(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
光ファイバの一方の端部側に光アダプタが設けられ、前記光ファイバを収容するモジュール本体を有する光モジュールであって、前記モジュール本体が着脱可能なモジュールフレームを有し、前記モジュール本体は、前記光ファイバの他方の端部側に本体側コネクタ部を備え、前記モジュールフレームは、前記本体側コネクタ部と接続されるフレーム側コネクタ部を備えることを特徴とする光モジュールが明らかとなる。このような光モジュールによれば、光配線ユニットにおいて光モジュールを増設又は撤去する際に、既設の光モジュールに接続された現用光ケーブルへの接触を抑制することができる。
【0013】
前記モジュールフレームは、前記本体側コネクタ部が前記フレーム側コネクタ部に接続する際に前記モジュール本体をガイドするガイド部を備えることが望ましい。これにより、本体側コネクタ部をフレーム側コネクタ部に精度よく接続させることができる。
【0014】
前記ガイド部は、前記モジュール本体を嵌め込み通すように形成された開口であることが望ましい。これにより、本体側コネクタ部をフレーム側コネクタ部に精度よく接続させることができる。
【0015】
前記モジュール本体は、前記モジュール本体が前記モジュールフレームに対して係止する係止部を備えることが望ましい。これにより、モジュール本体の光アダプタに接続された光プラグに対して付与された引っ張り力により、本体側コネクタ部とフレーム側コネクタ部との接続が解除されてしまうことを抑制することができる。
【0016】
前記モジュール本体が前記モジュールフレームに対して係止する力は、前記光アダプタに接続された光プラグに付与される引っ張り力より大きいことが望ましい。これにより、モジュール本体の光アダプタに接続された光プラグに対して付与された引っ張り力により、本体側コネクタ部とフレーム側コネクタ部との接続が解除されてしまうことを抑制することができる。
【0017】
前記モジュール本体が前記モジュールフレームに対して係止する力は、10kg重より大きいことが望ましい。これにより、モジュール本体の光アダプタに接続された光プラグに対して付与された引っ張り力により、本体側コネクタ部とフレーム側コネクタ部との接続が解除されてしまうことを抑制することができる。
【0018】
前記本体側コネクタ部と、前記フレーム側コネクタ部とは、バックプレーンコネクタを構成することが望ましい。これにより、光配線ユニットにおいて光モジュールを増設又は撤去する際に、既設の光モジュールに接続された現用光ケーブルへの接触を抑制することができる。
【0019】
===第1実施形態===
<光モジュール10を用いた光配線ユニット1の全体構成>
図1は、第1実施形態の光モジュール10を用いた光配線ユニット1の全体斜視図である。光配線ユニット1は、ラックに搭載可能な光ケーブルの成端用の部材である。本実施形態の光配線ユニット1は、ラック6に搭載された光配線盤である。光配線ユニット1は、光配線盤の他、光接続箱や光成端箱であっても良い。また、光配線ユニット1は、ラックに搭載可能でなくても良い。
【0020】
光配線ユニット1は、筐体8と、トレイ5と、光モジュール10とを有する(
図1参照)。筐体8は、後述する光モジュール10が収容されたトレイ5を保持する部材であると共に、光配線ユニット1をラック6に取り付けるための部材でもある。トレイ5は、光モジュール10を収容する部材であると共に、光モジュール10の増設・撤去作業をする際に、増設・撤去対象の光モジュール10を作業者側に引き出すための部材でもある。トレイ5は、筐体8の内部で上下方向に多段に積み重なっている。
図1に示すように、本実施形態の光配線ユニット1では、上下方向に5段のトレイ5が積み重なっている。但し、トレイ5の積み重なる方向や、積み重なる段数はこの限りではない。トレイ5は、手前側(作業者側)に引き出すことにより、作業者は、光モジュール10のアダプタ部25に対して光プラグ2の挿抜作業を行うことができる。
図1では、最上段のトレイ5が手前側(作業者側)に引き出されている。
【0021】
光モジュール10は、複数の光コネクタアダプタ等の光コネクタ(以下、「光アダプタ」と呼ぶことがある)が実装された部材である。
図1に示すように、本実施形態の光モジュール10では、光モジュール10内に収容された光ファイバ(
図1では不図示、
図2の収容光ファイバ7参照)の一方の端部にそれぞれ設けられた光アダプタ(アダプタ部25)に対して別の光ファイバ(光ケーブル3)をコネクタ接続(光プラグ2)することで、光アダプタを介して、光モジュール10内の光ファイバと別の光ファイバとの接続を切り替え可能にすることができる。
