(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の送電コイルの配列方向において、各送電コイルの長さDwtは、前記受電コイルの最大径Dwrよりも小さく、0.2≦Dwt/Dwr≦0.7を満足する、請求項1に記載の送電装置。
前記表面に平行で且つ前記配列方向に垂直な方向において、前記各送電コイルの長さ(Dlt)と前記受電コイルの長さ(Dlr)の比(Dlt/Dlr)が、1.0以上2.0以下である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の送電装置。
前記配列方向における各送電コイルの長さは、24mmよりも小さく、前記表面に平行で且つ前記配列方向に垂直な方向における各送電コイルの長さは、24mmよりも大きい、請求項1〜4のいずれか1項に記載の送電装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の基礎となった知見)
特許文献1〜3のような従来のコイルアレイ方式の無線電力伝送システムの
送電装置は、薄型化または小型化が困難であることが分かった。
【0014】
図2(a)に示すように、従来のコイルアレイ方式の送電装置において、N個(Nは2以上の整数)のコイル110a〜110Nを並列に接続して動作させると、コイル全体のインダクタンスが各コイルのインダクタンスの1/N倍になる。
【0015】
このため、各コイルのインダクタンスをN倍にするために、巻き数または積層数を増加させる必要が生じ、送電装置の薄型化または小型化が困難であることが分かった。
【0016】
また、
図2(b)に示すようにN組のコイルおよびキャパシタ(120a〜120N)を並列に接続した構成では、キャパシタを多数設ける必要があり、送電装置の薄型化または小型化が困難であることが分かった。
【0017】
従って、送電装置は、薄型化または小型化が望まれる。
【0018】
以上の考察により、本発明者らは、以下の発明の各態様を想到するに至った。
【0019】
本開示の一態様に係る送電装置は、受電コイルを備える受電装置に非接触で電力を伝送する送電装置であって、
面上に一列に配列された複数の送電コイルと、
前記複数の送電コイルに接続され、前記複数の送電コイルに交流電力を供給する送電回路と、
前記送電回路と各送電コイルとの間の接続状態を制御する制御回路と、を備え、
前記複数の送電コイルの配列方向において、各送電コイルの長さDwtは、前記受電コイルの最大径Dwrよりも小さく、
前記制御回路は、
前記複数の送電コイルに対する前記受電コイルの相対位置を検出し、
前記送電回路と前記複数の送電コイルとの接続状態を切り替えて前記検出された前記受電コイルの相対位置に対応する隣接する2つ以上の一定数の送電コイルを選択し、
前記選択した隣接する少なくとも2つの送電コイルに前記交流電力を供給する。
【0020】
上記態様によると、
送電装置は、面上に一列に配列された複数の送電コイルを備え、このうちの特定の数の送電コイルにだけ給電するように構成される。また、電力伝送のために受電コイルが複数の送電コイルの少なくとも一部に対向しているときに、複数の送電コイルの配列方向における各送電コイルの長さが、同方向における受電コイルの長さよりも小さくなるように各コイルの大きさが設定される。逆に、上記面上で配列方向に垂直な方向における各送電コイルの長さは、同方向における受電コイルの長さよりも長く設定される。例えば、
図3(a)、(b)に示すように、複数の送電コイル110と受電コイル210の相対配置によって、複数の送電コイル110の配列方向における受電コイル210の長さDwrは異なる。配列方向における各送電コイルの幅Dwtは、電力伝送時に想定される受電コイル210の向きによって決まる受電コイル210の幅Dwrよりも小さくなるように設定される。複数の送電コイル110の配列方向における受電コイル210の長さDwrが例えば24mmの場合、配列方向における各送電コイルの長さは、24mm未満に設定され、配列方向に垂直な方向における各送電コイルの長さは、24mmよりも大きく設定される。
