(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2ラッチは、前記第1データ信号を、その最上位ビットから最下位ビットまで、若しくは、その最下位ビットから最上位ビットまで、順次ラッチすることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のソースドライバ。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<表示装置>
図1は、表示装置の全体構成を示すブロック図である。本構成例の表示装置1は、パネル駆動装置100と、表示パネル200と、ホストコントローラ300と、を有する。
【0027】
パネル駆動装置100は、ホストコントローラ300から入力される画像データ(=階調データ)や制御コマンドに基づいて表示パネル200の駆動制御を行う。
【0028】
表示パネル200は、液晶素子や有機EL[electro-luminescence]素子などを画素として用いた映像出力手段であり、パネル駆動装置100により駆動される。
【0029】
ホストコントローラ300は、表示装置1の動作を統括的に制御する主体であり、例えば、パネル駆動装置100に画像データや制御コマンドを送出する。ホストコントローラ300としては、MPU[micro processing unit]などを好適に用いることができる。
【0030】
<パネル駆動装置>
引き続き、
図1を参照しながら、パネル駆動装置100について詳述する。パネル駆動装置100は、インタフェイス110、タイミングコントローラ120、ソースドライバ130、ゲートドライバ140、並びに、コマンドレジスタ150などを集積化して成る半導体集積回路装置(いわゆるドライバIC)である。
【0031】
インタフェイス110は、ホストコントローラ300との間でシリアル通信を行うためのフロントエンドであり、例えば、画像データや制御コマンドなどの入力を受け付ける。
【0032】
タイミングコントローラ120は、コマンドレジスタ150に格納された制御コマンドに基づいて、各種のデータ処理(画像データの並べ替え処理など)を行ったり、各種のタイミング制御(ソースドライバ130の水平同期制御やゲートドライバ140の垂直同期制御など)を行ったりする。
【0033】
ソースドライバ130は、タイミングコントローラ120から入力される画像データ、水平同期信号、並びに、クロック信号に基づいて、N列(ただしN≧2)のソース信号S(1)〜S(N)を出力する。なお、表示パネル200がアクティブマトリクス型の液晶表示パネルである場合、ソース信号S(1)〜S(N)は、それぞれ、各列の液晶素子に接続されたアクティブ素子(例えばTFT[thin film transistor])のソース端子に供給される。
【0034】
ゲートドライバ140は、タイミングコントローラ120から入力される垂直同期信号に基づいて、M行(ただしM≧2)のゲート信号G(1)〜G(M)を出力する。なお、表示パネル200がアクティブマトリクス型の液晶表示パネルである場合、ゲート信号G(1)〜G(M)は、それぞれ、各行の液晶素子に接続されたアクティブ素子(例えばTFT)のゲート端子に供給される。
【0035】
コマンドレジスタ150は、ホストコントローラ300からインタフェイス110を介して入力された制御コマンドを格納する。
【0036】
なお、パネル駆動装置100には、上記した回路ブロック110〜150以外にも、DC/DCコンバータ、チャージポンプ、コモン電圧生成部、及び、ガンマ電圧生成部など(いずれも不図示)が集積化されている。ただし、これらの回路ブロックについては、周知の技術を適用すれば足りるので、詳細な説明を割愛する。
【0037】
<ソースドライバ(基本構成)>
引き続き、
図1を参照しながら、ソースドライバ130について詳述する。本構成例のソースドライバ130は、第1ラッチ131(*)と、第2ラッチ132(*)と、DAC133(*)と、アンプ134(*)と、を含む(ただし*=1、2、…、Nであり、図中では各ブロックの左上部に付記、以下も同様)。
【0038】
第1ラッチ131(*)は、タイミングコントローラ120を介して入力されるxビット(例えばx=8)の画像データD0(*)をラッチすることにより、xビットの第1データ信号D1(*)を出力する。
【0039】
第2ラッチ132(*)は、xビットの第1データ信号D1(*)をラッチすることにより、xビットの第2データ信号D2(*)を出力する。
【0040】
DAC133(*)は、xビットの第2データ信号D2(*)を2
x階調(例えば256階調)のアナログ信号A(*)に変換する。
【0041】
アンプ134(*)は、アナログ信号A(*)の入力を受けてソース信号S(*)を出力する。
【0042】
<ソースドライバ(第1基本動作)>