図1では、アダプタ部25にコネクタ接続された光プラグ2を3個のみ図示している。また、光プラグ2に接続された光ケーブル3は、トレイ5内に束状に載置され、トレイ5に形成された光ケーブル挿通口5Aを介してトレイ5の外部に引き出されている。なお、光モジュール10内に収容された光ファイバ(
図1では不図示、
図2の収容光ファイバ7参照)の他方の端部は、後述するフレーム側コネクタ部34を介して幹線ケーブル4と接続されている。
【0022】
光モジュール10は、トレイ5に横置き横並びに複数配列収容されている。
図1に示すように、本実施形態の光モジュール10では、4個の光モジュール10が横置き横並びに収容されている。但し、光モジュール10の配列の方向や配列の数はこの限りではない。また、光モジュール10は、トレイ5に収容されず、筐体8に直接取り付けられても良い。なお、光モジュール10が筐体8に直接取り付けられた場合においても、後述するようにモジュール本体20はモジュールフレーム30に対して着脱可能である。
【0023】
<光モジュール10>
図2は、第1実施形態の光モジュール10の斜視図である。なお、
図2では、左右方向に並んだ光モジュール10の内、一つの光モジュール10について実線で示し、この光モジュール10の左右隣に配置された光モジュール10については、破線で示している。また、
図2では、モジュールフレーム30に対してモジュール本体20を取り外した状態を示している。また、
図2では、本体側コネクタ部26を示すために、後述するケース部21の蓋部22の図示を一部省略している。
【0024】
光モジュール10は、モジュール本体20と、モジュールフレーム30とを有する。
【0025】
以下の説明では、図に示すように各方向を定義する。すなわち、モジュールフレーム30に対するモジュール本体20の着脱方向を「前後方向」とし、モジュールフレーム30に対してモジュール本体20を取り外す(抜き出す)方向の側を「前」とし、モジュールフレーム30に対してモジュール本体20を取り付ける(差し込む)方向の側を「後」とする。モジュールフレーム30の底面部33に垂直な方向を「上下方向」とし、底面部33に対して上板部31の側を「上」とし、逆側を「後」とする。また、前後方向及び上下方向に垂直な方向を「左右方向」とし、前側から後側を見たときの右側を「右」とし、左側を「左」とする。
【0026】
モジュール本体20は、複数の光アダプタが実装された部位である。モジュール本体20は、箱状に形成された部材である。モジュール本体20は、ケース部21と、アダプタ部25と、本体側コネクタ部26とを有する(
図2参照)。なお、後述するように、モジュール本体20をモジュールフレーム30に対して差し込むことにより、モジュール本体20の本体側コネクタ部26をモジュールフレーム30のフレーム側コネクタ部34に接続させることができる。
【0027】
ケース部21は、アダプタ部25と本体側コネクタ部26とを接続する光ファイバ(収容光ファイバ7)を収容する部材であると共に、アダプタ部25及び本体側コネクタ部26を保持する部材でもある。ケース部21は、水平方向に扁平な直方体形状をしている。ケース部21は内部が空洞となっており、これにより、ケース部21の内部に収容光ファイバ7を収容することができる。収容光ファイバ7の前側の端部は、モジュール本体20(ケース部21)の前側端部に取り付けられたアダプタ部25にコネクタ接続されている(
図2では不図示)。また、収容光ファイバ7の後側の端部は、ケース部21(モジュール本体20)の後側端部に取り付けられた本体側コネクタ部26にコネクタ接続されている。なお、ケース部21は、収容光ファイバ7について分岐部や融着接続部を収容しても良い。
【0028】
ケース部21は、蓋部22と、ケース側板23と、ケース底板24とを有する。
【0029】
蓋部22は、ケース部21において上部を覆う部位である。後述するように、ケース部21(モジュール本体20)をモジュールフレーム30の本体差し込み口36に対して差し込む際に、蓋部22の上面がモジュールフレーム30の上板部31の下面に当接する。蓋部21の上面には、係止部27が設けられている(
図2参照)。
【0030】
係止部27は、モジュール本体20をモジュールフレーム30に対して係止させる部位である。なお、後述するように、モジュールフレーム30は光配線ユニット1のトレイ5に対して固定されているので、係止部27によりモジュール本体20がモジュールフレーム30に対して係止されることで、係止状態のモジュール本体20はトレイ5に対して固定されていることになる。
