(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6633769
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】電気油圧式のブレーキ設備のための追加モジュール及びそのような追加モジュールを有するブレーキ設備システム
(51)【国際特許分類】
B60T 8/36 20060101AFI20200109BHJP
B60T 17/18 20060101ALI20200109BHJP
B60T 13/14 20060101ALI20200109BHJP
B60T 13/68 20060101ALI20200109BHJP
B60T 8/17 20060101ALI20200109BHJP
【FI】
B60T8/36
B60T17/18
B60T13/14
B60T13/68
B60T8/17 B
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-543334(P2018-543334)
(86)(22)【出願日】2017年1月20日
(65)【公表番号】特表2019-505438(P2019-505438A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】EP2017051171
(87)【国際公開番号】WO2017144201
(87)【国際公開日】20170831
【審査請求日】2018年8月16日
(31)【優先権主張番号】102016203119.8
(32)【優先日】2016年2月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】399023800
【氏名又は名称】コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(72)【発明者】
【氏名】ディンケル・ディーター
【審査官】
羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/106892(WO,A1)
【文献】
特開2014−227092(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/139983(WO,A1)
【文献】
独国特許出願公開第10023301(DE,A1)
【文献】
特開2015−160464(JP,A)
【文献】
特開2004−338565(JP,A)
【文献】
特開2012−111334(JP,A)
【文献】
特開2014−019243(JP,A)
【文献】
特開2014−213628(JP,A)
【文献】
特開2012−106644(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0203626(US,A1)
【文献】
国際公開第2012/150120(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0151726(US,A1)
【文献】
国際公開第2014/048600(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12−8/1769
B60T 8/32−8/96
B60T 13/00−17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に高度自動運転に用いるための、電気油圧式のブレーキ設備(1)用の追加モジュール(70)であって、少なくとも2つのブレーキ(8,10)における圧力増大のための圧力供給装置(86)を有する油圧ユニット(80)を含んでいる、前記追加モジュールにおいて、
ブレーキフルードのための少なくとも1つのリザーバ(120,130)が前記油圧ユニット(80)に統合されていること、及び前記各リザーバ(120,130)が、大気との接続を形成するために設けられている、油圧的な補整管路(190)に接続されていることを特徴とする追加モジュール。
【請求項2】
前記圧力供給装置(86)が少なくとも1つのポンプ(96,98)を含んでおり、該ポンプが、電気モータ(92)で駆動されるとともに、その吸い込み側が前記各リザーバ(120,130)に油圧的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の追加モジュール(70)。
【請求項3】
ブレーキフルードのためのちょうど2つのリザーバ(120,130)と、ちょうど2つのポンプ(96,98)とが設けられていること、及び前記両ポンプ(96,98)のそれぞれが吸い込み側で吸い込み管路(136,148)によって、ちょうど1つのリザーバ(120,130)に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の追加モジュール(70)。
【請求項4】
両ポンプ(96,98)が共通の電気モータ(92)によって駆動されることを特徴とする請求項3に記載の追加モジュール(70)。
【請求項5】
各ポンプ(96,98)が圧力側でホイールブレーキ供給管路(102,108)に接続されており、該ホイールブレーキ供給管路が、油圧的なホイールブレーキ(8,10)との接続のために設定されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の追加モジュール(70)。
