特許第6633309号(P6633309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星電子株式会社の特許一覧

特許6633309電極構造体およびこれを用いる接触感知センサ
<>
  • 特許6633309-電極構造体およびこれを用いる接触感知センサ 図000003
  • 特許6633309-電極構造体およびこれを用いる接触感知センサ 図000004
  • 特許6633309-電極構造体およびこれを用いる接触感知センサ 図000005
  • 特許6633309-電極構造体およびこれを用いる接触感知センサ 図000006
  • 特許6633309-電極構造体およびこれを用いる接触感知センサ 図000007
  • 特許6633309-電極構造体およびこれを用いる接触感知センサ 図000008
  • 特許6633309-電極構造体およびこれを用いる接触感知センサ 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6633309
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】電極構造体およびこれを用いる接触感知センサ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20200109BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20200109BHJP
【FI】
   G06F3/041 495
   G06F3/041 640
   G06F3/044 120
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-140748(P2015-140748)
(22)【出願日】2015年7月14日
(65)【公開番号】特開2016-24825(P2016-24825A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2018年2月8日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0091127
(32)【優先日】2014年7月18日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】郭 燦
(72)【発明者】
【氏名】崔 在 榮
(72)【発明者】
【氏名】金 光 熙
(72)【発明者】
【氏名】盧 鍾 旭
(72)【発明者】
【氏名】朴 賢 哲
(72)【発明者】
【氏名】辛 源 鎬
(72)【発明者】
【氏名】禹 輪 成
(72)【発明者】
【氏名】李 孝 錫
(72)【発明者】
【氏名】黄 珍 榮
【審査官】 岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−514589(JP,A)
【文献】 特開2008−310551(JP,A)
【文献】 特開2011−253519(JP,A)
【文献】 特開2014−071484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041− 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1不導体膜と、
前記第1不導体膜上に形成されている第1導電膜と、
前記第1導電膜上に形成されている第2不導体膜と、
前記第2不導体膜上に形成されている第2導電膜と、
前記第2導電膜上に形成されている第3不導体膜とを含み、
前記第1導電膜および前記第2導電膜のうちの1つは、2次元導電素材を含み、他の1つは、銀ナノワイヤ、グラフェン、炭素ナノチューブ、メタルメッシュを含む導電材料のうちの少なくとも1つを含み、
前記2次元導電素材は、アルカリ金属亜酸化物、アルカリ金属サブカーバイド、アルカリ土類金属亜窒化物、遷移元素のサブカーバイド、遷移金属亜酸化物、遷移元素過剰含有カルコゲナイド、遷移金属含有サブハライド、ボライド化合物、酸化物のうちのいずれか1つであり、
前記第1導電膜と前記第2導電膜が含む前記導電材料は、一部が前記第2不導体膜にも位置し、
前記第1不導体膜、前記第2不導体膜、および前記第3不導体膜は、前記第1導電膜と前記第2導電膜が含む前記導電材料と混合して湿式塗布されたバインダーを含むことを特徴とする、電極構造体。
【請求項2】
第1不導体膜と、
前記第1不導体膜上に形成されている第1導電膜と、
前記第1導電膜上に形成されている第2不導体膜と、
前記第2不導体膜上に形成されている第2導電膜と、
前記第2導電膜上に形成されている第3不導体膜とを含み、
前記第1導電膜および前記第2導電膜のうちの1つは、2次元導電素材を含み、他の1つは、銀ナノワイヤ、グラフェン、炭素ナノチューブ、メタルメッシュを含む導電材料のうちの少なくとも1つを含み、
前記2次元導電素材は、アルカリ金属亜酸化物、アルカリ金属サブカーバイド、アルカリ土類金属亜窒化物、遷移元素のサブカーバイド、遷移金属亜酸化物、遷移元素過剰含有カルコゲナイド、遷移金属含有サブハライド、ボライド化合物、酸化物のうちのいずれか1つであり、
前記第3不導体膜上に形成されている第3導電膜と、
前記第3導電膜上に形成されている第4不導体膜とをさらに含み、
前記第3導電膜は、2次元導電素材、銀ナノワイヤ、メタルメッシュ、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェンを含む導電材料のうちの少なくとも1つを含み、
前記第4不導体膜は、前記第3導電膜が含む前記導電材料と混合して湿式塗布されたバインダーを含むことを特徴とする、電極構造体。
【請求項3】
前記第4不導体膜は、前記バインダーを含む下部膜と、ポリアクリレート系物質を含むオーバーコート膜とを含むことを特徴とする、請求項に記載の電極構造体。
【請求項4】
前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に配置されている反射防止膜をさらに含み、前記反射防止膜は、屈折率(n)が1.6〜1.8であり、厚さは75nm〜95nmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電極構造体。