図2に示すように、本実施形態の係止部27は、蓋部22において後方(本体側コネクタ部26の側)に延び出るように片持ち梁状に形成されている。これにより、本実施形態の係止部27は、上下方向に弾性変形可能に構成されている。なお、係止部27の詳細な機能については、後述する。
【0031】
係止部27は、係止凸部28と、係止解除部29とを有する。
【0032】
係止凸部28は、モジュール本体20をモジュールフレーム30に対して係止させる際に、上板部31の被係止部31Aに対してラッチする部位である。係止凸部28は、係止部27において上方に凸となるように形成された部位であり、これにより、上板部31の被係止部31Aにラッチすることができる。また、係止凸部28は、後述する係止解除部29より後方(本体側コネクタ部26の側)に設けられ、係止部27の端部に設けられている。
【0033】
係止解除部29は、モジュール本体20のモジュールフレーム30に対する係止を解除する際に、係止部27の上板部31に対するラッチを解除する部位である。係止解除部29は、係止部27の前方(アダプタ部25の側)に設けられ、片持ち梁状に形成された係止部27の根元側(アダプタ部25の側)に設けられている。作業者が係止解除部29を下方に押圧することで、片持ち梁状に形成された係止部27が下方に弾性変形し、係止凸部28が下方に移動することになる。これにより、係止凸部28の被係止部31Aに対するラッチを解除することができ、モジュール本体20のモジュールフレーム30に対する係止を解除することができる。モジュールフレーム30に対する係止を解除したモジュール本体20は、モジュールフレーム30から取り外す(抜き出す)ことができる。
【0034】
ケース側板23は、ケース部21において側部を覆う部位である。後方に位置するケース側板23には、本体側コネクタ部26が取り付けられている。後述するように、ケース部21(モジュール本体20)をモジュールフレーム30の本体差し込み口36に対して差し込む際に、ケース側板23の外面がモジュールフレーム30の側面部32の内面に当接する。なお、ケース側板23(ケース部21)には、ケース部21が後側にいくほど幅が小さくなるように、ケース部21に左右一対のテーパ面23Aが形成されている。これにより、モジュール本体20をモジュールフレーム30の本体差し込み口36に容易に差し込むことができる。
【0035】
ケース底板24は、ケース部21において底部を覆う部材である。後述するように、ケース部21(モジュール本体20)をモジュールフレーム30の本体差し込み口36に対して差し込む際に、ケース底板24の外面がモジュールフレーム30の底面部33の内面(上面)に当接する。
【0036】
アダプタ部25は、光ファイバをコネクタ接続することで、当該光ファイバと光モジュール10内の収容光ファイバ7との接続を切り替え可能にする部材である。アダプタ部25は、複数の収容光ファイバ7の一方の端部にそれぞれ設けられた光アダプタである。
図2に示すように、本実施形態の光モジュール10では、12個のアダプタ部25が左右方向に配列するように設けられている。但し、アダプタ部25の配列方向と配列の数とはこれに限られない。
【0037】
本体側コネクタ部26は、モジュール本体20のケース部21に収容された収容光ファイバ7をモジュールフレーム30の幹線ケーブル4内の光ファイバと接続するための部材である。本実施形態の本体側コネクタ部26は、後述するフレーム側コネクタ部34と共に、バックプレーンコネクタにより構成されている。バックプレーンコネクタでは、プラグインユニットにプリントボードを差し込むことによって、プラグインユニットのバックプレーンに取り付けられた光コネクタ(以下、「バックプレーン側コネクタ」と呼ぶことがある)と、プリントボードに取り付けられた光コネクタ(以下、「プリントボード側コネクタ」と呼ぶことがある)とを接続する光コネクタである。本実施形態の本体側コネクタ部26は、バックプレーン側コネクタのハウジング(本体側コネクタハウジング26A)と、本体側コネクタハウジング26Aに挿入されたMPOコネクタ(JIS C 5982に制定されるF13形多心光ファイバコネクタ、本体側コネクタプラグ26B)により構成されている。但し、後述するフレーム側コネクタ部34をバックプレーン側コネクタで構成する場合、本体側コネクタ部26をプリントボード側コネクタで構成してもよい。すなわち、本体側コネクタ部26が、プリントボード側コネクタのハウジング(本体側コネクタハウジング26A)と、本体側コネクタハウジング26Aに挿入されたMPOコネクタ(本体側コネクタプラグ26B)により構成されてもよい。但し、本体側コネクタ部26は、その他のコネクタ部材であっても良い。
【0038】
