特許第6633688号(P6633688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6633688
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】トラック荷台からの落下防止装置
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20200109BHJP
【FI】
   A62B35/00 J
   A62B35/00 K
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-106624(P2018-106624)
(22)【出願日】2018年6月4日
(65)【公開番号】特開2019-208792(P2019-208792A)
(43)【公開日】2019年12月12日
【審査請求日】2018年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】391062377
【氏名又は名称】綜建産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
(72)【発明者】
【氏名】根岸 理
(72)【発明者】
【氏名】山田 雄樹
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0090927(US,A1)
【文献】 特開2015−070980(JP,A)
【文献】 特開2010−220916(JP,A)
【文献】 特開2002−104776(JP,A)
【文献】 特開2000−237336(JP,A)
【文献】 特開2000−288111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
B62D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱の転倒を防止できるだけの支持力を発揮できる土台板の中央に支柱サヤ管を設け、支柱サヤ管には支柱の固定用の支柱締付けボルトを設け、上端に水平方向のアームを設けた支柱の下端を前記支柱サヤ管に嵌め入れて土台板上に立設し、支柱は支柱サヤ管に回動できるように挿入され、支柱締付けボルトで固定し、アーム先端には巻き取り式命綱による安全ブロック衝撃緩衝装置を設け、アームはトラス枠組体であり、直角三角形の底辺部分の両角部は輪体により、支柱に回転可能に係合し、回転止めボルトで支柱に固定し、
一方支柱には、アームの輪体への回転止めボルトを設けたことを特徴とするトラック荷台からの落下防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック荷台からの落下防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラック等の貨物自動車の荷台上で積載物の積み下ろし作業を行うにあたり、荷台上の足場の悪さも相俟って作業員が足を踏み外したり、またつまずいたりして荷台から転落することが想定される。このため、積み下ろし作業時には、荷台から作業者が落下するのを防止するための落下防止装置が用いられている。
【0003】
この落下防止装置には、下記特許文献にも示すように、例えば作業員と繋がれる親綱が連結可能で、荷台のあおりの外側面に立設される支柱を備えたものがある。
【特許文献1】特開平11−291863号公報
【0004】
これは図10に示すように、作業員転落防止設備4は、支柱5及び親綱6を具備したもので、二本の支柱5はトラック3の一側面の前方及び後方に並設され、親綱6はそのそれぞれの支柱5先端間に適当な張力をもつように取り付けられている。
【0005】
また、支柱5の底端部には地面と平行となる平板5eが設けられている。支柱5の固定は、トラック3の前輪3a及び後輪3bが、平板5eを踏み押さえることによってなされる。
【0006】
なお、支柱5の固定方法については、下記特許文献にもあるが、図11に示すように荷台1のあおり7の上端に固定するための固定装置8を設ける場合もある。図示の例は固定装置8は万力等によるものであり、安全のためにあおり7の下端から支柱5の途中にかけてくさり(索条)9をかけ渡している。
【特許文献2】特開2013−24428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記図11に示すようなトラック3のあおり7に支柱を取付けるタイプのものでは、これはあおりの強度に左右されることとなってしまい、また、高さがあまり取れず実際落下した時に地面に当たってしまうおそれがある。
