(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6633768
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】扉体ブッシュの固定構造およびドラム式洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/14 20060101AFI20200109BHJP
D06F 37/28 20060101ALI20200109BHJP
【FI】
D06F39/14 Z
D06F37/28
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-537504(P2018-537504)
(86)(22)【出願日】2017年1月20日
(65)【公表番号】特表2019-505296(P2019-505296A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】CN2017071940
(87)【国際公開番号】WO2017125074
(87)【国際公開日】20170727
【審査請求日】2018年7月17日
(31)【優先権主張番号】201610038044.2
(32)【優先日】2016年1月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517417854
【氏名又は名称】青島海爾▲滾▼筒洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER DRUM WASHING MACHINE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳永超
(72)【発明者】
【氏名】朱凱
(72)【発明者】
【氏名】李艶華
(72)【発明者】
【氏名】王艶麗
【審査官】
石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0013007(KR,A)
【文献】
特開2010−273965(JP,A)
【文献】
特開平08−130382(JP,A)
【文献】
実開平05−059885(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 1/00−51/02
D06F 58/00−60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉体外枠(1)と、
扉体外枠(1)と係合する扉体内枠(2)と、
前記扉体外枠(1)と前記扉体内枠(2)の間に設けられる扉体ブッシュ(3)と、
前記扉体外枠(1)と前記扉体内枠(2)との係合した時に対向する両面に設けられる複数のリブと、を備え、
前記複数のリブは、それぞれ前記扉体ブッシュ(3)の軸孔の径方向および軸方向に沿って互いにずれて設けられ、
前記扉体外枠(1)および/または前記扉体内枠(2)におけるリブは、扉体ブッシュ(3)に接触して扉体ブッシュ(3)を挟持し、
前記複数のリブは、前記扉体ブッシュ(3)の軸方向に沿って配置されるA類リブ(4)と、前記扉体ブッシュ(3)の径方向に沿って配置されるB類リブ(5)とを含み、
前記扉体外枠(1)におけるB類リブ(5)は、扉体外枠(1)の隣接するA類リブ(4)同士の間に位置するとともにこのA類リブ(4)に連結され、
前記扉体内枠(2)におけるB類リブ(5)は、扉体内枠(2)の隣接するA類リブ(4)同士の間に位置するとともにこのA類リブ(4)に連結される、
扉体ブッシュの固定構造。
【請求項2】
前記扉体外枠(1)および扉体内枠(2)におけるA類リブ(4)に、軸方向において扉体ブッシュ(3)の外形の一部と合致する挟持部(6)が備えられ、
前記扉体外枠(1)および扉体内枠(2)の隣接するA類リブ(4)同士の挟持部(6)が扉体ブッシュ(3)を支持して挟持し、
前記扉体外枠(1)におけるA類リブ(4)が扉体内枠(2)の隣接するA類リブ(4)同士の隙間に挿入され、
前記扉体内枠(2)におけるA類リブ(4)が扉体外枠(1)の隣接するA類リブ(4)同士の隙間に挿入される、
請求項1に記載の扉体ブッシュの固定構造。
【請求項3】
前記扉体ブッシュ(3)の真上または真下に位置するB類リブ(5)は、前記扉体ブッシュ(3)を接触して挟持する、
請求項1に記載の扉体ブッシュの固定構造。
【請求項4】