モジュールフレーム30は、モジュール本体20を保持する部材である。なお、モジュールフレーム30は、モジュール本体20が着脱可能に構成されている。本実施形態の光モジュール10では、モジュール本体20をモジュールフレーム30に対して取り付ける(差し込む)ことにより、モジュール本体20の本体側コネクタ部26をモジュールフレーム30のフレーム側コネクタ部34に接続させることができる。また、モジュール本体20をモジュールフレーム30に対して取り外す(抜き出す)ことにより、モジュール本体20の本体側コネクタ部26とモジュールフレーム30のフレーム側コネクタ部34との接続を解除することができる。
【0039】
また、モジュールフレーム30は光配線ユニット1のトレイ5(
図2では不図示、
図1参照)に対して固定されている。モジュールフレーム30は、上板部31と、側面部32と、底面部33と、フレーム側コネクタ部34とを有する。なお、モジュールフレーム30の上板部31、側面部32及び底面部33で囲まれた開口は、本体差し込み口36と呼ぶことがある。
【0040】
上板部31は、モジュール本体20をモジュールフレーム30に対して差し込む際に蓋部22の上面が当接する部位であると共に、モジュール本体20をモジュールフレーム30に対して係止させる際に係止部27がラッチする部位でもある。側面部32は、モジュール本体20をモジュールフレーム30に対して差し込む際にケース側板23の外面が当接する部位である。底面部33は、モジュール本体20をモジュールフレーム30に対して差し込む際にケース底板24の外面が当接する部位である。
【0041】
本実施形態の光モジュール10では、ケース部21(モジュール本体20)をモジュールフレーム30の本体差し込み口36に嵌め込み通すことで、蓋部22の上面がモジュールフレーム30の上板部31の下面に当接する。また、ケース部21(モジュール本体20)をモジュールフレーム30の本体差し込み口36に嵌め込み通すことで、ケース側板23の外面がモジュールフレーム30の側面部32の内面に当接する。また、ケース部21(モジュール本体20)をモジュールフレーム30の本体差し込み口36に嵌め込み通すことで、ケース底板24の外面がモジュールフレーム30の底面部33の内面(上面)に当接する。つまり、本体差し込み口36は、ケース部21(モジュール本体20)をモジュールフレーム30に差し込む際のガイド部となる。これにより、ケース部21(モジュール本体20)が、モジュールフレーム30に対して上下方向及び左右方向(前後方向に垂直な方向)に位置合わせされる。したがって、作業者は、モジュール本体20の体側コネクタ部26をモジュールフレーム30のフレーム側コネクタ部34に対して精度良く接続させることができる。
【0042】
フレーム側コネクタ部34は、モジュール本体20のケース部21に収容された収容光ファイバ7をモジュールフレーム30の幹線ケーブル4内の光ファイバと接続するための部材である。本実施形態のフレーム側コネクタ部34は、前述した本体側コネクタ部26と共に、バックプレーンコネクタにより構成されている。本実施形態のフレーム側コネクタ部34は、プリントボード側コネクタのハウジング(フレーム側コネクタハウジング34A)と、フレーム側コネクタハウジング34Aに挿入されたMPOコネクタ(フレーム側コネクタプラグ34B)により構成されている。但し、前述した本体側コネクタ部26をプリントボード側コネクタで構成する場合、フレーム側コネクタ部34をバックプレーン側コネクタで構成してもよい。すなわち、フレーム側コネクタ部34が、バックプレーン側コネクタのハウジング(フレーム側コネクタハウジング34A)と、フレーム側コネクタハウジング34Aに挿入されたMPOコネクタ(フレーム側コネクタプラグ34B)により構成されてもよい。但し、フレーム側コネクタ部34は、その他のコネクタ部材であっても良い。
【0043】
<モジュールフレーム30に対するモジュール本体20の取付け及び取り外し手順>
図3A及び
図3Bは、モジュールフレーム30にモジュール本体20を取り付ける途中の状態を示す図(平面図及びA−A線における断面図)である。
図4は、モジュールフレーム30にモジュール本体20を取り付けた状態を示す図(平面図及びA−A線における断面図)である。なお、
図3A、
図3B及び
図4においては、それぞれ図の上部に光モジュール10の平面図を示し、図の下部に光モジュール10の平面図中のA−A線における光モジュール10の断面図を示している。
【0044】
以下の説明では、モジュールフレーム30に対してモジュール本体20を取り付ける(差し込む)手順を示す。なお、以下では、
図2に示すように、モジュールフレーム30からモジュール本体20を取り外した状態のことを「取り外し状態」と呼ぶことがある。また、