【請求項6】
前記各ホイールブレーキ供給管路(102,108)が、該ホイールブレーキ供給管路(102,108)における圧力を測定する圧力センサ(160,162)に接続されていることを特徴とする請求項5に記載の追加モジュール(70)。
【請求項7】
無通電で閉鎖される弁(142,152)が前記各吸い込み管路(136,148)に介装されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の追加モジュール(70)。
【請求項8】
前記各ホイールブレーキ供給管路(102,108)から油圧的な戻し管路(170,180)が分岐しており、該戻し管路が、それぞれ1つのリザーバ(120,130)に油圧的に接続されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の追加モジュール(70)。
【請求項9】
無通電で閉鎖される戻し弁(176,186)が前記各戻し管路(170,180)に介装されていることを特徴とする請求項8に記載の追加モジュール(70)。
【請求項10】
前記各ポンプ(96,98)が前記各リザーバ(120,130)から下方より吸い込むように構成されていることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の追加モジュール(70)。
【請求項11】
前記油圧ユニット(80)用の油圧ハウジング(76)と、モータハウジング(94)と、電子機器ハウジング(250)とを含んでいることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の追加モジュール(70)。
【請求項12】
前記油圧ハウジング(76)が前記電子機器ハウジング(250)と前記モータハウジング(94)の間に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の追加モジュール(70)。
【請求項13】
特に高度自動運転のための、ブレーキ設備システム(72)であって、
−油圧的に操作可能なホイールブレーキ(8,9,10,11)と、
−車輪個別のブレーキ圧力を調整するために、ホイールブレーキごとに電気的に操作可能な少なくとも1つのホイール弁(6a〜6d,7a〜7d)と、
−前記ホイールブレーキ(8,9,10,11)に接続された、及び/又は接続可能な、マスターブレーキシリンダ(2)と、
−大気圧下にある圧力媒体リザーバ(4)と、
−油圧的な圧力室(37)を有する、前記ホイールブレーキ(8,9,10,11)を操作するための電気的に制御可能な圧力供給装置(5)と
を含むブレーキ設備(1)を含み、前記各ホイールブレーキ(8,9,10,11)がホイールブレーキ管路(200,202,204,206)によって前記圧力室(37)に油圧的に接続されており、請求項1〜12のいずれか1項に記載の追加モジュール(70)を更に含んでいることを特徴とするブレーキ設備システム。
【請求項14】
前記補整管路(190)が前記ブレーキ設備(1)の前記圧力媒体リザーバ(4)に接続されていることを特徴とする、請求項13に記載のブレーキ設備システム(72)。
【請求項15】
前記補整管路(190)が、少なくとも部分的に鋼管として形成されていることを特徴とする請求項14に記載のブレーキ設備システム(72)。
【請求項16】
前記ブレーキ設備(1)の第1のホイールブレーキ管路(200)が、前記追加モジュール(70)の第1のホイールブレーキ供給管路(102)において開口していること、前記ブレーキ設備(1)の第2のホイールブレーキ管路(204)が、前記追加モジュール(70)の第2のホイールブレーキ供給管路(108)において開口していること、及び無通電で開放する遮断弁(220,246)が前記各ホイールブレーキ供給管路(102,108)に介装されていることを特徴とする請求項14又は15に記載のブレーキ設備システム(72)。
【請求項17】
前記両ホイールブレーキ供給管路(102,108)が前側のホイールブレーキ(8,10)に接続されていることを特徴とする請求項16に記載のブレーキ設備システム(72)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に高度に自動化された走行時に用いるための、電気油圧式のブレーキ設備用の追加モジュールであって、少なくとも2つのブレーキにおける圧力増大(圧力生成)のための圧力供給装置を有する油圧ユニットを含む、前記追加モジュールに関するものである。本発明は、更にブレーキ設備システムに関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
原動機付き車両技術において、「ブレーキバイワイヤ」ブレーキ設備は、ますます普及している。この種のブレーキ設備は、しばしば運転者により操作されるマスターブレーキシリンダのほかに、電気的に(「バイワイヤ」)作動可能な圧力供給装置を含んでおり、この圧力供給装置を用いて、「ブレーキバイワイヤ」の動作態様において、ホイールブレーキの操作が行われる。
【0003】
