(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アルカリ源が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属シリケート、アルカリ金属メタシリケート、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属セスキ炭酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の洗剤組成物。
前記活性酸素源は、過酸素化合物、過酸素化合物付加体、過酸化水素、過酸化水素を放出する又は生成する化合物、無機又は有機ペルオキシ酸、ペルオキシカルボン酸、過炭酸塩、又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載の洗剤組成物。
10〜90質量%の前記アルカリ源と、0.1〜15質量%の前記安定化された触媒と、2〜75質量%の活性酸素源と、1〜25質量%の少なくとも一つの界面活性剤と、1〜30質量%の少なくとも一つの更なる機能性成分とを含む、請求項1に記載の洗剤組成物。
前記溶媒は水であり、一つ以上の界面活性剤、及び/又は少なくとも一つの更なる機能性成分とともに、前記触媒を凝固させることを更に含む、請求項10に記載の方法。
前記水和固体洗剤組成物が、10〜80質量%のアルカリ源と、0.1〜15質量%の安定化された触媒ポリマーマトリクスと、10〜75質量%の活性酸素源と、1〜25質量%の界面活性剤と、1〜30質量%の少なくとも一つの更なる機能性成分とを含む、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態は、製品安定性を強化するコーティングのためのポリアクリレートポリマーマトリクスを使用した特定の洗剤処方に限定されず、変化することができ、当業者によって理解される。本明細書に用いる全ての用語は、単に具体例を記載するためのものであり、いかなる態様又は範囲にも限定することを意図するものではないことを更に理解されたい。例えば、本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途本文に明確に記載しない限り、複数形の対象を含むことができる。更に、全ての単位、接頭辞、及び記号は、そのSIに認められた形で示してもよい。
【0019】
明細書中に記載されている数値範囲は、範囲を画定する数を含み、画定された範囲内のそれぞれの整数を含む。本明細書の全体にわたって、本発明の様々な側面を範囲形式で示す。範囲形式での記載は単に便宜性及び簡潔性のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解すべきである。したがって、範囲の記載は、その範囲内の全ての可能性のあるサブレンジ及び個々の数値を具体的に開示するものとみなすべきである。例えば、1〜6という範囲の記載は、その範囲内のサブレンジ、例えば1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6等、並びに個々の数、例えば、1、2、3、4、5、及び6を具体的に開示するものとみなすべきである。
これは範囲の幅に関係なく適用する。
【0020】
本発明をより容易に理解できるように、まず特定の用語を定義する。別途定義しない限り、本明細書で用いる全ての専門用語及び科学用語は、本発明の実施形態に属する当業者によって一般に理解されるものと同様の意味を有する。本明細書に記載されているものに対して類似する、変更した、又は均等な多くの方法及び材料を、過度な実験をすることなく本発明の実施形態の実施に用いることができ、好ましい材料及び方法は本明細書に記載されている。本発明の実施形態を記載して特許を請求するにあたり、以下の用語を以下に設定する定義に従って使用する。
【0021】
本明細書で用いる用語「約」は、例えば、実際の濃縮物又は使用溶液を作るために使用する典型的な測定及び液体処理手順を通して;これらの手順における不注意のエラーを通して;組成物の作製又は方法の実施のために用いる成分の製造、源、又は純度の違い等を通して発生することがある数量のばらつきを指す。用語「約」は、特定の初期混合物から生ずる、組成物の異なる平衡条件によって変わる量もまた含む。用語「約」によって修飾されているか否かにかかわらず、請求項は量に均等物を含む。
【0022】
用語「活物質」、又は「パーセント活物質」、又は「重量パーセント活物質」、又は「活物質濃度」は本明細書において相互に使用し、洗浄に関係するそれらの成分の濃度を指しており、不活性原料、例えば水又は塩を除いたパーセンテージとして表す。
【0023】
本明細書で用いる用語「洗浄」は、汚れの除去、漂白、微生物個体群の減少、及びそれらの任意の組み合わせを促進又は補助するために用いる方法を指す。本明細書で用いる用語「微生物」は、あらゆる非細胞又は単細胞(コロニーを含む)微生物を指す。微生物は全ての原核生物を含む。微生物としては、バクテリア(シアノバクテリアを含む)、胞子、苔(lichens)、菌類、原生動物、ビリノ、ウイロイド、ウイルス、ファージ、及びいくつかの藻が挙げられる。本明細書で用いる用語「細菌(microbe)」は、微生物(microorganism)と同義である。この特許出願の目的上、水での洗浄によって達成されるよりも、微生物個体群が少なくとも約50%、又は著しくより多くが低減される場合、良好な微生物還元が達成される。微生物個体群のより大きな減少は、より高い保護レベルを提供する。
【0024】
抗菌性の「殺菌(-cidal)」又は「静菌(-static)」活性の区別、効力の程度を評価する定義、及びこの効力を測定するための公式実験プロトコルが、抗菌剤及び抗菌組成物の関連性を理解するために考慮される。抗菌組成物は、2種類の微生物細胞ダメージに影響を与える可能性がある。第1は、微生物細胞の完全な破壊又は機能喪失につながる致命的で不可逆的な作用である。細胞ダメージの第2のタイプは、微生物から剤を除けば再び増殖することができるような可逆的なものである。前者は殺菌的であるといい、後者は静菌的であるという。殺菌剤及び防感染剤は、定義上、抗菌活性又は殺菌活性を提供する剤である。対照的に、防腐剤は、一般的に、阻害剤又は静菌組成物として記載されている。
【0025】
本明細書で用いる用語「殺菌剤」は、混入した細菌数を、公衆衛生上の要求によって判断される安全なレベルにまで減少させ剤を指す。一実施形態において、本発明に使用するための殺菌剤は、少なくとも3の指数減少値、及びより好ましくは、5の指数オーダーの減少を提供する。これらの減少は、「Germicidal and Detergent Sanitizing Action of Disinfectants」、Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists、第15版、1990年(EPAガイドライン91−2)、パラグラフ960.09及び適切な部分に記載されている手順を使用して評価することができる。この参考文献によると、殺菌剤は、いくつかの試験微生物に対して、室温(25±2℃)で、30秒以内に、99.999%の減少(5指数オーダーの減少)を提供すべきである。
【0026】
本明細書で用いる用語「物品」は、品目、例えば食事及び調理器具、食器、及び他の硬質表面、例えばシャワー、シンク、トイレ、浴槽、調理台、窓、鏡、輸送車両、及び床を意味する。本明細書で用いる用語「物品洗浄」は、物品を洗うこと、洗浄すること、又はすすぐことを意味する。「物品」は、プラスチックでできた品目にも関する。本発明の組成物によって洗浄することができるプラスチックの種類としては、限定されないが、ポリカーボネートポリマー(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー(ABS)、及びポリスルホンポリマー(PS)を含むものが挙げられる。本発明の化合物及び組成物を用いて洗浄することができる他の例示的なプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。
【0027】
本明細書で用いる用語「質量パーセント」、「質量%」、「質量パーセント」、「質量%」、及びこれらの変形は、その材料の質量を組成物の総質量で除して100を掛けた材料の濃度を意味する。本願明細書で用いる、「パーセント」、「%」等は、「質量パーセント」、「質量%」等と同義を意図したものと理解される。
【0028】
本発明の方法及び組成物は、本発明の要素及び成分、並びに本明細書に記載されている他の成分を含んでもよく、それらから本質的に成ってもよく、又はそれらから成ってもよい。本明細書で用いる「本質的に成る」は、更なる工程、成分、又は原料が、請求項に係る方法及び組成物の基本的及び新規な特性を実質的に変更しない限りにおいて、方法及び組成物が、更なる工程、成分、又は原料を含んでもよいことを意味する。
【0029】
安定化された触媒組成物
活性酸素源を含む本発明による安定化触媒洗剤組成物の例示的な範囲を、固体洗剤組成物の質量パーセントで表1に示す。
【0031】
本発明による安定化触媒洗剤組成物の例示的な範囲を、活性酸化剤を含まない固体洗剤組成物の質量パーセントで表2に示す。
【0033】
いくつかの側面において、ポリアクリレートと触媒材料との比は、約90:10〜約99.9:0.1、好ましくはポリアクリレートと活性触媒材料との比は、20:1〜約99:1である。いくつかの側面において、安定化された触媒(ポリアクリレートのポリマーマトリクス及び触媒の形態で提供される)の量は、固体洗剤組成物中に約0.5質量%〜約10質量%、好ましくは固体洗剤組成物中に約1質量%〜約5質量%である。更に、本発明によれば限定されることなく、記載されている全ての比率の範囲は範囲を画定する数を含み、画定された比率の範囲内のそれぞれの整数を含む。
【0034】
固体洗剤組成物は、好ましくは、希釈されて使用組成物を形成してもよい濃縮組成物として提供される。一般に、濃縮物とは、水で希釈することで、対象に接触して所望の洗浄、漂白等を提供する使用溶液を提供することが意図された組成物を意味する。洗浄される物品に接触する洗剤組成物は、本発明による方法において使用される処方によって、濃縮物又は使用組成物(又は使用溶液)ということができる。提供される固体濃縮物、及び所望されるその使用溶液に応じて、洗剤組成物の触媒、活性酸化剤、ポリマー(例えば、ポリアクリレート)、界面活性剤、及び他の更なる機能性成分の濃度は変化することを理解すべきである。
