【文献】
OMENYI, S. N. et al.,J. DISPERSION SCIENCE AND TECHNOLOGY,1986年,Vol. 7,pp. 1-19
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
血液細胞含有試料から非赤血球の血液細胞を回収するため、及び/又は非赤血球の血液細胞をプライミングし、その後の凍結保存ステップ(複数可)におけるそれらの完全性を保護するための;
(i) 高分子の赤血球沈降促進剤と、
(ii) ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルグリシン(DMG)及び/又はバリン:
との組合せの使用であって;
前記試料が成分(i)及び(ii)と接触させられる場合に、結果として生じる混合物が成分(i)を0.05〜10% w/vの濃度で、及び成分(ii)を0.05〜10% v/vの濃度で含み;且つ
前記組合せは、非赤血球の血液細胞をプライミングし、その後の凍結保存ステップ(複数可)におけるそれらの完全性を保護するために用いられる場合、成分(i)が少なくとも50kDaの分子量を有するデキストランであり、かつ成分(ii)がDMSOである、使用。
前記組合せが、血液細胞含有試料から非赤血球の血液細胞を回収するために用いられ、高分子の赤血球沈降促進剤がデキストランであり、かつ成分(ii)がDMSOである、請求項1に記載の使用。
ステップ(a)が、血液細胞含有試料を成分(i)及び(ii)を含む組成物に接触させることを含み、かつ前記血液細胞含有試料と組成物が10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5、より好ましくは2:1〜1:2の比率で混合される、請求項3又は4に記載の方法。
ステップ(a)が、血液細胞含有試料を成分(i)及び(ii)を含む組成物に接触させることを含み、かつ前記組成物が0.5〜10% w/vの成分(i)及び0.5〜10% v/vの成分(ii)を含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
前記血液細胞含有試料が成分(i)及び(ii)に接触させられた時点で、成分(i)の濃度が0.25〜5 % w/vであり、かつ成分(ii)の濃度が0.25〜5 % v/vである、請求項3〜11のいずれか1項に記載の方法。
前記細胞画分を成分(i)及び(ii)を含む組成物に接触させることを含み、前記細胞画分と組成物が、10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5、より好ましくは2:1〜1:2の比率で混合される、請求項17に記載の方法。
前記細胞画分を成分(i)及び(ii)を含む組成物に接触させることを含み、前記組成物が0.1〜10% w/vの成分(i)及び0.1〜10% v/vの成分(ii)を含む、請求項17又は18に記載の方法。
前記細胞画分が成分(i)及び(ii)に接触させられた時点で、成分(i)の濃度が0.25〜5 % w/vであり、かつ成分(ii)の濃度が0.25〜5 % v/vである、請求項17〜21のいずれか1項に記載の方法。
凍結保存のための非赤血球の血液細胞を調製するための方法であって、(a)請求項3〜24のいずれか1項に記載の方法、及び(b)このようにして得られる非赤血球の血液細胞に凍結保護物質を加えることを含む、方法。
非赤血球の血液細胞を凍結保存するための方法であって、(a)請求項3〜24のいずれか1項に記載の方法、(b)このようにして得られる非赤血球の血液細胞に凍結保護物質を加えること、及び(c)該非赤血球の血液細胞を凍結保存することを含む、方法。
非赤血球の血液細胞を凍結保存し、その後回収するための方法であって、(a)請求項3〜24のいずれか1項に記載の方法、(b)このようにして得られる非赤血球の血液細胞に凍結保護物質を加えること、(c)前記非赤血球の血液細胞を凍結保存すること、及び(d)前記非赤血球の血液細胞を解凍することを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本発明は、血液細胞含有試料から非赤血球の血液細胞を回収するため、及び/又は非赤血球の血液細胞をプライミングし、その後の凍結保存ステップ(複数可)におけるそれらの完全性を保護するための;
(i) 高分子の赤血球沈降促進剤と、
(ii) ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルグリシン(DMG)及び/又はバリン:
との組合せの使用を提供する。好ましくは、高分子の赤血球沈降促進剤はデキストランであり、かつ成分(ii)はDMSOである。
【0013】
成分(i)と(ii)の組合せが、血液細胞含有試料から非赤血球の血液細胞を回収するために用いられる場合に、成分(ii)は、血液細胞含有試料から、成分(i)単独を用いて得られるであろうよりも、より多くの生存する非赤血球の血液細胞の回収を可能とするために用いられ得る。
【0014】
成分(i)及び(ii)が本発明に従って用いられる場合に、成分は典型的には、例えばデキストラン及び/又はDMSOのような因子が、凍結保護物質として利用される場合に用いられ得る濃度と比較して、相対的に低濃度で用いられる。非赤血球の血液細胞が成分(i)及び(ii)と接触させられる場合に、その結果生じる混合物は、0.01〜20% w/v、好ましくは0.05〜10% w/v、例えば0.1〜5% w/v (0.5〜2% w/v、 1〜1.5% w/v、又は1.25% w/v若しくはその付近など)、又は2〜10% w/v (5〜7.5% w/v、 6〜6.5% w/v、又は6.25% w/v若しくはその付近など)の濃度で、成分(i)を含み得る。好ましくは、非赤血球の血液細胞が成分(i)及び(ii)と接触させられる場合に、混合物は、0.01〜20% v/v、好ましくは0.05〜10% v/v、例えば0.1〜5% v/v (0.5〜2% v/v、 1〜1.5% v/v、又は1.25% v/v若しくはその付近など)、又は2〜10% v/v (5〜7.5% v/v、 6〜6.5% v/v、又は6.25% v/v若しくはその付近など)の濃度で、成分(ii)を含む。成分(ii)の濃度が時には、例えば最大2、3、4、又は5倍高くなり得るが、% w/vにおける成分(i)の濃度は、典型的には、% v/vにおける成分(i)の濃度とおおよそ同じである。
【0015】
好ましくは、成分(i)と(ii)の組合せが、非赤血球の血液細胞をプライミングし、その後の凍結保存ステップ(複数可)におけるそれらの完全性を保護するために用いられる場合には、このプライミングステップは、細胞を直接の凍結保存/凍結の準備ができた形態にするために用いられるであろう任意のステップとは異なる。換言すれば、プライミングされる非赤血球の血液細胞が凍結保存に供される前に、適量の凍結保護物質を加える更なるステップが適切である。この点について、凍結保存を目的とする調合物のため、プライミングステップから既に存在するであろう、成分(i)又は(ii)のうち少なくとも1つを含む凍結保護物質を用いることは、有利であり得る。その方が、プライミング組成物から細胞を回収する必要がなく、むしろ、1つ以上の更なる凍結保護物質を細胞とプライミング組成物の混合物に、単に加えるだけであり得る。
【0016】
好ましくは、成分(i)と(ii)の組合せが、非赤血球の血液細胞をプライミングし、その後の凍結保存ステップ(複数可)におけるそれらの完全性を保護するために用いられる場合に、その後の凍結保存(cryproservation)ステップ(複数可)は、(b)このようにして得られる非赤血球の血液細胞に、凍結保護物質を加えること、(c)非赤血球の血液細胞を凍結保存すること、(d)非赤血球の血液細胞を解凍すること、及び/又は(e)凍結保存される調合物から、非赤血球の血液細胞を回収すること、の1つ以上のステップを意味する場合がある。典型的には、それはステップ(b)、ステップ(c)、又はステップ(b)と(c)の両方を意味する。これらは、成分(i)と(ii)の組合せが(そうでなく、成分(i)と(ii)の組合せが不在の場合(すなわち、これらの成分のたった1つがたとえ存在したとしても、残りの成分が存在しない場合)に、生じ得る損傷の種類に対して)細胞の完全性を保護するのに役立つ点で、特に効果的であるステップであるためである。
【0017】
上記の内容からわかるように、成分(i)及び(ii)は、特定の望まれる白血球のサブセットを手に入れるため、赤血球及び/又は1つ以上の特定の有核細胞を除去するための処理(複数可)を既に受けている細胞画分の形態で、非赤血球の血液細胞をプライミングするために、当然用いられ得る。しかしながら、本願の細胞分離方法は、その後の凍結保存ステップ(複数可)による損傷から、その結果生じる(分離される/回収される)細胞を保護することにも役立つため、本発明のプライミング方法において生じるものと同様の利益は、2つの別個の(分離及びプライミング)処理ステップを必要とすることなく享受され得るため、本発明の細胞分離方法を単純に用いることは、はるかに効率的であり得る。
【0018】
従って、本発明は細胞を分離する方法を提供し、前記方法は
(a) 血液細胞含有試料に
(i) 高分子の赤血球沈降促進剤、並びに
(ii) DMSO、DMG及び/又はバリン
を接触させること;
(b) 前記試料を、沈降相及び上澄み相に分画させること;並びに
(c) 細胞を前記沈降相及び/又は上澄み相から回収すること:
を含む。
【0019】
成分(i)と(ii)の組合せは、成分(i)単独を用いて得られ得るよりも、より多くの生存する非赤血球の血液細胞の回収を可能とする。この利点は、(a)その後の分離ステップ、(b)その後の凍結保存ステップ(複数可)の両方で生じる。
【0020】
