH(5×500mL)で洗浄し、濾液を減圧下で濃縮して、さらなる精製なしでの使用に適した表題化合物(101.9g、収率94%)を黒色の固体として得る。ES/MS m/z 166.1(M+1)。
【0035】
調製3
1−ブチル−4H−ピリド[2,3−b]ピラジン−2,3−ジオン
【化6】
スキーム1のステップC:シュウ酸ジエチル(20.1mL、148.3mmol)をEtOH(30mL)中のN3−ブチルピリジン−2,3−ジアミン(4.9g、29.65mmol)の混合物に添加する。密封したチューブ中でこの混合物を100℃で14時間加熱する。この反応混合物を0℃に冷却し、得られた固体を濾過により単離する。この固体をEt
2Oで洗浄し、40℃で真空乾燥させて、さらなる精製なしでの使用に適した表題化合物(3.3g、収率51%)を緑色の固体として得る。ES/MS m/z 219.8(M+1)。
【0036】
調製3の代替手順
約20〜25℃のEtOH(550mL)中にN3−ブチルピリジン−2,3−ジアミン(81.4g、0.5mol)を添加する。約20〜25℃で、EtOH中の30重量%NaOEt(427.4g、1.0mol)を一度に添加する。シュウ酸ジエチル(87.1g、0.6mol)を約20〜30℃で滴下し、RTで2.5時間撹拌する。この反応混合物を0.5MのHCl/DCM水溶液(1600mL/1200mL)の混合物中に撹拌しながら約0〜10℃で注ぐ。2層に分離し、水層をDCM(2×800mL)で抽出し、水(2×1600mL)、飽和NaCl水溶液(1600mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させる。濾過し、減圧下で濃縮する。得られた固体残渣を約20〜25℃で30分間、ACN(200mL)中でスラリーにし、得られた固体を濾過により単離して、さらなる精製なしでの使用に適した表題化合物(70.0g、収率65%)を緑色の固体として得る。ES/MS m/z 220.1(M+1)。
【0037】
調製4
1−ブチル−3−ヒドラジノ−ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オン
【化7】
スキーム1のステップD:EtOH(20mL)中の1−ブチル−4H−ピリド[2,3−b]ピラジン−2,3−ジオン(3.2g、14.6mmol)の混合物にヒドラジン一水和物(3.55mL、73.0mmol)を添加する。密封したチューブ中にこの混合物を100℃で14時間加熱する。この反応混合物を0℃に冷却し、固体を濾過により単離する。この固体をEt
2Oで洗浄し、45℃で真空乾燥して、さらなる精製なしでの使用に適した表題化合物(2.8g、収率82%)を緑色の固体として得る。ES/MS m/z 234.2(M+1)。
【0038】
調製5
1‐ブチル‐3‐[2−[(1‐メチルシクロプロピル)メチレン]ヒドラジノ]ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オン
【化8】
スキーム1のステップE:1−メチルシクロプロパンカルボアルデヒド(1.15mL、13.7mmol)およびAcOH(39.3μL)を、MeOH(20mL)中の1−ブチル−3−ヒドラジノ−ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オン(1.6g、6.9mmol)の混合物に添加する。この混合物をRTで1時間撹拌する。この混合物を減圧下で濃縮し、生成物をヘキサン(50mL)から再結晶する。この固体を濾過により単離し、ヘキサンで洗浄して、さらなる精製なしでの使用に適した表題化合物(1.30g、収率63%)を黒色の固体として得る。ES/MS m/z 300.2(M+1)。
【0039】
調製6
1−ブチル−3−クロロ−ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オン
【化9】
スキーム2のステップA:1−ブチル−4H−ピリド[2,3−b]ピラジン−2,3−ジオン(60.8g、0.3mol)を約20〜25℃でACN(10mL/g、600mL)中に溶解する。DMF(4.2mL)を添加し、SOCl