図2は、ソースドライバ130の第1基本動作(一斉ラッチ動作)を示すタイミングチャートであり、上から順に、水平同期信号HS、第1クロック信号CLK1(1)〜CLK1(N)、第1ラッチ格納データ、データイネーブル信号DE、及び、第2クロック信号CLK2が描写されている。
【0043】
水平同期信号HSは、1水平期間を指定するための信号である。第1クロック信号CLK1(1)〜CLK1(N)は、それぞれ、第1ラッチ131(1)〜131(N)のラッチタイミングを順次指定するための信号である。データイネーブル信号DEは、第1ラッチ131(1)〜131(N)に1水平期間内の画像データが全て格納されたことを示す信号である。第2クロック信号CLK2は、第2ラッチ132(1)〜132(N)のラッチタイミングを一括指定するための信号である。
【0044】
本図で示したように、1水平期間内にホストコントローラ300から転送された画像データは、タイミングコントローラ120での並べ替え処理などを経て、第1ラッチ131(1)〜131(N)に順次格納される。そして、1水平期間内の画像データが全て第1ラッチ131(1)〜131(N)に格納された後、その格納データが第2ラッチ132(1)〜132(N)へと移されて、第1ラッチ131(1)〜131(N)は、次の水平期間における画像データの入力待機状態となる。
【0045】
このとき、第1ラッチ131(1)〜131(N)から第2ラッチ132(1)〜132(N)へのデータ転送は、第2クロック信号CLK2に同期して、N列全てで一斉に実施される。そのため、画像データによっては、第2データ信号D2(1)〜D2(N)全ての階調値が一斉に変化することになる。
【0046】
例えば、1つ前の水平期間に第2ラッチ132(1)〜132(N)で格納された第2データ信号D2(1)〜D2(N)の階調値が全て「00h」(全ビット”0(L)”)であり、次の水平期間に第1ラッチ131(1)〜132(N)から転送されてくる第1データ信号D1(1)〜D1(N)の階調値が全て「FFh」(全ビット”1(H)”)である場合、第2データ信号D2(1)〜D2(N)の階調値は、いずれも「00h」から「FFh」へと一斉に変化する。
【0047】
そのため、何らかの対策を講じない限り、ソース信号S(1)〜S(N)の階調値が一斉に変化するので、EMIのピークが高くなってしまう。
【0048】
以下では、第2ラッチ132(1)〜132(N)によるラッチ動作に着目し、EMIのピークが生じる原因とその解決策について説明する。
【0049】
<比較例(=従前のラッチ動作に相当)>
図3は、第2ラッチ132(*)によるラッチ動作の第1比較例を示す図であり、具体的に述べると、第2データ信号D2(*)を「00h」から「FFh」に書き換える際、第2クロック信号CLK2の1クロックに同期して第1データ信号D1(*)を全ビット同時にラッチした場合におけるソース信号S(*)の出力波形が示されている。本図で示したように、第1比較例のラッチ動作では、ソース信号S(*)の階調値が「0d」から「255d」まで急峻に立ち上がる。
【0050】
図4は、第2ラッチ132(*)によるラッチ動作の第2比較例を示す図であり、具体的に述べると、第2データ信号D2(*)を「FFh」から「00h」に書き換える際、第2クロック信号CLK2の1クロックに同期して第1データ信号D1(*)を全ビット同時にラッチした場合におけるソース信号S(*)の出力波形が示されている。本図で示したように、第2比較例のラッチ動作では、ソース信号S(*)の階調値が「255d」から「0d」まで急峻に立ち下がる。
【0051】
このように、第1比較例ないし第2比較例のラッチ動作では、第2クロック信号CLK2の1クロックに同期してソース信号S(*)が初期値から最終値まで急峻に変動する。そのため、第1ラッチ131(1)〜131(N)から第2ラッチ132(1)〜132(N)へのデータ転送を全列一斉に実施すると、ソース信号S(1)〜S(N)の階調値が一斉かつ急峻に変化するので、EMIのピークが高くなってしまう。
【0052】
なお、アンプ134(*)の出力能力を落として、ソース信号S(*)のスルーレートを引き下げれば、ソース信号S(*)の立上り/立下りが緩やかになるので、EMIのピーク低減にも寄与し得る。しかしながら、アンプ134(*)の出力調整幅は、さほど大きくないので、ソース信号S(*)のスルーレートを広範囲に変化させることは難しい。
【0053】
次に、EMIのピークを低減するために、第2ラッチ132(1)〜132(N)で採用されている新規なラッチ動作について詳細に説明する。
【0054】
<ソースドライバ(要部構成)>
図5は、ソースドライバ130の要部構成を示すブロック図(=