【0021】
図4は、ある実施形態における送電装置100の外観および動作を示す図である。この送電装置100は、ワイヤレス充電器であり、平板状の構造を有している。
図4(a)に示すように、この送電装置100は、一列に配列された複数の送電コイル110(この例では7個の送電コイル110a〜110g)を備える。各送電コイルは、配列方向(図における横方向)に短く、配列方向に垂直な方向に長い形状を有している。図示されていないが、送電装置100は、各送電コイルに交流電力を供給する送電回路、および送電回路と各送電コイルとの間の接続状態を制御する制御回路も備える。
【0022】
この送電装置100に、受電コイル210を備える受電装置200が近接すると、制御回路は、受電コイル210に最も近い2つの送電コイルと送電回路とを電気的に接続する。例えば、
図4(b)に示す状態では、2つの送電コイル110c、110dのみが送電回路に接続される。
図4(c)に示す状態では、2つの送電コイル110f、110gのみが送電回路に接続される。この例では、常に2つの送電コイルに給電されるが、同時に給電される送電コイルの数は、2以外の数であってもよい。同時に給電される送電コイルの数は、送電コイルの総数よりも小さい数であればよい。このように、同時に給電される送電コイルの数を特定の数に限定することにより、インダクタンスの変動を抑えることができる。また、同時に給電される送電コイルの数を2のような小さい数にすれば、各送電コイルのインダクタンスを過度に大きくする必要がないため、装置の小型化につながる。
【0023】
以上、上記により、送電装置の薄型化または小型化が図れる。
【0024】
以下、本開示のより詳細な実施形態を説明する。
【0025】
(実施形態1)
[1.全体構成]
図5Aは、本開示の実施形態1に係る無線電力伝送システムの概略構成を示すブロック図である。無線電力伝送システムは、送電装置100と、受電装置200とを備える。送電装置100における複数の送電コイル110から受電装置200における受電コイル210に非接触で電力が伝送される。
【0026】
受電装置200は、受電コイル210と、キャパシタ220a、220bと、受電回路220と、二次電池230とを備えている。受電コイル210と、キャパシタ220a、220bは、直列および並列共振回路を構成している。受電回路220は、受電コイル210が受け取った交流電力を整流して出力する。二次電池230は、受電回路220から出力された直流電力によって充電される。二次電池230に蓄えられたエネルギは、不図示の負荷によって消費される。
【0027】
受電回路220は、整流回路や周波数変換回路、定電圧・定電流制御回路、通信用の変復調回路などの各種の回路を含み得る。受け取った交流エネルギを負荷が利用可能な直流エネルギまたは低周波の交流エネルギに変換するように構成される。受電コイル210から出力される電圧・電流などを測定する各種センサを受電回路220中に含めてもよい。
【0028】
送電装置100は、複数の送電コイル110と、複数のスイッチ130と、共振キャパシタ120と、送電回路140と、制御回路150とを備える。複数のスイッチ130は、それぞれ、複数の送電コイル110に接続されている。ここで「接続される」とは、電気的に導通するように接続されることを意味する。複数の送電コイル110は、複数のスイッチ130を介して、送電回路140に対して互いに並列に接続される。各送電コイルの一端は、キャパシタ120の一方の電極に接続されている。キャパシタ120の他方の電極は、送電回路140に接続されている。複数のスイッチ130は、それぞれ、複数の送電コイル110におけるキャパシタ120が接続されていない側の端子に接続されている。これは、キャパシタ120と複数の送電コイル110との間では電圧の変動が大きいためである。なお、
図5Bに示すように、スイッチ130と送電回路140との間に他の共振キャパシタ121が接続されていてもよい。各コイルの両端に2つのキャパシタ120、121を設けることにより、各コイルに印加される電圧を低減することができる。これにより、耐圧の低いスイッチを使用することができる。