【請求項5】
前記第3不導体膜は、前記バインダーを含む下部膜と、ポリアクリレート系物質を含むオーバーコート膜とを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電極構造体。
【請求項6】
前記第1不導体膜、前記第1導電膜、前記第2不導体膜、前記第2導電膜、および前記第3不導体膜のなす積層構造の少なくとも一側面に形成されており、前記第1導電膜と前記第2導電膜とを電気的に接続する導電性接続部材をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の電極構造体。
【請求項7】
前記導電性接続部材は、前記第1導電膜や前記第2導電膜が含む導電材料、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、チタン(Ti)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、モリブデン/アルミニウム/モリブデン(Mo/Al/Mo)のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項に記載の電極構造体。
【請求項8】
第1方向に配列されている複数の第1タッチ電極と、
第1方向と交差する第2方向に配列されている複数の第2タッチ電極と、
前記複数の第1タッチ電極および前記複数の第2タッチ電極に接続されており、感知入力信号を印加し感知出力信号を受信してタッチを感知するタッチ制御部とを含み、
前記複数の第1タッチ電極と前記複数の第2タッチ電極それぞれは、複数の導電膜と複数の不導体膜とが交互に積層されている積層構造を含み、
前記複数の導電膜は、2次元導電素材を含む第1導電膜と、銀ナノワイヤ、グラフェン、炭素ナノチューブ、メタルメッシュを含む導電材料のうちの少なくとも1つを含む第2導電膜とを含み、
前記2次元導電素材は、アルカリ金属亜酸化物、アルカリ金属サブカーバイド、アルカリ土類金属亜窒化物、遷移元素のサブカーバイド、遷移金属亜酸化物、遷移元素過剰含有カルコゲナイド、遷移金属含有サブハライド、ボライド化合物、酸化物のうちのいずれか1つであり、
前記複数の不導体膜は、前記複数の導電膜が含む前記導電材料と混合して湿式塗布されたバインダーを含むことを特徴とする、接触感知センサ。
【請求項9】
前記積層構造の少なくとも一側面に形成されており、前記複数の導電膜の第1導電膜と第2導電膜とを電気的に接続する導電性接続部材をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の接触感知センサ。
【請求項10】
前記導電性接続部材は、前記積層構造の側面と共に、前記積層構造の上面の一部を覆っていることを特徴とする、請求項に記載の接触感知センサ。
【請求項11】
前記導電性接続部材は、前記複数の第1タッチ電極と前記複数の第2タッチ電極を前記タッチ制御部に接続するために配線と接触することを特徴とする、請求項に記載の接触感知センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極構造体およびこれを用いる接触感知センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示装置をはじめとする様々な電子機器には多様な形状と機能の電極が使用される。これら電極の中には、優れた伝導性と共に、光が透過できるように透明度を有した透明電極も含まれる。インジウムスズ酸化物(ITO)、スズ酸化物(SnO)、亜鉛酸化物(ZnO)などがある。ITOは柔軟性が不十分であり、インジウムの埋蔵量も限られているため価格上昇が避けられず、これを代替する素材の開発が切実に要求されている。スズ酸化物および亜鉛酸化物は、伝導性および柔軟性が不十分である。
【0003】
最近、液晶表示装置(liquid crystal display、LCD)、有機発光表示装置(organic light emitting diode display、OLED display)、および電気泳動表示装置(electrophoretic display)などの平板表示装置の中には、映像を表示する機能のほか、ユーザとの相互作用が可能なタッチ感知機能を有するものが多い。タッチ感知機能は、ユーザが画面上に指やタッチペン(touch pen)などを接近させたり接触させたりして文字や絵が描かれたときに、表示装置が画面に加えられた圧力、電荷、光などの変化を感知する。このとき、表示装置は、物体の画面への接近や接触、およびその接触位置などを、接触情報として得ることができる。表示装置は、このような接触情報に基づいて映像信号を受信し、映像を表示できる。
【0004】
このようなタッチ感知機能は、接触感知センサにより実現可能である。接触感知センサは、抵抗膜方式(resistive type)、静電容量方式(capacitive type)、電磁誘導型(electro−magnetic type、EM)、光感知方式(optical type)などの多様な方式によって分類される。
【0005】
例えば、静電容量方式の接触感知センサは、感知信号を伝達可能な複数の感知電極からなる感知キャパシタを含み、指のような導電体が接触感知センサに接近した時に発生する感知キャパシタの充電静電容量(capacitance)の変化または充電電荷量の変化を感知して、接触の有無と接触位置などを知ることができる。静電容量式の接触感知センサは、接触感知領域に配置されている複数のタッチ電極と、タッチ電極に接続されている信号伝達配線とを含む。信号伝達配線は、タッチ電極に感知入力信号を伝達したり、タッチによって生成されたタッチ電極の感知出力信号を感知信号制御部に伝達したりすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような接触感知センサにも透明電極が広い領域で用いられ、ここに用いられる透明電極は、低い面抵抗と共に、優れた透明度が要求される。同時に、可撓性表示装置に適用するためには柔軟性も要求される。