前記扉体外枠(1)において前記扉体ブッシュ(3)両側に位置するB類リブ(5)が扉体内枠(2)の隣接するB類リブ(5)同士の隙間に挿入され、
前記扉体内枠(2)において前記扉体ブッシュ(3)両側に位置するB類リブ(5)が扉体外枠(1)の隣接するB類リブ(5)同士の隙間に挿入される、
請求項1に記載の扉体ブッシュの固定構造。
【請求項5】
前記扉体外枠(1)および扉体内枠(2)における前記A類リブ(4)の遊端の端面が面一である、
請求項1に記載の扉体ブッシュの固定構造。
【請求項6】
前記扉体外枠(1)および扉体内枠(2)における前記A類リブ(4)の遊端の端面が面一ではない、
請求項1に記載の扉体ブッシュの固定構造。
【請求項7】
前記扉体外枠(1)と扉体内枠(2)は、係合した後にねじによって固定される、
請求項1に記載の扉体ブッシュの固定構造。
【請求項8】
前記扉体ブッシュ(3)の断面形状は、非円形である、請求項1から7のいずれか1項に記載の扉体ブッシュの固定構造。
【請求項9】
上記請求項1から8のいずれか1項に記載の扉体ブッシュの固定構造によって固定される扉体を備えるドラム式洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、扉体ブッシュの固定技術の分野に関し、例えば扉体ブッシュの固定構造およびドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術におけるドラム式洗濯機は、いずれも一つの扉体が設けられ、扉体とドラム式洗濯機の本体が扉ヒンジによって連結され、槽内の洗濯水が外に漏れることを防止し、使用者がいつでも扉体における覗き窓から槽内の洗濯状況を見ることもできる。ドラム式洗濯機の扉体ブッシュは、扉体内枠および扉体外枠の係合した両面による挟持で直接固定され、安定性が悪く、しっかりと固定できない。頻繁に扉体を開閉すると、扉体外枠および扉体内枠と扉体ブッシュとの間に頻繁に相対回動が発生するため、扉体ブッシュは摩耗されてガタが生じ、これによって扉体が垂下し、扉体の開閉故障を招いてしまう。また、洗濯機の体積増大に伴い、扉体も大きくなり、関連技術における扉体は、強度不足によって垂下ないし脱落を引き起こしやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、内扉体と外枠の間の強度および扉体ブッシュの強固程度を高め、さらにドラム式洗濯機の扉体の安定性を高め、扉体の垂下を回避することができる扉体ブッシュの固定構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施例は、
扉体外枠と、
扉体外枠と係合する扉体内枠と、
前記扉体外枠と前記扉体内枠の間に設けられる扉体ブッシュと、
前記扉体外枠と前記扉体内枠との係合した時に対向する両面に設けられる複数のリブと、を備え、
前記複数のリブは、それぞれ前記扉体ブッシュの軸孔の径方向および軸方向に沿って互いにずれて設けられ、
前記扉体外枠および/または前記扉体内枠におけるリブは、扉体ブッシュに接触して扉体ブッシュを挟持する、扉体ブッシュの固定構造を提供する。
【0005】
オプションとして、前記複数のリブは、前記扉体ブッシュの軸方向に沿って配置されるA類リブと、前記扉体ブッシュの径方向に沿って配置されるB類リブとを含み、前記扉体外枠におけるB類リブは、扉体外枠の隣接するA類リブ同士の間に位置するとともにこのA類リブに連結され、前記扉体内枠におけるB類リブは、扉体内枠の隣接するA類リブ同士の間に位置するとともにこのA類リブに連結される。
【0006】
オプションとして、前記扉体外枠および扉体内枠におけるA類リブに、軸方向において扉体ブッシュの外形の一部と合致する挟持部が備えられ、前記扉体外枠および扉体内枠の隣接するA類リブ同士の挟持部が扉体ブッシュを支持して挟持し、前記扉体外枠におけるA類リブが扉体内枠の隣接するA類リブ同士の隙間に挿入され、前記扉体内枠におけるA類リブが扉体外枠の隣接するA類リブ同士の隙間に挿入される。
【0007】
オプションとして、前記扉体ブッシュの真上または真下に位置するB類リブが、前記扉体ブッシュを接触して挟持する。
【0008】
オプションとして、前記扉体外枠において前記扉体ブッシュ両側に位置するB類リブが扉体内枠の隣接するB類リブの隙間に挿入され、前記扉体内枠において前記扉体ブッシュ両側に位置するB類リブが扉体外枠の隣接するB類リブ同士の隙間に挿入される。
【0009】