好ましくは、ステップ(a)は成分(i)及び(ii)を含む組成物に、血液細胞含有試料を接触させることを含む。下記の通り、成分(i)として用いるための好ましい因子は、デキストランである。
【0021】
好ましくは、成分(ii)はDMSO、DMG又はバリンである。
【0022】
好ましくは、ステップ(c)は前記沈降相又は前記上澄み相から、細胞を回収することを含む。
【0023】
従って、好適な態様において、本発明は細胞を分離するための方法を提供し、前記方法は:
a) 血液細胞含有試料を
I) デキストラン;及び
II) ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルグリシン(DMG)又はバリン:
を含む組成物に接触させること;
b) 前記試料を、沈降相及び上澄み相に分画させること;並びに
c) 前記沈降相又は前記上澄み相から、細胞を回収すること:
を含む。
【0024】
好ましくは、細胞を分離する本発明の方法において、ステップ(a)は、成分(i)及び(ii)を含む組成物に、血液細胞含有試料を接触させることを含み、血液細胞含有試料及び組成物は、体積比(別段の指示がない限り、本明細書に記載される成分の比率は、一般的に体積での比率を意味することが意図される)10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5、より好ましくは2:1〜1:2の比率で混合される。典型的には、比率は1:1又はその付近の比率である。
【0025】
用いられる正確な比率は、組成物中の成分(i)及び(ii)の濃度に依存し得る。従って、本発明における使用のために、特に好ましい一組成物は、PBSを基にした組成物であり、これは、PBS中の5% w/v デキストラン500、及びPBS中の5 % v/v DMSO(別段の指示がない限り、本明細書で記載される成分(i)の濃度は、一般的に% w/vの単位を意味することが意図され、そして本明細書に記載される成分(ii)の濃度は、一般的に% v/vの単位を意味することが意図される)を(体積比)で等量組合せることにより調製される。この組成物は、「TotiCyte 1X」として本明細書に参照され、そしてPBS中で2.5% w/v デキストラン500及び2.5 % v/v DMSOを含む。上記で記載した比率は、この組成物が用いられる場合に、特に好適である。しかしながら、組成物中の成分(i)及び(ii)の濃度は、様々であり得る。例えば、本発明による使用のための代替の組成物は、PBSを基礎として、7.5% w/v デキストラン500及び7.5% v/v DMSOを含むTotiCyte組成物を意味する「TotiCyte 5X」として本明細書で参照される、より高い濃度の調合物である。このような組成物が用いられている場合に、好ましい比率は、例えば3分の1、4分の1、又は5分の1など、組成物の比率を減少させるために調節されてもよい。従って、この実施態様において、血液細胞含有試料及び組成物は、体積比50:1〜1:2、好ましくは25:1〜1:1、より好ましくは10:1〜5:2の比率で、混合されることがより好適であり得る。典型的には、比率は5:1又はその付近の比率である。
【0026】
従って、本発明との関連で、一般的に、血液細胞含有試料と組成物は、体積比50:1〜1:10、好ましくは25:1〜1:5、より好ましくは10:1〜1:2の比率で、混合されることが好適である。
【0027】
血液細胞含有試料を成分(i)及び(ii)と混合する比率は、その結果生じる混合物中の成分(i)及び(ii)の濃度を基準にして規定されてもよい。その結果生じる混合物において、0.1〜8% w/v、好ましくは0.25〜5% w/v、より好ましくは0.5〜2% w/v、更により好ましくは1〜1.5% w/v、典型的には1.25% w/v又はその付近の成分(i)の濃度を提供するため、好ましくは、血液細胞含有試料と成分(i)は、組み合わされる。その結果生じる混合物において、0.1〜8% v/v、好ましくは0.25〜5% v/v、より好ましくは0.5〜2% v/v、更により好ましくは1〜1.5% v/v、典型的には1.25% v/v又はその付近の成分(ii)の濃度を提供するため、好ましくは、血液細胞含有試料と成分(ii)は、組み合わされる。典型的には、成分(i)及び(ii)の濃度は、おおよそ同じである。従って、本発明の分離方法の好ましい一態様において、血液細胞含有試料が成分(i)及び(ii)と接触させられた時点で、成分(i)の濃度は0.25〜5% w/vであり、成分(ii)の濃度は0.25〜5% v/vである。
【0028】
(細胞+組成物の)混合物中の目標の濃度は、TotiCyte 5Xのように、より高濃度の成分(i)と(ii)の組成物が用いられている場合に、より高くなり得る。従って、より一般的に成分(i)の目標の濃度は、0.1〜10% w/v、好ましくは0.5〜5% w/v、より好ましくは1〜4% w/v、典型的には1.25若しくは2% w/v又はその付近であり;そして成分(ii)の目標の濃度は、0.1〜10% v/v、好ましくは0.5〜5% v/v、より好ましくは1〜4% v/v、典型的には1.25 若しくは 2% v/v又はその付近である。
【0029】
本発明の細胞分離方法において、ステップ(a)が、成分(i)及び(ii)を含む組成物に、血液細胞含有試料を接触させることを含む場合に、この組成物は、好ましくは0.5〜10%(より好ましくは1〜5%、典型的には2〜4%) w/vの成分(i)、及び0.5〜10% (より好ましくは1〜5%、典型的には2〜4%) v/v の成分(ii)を含む。
【0030】
好ましくは、本発明の方法が実施される血液細胞含有試料は、末梢血、臍帯血、骨髄から選択される。
【0031】
好ましくは、本発明の方法が実施される血液細胞含有試料は、ヒトから採取される。血液細胞含有試料が抗凝固物質を含むことも好適である。抗凝固物質の実物は、特に限定されないが、典型的な例として、ヘパリン、EDTA、CPD、及びCPDAが挙げられ、CPD及びCPDAが好適であり、CPDAが最も好適である。
【0032】
好ましくは、本発明の分離方法は、赤血球の血液細胞を含有する血液細胞含有試料から、非赤血球の血液細胞を回収するための方法である。従って典型的には、実質的にすべての赤血球、例えば、血液細胞を含む出発試料中に存在する、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、典型的には少なくとも99%の赤血球を除去する。
【0033】
好ましくは、本発明の分離方法は、1(体積)%未満のヘマトクリットを有する、非赤血球の血液細胞の試料を調製することにおける使用のための方法である。従って、ステップ(c)における前記沈降相及び/又は上澄み相から回収される細胞は、好ましくは1%以下、より好ましくは1%未満のヘマトクリットを有する。
【0034】
一実施態様において、本発明の分離方法は、高濃度の血小板のサンプルを調製するための方法である。
【0035】
本発明の方法は、増強された比率の非赤血球の血液細胞、典型的には白血球の回収を可能にする。本発明の分離方法との関連で、前記の又は各々の望まれる非赤血球の血液細胞の種類(複数可)の回収レベルは、全血の出発試料中の量と比較して、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%である。本発明の分離方法又はプライミング方法を用いることにより得られる解凍後の回収レベルは、(特に、解凍後に実施され得る任意の洗浄ステップ前に、回収レベルが測定される場合には)少なくとも60%、より好ましくは少なくとも80%、典型的には少なくとも90%の回収レベルを好ましくは可能にする。総有核細胞(TNC)、CD34、及びCD45細胞数算定のような、かかる望まれる細胞種の濃度を測定するのに適した方法は、以下の実施例中で記述される。
【0036】
本発明の分離方法において、ステップ(b)では試料は、好ましくは、10 〜 60分間沈降相及び上澄み相に分画させられる。
【0037】
本発明は、凍結保存(crypreservation)のため、非赤血球の血液細胞の画分をプライミングするための方法も提供し、前記方法は、細胞画分を
(i) 高分子の赤血球沈降促進剤、並びに
(ii) DMSO、DMG及び/又はバリン;
の組合せと接触させることを含み、血液細胞含有試料が成分(i)及び(ii)と接触させられる場合に、成分(ii)の濃度は5% v/vを超えない。この点について好ましくは、成分(ii)の濃度は4% v/vを超えず、より好ましくは3% v/vを超えず、更により好ましくは2% v/vを超えず、典型的には1.5% v/vを超えない。
【0038】
本発明の分離方法において、成分(i)及び(ii)の使用のための前述の好適な態様は、本発明のプライミング方法にとっても好適である。
【0039】
例えば、本発明のプライミング方法は、好ましくは成分(i)と(ii)を含む組成物に、細胞画分を接触させることを含み、細胞画分と組成物は、体積比10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5、より好ましくは2:1〜1:2の比率で混合される。典型的には、比率は1:1又はその付近の比率である。
【0040】
もっとも、上述のように、用いられる正確な比率は、組成物中の成分(i)及び(ii)の濃度に依存し得る。従って、本発明の「TotiCyte 1X」組成物が用いられている場合には、上述の比率が特に好適である。しかしながら、組成物中の成分(i)及び(ii)の濃度は様々であり得る。例えば、本発明の「TotiCyte 5X」組成物が用いられている場合には、好ましい比率は、例えば3分の1、4分の1、又は5分の1など、組成物の比率を減少させるために調節されてもよい。従って、この実施態様において、細胞画分と組成物が体積比50:1〜1:2、好ましくは25:1〜1:1、より好ましくは10:1〜5:2の比率で混合されることがより好適である。典型的には、比率は5:1又はその付近の比率である。