これら現代のブレーキシステム、特に「ブレーキバイワイヤ」の動作態様を有する電気油圧式のブレーキシステムにおいては、運転者は、ブレーキへの直接的な介入から切り離されている。通常、ペダルの操作時には、ペダル切り離しユニット及びシミュレータが操作され、センサによって運転者のブレーキ要求が検出される。通常はマスターブレーキシリンダとして形成されるペダルシミュレータは、できる限りなじみのある、快適なブレーキペダルフィールを運転者に提供するために用いられる。検出されたブレーキ要求により、目標ブレーキトルクが決定され、そして、これに基づきブレーキに対する目標ブレーキ圧力が算出される。そして、ブレーキ圧力は、圧力供給装置によってアクティブにブレーキへ増大される。
【0004】
したがって、実際のブレーキは、開ループ制御及び閉ループ制御ユニットによって作動される圧力供給装置を用いて、ブレーキ回路におけるアクティブな圧力増大によって行われる。圧力増大からのブレーキペダル操作の油圧的な分離によって、この種のブレーキシステムにおいて、ABS、ESC、TCS、ヒルスタートアシストなどの多くの機能を運転者にとって快適に実現することが可能である。
【0005】
この種のブレーキシステムでは、通常、油圧的な予備(逆戻り)レベルが設定されており、この予備レベルにより、「バイワイヤ」動作態様が故障しているか、又は障害を有する場合には、運転者がブレーキペダルの操作時に筋力によって車両を制動し、あるいは停止させることが可能である。通常の動作においては、ペダル分離ユニットによって、ブレーキペダル操作とブレーキ圧力増大の間の上述の油圧的な分離がなされている一方、予備レベルにおいては、この分離が解消され、その結果、運転者が直接ブレーキ媒体をブレーキ回路へ変位させることが可能である。圧力供給装置を用いて圧力増大がもはや不可能な場合に、予備レベルへ切り換えられる。これは、とりわけ、圧力供給装置をリザーバへ接続する逆止弁がもはや信頼性をもって遮断せず、その結果、圧力増大がもはや信頼性をもって可能でない場合である。
【0006】
上述のブレーキシステムにおける圧力供給装置は、アクチュエータあるいは油圧式のアクチュエータとも呼ばれる。特に、アクチュエータはリニアアクチュエータあるいはリニアユニットとして形成されており、これらアクチュエータにおいては、圧力増大のために、ピストンは、回転−並進伝動装置と直列に構成された油圧的な圧力室へ軸方向に変位する。電気モータのモータ軸は、回転−並進伝動装置によって、ピストンの軸方向の変位に変換される。
【0007】
特許文献1から、原動機付き車両用の「ブレーキバイワイヤ」ブレーキ設備が知られており、このブレーキ設備は、ブレーキペダル操作可能な、圧力室がそれぞれ電気的に操作可能な遮断弁を介して2つのホイールブレーキを有するブレーキ回路と遮断可能に接続されているタンデムマスターブレーキシリンダと、マスターブレーキシリンダに油圧的に接続された、接続可能及び遮断可能なシミュレーション装置と、電気的に制御可能な、油圧的な圧力室を有する、そのピストンが電気機械的なアクチュエータによって変位可能であるシリンダ−ピストン構造によって形成された圧力供給装置とを含んでおり、圧力供給装置は、電気的に操作可能な2つのシーケンス弁を介してホイールブレーキの入口弁に接続されている。
【0008】
通常動作においては、運転者は、運転者分離弁を切り換えることによってホイールブレーキから分離され、リニアアクチュエータは、アクチュエータシーケンス弁を切り換えることによって油圧的にホイールブレーキへ接続される。静止位置から前方へのリニアアクチュエータの走行により、ホイールブレーキにおける圧力増大が生じ、その逆の場合にはホイールブレーキにおける圧力減少が生じる。
【0009】
この種のブレーキバイワイヤブレーキ設備は、車両制御が部分的に又は本質的に完全に自動化され、運転者が他の行動にかかわることが可能な、自動化された走行における使用に適している。ブレーキ設備の通常レベルの故障時には、この故障が運転者に知覚され、運転者自身がブレーキペダルを筋力によって操作するまで比較的長くかかることがあり得る。
【0010】
したがって、自動化された走行のために、メインブレーキシステムの故障時に運転者による引き継ぎまで基本ブレーキ機能を確保することが可能なバックアップモジュールが必要である。したがって、このようにして、ちょうど故障と運転者の使用準備完了の間の時間が橋渡しされる。
【0011】
このために、既に様々な解決手段の提案が存在する。これら技術的な解決手段の多くにおいては、ホース管路を介してプライマリブレーキ設備の容器に接続されている、固有のブレーキフルード(ブレーキオイル、ブレーキ液)容器を追加モジュールに設置するように構成されている。
【0012】
ただし、この種の構造は、一連の欠点を有している。まず、この構造は、両ブレーキフルード容器間の不確実なホース接続を有しており、このホース接続は、容易に損傷し得るとともに漏れに至り得る。
【0013】
監視のために、別の容器警報装置が必要である。さらに、この種の追加モジュールのパッケージングは、不都合であり困難であることが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013204778号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の基礎をなす課題は、上述の欠点を回避する追加モジュールを提供することにある。特に、高められた安全性及び信頼性を可能とするとともに良好なパッケージングを可能とすべきである。さらに、適当なブレーキ設備システムが提供されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
追加モジュールに関して、この課題は、本発明により、ブレーキフルードのためのリザーバが油圧ユニットに統合されていることによって解決される。