【0029】
送電コイル110は、例えば、基板パターンで形成された薄型の平面コイルであり得る。一層の導電体パターンから構成されている必要はなく、例えば特許文献3の
図18に示されているような、積層された複数の導電体パターンを直列に接続した構成を有していてもよい。このような構成を有するコイルを、「多層配線コイル」と称する。このほか、銅線やリッツ線、ツイスト線などを用いた巻き線コイルを用いることもできる。各送電コイルのQ値は、例えば100以上に設定され得るが、100よりも小さい値に設定されていてもよい。キャパシタ120、220a、220bは、必要に応じて設ければよい。各コイルが有する自己共振特性をこれらのキャパシタの代わりに用いてもよい。
【0030】
送電回路140は、例えば、フルブリッジ型のインバータ、またはD級もしくはE級などの発振回路であり得る。
図6は、一例として、フルブリッジ型のインバータで送電回路140を構成した例を示している。送電回路140は、通信用の変復調回路や電圧・電流などを測定する各種センサを有していてもよい。送電回路140は、外部の直流(DC)電源300に接続されている。直流電源300から入力された直流電力を交流電力に変換して出力する。この交流電力は、複数の送電コイル110から選択された2つの送電コイルによって空間に送出される。
【0031】
電力伝送時の周波数は、例えば、送電コイル110およびキャパシタ120によって構成される送電共振器の共振周波数と同じ値に設定される。しかし、これに限定されず、例えば、その共振周波数の85〜115%程度の範囲内の値に設定されていてもよい。電力伝送の周波数帯は、例えば100kHz〜200kHzの範囲内の値に設定され得るが、
この範囲外の値に設定されてもよい。
【0032】
電源300は、商用電源、一次電池、二次電池、太陽電池、燃料電池、USB(Universal Serial Bus)電源、高容量のキャパシタ(例えば電気二重層キャパシタ)、商用電源に接続された電圧変換器、または、それらの組み合わせであり得る。
【0033】
制御回路150は、送電装置100全体の動作を制御するプロセッサである。制御回路150は、例えばCPUと、コンピュータプログラムを格納したメモリとの組み合わせによって実現され得る。制御回路150は、本実施形態の動作を実現するように構成された専用の集積回路であってもよい。制御回路150は、送電回路140による送電制御(送電状態の調整)、および複数のスイッチ130の開閉状態の制御を行う。
【0034】
制御回路150は、さらに、複数の送電コイル110に対する受電コイル210の相対位置の検出を行う。これに加えて、送電コイル110に近接する金属などの異物の検出を行ってもよい。受電コイル210の位置の検出および異物の検出は、回路上の電圧、電流、周波数、インダクタンスといったインピーダンスの変化に伴って変動するパラメータの測定値に基づいて行われ得る。より具体的には、制御回路150は、複数のスイッチ130を一定の数(例えば2個)ずつ順番にオンにし、その都度、上記のいずれかのパラメータを測定する。規定の範囲からずれた値が測定されたとき、そのときに給電している送電コイルの近傍に受電コイル210または異物が存在すると判定することができる。このような検出を可能にするため、制御回路150は、不図示の検出回路を備え得る。本開示では、受電コイル210の検出および異物の検出は、特定の方法に限定されず、公知の任意の方法で行うことができる。
【0035】
本実施形態における制御回路150は、複数の送電コイル110に対する受電コイル210の相対位置に応じて、電力伝送に用いる2つの送電コイルを選択する。そして、選択した2つの送電コイルのみに送電回路140から交流電力が供給されるように、複数のスイッチ130の導通状態を切り替える。その結果、選択された2つの送電コイルから空間に交流エネルギが送出される。
【0036】