2(99.0g、0.8mol)を一度に添加する。得られた混合物を約75〜80℃で2.5時間加熱還流する。この反応混合物を減圧下で濃縮乾固して、さらなる精製なしでの使用に適した粗製の表題化合物(93.0g、収率99%超)を黒色の固体として得る。ES/MS m/z 238.1(M+1)。
【0040】
調製7
1−ブチル−3−ヒドラジノ−ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オン
【化10】
スキーム2のステップB:RTでTHF(900mL)をヒドラジン一水和物(48g、1.5mol)の85%(重量/重量%)水溶液に添加する。1−ブチル−3−クロロ−ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オン(90.0g、0.4mol)を添加してスラリーを形成し、RTで16時間撹拌する。この反応混合物に水(100mL)を添加し、20分間撹拌する。濾過し、濾過ケークを水(2×400mL)、続いてMTBE(2×400mL)で洗浄する。減圧下で2−メチル−THF(3×600mL)と共沸させることによって水を除去して、さらなる精製なしでの使用に適した表題化合物(50.0g、収率75%)を緑色の固体として得る。ES/MS m/z 234.1(M+1)。
【0041】
調製8
N’−(1−ブチル−2−オキソ−ピリド[2,3−b]ピラジン−3−イル)−1−メチル−シクロプロパンカルボヒドラジド
【化11】
スキーム2のステップC:1−メチルシクロプロパンカルボン酸(30.9g、0.3mol)をRTでDMF(350mL)へ添加し、この混合物を0℃に冷却する。約−5〜0℃で、EDCI(61.0g、0.3mol)、続いてHOBT(41.75g、0.3mol)を添加する。約−10〜0℃で、TEA(62.47g、0.6mol)を40分かけて滴下し、得られた混合物を約−5〜0℃で20分間撹拌する。1−ブチル−3−ヒドラジノ−ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オン(48.0g、0.2mol)を約0〜5℃で一度に添加し、RTへ加温し、得られたスラリーを16時間撹拌する。この反応混合物を0.6MのHCl水溶液(1600mL)に注ぎ入れ、MTBE(3×500mL)で洗浄し、層を分離し、MTBE層を廃棄し、水層にDCM(1000mL)を添加する。固体NaHCO
3(140g)でpH約7〜8に調整し、層を分離し、水層をDCM(3×600mL)で抽出し、一緒にした有機層を水(3×1000mL)および飽和NaCl水溶液(2×1000mL)で連続して洗浄する。減圧下で蒸発させて、さらなる精製なしでの使用に適した表題化合物(45.0g、収率69%)を黒色の固体として得る。ES/MS m/z 316.2(M+1)。
【0042】
実施例1
5−ブチル−9−(1−メチルシクロプロピル)ピリド[3,2−e][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−6(5H)−オン
【化12】
スキーム1のステップF:1−ブチル−3−[2−[(1−メチルシクロプロピル)メチレン]−ヒドラジノ]ピリド[2,3−b]ピラジン−2−オン(1.3g、4.3mmol)をDCM(15mL)へ添加し、この溶液を氷浴中で0℃に冷却する。この溶液にヨードソベンゼンジアセタート(iodosobenzene diacetate)(2.9g、8.7mmol)を添加し、この混合物をRTで1時間撹拌する。この反応混合物を水でクエンチし、DCMで抽出する。有機層を飽和NaHCO
3で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、得られた残渣をEtOAc:ヘキサン(3:1)で溶出するシリカ上でのクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(1.1g、収率85%)をオフホワイト色の固体として得る。ES/MS m/z 298.2(M+1)。
【0043】
実施例1の代替手順