【0035】
いくつかの側面において、固体安定化触媒洗剤組成物は、室温で少なくとも約1年間の保存安定性を維持する。
【0036】
ポリマーコーティング
本発明による安定化触媒洗剤組成物は、触媒を有するマトリクスを提供するポリマーコーティングを含む。有益にも、触媒とともに形成されたポリマーマトリクスは、敏感で反応性の成分(例えば活性酸素源)を保護する方法を提供し、従来技術の系に関する問題を取り除く。本発明によるポリマーコーティングは、触媒を有するポリマーマトリクスを提供する。一側面において、ポリマーマトリクスは、漂白触媒を保護するコーティングを提供し、安定性及び/又は完全性のあらゆる問題を招くことなく、固体洗剤処方中にそれを取り込むことを可能にする。理論又は特定の作用機構に制約されないが、ポリマーコーティングは、触媒を有するポリマーマトリクス構造を形成し、更に漂白触媒を囲み、有害な種、例えば空中酸素及び/又は固体製剤の含有水に対するバリアを生じている。
【0037】
本明細書において使用するのに適切なポリマーは水溶性である。本明細書において、水溶性とは、ポリマーが、本発明による組成物内の水への溶解性を有することを意味する。一側面において、水溶性とは、約25℃の水中に、少なくとも約1質量%、好ましくは少なくとも約5質量%、より好ましくは少なくとも約1質量%、及び最も好ましくは約50質量%の濃度で可溶性であるポリマーを意味する。
【0038】
いくつかの側面において、ポリマーは中性〜酸性のpHを有する。
【0039】
本明細書において使用に適切なポリマーの分子量は、1,000〜200,000、好ましくは1,000〜150,000、好ましくは、より好ましくは約1,500〜50,000、より好ましくは約1,000〜10,000、及びさらにより好ましくは約1,500〜10,000である。
【0040】
上記の基準を満たし、したがって本発明において特に有用である適切なポリマーとしては、カルボキシレートが挙げられる。カルボキシレートポリマーの適切な種類としては、カルボキシレート/カルボン酸、例えばポリアクリレート/ポリアクリル酸、及びその誘導体/コポリマーが挙げられる。一側面において、ポリマーマトリクスのためのポリマーはポリアクリレートである。
【0041】
例えば、適切なカルボキシレートとしては、モノメリックカルボキシレート/カルボン酸;クエン酸/クエン酸塩、マレイン酸/マレイン酸塩、及びこれらの誘導体が挙げられる。コーティングのための適切なポリマーポリオールとしては、加水分解ポリアセテート(アセテート部分の一部がヒドロキシル基部分、例えばポリビニルアルコールへと加水分解されている)、及びその誘導体が挙げられる。一側面において、ポリマーマトリクスのためのポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)である。
【0042】
本発明に使用するのに適する、非限定的な商業的に入手可能なポリアクリレートの例としては、Dow Chemicalから入手可能な、Acusol(登録商標)448(アクリル酸/マレイン酸コポリマー、50%活性)、及びAcusol(登録商標)445(アクリル酸ポリマー、45%活性)が挙げられる。
【0043】
本発明の側面において、固体安定化触媒洗剤組成物におけるポリマーコーティングの濃度は、約0.01質量%〜約15質量%、約0.1質量%〜約15質量%、約0.1質量%〜約10質量%、又は約0.5質量%〜約5質量%である。これらの値と範囲の間の全ての値及び範囲は、本発明に包含されることを理解すべきである。
【0044】
触媒
本発明による安定化触媒洗剤組成物は、少なくとも一つの触媒を含む。本明細書で用いる用語「触媒」は、酸素源、例えば過炭酸塩を活性化し、改善された漂白活性及び/又は使用溶液の泡立ちを提供して、強化された洗浄有効性を提供するよう用いられる剤、例えば遷移金属を意味する。一側面において、触媒は、活性酸素源を変換又は分解(すなわち酸化)して、触媒的に強化された漂白種を生成するのに適している。本発明の一側面において、触媒は分解し易く、したがって本発明によるポリマーマトリクスを使用したコーティングを必要とする。例えば、Mn(II)又はMn(III)は、特に酸化剤と組み合わせたとき及び/又はアルカリ性の環境で容易に酸化されて、Mn(IV)種(MnO
2に変わる)を形成する。
【0045】
本発明の一側面において、触媒は金属である。更なる側面において、触媒は、遷移金属、例えばマンガンを含む金属の様々な形態を含む。
【0046】
いくつかの側面において、触媒は、少なくとも一つのマンガン源を含む。いくつかの実施形態において、マンガン源は、マンガン金属、マンガン酸化物、コロイド状マンガン、マンガンの無機又は有機錯体、硫酸マンガン、炭酸マンガン、酢酸マンガン、乳酸マンガン、硝酸マンガン、グルコン酸マンガン、若しくは塩化マンガン、又は塩形成種とマンガンとの塩のいずれかから導かれる。例示的なグルコン酸マンガン錯体は、欧州特許第0237111号明細書に記載されており;マンガン−ビ−ピリジルアミン錯体は、欧州特許第0392593号明細書に記載されており;マンガン−ポリオール錯体は、過酸素漂白触媒として欧州特許第0443651号明細書に記載されている。
【0047】
商業的に入手可能なマンガン触媒は、Catexel社から入手可能な、商品名Dragon(Dragon’s Blood、又はDragon A350としても知られる)(ビス(オクタヒドロ−1,4,7−トリメチル−1H−1,4,7−トリアゾニン−kN
1,kN
4,kN
7)−トリ−μ−オキソ−ジ[マンガン(1+)]サルフェートテトラ水和物)、又は商品名Pegasus(ジ[マンガン(1+)],1,2−ビス(オクタヒドロ−4,7−ジメチル−1H−1,4,7−トリアゾニン−1−イル−kN
1,kN
4,kN
7)−エタン−ジ−μ−オキソ−μ−(エタノアート−kO、kO’)−ジ[クロリド(1−)])の下で販売されている。
【0048】
一側面において、触媒剤は、Mn(III)又はMn(IV)遷移金属の単核又は二核錯体であるマンガンベースの錯体である。更なる側面において、触媒剤は、マンガンに配位した少なくとも3つの窒素原子を含む、少なくとも一つの有機配位子を含む。例示的な構造は、1,4,7−トリアザシクロノナン(TACN)、1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン(Me−TACN)、1,5,9−トリアザシクロドデカン、1,5,9−トリメチル−1,5,9−トリアザシクロドデカン(Me−TACD)、2−メチル−1,4,7−トリアザシクロノナン(Me/TACN)、2−メチル−1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン(Me/Me−TACN)、N,N’,N”−(2−ヒドロキシエチル)1,4,7−トリアザシクロノナンである。好ましい実施形態において、マンガン原子と窒素原子との比は1:3である。
【0049】
触媒は、マンガン1原子当たり0〜6個の配位子又は架橋基を含むこともできる。マンガンベースの触媒が単核錯体である場合、配位子は、例えば、−OMe、−O−CH
2−CH
3、又は−O−CH
2−CH
2−CH
3から選択される。マンガンベースの触媒が二核錯体である場合、架橋基は、中でも−O−、−O−O−、又は−O−CH(Me)−O−から選択してもよい。
【0050】
触媒は、電荷中性に導く一つ以上の一価又は多価カウンターイオンを含むこともできる。そのような一価又は多価カウンターイオンの数は、マンガン錯体の電荷に依存し、0又は正であることができる。錯体の電荷中性に必要なカウンターイオンの種類は重要でなく、カウンターイオンは、例えばハロゲン化物、例えば塩化物、臭化物、及びヨウ化物、擬ハライド、サルフェート、ニトラート、メチルサルフェート、ホスフェート、アセテート、過塩素酸塩、ヘキサフルオロホスフェート、又はテトラフルオロボレートから選択してもよい。
【0051】
本発明に使用するのに適する触媒は、下式:[(L
pMn
q)
nX
r]Y
sにより定義されてもよく、式中、Lはそれぞれ独立して、Mn金属に配位した少なくとも3つの窒素原子及び/又は少なくとも2つのカルボキシル基を含む、有機配位子であり;それぞれのXは、独立して、H
2O、OH
−、SH
−、HO
2−、O
2−、O
22−、S
2−、F
−、Cl
−、Br
−、I
−、NO
3−、NO
2−、SO
42−、SO
32−、PO
43−、N
3−、CN
−、NR
3、NCS
−、RCN、RS
−、RCO
2−、RO
−、及び
【化3】
からなる群から選択される配位子又は架橋基であり、式中、Rは水素又はC
1〜C
6アルキル基であり;pは、1〜4の整数であり;qは、1〜2の整数であり;rは、0〜6の整数であり;Yは、カウンターイオンであり;sは、カウンターイオンの数である。
【0052】
本発明に使用するのに適する触媒は、二核マンガン錯体について、下式:
【化4】
により定義されてもよく、式中、MはMn金属であり;L
1及びL
2は別々の配位子であることができ、又はL
1及びL
2は組み合わされて単一の分子であることもできる。配位子又は架橋基の中でも、O
2−、O
22−、CH
3O
−、CH
3CO
2−、
【化5】
又はCl
−が特に好ましい。いくつかの側面において、配位子は、トリアザシクロノナン、トリアザシクロノナン誘導体、シッフ−塩基含有配位子、ポリピリジンアミン配位子、窒素−ドナー5座配位子、ビスピドン−型配位子、及び大環状テトラアミダート配位子からなる群から選択される。これらの種類の配位子の例は、R. Hage及びA Lienke(Hage, Ronald; Lienke, Achim著、 「Applications of Transition-Metal Catalysts to Textile and Wood-Pulp Bleaching」、Angewandte Chemie International Edition、2005年、45巻、2号、206-222頁)に記載されており、引用によりその全体が本明細書に取り入れられる。好ましい配位子の他の群は、ジカルボキシレート、特にオキサレートである。
【0053】
特に本発明によって安定化触媒洗剤組成物に有用な触媒構造体の例としては以下を含む。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【0054】
