【実施例1】
【0015】
図1に、本発明のエレベーター装置の実施例1を示す。該図に示す如く、本実施例のエレベーター装置は、乗りかご1と、この乗りかご1に設置されている各機器(ドア2、乗りかご1内に設けられた呼び登録盤3、例えば、乗りかご1の天井に設けられたカメラやステレオカメラ等の撮像手段4、例えば、乗りかご1の天井に設けられたスピーカー5)と、降り間違い防止装置7とから概略構成されている。
【0016】
ドア2と呼び登録盤3は、エレベーター装置の動作を制御する制御盤(昇降路や機械室に設けられている)6に接続され、ドア2は制御盤6によって開閉が制御され、呼び登録盤3は行先階を指示する釦の操作状況を制御盤6に伝えている。
【0017】
降り間違い防止装置7は、例えば、乗りかご1の天井やエレベーター装置の機械室や昇降路内に設けられた装置であり、乗客検知手段8と、識別手段9と、記憶手段10と、制御手段11と、挙動検知手段12と、報知手段13とで構成されている。
【0018】
上述した乗客検知手段8は、撮像手段4からの画像を入力して、乗りかご1のどの位置に乗客が居るかを検知する装置であり、識別手段9は、乗客検知手段8で検知された各乗客に、例えば、複数の乗客同士が重複しないように識別するユニークなラベルを付与したり、当該乗客の行き先登録階を設定する機能であり、複数の乗客同士が重複しないように識別するユニークなラベルと行き先登録階は記憶手段10に記憶されている。
【0019】
また、制御手段11は、降り間違い防止装置7の動作を各部(乗客検知手段8、識別手段9、記憶手段10、挙動検知手段12、報知手段13)に指示したり、制御盤6からのかご呼び状況を入力したり、制御盤6にドア2の開閉の指示を行う機能を持ち、挙動検知手段12は、例えば、異なる時刻で乗客検知手段8によって検知された各乗客の位置の変化より各乗客の動き(挙動)を検知する機能であり、報知手段13は、乗りかご1のスピーカー5を通じて、降り間違いしかけた乗客に目的階とは異なる階であることを信号音や音声等で報知する機能を持つ。
【0020】
次に、本実施例のエレベーター装置における降り間違い防止装置7の動作を、一人の乗客20が乗りかご1に乗車している状況を表す
図2及び
図3、二人の乗客20、21が乗りかご1に乗車している状況を表す
図4乃至
図9、それらの動作のフローチャートを表す
図10を用いて説明する。
【0021】
まず、乗りかご1に一人目の乗客20が乗車するときの動作を
図2、
図3及び
図10を用いて説明する。
【0022】
図2において乗りかご1のドア2が開くと、
図10の手順S1にて、ドア2の開の状態(Y)を捉え、手順S2に進む。手順S2では、乗客検知手段8にて乗客20が乗りかご1に入ってくるのを検知し、手順S3に進む。
【0023】
手順S3では、乗客20に、複数の乗客同士が重複しないように識別するユニークラベルA(
図2参照)を識別手段9で付与し、手順S4に進む。
【0024】
そして、
図3に示すように、乗客20が呼び登録盤3の周囲(破線で囲まれた部分)3Aの範囲に居る間に、呼び登録盤3で行先階である5階の呼びを乗客20が登録する。そのとき、手順S4で、呼び登録が(Y)であれば、手順S5に進む。手順S5では、乗客20にユニークラベルAと行先階である5階を登録して記憶手段10に記憶する。
【0025】
次に、乗客20に続き、乗客21が乗りかご1に乗車する場合の動作を
図4乃至
図10を用いて説明する。
【0026】
図4に示すように、乗客20が行先階である5階の登録が終えて乗りかご1の奥側に移動し、乗客21が乗りかご1に乗車する。乗客21が乗りかご1に乗車する時、ドア2が開いているため、
図10の手順S1にて、ドア2の開の状態(Y)を捉え、手順S2に進む。手順S2では、乗客検知手段8にて乗客21が乗りかご1に入ってくるのを検知し、手順S3に進む。
【0027】
手順S3では、乗客21に、複数の乗客同士が重複しないように識別するユニークラベルB(
図4参照)を識別手段9で付与し、手順S4に進む。
【0028】
そして、
図5に示すように、乗客21が呼び登録盤3の周囲(破線で囲まれた部分)3Aの範囲に居る間に、呼び登録盤3で行先階である7階の呼びを乗客21が登録する。そのとき、手順S4で、呼び登録が(Y)であれば、手順S5に進む。手順S5では、乗客21にユニークラベルBと行先階である7階を登録して記憶手段10に記憶する。その後、