図1の破線枠αの拡大図に相当)である。なお、本図では、ソースドライバ130を形成する構成要素のうち、第1列目の構成要素(第1ラッチ131(1)、第2ラッチ132(1)、DAC133(1)、及び、アンプ134(1))のみを描写したが、第2列目〜第N列目の構成要素についても、第1列目のそれと同様である。そのため、重複した説明は割愛する。
【0055】
本図で示したように、第1ラッチ131(1)は、第1データ信号D1(1)として、8ビット(Bit0〜Bit7)をそれぞれ格納することができる。同様に、第2ラッチ132(1)は、第2データ信号D2(1)として、8ビット(Bit0〜Bit7)をそれぞれ格納することができる。
【0056】
ここで、従前のラッチ動作(先の第1比較例または第2比較例を参照)では、第1データ信号D1(1)の全ビットが同時にラッチされていた。一方、新規なラッチ動作では、第1データ信号D1(1)がビット単位で複数回に分けてラッチされる。以下では、このようなラッチ動作について、種々の実施例を挙げながら詳述する。
【0057】
<第1実施例>
図6と
図7は、それぞれ、第2ラッチ132(*)によるラッチ動作の第1実施例を示す図であり、具体的に述べると、第2データ信号D2(*)を「00h」から「FFh」に書き換える際、第2クロック信号CLK2の1クロック毎に第1データ信号D1(*)を1ビットずつ、最上位ビット(以下、MSB[most significant bit]と呼ぶ)から最下位ビット(以下、LSB[least significant bit]と呼ぶ)まで順次ラッチしていく場合における、第2データ信号D2(*)の階調値(2進数、16進数、10進数)、及び、ソース信号S(*)の出力波形が示されている。なお、
図7では、第2クロック信号CLK2が各ビット毎(Bit7〜Bit0)に分配された様子が描写されている。
【0058】
各図で示したように、第1実施例のラッチ動作において、第2データ信号D2(*)の階調値は、「00000000b(00h)」を初期値として、第2クロック信号CLK2の1クロック毎に、「10000000b(80h)」→「11000000b(C0h)」→「11100000b(E0h)」→「11110000b(F0h)」→「11111000b(F8h)」→「11111100b(FCh)」→「11111110b(FEh)」→「11111111b(FFh)」と変化していき、これに伴って、ソース信号S(*)の階調値は、「0d」を初期値として、「128d」→「192d」→「224d」→「240d」→「248d」→「252d」→「254d」→「255d」と変化していく。
【0059】
このように、第1実施例のラッチ動作では、従前のラッチ動作(先の第1比較例または第2比較例を参照)と異なり、第2ラッチ132(*)による第1データD1(*)のラッチタイミングがビット毎にずらされている。その結果、ソース信号S(*)の階調値を段階的(分散的)に変化させることができるので、ソース信号S(*)のスルーレートを引き下げることが可能となり、延いては、EMIのピークを低減することが可能となる。
【0060】
なお、第1実施例のラッチ動作では、ソース信号S(*)のセトリング時間T1を第2クロック信号CLK2の8周期程度に設定することができる。このようなセトリング時間T1をアンプ134(*)の出力調整によって設定することは困難である。
【0061】
<第2実施例>
図8と
図9は、それぞれ、第2ラッチ132(*)によるラッチ動作の第2実施例を示す図であり、具体的に述べると、第2データ信号D2(*)を「00h」から「FFh」に書き換える際、第2クロック信号CLK2の1クロック毎に第1データ信号D1(*)を1ビットずつ、LSBからMSBまで順次ラッチしていく場合における、第2データ信号D2(*)の階調値(2進数、16進数、10進数)、及び、ソース信号S(*)の出力波形が示されている。なお、
図9では、第2クロック信号CLK2が各ビット毎(Bit7〜Bit0)に分配された様子が描写されている。
【0062】
各図で示したように、第2実施例のラッチ動作において、第2データ信号D2(*)の階調値は、「00000000b(00h)」を初期値として、第2クロック信号CLK2の1クロック毎に、「00000001b(01h)」→「00000011b(03h)」→「00000111b(07h)」→「00001111b(0Fh)」→「00011111b(1Fh)」→「00111111b(3Fh)」→「01111111b(7Fh)」→「11111111b(FFh)」と変化していき、これに伴い、ソース信号S(*)の階調値は、「0d」を初期値として、「1d」→「3d」→「7d」→「15d」→「31d」→「63d」→「127d」→「255d」と変化していく。
【0063】
このように、第2実施例のラッチ動作でも、先の第1実施例と同じく、第2ラッチ132(*)による第1データD1(*)のラッチタイミングがビット毎にずらされている。その結果、ソース信号S(*)の階調値を段階的(分散的)に変化させることができるので、ソース信号S(*)のスルーレートを引き下げることが可能となり、延いては、EMIのピークを低減することが可能となる。