【0017】
本発明の有利な構成は、従属請求項の対象である。
【0018】
本発明は、極端に安全性に関連する機能が追加モジュールに与えられるという考察に基づくものである。なぜなら、追加モジュールは、ブレーキ設備が機能しないにもかかわらず運転者がまだブレーキを介して完全なコントロールを引き継いでいない危機的な時間においてまさにアクティブでなければならないためである。特に、運転者が、関与するシステムの機能を信頼し、他の行動に取り組むことが可能な高度に自動化された走行においては、運転者が使用準備完了となり、ブレーキペダルを介した完全なコントロールに至るまで比較的長くかかることがあり得る。
【0019】
そのため、モジュールは、これが必要とされる場合には完全に使用準備完了となり機能し得るように配慮する必要がある。これは、特に、ブレーキ過程を信頼性をもって続行するか、又は開始すべできであり、これに対応してブレーキ圧力を増大する必要があることを意味する。したがって、ブレーキフルードの使用可能性が確保されるべきである。
【0020】
いまや認識されるように、追加モジュールの油圧ユニットにおいて必要なブレーキフルードが保持されるか、あるいは適当なリザーバが油圧ユニットへ統合されることで、この厳格な要件が満たされることが可能である。これにより、ブレーキ設備のブレーキフルードリザーバへの密閉されていないか、又は破損した油圧管路により、必要な場合に十分な圧力媒体が提供されないということを防止することが可能である。
【0021】
各リザーバが油圧ユニットに統合されていることは、特に、リザーバがバルブ及び圧力センサのような油圧的な構成要素と同一のハウジング内に配置されており、外部の部材ではないことを意味している。特に、リザーバと各ポンプの間の油圧管路もこのハウジング内に配置されている。
【0022】
有利には、圧力供給装置は、少なくとも1つのポンプを含んでおり、該ポンプは、電気モータで駆動されるとともに、その吸い込み側が各リザーバに油圧的に接続されている。
【0023】
好ましい実施形態においては、ブレーキフルードのための2つのリザーバと、ちょうど2つのポンプとが設けられており、両ポンプのそれぞれが吸い込み側で吸い込み管路によってちょうど1つのリザーバに油圧的に接続されている。好ましくは、それぞれ1つのリザーバは、ブレーキのためにブレーキフルードを供給する。
【0024】
好ましくは、両ポンプは、両ポンプを同時に駆動する共通の電気モータによって駆動される。ホイールブレーキに割り当てられた入口弁を開放することで、各ポンプがここに目的をもってブレーキフルードの搬送のために起動されることが可能である。
【0025】
有利には、各ポンプは圧力側でホイールブレーキ供給管路(ホイールブレーキ送り管路)に接続されており、このホイールブレーキ供給管路は、油圧的なホイールブレーキと接続するように設定されている。このようにして、ポンプは、ブレーキフルードを油圧的なホイールブレーキへ搬送することができ、これによりブレーキ圧力が増大する。
【0026】
有利には、各ホイールブレーキ供給管路は、ホイールブレーキ供給管路における圧力を測定する圧力センサに接続されており、その結果、追加モジュールにおいても圧力閉ループ制御を行うことが可能である。
【0027】
有利には、ポンプを閉ループ制御するための、無通電で閉鎖される弁が各吸い込み管路に介装されている。
【0028】
好ましくは、各ホイールブレーキ供給管路から油圧的な戻し管路が分岐しており、この戻し管路は、それぞれ1つのリザーバに油圧的に接続されている。このようにして、ブレーキフルードが目的をもって適当なホイールブレーキから排出されることが可能である。これにより、追加モジュールにより油圧的に接続されたホイールブレーキにおける様々なブレーキ圧力の調整が可能となる。
【0029】
有利には、無通電で閉鎖される戻し弁が各戻し管路に介装されている。好ましくは、戻し弁は、圧力増大中にその遮断位置へ切り換えられ、必要に応じて、各ホイールブレーキにおける圧力増大のために流通位置へ切り換えられる。
【0030】
有利には、追加モジュールは、各ポンプがリザーバから下方より吸い込むように構成されている。これにより、場合によってはまだ存在する残留空気がリザーバから吸い込まれないことが防止される。有利には、このために、小管路がリザーバ内に配置されており、この小管路を通してポンプがブレーキフルードを吸い込む。
【0031】
好ましくは、追加モジュールは、油圧ユニットのためのハウジングと、モータハウジングと、電子機器ハウジングとを含んでいる。油圧ユニットのためのハウジングは、特に弁ブロック、特にアルミニウム弁ブロックである。
【0032】
油圧ユニットのためのハウジングは、好ましくは電子機器ハウジングとモータハウジングの間に配置されている。このようにして、車両への空間を削減した取付を可能とする特にコンパクトな構造が得られる。このようにして、快適に操作可能なパッケージングが得られる。
【0033】
好ましくは、各リザーバは、大気との接続を形成するために設けられている、油圧的な補整管路に接続されている。
【0034】