【0041】
従って、本発明との関連で、一般的に、細胞画分と組成物は、体積比50:1〜1:10、好ましくは25:1〜1:5、より好ましくは10:1〜1:2の比率で、混合されることが好適である。
【0042】
細胞画分を成分(i)及び(ii)と混合する比率は、その結果生じる混合物中の成分(i)及び(ii)の濃度を基準にして規定されてもよい。その結果生じる混合物において、0.1〜8% w/v、好ましくは0.25〜5% w/v、より好ましくは0.5〜2% w/v、更により好ましくは1〜1.5% w/v、典型的には1.25% w/v又はその付近の成分(i)の濃度を提供するため、好ましくは、細胞画分と成分(i)は、組み合わされる。その結果生じる混合物において、0.1〜8% v/v、好ましくは0.25〜5% v/v、より好ましくは0.5〜2% v/v、更により好ましくは1〜1.5% v/v、典型的には1.25% v/v又はその付近の成分(ii)の濃度を提供するため、好ましくは、細胞画分と成分(ii)は、組み合わされる。典型的には、成分(i)及び(ii)の濃度は、おおよそ同じである。従って、本発明のプライミング方法の好ましい一態様において、細胞画分が成分(i)及び(ii)と接触させられた時点で、成分(i)の濃度は0.25〜5% w/vであり、成分(ii)の濃度は0.25〜5% v/vである。
【0043】
(細胞+組成物の)混合物中の目標の濃度は、TotiCyte 5Xのように、より高濃度の成分(i)と(ii)の組成物が用いられている場合に、より高くなり得る。従って、より一般的に成分(i)の目標の濃度は、0.1〜10% w/v、好ましくは0.5〜5% w/v、より好ましくは1〜4% w/v、典型的には1.25若しくは2% w/v又はその付近であり;そして成分(ii)の目標の濃度は、0.1〜10% v/v、好ましくは0.5〜5% v/v、より好ましくは1〜4% v/v、典型的には1.25 若しくは 2% v/v又はその付近であり、最も典型的には1.25% v/v又はその付近である。
【0044】
本発明のプライミング方法は、好ましくは成分(i)及び(ii)を含む組成物に、細胞画分を接触させることを含み、この組成物は、0.1〜10%(より好ましくは0.5〜5%、典型的には1〜2%) w/vの成分(i)、及び0.1〜10% (より好ましくは0.5〜5%、典型的には1〜2%) v/v の成分(ii)を含む。
【0045】
好ましくは、細胞画分は白血球を含む。
【0046】
好ましくは、細胞画分はヒトから採取される。
【0047】
好適な態様において、本発明の分離及びプライミング方法は、それに続く凍結保存ステップ(複数可)後に回収される生存白血球の比率を増加させる(目的の)ための方法である。特に、成分(ii)を導入することは、成分(i)単独により可能である細胞の量と比較して、凍結保存後に回収され得る生存細胞の量を増やす。前述のように、凍結保存ステップ(複数可)へのこの参照は、(b)このようにして得られる非赤血球の血液細胞に、凍結保護物質を加えること、(c)非赤血球の血液細胞を凍結保存すること、(d)非赤血球の血液細胞を解凍すること、及び/又は(e)凍結保存される調合物から、非赤血球の血液細胞を回収すること、の1つ以上のステップを意味する場合があるが、しかし典型的にそれはステップ(b)、ステップ(c)、又はステップ(b)と(c)の両方を意味する。
【0048】
本発明の方法及び組成物による使用のための成分(i)に関して、用いられ得る高分子の赤血球沈降促進剤の種類についての特定の限定はない。用いられ得る可能性のある物質は、ポリブレン、硫酸プロタミン、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びデキストラン(少なくとも約50kDaの分子量を有するデキストランが好ましい)が挙げられる。好適な成分(i)は、多糖類であり、より好ましくはデキストランである。そのサイズに関しては、成分(i)(好ましくはデキストラン)は、好ましくは少なくとも50 kDa、より好ましくは少なくとも70 kDa、更により好ましくは少なくとも100kDa若しくは少なくとも200、300又は実に500 kDa分子量を有する。分子量に関して特定の上限はないが、典型的には1000 kDa以下、より典型的には750 kDa以下、更により典型的には500 kDa以下である。特に好ましいデキストランは、デキストラン 500である。これらの好ましい範囲(少なくとも50kDaなど)以内の分子量が、本発明のプライミング方法の上で、特に好適である。
【0049】
本発明の方法及び組成物による使用のための成分(ii)に関して、これはDMSO、DMG及びバリンのうち2つ、又はすべての混合物であってもよいが、しかし典型的には、これらの因子のたった1つが用いられる。因子のバリンは、好ましくはL-バリンである。一般的に、DMSO及びバリン(典型的にはL-バリン)がより好適であり、DMSOが最も好適である。
【0050】
好ましくは、成分(i)はデキストランであり、かつ成分(ii)はDMSOである。より好ましくは、成分(i)はデキストラン 500であり、かつ成分(ii)はDMSOである。
【0051】
成分(i)は、好ましくは、組成物、典型的には水溶液の形態で試料又は細胞画分に接触させられる。好ましくは、組成物は生理食塩水である。好ましくは、溶液のpHは6.8〜7.8、例えば7.4又はその付近である。典型的には、溶液は医薬的に許容できる緩衝剤を用いて望まれるpHに緩衝される。これに関する使用のための可能な溶媒としては、PBS(リン酸緩衝塩類溶液)、MOPS及びHEPESが挙げられ、PBSが好適である。
【0052】
成分(ii)は、好ましくは、組成物、典型的には水溶液の形態で試料又は細胞画分に接触させられる。好ましくは、組成物は生理食塩水である。好ましくは、溶液のpHは6.8〜7.8、例えば7.4又はその付近である。典型的には、溶液は望まれるpHに緩衝される。これに関する使用のための可能な溶媒としては、PBS(リン酸緩衝塩類溶液)、MOPS及びHEPESが挙げられ、PBSが好適である。
【0053】
好ましくは、成分(i)と(ii)は、血液細胞含有試料又は細胞画分に接触させられる前に、組み合わされて単一の組成物となる。この単一の組成物は、典型的には、溶媒(好ましくはPBS)及び各成分(i)並びに(ii)から実質的になる。
【0054】
本発明は、非赤血球の血液細胞を凍結保存のために調製するための方法も提供し、方法は、(a)本明細書で規定されたような本発明の分離又はプライミング方法、及び(b)このようにして得られる非赤血球の血液細胞に、凍結保護物質を加えること、を含む。
【0055】
本発明は、非赤血球の血液細胞を凍結保存するための方法も提供し、方法は、(a)本明細書で定義されたような本発明の分離又はプライミング方法、(b)このようにして得られる非赤血球の血液細胞に、凍結保護物質を加えること、及び(c)非赤血球の血液細胞を凍結保存すること、を含む。
【0056】
本発明は、非赤血球の血液細胞を凍結保存及びその後に回収するための方法も提供し、方法は、(a)本明細書で規定されたような本発明の分離又はプライミング方法、(b)このようにして得られる非赤血球の血液細胞に、凍結保護物質を加えること、(c)非赤血球の血液細胞を凍結保存すること、及び(d)非赤血球の血液細胞を解凍すること、を含む。更なるステップ(e)の(既に解凍された)凍結保存される調合物から、非赤血球の血液細胞を回収すること、もあり得る。
【0057】
凍結保護物質の好適な調合物は、前述している。好ましくは、凍結保護物質はDMSOを含む。一実施態様において、それは実質的にDMSOからなり得る。
【0058】
凍結保存は、典型的には温度を零下の温度、すなわち0℃未満まで下げることを含む。典型的には、それは、約-80℃(例えば、-78℃)などの-50℃以下まで温度を下げることを含み得るが、ただしそれは、約-120℃以下、又は更に-140℃以下など、-100℃以下まで温度を下げることを含み得る。
【0059】
本発明は、本明細書で規定されたような本発明の方法により得られる、非赤血球の細胞の画分も提供する。典型的には、かかる細胞画分は、特徴的な高い比率の生存する非赤血球の血液細胞により、他の方法を用いて得られる細胞画分とは区別され得る。それらは、その後の凍結保存ステップ(複数可)の間に現れる保護的な効果によっても、他の方法を経由して得られる細胞画分とは区別され得る。本発明の方法を経由して調製された細胞画分において、少量の残存レベルの成分(i)及び/又は(ii)も存在し得る。
【0060】
本発明は、(i)高分子の赤血球沈降促進剤、並びに(ii)DMSO、DMG及び/又はバリンを含む組成物であって、組成物が、血液細胞含有試料から非赤血球の血液細胞を回収すること、及び/又は非赤血球の血液細胞をプライミングして、その後の凍結保存及び解凍ステップでのそれらの完全性を保護することにおける使用に適しており、成分(ii)がDMSOの場合に、組成物中のDMSOの濃度が10% v/v以下である、組成物も提供する。この点について好ましくは、成分(ii)の濃度は8% v/vを超えず、より好ましくは6% v/vを超えず、更により好ましくは4% v/vを超えず、典型的には3% v/vを超えない。
【0061】
組成物中の成分(i)の濃度は、有利には、10% w/v以下、好ましくは8% w/v以下、より好ましくは6% w/v以下、更により好ましくは4% w/v 以下、典型的には3% w/v 以下であり得る。組成物中の成分(i)の濃度は、好ましくは0.1% w/v 以上、より好ましくは0.5% w/v以上、更により好ましくは1% w/v以上、典型的には2% w/v以上である。
【0062】