制御回路150は、受電装置200との間で通信を行う通信回路を有していてもよい。通信回路によって、例えば、受電装置200の負荷のインピーダンスの変動を示す情報を得ることができる。制御回路150は、その情報に基づき、例えば負荷に一定の電圧が供給されるように、送電回路140に送電パラメータを変更するように指示することができる。そのような送電パラメータは、例えば周波数、インバータのスイッチング素子対間の位相差、またはインバータの入力電圧であり得る。入力電圧を調整する場合、送電回路140は、DC電源300とインバータとの間にDC/DCコンバータを有し得る。これらの送電パラメータを変化させることにより、負荷に供給される電圧を変化させることができる。
【0037】
送電装置100は、上記の構成要素以外の要素を備えていてもよい。例えば、制御回路150による受電コイル210または異物の検出結果を表示する表示素子を備えていてもよい。そのような表示素子は、例えば、LEDなどの光源であり得る。また、異物検出用の発振回路および検出コイルを設けてもよい。
【0038】
また、受電装置200の構成は、
図5Aに示すものに限定されない。送電コイル110から送出されるエネルギの少なくとも一部を受け取る受電コイル210を有している限り、その構成は任意に設計してよい。
【0039】
[2.送電コイルの構成]
次に、本実施形態における複数の送電コイル110の詳細な構成を説明する。
【0040】
図7は、複数の送電コイル110および受電コイル210のサイズの関係を説明するための図である。
図7では、簡単のため、各コイルは、ドーナツ状の形状で描かれているが、実際には、巻き線および2つの引き出し線を含む構造を有する。また、各コイルは、
図7に示すように、内側に空洞を持ち、外側に所定の幅を有する巻き線を有する。各コイルは、巻き線が1本の場合でもよい。以降の図でも同様に、各コイルは簡略化して描かれている。
図7では、4つの送電コイル110が例示されているが、さらに多くの送電コイル110が設けられていてもよい。
【0041】
本実施形態における複数の送電コイル110は、ある面上において一列に配列されている。以下、この配列方向を第1の方向と呼ぶ。第1の方向における各送電コイルの幅(長さとも呼ぶ)Dwtは、受電コイル210の幅Dwrよりも短い。
【0042】
一方、上記面上で第1の方向に垂直な方向(以下、「第2の方向」と呼ぶ。)については、各送電コイルの幅(長さとも呼ぶ)Dltは、受電コイル210の幅Dlrよりも長い。これは、受電コイル210が第2の方向に多少ずれても充電性能が低下しないようにするためである。
【0043】
図7に示される例では、Dwt≒Dwr/2であるが、Dwt<Dwrであればよい。なお、受電コイル210の幅Dwrは、上述した「最大径」に対応する。受電コイル210が円形である場合、最大径Dwrは、直径と一致する。
【0044】
本願発明者らは、給電される送電コイルの数を2つに限定した場合における送電コイルと受電コイル210との好ましいサイズ比について検討した。その結果、0.2≦Dwt/Dwr≦0.7のとき、特に高い結合係数を確保できることを見出した。以下、この点について説明する。
【0045】
図8および
図9は、送電コイル110と受電コイル210との位置関係によって結合係数がどのように異なるかを説明するための図である。
図8(a)は、受電コイル210の中心が、隣接する2つの送電コイル110間の中点に位置している状態を表している。このとき、受電コイル210の中心のX座標は、X=0である。
図8(b)は、受電コイル210の中心が、一方の送電コイル110の中心上に位置している状態を表している。このとき、受電コイル210の中心のX座標は、X=Dwt/2である。
【0046】
図9は、X/Dwtを0から0.5の間で変化させたときの結合係数の変化を示すグラフである。このグラフは、Dwt/Dwr=0.5およびDwt/Dwr=0.875の2通りの場合について計算した結果を示している。
【0047】
図10は、本計算における解析条件を示している。本計算では、受電コイル210は、
図10(a)に示すように、40mm×40mmの円形状の巻き線(巻数:8)を有する。送電コイル110は、
図10(b)に示すように、Dwt[mm]×40mmの楕円形状の巻き線(巻数10)を有する。送電コイル110の数は2個とし、これらの中心間隔(ピッチ)は、Dwtとほぼ同じ値に設定した。