図4に示すように、モジュールフレーム30にモジュール本体20を取り付けた状態のことを「取り付け状態」と呼ぶことがある。なお、取り付け状態においては、モジュール本体20の本体側コネクタ部26とモジュールフレーム30のフレーム側コネクタ部34とが接続されている。さらに、
図3A及び
図3Bに示すように、「取り外し状態」から「取り付け状態」に移行する途中の状態のことを「スライド途中状態」と呼ぶことがある。なお、取り外し状態及びスライド途中状態においては、モジュール本体20の本体側コネクタ部26とモジュールフレーム30のフレーム側コネクタ部34との接続が解除されている。
【0045】
前述したように、本実施形態の光モジュール10では、モジュールフレーム30にモジュール本体20を取り付ける(差し込む)ことで、モジュール本体20の本体側コネクタ部26がモジュールフレーム30のフレーム側コネクタ部34に接続される。これにより、モジュール本体20のアダプタ部25において光プラグ2によりコネクタ接続された光ケーブル3は、モジュール本体20内部に収容された収容光ファイバ7を介して、モジュールフレーム30側の幹線ケーブル4と光接続されることになる。
【0046】
本実施形態の光モジュール10を用いた光配線ユニット1において、ラック6に光配線ユニット1を設置する際に、モジュールフレーム30を光配線ユニット1のトレイ5に固定しておく。さらにモジュールフレーム30には、フレーム側コネクタ部34を端部に設けた幹線ケーブル4が取り付けられる。そして、光モジュール10を増設しようとする作業者は、まずは前述したモジュール本体20を用意する。作業者は、増設対象となる光モジュール10のモジュールフレーム30に対して、モジュール本体20の本体側コネクタ部26を前側(モジュールフレーム30の側)に向けて、モジュールフレーム30の本体差し込み口36に差し込むように移動させる。前述したように、モジュール本体20のケース側板23(ケース部21)には、ケース部21が後側にいくほど幅が小さくなるように、ケース部21に左右一対のテーパ面23Aが形成されているので、作業者は、モジュール本体20をモジュールフレーム30の本体差し込み口36に容易に差し込むことができる。
【0047】
図3Aは、モジュールフレーム30の本体差し込み口36に対してモジュール本体20を嵌め込み通し始めるときの様子を示す図である。本体差し込み口36にモジュール本体20を嵌め込み通すことにより、モジュール本体20の蓋部22の上面がモジュールフレーム30の上板部31の下面に当接し、モジュール本体20のケース側板23の外面がモジュールフレーム30の側面部32の内面に当接し、モジュール本体20のケース底板24の外面がモジュールフレーム30の底面部33の内面(上面)に当接する。これにより、モジュールフレーム30に対するモジュール本体20の上下方向及び左右方向の位置決めがなされる。そして、モジュールフレーム30に対するモジュール本体20の上下方向及び左右方向の位置決めがなされることにより、モジュール本体20の本体側コネクタ部26とフレーム側コネクタ部34とを精度良く接続させることができる。
【0048】
図3Bは、本体側コネクタ部26の本体側コネクタハウジング26Aに対して、フレーム側コネクタ部34のフレーム側コネクタハウジング34Aが嵌合し始めるときの様子を示す図である。前述したように、モジュールフレーム30に対するモジュール本体20の上下方向及び左右方向の位置決めがなされているので、本体側コネクタハウジング26Aに対してフレーム側コネクタハウジング34Aを精度良く嵌合させることができる。なお、この後、モジュール本体20をさらにモジュールフレーム30側に移動させることにより、モジュール本体20の係止凸部28は、モジュールフレーム30の上板部31の下面に当接し、下方に弾性変形する。これにより、モジュールフレーム30の本体差し込み口36に対してモジュール本体20を嵌め込み通すことができる。
【0049】
図4は、モジュール本体20の本体側コネクタ部26がモジュールフレーム30のフレーム側コネクタ部34に接続された様子を示す図である。モジュールフレーム30の上板部31の下面に当接し下方に弾性変形したモジュール本体20の係止凸部28は、モジュールフレーム30の上板部31の被係止部31Aにおいて再び上方に移動し、被係止部31Aに対してラッチされる。これにより、モジュール本体20をモジュールフレーム30に対して係止することができる。なお、本実施形態の光モジュール10では、モジュール本体20の本体側コネクタ部26がモジュールフレーム30のフレーム側コネクタ部34に接続される時点において、モジュール本体20がモジュールフレーム30に対して係止されることになる。