しかし、ITOなどの既存の透明電極材料はこのような特性を満たさないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る電極構造体は、第1不導体膜と、前記第1不導体膜上に形成されている第1導電膜と、前記第1導電膜上に形成されている第2不導体膜と、前記第2不導体膜上に形成されている第2導電膜と、前記第2導電膜上に形成されている第3不導体膜とを含み、前記第1導電膜および前記第2導電膜のうちの1つは、2次元導電素材を含み、他の1つは、銀ナノワイヤ、グラフェン、炭素ナノチューブ、メタルメッシュを含む導電材料のうちの少なくとも1つを含み、前記2次元導電素材は、アルカリ金属亜酸化物、アルカリ金属サブカーバイド、アルカリ土類金属亜窒化物、遷移元素のサブカーバイド、遷移金属亜酸化物、遷移元素過剰含有カルコゲナイド、遷移金属含有サブハライド、ボライド化合物、酸化物のうちのいずれか1つであり、前記第1導電膜と前記第2導電膜が含む前記導電材料は、一部が前記第2不導体膜にも位置し、前記第1不導体膜、前記第2不導体膜、および前記第3不導体膜は、前記第1導電膜と前記第2導電膜が含む前記導電材料と混合して湿式塗布されたバインダーを含むことを特徴とする、電極構造体。
【0011】
前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に配置されている反射防止膜をさらに含み、前記反射防止膜は、屈折率(n)が1.6〜1.8であり、厚さは75nm〜95nmであってよい。
【0012】
前記第3不導体膜は、前記バインダーを含む下部膜と、ポリアクリレート系物質を含むオーバーコート膜とを含むことができる。
【0013】
前記電極構造体は、第1不導体膜と、前記第1不導体膜上に形成されている第1導電膜と、前記第1導電膜上に形成されている第2不導体膜と、前記第2不導体膜上に形成されている第2導電膜と、前記第2導電膜上に形成されている第3不導体膜とを含み、前記第1導電膜および前記第2導電膜のうちの1つは、2次元導電素材を含み、他の1つは、銀ナノワイヤ、グラフェン、炭素ナノチューブ、メタルメッシュを含む導電材料のうちの少なくとも1つを含み、前記2次元導電素材は、アルカリ金属亜酸化物、アルカリ金属サブカーバイド、アルカリ土類金属亜窒化物、遷移元素のサブカーバイド、遷移金属亜酸化物、遷移元素過剰含有カルコゲナイド、遷移金属含有サブハライド、ボライド化合物、酸化物のうちのいずれか1つであり、前記第3不導体膜上に形成されている第3導電膜と、前記第3導電膜上に形成されている第4不導体膜とをさらに含み、前記第3導電膜は、2次元導電素材、銀ナノワイヤ、メタルメッシュ、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェンを含む導電材料のうちの少なくとも1つを含み、前記第4不導体膜は、前記第3導電膜が含む前記導電材料と混合して湿式塗布されたバインダーを含むことができる。
前記第4不導体膜は、前記バインダーを含む下部膜と、ポリアクリレート系物質を含むオーバーコート膜とを含むことができる。
【0014】
前記電極構造体は、前記第1不導体膜、前記第1導電膜、前記第2不導体膜、前記第2導電膜、および前記第3不導体膜のなす積層構造の少なくとも一側面に形成されており、前記第1導電膜と前記第2導電膜とを電気的に接続する導電性接続部材をさらに含むことができる。前記導電性接続部材は、前記第1導電膜や前記第2導電膜が含む導電材料、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、チタン(Ti)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、モリブデン/アルミニウム/モリブデン(Mo/Al/Mo)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0015】
一実施形態に係る接触感知センサは、横方向に配列されている複数の第1タッチ電極と、縦方向に配列されている複数の第2タッチ電極と、前記複数の第1タッチ電極および前記複数の第2タッチ電極に接続されており、感知入力信号を印加し感知出力信号を受信してタッチを感知するタッチ制御部とを含み、前記複数の第1タッチ電極と前記複数の第2タッチ電極それぞれは、複数の導電膜と複数の不導体膜とが交互に積層されている積層構造を含み、前記複数の導電膜は、2次元導電素材を含む第1導電膜と、銀ナノワイヤ、グラフェン、炭素ナノチューブ、メタルメッシュを含む導電材料のうちの少なくとも1つを含む第2導電膜とを含み、前記2次元導電素材は、アルカリ金属亜酸化物、アルカリ金属サブカーバイド、アルカリ土類金属亜窒化物、遷移元素のサブカーバイド、遷移金属亜酸化物、遷移元素過剰含有カルコゲナイド、遷移金属含有サブハライド、ボライド化合物、酸化物のうちのいずれか1つであり、前記複数の不導体膜は、前記複数の導電膜が含む前記導電材料と混合して湿式塗布されたバインダーを含む。
【0017】
前記接触感知センサは、前記積層構造の少なくとも一側面に形成されており、前記複数の導電膜の第1導電膜と第2導電膜とを電気的に接続する導電性接続部材をさらに含むことができ、前記導電性接続部材は、前記積層構造の側面と共に、前記積層構造の上面の一部を覆っていてもよい。前記導電性接続部材は、前記複数の第1タッチ電極と前記複数の第2タッチ電極を前記タッチ制御部に接続するために配線と接触することができ、前記導電性接続部材は、前記複数の第2タッチ電極を互いに接続する接続部の役割を兼ねることができる。
【発明の効果】
【0018】
一実施形態によれば、面抵抗が低く、透明度と柔軟性に優れた電極構造体を得ることができる。
【0019】
一実施形態によれば、面抵抗が低く、透明度と柔軟性に優れた透明電極を用いて、接触感知機能に優れた接触感知センサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】多様な実施形態に係る電極構造体の断面図である。
図2】多様な実施形態に係る電極構造体の断面図である。
図3】多様な実施形態に係る電極構造体の断面図である。
図4】一実施形態に係る接触感知センサを備えた表示装置のブロック図である。
図5】一実施形態に係る接触感知センサを示す平面図である。
図6図5に示した接触感知センサの一部の拡大図である。