組成物中の成分(ii)の濃度は、好ましくは8% v/v以下、より好ましくは6% v/v以下、更により好ましくは4% v/v 以下、典型的には3% v/v 以下である。組成物中の成分(i)の濃度は、好ましくは0.1% v/v以上、より好ましくは0.5% v/v以上、更により好ましくは1% v/v以上、典型的には2% v/v以上である。
【0063】
組成物の好適な一態様において、成分(i)の濃度は、1〜5% w/vであり、成分(ii)の濃度は1〜5% v/vである。
【0064】
本発明は、本明細書で規定されたような(成分(i)及び(ii)を含む)組成物を含む器具であって、ボトル、血液バッグ、血液バッグへの注入用のプレフィルドシリンジである器具か、又は該組成物及び採血容器を含むキットも提供する。
【0065】
成分(i)は(例えば、デキストラン)及び成分(ii)(ジメチル含有成分)は共に、(i)血液細胞含有試料の赤血球及び白血球画分(及び血漿画分)へ分画させることの強化、(ii)分離に続く細胞回収のレベルの改善、及び/又は(iii) 非赤血球の血液細胞へ付与されることとなる、その後の凍結保存ステップ(複数可)におけるそれらの完全性を保護する保護的効果を与える、驚くほどかつ相乗的に効果的な分離及び/又はプライミング培地を提供する。分離培地は、沈降を援助する重力を促進し、従ってステップ(b)は一般的に、試料と分離培地の組合せを静置することを必要とするにすぎない。従って、典型的にステップ(b)において能動的なステップは必要とされず、そして望まれる沈降をもたらすことに役立つ重力に単に依存することが可能である。もっとも、誤解を避けるため、任意の活性化ステップが、分画することを妨げない限り、ステップ(b)は、かかるステップが利用される可能性を除外しない。
【0066】
細胞を分離する本発明の方法において、ステップa)は典型的に混合ステップを含む。分離培地(すなわち、成分(i)及び(ii)を含む組成物)と血液細胞含有試料は、2: 1〜1:2の比率、好ましくは1:1又はその付近の比率で、簡便に混合される。
【0067】
更なる態様において、本発明は、成分(i)(例えば、デキストラン)及びジメチルスルホキシド 、ジメチルグリシン又はバリンを含む、血液細胞の分離培地として使用するのに適した組成物を提供する。血液細胞の分離方法におけるかかる組成物の使用は、本発明の更なる態様を構成する。本発明の一態様において、組成物は典型的に3〜15、好ましくは4〜10% w/v デキストラン、及び1〜10、好ましくは3〜8% v/v ジメチルスルホキシド、ジメチルグリシン又はバリンを含む。
【0068】
本発明は、末梢血、臍帯血、そして骨髄(例えば、骨髄穿刺液)(本発明の方法に従った治療のためには、臍帯血が特に好適である)から、治療上又は診断上価値のある細胞を分離及び回収するための、効率的で費用効果のある方法及び組成物を提供する。特に、本発明は、血液の赤血球成分を特異的に除去するための方法及び組成物を提供する。
【0069】
開示される組成物及び方法は、例えば、組織培養のための細胞を調製するため、免疫表現型上の特性解析、他の診断検査、更なる精製及び治療上の投与のため、用いられ得る。特に、方法は長期間の保存、例えば凍結保存のため、細胞を調製することに用いられ得る。子供が生まれる場合に、晩年の健康状態に対処するための臍帯血内の細胞の治療的可能性のため、臍帯血を保存する需要がある。例えば、HSCは白血病、リンパ腫を治療するため用いられ得;MSCは心臓病、アルツハイマー病又はパーキンソン病を治療し得、そして骨、軟骨、筋肉又は結合組織を再生するため用いられ得;VSELは神経の、心臓の又は筋肉の細胞を再生し得る。
【0070】
多能性細胞の治療的可能性は、常に増加しており、自己供給(autologous supply)の利益は明らかに増加している。しかしながら、長期間の保存に関する費用が存在し、このことは目的の細胞の濃縮(すなわち、試料のサイズを減らすための赤血球の除去)が望まれることを意味する。しかしながら、VSELのような少数の重要な細胞が、かかる分離により更に減少しないことが、重要である。本発明は、これらのニーズに取り組む。
【0071】
細胞は、沈降相(凝集物)又は上澄み相のいずれか、又は両方から回収され得る。本発明の方法によれば、非常に珍しい細胞種でさえ、比較的高い収率で回収され得る。沈降相は、試料由来の赤血球の大部分を含み、一方上澄みは有核細胞を含む。有核細胞は、「白血球」としても参照され、そしてリンパ球及び幹細胞を含む。本明細書で記述される「非赤血球」細胞は、好ましくはこれらの細胞の1つ以上を意味する場合がある。
【0072】
開示される組成物及び方法は、例えば、Tリンパ球、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、キラーT細胞、B細胞、NK細胞、造血幹細胞、非造血幹細胞、VSEL又は血管系の他の細胞を含む様々な細胞種を分離及び濃縮するために用いられ得る。本明細書で記述される「非赤血球」細胞は、好ましくはこれらの細胞の1つ以上を意味する場合がある。
【0073】
開示される方法は、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ、及びウマを含む、任意の哺乳類の血液系の細胞に適用され得る。ヒト血液細胞含有試料が、特に好適である。血液細胞含有試料は、全血若しくは組織であり得、又は例えば、赤血球の含有量の大雑把な減少を生じさせるため、部分的に精製され得る。誤解を避けるためだが、本発明の方法は、血液細胞含有試料、非赤血球細胞及び細胞画分のin vitroでの処理に関連する使用のための方法である。すなわち、本発明の方法を実施する前に、細胞はヒト(又は動物)から取り出されている。
【0074】
本発明の分離方法によれば、ステップ(b)の分画ステップは好ましくは少なくとも10分間、より好ましくは少なくとも15分間続き、そして例えば最高1若しくは2(又はそれ以上の)時間続いてもよいが、しかし典型的にはわずか1時間が必要であるに過ぎない。従って、分画ステップは、典型的に10〜60分、好ましくは15〜35分である。好ましくは、十分な分画は30分以内で達成される。「十分な分画」は、12時間静置された場合にシステムが達成し得る最大の分画の少なくとも90又は95%として、測定され得る。
【0075】
本発明のプライミング方法によれば、プライミング処理は、典型的に少なくとも10分、好ましくは少なくとも20分、細胞画分を成分(i)及び(ii)に、接触させることを含む。プライミングは、例えば最高1若しくは2(又はそれ以上の)時間続いてもよいが、しかし典型的にはわずか1時間が必要であるに過ぎず、例えば約30〜50分が好適である。
【0076】
デキストランは、主にアルファ(1 - 6)型に結合したグルコース単位からなる多糖類である。デキストランは、赤血球のスタッキング(すなわち、連銭形成)を引き起こし得、それにより溶液から赤血球系細胞の除去を促進する。典型的には、細胞分離組成物中の成分(i)(例えば、デキストラン)の濃度は、10〜40 g/L (例えば、約20 g/L)である。時折、用いられる成分(i)(例えば、デキストラン)の濃度は、20 g/Lよりも高い(例えば、25g/L又はそれよりも高くさえある)。連銭形による細胞凝集は、長時間かかる場合があり、成分(i)(例えば、デキストラン)単独の使用は、採算の取れる分離技術ではない。
【0077】
本発明の一態様において、試料又は細胞画分と混合される場合の成分(i)(例えば、デキストラン)の終濃度は、典型的に1〜20%、好ましくは1.5〜10%、より好ましくは2.5〜10% w/vである。
【0078】
デキストランへの参照は、デキストラン塩、例えばデキストラン硫酸ナトリウム塩(sulphate sodium salt)を含む。デキストラン生産物は、それらの分子量が際立って様々であるが;好ましくは、本発明で用いられるデキストランは、50キロダルトンより大きな分子量、より好ましくは50〜1,000 キロダルトンの分子量を有し、特に好ましくは、分子量200〜750、例えば約500キロダルトンである。
【0079】
DMSO、DMG又はバリンが、成分(i)(例えば、デキストラン)と組み合わされ、血液細胞含有試料に接触させられる場合に、成分(i)が単独で用いられる場合よりも高い比率の白血球が回収され得る。また、このようにして得られる細胞は、細胞がその後の凍結保護に供される場合に、それらの完全性を維持することに役立つ、いくつかの保護形態を獲得する。更に、例えば、TotiCyte 1Xを用いた赤血球集団の沈降は、デキストラン単独によるよりも、はるかに迅速に、好ましくは15〜30分以内で起こり得る。
【0080】
一実施態様において、DMSO、DMG又はバリンは、典型的に0.25〜10% w/v、好ましくは0.5〜5% w/v、より好ましくは2〜3%、例えば約2.5%の(試料と混合される場合の)終濃度で存在する。
【0081】
一実施態様において、成分(ii)(ジメチル化合物)に対する成分(i)(例えば、デキストラン)の比率は、典型的には1:1〜1:5、より典型的には1:1〜1:2であり、約1:1の比率が好適である。
【0082】
本発明の細胞分離組成物は、典型的には適切な緩衝剤(例えば、リン酸緩衝塩類溶液)を含み、そして2価カチオン(例えば、Ca
2+、Mg
2+)を含み得る。2価カチオンは、例えば平衡塩類溶液(例えば、ハンクス平衡塩類溶液)により提供されてもよいが、これらはセレクチンを介する、及びインテグリンを介する細胞間接着のための補助因子である。
【0083】