例えば、触媒のための金属錯体の更なる開示は、米国特許第5,227,084号明細書、米国特許第5,194,416号明細書、米国特許第4,728,455号明細書、米国特許第4,478,733号明細書、及び米国特許第4,430,243号明細書、並びに欧州特許第693,550号明細書、欧州特許第549,271号明細書、欧州特許第549,272号明細書、欧州特許第544,519号明細書、欧州特許第544,490号明細書、欧州特許第544,440号明細書、欧州特許第509,787号明細書、欧州特許第458,397号明細書、及び欧州特許第458,398号明細書に提供されており、それぞれは引用によりその全体が本明細書中に含まれる。
【0055】
本発明の側面において、固体安定化触媒洗剤組成物における触媒の濃度は、約0.001質量%〜約10質量%、約0.005質量%〜約1質量%、約0.01質量%〜約0.25質量%、又は約0.01質量%〜約0.2質量%である。これらの値と範囲の間の全ての値及び範囲は、本発明に包含されることを理解すべきである。
【0056】
当業者であれば、本明細書の安定化触媒洗剤組成物の記載から、固体組成物に使用される触媒の量は、0.01%(the hundredths of a percent)単位までを含む比較的少ない量であり、それは多くの場合洗剤組成物に処方される漂白剤前駆体よりも非常に少ない量であることを、確認するであろう。有益にも、ポリアクリレート材料のポリマーマトリクス及び触媒を提供する本発明の固体洗剤処方は、マンガン錯体触媒を固体処方内に直接処方すること、及び安定化触媒洗剤組成物の使用溶液内に容易に溶解することを可能にする。これは、溶液中の洗剤組成物にわたって触媒の均一な分布を達成しつつ、触媒を少ない投与量で正確に添加し、使用溶液において充分な有効性を提供することは困難であるという、技術分野における他の限定を有益にも克服する。
【0057】
活性酸素源
本発明による安定化触媒洗剤組成物は、少なくとも一つの活性酸素化合物を含むことができる。本発明に使用するのに適する活性酸素源は、無機又は有機であることができ、これらの混合物であることができる。
【0058】
活性酸素化合物のいくつかの例としては、過酸素化合物、過酸素化合物付加体、過酸化水素、過酸化水素を放出する又は生成する化合物、並びに無機及び有機ペルオキシ酸が挙げられる。多くの活性酸素化合物としては、過酸素化合物、例えば、過酸化水素、1族(IA)活性酸素化合物(例えば、過酸化ナトリウム)、2族(IIA)活性酸素化合物(例えば、過酸化マグネシウム)、12族(IIB)活性酸素化合物(例えば、過酸化亜鉛)、13族(IIIA)活性酸素化合物(例えば、過ホウ酸塩)、14族(IVA)活性酸素化合物(例えば、過ケイ酸塩、及び過酸化炭酸塩)、15族(VA)活性酸素化合物(例えば、過リン酸塩)、16族(VIA)活性酸素化合物(例えば、ペルオキソ硫酸及びその塩)、17族(VIIA)活性酸素化合物(例えば、過ヨウ素酸ナトリウム)、並びに遷移金属ペルオキシドが挙げられる。様々なあらゆる過酸化水素及び/又は過酸化水素付加体は、本発明に使用するのに適切である。
【0059】
過炭酸ナトリウム(2Na
2CO
3−3H
2O
2)を、安定化触媒洗剤組成物のための活性酸素化合物として使用することもできる。過炭酸塩は、固体洗剤処方に使用するための固体ペルオキシドの代替である。過炭酸ナトリウムは、コーティングされた粒状の形態で商業的に入手可能であり、強化された安定性を提供する。
【0060】
有機活性酸素化合物を含む活性酸素化合物としては、ペルオキシカルボン酸、例えばモノ−又はジ−ペルオキシカルボン酸、これらの種の化合物を含むアルカリ金属塩、又はそのような化合物の付加体もまた挙げられる。
【0061】
過酸、ペルオキシ酸、過カルボン酸、及びペルオキシカルボン酸は、それぞれ同義的に一般的式R(CO
3H)
nを有する酸を意味する。R基は、置換又は非置換であることができ、また、飽和又は不飽和であることができる。本明細書に記載のRは、アルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、芳香族、複素環化合物、又はエステル基、例えばアルキルエステル基である。nは1、2、又は3であり、親の酸にペルオキシの接頭語を付けることによって名づけられる。エステル基は、有機部分(例えば、Rについて上記に掲げたもの)、及びエステル部分を含むR基として定義される。例示的なエステル基としては、脂肪族エステル基、例えばR
1OC(O)
2が挙げられ、式中R
1及びR
2は、脂肪族、好ましくはRについて上記のアルキル基であることができる。好ましくは、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、小さなアルキル基、例えば1〜5個の炭素原子を有するアルキル基である。本明細書で用いる用語「アルキル」又は「アルキル基」は、一つ又は複数の炭素原子を有する飽和炭化水素を意味し、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、等)、環状アルキル基(又は「シクロアルキル」、又は「脂環式」、又は「炭素環式」基)(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等)、分岐鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert−ブチル、sec−ブチル、イソブチル等)、及びアルキル置換アルキル基(例えば、アルキル置換シクロアルキル基、及びシクロアルキル置換アルキル基)が挙げられる。特に明記しない限り、用語「アルキル」は、「非置換アルキル」及び「置換アルキル」の両方を含む。本明細書で用いる用語「置換アルキル」は、炭化水素骨格の一つ又は複数の炭素上の一つ又は複数の水素を置換している置換基を有するアルキル基を意味する。そのような置換基としては、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲノ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノが挙げられる)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、ウレイドが挙げられる)、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環式、アルキルアリール、又は芳香族(ヘテロ環式芳香族が挙げられる)基が挙げられる。いくつかの実施形態において、置換アルキルとしては複素環式基が挙げられる。本明細書で用いる用語「複素環式基」としては、環内の炭素原子の一つ又は複数が炭素以外の元素、例えば、窒素、硫黄、又は酸素である炭素環式基の閉環構造類似体が挙げられる。複素環式基は、飽和していてもよく、又は飽和していなくてもよい。例示的な複素環式基としては、限定されないが、アジリジン、エチレンオキシド(エポキシド、オキシラン)、チイラン(エピスルフィド)、ジオキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ジオキセタン、ジチエタン、ジチエト、アゾリジン、ピロリジン、ピロリン、オキソラン、ジヒドロフラン、及びフランが挙げられる。
【0062】
スルホペルオキシカルボン酸、スルホン化過酸、又はスルホン化ペルオキシカルボン酸は、それぞれ同義的に、スルホン化されたカルボン酸のペルオキシカルボン酸の形態を意味する。本発明において使用するための適切な過酸の更なる記載は、例えば、米国特許出願公開第2013/0047345号明細書、及び米国特許出願公開第2013/0018099号明細書に記載されている。
【0063】
本発明の側面において、安定化触媒洗剤組成物が活性酸素源を含む場合、固体安定化触媒洗剤触媒洗剤組成物中の活性酸素源の濃度は、約2質量%〜約75質量%、約10質量%〜約75質量%、約5質量%〜約50質量%、約10質量%〜約50質量%、又は約25質量%〜約50質量%である。これらの値と範囲の間の全ての値及び範囲は、本発明に包含されることを理解すべきである。
【0064】
アルカリ源
本発明の固体安定化触媒洗剤組成物は、少なくとも一つのアルカリ源を含む。いくつかの側面において、一つ以上のアルカリ源は、固体組成物を形成する水和可能な塩として機能する。いくつかの側面において、水和可能な塩は、実質的に無水のものであることができる。当業者であれば、本明細書の本開示から、固体洗剤組成物中の一つ以上のアルカリ源と共に、一つ以上のアルカリ源を水和させる水和水が含まれてもよいことを確認するであろう。水への言及は、水和水及び自由水の両方を含むことを理解すべきである。
【0065】
いくつかの側面において、一つ以上のアルカリ源としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、及び/又はアルカリ金属シリケートが挙げられる。適切なアルカリ源の例としては、限定されないが:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、アルカリ金属水酸化物の混合物、アルカリ金属炭酸塩の混合物、アルカリ金属シリケートの混合物、及びこれらの任意の混合物が挙げられる。更なる側面において、一つ以上のアルカリ源としては、アルカリ金属メタシリケート、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
洗剤組成物に水を加えて使用溶液を形成したとき、一つ以上のアルカリ源は、得られる溶液のpHを大きく制御する。いくつかの側面において、一つ以上のアルカリ源は、高アルカリ性の洗剤を提供する。そのような側面において、使用溶液のpHは、充分な洗浄特性を提供するために、約10〜約13である。いくつかの側面において、使用溶液のpHは、約10〜約12である。他の側面において、一つ以上のアルカリ源(例えば炭酸ナトリウム)は、より穏和なアルカリ性、例えばpHが約7より大きい洗剤を提供し;例えば、米国特許第7,094,746号明細書に開示されており、引用によりその全体が本明細書に取り入れられる。有益にも、安定化触媒洗剤組成物は、アルカリ性及び/又は高アルカリ性洗剤組成物中に処方されてもなお触媒材料を保護することができる。
【0067】
本発明の側面において、固体安定化触媒洗剤組成物中に含まれるアルカリ性源の濃度は、約10質量%〜約90質量%、約25質量%〜約90質量%、約30質量%〜約90質量%、約10質量%〜約80質量%、約20質量%〜約80質量%、約30質量%〜約80質量%、約25質量%〜約70質量%、約30質量%〜約80質量%、約30質量%〜約70質量%、約30質量%〜約60質量%、約30質量%〜約50質量%、約40質量%〜約75質量%である。これらの値と範囲の間の全ての値及び範囲は、本発明に包含されることを理解すべきである。