図7図6に示した接触感知センサのIV−IV線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は、種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0022】
図面において、様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体にわたって類似の部分については同一の図面符号を付した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるとする時、これは他の部分の「直上」にある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上」にあるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0023】
まず、実施形態に係る電極構造体について説明する。
【0024】
図1図3は、多様な実施形態に係る電極構造体の断面図である。
【0025】
図1は、基板10上に、第1不導体膜51、第1導電膜41、第2不導体膜52、第2導電膜42、第3不導体膜53が順次に積層されており、積層構造の側面に導電性接続部材30が配置されている電極構造体を示す。ここで、第1導電膜41は、第1導電材料11を含んでおり、第2導電膜42は、第2導電材料21を含んでいる。第1導電材料11と第2導電材料21は、少なくとも1つが2次元導電素材を含み、残りの1つは、2次元導電素材、銀ナノワイヤ(AgNw)、メタルメッシュ(metal mesh)、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェンなどの透明な導電物質のうちの少なくとも1つを含むことができる。ここで、2次元導電素材とは、アルカリ金属亜酸化物、アルカリ金属サブカーバイド、アルカリ土類金属亜窒化物、遷移元素のサブカーバイド、遷移金属亜酸化物、遷移元素過剰含有カルコゲナイド、遷移金属含有サブハライド、ボライド化合物、酸化物などの導電性材料である。具体的には、アルカリ金属は、Cs、Rb、K、Na、またはこれらの組み合わせであり、アルカリ土類金属は、Ca、Mg、Sr、Ba、またはこれらの組み合わせであり、遷移元素は、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Ag、またはこれらの組み合わせであってよい。アルカリ金属亜酸化物は、一般式AO、AO、AO、またはAO(ここで、AはCs、Rb、K、Na、またはこれらの組み合わせである)で表されてよい。アルカリ土類金属亜窒化物は、AEN(ここで、AEはMg、Sr、Ba、またはこれらの組み合わせである)、またはAEN(ここで、AEはMg、Ca、Sr、Ba、またはこれらの組み合わせである)で表されてよい。遷移元素サブカーバイドは、MCまたはMC(MはSc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Ag、またはこれらの組み合わせである)であってよい。遷移元素過剰含有カルコゲナイドは、遷移金属過剰含有カルコゲナイドであってよい。遷移金属過剰含有カルコゲナイドは、M、ME、ME、M、またはME(MはSc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Ag、またはこれらの組み合わせであり、EはS、Se、またはTeである)で表されてよい。遷移元素含有サブハライドは、MXまたはMX(MはSc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Tc、Re、Ag、またはこれらの組み合わせであり、XはF、Cl、Br、またはIである)であってよい。ボライド化合物は、AuB、AlB、AgB、MgB、TaB、NbB、YB、WB、VB、MoB、ScB、またはこれらの組み合わせを含むことができる。酸化物は、RuOなどを含むことができる。このような2次元導電素材は、2つ以上の金属原子層を含む単位構造が繰り返され、繰り返される単位構造の間に2次元の電子ガス層が存在してもよい。
【0026】
このような実施形態において、第1導電材料11および第2導電材料21のうちの少なくとも1つが2次元導電素材を含むことにより、電極構造体の柔軟性を向上させることができる。
【0027】
導電性接続部材30は、第1導電膜41や第2導電膜42が含む導電物質、またはモリブデン(Mo)、銀(Ag)、チタン(Ti)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、モリブデン/アルミニウム/モリブデン(Mo/Al/Mo)などの低抵抗物質を含むことができる。
【0028】
第1導電材料11の一部は、第1導電膜41の範囲を外れて第1不導体膜51や第2不導体膜52にまで入り込んでおり、第2導電材料21もその一部が、第2導電膜42の範囲を外れて第2不導体膜52や第3不導体膜53にまで入り込んでいる。したがって、第2不導体膜52に入り込んでいる第1導電材料11と第2導電材料21とが互いに接触し、第1導電膜41と第2導電膜42とが電気的に接続可能である。これとは異なり、第1導電材料11と第2導電材料21は、互いに直接接触しないようになっており、導電性接続部材30を介して接続されるように形成されてもよい。
【0029】
本実施形態に係る電極構造体がこのような構造を有する理由は、その形成方法に起因する。第1導電材料11を第1バインダーと混合して基板10上に所定の厚さに塗布し乾燥すれば、第1バインダーをなす不導体材料が第1不導体膜51と第2不導体膜52の一部を形成し、第1導電材料11の主に分布する中間部分が第1導電膜41を形成する。その上に第2導電材料21を第2バインダーと混合して塗布し乾燥すれば、第2バインダーをなす不導体材料が第2不導体膜52の残りの一部と第3不導体膜53の一部を形成し、第2導電材料21の主に分布する中間部分が第2導電膜42を形成する。この時、第1導電材料11と第2導電材料21は分布が均一でないので、その一部が隣接する不導体膜を侵して位置することができる。したがって、第1導電材料11の一部を第2不導体膜52が覆うことができず、その部分が第2導電材料21と接触することにより、第1導電膜41と第2導電膜42とが電気的に接続可能である。あるいは、第2不導体膜52に孔が形成されており、第1導電材料11と第2導電材料21の一部がその孔に配置されていてもよい。この場合、第1導電材料11と第2導電材料21とが互いに電気的に接続され、電極構造体の柔軟性が向上できる。