ブレーキ設備システムについて、上述の課題は、本発明により、油圧的に操作可能なホイールブレーキと、車輪個別のブレーキ圧力を調整するために、ホイールブレーキごとに電気的に操作可能な少なくとも1つのホイール弁と、大気圧下にある圧力媒体リザーバと、ホイールブレーキに接続された、及び/又は接続可能な、マスターブレーキシリンダと、油圧的な圧力室を有する、ホイールブレーキを操作するための電気的に制御可能な圧力供給装置とを含むブレーキ設備によって解決され、各ホイールブレーキがホイールブレーキ管路によって圧力室に油圧的に接続されており、上述の追加モジュールを更に含んでいる。
【0035】
好ましくは、補整管路は、ブレーキ設備の圧力媒体リザーバに接続されている。
【0036】
有利には、圧力供給装置は、油圧的な圧力室を有するシリンダ−ピストン構造によって形成されており、その圧力ピストンは、電気モータと、その後方に接続された回転−並進伝動装置によって変位可能であり、圧力室は、圧力媒体を再供給するための油圧的な再供給管路を介して圧力媒体リザーバに接続されている。
【0037】
追加モジュールは、ホイールブレーキにおける圧力をアクティブに形成することが可能な圧力供給装置を有する外部制御可能なブレーキ設備に接続可能である。有利に形成において、ブレーキ設備は、例えばESCブレーキ設備である。
【0038】
有利には、補整管路は、少なくとも部分的に鋼管として形成されている。補整管路は、好ましくは圧力媒体リザーバに直接接続されており、この圧力媒体リザーバは、このために好ましくは分離された接続部を規定する。このようにして、有利なパッケージングが達成される。代替的な構成においては、補整管路が少なくとも部分的に、特に本質的に完全に、ブレーキ設備を通って延びているか、又はブレーキ設備のハウジングを通って延びている。
【0039】
好ましい一実施形態においては、ブレーキ設備の第1のホイールブレーキ管路が、追加モジュールの第1のホイールブレーキ供給管路において開口しており、ブレーキ設備の第2のホイールブレーキ管路が、追加モジュールの第2のホイールブレーキ供給管路において開口しており、無通電で開放する遮断弁が、各ホイールブレーキ供給管路に介装されている。
【0040】
両ホイールブレーキ供給管路は、好ましくは前側のホイールブレーキに接続されている。
【0041】
有利には、ブレーキ設備は、ブレーキバイワイヤ通常動作において運転者がブレーキフルードを送り込むシミュレータを備えており、運転者のブレーキ要求が決定される。そして、運転者のブレーキ要求に基づき、ブレーキ設備の開ループ制御及び閉ループ制御ユニットが、対応する圧力をホイールブレーキにおいて増大させる圧力供給装置を作動させる。
【0042】
本発明の利点は、特に、追加モジュールにおけるブレーキフルードの供給によって、追加モジュールを備えたブレーキ設備の使用可能性及び安全性が高められることにある。パッケージング及び組付が快適に可能である。この種の構造により、従来のブレーキ設備の製造ラインでの製造が可能となる。
【0043】
図面に基づき、本発明の実施例を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】好ましい実施形態における、ブレーキ設備及び追加モジュールを有するブレーキ設備システムの油圧的な配管図である。
【
図2】好ましい実施形態における、電子機器ハウジングと、油圧ユニットのための油圧ハウジングと、モータハウジングとを有し、組み立てられた状態での、
図1による追加モジュールの斜視図である。
【
図3】取り外された電子機器ハウジングと共に示す、
図2による追加モジュールの別の斜視図である。
【
図4】
図2による追加モジュールの側方断面図である。
【
図5】隠されたハウジングを有する、
図2による追加モジュールの斜視図である。
【
図6】隠されたハウジングを有する、追加モジュールの別の斜視図である。
【
図7】別の好ましい実施形態における、電子機器ハウジングと、油圧ユニットのための油圧ハウジングと、モータハウジングとを有し、組み立てられた状態での、
図1による追加モジュールの斜視図である。
【
図8】
図7による追加モジュールの油圧ハウジングの斜視図である。
【
図9】隠されたハウジングを有する、
図7による追加モジュールの斜視図である。
【
図10】隠されたハウジングを有する、追加モジュールの別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
全ての図において、同一の部材には同一の符号が付されている。
【0046】
図1には、本発明によるブレーキ設備1の好ましい実施例が図示されている。このブレーキ設備は、操作ペダルあるいはブレーキペダル1aを用いて操作可能なマスターブレーキシリンダ2と、このマスターブレーキシリンダ2と協働するシミュレーション装置3と、マスターブレーキシリンダ2に割り当てられ、大気圧下にある圧力媒体リザーバ4と、油圧的な圧力室37を有するシリンダ−ピストン構造によって形成され、そのピストン36が、電気モータ及び回転−並進伝動装置を含む電気機械的なアクチュエータにより変位可能な、電気的に制御可能な圧力供給装置5と、車輪個別のブレーキ圧を調整する、電気的に制御可能な圧力調整装置と、電子的な開ループ制御及び閉ループ制御ユニット12とを含んでいる。
【0047】
詳細には示されていない圧力調整装置は、例えば、油圧的に操作可能なホイールブレーキ8,9,10,11ごとに、及び不図示の原動機付き車両の操作可能なホイールブレーキ8,9,10,11ごとに入口弁6a〜6d及び出口弁7a〜7dを含んでおり、これら入口弁及び出口弁は、対状に中央接続部を介して油圧的に相互に接続されているとともに、ホイールブレーキ8,9,10,11に接続されている。「ブレーキバイワイヤ」動作態様において、圧力供給装置5の圧力室37に接続されたシステム圧力管路38におけるシステム圧力から導出される圧力が、ブレーキ回路供給管路13a,13bによって、入口弁6a〜6dの入口接続部に供給される。このとき、ブレーキ8,9は第1のブレーキ回路27に接続されており、ブレーキ10,11は第2のブレーキ回路33に接続されている。