図6に示すように、乗客21が行先階である7階の記憶手段10への登録を終えて、乗りかご1の奥側に移動する。
【0029】
次に、
図7に示すように、乗客20と乗客21が乗りかご1の奥側に移動した後、ドア2が閉まり、エレベーター装置が走行をする。そのとき、
図10の手順S1で、エレベーター装置のドア2の開が(N)となっている場合には、手順S6に進む。手順S6で、エレベーター装置が走行していることを示していたら、手順S7に進む。
【0030】
ここで、
図8に示すように、4階にてホール呼びが登録されていれば、エレベーター装置は4階で停止してドア2が開くが、その際に、手順S7で、ドア2が開く(Y)であれば、手順S8に進む。
【0031】
このとき、
図9に示すように、乗客20が、エレベーター装置が行先階登録している5階に停止しているものと間違えて、ドア2に向かって移動し降車しようとする。そうすると、手順S8では、挙動検知手段12がドア2に向かう乗客20の存在を検知し(Y)であれば、手順S9に進む。
【0032】
手順S9では、乗客20に付与された複数の乗客同士が重複しないように識別するユニークラベルAと行先階登録している5階を記憶手段10より読み出し、現在の停止階である4階と比較する。その結果が(N)となれば、手順S10に進む。
【0033】
手順S10では、報知手段13が、スピーカー5を介して“現在の停止階である4階は、降り間違いである”ことを報知する文言又は“現在の停止階と現在の停止階である4階は、降り間違いである”ことを報知する文言の音声で乗りかご1内に報知する。その後、手順S11に進む。
【0034】
手順S11では、該当乗客20が、乗りかご1から降車したかどうかを挙動検知手段12の検知で判別し、もし乗客20が手順S10により降り間違えた場合、手順S11では(Y)となり、手順S12に進む。
【0035】
手順S12では、報知手段13によって降り間違いを報知した後に、乗客同士が重複しないように識別するユニークラベルAに識別された乗客がドア2を通って乗りかご1の外に出たことを検出した場合には、報知手段13がスピーカー5を介して現在の停止階である4階は、降り間違いであることを乗りかご1内に報知しつつ、制御手段11により、制御盤6に所定の時間のドア2の開放を維持(待機)し(通常の開放時間より長くする)、所定の時間が経過後にドア2を閉じて乗りかご1の移動を再開させる。これにより、乗客20が乗りかご1内に戻ることが可能となる。
【0036】
一方、手順S9で、降車する乗客に付与された行先階を、現在の停止階である4階と比較し、その結果が(Y)となる場合、即ち、乗客は正しい階に降車することとなる場合は、手順S13に進む。
【0037】
手順S13では、乗客が目的階で降りた場合には、ユニークラベルA及びBと行先階情報を削除し、再度乗ってくる乗客の検知を開始する。即ち、手順S1に戻り、再度乗ってくる乗客に対して上述した動作を開始する。
【0038】
また、手順S8では、挙動検知手段12がドア2に向かう乗客20が存在しない(N)の場合、即ち、降車する乗客は居なく、乗車してくる乗客が居ることになり、その場合には、手順S1に戻り新しい乗客のユニークラベルの登録を開始する。
【0039】
このような本実施例とすることにより、複数の乗客がエレベーター装置を利用している状況であっても、各乗客が希望する行先階を認識し、各乗客が行先階と異なった階で降りようとする際に報知することにより、乗客の降り間違いを防止することが可能となる。
【0040】
また、上述した特許文献1では、乗場呼びのみによって乗りかごが停止した場合に、乗りかご内から降りる乗客が検出された際に報知器を付勢して降り間違いを報知するものの、間違って降りてしまった乗客を、ホールに取り残したままエレベーター装置が出発してしまう課題が解決されていない。
【0041】
ところが、本実施例によれば、乗客が間違った階に降りてしまっても、その乗客に報知した上で所定の時間ドアを開放してエレベーター装置の乗りかご内に戻ることを可能としているため、エレベーター装置が戻ってくるのを待つ必要がなくなる。
【0042】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。