本発明が、いくつかの先行技術の方法に対して有利な点の1つは、抗体の必要がなく、望まれる白血球画分の優れた回収レベルを伴って、本発明が、血液の細胞を含む試料から赤血球の分離/除去を可能とすることである。従って、好ましい一態様において、本発明の分離方法は抗体の使用を何ら含まず、例えば、成分(i)及び(ii)を含む組成物(複数可)は、抗体を何ら含まない。これは(必要に応じて)、本発明のプライミング方法で用いられる組成物についても当てはまり得る。これにも関わらず、実際上は、本発明の利益を損なうことなく、抗体を導入することも可能であり得る。従って、本発明の分離組成物又は培地は、典型的には含まないであろうが、適切な抗体、抗体断片、タンデム抗体又はタンパク質配列若しく立体構造を特異的に認識できる他の分子を更に含み得る。分離組成物は、例えば、赤血球との共沈降を促進するため、適切な細胞の表面抗原に対する抗体又はその断片を含み得る。含まれる抗体又は抗体断片は、結合パートナー(例えば、ビオチン)の導入にあたり、目的の細胞集団の沈降を促進するために利用され得る、当技術分野で既知の様々な機能的グループ(例えば、ストレプトアビジン)に結合され得る。
【0084】
沈降ステップの後、沈降されない細胞は、その結果生じる上澄み画分の遠心分離のような様々な方法により、溶液相(すなわち、上澄み)から回収され得る。細胞は、沈降相からも回収され得る。沈降細胞は、例えば細胞をEDTA又はEGTAのような2価カチオンのキレート剤を含む緩衝剤に移すことにより、分離され得る。
【0085】
沈降の、又は未沈降の画分から回収される細胞は、例えば細胞の表面抗原に対する抗体を用いることにより、更に分離、単離又は精製され得る。
【0086】
本発明の分離方法は、(例えば、静脈穿刺により得られる)末梢血、(例えば、 妊娠後に得られる)臍帯血、(例えば吸引液由来の)骨髄を含む、様々な血液細胞含有試料から細胞を分離するために用いられ得る。
【0087】
臍帯血は、好ましくは、出産から1週間以内、典型的には48時間以内、好ましくは24時間以内、より好ましくは12時間以内に、本発明の方法に供される。標準的な手順において、臍帯は洗浄され、次いで締められて封入される血液バッグに血液が流入するように、バッグの針が、臍帯の静脈及び動脈に挿入される。宅配便が、試料を細胞分離方法の実施現場に輸送するために用いられてもよいし、又はそれが乳児の分娩の現場で実施されてもよい。
【0088】
本発明の細胞分離方法により作製される細胞集団は、同種間の、及び自己の移植との関連で用いられ得る。同種間の移植との関連で、Tリンパ球は、Tリンパ球に関連した移植片対宿主病(GvHD)を減少させるため、移植細胞から除去され得る。自己の移植との関連で、患者の血液又は骨髄由来の転移性癌細胞のような望まれない細胞は、移植前に、最初に除去され得る。望まれる細胞(例えば、造血幹細胞)は、次いで腫瘍細胞がない状態で、又は実質的に含まずに、患者に戻され得る。
【0089】
本発明の方法により回収される細胞集団、特に有核細胞は、好ましくは良好な比率の生存細胞を含む。実施例は、特に、細胞の生存率を評価する方法を説明するが、代わりとして、Guava Personal Cell Analyser (PCA) Base Systemが目的の細胞集団の生存率を測定するために用いられてもよい。これらの技術を用いて測定される生存細胞の比率は、好ましくは50%よりも高く、より好ましくは55又は60%よりも高い。
【0090】
本発明の分離方法は典型的に、主として赤血球を除去し、出発試料の画分内に有核細胞を保持することに役立ち、そのため、部分的な細胞の精製方法として理解され得る。しかしながら、その結果生じる画分はMSC、HSC及びVESLを含む可能性が高く、そしてその後の処理のステップ、又は本明細書に説明される基礎方法に対する変更が、目的の標的集団を単離するために要求され得る。試料が凍結保存される場合には、かかるその後のステップは、試料が凍結保存された状態から回収される場合に、実施され得る。
【0091】
本発明による使用のための組成物の成分、すなわち成分(i)及び(ii)を含む組成物(細胞分離組成物としても本明細書で参照される)は、個々に又はお互いの混合物で梱包され得る。本発明の更なる態様において、(混合物で又は別の容器中に存在し得る)本発明の細胞分離組成物を含むキット及び採血容器(例えば、血液バッグ又は真空管)を提供する。いくつかの実施態様において、細胞分離組成物は滅菌バッグ内に収容され得る。更に、単離される細胞の処理及び無菌的な移動を促進するため、滅菌バッグは処理バッグに動作可能に(例えば、滅菌チューブ経由で)接続され得、そして処理バッグは、貯蔵バッグまたは貯蔵容器に動作可能に(例えば、滅菌チューブ経由で)接続され得る。単一の滅菌バッグは、処理バッグの役割も果たし得る。貯蔵バッグ又は容器は、典型的には溶液の最終体積の1〜10%の終濃度の凍結保存剤(DMSO)を提供するように、十分なジメチルスルホキシドのような更なる凍結保存剤を含み得る。凍結保存は、治療上のまたは研究上の使用のため、これらの細胞の長期間の保存を可能とし得る。キットに含まれる梱包材は、典型的には、細胞分離組成物が、特定の細胞種を分画することを促進するためにどのように用いられ得るかを記載している、使用説明書又はラベルを含む。キットは、血液を採取するための針も含み得、針は採血容器と一体であるか、又は採血容器に接続される。
【0092】
他の実施態様において、単一のバッグが、例えば分離機能と凍結保存機能の両方を提供しているDMSOと共に、細胞分離及び凍結保存に用いられ得る(DMSOは、終濃度約2%で存在し得る)。バッグ内の分離ステップ後に、赤血球はバッグの底でバルブ又はチューブを用いて、凍結保存の前に取り除かれ得る。バッグは、たった1つの開口部が、バッグの充填及び赤血球の除去に必要となるように、バッグの開口部を下に向けた状態で、分離ステップの間掛けら得るように、設計されてもよい。
【0093】
実施例において、及び方法に関して一般的に記載される分離組成物/培地の好適な特徴は、組成物/培地それ自体の好適な特徴であり、組成物/培地を含むキットの好適な特徴である。
【0094】
本発明は、図への参照と共に、以下の非限定の実施例においてより詳細に記載される。
【実施例】
【0096】
実施例
実施例で用いられる用語及び装置
「TotiCyte」は、デキストラン500とDMSOの組合せを意味する。
「TotiCyte 1X」は、PBSを基礎とし、2.5% w/v デキストラン500及び2.5% v/v DMSOを含むTotiCyte組成物を意味する。
「TotiCyte 5X」は、PBSを基礎とし、7.5% w/v デキストラン500及び7.5% v/v DMSOを含むTotiCyte組成物を意味する。
【0097】
別段の記載がない限り、すべての実験を、抗凝固物質としてのCPDAと混合した血液を用いて実施した。また、別段の記載がない限り、血液細胞含有試料に加えられる組成物は、リン酸緩衝塩類溶液(PBS)を基礎とした。
【0098】
FACS(蛍光活性化細胞選別)機(FACSCalibur 4CA、シリアルナンバー E4378)を、白血球画分内のCD34及び/又はCD45細胞の量を測定するために用いた。
【0099】
A Guave easyCyte 5機を、白血球画分内のTNCの量(総有核細胞数)を測定するために用いた。
【0100】
細胞分離の方法に関しては、3つの異なる方法、すなわちマコプレス(Macopress)、シンジェン(Syngen)及びマニュアルを採用した。これらの方法を以下のように実施した。
【0101】
マコプレス
1. マコプレスのスイッチを押す。血液バッグが既に機械に掛けられている場合は、マコプレスは正確に較正できないため、ステップIIの前にこれを行うことが重要である。
2. どのくらいの血液 + CPDAが血液バッグに存在するか計算する。
3. 血液バッグをマコプレス処理キット(白いスパイクを有するライン)に無菌的にドッキングさせる。
4. バフィーコートバッグ(血漿バッグのようなバッグとは対照的に、それから出ている2つのチューブを有するバッグである)に最も近いクランプを分断し、残りのクランプを全て閉じる。
5. 回収バッグライン上のポートを用いて、等しい体積の1X TotiCyteを加える。
6. TotiCyteを加えている間、および完了後のいずれにおいても、バッグをゆり動かす。
7. 以前TotiCyteを加えるのに用いられたシリンジを用いて、可能な限り多くの空気をバッグから除去する(マコプレスバフィーコートバッグはわずか200mlしか収容できないため、圧縮を完了できる前に、確実に、それが空気で満たされないようにする)。
8. マコプレス処理バッグをマコプレスに掛け、30分間、分離させる。
9. 矢印を用いて、プログラム4を選ぶ。
10. 画面上に提示される指示に従い、チュービングを光ったクランプ(1、3及びOPTI)に挿入する。ラインによじれがないことを確認する。バッグの上部のベンタイルの裂け目を破り、バフィーコートライン上のクランプが開いていること、そして処理セット(processing set)の他の部分上のクランプが閉じていることを確認する。
11. エンターを押し、マコプレスを開始する。
12. マコプレスが完了した時に、エスケープを押し、機械がクランプ1でラインを塞いでいないか確認する。
13. マコプレスからバッグ及びチュービングを外す。
14. 2つのバッグ間のシールを引き剥す。ラインの中身が排出できるようにバフィーコートバッグのチューブを切る。次のステップに進む前に、このチューブを熱して塞ぐ。
15. バフィーコートバッグが遠心分離ステップの間、確実にしわにならないようにすることを目的に、セットを遠心分離機のバケットにぴったりと設置し、全てのクランプが閉じていることを確認する。
16. 遠心分離機が正確にバランスを取っていることを確認し、次いで15分間500gで遠心分離する。
17. ペレットを崩さないように、遠心分離機から処理セットを注意深く外す。
18. バッグをマコプレスの後ろに設置し、今回はチュービングをクランプ1と3内にのみ置く。
19. プログラム3(10ml 最終体積)を選び、バフィーコートバッグの上部のベンタイルの裂け目を破り、エンターを押す前に余分なチュービング上の全てのクランプが閉じられていることを確認する。