【0048】
入口弁6a〜6dには、それぞれ、ブレーキ回路供給管路13a,13bへ開口する逆止弁50a〜50dが並列に接続されている。予備(逆戻り)動作態様においては、ブレーキ回路供給管路13a,13bは、油圧管路22a,22bを介して、マスターブレーキシリンダ2の圧力室17,18の圧力で負荷を受ける。出口弁7a〜7dの出口接続部は、戻し管路14bを介して圧力媒体リザーバ4に接続されている。
【0049】
マスターブレーキシリンダ2は、ハウジング21内に相前後して配置され、油圧的な圧力室17,18を画成する2つのピストン15,16を備えている。圧力室17,18は、一方では、ピストン15,16に形成された径方向の孔と、対応する圧力補整管路41a,41bとを介して圧力媒体リザーバ4に接続されており、この接続は、ピストン15,16の相対運動によって、ハウジング21において遮断可能である。圧力室17,18は、他方では、油圧管路22a,22bによって、上述のブレーキ回路供給管路13a,13bに接続されている。
【0050】
圧力補整管路41aには、無通電で開放される(常開型の)弁28が含まれている。圧力室17,18は、マスターブレーキシリンダ2が操作されていない場合にピストン15,16を初期位置に位置決めする、詳細には示されていない復帰バネを収容している。ピストンロッド24は、ペダル操作によるブレーキペダル1aの旋回運動を第1のマスターブレーキシリンダピストン15の並進運動に関連させ、第1のマスターブレーキシリンダピストンの操作ストロークは、好ましくは冗長的に構成されたストロークセンサ25によって検出される。これにより、対応するピストンストローク信号が、ブレーキペダル操作角度の基準である。このピストンストローク信号は、車両運転者のブレーキ要求を表している。
【0051】
圧力室17,18に接続された管路部分22a,22bにはそれぞれ1つの遮断弁23a,23bが配置されており、この遮断弁は、電気的に操作可能な、好ましくは無通電で開放する(常開型の)2ポート2位置型切換弁として形成されている。遮断弁23a,23bにより、マスターブレーキシリンダの圧力室17,18とブレーキ回路供給管路13a,13bの間の油圧的な接続を遮断することが可能である。管路部分22bに接続された圧力センサ20は、圧力室18において第2のピストン16の変位により上昇する圧力を検出する。
【0052】
シミュレーション装置3は、マスターブレーキシリンダ2と油圧的に接続可能であるとともに、例えば、本質的にシミュレータチャンバ29、シミュレータバネチャンバ30及びこれら両チャンバ29,30を互いに分離するシミュレータピストン31で構成されている。シミュレータピストン31は、シミュレータバネチャンバ30に配置された、有利には付勢された弾性要素(例えばバネ)によって、ハウジング21において支持されている。シミュレータチャンバ29は、電気的に操作可能なシミュレータ弁32を用いてマスターブレーキシリンダ2の第1の圧力室17と接続可能である。ペダル踏力の設定時及びシミュレータ弁32の開放時には、圧力媒体がマスターブレーキシリンダ−圧力室17からシミュレータチャンバ29へ流れる。シミュレータ弁32に対して油圧的に逆平行に配置された逆止弁34によって、シミュレータ弁23の切換状態にかかわらず、シミュレータチャンバ29からマスターブレーキシリンダ−圧力室17への圧力媒体の実質的に阻害されない還流が可能となる。シミュレーション装置の他の構成及びマスターブレーキシリンダ2への接続も考えられる。
【0053】
電気的に制御可能な圧力供給装置5は、油圧的なシリンダ−ピストン構造あるいは単一回路の電気油圧的なアクチュエータとして形成され、圧力室37を画成するその圧力ピストン36は、概略的に示唆された電気モータ35によって、同様に概略的に図示された回転−並進伝動装置を介在しつつ操作可能である。電気モータ35のロータ位置の検出に用いられる、単に概略的に示唆されたロータ位置センサが符号44を付して示されている。加えて、モータコイルの温度をセンシングするための温度センサも用いることが可能である。
【0054】
圧力室37に収容されている圧力媒体へのピストン36の力作用により生じるアクチュエータ圧力は、システム圧力管路38へ供給され、好ましくは冗長的に構成された圧力センサ19によって検出される。シーケンス弁26a,26bが開放されている場合には、圧力媒体は、ホイールブレーキ8,9,10,11へ至り、その操作がなされる。したがって、ピストン36の前進及び後進により、シーケンス弁26a,26bが開放されていれば、通常のブレーキング時には「ブレーキバイワイヤ」動作態様において、全てのホイールブレーキ8,9,10,11についてのホイールブレーキ圧力増大及びホイールブレーキ圧力減少が行われる。このとき、圧力減少時には、それ以前に圧力室37からホイールブレーキ8,9,10,11へ変位した圧力媒体が、同一の経路において再び圧力室37へ還流する。これに対して、車輪個々に異なる、入口弁6a〜6d及び出口弁7a〜7dを用いた、閉ループ制御されるホイールブレーキ圧力(例えばアンチロック閉ループ制御(ABS−閉ループ制御))によるブレーキング時には、出口弁7a〜7dを介して排出される圧力媒体の一部が、圧力媒体リザーバ4へ流れ、したがって、まずはホイールブレーキ8,9,10,11の操作のための圧力供給装置5にはもはや供給されない。圧力室37への圧力媒体の再供給(再吸引)は、シーケンス弁26a,26bが閉鎖されている場合に、ピストン36の後退によって、再供給管路58を通して可能である。