オプションとして、前記扉体外枠および扉体内枠における前記A類リブの遊端の端面が面一である。
【0010】
オプションとして、前記扉体外枠および扉体内枠における前記A類リブの遊端の端面が面一ではない。
【0011】
オプションとして、前記扉体外枠と扉体内枠は、係合した後にねじによって固定される。
【0012】
オプションとして、前記扉体ブッシュの断面形状は、非円形である。
【0013】
本開示の実施例は、上記扉体ブッシュの固定構造によって固定される扉体を備えるドラム式洗濯機をさらに提供する。
【発明の効果】
【0014】
本開示の実施例は、扉体外枠と扉体内枠との係合した時に対向する両面に、扉体ブッシュの径方向および軸方向に沿ってそれぞれ複数のリブが互いにずれて設けられ、扉体外枠および扉体内枠におけるリブを相手側のリブ同士の隙間に挿入して扉体ブッシュを固定し、扉体内外枠の間の強度および扉体ブッシュの強固程度を高め、さらに、ドラム式洗濯機扉体の安定性を高め、扉体の垂下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の実施例による扉体ブッシュの固定構造の概念図である。
【
図5】本開示の実施例による挟持部の構造概念図である。
【
図6】本開示の実施例による二つの挟持部の構造概念図である。
【
図7】本開示の実施例による四角形断面の扉体ブッシュの構造概念図である。
【
図8】本開示の実施例によるD字形断面の扉体ブッシュの構造概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいてオプションの実施形態によって本開示の手段を説明する。衝突しない限り、異なる実施例における特徴を任意に組み合わせることができる。
【0017】
本実施例は、
図1から4に示すように、扉体外枠1と、扉体外枠1と係合する扉体内枠2とを備え、前記扉体外枠1と扉体内枠2の間に扉体ブッシュ3が設けられ、前記扉体外枠1と扉体内枠2との係合面に、それぞれ扉体ブッシュ3における軸孔の径方向および軸方向に沿って互いにずれた複数のリブが設けられる扉体ブッシュの固定構造を提供する。オプションとして、前記リブは、前記扉体外枠1と扉体内枠2の間の係合面に垂直であってもよく、前記扉体外枠1および/または扉体内枠2におけるリブは、扉体ブッシュ3に接触して扉体ブッシュ3を挟持する。
【0018】
オプションとして、以下の複数種の態様を含んでもよい。
【0019】
扉体外枠1にリブが設けられ、扉体内枠2にリブが設けられず、扉体外枠1におけるリブおよび扉体内枠2が扉体ブッシュ3に接触して扉体ブッシュ3を挟持する。
【0020】
或いは、扉体外枠1にリブが設けられず、扉体内枠2にリブが設けられ、扉体外枠1および扉体内枠2におけるリブが扉体ブッシュ3に接触して扉体ブッシュ3を挟持する。
【0021】
或いは、扉体外枠1にリブが設けられ、扉体内枠2にリブが設けられ、扉体外枠1におけるリブおよび扉体内枠2におけるリブが扉体ブッシュ3に接触して扉体ブッシュ3を挟持する。
【0022】
本実施例において、前記リブは、前記扉体ブッシュ3の軸方向に沿って配置されるA類リブ4および前記扉体ブッシュ3の径方向に沿って配置されるB類リブ5とを含み、前記扉体外枠1におけるB類リブ5は、扉体外枠1の隣接するA類リブ4同士の間に位置するとともにこのA類リブ4に連結され、前記扉体内枠2におけるB類リブ5は、扉体内枠2の隣接するA類リブ4同士の間に位置するとともにこのA類リブ4に連結される。
【0023】
本実施例において、
図5に示すように、前記扉体外枠1および/または扉体内枠2におけるA類リブ4に、軸方向において扉体ブッシュ3の外形の一部と合致する挟持部6が備えられ、前記扉体外枠1および扉体内枠2の隣接するA類リブ4同士の挟持部6が扉体ブッシュ3を支持して挟持し、前記扉体外枠1におけるA類リブ4が扉体内枠2の隣接するA類リブ4同士の隙間に挿入され、前記扉体内枠2におけるA類リブ4が扉体外枠1の隣接するA類リブ4同士の隙間に挿入される。
【0024】
図3および
図4に示すように、前記扉体外枠1および扉体内枠2におけるA類リブ4が互いにずれて配置され、且つ前記A類リブ4が扉体ブッシュ3における軸孔の軸方向に沿って配置される。扉体内枠2における第4のA類リブ241が扉体外枠1における第1のA類リブ141と第2のA類リブ142の隙間に挿入され、扉体内枠2における第5のA類リブ242が扉体外枠1における第2のA類リブ142と第3のA類リブ143の隙間に挿入される。これと同時に、扉体外枠1における第2のA類リブ142が扉体内枠2における第4のA類リブ241と第5のA類リブ242の隙間に挿入され、扉体外枠1における第3のA類リブ143が扉体内枠2の第5のA類リブ242と第6のA類リブ243の隙間に挿入される。