【0048】
図10(c)は、本解析で想定した送電装置100および受電装置200の構成および配置を模式的に示す断面図である。
図10(c)に示すように、各送電コイル110は、ガラスエポキシ基板(FR4)の両面に銅で形成したコイルパターンによって形成されている。磁性体が送電コイル110の裏面側に設けられ、さらにアルミニウムのシールドが設けられている。受電コイル210についても同様に、送電コイル110に対向しない側に磁性体およびアルミニウムのシールドが配置されている。送電コイル110と受電コイル210との距離は、3mmとした。このような構成で、2つの送電コイル110から周波数110kHzの同位相の交流磁界を発生させた。
【0049】
図9の結果が示すように、Dwt/Dwr=0.5の場合は、X/Dwt=0.5のときに結合係数が最小となり、X/Dwt=0のときに結合係数が最大となった。つまり、Dwt/Dwr=0.5の場合は、
図8(b)に示すように、送電コイル110及び受電コイル210の中心軸方向から見て、1つの送電コイル110の中心と受電コイル210の中心とが一致するときに、結合係数が最小になる。また、
図8(a)に示すように、送電コイル110及び受電コイル210の中心軸方向から見て、隣接する2つの送電コイル110間の中点と受電コイル210の中心とが一致するときに、結合係数が最大となった。
【0051】
一般的に、送電コイルの配線領域と受電コイルの配線領域との位置関係が近接している場合に, 送電コイルと受電コイルとの間の結合係数は、大きくなる。
【0052】
ここで、コイルの配線領域とは、コイルの巻き線が存在する領域のことである。
【0053】
単純化して考えると、送電コイルの配線領域と受電コイルの配線領域との位置関係が近接しているということは、送電コイル及び受電コイルの中心軸方向から見て、送電コイルの配線領域と受電コイルの配線領域とが重なっている領域が大きいということである。
【0054】
従って、送電コイル及び受電コイルの中心軸方向から見て、同じサイズの送電コイル及び受電コイルの中心の位置が一致する場合に、結合係数は最大となる。
【0055】
Dwt/Dwr=0.5の場合、受電コイル210の幅は、送電コイル110の幅の2倍の幅(送電コイルの2個分の幅)になる。
【0056】
図8(b)に示すように、送電コイル110及び受電コイル210の中心軸方向から見て、送電コイル110の中心と受電コイル210の中心とが一致するときに、送電コイル110の配線領域と受電コイル210の配線領域との位置関係が最も遠い関係になる。そして、送電コイル110の配線領域と受電コイル210の配線領域が重なっている領域が最も小さくなる。その時、結合係数が最小となる。
【0057】
また、
図8(a)に示すように、送電コイル110及び受電コイル210の中心軸方向から見て、隣接する2つの送電コイル110間の中点と受電コイル210の中心とが一致するときに、送電コイル110の配線領域と受電コイル210の配線領域との位置関係が最も近くなる。また、送電コイル110の配線領域と受電コイル210の配線領域が重なっている領域が最も大きくなる。その時、結合係数が最大となる。
【0058】
次に、Dwt/Dwr=0.875の場合は、X/Dwt=0のときに結合係数が最小となり、X/Dwt=0.5のときに結合係数が最大となった。
【0059】
つまり、Dwt/Dwr=0.875の場合は、
図8(a)に示すように、送電コイル及び受電コイルの中心軸方向から見て、隣接する2つの送電コイル110間の中点に受電コイル210の中心が一致するときに、結合係数が最小となる。
【0060】
また、
図8(b)に示すように、送電コイル及び受電コイルの中心軸方向から見て、送電コイル110の中心と受電コイル210の中心とが一致するときに、結合係数が最大となる。
【0062】
Dwt/Dwr=0.875の場合、受電コイルの幅は、送電コイルの幅とほぼ同じ幅になる(送電コイルの約1個分の幅)。
【0063】