【0008】
さらに、あおり7が倒せないことなどの問題点が有る。
【0009】
また、特許文献1のように、タイヤで踏む又はタイヤに挟んで支柱をたてるタイプでは、毎回タイヤ位置にセットしなくてはならない。
【0010】
しかも、図9に示すように、高さがあまり取れず実際落下した時に地面に当たってしまう。なお、図10は特許文献1の様に支柱5を2本立てて親綱6を張るのではなく、親綱6の一方は運転席後ろのフレームに結着させたものであるが、親綱6を支柱5先端間に適当な張力をもつように取り付けた場合も同様であり、地面に当たってしまうおそれがある。
【0011】
鉄骨建て方時などで、親綱ロープを貼り安全帯にて人の落下防止を図る「親綱支柱」という基準を社団法人仮設工業会で決めており、その認定基準試験をクリアした支柱が正式な人の落下防止親綱支柱となるが、実際人が落下した場合、親綱ロープが伸びてたるむ、安全帯のロープも1.5mほどあるので実際人が落ちた場合、人が地面に当たってしまうのが現状である。
【0012】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、支柱の下端をタイヤで踏まなくても安全に支柱を支持できて、かつ人の落下強度に耐えることができ、また、落下した場合に地面に当たってしまわないようにすることができるトラック荷台からの落下防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、支柱の転倒を防止できるだけの支持力を発揮できる土台板の中央に支柱サヤ管を設け、支柱サヤ管には支柱の固定用の支柱締付けボルトを設け、上端に水平方向のアームを設けた支柱の下端を前記支柱サヤ管に嵌め入れて土台板上に立設し、支柱は支柱サヤ管に回動できるように挿入され、支柱締付けボルトで固定し、アーム先端には巻き取り式命綱による安全ブロック衝撃緩衝装置を設け、アームはトラス枠組体であり、直角三角形の底辺部分の両角部は輪体により、支柱に回転可能に係合し、回転止めボルトで支柱に固定し、一方支柱には、アームの輪体への回転止めボルトを設けたことを要旨とするものである。
【0014】
請求項1記載の本発明によれば、土台板は重い鉄板としてタイヤで踏まなくても支柱の転倒を防止できるだけの支持力を発揮できるもので、毎回タイヤ位置にセットしなくてはならないという手間がなく、しかも、トラック荷台のあおりを使用しないのであおりの強度に左右されることもなく、あおりが倒せないなどの問題点もない。
【0015】
しかも、支柱上端の水平方向のアームにより支持するので高さをとることと安全ブロック(セルフロック)衝撃緩衝装置を使用することで、人の落下強度に耐えることができ、地面に当たってしまわないようにすることができる。
【0016】
なお、トラック荷台が大きい、長くなった場合は複数使用して対応することができる。
【0017】
また、上端に水平方向のアームを設けた支柱をクレーンで吊り上げて下端を支柱サヤ管に差し入れ、そのまま回転させて向きを直し、支柱締付けボルトで固定できる。
【0018】
さらに、アームはトラス構造の枠組体とすることで、十分な強度を発揮することができ、支柱に対する安定性も増す。また、アームを支柱に回転可能に係合したので、アームの支柱からの向きを変えることで支持の方向を自由選定できる。
【発明の効果】
【0019】
以上述べたように本発明のトラック荷台からの落下防止装置は、支柱の下端をタイヤで踏まなくても安全に支柱を支持できて、かつ人の落下強度に耐えることができ、また、落下した場合に地面に当たってしまうことのないものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のトラック荷台からの落下防止装置の1実施形態で、使用状態を示す正面図である。
図2】本発明のトラック荷台からの落下防止装置の1実施形態で、使用状態を示す平面図である。
図3】本発明のトラック荷台からの落下防止装置の支柱サヤ管部分の正面図である。
図4】本発明のトラック荷台からの落下防止装置の支柱とアームの取合いを示す正面図である。
図5】本発明のトラック荷台からの落下防止装置の設置方法を示す第1工程の正面図である。
図6】本発明のトラック荷台からの落下防止装置の設置方法を示す第2工程の正面図である。