20. マコプレスから処理セットを外し、2つのバッグ間のシールを引き剥す。これにより、血漿バッグと10ml含有するバフィーコートバッグが離れる。
21. 全てのペレットを頂部から除去するため、バフィーコートバッグを穏やかにこすり、次いでバフィーコートを、20mlシリンジを用いてバッグから取り出す。
22. (回収率を算定するため)どのくらいのバフィーコートが存在するのか正確に測定する。
23. TNC及び生存率は次いでGuava easyCyte機において試験されてもよく、CD34及びCD45細胞並びにそれらの生存率はFACS機で試験されてもよい。
【0102】
シンジェン
1. 1つの50mlシリンジ(又は必要な場合は1つ超)を用いて、血液をフェンオール(Fenwal)血液バッグから除去する。除去された体積を記録する。
2. TNC回収率の算定において後ほど用いるために、この全血液の少量を残す。
3. 血液を血液バッグに戻す。
4. 等しい体積の1X TotiCyteを計り分ける。
5. これを血液バッグに加え、よく混合する。
6. カートリッジの底部からピンを、青いフィルターからキャップを外す。
7. 血液バッグを、シンジェンカートリッジの中心ラインに無菌的にドッキングする。
8. 血液/TotiCyte混合物がカートリッジに流れ込めるようにする。
9. カートリッジの頂部の可能な限り近くでラインを塞ぐ。
10. 試料を更に混合するため、カートリッジを転倒し、カートリッジの端で何らかの液体が2つのチューブ(他の容器を通過するチューブ)に、又は青いフィルターに入ることを回避しているか確認する。
11. 試料を30分間、分離するために静置する。
12. カートリッジをシンジェン処理モジュールに取り付け、スイッチを入れる。
13. 水で満たした、処理モジュールに装着したシンジェンカートリッジを用いて、遠心分離機のバランスをとる。
14. プログラム1を用いてカートリッジを回転する-これはそれぞれ異なる長さ及びスピードである4つの回転周期を経るであろう。
15. カートリッジを遠心分離機から外し、カートリッジをシンジェンワークステーションに、処理モジュールをドッキングステーションに移す(モジュールはその時Pを表示しているであろうが、このことは処理されるにはデータが必要であることを示している)。
16. モジュールから情報をダウンロードし、要求される情報(用いられる、遠心分離機番号、試料名、カートリッジのロット番号、処理モジュールのロット番号)を入力する。
17. バフィーコート容器は、20ml含んでいるはずである: これを取り出し、わずかに異なる場合があるので、どのくらい存在するのか正確に測定する。
18. バフィーコートをよく混合し、次いで生存率分析のため、試料をそれから取り出す。
19. TNC及び生存率は次いでGuava easyCyte機において試験されてもよく、CD34及びCD45細胞並びにそれらの生存率はFACS機で試験されてもよい。
【0103】
マニュアル法
1. 血液 + CPDAの体積を計算する。
2. TNC回収率の算定において後ほど用いるために、この全血の少量を残す。
3. これを、レトルトスタンドに取り付けられた分離漏斗に移す。底の栓が閉じていることを確認する。
4. 等しい体積の1X TotiCyteを加える。余分な空気をすべて取り除くためふたを外し、30分間、分離するために静置する。
5. ファルコンチューブ又はディッシュを漏斗の下に設置する。栓を回してほんのわずかにノズルを開け、赤色画分が漏斗に流出できるようにする。
6. 残った赤色の量に注視する: 全ての赤色が完全に除去される場合は、界面が喪失するであろうから、全ての赤色を除去しない。
7. 十分に界面に近づいた時に、栓を回して止める。下からチューブを外してそれを新しいものと入れ替える前に、できるだけ多くの赤色がノズルから滴下できるようにする。
8. 栓を再度開け、白血球画分が吸引できるようにする。
9. 白血球画分を10分間500gでスピンダウンし、上澄み10ml中に再懸濁する。
10. TNC及び生存率は次いでGuava easyCyte機において試験されてもよく、CD34及びCD45細胞並びにそれらの生存率はFACS機で試験されてもよい。
【0104】
実施例1 - 一般的な細胞分離方法
臍帯血を、35 mlのシトレート ホスフェート デキストロース アデニン(CPDA)抗凝固物質溶液を含む、標準的なバクスター(Baxter)250 ml(名称(nominal))血液バッグに収集した。
【0105】
リン酸緩衝塩類溶液(PBS)中に、デキストラン、並びにジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルグリシン(DMG)、L-バリン、L-プロリン、β-アラニン、ロイシン、イソロイシン及びグリシンから選択される更なる成分を含む溶液を調製した。この溶液を、1:1の比率で血液試料に加え、次いでこれを十分に混合した。赤血球及び有核細胞画分の分離を、15分又は30分の時間以内で、室温にて行った。
【0106】
細胞画分の分離を、視覚的に観察できた。
図1は、有核細胞(試験管の頂部)から赤血球(試験管の底部)の明瞭な分離を示す。この画像は、終濃度2.5% w/vのデキストラン(500 分子量 (Mw))、及び終濃度2% v/v (左の画像)又は2.5% v/v(右の画像)のいずれかのDMSOに曝露してから30分後に撮影した。
【0107】
上記で記載したのと同様の細胞分離は、デキストラン 500 Mwを、終濃度3% ないし5% w/vの分子量70 Mwより小さなデキストランで置換した場合に、みられた(データ未掲載)。同様の細胞分離は、デキストラン 500 Mwを、終濃度2.5% ないし5% w/vのデキストラン500硫酸ナトリウムで置換した場合にも、みられた(データ未掲載)。
【0108】
終濃度2.5%のデキストラン70 Mw及び終濃度2.5% w/vのDMG又はL-バリンに曝露した血液試料も、30分後に赤血球と有核細胞の明瞭な分離を示した(データ未掲載)。対照的に、終濃度2.5% w/vのデキストラン70 Mw及び終濃度2.5% w/vのL-プロリン、β-アラニン、ロイシン、イソロイシン又はグリシンに曝露した血液試料は、30分後に赤血球と有核細胞の分離をほとんど示さなかった(ここではデータ未掲載)。
【0109】
終濃度2.5% w/vのデキストラン500 Mw及び終濃度1%〜5% v/vのDMSOに曝露した血液試料も、15分及び30分後に、赤血球と有核細胞の明瞭な分離を示すことが観察された(
図2)。
【0110】
上記実験の場合、しばしば15分の暴露後に実質的な分離がみられたが、しかし更なる分離が15分ないし30分の暴露後にみられたであろう。例えば、
図2aの試料が
図2bの試料に対して比較される場合に、これに容易に気づく。
【0111】
実施例2 - 赤血球の体積分率 (ヘマトクリット)試験
この実施例において、細胞分離後に有核細胞画分内に残存する赤血球の体積分率のレベルを測定した。3つのチューブを分離のため準備した: (i) PBSのみと1:1の比率で混合した血液試料(コントロール)、(ii) PBS中で濃度5% w/vの500 Mw デキストランを含む溶液と、1:1の比率で混合した血液試料(デキストランの終濃度2.5% w/v)、(iii) PBS中で濃度5% w/vの500 Mw デキストラン、及び濃度5% v/vのDMSOを含む溶液と、1:1の比率で混合した血液試料(デキストランの終濃度2.5% w/v、DMSOの終濃度2.5% v/v)である。試料を、室温で30分間、分離するために静置した。
【0112】
試料(iii)中の細胞画分は、試料(ii)中よりも高い速度で分離すること、30分後、試料(iii)は試料(ii)と比較してより圧縮した赤血球画分を生じたことが観察された(データ未掲載)。
【0113】
有核細胞画分(100 μl)をマイクロピペットに移し、プラスチシンを用いて端を閉じた。マイクロピペットを次いで2分間1500 rpmで遠心分離した。
【0114】
図3は、遠心分離後のマイクロピペットを示す。コントロール(
図3の左のピペット)は、白血球画分内に高充填された赤血球の体積を示す。対照的に、試料(ii)(中央のピペット)及び(iii)(右のピペット)は、充填された赤血球の体積が、おおよそ1%まではるかに減少することを示した。
【0115】
実施3 - フローサイトメトリーを用いた、細胞の生存率及び造血幹細胞(HSC)の存在の評価
血液試料を、PBS中で濃度5% w/vの500 Mw デキストラン、及び濃度5% v/vのDMSO(デキストランの終濃度2.5% w/v、DMSOの終濃度2.5% v/v)を含む溶液と、1:1の比率で混合した。試料を、室温で30分間、分離するために静置した。
【0116】
その結果生じる有核細胞画分の試料を、次いでフローサイトメトリーを用いて分析した。特に、分析をベクトン・ディッキンソンアンドカンパニーから入手した「Stem Cell Enumeration Kit」を用いて実施した。分析を、キットに備え付けの使用ガイドにより実施したが、用いられたテンプレートは臨床・検査標準協会のH42-A2承認ガイドライン(Enumeration of Immunologically Defined Cell populations by Flow Cytometry; 承認ガイドライン第2版; Wayne, PA: 臨床・検査標準協会; 2007. CLSI ドキュメントH42-A2)中で特集された方法に基づく。
【0117】
図4は、側方散乱(y軸)に対する7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)の蛍光レベル(x軸)のドットプロットを示す。7-AADは、細胞の生存率を評価するのに用いられる蛍光化合物である。それは、非生存細胞の細胞膜のみに透過し、そのため(ドットプロット上の長方形のゲートにより表されるように)低レベルの蛍光は、生存細胞を表す。このドットプロットは、総細胞集団の大部分は生存していることを示す。