【0030】
第1不導体膜51、第2不導体膜52、および第3不導体膜53のうちの少なくとも一部を構成するバインダーとしては、HPMC(Hydroxypropyl Methylcellulose)をはじめとするセルロース系、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol)、ポリビニルアクリル酸(Polyvinyl acrylic acid)などが使用できる。第3不導体膜53は、第2バインダーによって形成された部分と、これとは別途に積層されたオーバーコート(overcoating)材料からなる部分とを含むことができる。第3不導体膜53を構成するオーバーコート材料としては、ポリアクリレート(polyacrylate)系物質が使用できる。
【0031】
図1の実施形態では、電極構造体が2つの導電膜と3つの不導体膜とを含むが、導電膜と不導体膜の数は、必要に応じてそれぞれ3つ以上であってもよい。
【0032】
図2を参照すれば、基板10上に、第1不導体膜51、第1導電膜41、第2不導体膜52、第2導電膜42、第3不導体膜53、第3導電膜43、第4不導体膜54が順次に積層されている。このような積層構造の側面には導電性接続部材30が配置されていて、第1導電膜41、第2導電膜42、および第3導電膜43を電気的に接続する。導電性接続部材30は、積層構造の側面だけでなく、最上層の第4不導体膜54の上面の一部とも接するように形成可能である。
【0033】
基板10は、積層構造の基礎となる要素を意味する層であって、電極構造体を適用する素子によって、絶縁膜であるか、プラスチックまたはガラスなどからなる基板などになってもよい。
【0034】
第1導電膜41、第2導電膜42、および第3導電膜43のうちの少なくとも1つは、2次元導電素材を含む。例えば、第1導電膜41、第2導電膜42、および第3導電膜43のうちの1つは、2次元導電素材を含み、残りの2つは、2次元導電素材、銀ナノワイヤ(AgNw)、メタルメッシュ(metal mesh)、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェン、またはこれらの組み合わせを含む層であってよい。第1導電膜41、第2導電膜42、および第3導電膜43が含む導電材料は、互いに異なっていてもよい。例えば、第1導電膜41が2次元導電素材を含むと、第2導電膜42は銀ナノワイヤを含み、第3導電膜43は炭素ナノチューブやグラフェンまたはメタルメッシュを含むことができる。あるいは、第1導電膜41がグラフェンを含み、第2導電膜42は2次元導電素材を含み、第3導電膜43は炭素ナノチューブやメタルメッシュまたは銀ナノワイヤを含むなどの多様な組み合わせにより、第1導電膜41、第2導電膜42、および第3導電膜43の導電材料を構成することができる。第1導電膜41、第2導電膜42、および第3導電膜43の導電材料は、互いに異なる2次元導電素材を含むことができる。第1導電膜41、第2導電膜42、および第3導電膜43は、それぞれが様々な導電材料を混成で含んでもよい。例えば、第1導電膜41、第2導電膜42、および第3導電膜43それぞれが銀ナノワイヤと2次元導電素材を含んでもよく、2次元導電素材と銀ナノワイヤおよびグラフェンを含んでもよいなど、多様な混成の導電材料を含むことができる。また、第1導電膜41、第2導電膜42、および第3導電膜43は、互いに異なる混成で様々な導電材料を含んでもよい。例えば、第1導電膜41は銀ナノワイヤを含み、第2導電膜42は銀ナノワイヤとグラフェンを含み、第3導電膜43は2次元導電素材と炭素ナノチューブやメタルメッシュを含んでもよい。あるいは、第1導電膜41はグラフェンと2次元導電素材を含み、第2導電膜42は銀ナノワイヤと2次元導電素材を含み、第3導電膜43はグラフェンとメタルメッシュや2次元導電素材を含むなど、多様な混成の組み合わせで様々な導電材料を含むことができる。
【0035】
第1不導体膜51、第2不導体膜52、第3不導体膜53、第4不導体膜54は、第1導電膜41、第2導電膜42、第3導電膜43を形成する材料と混合して塗布するバインダーを含むことができる。バインダーとしては、HPMC(Hydroxypropyl Methylcellulose)をはじめとするセルロース系、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol)、ポリビニルアクリル酸(Polyvinyl acrylic acid)などが使用できる。第4不導体膜54は、バインダーによって形成された部分と、これとは別途に積層されたオーバーコート(overcoating)材料からなる部分とを含むことができる。第4不導体膜54を構成するオーバーコート材料としては、ポリアクリレート(polyacrylate)系物質が使用できる。
【0036】
導電性接続部材30は、第1導電膜41、第2導電膜42、または第3導電膜43が含む導電物質、またはモリブデン(Mo)、銀(Ag)、チタン(Ti)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、モリブデン/アルミニウム/モリブデン(Mo/Al/Mo)などの低抵抗物質を含むことができる。
【0037】
第2不導体膜52は、その下の第1導電膜41全体を覆ってもよく、一部だけを覆ってもよい。また、第3不導体膜53は、その下の第2導電膜42全体を覆ってもよく、一部だけを覆ってもよい。したがって、第1導電膜41と第2導電膜42は互いに接触して電気的に接続可能であり、第2導電膜42と第3導電膜43も互いに接触して電気的に接続可能である。
【0038】
第1不導体膜51、第2不導体膜52、第3不導体膜53、および第4不導体膜54は、バインダーのみからなってもよいが、バインダーからなる層に加えて、別個の誘電体層をさらに含んでもよい。
【0039】