【0068】
界面活性剤
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は界面活性剤又は界面活性剤系を含む。様々な界面活性剤を洗剤組成物中に使用することができ、限定されないが:アニオン性、非イオン性、カチオン性、及び双性イオン性界面活性剤が挙げられる。使用することができる例示的な界面活性剤は、多くの出所から商業的に入手可能である。界面活性剤に関する議論については、例えば、Kirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第三版、8巻、900-912頁、Schwartz、Perry、及びBerchによる「Surface Active Agents and Detergents」第I及びII巻を参照されたく、それぞれは引用によりその全体が本明細書に取り入れられる。
【0069】
洗剤組成物に有用なアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、限定されないが:カルボキシレート、例えばアルキルカルボキシレート、及びポリアルコキシカルボキシレート、アルコールエトキシレートカルボキシレート、ノニルフェノールエトキシレートカルボキシレート;スルホネート、例えばアルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルアリールスルホネート、スルホン化脂肪酸エステル;サルフェート、例えば硫化アルコール、硫化アルコールエトキシレート、硫化アルキルフェノール、アルキルサルフェート、スルホサクシネート、及びアルキルエーテルサルフェートが挙げられる。例示的なアニオン性界面活性剤としては、限定されないが、ナトリウムアルキルアリールスルホネート、α−オレフィンスルホネート、及び脂肪アルコールサルフェートが挙げられる。
【0070】
洗剤組成物に有用な非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、限定されないが、界面活性剤分子の一部としてポリアルキレンオキシドポリマーを有するものが挙げられる。そのような非イオン性界面活性剤としては、限定されないが、クロリン−、ベンジル−、メチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−、及びその他のアルキルキャップした脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテルのようなもの;ポリアルキレンオキシドを有しない非イオン性物質、例えばアルキルポリグリコシド;ソルビタン、及びスクロースエステル、及びこれらのエトキシレート;アルコキシル化アミン、例えばアルコキシル化エチレンジアミン;アルコールアルコキシレート、例えばアルコールエトキシレートプロポキシレート、アルコールプロポキシレート、アルコールプロポキシレートエトキシレートプロポキシレート、アルコールエトキシレートブトキシラート;ノニルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレングリコールエーテル;カルボン酸エステル、例えばグリセロールエステル、ポリオキシエチレンエステル、エトキシル化脂肪酸、及び脂肪酸のグリコールエステル;カルボン酸アミド、例えばジエタノールアミン縮合物、モノアルカノールアミン縮合物、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド;並びに、ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーが挙げられる。
【0071】
洗剤組成物に用いることができるカチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、限定されないが:アミン、例えばC18アルキル又はアルケニル鎖を有する第一級、第二級、及び第三級モノアミン、エトキシルアルキルアミン、エチレンジアミンのアルコキシレート、イミダゾール、例えば1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン、2−アルキル−1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン等;並びに第四級アンモニウム塩、例えばアルキル第四級塩化アンモニウム界面活性剤、例えばn−アルキル(C12〜C18)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、n−テトラデシルジメチルベンジル一水和物、及びナフチレン置換第四級塩化アンモニウム、例えばジメチル−1−ナフチルメチル塩化アンモニウムが挙げられる。カチオン性界面活性剤を用いて、浄化特性を提供することができる。
【0072】
洗剤組成物に用いることができる双性イオン界面活性剤の非限定的な例としては、限定されないが:ベタイン、イミダゾリン、及びプロピオネートが挙げられる。
【0073】
洗剤組成物を自動食器洗浄又は物品洗浄機に用いることを意図するいくつかの側面において、何らかの界面活性剤を用いる場合、選択される界面活性剤は、食器洗浄又は物品洗浄機内で使用したときに、許容できる起泡レベルを提供するものであることができる。自動食器洗浄機又は自動物品洗浄機内で用いられる物品洗浄組成物は、一般に、低発泡性組成物であるとみなされることを理解すべきである。
【0074】
洗剤組成物が、洗浄剤として界面活性剤を含む場合、洗浄剤は、洗浄の所望のレベルを提供する程度に効果的な量で提供される。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、約1質量%〜約50質量%の界面活性剤を含む。他の実施形態において、本発明の組成物は約5質量%〜約45質量%の界面活性剤を含む。更に他の実施形態において、本発明の組成物は、約10質量%〜約45質量%の界面活性剤、又は約15質量%〜約45質量%の界面活性剤を含む。
【0075】
更なる機能性成分
洗剤組成物の成分は、様々な機能性成分と更に組み合わせることができる。いくつかの実施形態において、ポリマー、触媒、アルカリ源、活性酸素、及び/又は界面活性剤を含む固体安定化触媒洗剤組成物は、洗剤組成物の合計質量の大部分又は実質的に全部さえも構成する。例えば、いくつかの実施形態において、そこに更なる機能性成分はほとんど又は全く処方されない。
【0076】
他の実施形態において、更なる機能性成分が組成物中に含まれてもよい。機能性成分は、組成物に所望の特性及び機能性を提供する。本出願において用語「機能性成分」としては、使用及び/又は濃縮溶液、例えば水溶液中に分散又は溶解したとき、特定用途に有益な特性を提供する材料が挙げられる。機能性材料のいくつかの特定の例を以下更に詳細に述べるが、述べられる特定の材料は単に例として与えられ、広範な種類の他の機能性成分を使用してもよい。例えば、以下に述べる機能性材料の多くは、洗浄、具体的には物品洗浄又は洗濯用途に使用される材料に関する。しかしながら、他の実施形態は、他の用途に使用するための機能性成分を含んでもよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、組成物は、溶媒、活性化剤、消泡剤、抗再析剤、更なる漂白剤、溶解性調整剤、分散剤、すすぎ補助剤、金属保護剤、安定剤、腐食防止剤、表面変更ポリマー、例えば防汚ポリマー、澱粉、流体忌避剤、白化添加剤、例えば光学的増白剤又は着色剤、更なる封鎖剤及び/又はキレート剤、酵素、香料及び/又は染料、レオロジー調整剤又は増粘剤、ヒドロトロープ、又はカプラー、緩衝剤、溶媒などを含んでもよい。
【0078】
溶媒
いくつかの実施形態において、組成物は溶媒を含み、混合物に触媒及びポリマーを組み合わせ、乾燥させてポリマーマトリクスコーティングを形成する。触媒及びポリマーを組み合わせることは、洗剤組成物の製造方法に従って開示される、乾燥又は蒸発工程のために充分な、剤を確実に分散させるのに適するあらゆる手段であることができる。
【0079】
いくつかの側面において、溶媒は水である。他の側面において、溶媒は、水、及び/又は一つ若しくは複数の極性若しくは無極性溶媒を含むことができる。本発明によれば、溶媒は、洗剤組成物の製造方法による乾燥又は蒸発に適していなければならない。例えば、代表的な極性溶媒としては、水、及びアルコール(直鎖又は分岐鎖脂肪族アルコール、例えばメタノールが挙げられる)、グリコール、及びその誘導体等が挙げられる。例えば、代表的な無極性溶媒としては、脂肪族、芳香族等が挙げられる。
【0080】
活性化剤
いくつかの実施形態において、組成物は活性化剤を含み、活性酸素源(例えば過炭酸塩)の活性を更に増加させる。触媒に加えて、そのような活性化剤を使用することができる。適切な活性化剤としては、4−ベンゾイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(SBOBS);N,N,N’,N’−テトラアセチルエチレンジアミン(TAED);1−メチル−2−ベンゾイルオキシベンゼン−4−スルホン酸ナトリウム;4−メチル−3−ベンゾイルオキシ安息香酸ナトリウム;SPCCトリメチルアンモニウムトルイルオキシベンゼンスルホネート;ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム;ペンタアセチルグルコース(PAG);オクタノイルテトラアセチルグルコース、及びベンゾイルテトラセチルグルコースが挙げられる。
【0081】
キレート剤
いくつかの実施形態において、組成物はキレート剤/封鎖剤を含む。適切なキレート剤/封鎖剤は、例えば、シトラート、アミノカルボン酸、縮合リン酸塩、ホスホネート、及びポリアクリレートである。一般に、キレート剤は、天然水中に一般に見られる金属イオンに配位して(すなわち、結合して)、金属イオンが洗浄用組成物の他の洗浄成分の作用を阻害することを防止することができる分子である。一般に、キレート化/封鎖剤は、一般にビルダー剤の一種ともいうことができる。キレート化剤/封鎖剤は、有効量で含まれるとき、閾値剤(threshold agent)として機能することがある。濃縮した洗浄剤組成物は、0.1〜70質量%、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは5〜50質量%、最も好ましくは10〜40質量%のキレート化剤/封鎖剤を含むことができる。