【0064】
なお、第2実施例のラッチ動作では、先の第1実施例と同じく、ソース信号S(*)のセトリング時間T2を第2クロック信号CLK2の8周期程度に設定することができる。このようなセトリング時間T2をアンプ134(*)の出力調整によって設定することは困難である。
【0065】
<第3実施例>
図10と
図11は、それぞれ、第2ラッチ132(*)によるラッチ動作の第3実施例を示す図であり、具体的に述べると、第2データ信号D2(*)を「FFh」から「00h」に書き換える際、第2クロック信号CLK2の1クロック毎に、第1データ信号D1(*)を1ビットずつLSBからMSBまで順次ラッチしていく場合における、第2データ信号D2(*)の階調値(2進数、16進数、10進数)、及び、ソース信号S(*)の出力波形が示されている。なお、
図11では、第2クロック信号CLK2が各ビット毎(Bit7〜Bit0)に分配された様子が描写されている。
【0066】
各図で示したように、第3実施例のラッチ動作において、第2データ信号D2(*)の階調値は、「11111111b(FFh)」を初期値として、第2クロック信号CLK2の1クロック毎に、「11111110b(FEh)」→「11111100b(FCh)」→「11111000b(F8h)」→「11110000b(F0h)」→「11100000b(E0h)」→「11000000b(C0h)」→「10000000b(80h)」→「00000000b(00h)」と変化していき、これに伴って、ソース信号S(*)の階調値は、「255d」を初期値として、「254d」→「252d」→「248d」→「240d」→「224d」→「192d」→「128d」→「0d」と変化していく。
【0067】
このように、第3実施例のラッチ動作でも、先の第1実施例や第2実施例と同じく、第2ラッチ132(*)による第1データD1(*)のラッチタイミングがビット毎にずらされている。その結果、ソース信号S(*)の階調値を段階的(分散的)に変化させることができるので、ソース信号S(*)のスルーレートを引き下げることが可能となり、延いては、EMIのピークを低減することが可能となる。
【0068】
なお、第3実施例のラッチ動作では、先の第1実施例や第2実施例と同じく、ソース信号S(*)のセトリング時間T3を第2クロック信号CLK2の8周期程度に設定することができる。このようなセトリング時間T3をアンプ134(*)の出力調整によって設定することは困難である。
【0069】
<第4実施例>
図12及び
図13は、それぞれ、第2ラッチ132(*)によるラッチ動作の第4実施例を示す図であり、具体的に述べると、第2データ信号D2(*)を「FFh」から「00h」に書き換える際、第2クロック信号CLK2の1クロック毎に第1データ信号D1(*)を1ビットずつMSBからLSBまで順次ラッチしていく場合における、第2データ信号D2(*)の階調値(2進数、16進数、10進数)、及び、ソース信号S(*)の出力波形が示されている。なお、
図13では、第2クロック信号CLK2が各ビット毎(Bit7〜Bit0)に分配された様子が描写されている。
【0070】
各図で示したように、第4実施例のラッチ動作において、第2データ信号D2(*)の階調値は、「11111111b(FFh)」を初期値として、第2クロック信号CLK2の1クロック毎に、「01111111b(7Fh)」→「00111111b(3Fh)」→「00011111b(1Fh)」→「00001111b(0Fh)」→「00000111b(07h)」→「00000011b(03h)」→「00000001b(01h)」→「00000000b(00h)」と変化していき、これに伴い、ソース信号S(*)の階調値は、「255d」を初期値として、「127d」→「63d」→「31d」→「15d」→「7d」→「3d」→「1d」→「0d」と変化していく。
【0071】
このように、第4実施例のラッチ動作でも、先の第1実施例〜第3実施例と同じく、第2ラッチ132(*)による第1データD1(*)のラッチタイミングがビット毎にずらされている。その結果、ソース信号S(*)の階調値を段階的(分散的)に変化させることができるので、ソース信号S(*)のスルーレートを引き下げることが可能となり、延いては、EMIのピークを低減することが可能となる。
【0072】
なお、第4実施例のラッチ動作では、先の第1実施例〜第3実施例と同じく、ソース信号S(*)のセトリング時間T4を第2クロック信号CLK2の8周期程度に設定することができる。このようなセトリング時間T4をアンプ134(*)の出力調整によって設定することは困難である。
【0073】
<第5実施例>
図14及び