【0118】
フローサイトメトリー分析は、上述の細胞分離方法が、血液試料からHSC集団を単離する効果的な手段であることも示した(データ未掲載)。
【0119】
実施例4 - DMSO又はアミノ酸のいずれかを伴うデキストラン70
全血液試料を、2.5% デキストラン70に加えてDMSO、L-バリン、L-プロリン、β-アラニン、ロイシン、イソロイシン、グリシン、DMGを含むPBS組成物と1:1で混合した。各アミノ酸及びDMSOを、PBS組成物中の濃度レベル1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%及び5%で試験した。混合後、各試料を室温で30分間静置した。
図5は、15分後、また30分後の試料の画像を示す。
【0120】
β-アラニンは、30分後にさえほとんど分離しなかった。L-プロリンも、30分後にほとんど分離しなかった。L-バリンの実験において、濃度1%のチューブでは、2%チューブと同様の速度で分離した。この点について、いくつかの高濃度のアミノ酸溶液の結果は、アミノ酸の可溶性における制限により、影響を受けていた可能性があることは特筆すべきであろう。L-バリンはDMGより良好に働いた: L-バリンの場合、30分後の白血球画分は、はるかに明瞭だった。イソロイシン、ロイシン及びグリシンはいずれも、全く沈降を引き起こさないと思われた。
図5は、分離に関して説明された、グリシン、ロイシン、及びイソロイシン(それらはほぼ全面的に不活性なため、示していない)以外の各物質を示すが、それら全てが、PBSと1:1で混合された血液より速くは、血液を分離しなかった。以下は、分離に関する各物質の、最も優れたものから最も劣ったものまでの順番のリストである:
DMSO > L-バリン > DMG > L-プロリン > β-アラニン > ロイシン/イソロイシン/グリシン
【0121】
実施例5 - デキストランのサイズ及び種類
異なる分子量のデキストランを試験した。特に、デキストラン6、40、70及び500を比較した。各分子量のデキストランの2〜10% w/v (2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%及び10%)のストックを準備し、体積基準1:1で血液試料との組み合わせた時に、濃度が1〜5%となるようにした。ストックは全て、同じ濃度、すなわち 2.5% v/vのDMSOを含んでいた。
【0122】
図6でみられるように、デキストラン6及びデキストラン40は、15分又はまるまる30分までのいずれでも、実際には分離しなかった。デキストラン70は、明瞭な勾配を伴った、非常に良好な分離を開始した - 濃度5%は、より低濃度よりもはるかに迅速かつ良好に分離した。30分後、デキストラン70は、この明瞭な勾配をまだ有しており、より高い濃度になるにつれて、チューブの中間より下で分離していた。デキストラン500は、分離に関しては明らかに最良であった。3%チューブは、15分時点までに、ほとんど完全にその赤血球画分を圧縮させており、30分後に、濃度1%を除く全てのチューブで、極めて良好に圧縮していて:2.5%以上の全てのチューブは、本質的に同一にみえた(いくつかは、わずかに白濁した白血球画分を有していた)。
【0123】
図6は、30分後の試料の画像を示す。デキストラン6及び40は、コントロール(PBSで希釈した血液)よりも何ら速く分離をしなかった。デキストラン70に関しては明瞭な勾配が存在するが、しかし低濃度では、それは実際には分離しなかった。デキストラン500は、血液を良好に分離し、明瞭な白血球画分をもたらした。
【0124】
実施例6 - デキストラン500 と デキストラン硫酸ナトリウム塩との比較
デキストラン500(2.5% w/vで)を、2.5% v/vのDMSOと混合した; デキストラン硫酸ナトリウム塩に対しても同様に行った。1mlの各組成物を、チューブに配置し、各チューブには1mlの血液を加え、次いで、ほとんどの他の実験と同様に、30分間、分離するため静置した。
【0125】
デキストラン500硫酸ナトリウム塩は、血液を比較的良好に分離したが、しかし、
図7でみられるような、デキストラン500/DMSOの組合せ程極めて良好ではなかった。圧縮は非常に類似していたが、しかし白血球画分は、デキストラン塩において、以下の
図4でみられるように、多くの赤血球が目に見えてただ前記赤血球画分上の周囲に浮遊している状態で、より白濁していた。従って、両方効果的であるが、デキストラン500で、わずかながらより明瞭な白血球画分が生じた。
【0126】
図8は、この実施例において前述したプロトコールに従うことによって生じる、デキストラン500及びデキストラン500硫酸ナトリウム塩での分離の近接写真を示す。これらの近接写真は、デキストラン硫酸ナトリウム塩での分離の増加した白濁を実証するため、30分時点で撮影した。
【0127】
現段階では、本発明の全ての態様が先行技術に対する利点を提供することが確信されるが、特に等しい体積の(i)PBS中で2.5% w/vのデキストラン500と、(ii)PBS中で2.5% v/vのDMSOとを混合することにより得られる組成物の形態で用いられる場合に、デキストラン500/DMSOの組合せが、この実施例及び前述の実施例で記載された実験で突出して、際立って有利であることは特筆すべきである。
【0128】
実施例7 - ヘマトクリット実験
白血球画分に残存するヘマトクリットのレベルを調査した。3つのチューブを分離のために準備し、各々は、血液:PBSに基づく組成物(コントロールとして、第一の組成物はPBSのみであり; 第2の組成物は、PBSと1:1で混合された5% w/v デキストラン500(2.5% w/vとするため)を有し、; 第3の組成物はTotiCyte 1Xである)の1:1混合物を含み、最大の分離を確実にするため、30分間室温で静置した。TotiCyte 1Xを含む試料は、単にデキストラン含むものよりも、わずかに速く分離した。両方とも、分離の30分後までは比較的白濁したままだったが、その時点で、TotiCyteではより圧縮した赤血球画分が生じていた。白血球画分の100ulをマイクロピペットに移し、プラスチシンを用いで端を塞いだ。次いで、マイクロピペットを2分間1500rpmで遠心分離した。デキストランのみ、及びTotiCyteの試料は両方とも、約1%のヘマトクリットを有しており、コントロールよりもはるかに圧縮しているようにみえた。肉眼では、
図9でみられるように、デキストランのみ、及びTotiCyteのチューブにおけるヘマトクリットの量の違いはなかった。
【0129】
加えて、マコプレス機を用いて、及びマニュアルでの両方で、ヘマトクリット値に関して、試料を試験した。マコプレスは、特定のヘマトクリットの値のみを収集するように設定されていたので、当該機は、極めて一貫性のある結果を生じた(マコプレスは、一定のレベルの赤血球が、センサーを通って通行するとプレス作用を止めるため、理論上はそれが残す量はいつも同じはずである)。1%より高い値の残存ヘマトクリットは、センサーの感受性が変化してしまった運転に関してのみ生じる。界面を吸い込むことなく、どのくらいの赤血球を取り除くかはある程度主観的であるので、マニュアル法を用いて一定レベルのヘマトクリットを得ることは、より困難であった。
【0130】
実施例8 - 様々な濃度のデキストラン70及び500
DMSO及びデキストランの最適な濃度を決定する目的で、様々な濃度(1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、及び5% w/v)のデキストラン70及び500を2.5% v/v DMSO及び血液と混合し(いつも通り、等しい体積のデキストランとDMSOの溶液とを組み合わせ、次いでデキストランとDMSOの溶液とが組み合わさった体積に相当する体積の血液を加えた)、30分間、分離するため静置した。2.5%〜4.5%のデキストラン500成分由来の試料は、5分後にでさえ、非常に良好に分離を開始した。デキストラン70では、5分後は、変化がなかったようにみえた。
図10は、5分後の試料の画像を示す。
【0131】
15分後、分離の大部分は、デキストラン500(1%を除く)を含む各試料に関して完了したが、30分後に画分はより圧縮し、明瞭になった。デキストラン70は、15分後ではあまり完了しなかったが、しかし濃度5%のデキストラン70のチューブは、圧縮に関して何らかの進展がし始めていた;
図11は、15分後の試料の画像を示す。しかし、30分後には、非常に明瞭な勾配が存在した;最初の4つのチューブ(1、1.5、2及び2.5%)は実際には分離していなかったが、しかし3〜5%のチューブは、対応する濃度のデキストラン500の試料ほど、圧縮していなかったし、明瞭な白血球画分を有していないものの、良好に分離していた;
図12は30分後の試料の画像を示す。
【0132】
この実験の後半には、デキストランの濃度を一定に保ちながら、DMSOの濃度を変化させることを含めた。この目的のため、2.5% w/v デキストラン500を様々な濃度のDMSO溶液(1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5及び5% v/v)と混合した。比較のため、(デキストラン500に代えて)1.5% w/v デキストラン70溶液及び3% w/v デキストラン70溶液も用いて、等価試験も実施した。15分後、デキストラン500/DMSOチューブはすべて非常に良好に、赤血球画分を下部- チューブの約1/3まで - に圧縮した。5%チューブは、この段階ではあまりそのように圧縮をしなかった唯一のチューブであった。しかしながら、30分後には、全てのチューブは更にもっと圧縮し、はるかに明瞭な白血球画分を有していた。1.5% デキストラン70溶液由来の試料は、分離するため静置していた、PBSと混合した血液(コントロール)よりも、少しも早く機能しないように思えた。30分後でさえ、デキストラン70の濃度の明瞭性及び圧縮性において、ほとんど/全く変化がなかった。