【0050】
本実施形態の光モジュール10では、モジュール本体20をモジュールフレーム30に対して取り付ける(差し込む)ことにより、モジュール本体20の本体側コネクタ部26をモジュールフレーム30のフレーム側コネクタ部34に接続させることができる。これにより、光配線ユニット1において光モジュールを増設する際に、既設の光モジュールに接続された現用光ケーブル(幹線ケーブル4)への接触を抑制することができる。
【0051】
なお、光モジュール10を撤去しようとする作業者は、モジュールフレーム30からモジュール本体20を取り外す(抜き出す)ことにより、モジュール本体20の本体側コネクタ部26とモジュールフレーム30のフレーム側コネクタ部34との接続を解除することができる。モジュールフレーム30からモジュール本体20を取り外す際、モジュール本体20のモジュールフレーム30に対する係止(係止凸部28の被係止部31Aに対するラッチ)を解除する力と、本体側コネクタハウジング26Aに対するフレーム側コネクタハウジング34Aの嵌合を解除する力とを合わせた力でモジュールフレーム30からモジュール本体20を取り外す(抜き出す)ことになる。これにより、光配線ユニット1において光モジュールを撤去する際に、既設の光モジュールに接続された現用光ケーブル(幹線ケーブル4)への接触を抑制することができる。
【0052】
<係止部27>
図5は、第1実施形態の光モジュール10の係止部27及びアダプタ部25付近を示す断面図である。なお、
図5は、モジュールフレーム30にモジュール本体20を取り付けた状態における係止部27及びアダプタ部25付近を示す。このとき、係止部27では、
図5に示すように、係止凸部28が上板部31の被係止部31Aに対してラッチされている。これにより、前述したように、モジュール本体20をモジュールフレーム30に対して係止させることができる。
【0053】
取り付け状態における光モジュール10では、アダプタ部25に接続された光ケーブル3(光プラグ2)に付与される引っ張り力(
図5中のF)により、モジュールフレーム30からモジュール本体20が取り外される方向に力が付与される。つまり、モジュール本体20の係止部27においては、係止凸部28が上板部31の被係止部31Aからラッチが外れる向きに力が付与される。本実施形態の係止部27では、係止凸部28が上板部31の被係止部31Aに対してラッチする力(モジュール本体20がモジュールフレーム30に対して係止する力)は、光ケーブル3(光プラグ2)に付与される引っ張り力よりも大きい。なお、光ケーブル3(光プラグ2)に付与される引っ張り力は最大10kg重程度である。したがって、係止凸部28が上板部31の被係止部31Aに対してラッチする力(モジュール本体20がモジュールフレーム30に対して係止する力)は、10kg重より大きいことが望ましい。さらに、アダプタ部25に接続された光プラグ2の抜去動作によっても、モジュールフレーム30からモジュール本体20が取り外される方向に力が付与される。したがって、係止凸部28が上板部31の被係止部31Aに対してラッチする力(モジュール本体20がモジュールフレーム30に対して係止する力)は、20kg重より大きいことがさらに望ましい。
【0054】
<アダプタ部25>
また、
図5に示すように、アダプタ部25は、ケース底板24(ケース部21)に対して上側に傾斜して設けられている。本実施形態の光モジュール10では、アダプタ部25は、ケース底板24(ケース部21)に対して、例えば4度上側に傾斜して設けられている。したがって、アダプタ部25に接続される光プラグ2の挿抜も、傾斜して行われることになる。一方、
図5に示すように、本実施形態の光モジュール10では、アダプタ部25に接続された光ケーブル3の束がトレイ5に載置されることがある。このように、アダプタ部25がケース底板24(ケース部21)に対して上側に傾斜して設けられていることにより、トレイ5に載置された光ケーブル3の束をよけてアダプタ部25に対して光プラグ2の挿抜を行うことができる。これにより、トレイ5上に光ケーブル3の束が載置されている場合でも、光プラグ2の挿抜を容易に行うことができる。また、アダプタ部25を清掃する場合も、トレイ5に載置された光ケーブル3の束をよけて清掃工具(不図示)を挿入することができる。
【0055】
<光モジュール10の別の例>
図6は、第1実施形態の光モジュール10の別の例における平面図である。前述の実施形態では、本体側コネクタ部26とフレーム側コネクタ部34とは、バックプレーンコネクタにより構成されていた。