図15は、それぞれ、第2ラッチ132(*)によるラッチ動作の第5実施例を示す図であり、具体的に述べると、第2データ信号D2(*)を「00h」から「FFh」に書き換える際、第2クロック信号CLK2の2クロック毎に第1データ信号D1(*)を1ビットずつMSBからLSBまで順次ラッチしていく場合における、第2データ信号D2(*)の階調値(2進数、16進数、10進数)、及び、ソース信号S(*)の出力波形が示されている。
【0074】
各図で示したように、第5実施例のラッチ動作において、第2データ信号D2(*)の階調値は、「00000000b(00h)」を初期値として、第2クロック信号CLK2の2クロック毎に、「10000000b(80h)」→「11000000b(C0h)」→「11100000b(E0h)」→「11110000b(F0h)」→「11111000b(F8h)」→「11111100b(FCh)」→「11111110b(FEh)」→「11111111b(FFh)」と変化していき、これに伴って、ソース信号S(*)の階調値は、「0d」を初期値として、「128d」→「192d」→「224d」→「240d」→「248d」→「252d」→「254d」→「255d」と変化していく。
【0075】
このように、第5実施例のラッチ動作では、先の第1実施例(
図6及び
図7を参照)と比べて、ソース信号S(*)の階調値をより緩やかに変化させることができる。従って、ソース信号S(*)のセトリング時間に余裕がある場合には、第5実施例のラッチ動作を採用することにより、ソース信号S(*)のスルーレートをさらに引き下げることが可能となり、延いては、EMIのピークを一層低減することが可能となる。
【0076】
なお、第5実施例のラッチ動作では、ソース信号S(*)のセトリング時間T5を第2クロック信号CLK2の16周期程度(=第1実施例のラッチ動作におけるセトリング時間T1の約2倍)に設定することができる。このようなセトリング時間T5をアンプ134(*)の出力調整によって設定することは極めて困難である。
【0077】
<第6実施例>
図16及び
図17は、それぞれ、第2ラッチ132(*)によるラッチ動作の第6実施例を示す図であり、具体的に述べると、第2データ信号D2(*)を「00h」から「FFh」に書き換える際、第2クロック信号CLK2の2クロック毎に第1データ信号D1(*)を1ビットずつLSBからMSBまで順次ラッチしていく場合における、第2データ信号D2(*)の階調値(2進数、16進数、10進数)、及び、ソース信号S(*)の出力波形が示されている。
【0078】
各図で示したように、第6実施例のラッチ動作において、第2データ信号D2(*)の階調値は、「00000000b(00h)」を初期値として、第2クロック信号CLK2の2クロック毎に、「00000001b(01h)」→「00000011b(03h)」→「00000111b(07h)」→「00001111b(0Fh)」→「00011111b(1Fh)」→「00111111b(3Fh)」→「01111111b(7Fh)」→「11111111b(FFh)」と変化していき、これに伴い、ソース信号S(*)の階調値は、「0d」を初期値として、「1d」→「3d」→「7d」→「15d」→「31d」→「63d」→「127d」→「255d」と変化していく。
【0079】
このように、第6実施例のラッチ動作では、先の第2実施例(
図8及び
図9を参照)と比べて、ソース信号S(*)の階調値をより緩やかに変化させることができる。従って、ソース信号S(*)のセトリング時間に余裕がある場合には、第6実施例のラッチ動作を採用することにより、ソース信号S(*)のスルーレートをさらに引き下げることが可能となり、延いては、EMIのピークを一層低減することが可能となる。
【0080】
なお、第6実施例のラッチ動作では、先の第5実施例と同様、ソース信号S(*)のセトリング時間T6を第2クロック信号CLK2の16周期程度(=第2実施例のラッチ動作におけるセトリング時間T2の約2倍)に設定することができる。このようなセトリング時間T6をアンプ134(*)の出力調整により設定することは極めて困難である。
【0081】
また、第5実施例ないし第6実施例のラッチ動作では、第2クロック信号CLK2が2クロック入力される毎に、第1データ信号D1(*)を1ビットずつラッチする構成を例に挙げたが、ソース信号S(*)のスルーレートをさらに引き下げる必要があれば、第2クロック信号CLK2が3クロック(またはそれ以上の複数クロック)入力される毎に、第1データ信号D1(*)を1ビットずつラッチする構成としても構わない。
【0082】
<第7実施例>
図18及び
図19は、それぞれ、第2ラッチ132(*)によるラッチ動作の第7実施例を示す図であり、具体的に述べると、第2データ信号D2(*)を「00h」から「FFh」に書き換える際、第2クロック信号CLK2の1クロック毎に第1データ信号D1(*)を2ビットずつMSBからLSBまで順次ラッチしていく場合における、第2データ信号D2(*)の階調値(2進数、16進数、10進数)、及び、ソース信号S(*)の出力波形が示されている。