スキーム2のステップD:RTのHMDS(360mL)中のN’−(1−ブチル−2−オキソ−ピリド[2,3−b]ピラジン−3−イル)−1−メチル−シクロプロパンカルボヒドラジド(45.0g、0.1mol)をスラリーにする。DBU(4.34g、28.5mmol)を添加し、125℃に加熱する。得られた溶液を還流下で6時間撹拌する。この反応混合物をRTへ冷却し、この混合物を水(800mL)に注ぎ入れ、得られた固体を濾過および回収する。この固体をDCM(400mL)/H
2O(100mL)中に溶解し、得られた層を分離し、有機相を飽和NaCl水溶液(100mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、残渣を得る。EtOAc(200mL)を用いて40〜50℃で1時間摩砕し、得られた固体(22.0g、LCMSにより決定すると純度98%)を濾過により単離する。この22.0gのバッチを別のバッチの材料(10.0g、LCMSにより決定すると純度100%)と一緒にし、DCM:EtOAc(1:1)で溶出するシリカゲル上でのクロマトグラフィーによってさらに精製して、溶媒蒸発後に残渣を得る。得られた残渣を熱EtOAcで30分間摩砕し、得られた固体を濾過により単離して、表題化合物(25.70g、収率42%)を白色の固体として得る。ES/MS m/z 298.2(M+1)。
【0044】
PDEタンパク質の生成
全長ヒトPDE1A(NP_001003683.1)、PDE1C(NP_005011.1)、PDE5A(NP_001074.2)、PDE7B(NP_061818.1)およびPDE9A(NP_002597.1)をコードするヌクレオチド配列を、N末端HISタグ付きのpFastBac1(Invitrogen)ベクターに挿入する。全長ヒトPDE4D(NP_006194.2)をおよびPDE3A(NP_000912.3)の触媒ドメイン(残基641〜1141)をコードするヌクレオチド配列を、C末端HISタグ付きpFastBac1(Invitrogen)ベクターに挿入する。全長ヒトPDE8A(NP_002596.1)およびPDE11A(AAI12394.1)をコードするヌクレオチド配列を、N末端Flagタグ付きpFastBac1(Invitrogen)ベクターに挿入する。全長ヒトPDE10A(AAD32595.1)をコードするヌクレオチド配列を、C末端Flag−Hisタグ付きpFastBac1(Invitrogen)ベクターに挿入する。全長ヒトPDE6A(NP_000431.2)およびPDE6B(AAH00249.1)をコードするヌクレオチド配列を、PDE6A/6B二量体の産生のために、それぞれN末端HISタグおよびN末端Flagタグ付きのpFastBacDual(Invitrogen)ベクターに挿入する。Sf9細胞におけるバキュロウイルス生成およびタンパク質発現を、BacからBacへのバキュロウイルス発現系(Invitrogen)のプロトコルにより行う。全長ヒトPDE1B(NP_000915.1)およびPDE2A(NP_002590.1)をコードするヌクレオチド配列を、C末端HISタグ付きpIEX4(Novagen)に挿入し、Sf9細胞における両タンパク質の産生を販売元のプロトコル(Novagen)によって行う。Hisタグ付きPDEタンパク質を、Ni−NTAアガロース(Qiagen)、続いて貯蔵緩衝液(20mMのTris−HCl、pH7.5、150mMのNaCl、10%グリセロール)中のSUPERDEX(登録商標)200カラム(GE Healthcare)上でのサイズ排除クロマトグラフィーを用いて精製する。PDE6A/6Bを含むFlagタグ付きPDEタンパク質を、NiNTAカラムクロマトグラフィーによる精製後に、抗Flag M2−アガロース(Sigma)を用いて精製し、保存緩衝液(50mMのTris−HCl、pH7.5、150mMのNaCl、10%グリセロール、0.1mg/mlのFlagペプチド)中で溶出する。精製したタンパク質はすべて、小分けして−80℃で保存する。
【0045】
ホスホジエステラーゼ酵素アッセイ