【0055】
ブレーキ設備1は、油圧的に追加モジュール70に接続されており、この追加モジュールは、ブレーキ設備1の圧力増大可能性の消失時にブレーキ介入を実行することが可能である。このようにして、運転者が車両の制動を引き継ぐことができるまで、時間を橋渡しすることが可能である。ブレーキ設備1及び追加モジュール70は、システムあるいはブレーキ設備システム72を形成している。
【0056】
追加モジュール70は、ハウジングあるいは油圧ハウジング76内に配置された油圧ユニット80を備えている。圧力供給装置86は、必要であれば2つのポンプ96,98を動作させる電気モータ92を含んでいる。ポンプ96は、圧力側で油圧管路あるいはホイールブレーキ管路102を介してホイールブレーキ8に接続されている。ポンプ98は、圧力側で油圧管路あるいはホイールブレーキ管路108を介してホイールブレーキ10に接続されている。
【0057】
このために、追加モジュール70は、必要な場合には信頼性をもってブレーキ機能を引き継ぐことができるように設定されている。このために、ブレーキフルードのための2つのリザーバ120,130が設けられており、これらリザーバは、油圧ユニット80に統合されているとともに油圧ハウジング76内に配置されている。ブレーキフルードリザーバ120は、無通電で閉鎖された(常閉型の)リザーバ弁142が介装されている油圧管路136を介してポンプ96の吸込み側に油圧的に接続されている。リザーバ130は、無通電で閉鎖された(常閉型の)リザーバ弁152に介装されている油圧管路148を介して、吸込み側でポンプ98に油圧的に接続されている。好ましくは冗長的に形成された圧力センサ160は、管路102における圧力を測定し、好ましくは冗長的に形成された圧力センサ162は、管路108における圧力を測定する。開ループ制御及び閉ループ制御ユニット182は、信号入力側で、圧力センサ160,162に接続されている。
【0058】
管路102をリザーバ120に油圧的に接続する、油圧的な戻し管路170が管路102から分岐しており、戻し管路には、無通電で閉鎖された(常閉型の)戻し弁176が介装されている。油圧的な戻し管路180が管路108から分岐しており、この戻し管路には、無通電で閉鎖された(常閉型の)戻し弁186が介装されている。
【0059】
以下に、追加モジュール70のブレーキ設備1との油圧的な接続を説明する。
図1において破線で図示され、部分的にブレーキ設備1のハウジング21を通って延びる共通の油圧的な補整管路190は、両リザーバ120,130をブレーキ媒体リザーバ4に接続している。好ましい形態においては、ハウジング21の外部で延びる補整管路192が、ハウジング21の外部に位置する分離されたブレーキ媒体リザーバ接続部196において、ブレーキ媒体リザーバ4に接続されている。補整管路190,192は、好ましくは少なくとも部分的に鋼管として構成されている。
【0060】
ここでは右後方のホイールブレーキに相当するホイールブレーキ9は、ブレーキ管路202を介して圧力供給装置に接続されている。ここでは左後方のホイールブレーキに相当するホイールブレーキ11は、ブレーキ管路206を介して圧力供給装置5に接続されている。ここでは左前方のホイールブレーキに相当するホイールブレーキ8は、ブレーキ管路200を介して圧力供給装置5に接続されている。ここでは右前方のホイールブレーキに相当するホイールブレーキ10は、ブレーキ管路204を介して圧力供給装置5に接続されている。
【0061】
追加モジュール70は、ブレーキ管路200,204に、ここではホイールブレーキ供給管路102,108ともよばれるこれらブレーキ管路の一部が追加モジュール70において延びるように、油圧的に介装されている。このようにして、追加モジュールは、必要な場合に、ブレーキ8,10においてブレーキ圧力を増大させることが可能である。ブレーキ管路200は、管路部分210において、追加モジュール70の内部で延びている。このとき、管路部分210は、ブレーキ設備1の内部で延びる部分216を油圧管路102に油圧的に接続している。管路部分210には無通電で開放する遮断弁220が介装されていて、この遮断弁に対して並列に逆止弁226が介装されており、この逆止弁は、遮断弁220が遮断されている場合に、ホイールブレーキ8からのブレーキフルードの還流を防止するものである。圧力センサ194は、ブレーキ管路200における圧力を測定する。好ましくは、圧力センサの信号は、ブレーキ圧力設定が追加モジュールによって引き継がれる予備(逆戻り)レベルにおける運転者ブレーキ意志検出に用いられる。
【0062】
ブレーキ管路204は、管路部分234において、追加モジュール70の内部で延びている。このとき、管路部分234は、ブレーキ設備1の内部で延びる部分238を油圧管路108に油圧的に接続している。管路部分234には無通電で開放する遮断弁240が介装されていて、この遮断弁に対して並列に逆止弁246が介装されており、この逆止弁は、遮断弁240が遮断されている場合に、ホイールブレーキ10からのブレーキフルードの還流を防止するものである。