【0083】
各図で示したように、第7実施例のラッチ動作において、第2データ信号D2(*)の階調値は、「00000000b(00h)」を初期値として、第2クロック信号CLK2の1クロック毎に、「11000000b(C0h)」→「11110000b(F0h)」→「11111100b(FCh)」→「11111111b(FFh)」と変化していき、これに伴い、ソース信号S(*)の階調値は、「0d」を初期値として、「192d」→「240d」→「252d」→「255d」と変化していく。
【0084】
このように、第7実施例のラッチ動作では、先の第1実施例(
図6及び
図7を参照)と比べて、ソース信号S(*)の階調値をより急峻に変化させることができる。従って、ソース信号S(*)のセトリング時間に余裕がない場合には、第7実施例のラッチ動作を採用することにより、ソース信号S(*)のスルーレートをその許容範囲内で引き下げることができるので、EMIのピークを適切に低減することが可能となる。
【0085】
なお、第7実施例のラッチ動作であれば、ソース信号S(*)のセトリング時間T7を第2クロック信号CLK2の4周期程度(=第1実施例のラッチ動作におけるセトリング時間T1の約1/2倍)に設定することができる。
【0086】
<第8実施例>
図20及び
図21は、それぞれ、第2ラッチ132(*)によるラッチ動作の第8実施例を示す図であり、具体的に述べると、第2データ信号D2(*)を「00h」から「FFh」に書き換える際、第2クロック信号CLK2の1クロック毎に第1データ信号D1(*)を2ビットずつLSBからMSBまで順次ラッチしていく場合における、第2データ信号D2(*)の階調値(2進数、16進数、10進数)、及び、ソース信号S(*)の出力波形が示されている。
【0087】
各図で示したように、第8実施例のラッチ動作において、第2データ信号D2(*)の階調値は、「00000000b(00h)」を初期値として、第2クロック信号CLK2の2クロック毎に、「00000011b(03h)」→「00001111b(0Fh)」→「00111111b(3Fh)」→「11111111b(FFh)」と変化していき、これに伴い、ソース信号S(*)の階調値は、「0d」を初期値として、「3d」→「15d」→「63d」→「255d」と変化していく。
【0088】
このように、第8実施例のラッチ動作では、先の第2実施例(
図8及び
図9を参照)と比べて、ソース信号S(*)の階調値をより急峻に変化させることができる。従って、ソース信号S(*)のセトリング時間に余裕がない場合には、第8実施例のラッチ動作を採用することにより、ソース信号S(*)のスルーレートをその許容範囲内で引き下げることができるので、EMIのピークを適切に低減することが可能となる。
【0089】
なお、第8実施例のラッチ動作であれば、先の第7実施例と同様、ソース信号S(*)のセトリング時間T8を第2クロック信号CLK2の4周期程度(=第2実施例のラッチ動作におけるセトリング時間T2の約1/2倍)に設定することができる。
【0090】
また、第7実施例ないし第8実施例のラッチ動作では、第2クロック信号CLK2が1クロック入力される毎に、第1データ信号D1(*)を2ビットずつラッチする構成を例に挙げたが、ソース信号S(*)のスルーレートをさらに引き上げる必要があれば、第2クロック信号CLK2が1クロック入力される毎に、第1データ信号D1(*)を3ビット(またはそれ以上の複数ビット)ずつラッチする構成としても構わない。
【0091】
<第9実施例>
図22と
図23は、それぞれ、第2ラッチ132(*)によるラッチ動作の第9実施例を示す図であり、具体的に述べると、第2データ信号D2(*)を「00h」から「FFh」に書き換える際、第2クロック信号CLK2の1クロック毎に、第1データ信号D1(*)の各ビットのうち、未ラッチの最上位ビットと最下位ビットを同時に2ビットずつラッチしていく場合における、第2データ信号D2(*)の階調値(2進数、16進数、10進数)、及び、ソース信号S(*)の出力波形が示されている。
【0092】
各図で示したように、第9実施例のラッチ動作において、第2データ信号D2(*)の階調値は、「00000000b(00h)」を初期値として、第2クロック信号CLK2の1クロック毎に、「10000001b(81h)」→「11000011b(C3h)」→「11100111b(E7h)」→「11111111b(FFh)」と変化していき、これに伴い、ソース信号S(*)の階調値は、「0d」を初期値として、「129d」→「195d」→「231d」→「255d」と変化していく。
【0093】