図6に示す第1実施形態の別の例では、MPOコネクタ(JIS C 5982に制定されるF13形多心光ファイバコネクタ)により構成されても良い。第1実施形態の別の例においても、アダプタ部25を備えるモジュール本体20を、トレイ5(
図6では不図示、
図1参照)に取り付けられたモジュールフレーム30に着脱することで、本体側コネクタ部26とフレーム側コネクタ部34とを着脱することができ、光配線ユニット1において光モジュールを増設又は撤去することができる。したがって、既設の光モジュールに接続された現用光ケーブル(幹線ケーブル4)への接触を抑制することができる。なお、
図6に示す別の例では、MPOコネクタ同士を接続するためのアダプタハウジング(フレーム側コネクタハウジング34A)がフレーム側コネクタ部34側に設けられていたが、本体側コネクタ部26側に設けられても良い。
【0056】
===第2実施形態===
<縦置き配列される光モジュール10>
図7は、第2実施形態の光モジュール10を用いた光配線ユニット1の全体斜視図である。前述の第1実施形態の光モジュール10を用いた光配線ユニット1では、光モジュール10がトレイ5に横置き横並びに複数配列収容されていた。本実施形態の光モジュール10を用いた光配線ユニット1では、光モジュール10が縦置き横並びに配列されても良い。また、光モジュール10がトレイ5に収容されるのではなく、筐体8に直接取り付けられても良い。なお、本実施形態の光モジュール10においても、モジュール本体20はモジュールフレーム30に対して着脱可能である。さらに、モジュール本体20は本体側コネクタ部26を備え、モジュールフレーム30は、本体側コネクタ部26と接続されるフレーム側コネクタ部34を備えている。これにより、本実施形態においても、アダプタ部25を備えるモジュール本体20を、筐体8に直接取り付けられたモジュールフレーム30に着脱することで、光配線ユニット1において光モジュールを増設又は撤去することができる。したがって、既設の光モジュールに接続された現用光ケーブル(幹線ケーブル4)への接触を抑制することができる。
【0057】
<光モジュール10の変形例>
図8A〜
図8Cは、第2実施形態の光モジュール10の変形例を示す図である。なお、
図8A〜
図8Cは、光モジュール10を増設する場合の例を示している。前述したように、
図7に示す光モジュール10では、モジュール本体20をモジュールフレーム30に対して着脱する方向(前後方向)と、モジュール本体20に設けられた本体側コネクタ部26をモジュールフレーム30に設けられたフレーム側コネクタ部34に対して着脱する方向(前後方向)とが一致していた。本変形例の光モジュール10では、モジュール本体20をモジュールフレーム30に対して着脱する方向と、本体側コネクタ部26をフレーム側コネクタ部34に対して着脱する方向が異なっていても良い。本変形例の光モジュール10では、
図8Aに示すように、本体側コネクタ部26は、モジュール本体20のケース部21の下部に設けられている。また、フレーム側コネクタ部34は、モジュールフレーム30の下部に設けられている。
【0058】
光モジュール10を増設する際、作業者は、まずモジュール本体20をモジュールフレーム30に対して
図8Aに示す矢印方向(後方向)に差し込む。このとき、
図8Bに示すように、作業者は、モジュール本体20の後側端面がモジュールフレーム30の内部の奥に突き当たるまでモジュール本体20をモジュールフレーム30に対して差し込むことになる。なお、モジュールフレーム30内部の上下方向の高さは、ケース部21(モジュール本体20)の上下方向の高さと比べて、フレーム側コネクタ部34の上下方向の高さの分だけ大きく形成されている。これにより、モジュール本体20をモジュールフレーム30の奥まで差し込む際に、ケース部21(モジュール本体20)がフレーム側コネクタ部34にぶつかってしまうことを抑制することができる。
【0059】
モジュール本体20をモジュールフレーム30の奥まで差し込んだ後、作業者は、
図8Bに示す矢印方向(下方向)にモジュール本体20を移動させる。なお、モジュール本体20をモジュールフレーム30の奥まで差し込んだ状態において、モジュール本体20における本体側コネクタ部26と、モジュールフレーム30のフレーム側コネクタ部34との前後方向の位置が一致するように設けられている。これにより、モジュール本体20をモジュールフレーム30の奥まで差し込んだ後、下方向にモジュール本体20を移動させるだけで、本体側コネクタ部26をフレーム側コネクタ部34に対して接続することができる(
図8C参照)。
【0060】
なお、光モジュール10を撤去する場合、作業者は、
図8Cに示すモジュール本体20を上方向に移動させる。これにより、