【0025】
本実施例の前記扉体外枠1におけるA類リブ4と扉体内枠2におけるA類リブ4の遊端の端面の位置関係として、面一である(図では不図示)と面一ではないという2つの関係が存在する。
図4に示すように、本実施例おいて、扉体内枠2における第6のA類リブ243の遊端の端面は、扉体外枠1におけるA類リブの遊端の端面と面一ではなく、且つ第6のA類リブ243が扉体外枠1における第6のA類リブ243に対応する隣接するA類リブ同士の隙間に挿入されていない。扉体内枠2における第4のA類リブ241遊端の端面と扉体外枠1におけるA類リブの遊端の端面も面一ではないが、第4のA類リブ241が第1のA類リブ141と第2のA類リブ142の隙間に挿入される。
図6に示すように、本実施例の前記扉体外枠1におけるA類リブ4と扉体内枠2におけるA類リブ4の遊端の端面は面一でもよく、この態様は図示されていない。
【0026】
本実施例において、前記扉体ブッシュ3の真上または真下のB類リブ5が前記扉体ブッシュ3を接触して挟持し、即ち、扉体ブッシュ3の真上または真下に位置するB類リブ5によって扉体ブッシュ3の外表面を挟持する。
【0027】
前記扉体外枠1の前記扉体ブッシュ3の両側に位置するB類リブ5が扉体内枠2の隣接するB類リブ5同士の隙間に挿入され、前記扉体内枠2の前記扉体ブッシュ3の両側に位置するB類リブ5が扉体外枠1の隣接するB類リブ5同士の隙間に挿入される。即ち、両側に互いに挿入されるB類リブ5によって、扉体ブッシュ3の強固程度および内外枠が係合した後の強固程度を高める。
【0028】
扉体外枠1および扉体内枠2における2種類のリブの結合によって、扉体ブッシュ3を扉体外枠1と扉体内枠2の間に固定し、内扉体外枠の間の強度および扉体ブッシュ3の強固程度を高める。前記扉体外枠1と扉体内枠2は、扉体外枠1と扉体内枠2の間の連結強度を高めるように、係合した後にネジによって固定される。
【0029】
扉体を開閉する過程において、扉体ブッシュ3が扉体外枠1または扉体内枠2と相対回動し得、摩耗が発生して扉体ブッシュ3をしっかりと固定しなくなり、さらに、扉体の安定性に影響を及ぼす。そのため、本実施例では、扉体ブッシュ3と扉体外枠1、扉体内枠2の間の相対回動を制限するように、前記扉体ブッシュ3の断面形状を非円形に設計する。
図7に示すように、本実施例に係る扉体ブッシュ3の断面形状は四角形であってもよい。
図8に示すように、D字形断面の扉体ブッシュも扉体ブッシュ3と扉体外枠1または扉体内枠2との間の相対回動を制限することができるため、D字形断面の扉体ブッシュを採用してもよい。
【0030】
本実施例は、扉体ブッシュ3の固定が上記扉体ブッシュの固定構造によってなされる扉体を備えるドラム式洗濯機をさらに提供する。この固定構造によって扉体ブッシュ3の強固程度および扉体内外枠の間の連結強度を高め、さらに、ドラム式洗濯機扉体の安定性を高め、ドラム式洗濯機の扉体の垂下を防止する。
【0031】
本開示の上記実施例は、本開示を明らかに説明するために例示されたものに過ぎず、本開示の実施形態を限定するものではない。当業者にとって、上記説明に基づき、他の異なる形式の変化または変動をすることができる。ここでは、全ての実施形態を網羅することができず、必要もない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本開示の実施例は、扉体外枠と扉体内枠との係合した時に対向する両面に、扉体ブッシュの径方向および軸方向に沿ってそれぞれ複数のリブが互いにずれて設けられ、扉体外枠および扉体内枠におけるリブを相手側のリブの隙間に挿入して扉体ブッシュを固定し、扉体内外枠の間の強度および扉体ブッシュの強固程度を高め、さらに、ドラム式洗濯機扉体の安定性を高め、扉体に垂下を回避することができる扉体ブッシュの固定構造およびドラム式洗濯機を提供する。
【符号の説明】
【0033】
1 扉体外枠
141 第1のA類リブ
142 第2のA類リブ
143 第3のA類リブ
151 第1のB類リブ
2 扉体内枠
241 第4のA類リブ
242 第5のA類リブ
243 第6のA類リブ
251 第2のB類リブ
3 扉体ブッシュ
4 A類リブ
5 B類リブ
6 挟持部