【0082】
適切なアミノカルボン酸としては、例えば、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、N−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチル−エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、及びジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)が挙げられる。縮合リン酸塩の例としては、ナトリウムオルトホスフェート及びカリウムオルトホスフェート、ナトリウムピロホスフェート及びカリウムピロホスフェート、ナトリウムトリポリホスフェート、ナトリウムヘキサメタホスフェートなどが挙げられる。縮合ホスフェートは、組成物中に存在する自由水を水和水として固定することによって、組成物の固化をある程度助けることがある。組成物は、ホスホネート、例えば1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸CH
3C(OH)[PO(OH)
2]
2(HEDP);アミノトリ(メチレンホスホン酸)N[CH
2PO(OH)
2]
3;アミノトリ(メチレンホスホネート)、ナトリウム塩(NaO)(HO)P(OCH
2N[CH
2PO(ONa)
2]
2);2−ヒドロキシエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)HOCH
2CH
2N[CH
2PO(OH)
2]
2;ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(HO)
2POCH
2N[CH
2CH
2N[CH
2PO(OH)
2]
2]
2;ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、ナトリウム塩C
9H
(28−x)N
3Na
xO
15P
5(x=7);ヘキサメチレンジアミン(テトラメチレンホスホネート)、カリウム塩C
10H
(28−x)N
2K
xO
12P
4(x=6);ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(ペンタメチレンホスホン酸)(HO
2)POCH
2N[(CH
2)
6N[CH
2PO(OH)
2]
2]
2;及びリン酸H
3PO
3を含んでもよい。
【0083】
キレート剤/封鎖剤は、ビルダー剤の形態で用いることができる水調整ポリマーであってもよい。例示的な水調整ポリマーとしては、ポリカルボキシレートが挙げられる。水調整ポリマーとして使用することができる例示的なポリカルボキシレートとしては、ポリアクリル酸、マレイン酸/オレフィンコポリマー、アクリル/マレイン酸コポリマー、ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸コポリマー、ポリアクリルアミド加水分解物、ポリメタクリルアミド加水分解物、ポリアミド−メタクリルアミドコポリマー加水分解物、ポリアクリロニトリル加水分解物、ポリメタクリロニトリル加水分解物、及びアクリロニトリル−メタクリロニトリルコポリマー加水分解物が挙げられる。濃縮洗剤組成物は、水調整ポリマーを0〜20質量%、好ましくは0.1〜5質量%の量で含んでもよい。
【0084】
消泡剤
いくつかの実施形態において、組成物は、低又は無−起泡性界面活性剤に加えて、消泡剤を含んでもよい。いくつかの側面において、適切な消泡剤としては、例えば、エチレンオキシド/プロピレンブロックコポリマー、例えば名称Pluronic N−3の下で入手可能なもの、シリコーン化合物、例えばポリジメチルシロキサン中に分散したシリカ、ポリジメチルシロキサン、及び官能化ポリジメチルシロキサン、脂肪アミド、炭化水素ワックス、脂肪酸、脂肪族エステル、脂肪族アルコール、脂肪酸石鹸、エトキシレート、鉱油、ポリエチレングリコールエステル、及びアルキルリン酸エステル、例えばリン酸モノステアリルが挙げられる。
【0085】
製造方法
触媒材料のポリマーマトリクスは、本明細書に記載の固体洗剤処方に取り入れられ、安定化触媒洗剤組成物と呼ばれる。触媒、例えばマンガン錯体ベースの触媒は、活性酸素成分(例えば漂白組成物)及び/又は高アルカリ性洗剤組成物を含む安定化組成物に、有益にも処方される。得られる固体安定化触媒洗剤組成物は、本発明による使用溶液の生成に適する安定性及び分布の均一性を提供する。
【0086】
いくつかの側面において、固体洗剤処方は、ポリマー及び触媒を本発明によって開示される質量比で最初に組み合わせることによって作られる。更なる側面において、ポリマー及び触媒を混合して、溶液中に確実に均一に分布させる。代替の側面において、ポリマー及び触媒を、水性混合物又は溶液中で組み合わせる。一側面において、ポリマーを溶媒に溶解し及び/又は触媒を溶媒に溶解して、その後組み合わせて水性混合物にしてもよい。好ましい側面において、ポリマー溶液内に触媒を完全に分散させる。混合物を所望のとおり加熱して、ポリマー及び/又は触媒を確実に実質的に溶解させてもよい。
【0087】
その後、得られたポリマー及び触媒の溶液を乾燥して、水を蒸発させる。一側面において、ポリマー及び触媒の溶液を乾燥させることは、含水量が約20質量%以下、好ましくは15質量%以下、好ましくは10質量%以下、及び最も好ましくは5質量%以下、又は乾燥した、固体材料を形成する。一側面において、乾燥工程は水を蒸発させ、本明細書においてポリマーマトリクスと呼ばれる結晶構造を形成する。乾燥ポリマー及び触媒ポリマーマトリクスは、顆粒の形態であってもよい。
【0088】
本明細書に記載の乾燥方法は、減圧乾燥、ドラム−乾燥、バンド−乾燥、噴霧乾燥、トレイ−乾燥、又は任意のこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい側面において、乾燥ステップは、水の蒸発が、噴霧乾燥又は他の技術よりも迅速でなく、ポリマーマトリクスと呼ばれる結晶構造を形成することができるような、トレイ−乾燥又はドラム−乾燥を使用する。ドラム乾燥は、ポリマー及び触媒の混合物を回転するドラム上に吹き付けて、広い温度範囲(例えば約100℃を超える温度)にわたって様々な速度(例えば約0.2rpmの速度)で回転させることを含むことができる。その後、水が蒸発したら、ポリマーマトリクスはこすれ落ちるか、又はそうでなければドラムから除去される。
【0089】
いくつかの側面において、蒸発プロセスは数日から1時間未満まで実施してもよく、好ましくは、蒸発プロセスは約1時間〜少なくとも5時間実施する。より長い乾燥又は蒸発プロセスを使用して、ポリマーマトリクス構造を維持することが好ましい。その結果、トレイ乾燥及び/又はドラム乾燥方法は、多くの場合高熱を短時間、例えば1分程度の短時間にわたって適用する噴霧乾燥より好ましい。
【0090】
蒸発又は乾燥プロセスが終了したあと、必要に応じてポリマーマトリクス構造を変えずに、任意にポリマーマトリクスを更なる熱又は高温にさらして、残存する水を更に除去してもよい。
【0091】
本発明の粒状製品は、顆粒及び/又はフレークの形態であることができるが、好ましくは規則的な小さな顆粒の形態で存在する。その後、顆粒を洗剤処方に加え、そして従来どおりの固体水和物を形成する。一側面において、固化のための灰分及び/又は腐食性水和方法を用いて、本発明による固体洗剤処方を形成する。固化プロセスは、限定されないが、成形又はキャストされた組成物のサイズ、組成物の成分、及び組成物の温度などの要因に応じて、数分〜約6時間持続してもよい。
【0092】
固体洗剤組成物は、バッチ又は連続的混合システムを使用して形成してもよい。例示的な実施形態において、一軸又は二軸スクリュー押出機を用いて一つ又は複数の洗浄剤を高剪断で組み合わせて混合し、均一な混合物を形成する。いくつかの実施形態において、処理温度は、成分の融点以下である。被処理混合物を、形成、キャスティング、又は他の適切な手段によってミキサーから分配してもよく、そこですぐに洗剤組成物は固体の形態へと固くなる。マトリクスの構造は、その硬度、溶融点、材料分布、及び本技術分野において公知の方法による他の同様の特性に従って特徴づけられることがある。一般に、本発明の方法に従って処理した固体洗剤組成物は、成分の分布に関してその塊の全体にわたって実質的に均一であり、寸法的に安定である。
【0093】
用語「固体」は、硬化した組成物が流れず、穏やかな応力又は圧力又は単なる重力の下でその形状を実質的に保持することを意味する。固体キャストされた組成物の硬度の程度は、例えばコンクリートのように比較的より高密度で固い溶融固体製品の硬度から、硬化したペーストとして特徴づけられる濃度にまで渡ってもよい。更に、用語「固体」は、予想される保存条件及び固体洗剤組成物の使用下での洗剤組成物の状態を意味する。一般に、洗剤組成物は、最高約100°F(37.8℃)、及び特に最高約120°F(約48.9℃)の温度に暴露したときに、固体の状態のままであることが期待される。
【0094】
得られる固体洗剤組成物は、限定されないがキャストされた固体製品;押出、成型、又は成形された固体ペレット、ブロック、錠剤、粉末、顆粒、フレーク等の形態をとってもよい。特定の実施形態において、固体洗剤組成物は単位用量の形態で提供される。単位用量は、単一の洗浄サイクルの間に単位全体が用いられるような大きさに設定された、固体洗剤組成物の単位を意味する。固体洗剤組成物を単位用量として提供する場合、典型的には、約1グラム〜約50グラムの大きさを有する固体キャスト、押出しペレット、又は錠剤として提供される。他の実施形態において、固体洗剤組成物は、複数回使用(multiple-use)固体、例えばブロック、又は複数のペレットの形態で提供して、複数の洗浄サイクルのために水性洗剤組成物を生成するよう繰り返し用いることができる。特定の実施形態において、固体洗剤組成物は、約5グラム〜約10キログラムの質量を有する固体キャスト、押出ブロック、又は錠剤として提供される。固体組成物は、機能性材料の安定化源、すなわち、安定化された触媒を提供する。いくつかの実施形態において、固体組成物を、例えば、水性又は他の媒体中に溶解して、本明細書に開示される様々な用途に従って使用するための、濃縮及び/又は使用溶液を作製してもよい。