3’,5’環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)酵素活性はすべて、SPA検出システムに基づく放射分析酵素アッセイ(シンチレーション近接アッセイ)を用いて測定する。試験する化合物を、10点濃度応答曲線を用いて純粋なジメチルスルホキシド(DMSO)中に希釈する。反応混合物中の最大化合物濃度は、10μMまたは100μMのいずれかである。基質の添加により反応を開始する前に、適切な濃度の化合物をいずれかのPDE酵素と共に30分間プレインキュベートする。反応は室温で60分間進行させておく。次に、SPAビーズの添加によって反応を停止させる。試料は、12時間後にMICROBETA(商標)TRILUX(登録商標)カウンターで読み取る。「IC
50」は、化合物について起こり得る最大阻害応答の50%を生じるその化合物の濃度を指す。IC
50値は、正規化データ対log[化合物]をプロットし、4パラメータロジスティック方程式を用いてデータを当てはめることによって計算する。
【0046】
Ca2+−カルモジュリン依存性PDE酵素アッセイ
PDE1B、PDE1A、およびPDE1Cは、標準的なタンパク質生成手順に従ってクローン化および精製する。アッセイ緩衝液は、アッセイにおいてpH7.5で、50mMのTris−HCl、50mMのMgCl
2、4mMのCaCl
2、0.1%ウシ血清アルブミンおよび水中で6U/mlのカルモジュリンの終濃度を与えるように調製する。酵素の終濃度は、PDE1A、PDE1BおよびPDE1Cについてそれぞれ、0.25nM、0.074nMおよび0.0012nMである。反応は、47nMの終濃度を得るために、基質[
3H]cAMPの添加によって始まる。
【表1】
【0047】
表1のデータは、実施例1の化合物が試験管内でのヒトPDE1A、PDE1B、およびPDE1C酵素活性を阻害することを実証している。
【0048】
基質として[3H]cAMPを用いたPDE酵素アッセイ
以下のホスホジエステラーゼ、すなわちヒトPDE3A(触媒ドメイン)、ヒトPDE4D、ヒトPDE7BおよびヒトPDE8Aの活性は、反応基質として[
3H]cAMPを用いて測定する。これらの酵素はすべて、標準的な手順に従ってクローン化および精製する。アッセイ緩衝液は、アッセイ中の終濃度がpH7.5で50mMのTris−HCl、8.3mMのMgCl
2、1.7mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)および0.1%のウシ血清アルブミンとなるように調製する。酵素の終濃度は、PDE3A、PDE4D、PDE7BおよびPDE8Aについてそれぞれ、0.008nM、0.021nM、0.5nMおよび0.06nMである。反応は、47nMの終濃度を得るために、基質[
3H]cAMPの添加によって始まる。
【表2】
【0049】
基質として[3H]cGMPを用いたPDE酵素アッセイ
以下のホスホジエステラーゼ、すなわちヒトPDE2A、ヒトPDE5A、ヒトPDE6A/6B、ヒトPDE9A、ヒトPDE10AおよびヒトPDE11Aの活性は、反応基質として[
3H]cGMPを用いて測定する。ヒトPDE6の触媒活性形態は、α(ヒトPDE6A)とβサブユニット(ヒトPDE6B)とからなる二量体である。ヒトPDE6A/6Bの二量体は、2つの精製ステップ、すなわち、NiNTAおよび抗FLAGセファロースクロマトグラフィーを使用して、発現および精製の戦略によって産生する。残りの酵素は、標準的な手順に従って実験室内でクローン化および精製する。アッセイ緩衝液は、pH7.5の50mMのトリス−HCl、8.3mMのMgCl
2、1.7mMのEDTAおよび0.1%のウシ血清アルブミンの終濃度を得るように調製する。酵素の終濃度は、ヒトPDE2A、ヒトPDE5A、ヒトPDE6AB、ヒトPDE9A、ヒトPDE10AおよびヒトPDE11Aについてそれぞれ、0.2nM、0.002nM、5nM、1nM、0.03nMおよび0.03nMである。ヒトPDE2A、ヒトPDE10A、ヒトPDE5A、ヒトPDE6ABおよびヒトPDE11Aのアッセイの場合には80nMの終濃度を得るために、基質[
3H]cGMPを添加して反応を開始させるのに対し、ヒトPDE9Aについては20nMの[
3H]cGMPを使用する。
【表3】
【0050】
表1、表2、および表3のデータは、実施例1の化合物が、試験管内でヒトPDE2A、PDE3A、PDE4D、PDE5A、PDE6AB、PDE7B、PDE8A、PDE9A、PDE10A、およびPDE11Aと比較してヒトPDE1A、PDE1BおよびPDE1Cの選択的阻害剤であることを示す。