このように、第9実施例のラッチ動作では、未ラッチの最上位ビットと最下位ビットとの組み合わせ(より具体的には、Bit7+Bit0、Bit6+Bit1、Bit5+Bit2、Bit4+Bit3)が順次ラッチされていく。従って、ソース信号S(*)の階調値が殆ど変化しない期間(=下位ビットが単独でラッチされる期間)をなくすことができるので、1クロック当たりの階調値変化量のばらつきを緩和することができる。
【0094】
なお、第9実施例のラッチ動作では、先の第7実施例や第8実施例と同じく、ソース信号S(*)のセトリング時間T9を第2クロック信号CLK2の4周期程度に設定することができる。従って、ソース信号S(*)のセトリング時間に余裕がない場合であってもソース信号S(*)のスルーレートをその許容範囲内で引き下げることにより、EMIのピークを適切に低減することが可能となる。
【0095】
<第10実施例>
図24及び
図25は、それぞれ、第2ラッチ132(*)によるラッチ動作の第10実施例を示す図であり、より具体的に述べると、第2データ信号D2(*)を「00h」から「FFh」に書き換える際、第1データ信号D1(*)の上位2ビットについては、第2クロック信号CLK2の1クロック毎に1ビットずつラッチしていく一方、第1データ信号D1(*)の下位6ビットについては、3ビットずつラッチしていく場合における、第2データ信号D2(*)の階調値(2進数、16進数、10進数)、及び、ソース信号S(*)の出力波形が示されている。
【0096】
各図で示したように、第10実施例のラッチ動作において、第2データ信号D2(*)の階調値は、「00000000b(00h)」を初期値として、第2クロック信号CLK2の1クロック毎に、「10000000b(80h)」→「11000000b(C0h)」→「11111000b(F8h)」→「11111111b(FFh)」と変化していき、これに伴って、ソース信号S(*)の階調値は、「0d」を初期値として、「128d」→「192d」→「248d」→「255d」と変化していく。
【0097】
このように、第10実施例のラッチ動作では、第1データ信号D1(*)の各ビットのうち、下位のものほど同時ラッチ数が増やされている。従って、先の第9実施例と同様、ソース信号S(*)の階調値が殆ど変化しない期間(=下位ビットが単独でラッチされる期間)をなくすことができるので、1クロック当たりの階調値変化量のばらつきを緩和することができる。
【0098】
なお、第10実施例のラッチ動作では、先の第7実施例〜第9実施例と同じく、ソース信号S(*)のセトリング時間T10を第2クロック信号CLK2の4周期程度に設定することができる。従って、ソース信号S(*)のセトリング時間に余裕がない場合であっても、ソース信号S(*)のスルーレートをその許容範囲内で引き下げることにより、EMIのピークを適切に低減することが可能となる。
【0099】
<ラッチ動作の変形例>
なお、これまでに説明してきた種々の実施例では、第2ラッチ132(*)によるラッチ動作として、1クロック毎に1ビットずつ、または、複数クロック毎に1ビットずつ、或いは、1クロック毎に複数ビットずつ、第1データ信号D1(*)をビット単位でラッチする構成を例に挙げたが、その技術的思想をさらに拡張し、第1データ信号D1(*)を複数クロック毎に複数ビットずつ(例えば2クロック毎に3ビットずつ)ラッチしてもよいことは、これ以上の実施例を挙げなくても、容易に理解されるところである。
【0100】
また、これまでに説明してきた種々の実施例は、それぞれの動作に矛盾が生じない範囲で任意に組み合わせることができる。例えば、第2ラッチ132(*)により第1データD1(*)をラッチするラッチ動作期間のうち、前半は第1実施例のラッチ動作(MSB→LSB)を行い、後半は第2実施例のラッチ動作(LSB→MSB)を行ってもよい。また、例えば、第2ラッチ132(*)のラッチ動作期間を第1期間〜第3期間に3分割し、第1期間では第1実施例のラッチ動作(1クロック1ビット)を行い、第2期間では第5実施例のラッチ動作(2クロック1ビット)を行い、第3期間では第7実施例のラッチ動作(1クロック2ビット)を行うこともできる。
【0101】
このようなラッチ動作の実施例や変形例を鑑みると、第2ラッチ132(*)は、第1データ信号D1(*)をビット単位で複数回に分けてラッチすることにより、第2データ信号D2(*)を出力する構成でありさえすればよく、そのラッチ動作期間におけるビット遷移の組み合わせについては、自由に決めても構わないことが分かる。
【0102】
例えば、第10実施例のラッチ動作には、1つ目のクロックに同期して最上位ビットのみをラッチし、2つ目のクロックに同期して残り全てのビットをラッチすることにより、第1データ信号D1(*)を2回に分けてラッチする動作も含まれている。
【0103】