【0095】
使用方法
いくつかの側面において、安定化触媒洗剤組成物は、処方内の他の成分(例えば活性酸素源及び/又はアルカリ)から触媒材料を保護することを要する様々な用途に使用するのに適切である。本発明の使用の用途に限定されないが、安定化された触媒組成物は、特に漂白システム、例えば洗濯及び物品洗浄における、酸化触媒の保護に適している。具体的には、漂白システムは、物品洗浄洗剤、コーヒー及び/又はお茶ステイン除去剤、ペルオキシド又は過酸洗剤のための過酸素活性化触媒を使用している定置洗浄(CIP)用途、外科用器具洗浄等、洗濯用途等が挙げられる。
【0096】
しかしながら、更なる側面において、安定化された触媒組成物は、廃水処理、エポキシ化反応、及び多くの他の用途における酸化触媒の保護に適している。そのような用途において、多くの場合、還元された硫黄、窒素、リン等の悪臭を放つ化合物が豊富である廃水から細菌を除去する(例えば廃水処理)必要性がある。そのような側面において、強い酸化剤を含む洗剤組成物を使用して、これらの化合物を、それらの無臭の誘導体、例えばサルフェート、ホスフェート、及びアミンオキシドへと効率的に変換する。これらの同じ特性は、漂白特性が非常に有用である工業用途(例えば、オイル及び/又はガス掘削において慣習的な、スリックウォーター(slick water)の処理及び他の用途)などの他の水源処理において非常に有用である。
【0097】
更なる側面において、安定化された触媒組成物は、パルプ及び紙漂白における酸化触媒の保護に適している。本願明細書において、一般に、水性のセルロース製紙完成紙料を形成して、完成紙料を排出してシートを形成し、シートを乾燥することを含み、パルプから紙製品を作る方法を指す「製紙工程」において、パルプ及び紙漂白が使用されることがある。製紙完成紙料を形成し、排水し、及び乾燥する工程は、一般に当業者に知られる任意の従来の方式で実施してもよい。パルプは、バージンパルプ及びリサイクルパルプのいずれか又は両方であってもよい。
【0098】
いくつかの側面において、安定化触媒洗剤組成物は、好ましくは、自動洗浄用洗剤処方、例えば食器洗浄機洗剤又は洗濯洗剤に使用するためのものである。
【0099】
いくつかの側面において、洗剤組成物は、希釈剤、例えば水と接触して、様々な使用用途のための濃縮物及び/又は使用溶液を生じる。洗剤組成物は濃縮組成物を含むことができ、又は希釈して使用組成物を形成することができる。一般に、濃縮物とは、水で希釈することで、対象に接触して所望の洗浄、すすぎ等を提供する使用溶液を提供することが意図された組成物を意味する。洗浄される物品に接触する洗剤組成物は、使用組成物と呼ぶことができる。使用溶液は、洗浄、漂白等に適する濃度で、更なる機能性成分を含むことができる。
【0100】
使用溶液は、所望の洗浄特性を有する使用溶液を提供する希釈率で濃縮物を水で希釈することによって、濃縮物から調製してもよい。濃縮物を希釈して使用組成物を形成するために使用される水は、希釈物又は希釈剤の水ということができ、場所によって変化する可能性がある。典型的な希釈比は、約1〜約10,000の間であるが、水の硬度、除去すべき汚れの量などを含む要因に依る。一実施形態において、濃縮物は、濃縮物対水の比率で約1:10〜約1:1000に希釈される。特に、濃縮物は、濃縮物対水の比率で約1:100〜約1:5000に希釈される。
【0101】
いくつかの側面において、本発明による濃縮組成物は、特定の用途(例えば物品洗浄洗剤、洗濯洗剤等)に必要な投与量によって、約0.01g/L〜約10g/L、約0.1g/L〜10g/L、約0.2g/L〜5g/L、約0.5g/L〜5g/L、約0.5g/L〜4g/Lの希釈範囲で提供される。
【0102】
いくつかの側面において、本発明による使用溶液は、約0.01ppm〜約5ppm、約0.02ppm〜約5ppm、約0.05ppm〜約2ppmの所望の触媒濃度を提供する。
【0103】
いくつかの側面において、本発明は、表面、例えば硬質表面から汚れを除去する及び/又は表面を漂白する方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、洗剤組成物の使用溶液を表面に適用すること(例えば接触させること)と、汚れ除去及び/又は漂白を促進するのに十分な時間の後に表面から組成物を除去することとを含む。接触工程は、任意の適切な時間持続することができる。いくつかの実施形態において、接触工程は、少なくとも10秒、20秒、30秒、40秒、50秒、1分、10分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、16時間、1日、3日、1週、又はより長く持続する。洗剤組成物は、任意の適切な方法で、表面(又は汚れ除去及び/若しくは漂白の対象)に適用することができる。いくつかの実施形態において、洗剤組成物は、スプレー、泡等によって適用される。
【0104】
本方法を用いて、あらゆる適切な汚れの除去(例えば洗浄)、殺菌、消毒、漂白、及び/又は表面若しくは目標の中及び/若しくは上の微生物個体群の減少を達成することができる。いくつかの実施形態において、本方法を用いて、微生物個体群を少なくとも10分の1(one log 10)に減少させることができる。他の実施形態において、本方法を用いて、目標又は処理された目標組成物の中及び/又は上の微生物個体群を、少なくとも100分の1(two log 10)に減少させることができる。さらに他の実施形態において、本方法を用いて、目標又は処理された目標組成物の中及び/又は上の微生物個体群を、少なくとも1000分の1(three log 10)に減少させることができる。
【0105】
いくつかの実施形態において、方法は表面をすすぐことを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、活性酸素源及び触媒(及び/又は触媒を含む洗剤組成物と組み合わせられた活性酸素源)を含む洗剤組成物の泡立ち効果を生じることを更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、力、撹拌、及び/又は圧力を機械的に適用して、汚れの除去及び/又は表面の漂白を支援することを更に含む。
【0106】
本発明の方法を用いて、様々な表面から様々な汚れを除去する、及び/又は様々な表面を漂白することができる。例えば、本発明の方法を用いた洗浄に適する表面としては、限定されないが、壁、床、物品、食器、ナイフフォーク類、鍋類、熱交換コイル、オーブン、フライヤー、煙ハウス、下水排水ライン等が挙げられる。
【0107】
いくつかの実施形態において、本発明の方法の後にすすぎ工程のみが続く。他の実施形態において、本発明の方法の後に、洗浄すべき表面に適する従来のCIP方法が続く。更に他の実施形態において、本発明の方法の後に、CIP方法、例えば米国特許第8,398,781号明細書、及び米国特許第8,114,222号明細書、発明の名称「Methods for Cleaning Industrial Equipment with Pre-treatment」に記載されている方法が続き、両者は引用によりその全体が本明細書中に含まれる。
【0108】
有益にも、様々な側面によれば、方法は、使用前に固体安定化触媒洗剤組成物中に処方された触媒から過酸素(又は他の活性酸素源)を保護する。他の側面において、方法は、使用前に固体安定化触媒洗剤組成物中に処方された触媒を、固体組成物の高アルカリ性から保護する。
【0109】
本明細書中に挙げた全ての刊行物及び特許出願は、本発明が関連する技術分野の当業者の水準を示すものである。全ての刊行物および特許出願は、本明細書において各刊行物又は特許出願を具体的かつ個別に引用した場合と同程度に、引用により本明細書中に含まれる。
【実施例】
【0110】
本発明の実施形態を、以下の非限定的な例において更に定める。これらの例は、本発明の特定の実施形態を示すと共に、単に説明としてのみ示すことを理解すべきである。上記の議論及びこれらの例から、当業者であれば、本発明の基本的な特性を確認することができ、これらの精神及び範囲を逸脱することなく、本発明の実施形態の様々な変更及び変形を行い、様々な用途及び条件に適応させることができる。したがって、本明細書に示し記載するものに加えて、本発明の実施形態の様々な変形は、前述の記載から、当業者にとって明らかである。そのような変更態様もまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されている。
【0111】
ポリアクリレートコーティング材料及び触媒材料の例示的な実施形態に関する例において、以下の材料を使用した。
【0112】
ポリアクリレート:
Acusol 448−アクリル酸/マレイン酸コポリマー(50%活性)
Acusol 445−アクリル酸ポリマー(45%活性)
【0113】
触媒:
マンガン触媒1−ビス(オクタヒドロ−1,4,7−トリメチル−1H−1,4,7−トリアゾニン−kN
1,kN
4,kN
7)−トリ−μ−オキソ−ジ[マンガン(1+)]サルフェートテトラ水和物
マンガン触媒2−ジ[マンガン(1+)](1,2−ビス(オクタヒドロ−4,7−ジメチル−1H−1,4,7−トリアゾニン−1−イル−kN
1,kN
4,kN
7)−エタン−ジ−μ−オキソ−μ−(エタノアート−kO、kO’)−ジ[クロリド(1−)]
【0114】
例1
触媒材料とともに固体洗剤ブロック組成物に含まれる固体過酸化物源の様々な処方を評価して、利用可能な酸素及び触媒の安定性が改善することがあるか否かを決定した。以下の処方を評価して、触媒及び過酸化物源の安定性を改善するためのポリマーマトリクス方法を確認した。安定性についての要求は、封入又はマトリクスについての、使用溶液への充分な溶解を提供する必要性と更に組み合わせられた。洗浄性能はポリマーマトリクスに影響を受けるべきでなく、充分な溶解速度を確実にするためにポリマーマトリクス材料は充分な水溶性が必要であることを実証した。
【0115】
表3に示す処方を用いて、ポリマーマトリクスによって囲まれた商業的に入手可能なマンガン触媒を有する過炭酸塩処方を使用した、固体水和物を生成した。
【0116】
【表3】
【0117】
触媒を囲むポリアクリレートマトリクスを使用したポリマーマトリクス処方を、以下の方法に従って調剤した。
【0118】