図8(a)に示すように、送電コイル110及び受電コイル210の中心軸方向から見て、隣接する2つの送電コイル110間の中点と受電コイル210の中心とが一致するときに、送電コイル110の配線領域と受電コイル210の配線領域の位置関係が最も遠い関係になる。そして、送電コイルの配線領域と受電コイルの配線領域が重なっている領域が最も小さくなる。その時、結合係数が最小となる。
【0064】
また、
図8(b)に示すように、送電コイル110及び受電コイル210の中心軸方向から見て、送電コイル110の中心と受電コイル210の中心とが一致するときに、送電コイル110の配線領域と受電コイル210の配線領域との位置関係が最も近い位置関係になる。そして、送電コイルの配線領域と受電コイルの配線領域が重なっている領域が最も大きなくる。その時、結合係数が最大となる。
【0065】
図8(a)に示した、隣接する2つの送電コイル110間の中点に受電コイル210の中心が一致する場合(X/Dwt=0)と、
図8(b)に示した、1つの送電コイル110の中心と受電コイル210の中心とが一致する場合(X/Dwt=0.5)とは、複数の送電コイル110の配列方向において、送電コイル110及び受電コイル210の取り得る位置関係の中で、最も極端な2例である。
【0066】
X/Dwt<−0.5あるいはX/Dwt>0.5となる場合は、複数の送電コイル110のうち、受電コイル210に最も近い隣接した2つの送電コイル110を選択し直す。上記方法により、0≦X/Dwt≦0.5の範囲と同様の送受電コイルの位置関係とすることができる。送電コイル110は、X=0におけるX軸に垂直な軸に対して対称な形状を有する。
【0067】
従って、0≦X/Dwt≦0.5の範囲を考慮すれば、送電コイル110の配列方向においては、すべての送受電コイルの位置関係を考慮したことになる。そして、X/Dwt=0およびX/Dwt=0.5は、送電コイル110の配列方向において、受電コイル210が取り得る範囲の端と端の位置関係に当たる。
【0068】
送電コイル110及び受電コイル210との間の結合係数は、受電コイル210が0≦X/Dwt≦0.5の範囲のいずれかの位置において最大となる。
【0069】
Dwt/Dwr=0.5及びDwt/Dwr=0.875の場合から分かるように、例えば、結合係数が最大となる受電コイル210の位置をX=X0とすると、X/Dwt=0とX/Dwt=0.5のいずれか一方が、X=X0から最も遠い位置となる。そして、その場合、結合係数は最小となる。
【0070】
つまり、送電コイル110及び受電コイル210の各々がいかなるサイズであっても、
図8(a)に示すように、受電コイル210の中心が、隣接する2つの送電コイル110間の中点に一致する場合と、
図8(b)に示すように、1つの送電コイル110の中心と受電コイル210の中心とが一致する場合とのいずれかの条件において、送電コイル110と受電コイル210と間の結合係数は最小となる。
【0071】
そこで、本願発明者らは、これらの結合係数が最小となり得る2つの場合のそれぞれについて、最適なコイルサイズ比を算出した。2つの送電コイル間の中点上に受電コイル210の中心が位置する場合、および1つの送電コイル110の中心軸上に受電コイル210の中心が位置する場合のそれぞれについて、送電コイル幅Dwtと受電コイル幅Dwrとの比を変えながら結合係数を計算した。
【0072】
図11は、本計算の結果を示すグラフである。図示されるように、Dwt/Dwrが0.2以上0.7以下の範囲で、両ケースともに結合係数が0.37以上となり、良好な結果が得られた。
【0073】
図12は、
図11に示す結果をコイル間の最大伝送効率ηmaxで表したグラフである。最大伝送効率ηmaxは、以下の式(1)で表される。
【数1】
【0074】
ここで、kは結合係数、QTxは送電コイル110およびキャパシタ120から構成される共振器のQ値、QRxは受電コイル210およびキャパシタ220a及び220bから構成される共振器のQ値である。なお、本実施形態においては、キャパシタのQ値に対してコイルのQ値が低いため、共振器のQ値は、ほぼコイルのQ値と同等である。本計算における条件では、QTx=15、QRx=30である。