また、例えば、第10実施例のラッチ動作では、第1データ信号D1(*)の各ビットのうち、下位のものほど同時ラッチ数を増やす構成としたが、これとは反対に、上位のものほど同時ラッチ数を増やす構成についても、これを本発明の権利範囲から意識的に除外するものではない。
【0104】
<設定切替制御>
図26は、第2ラッチ132(*)によるラッチ動作の設定切替制御の一例を示す図であり、本図では、第5実施例のラッチ動作によるソース出力波形を設定Aとし、第6実施例のラッチ動作によるソース出力波形を設定Bとして、それぞれのソース出力波形が重畳的に描写されている。
【0105】
本図から明らかなように、第2ラッチ132(*)によるラッチ動作の設定が違えば、当然ながら、ソース出力波形も相違したものとなる。従って、例えば、N列の第2ラッチ132(1)〜132(N)について、隣り合う列同士で設定Aと設定Bを交互に用いたり、或いは、所定期間(例えば水平期間または垂直期間)毎に設定Aと設定Bを交互に切り替えたりすれば、EMIの周波数成分を拡散することができるので、そのピークをさらに低減することが可能となる。
【0106】
<ソースドライバ(第2基本動作)>
図27は、ソースドライバ130の第2基本動作(時分割ラッチ動作)を示すタイミングチャートであり、上から順に、水平同期信号HS、第1クロック信号CLK1(1)〜CLK1(N)、第1ラッチ格納データ、データイネーブル信号DE、及び、第2クロック信号CLK2(1)〜CLK2(K)が描写されている。
【0107】
先出の第1基本動作(
図2)では、第2クロック信号CLK2に同期して、第2ラッチ132(1)〜132(N)のラッチ動作が全列一斉に開始されていた。これに対して、第2基本動作を採用したソースドライバ130では、N列の第2ラッチ132(1)〜132(N)がK組(ただしK≧2)に分けられており、第2クロック信号CLK2(1)〜CLK2(K)に同期して、各組毎のラッチ動作がタイミングをずらして開始される。
【0108】
例えば、第2ラッチ132(1)〜132(N)のうち、第1列目〜第120列目は、第2クロック信号CLK2(1)に同期してラッチ動作を開始し、第121列目〜第240列目は、第2クロック信号CLK2(2)に同期してラッチ動作を開始する。以降の列も同様であり、第(N−199)列目〜第N列目は、第2クロック信号CLK2(K)に同期してラッチ動作を開始する。
【0109】
このような時分割ラッチ動作を行えば、ソース信号S(1)〜S(N)のうち、階調値の一斉変化量を1/Kに削減することができるので、EMIのピークをさらに低減することが可能となる。
【0110】
なお、上記の時分割ラッチ動作と併せて、これまでに説明してきたビット単位のラッチ動作(第1〜第10実施例を参照)を適用する場合、各組のラッチ動作期間T(1)〜T(K)は、前後の組同士で分離されていてもよいし(
図28を参照)、或いは、前後の組同士でその一部が重複していてもよい(
図29を参照)。
【0111】
すなわち、1水平期間内の画像データが全て第1ラッチ131(1)〜131(N)に格納されてから、次の水平期間が開始されるまでの間(=水平ブランキング期間内)に、第2ラッチ132(1)〜132(N)のラッチ動作が完了する限り、ラッチ動作期間T(1)〜T(K)の重複や順序について特段の制約はない。
【0112】
<車載ディスプレイ>
これまでに説明してきた表示装置1は、特に車載ディスプレイに適用することが好適である。車載ディスプレイは、例えば、
図30に示した車載ディスプレイX1〜X3のように、車両Xにおける運転席前方のダッシュボードに設けられる。
【0113】
例えば、車載ディスプレイX1は、スピードメータ、タコメータ等を表示するインパネ(instrument panel:ダッシュボードに組み付けられる計器盤)として機能する。車載ディスプレイX2は、燃料計、燃費計、シフトポジション等を表示する。車載ディスプレイX3は、車両の現在位置情報、目的地までの経路情報等を表示するナビゲーション機能を有すると共に、車両後方の撮像画像を表示するバックモニタ機能も有する。
【0114】
このように、昨今の車両には、従来のカーナビゲーション装置に加えて、全面的に液晶表示を行うインパネや、車両後方の画像を表示するバックモニタなどのアプリケーションが搭載されるようになってきており、その解像度も益々高くなってきている。
【0115】
その点、先述の表示装置1であれば、その低EMI化が図られているので、他の車載機器に及ぼす影響を最小限に抑えて、車両の安全運行に寄与することが可能となる。
【0116】
ただし、表示装置1の適用対象はこれに限定されるものではなく、種々のアプリケーション(民生機器、車載機器、ないしは、産業機器など)に適用することが可能である。
【0117】
<その他の変形例>
また、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。