【0063】
ブレーキ設備1が、故障を有しているか、又は完全に機能不全となっており、その結果、このブレーキ設備が、必要なブレーキ圧力をホイールブレーキ8〜11へ設定することができない場合には、追加モジュール70が、前側のホイールブレーキ8,10における圧力を増大させることが可能である。このために、両遮断弁220,240がその遮断箇所に介装されており、その結果、ホイールブレーキ8.10は、圧力供給装置5及びマスターブレーキシリンダ2から油圧的に分離されている。開ループ制御及び閉ループ制御ユニット182は、ポンプ96,98を作動させる電気モータ92を作動させる。そして、各ポンプ96,98は、各リザーバ120,130からブレーキフルードを吸引し、このブレークフルードを対応するホイールブレーキ供給管路102,108を通してホイールブレーキ8,10へ搬送する。圧力増大中には、両ホイールブレーキ8,10において同一のブレーキ圧力が増大されるまで、戻し弁176,186が、その遮断位置へ切り換えられる。異なる圧力増大のためには、戻し弁のうち1つ又は両戻し弁176,186は、必要に応じて開放され、ブレーキフルードを各リザーバ120,130へ流すことが可能な出口弁として機能する。
【0064】
好ましくは、運転者がブレーキペダル1aを操作することで油圧的な予備レベルにおいてブレーキ力を筋力によって増大させる場合には、追加モジュール70がアクティブなまま維持され、したがって、更にブレーキ力増幅機能を提供することができる。したがって、(少なくともフロントアクスルに対して)ABS機能も実現されることができ、目的をもった圧力低減によってリヤアクスルに対するEBD機能も実現されることが可能である。予備レベルでは、好ましくは、追加モジュール70によって、リヤアクスルにおいてIPB(電動パーキングブレーキ)が起動される。リヤアクスルの過剰制動(ロック)を回避するために、この起動は、運転者のブレーキング時に取り消される。
【0065】
図1による追加モジュール70の斜視図が
図2に図示されている。油圧ユニット80の油圧ハウジング76は、モータハウジング94に配置されているモータ92と、開ループ制御及び閉ループ制御ユニット182が配置され、電気的な接続コネクタ252を備えた電子機器ハウジング250との間にある程度サンドイッチされている。換言すれば、モータ92は、ハウジング76における、電子機器ハウジング250とは反対側に配置されている。両ポンプのうち1つ96は、図におけるハウジング76の左側において見て取れ、他のポンプ98は反対側に配置されている。さらに、弁収容部256が図示されている。接続部270は、ブレーキ設備のブレーキ媒体リザーバ、特にブレーキ設備1のブレーキ媒体リザーバ4への接続に寄与するものである。さらに、ホイールブレーキ(
図1におけるホイールブレーキ8,10)への油圧的な出口272,274及びECUのための固定ネジ262が見て取れる。ブレーキ設備1(例えば
図1における部分216及び238)との接続のために、油圧的な入口272a,274aが設けられている。
【0066】
図2では、更に2つの小管路280,282及び2つの密閉カバー286,288を見て取ることができる。小管路280は、密閉カバー286によって密閉されるリザーバ120に配置されている。小管路282は、密閉カバー288によって密閉されるリザーバ148に配置されている。
【0067】
図3では、ハウジング76における電子機器ハウジング250に対向する側を認識可能である。無通電で開放する遮断弁220,240は、第1の列に配置されている。その下には、2列の、無通電で閉鎖される4つの弁142,152,176,186のグループが配置されており、それぞれ、両リザーバ弁142,152が1つの列に配置され、両戻し弁178,186が2列目に配置されている。加えて、一列に配置された3つの圧力センサ160,162,194を認識することができる。
【0068】
図4では、側方断面図において、密閉カバー286によって密閉されたリザーバ120と、ポンプ96が空気を吸い込むことを防止する、リザーバ120に配置された小管路280とを認識することができる。
【0069】
図5には、ハウジング76に配置された構成要素の図示が示されており、ハウジングは、この図示においては視認できない。これにより、追加モジュール70の弁位置及びセンサ位置が良好に見て取れる。
【0070】
図6には、視認可能でないハウジング76を有する追加モジュール70のモータ側の視点が示されている。これにおいては、開ループ制御及び閉ループ制御ユニット182あるいはECUへのモータ90の電気的な接続に寄与するモータコネクタのための孔300が見て取れる。孔306,310,312は、ECUの固定ネジのための固定ネジを収容する。モータ孔320は、モータ90のA型軸受あるいはモータの偏心した軸端部を含み、したがって偏心軸受を形成している。この図において、更に、ポンプ96,98の漏液のためのリザーバ340が見て取れる。
【0071】
別の好ましい実施形態における追加モジュール70が
図7に図示されている。ここでは圧力センサ194,160,162により近づけられている弁152,142,186,176の配置において、追加モジュール70の
図3に図示された実施形態とは異なっている。
図8、
図9及び
図10では、追加モジュールのこの実施形態を別の斜視図において見て取ることができる。