図7】本発明のトラック荷台からの落下防止装置の設置方法を示す第3工程の正面図である。
図8】本発明のトラック荷台からの落下防止装置の設置方法を示す完成工程の正面図である。
図9】従来例の説明図である。
図10】他の従来例を示す正面図である。
図11】従来例で、支柱をあおりに取り付ける場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明のトラック荷台からの落下防止装置の1実施形態で使用状態を示す正面図、図2は同上平面図で、支柱5の転倒を防止できるだけの支持力を発揮できる土台板10と、この土台板10に設ける支柱サヤ管11と、支柱5の上端に設ける水平方向のアーム12と、アーム12の先端に設ける巻き取り式命綱による安全ブロック衝撃緩衝装置13とからなる。
【0022】
土台板10は3m×1.5m程度の矩形の鋼板によるもので、重い鉄板としてタイヤで踏まなくても支柱5の転倒を防止できるだけの支持力を発揮できるものである。
【0023】
支柱サヤ管11は支柱5の下端を受け入れる筒状体であり、下端にボルト固定用のフランジ14を有し、土台板10の中央で、長辺側の縁に寄せてボルト止めされる。
【0024】
支柱サヤ管11の外周側部にはフランジ14に直交する縦三角フランジを補強用として、放射状に配置した。
【0025】
また、支柱サヤ管11には支柱5の固定用の支柱締付けボルト16を設ける。
【0026】
アーム12は斜材を組み合わせて枠組んだトラス体であり、図4に示すように直角三角形の底辺部分の両角部には係合用の輪体17を設け、この輪体17を介して支柱5に回転可能に係合させる。
【0027】
一方支柱5には、アーム12の輪体17への回転止めボルト18を設けるものとする。
【0028】
巻き取り式命綱による安全ブロック衝撃緩衝装置13は、ワイヤー又はベルト等からなる命綱13aを、ケース13b内に回転自在に設けられた図示しないボビンに巻き取ったものである。ボビンには、ケース13b内に設けられた図示しない巻き取りバネの弾性力により、命綱13aを巻き取る方向に巻き取り力が付勢されている。このボビンには、図示しない回動自在な転落防止爪が設けられている。巻き取り式命綱(命綱13a)の先端部は、作業者に着脱自在に係止される。
【0029】
自重については、一例であるが、
アーム12 20kgf
支柱5 52kgf
支柱サヤ管11 18kgf
土台板10 785kgf
計 875kgf
とした。
【0030】
次に設置方法を図5図8に基づいて説明する。まず、図5に示すように、土台板10に支柱サヤ管11をボルト固定する。土台板10はトラックの荷台下の地面に敷設されるが、必ずしも車輪で踏む必要はないが、踏んでも支障はない。
【0031】
図6に示すように、ユニック車等クレーンにて支柱5をアーム12付きで吊上げる。図中19は吊上げのためのワイヤー、20はクレーンフックに係合させるシャックルである。
【0032】
図7に示すように、支柱サヤ管11に支柱5下端を差し入れて、適宜回して位置を整え、締め付けボルト16で固定する。
【0033】
ワイヤー19に沿ってクレーンを下げ、ワイヤー19から外すと図8に示すように設置は完了する。
【0034】
次に使用法を説明すると、作業者が、荷台1に積載された上でその積載物の並び替え作業等を行う場合に巻き取り式命綱による安全ブロック衝撃緩衝装置13から繰り出される命綱13aの先端は身体、例えば、安全ベルトに結着させて作業を行う。
【0035】
積載物から誤って転落しそうになった場合は、ケース13bから命綱13aが急激に引き出されてボビンが急回転し、その急回転による遠心力によって転落防止爪が外側に開く。開いた転落防止爪は、ケース13b内に設けられた図示しないストッパと当接する。これにより、ボビンの回転が阻止され、命綱13aのそれ以上の繰り出しが阻止されるので、作業者の転落を防止することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 荷台
3 トラック(車両)
3a 前輪
3b 後輪
4 作業員転落防止設備
5 支柱
5e 平板
6 親綱
7 あおり
8 固定装置
9 くさり(索条)
10 土台板
11 支柱サヤ管
12 アーム
13 安全ブロック衝撃緩衝装置
13a 命綱
13b ケース
14 フランジ
16 支柱締付けボルト
17 輪体
18 回転止めボルト
19 ワイヤー
20 シャックル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11