図3を参照すれば、基板10上に、第1不導体膜51、第1導電膜41、第2不導体膜52、第2導電膜42、第3不導体膜53が順次に積層されている。このような積層構造の側面には導電性接続部材(図示せず)が配置され、第1導電膜41と第2導電膜42とを電気的に接続することができる。
【0040】
第2不導体膜52は、2つのバインダー膜52’と、これら2つのバインダー膜52’の間に配置されている反射防止膜52”とを含み、第3不導体膜53は、下部のバインダー膜53’と、上部のオーバーコート膜53”とを含む。
【0041】
反射防止膜52”は、光が電極構造体を透過する過程で屈折率の異なる様々な膜の間の界面で反射するのを低減するために形成する膜であって、その屈折率と厚さを、電極構造体をなす様々な膜の厚さおよび屈折率を考慮して設定する。本実施形態では、屈折率(n)が1.7の透明な誘電体を85nmの厚さに積層して形成した。この時、電極構造体をなす不導体膜は、屈折率が1.59のポリカーボネートフィルム(Polycarbonate film)、屈折率が1.55のHPMCバインダー、屈折率が1.47のウレタンアクリレートオーバーコート膜(Urethane acrylate overcoating layer)に形成した(伝導体膜は屈折率が波長に応じて異なる)。反射防止膜52”は、屈折率(n)が1.6〜1.8の透明な誘電体を75nm〜95nmの厚さに積層して形成することができる。
【0042】
下記表1は、図1の実施形態において、2つの導電膜41、42のうちの1つを銀ナノワイヤ(AgNw)で形成し、他の1つを2次元導電素材の1つであるRuOで形成した場合の面抵抗とヘイズ(Haze)を、銀ナノワイヤの単一膜およびRuOの単一膜と比較したものである。AgNw層は40nmであり、RuO層は10nm以下である。
【0043】
【表1】
【0044】
表1から明らかなように、銀ナノワイヤ膜とRuO膜を不導体膜と共に積層して並列接続した複合電極構造体の面抵抗が、銀ナノワイヤの単一膜やRuOの単一膜に比べて低く、ヘイズは、銀ナノワイヤの単一膜と同等水準であることが分かる。つまり、2次元導電素材膜を銀ナノワイヤ膜と複合して電極構造体を形成すると、面抵抗は低くなり、ヘイズは銀ナノワイヤ膜と同等水準に維持される。したがって、このような電極構造体は、透明電極などへの使用に適する。
【0045】
このような電極構造体は、多様な用途に使用可能であり、その中でも、表示装置に用いられる接触感知センサの電極として使用可能である。
【0046】
以下、図4図7を参照して、一実施形態に係る接触感知センサを含む表示装置について説明する。
【0047】
図4は、一実施形態に係る接触感知センサを備えた表示装置のブロック図であり、図5は、一実施形態に係る接触感知センサを示す平面図であり、図6は、図5に示した接触感知センサの一部の拡大図であり、図7は、図6に示した接触感知センサのIV−IV線断面図である。
【0048】
図4を参照すれば、本発明の一実施形態に係る接触感知センサを備えた表示装置は、表示板(display panel)300と、表示板300に接続された表示制御部(display controller)600と、タッチ制御部(touch controller)700とを含む。
【0049】
表示板300は、映像を表示し、タッチを感知することができる。表示板300は、平面構造からみて、映像を表示する表示領域(display area)DAと、表示領域DA周辺の周辺領域(peripheral area)PAとを含む。
【0050】
表示板300の一部または全体領域は、タッチを感知可能なタッチ活性領域(touch active area)TAであってよい。タッチ活性領域TAは、実際に物体が表示板300に接近したり表示板300に接触すると、タッチを感知できる領域である。ここで、接触とは、ユーザの手といった外部物体が表示板300に直接的に当たる場合だけでなく、外部物体が表示板300に接近したり、接近した状態で動く(hovering)場合も含む。
【0051】
図5は、表示領域DAの略全体がタッチ活性領域TAの例を示すが、これに限定されるものではない。周辺領域PAの一部もタッチ活性領域TAとして用いられてもよく、表示領域DAの一部だけがタッチ活性領域TAをなしてもよい。
【0052】
図4を参照すれば、表示領域DAには、複数の画素PXと、画素PXに接続され、駆動信号を伝達する複数の表示信号線(図示せず)とが位置する。
【0053】
表示信号線は、走査信号を伝達する複数の走査信号線(図示せず)と、データ信号を伝達する複数のデータ線(図示せず)とを含む。走査信号線とデータ線は互いに交差して延びることができる。表示信号線は、周辺領域PAに延びてパッド部(図示せず)を形成することができる。
【0054】
複数の画素PXは、略行列状に配列されていてもよいが、これに限定されるものではない。各画素PXは、ゲート線およびデータ線に接続されたスイッチング素子(図示せず)と、これに接続された画素電極(図示せず)とを含むことができる。スイッチング素子は、表示板300に集積されている薄膜トランジスタなどの三端子素子であってよい。スイッチング素子は、ゲート線が伝達するゲート信号によってターンオンまたはターンオフされ、データ線が伝達するデータ信号を選択的に画素電極に伝達することができる。画素PXは、画素電極に対向する対向電極(図示せず)をさらに含むことができる。有機発光表示装置の場合、画素電極と対向電極との間には発光層が位置し、発光素子を形成することができる。対向電極は、共通電圧を伝達することができる。
【0055】
色表示を実現するためには、各画素PXは、基本色(primary color)のうちの1つを表示することができ、これら基本色の色合わせで所望する色が認識されるようにする。基本色の例としては、赤色、緑色、青色などの三原色または四原色が挙げられる。各画素PXは、各画素電極に対応する所に位置し、基本色のうちの1つを示すカラーフィルタをさらに含んでもよく、発光素子の含む発光層が有色の光を発光してもよい。
【0056】