図8Bに示す状態と同様に、本体側コネクタ部26とフレーム側コネクタ部34との接続を解除できる。さらに、モジュール本体20を前方向に移動させることにより、
図8Aに示す状態と同様に、モジュール本体20をモジュールフレーム30から抜き出すことになる。
【0061】
前述したように、本変形例の光モジュール10では、モジュール本体20をモジュールフレーム30に対して着脱する方向(前後方向)と、本体側コネクタ部26をフレーム側コネクタ部34に対して着脱する方向(上下方向)が異なっている。本変形例の光モジュール10においても、モジュール本体20はモジュールフレーム30に対して着脱可能である。さらに、モジュール本体20は本体側コネクタ部26を備え、モジュールフレーム30は、本体側コネクタ部26と接続されるフレーム側コネクタ部34を備えている。これにより、本変形例においても、アダプタ部25を備えるモジュール本体20を、筐体8に直接取り付けられたモジュールフレーム30に着脱することで、光配線ユニット1において光モジュールを増設又は撤去することができる。したがって、既設の光モジュールに接続された現用光ケーブル(幹線ケーブル4)への接触を抑制することができる。
【0062】
===小括===
上記実施形態の光モジュール10は、
図2に示すように、収容光ファイバ7の一方の端部側にアダプタ部25が設けられ、収容光ファイバ7を収容するモジュール本体20を有する光モジュール10である。そして、上記実施形態では、光モジュール10は、モジュール本体20が着脱可能なモジュールフレーム30を有し、モジュール本体20は、収容光ファイバ7の他方の端部側に本体側コネクタ部26を備え、モジュールフレーム30は、本体側コネクタ部26と接続されるフレーム側コネクタ部34を備える。これにより、上記実施形態では、光配線ユニット1において光モジュールを増設又は撤去する際に、既設の光モジュールに接続された現用光ケーブル(幹線ケーブル4)への接触を抑制することができる。
【0063】
また、上記実施形態の光モジュール10では、
図2〜
図4に示すように、モジュールフレーム30は、本体側コネクタ部26がフレーム側コネクタ部34に接続する際にモジュール本体20をガイドするガイド部(本体差し込み口36)を備える。これにより、上記実施形態では、本体側コネクタ部26をフレーム側コネクタ部34に精度よく接続させることができる。
【0064】
また、上記実施形態の光モジュール10では、
図2〜
図4に示すように、モジュール本体20をガイドするガイド部は、モジュール本体20を嵌め込み通すように形成された開口(本体差し込み口36)である。これにより、上記実施形態では、本体側コネクタ部26をフレーム側コネクタ部34に精度よく接続させることができる。
【0065】
また、上記実施形態の光モジュール10では、
図4又は
図5に示すように、モジュール本体20は、モジュール本体20がモジュールフレーム30に対して係止する係止部27を備える。これにより、上記実施形態では、モジュール本体20のアダプタ部25に接続された光プラグ2に対して付与された引っ張り力により、本体側コネクタ部26とフレーム側コネクタ部34との接続が解除されてしまうことを抑制することができる。
【0066】
また、上記実施形態の光モジュール10では、
図5に示すように、モジュール本体20がモジュールフレーム30に対して係止する力は、アダプタ部25に接続された光プラグ2に付与される引っ張り力より大きい。これにより、上記実施形態では、モジュール本体20のアダプタ部25に接続された光プラグ2に対して付与された引っ張り力により、本体側コネクタ部26とフレーム側コネクタ部34との接続が解除されてしまうことを抑制することができる。
【0067】
また、上記実施形態の光モジュール10では、モジュール本体20がモジュールフレーム30に対して係止する力は、10kg重より大きい。これにより、上記実施形態では、モジュール本体20のアダプタ部25に接続された光プラグ2に対して付与された引っ張り力により、本体側コネクタ部26とフレーム側コネクタ部34との接続が解除されてしまうことを抑制することができる。
【0068】
また、上記実施形態の光モジュール10では、本体側コネクタ部26と、フレーム側コネクタ部34とは、バックプレーンコネクタを構成する。これにより、上記実施形態では、光配線ユニット1において光モジュールを増設又は撤去する際に、既設の光モジュールに接続された現用光ケーブル(幹線ケーブル4)への接触を抑制することができる。
【0069】
===その他の実施形態===
前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。