図13及び14は、試料の画像を示す。
図14の下の2つの画像は、3% デキストラン70溶液由来の試料である。これは、30分では、分離においてはるかに大きな差が生じており、明確な白血球及び赤血球画分が生じていた。赤血球画分は、デキストラン500で圧縮されたほどには、良好に圧縮されなかったが、しかし1.5%デキストラン70溶液由来の試料よりは、はるかに明瞭であった。
【0133】
実施例9 - 白血球画分で回収された細胞の実際の数
CD34及びCD45の数
2つの異なる血液試料において、分離を実施した。各試料に対して、分離は(a)TotiCyte 1X、及び(b)2.5% w/v デキストラン500溶液を用いて行った。2.5% デキストラン溶液を、試料中のデキストランの終濃度が、(DMSO及びデキストラン500成分の両方が、終濃度1.25%[それぞれ、v/v及びw/v]である)TotiCyteレプリケートと同じになるように、1mlの血液と混合した。室温で30分後程度に、いったん分離を進むところまで進め、白血球画分を取り出し、他のチューブへ移した。このうち100ulを、CD34及びCD45細胞について試験するため、FACS機にかけた。回収された細胞の量において、(TotiCyte試料に)DMSOを導入することの効果は、以下のとおりであった:
・平均して、TotiCyteを用いた分離は、デキストランのみの溶液を用いた場合よりも、29%多いCD34を回収した。
・平均して、TotiCyteを用いた分離は、デキストランのみの溶液を用いた場合よりも、7%多いCD45を回収した。
【0134】
細胞の生存率(%)の点では、回収された、生存する細胞の比率は、TotiCyte組成物が用いられた場合、デキストランのみの溶液と比較してわずかに低かったが、しかし、これは大抵、TotiCyte組成物が用いられた場合に回収されるより多数の細胞によって十二分に補われた(TotiCyte組成物を用いて回収される、生存細胞が有意に多かったことを意味している)。
【0135】
TNC(総有核細胞)数 & CD34数の更なる試験
対応する試験も、より大きな試料サイズをまたいで、TotiCyte 1Xの効果を確認するために実施した。加えて、対応する試験も、TotiCyte 5Xを用いることの実行可能性を確認するため、実施した。結果を以下の表に要約する。
【0136】
【表1】
【0137】
試験は、方法(すなわち、マニュアル法、シンジェンシステム又はマコプレス)の選択に関わらず、TotiCyte 1Xが、一貫して高いTNC回収比率を可能とすることを示した。CD34細胞の回収率も、高かった。Toticyte 1X組成物が一般的に最も高い回収比率をもたらすが、より高濃度のTotiCyte 5X組成物を用いた実行可能性を確認した。
【0138】
解凍後の分析
提示した分離方法の効果を比較するために、続けて既知の凍結保護レベルまでDMSOを付加し、凍結し、次いで解凍し、その後に更なる試験を行った。それぞれの場合において、凍結する前のDMSOの添加は、以下の実施例11に説明された次のアプローチにより行い、そして同じ凍結解凍方法を用いた。DMSOを凍結の前に加えた場合は、4℃で加え、細胞にショックを与えないように、ゆっくりと加え;流体充填の血液バッグを上部に入れた、有効な受動的凍結ボックス内で試料を凍らせ(ボックスが有効であるやり方); 試料は、チューブを回旋すること、及び穏やか転倒することにより、37℃で迅速に凍結し、その後混合物が雪解け状になり次第すぐにウェットアイスに移動し; 確実に生存率の維持を最大にするため、完全に解凍した後、血液を迅速にサンプリングした。結果を、全血試料の対応する結果と共に以下の表に要約する。洗浄ステップのため、解凍した細胞懸濁液を500gで10分間遠心分離し; 上澄みを捨て、細胞ペレットを穏やかに冷却PBS中に再懸濁し; 細胞懸濁液を500gで10分間再度遠心分離し、ペレットを冷却PBS中に再懸濁して望まれる体積にした。
【0139】
【表2】
【0140】
TotiCyte 1X、TotiCyte 5Xで処理した試料は、両方とも良好な解凍後の回収レベルをもたらしたが、TotiCyte 1Xが特に効果的であるとわかった。各々の全血と、その対応するTotiCyte 1X及び5Xのレプリケートの生存率の間に有意差があった。概して、これらの実験過程で、全血はいつも解凍する工程で特に良好に生存するとは限らないことを見出した。従って、異なる血液試料間でばらつきが不可避であるにも関わらず、より多くの細胞が一般的に全血細胞試料から回収される一方で、回収率の数値は、生存率が考慮されると、一般的にTotiCyte 1X レプリケートに匹敵することを見出した。確かに、TotiCyte 1Xで処理し、洗浄に供された試料の平均TNC数(66%)は、全血の対応する平均TNC数(58%)よりも、高くさえあった。同様に、TotiCyte 5Xで処理し、洗浄に供されなかった試料の平均CD34数(91%)は、全血の対応する平均CD34数(86%)よりも、高くさえあった。(上記の結果に関して、100%より高い回収レベルはもちろん不可能であるにも関わらず、例えば血液試料内でのばらつきのため、100%より高いレベルが試験中に記録され得ることは、特筆すべきである。)
【0141】
実施例10 - 異なる抗凝固物質
血液試料を、TotiCyte 1Xを用いて処理した(ただし、半量はCPDを含有し、残りの半量はCPDAを含有した。両方とも、白血球画分の回収前に、赤血球画分がまず取り除かれた状態で、分離漏斗中でマニュアルで処理した。両方とも、CD34/CD45細胞及びTNCに関して、それぞれFACS機及びGuava easyCyteで試験した。結果は以下のとおりである。
【0142】
【表3】
【0143】
2つの抗凝固物質間のTNC回収率は、類似している。CD45回収率(%)の試験は、CPD画分で70%のCD45と比較して、87%がCPDA画分で回収されることを示した(データ未掲載)。両抗凝固物質は、本発明による使用に適しているが、CPDAが好適な場合があり得る。
【0144】
実施例11 - 解凍後の回収を増強する凍結のための細胞画分のプライミング
凍結保護物質を細胞画分に接触させること、それを凍結し、次いで解凍することの前に、本発明のプライミング方法を実施することの、解凍後の細胞回収に対する効果を試験するために、以下の方法に従って実行した。
1. 細胞をフラスコから取り除くためにトリプシン処理を用いた。
2. トリプシンを除去するために細胞をスピンダウンした。
3. 次いで10ml DMEMに細胞を再懸濁した。
4. (解凍後の細胞回収率を決定するために)TNC及びCD45/CD34細胞数を測定した。
5. 0.5mlを等量取り、各々8つの2ml凍結保存バイアルに入れた。
6. 更に0.5ml DMEMを最初の2つのチューブに、0.5mlのTotiCyte 1Xを各々次の2つに、0.1mlのTotiCyte 5Xを各々次の2つに、そして0.5mlの2.5% w/v デキストラン500を最後の2つのチューブに加えた。試料を次いでよく混合した。
7. 試料を次いで45分間室温で静置した。
8. DMSOを各々の1組のチューブの1つ(すなわち、4種類の各1つ)に、7.5%になるまで加えた。残りの4つのチューブには、DMSOとFCS(ウシ胎仔血清)の組合せを加えた。
9. 細胞試料をMr Frosty凍結容器に移した。
10. 底の区画をメタノールで満たし、容器全体を少なくとも一晩-80℃冷凍庫に置いた。
11. 容器を冷凍庫から取り出し、迅速に解凍した。
12. 画分の一部を洗浄することなく、再試験のためほかのチューブに取り出した。
13. この一定の少量の取り出しの後で、残存する細胞に対して、半分の体積の加温したDMEMを、チューブをその間中穏やかに旋回させながら、滴下して加えた。
14. 次いで、試料を10分間500gで遠心分離した。
15. 上澄みを除去し、0.5ml DMEMに再懸濁した。
16. 次いで、試料を細胞の回収率について再試験した。
【0145】
試料を解凍前に2/3日間冷凍庫に静置することを含め、上記プロトコールに従って実行した。(Guava PCAで測定した)TNC回収結果を、以下に述べる。
【0146】
【表4】
【0147】
TotiCyteとデキストランの細胞回収は両方とも、コントロールより有意に良好であったので、デキストランとDMSOの両方とも、細胞へのプライミング効果を有していた。洗浄ステップの後では、TotiCyte 1Xが、解凍後にTNCを維持すること、及び85%+の生存率を保持すること、の点で最善であると思われ、デキストラン単独、次いで5X TotiCyteが続いた。
【0148】
実施例12 - 更なる比較試験
更なる血液分離を、以下の組成物を用いて実施した:
・コントロールとして、血液 + 等しい体積のPBS(試験1)
・血液 +血液試料と混合後のDMSOの濃度が、1.25% v/vとなるような、2.5% v/v DMSOを含む、等しい体積のPBS(試験2)
・血液 + 2.5% w/v HES(ヒドロキシルエチルデンプン)及び2.5% v/v DMSOを含む、等しい体積のPBS(試験3)
・血液 + 等しい体積のTotiCyte 1X、すなわち2.5% w/v デキストラン500及び2.5% v/v DMSOを含むPBS(試験4)
【0149】
これらの試験で達成した分離の画像を、
図15に示す。明らかなように、試験2で用いたDMSOのみの組成物は、コントロール(試験1)と変わらない成績だった - 試験の過程を通じて(60分間)何ら分離を達成しなかった。試験3及び4において同等の分離がみられたが、このことによりHESがデキストランの実行可能な代替物として確認された。