タッチ活性領域TAには、接触感知センサが位置する。接触感知センサは、多様な方式で接触を感知することができる。例えば、接触感知センサは、抵抗膜方式(resistive type)、静電容量方式(capacitive type)、電磁誘導型(electro−magnetic type、EM)、光感知方式(optical type)などの多様な方式で分類される。
【0057】
本実施形態では、静電容量方式の接触感知センサを例に挙げて説明する。
【0058】
図5を参照すれば、一実施形態に係る接触感知センサは、複数のタッチ電極を含み、複数のタッチ電極は、複数の第1タッチ電極410と、複数の第2タッチ電極420とを含むことができる。第1タッチ電極410と第2タッチ電極420は互いに分離されている。
【0059】
図5を参照すれば、複数の第1タッチ電極410および複数の第2タッチ電極420は、タッチ活性領域TAで互いに重ならないように交互に分散して配置されてもよい。複数の第1タッチ電極410は、列方向および行方向に沿ってそれぞれ複数個ずつ配置され、複数の第2タッチ電極420も、列方向および行方向に沿ってそれぞれ複数個ずつ配置されてもよい。
【0060】
第1タッチ電極410と第2タッチ電極420は、互いに同一層に位置することができる。
【0061】
第1タッチ電極410と第2タッチ電極420それぞれは、四角形であってもよいが、これに限定されるものではなく、接触感知センサの感度向上のために突出部を有するなど、多様な形態を有することができる。
【0062】
同一の行または列に配列された複数の第1タッチ電極410は、タッチ活性領域TAの内部または外部で互いに接続されていてもよく、分離されていてもよい。同様に、同一の列または行に配列された複数の第2タッチ電極420の少なくとも一部は、タッチ活性領域TAの内部または外部で互いに接続されていてもよく、分離されていてもよい。例えば、図5に示しているように、同一行に配置された複数の第1タッチ電極410がタッチ活性領域TAの内部で互いに接続されている場合、同一列に配置された複数の第2タッチ電極420がタッチ活性領域TAの内部で互いに接続されていてもよい。
【0063】
より具体的には、各行に位置する複数の第1タッチ電極410は、第1接続部412を介して互いに接続されており、各列に位置する複数の第2タッチ電極420は、第2接続部422を介して互いに接続されていてもよい。
【0064】
図6および図7を参照すれば、互いに隣接する第1タッチ電極410の間を接続する第1接続部412は、第1タッチ電極410と同一層に位置し、第1タッチ電極410と同じ物質で形成可能である。つまり、第1タッチ電極410と第1接続部412は、互いに一体化されていてもよく、同時にパターニングされてもよい。
【0065】
互いに隣接する第2タッチ電極420の間を接続する第2接続部422は、第2タッチ電極420と異なる層に位置することができる。つまり、第2タッチ電極420と第1接続部412は、互いに分離されていてもよく、別途にパターニングされてもよい。第2タッチ電極420と第2接続部422は、直接的な接触により互いに接続可能である。
【0066】
第1接続部412と第2接続部422との間には絶縁膜430が位置し、第1接続部412と第2接続部422とを互いに絶縁させる。絶縁膜430は、図6および図7に示しているように、第1接続部412と第2接続部422との交差部ごとに配置された複数の独立した島状の絶縁体であってよい。絶縁膜430は、第2接続部422が第2タッチ電極420に接続できるように、第2タッチ電極420の少なくとも一部を露出してもよい。
【0067】
絶縁膜430は、その周縁が丸まった形状を有してもよく、多角形であってもよい。
【0068】
他の実施形態によれば、絶縁膜430は全面的に形成され、列方向に隣接する第2タッチ電極420の接続のために、第2タッチ電極420の一部の上に位置する絶縁膜430が除去されていてもよい。
【0069】
図6および図7に示しているのとは異なり、互いに隣接する第2タッチ電極420の間を接続する第2接続部422が第1タッチ電極410と同一層に位置し、第1タッチ電極410と一体化されており、互いに隣接する第1タッチ電極410の間を接続する第1接続部412は、第1タッチ電極410と異なる層に位置してもよい。
【0070】
図5を参照すれば、各行の互いに接続された第1タッチ電極410は、第1タッチ配線411を介してタッチ制御部700に接続され、各列の互いに接続された第2タッチ電極420は、第2タッチ配線421を介してタッチ制御部700に接続可能である。第1タッチ配線411と第2タッチ配線421は、図5に示しているように、表示板300の周辺領域PAに位置することができるが、これとは異なり、タッチ活性領域TAに位置してもよい。
【0071】
第1タッチ配線411および第2タッチ配線421の端部分は、表示板300の周辺領域PAでパッド部450を形成する。
【0072】
第1タッチ電極410および第2タッチ電極420は、表示板300から光が透過できるように、所定の値以上の透過度を有することができる。第1タッチ電極410および第2タッチ電極420は、2次元導電素材を含む少なくとも1つの導電膜と、2次元導電素材、銀ナノワイヤ(AgNw)、メタルメッシュ(metal mesh)、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェンなどの導電物質のうちの少なくとも1つを含む導電膜とが、複数の不導体膜と交互に積層されてなる電極構造体として作られてもよい。
【0073】