Acusol 448/マンガン触媒顆粒の調製:0.833gのマンガン触媒1(60%活性)を、50gの脱イオン(DI)水中に溶解した。次にマンガン触媒1の溶液を、48.33gのAcusol 448(50%活性)原料にゆっくり混合した。溶液を30分間撹拌し、Acusol 448溶液へと触媒を完全に取り込んだ。次に溶液をオーブン内で、50℃で1週間乾燥させ、水を除去した。乾燥材料を挽いて粉末にして、2%以下の活性マンガン触媒を有する顆粒を形成した。
【0119】
Acusol 445/マンガン触媒顆粒の調製:
Acusol 445(45%活性)を用いた触媒顆粒の調製は、Acusol 448を用いた顆粒と同様であったが、全体の%活性が2%以下の活性マンガン触媒となるように、53.7グラムのAcusol 445原料を使用した。
【0120】
固体灰分水和物でできた処方1及び2の最初の安定性評価は、ポリアクリレート(Acusol 448、又はAcusol 445)マトリクスを使用したこれらの処方が充分な安定性を提供し、したがって、ポリアクリレートの水溶性によって有効性を維持する(すなわち性能が低下しない)ことが期待されることを示した。評価した処方は、過酸素安定性を維持するには、処方に加えられる水量を制限する必要があることを確認した。処方の安定性は、過剰量(処方の5%超)の水がポリアクリレート材料の溶解を促進し、触媒と過酸化物源との早期の反応を引き起こす可能性があることを示唆した。本発明の一側面において、マトリクスコーティングされた触媒に含まれる水は、約5質量%未満である。
【0121】
この例の処方は、封入された触媒で使用するための適切な物品洗浄処方を例示する。組成物は、触媒及び活性酸素源(例えばペルオキシド源)の両方を含む単一の洗剤として処方するのに適している。
【0122】
例2
触媒材料を伴う固体洗剤ブロック組成物の更なる処方を評価して、触媒が高アルカリ性組成物中で安定性を維持することができるか否かを決定した。これらの処方中に固体過酸化物源は含まれておらず;高アルカリ性の安定性を評価し、これらの条件は触媒材料に安定性上の限界を生じさせることが知られている。表4に示す処方を用いて、ポリマーマトリクスで囲まれたマンガン触媒2含む、高アルカリ性を有する固体水和物(例えば苛性処方)を生成した。
【0123】
【表4】
【0124】
触媒を囲むポリアクリレートマトリクスを使用したポリマーマトリクス処方を、以下の方法に従って調剤した。
【0125】
Acusol 445/マンガン触媒顆粒:0.5gのマンガン触媒2(50%活性)を、25gのDI水に溶解した。次にマンガン触媒2溶液を、26.66gのAcusol 445(45%活性)原料にゆっくり混合した。溶液を30分間撹拌し、Acusol 445溶液へと触媒を完全に取り込んだ。次に溶液をオーブン内で、50℃で1週間乾燥させ、水を除去した。乾燥材料を挽いて粉末にして、2%以下の活性マンガン触媒を有する顆粒を形成した。
【0126】
苛性固体水和物の最初の安定性評価は、ポリアクリレート(Acusol 445)マトリクスを使用した処方が充分な安定性を提供し、したがってポリアクリレートの水溶性によって有効性を維持する(すなわち性能が低下しない)ことが期待されることを示した。有益にも、高アルカリ性の洗剤組成物に取り入れたとき、触媒は安定であった。例示的な洗濯洗剤処方は(例1において使用したような)ペルオキシド源を含まないが、しかしながら、コーティングされていない触媒材料は、高アルカリ性の環境下で強化された安定性を必要とした。ポリアクリレートマトリクス内に触媒を取り入れることによって、触媒は、高アルカリ性から保護された。
【0127】
この例の処方は、マトリクスコーティングされたマンガン触媒に使用するための、適切な洗濯洗剤処方を示す。触媒は、高アルカリ性の洗剤に取り入れることができ;任意に、活性酸素源(例えばペルオキシド)を、他の製品をとおして導入することができる。本発明に限定されないが、マンガン触媒2は、マンガン触媒1と比較して改善されたリネンダメージ性によって、洗濯用途における漂白触媒として使用される触媒材料として使用される。有益にも、マトリクスコーティングされた触媒は、高腐食性の処方において良好な安定性を示した。
【0128】
例3
触媒材料を伴う固体洗剤ブロック組成物の更なる処方を評価して、高濃度の界面活性剤を含む高アルカリ性組成物中で触媒が安定性を維持することができるか否か決定した。これらの処方は固体過酸化物源を含まなかった。表5に示す処方を用いて、ポリマーマトリクスによって囲まれた又はコーティングされたマンガン触媒2を含む、高アルカリ性を有する固体水和物(例えば苛性処方)を生成した。
【0129】
【表5】
【0130】
触媒を囲むポリアクリレートマトリクスを使用したポリマーマトリクス処方を、例2に記載した以下の方法に従って調剤した。苛性固体水和物の最初の安定性評価は、ポリアクリレート(Acusol 445)マトリクスを使用した処方が充分な安定性を提供し、したがってポリアクリレートの水溶性によって有効性を維持する(すなわち性能が低下しない)ことが期待されることを示した。有益にも、高濃度の界面活性剤を含む高アルカリ性洗剤組成物に取り入れたとき、触媒は安定であった。
【0131】
この例の処方は、封入されたマンガン触媒に使用するための適切な洗濯洗剤処方を示した。触媒は、界面活性剤を含む高アルカリ性洗剤に取り入れることができ;任意に、活性酸素源(例えばペルオキシド)を、他の製品をとおして導入することができる。有益にも、封入された触媒は、高界面活性剤灰分ベース洗剤において良好な安定性を示した。
【0132】
例4
更なる調査−Acusol 448、及びAcusol 445ポリマーの評価を行い、ポリマーマトリクスで囲まれたマンガン触媒1とともに過炭酸塩を含む水和固体洗剤処方の安定性を定量化した。
【0133】
表6の処方を使用して、ポリマーマトリクスとしてのAcusol 448を有する及び有しない以下の処方を用い、利用可能な酸素処方の量を測定した:触媒を含まない処方(処方A−触媒なし)、それぞれの測定時点で加えられたポリマー及び新しい触媒を含む処方(処方A−添加された新しい触媒)、ポリマー及び触媒を含む処方(処方B−コーティングされていない触媒)、並びに触媒を囲むポリマーマトリクスを含むもの(処方C−マトリクスコーティングされた触媒)。過炭酸ナトリウム処方の利用可能な酸素を、ヨウ素還元滴定で測定した。利用可能な酸素値を用いて、過炭酸ナトリウム及び触媒の両方を含む処方の安定性を評価した。
【0134】
【表6】
【0135】
表7は、実験の間のそれぞれの測定時刻における利用可能な酸素(過炭酸塩の利用可能な酸素の理論値)の割合を示す。40℃及び50℃の測定は両方とも、高温にもかかわらず、ポリマーマトリクスコーティングされた触媒を有する処方3が、触媒を含まない処方1と同様の利用可能な酸素レベルを示したことを示した。
【0136】
【表7】
【0137】
表8の処方を使用して、ポリマーマトリクスとしてAcusol 445を有する及び有しない以下の処方を使用して、利用可能な酸素処方の量及び洗浄有効性を測定した:触媒を含まない処方(処方1−触媒なし)、それぞれの測定時点で加えたポリマー及び新しい触媒を含む処方(処方1−添加された新しい触媒)、ポリマー及び触媒を含む処方(処方2−コーティングされていない触媒)、並びに触媒を囲むポリマーマトリクスを含むもの(処方3−マトリクスコーティングされた触媒)。
【0138】
【表8】
【0139】
表9は、実験の間のそれぞれの測定時刻における、利用可能な酸素(理論値)を示す。40℃の測定は、高温にもかかわらず、ポリマーマトリクスコーティングされた触媒を有する処方3は、固体処方の利用可能な酸素を保持することを示した。
【0140】
【表9】
【0141】
更に、表8に説明した処方の安定性の比較を
図1に示す。方法を使用して、以下に記載のTerg−O−Tometerを用いたお茶見本の漂白のように、2週目及び4週目に再び(それぞれ室温及び40℃の両方で測定)、最初の使用時におけるステイン除去の割合を測定した。
【0142】
試験に使用するロット番号から、未洗浄の見本をHunterLab Color Quest Spectrophotometerに読み込み、初期(洗浄前)平均L値を決定した。それぞれの見本種類につき25のサンプリングを使用した。所望の洗浄温度をTerg−O−Tometerにプログラムし、水浴をその温度に加熱させた。1リットルの所望の種類の水を、それぞれのTerg−O−Tometerポットに加え、所望の温度に平衡させた。洗剤系を計量し、Terg−O−Tometerポットに加えた。洗剤系を混合し、2分間撹拌して溶解させた。見本を左から右の順番でそれぞれのポットに素早く加え、洗剤系に暴露される時間の差を最小化した。見本を加えてすぐに撹拌を開始した。運転終了後、ピンセットを用いて左から右の順番でポットから素早く見本を除去し、500mL〜1Lの冷水に移動させてすすいだ。それぞれのポットにつき1つの冷たいすすぎ水の容器を用いた。見本を冷水から除去し、シンクのストレーナー又はコランダーを使用して冷たい水道水で更にすすいだ。冷たい水道水ですすいだ後、過剰な水を見本から圧搾した。すすいで圧搾する操作を更に2回繰り返した。ナプキン又はペーパータオル上で見本を空気乾燥させた(又は、固く封止したメッシュバッグ内に見本を置き、ラボ用乾燥機内で乾燥させた)。HunterLab Color Questに見本を読み込ませ、初期(洗浄前)L値と最終的な(洗浄後)L値との違いから、%汚れ除去を算出した。
【0143】
示すように、本発明によるポリマーマトリクスコーティングされた触媒(処方3として示す)は、(表7に記載の経時的な利用可能な酸素の割合に関して)優れた洗浄有効性を提供した。処方3の洗浄有効性は、使用時に加えた新しい触媒を含む処方1と比較することができ、水和固体処方の安定性は、高温を伴う保存の間、活性酸素源及び触媒の活性を維持することを実証した。
【0144】
結果は、ポリアクリレート材料を有する触媒のためのマトリクスコーティングを用いることは、触媒が固体洗剤ブロック中のペルオキシドと(保存及び/又は輸送の間に発生するであろう)反応をしないよう効果的に保つことを示した。漂白組成物がコーティングされた触媒を含むことによって、少なくとも漂白有効性の2倍の改善が得られた。有益にも、コーティングされた触媒は、活性酸化剤処方において優れた安定性を示した。更に、使用時の適用のための使用条件の間、ポリアクリレートコーティングは容易に溶解した。
【0145】
例5
更なる調査を行い、ポリマー材料としてAcusol 445を評価して、ポリマーマトリクスで囲まれたマンガン触媒を有する腐食剤を含む水和固体腐食性洗濯処方の安定性を定量化した。