不導体膜は、銀ナノワイヤ、炭素ナノチューブ、グラフェンなどを液状にして塗布するために使用する有機バインダーであってよい。有機バインダーとしては、HPMC(Hydroxypropyl Methylcellulose)をはじめとするセルロース系、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol)、ポリビニルアクリル酸(Polyvinyl acrylic acid)などが使用できる。また、最上層の不導体膜は、ポリアクリレート(polyacrylate)系オーバーコート膜であってよい。複数の導電膜は、2次元導電素材を含む少なくとも1つの導電膜と共に、2次元導電素材、銀ナノワイヤ(AgNw)、メタルメッシュ(metal mesh)、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェンなどの透明な導電膜を形成可能な物質のうちの少なくとも1つを含む導電膜を含むことができ、各膜ごとに互いに異なる種類の導電物質を含むことができる。例えば、導電膜のうち最も下層の第1導電膜は、2次元導電素材をバインダーと混合して塗布し乾燥して形成し、その上に銀ナノワイヤを有機バインダーと混合して塗布し乾燥して、有機バインダーを含む不導体膜と、銀ナノワイヤを含む第2導電膜とを形成し、さらに炭素ナノチューブやグラフェンを有機バインダーと混合して塗布し乾燥して、有機バインダーを含む不導体膜と、炭素ナノチューブやグラフェンを含む第3導電膜とを形成することができる。有機バインダーは、炭素ナノチューブやグラフェンの表面のどこにでも位置するので、第3導電膜上にも不導体膜が形成可能である。このような複数の導電膜は、電極構造体の少なくとも一側面で接続部材を介して電気的に互いに接続可能である。図5を参照すれば、本実施形態では、複数の第2タッチ電極420の間を接続する第2接続部422が、電極構造体の複数の導電膜を側面で接続する接続部材の役割も兼ねている。また、第1タッチ配線411と第2タッチ配線421も、電極構造体の複数の導電膜を側面で接続する接続部材の役割を兼ねるようにしてもよい。電極構造体の複数の導電膜を側面で接続する接続部材は、第2接続部422、第1タッチ配線411および第2タッチ配線421とは別個に形成されてもよい。
【0074】
第1タッチ配線411と第2タッチ配線421は、第1タッチ電極410および第2タッチ電極420が含む透明な導電物質、またはモリブデン(Mo)、銀(Ag)、チタン(Ti)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、モリブデン/アルミニウム/モリブデン(Mo/Al/Mo)などの低抵抗物質を含むことができる。
【0075】
互いに隣接する第1タッチ電極410と第2タッチ電極420は、接触感知センサとして機能する相互感知キャパシタ(mutual sensing capacitor)を形成する。相互感知キャパシタは、第1タッチ電極410および第2タッチ電極420のうちの1つを介して感知入力信号を受信し、外部物体の接触による電荷量の変化を感知出力信号として残りのタッチ電極を介して出力することができる。
【0076】
図5図7に示しているのとは異なり、複数の第1タッチ電極410と複数の第2タッチ電極420は互いに分離され、それぞれタッチ配線(図示せず)を介してタッチ制御部700に接続されてもよい。この場合、各タッチ電極は、接触感知センサとして自己感知キャパシタ(self sensing capacitor)を形成することができる。自己感知キャパシタは、感知入力信号を受信して所定の電荷量で充電可能であり、指などの外部物体の接触があれば、充電電荷量に変化が生じて、入力された感知入力信号と異なる感知出力信号を出力することができる。
【0077】
さらに図4を参照すれば、表示制御部600は、表示板300の映像表示動作を制御する。
【0078】
より具体的には、表示制御部600は、外部から各画素PXの輝度情報を含んでいる入力映像信号およびその表示を制御する入力制御信号を受信する。表示制御部600は、入力映像信号と入力制御信号に基づいて入力映像信号を処理して出力映像信号に変換し、ゲート制御信号およびデータ制御信号などの制御信号を生成する。表示制御部600は、ゲート制御信号をゲート駆動部(図示せず)に送り出し、データ制御信号と出力映像信号をデータ駆動部(図示せず)に送り出す。
【0079】
図示しないが、データ駆動部は、データ制御信号によって1行の画素PXに対する出力映像信号を受信し、各出力映像信号に対応する階調電圧を選択することにより、出力映像信号をデータ電圧に変換した後、これを当該データ線に印加する。ゲート駆動部は、ゲート制御信号によってゲートオン電圧をゲート線に印加して、ゲート線に接続されたスイッチング素子をターンオンさせる。すると、データ線に印加されたデータ電圧がターンオンされたスイッチング素子を介して当該画素PXに印加される。画素PXにデータ電圧が印加されると、画素PXは、発光素子などの多様な光学変換素子によりデータ電圧に対応する輝度を表示することができる。
【0080】
タッチ制御部700は、タッチ活性領域に位置する接触感知センサに接続され、接触感知センサの動作を制御する。タッチ制御部700は、接触感知センサに感知入力信号を伝達したり、感知出力信号を受信して処理したりすることができる。タッチ制御部700は、感知出力信号を処理して、タッチの有無およびタッチ位置などのタッチ情報を生成することができる。
【0081】
データ駆動部、ゲート駆動部、および表示制御部600などの駆動装置は、少なくとも1つの集積回路チップの形態で表示板300上に直接装着されたり、可撓性印刷回路膜(flexible printed circuit film)(図示せず)上に装着され、TCP(tape carrier package)の形態で表示板300に付着したり、別途の印刷回路基板(printed circuit board)(図示せず)上に装着されてもよい。これとは異なり、駆動装置は、表示信号線およびスイッチング素子などと共に、表示板300に集積されてもよい。
【0082】
タッチ制御部700も、少なくとも1つの集積回路チップの形態で表示板300上に直接装着されたり、可撓性印刷回路膜上に装着され、TCPの形態で表示板300に付着したり、別途の印刷回路基板上に装着されてもよい。タッチ制御部700は、表示板300のパッド部450を介して第1タッチ配線411および第2タッチ配線421に接続可能である。
【0083】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0084】
10 基板、
11、21 導電材料、
30 導電性接続部材、
41、42、43 導電膜、
51、52、53、54 不導体膜、
410、420 タッチ電極、
411、421 タッチ配線、
412、422 接続部、
450 パッド部、
600 表示制御部、
700 タッチ制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7