【0146】
表10の処方を使用し、ポリマーマトリクスとしてAcusol 445を有する及び有しない以下の処方を使用して、ステイン除去の有効性を測定した:触媒を含まない処方(処方4−触媒なし)、それぞれの測定時に加えたポリマー及び新しい触媒を含む処方(処方4−添加された新しい触媒)、ポリマー及び触媒を含む処方(処方5−コーティングされていない触媒)、並びに触媒を囲むポリマーマトリクスを含むもの(処方6−マトリクスコーティングされた触媒)こと。
【0147】
【表10】
【0148】
表10に説明した処方の有効性の比較を、2週目及び4週目に再び(それぞれ室温及び50℃での測定)、最初の使用時におけるステイン除去の割合の測定として、
図2に示す。示すように、本発明(処方6として示す)のポリマーマトリクスコーティングされた触媒は、処方4の触媒を含まない組成物、及び処方5のコーティングされていない触媒に対して、優れた洗浄有効性を提供した。処方6の洗浄有効性は、使用時に加えた新しい触媒を有する処方4と比較することができ、水和した腐食性の固体処方の安定性は、高温を伴う保存の間、洗濯処方が高アルカリ性の条件であるにもかかわらず、触媒活性を維持することを実証した。
【0149】
この結果は更に、ポリアクリレート材料中の触媒のコーティングは、触媒が固体洗剤ブロック中の高アルカリ性洗濯漂白成分と(保存及び/又は輸送の間に発生するような)反応をしないよう効果的に保つことを示した。漂白組成物がコーティングされた触媒を含むことによって、ステイン除去有効性の少なくとも3倍の改善が得られた。有益にも、封入された触媒は、高アルカリ性の洗濯処方において優れた安定性を示した。更に、使用時の適用のための使用条件の間、ポリアクリレートマトリクスコーティングは容易に溶解した。
【0150】
例6
更なる調査を行い、ポリマー材料としてAcusol 445を評価して、ポリマーマトリクスで囲まれたマンガン触媒を含む水和固体灰分ベース洗濯処方の安定性を定量化した。
【0151】
表12の処方を使用し、ポリマーマトリクスとしてAcusol 445を有する及び有しない以下の処方を使用して、ステイン除去の有効性を測定した:触媒を含まない処方(処方7−触媒なし)、それぞれの測定時に加えたポリマー及び新しい触媒を含む処方(処方7−添加された新しい触媒)、ポリマー及び触媒を含む処方(処方8−コーティングされていない触媒)、並びに触媒を囲むポリマーマトリクスを含むもの(処方9−マトリクスコーティングされた触媒)。
【0152】
【表11】
【0153】
表12に説明した処方の有効性の比較を、2週目及び4週目に再び(それぞれ室温及び50℃の両方で測定)、最初の使用時におけるステイン除去の割合の測定として、
図3に示す。示すように、本発明によるポリマーマトリクスコーティングされた触媒(処方9として示す)は、コーティングされていない触媒を有する処方8の組成物に対して、少なくとも実質的に同様の洗浄有効性、又は優れた洗浄有効性を提供した。処方9の洗浄有効性は、使用時に加えた新しい触媒を含む処方7とも比較することができ、水和した灰分ベースの固体処方の安定性が、高温を伴う保存の間、洗濯処方の高アルカリ性条件にもかかわらず、触媒の活性を維持したことを実証する。
【0154】
この結果は更に、ポリアクリレート材料中の触媒のコーティングは、触媒が固体洗剤ブロック中の高アルカリ性洗濯漂白成分と(保存及び/又は輸送の間に発生するような)反応をしないよう効果的に保つことを示した。漂白組成物がコーティングされた触媒を含むことによって、ステイン除去有効性の少なくとも3倍の改善が得られた。有益にも、コーティングされた触媒は、高アルカリ性の洗濯処方において優れた安定性を示した。更に、使用時の適用のための使用条件の間、ポリアクリレートマトリクスコーティングは容易に溶解した。
【0155】
以上のように本発明を記載したが、本発明はさまざまな方法で変形してもよいことは明らかである。そのような変形は本発明の精神及び範囲からの逸脱とはみなされず、全てのそのような変形は以下の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。以上の明細書は、開示された組成物及び方法の製造及び使用の説明を提供する。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多くの実施形態を行うことができるので、本発明は請求項に存在する。
以下の項目[1]〜[20]に、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
少なくとも一つのアルカリ源と;
ポリマーのポリマーマトリクス、及び下式:
[(LpMnq)nXr]Ys
で表される触媒を含む、安定化された触媒と
を含む、固体安定化触媒洗剤組成物であって、
式中、Lはそれぞれ独立して、Mn金属に配位した少なくとも3つの窒素原子及び/又は少なくとも2つのカルボキシル基を含む、有機配位子であり;
Xはそれぞれ独立して、H2O、OH−、SH−、HO2−、O2−、O22−、S2−、F−、Cl−、Br−、I−、NO3−、NO2−、SO42−、SO32−、PO43−、N3−、CN−、NR3、NCS−、RCN、RS−、RCO2−、RO−、及び
【化10】
からなる群から選択される配位子又は架橋基であり、
式中、Rは水素又はC1〜C6アルキル基であり;
pは、1〜4の整数であり;
qは、1〜2の整数であり;
rは、0〜6の整数であり;
Yはカウンターイオンであり;
sは、カウンターイオンの数である、洗剤組成物。
[2]
前記ポリマーが約1,000〜10,000の分子量を有する水溶性カルボキシレートである、項目1に記載の洗剤組成物。
[3]
前記カルボキシレートが、アクリル酸/マレイン酸コポリマー、アクリル酸ポリマー、又はこれらの組み合わせである、項目2に記載の洗剤組成物。
[4]
前記ポリマーがポリビニルピロリドンである、項目1に記載の洗剤組成物。
[5]
前記触媒が、下式:
【化11】
によって表される錯体であり、
式中、MはMnであり;
L1及びL2は別々の配位子であるか、又はL1及びL2は組み合わされて単一の分子になっていることができる、項目1に記載の洗剤組成物。
[6]
前記アルカリ源が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属シリケート、アルカリ金属メタシリケート、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属セスキ炭酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1に記載の洗剤組成物。
[7]
前記組成物の使用pHが少なくとも約8.5である、項目6に記載の洗剤組成物。
[8]
前記組成物の使用pHが少なくとも約12である、項目6に記載の洗剤組成物。
[9]
前記組成物の使用溶液中の前記触媒によって触媒される活性酸素源を更に含む、項目1に記載の洗剤組成物。
[10]
前記活性酸素源は、過酸素化合物、過酸素化合物付加体、過酸化水素、過酸化水素を放出する又は生成する化合物、無機又は有機ペルオキシ酸、ペルオキシカルボン酸、過炭酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目9に記載の洗剤組成物。
[11]
前記活性酸素源が過炭酸ナトリウムである、項目10に記載の洗剤組成物。
[12]
約10〜90質量%の前記アルカリ源と、約0.1〜15質量%の前記安定化された触媒と、約2〜75質量%の活性酸素源と、約1〜25質量%の少なくとも一つの界面活性剤と、約1〜30質量%の少なくとも一つの更なる機能性成分とを含む、項目1に記載の洗剤組成物。
[13]
固体安定化触媒洗剤組成物を製造する方法であって:
溶媒中にポリマーを提供することであって、前記ポリマーはカルボキシレートである、ことと;
溶媒中に触媒を提供することであって、前記触媒は、下式
[(LpMnq)nXr]Ys
を有し、式中、Lはそれぞれ独立して、Mn金属に配位した少なくとも3つの窒素原子及び/又は少なくとも2つのカルボキシル基を含む、有機配位子であり、Xはそれぞれ独立して、H2O、OH−、SH−、HO2−、O2−、O22−、S2−、F−、Cl−、Br−、I−、NO3−、NO2−、SO42−、SO32−、PO43−、N3−、CN−、NR3、NCS−、RCN、RS−、RCO2−、RO−、及び
【化12】
からなる群から選択される配位子又は架橋基であり、式中、Rは水素又はC1〜C6アルキル基であり、pは、1〜4の整数であり、qは、1〜2の整数であり、rは、0〜6の整数であり、Yはカウンターイオンであり、sは、カウンターイオンの数である、触媒を提供することと;
前記ポリマー及び前記触媒を組み合わせて、溶液を形成することと;
前記ポリマー及び触媒の溶液を乾燥させて、安定化された触媒ポリマーマトリクスを形成することと;
少なくとも一つのアルカリ源とともに、前記安定化された触媒ポリマーマトリクスを凝固させて、水和固体洗剤組成物を形成することとを含む、方法。
[14]
前記溶媒は水であり、活性酸素源、一つ以上の界面活性剤、及び/又は少なくとも一つの更なる機能性成分とともに、前記触媒を凝固させることを更に含む、項目13に記載の方法。
[15]
前記水和固体洗剤組成物が、約10〜80質量%のアルカリ源と、約0.1〜15質量%の安定化された触媒ポリマーマトリクスと、約10〜75質量%の活性酸素源と、約1〜25質量%の界面活性剤と、約1〜30質量%の少なくとも一つの更なる機能性成分とを含む、項目14に記載の方法。
[16]
洗浄及び/又は漂白方法であって:
項目1〜12に記載の固体安定化触媒洗剤組成物を提供することと;
前記洗剤組成物の使用溶液を生成することと;
洗浄及び/又は漂白を必要とする表面又は目的物を、前記洗剤組成物の使用溶液に接触させることとを含む、方法。
[17]
前記洗剤組成物の使用溶液が、物品洗浄及び/又は洗濯用途に使用される、項目16に記載の方法。
[18]
前記洗剤組成物の使用溶液が、パルプ及び/又は紙の漂白、廃水処理及び/又はエポキシ化反応用途に使用される、項目16に記載の方法。
[19]
前記固体安定化触媒洗剤組成物が触媒の安定性を維持しつつ、アルカリ性洗剤組成物中に処方される、項目16に記載の方法。
[20]
前記安定化触媒洗剤組成物が、腐食性及び/又は炭酸塩洗剤であり、任意に活性酸素源を含んで、前記安定化された触媒を用いた漂白の利点を提供する、項目16に記載の方法。