【0075】
図12からわかるように、Dwt/Dwrが0.2以上0.7以下の範囲において、受電コイル210の位置に関わらず、最大伝送効率が77%以上となり、高い値に維持することができる。よって、伝送効率の観点からも、Dwt/Dwrが0.2以上0.7以下の範囲内であることが好ましいことが確認できた。
【0076】
次に、本願発明者らは、第2の方向における各送電コイル110の幅Dltと受電コイル210の幅Dlrとの好ましいサイズ比について検討した。その結果、1.0≦Dwt/Dwr≦2.0のとき、第2の方向に受電コイル210が位置ずれした場合においても、結合係数の変動が比較的少ないことを見出した。以下、この点について説明する。
【0077】
図13は第2の方向について、受電コイル210が位置ずれした場合の送電コイル110と受電コイル210との位置関係を示した図である。
【0078】
受電コイル210が送電コイル110の端から幅Dltの1/2の距離の位置(
図13(a))から第2の方向に位置ずれする場合は、送電コイル110の幅Dltを受電コイル210の幅Dlrよりも大きくすることで、第2の方向における受電コイル210の位置ずれに対して、結合係数の劣化を低減させることができる(
図13(b))。
【0079】
図14は、送電コイル110の幅Dltの異なる4つの構成の各々について、第2の方向における受電コイル210の位置ずれ時の結合係数の変化を電磁界解析により算出した結果を示すグラフである。解析条件は
図10と同様であり、Dwt=Dwr×0.3とした。ただし、シールド、磁性体、ガラスエポキシ基板等の第2の方向に対する寸法は、送電コイル110の幅Dltの値に応じて同条件にて変化させている。
【0080】
図14に示すように、送電コイル110の幅Dltを受電コイル210の幅Dlrよりも大きくする(Dlt/Dlrを1より大きくする)ことで、受電コイル210のY軸方向へ位置ずれした場合の結合係数の劣化が低減されていることがわかる。
【0081】
その際、受電コイル210がY=0の位置に配置された場合、すなわち受電コイル210が送電コイル110のうち駆動される2つのコイルに対して正対して配置された場合の結合係数が劣化してくることが分かる。
【0082】
したがって、送電コイル110の幅Dltを受電コイル210の幅Dlrよりも大きくすることにより第2の方向への位置ずれ許容を図る際は、送電コイル110と受電コイル210が正対した場合の結合係数の劣化度合いにより、送電コイル110の幅Dltの値を決定する。
【0083】
図15は、送電コイル110と受電コイル210が正対した場合の、送電コイル110の幅Dltの値による結合係数を算出したグラフである。図示されるように、Dlt/Dlrが1.0以上2.0以下の範囲で、良好な結果が得られた。Dlt/Dlrが2.0を超えると結合係数が急激に低下するので良くない。
【0084】
図16は、
図15に示す結果をコイル間の最大伝送効率ηmaxで表したグラフである。条件は
図12の場合と同様である。
【0085】
図16からわかるように、Dlt/Dlrが1.0以上2.0以下の範囲において、最大伝送効率が75%以上となり、高い値に維持することができる。Dlt/Dlrが2.0を超えると最大伝送効率が急激に低下するので良くない。
【0086】
よって、伝送効率の観点からも、Dlt/Dlrが1.0以上2.0以下の範囲内であることが好ましいことが確認できた。
【0087】
受電コイル210が第2の方向へ位置ずれした場合の結合係数の変動は、Dwtの値、給電コイル数、第1の方向への位置ずれに関わらず、同様の傾向を示す。したがって、以上の結果では、Dwt=Dwr×0.3とした送電コイルに対して、給電されるコイルの数を2つとし、第1の方向への位置ずれはない(X=0)場合を例に説明を行ったが、その効果はこの条件に限定されるものではない。
【0088】
[3.動作]
続いて、
図17のフローチャートを参照しながら、本実施形態の送電装置100の動作の例を説明する。
【0089】
送電装置100の電源が投入されると、制御回路150は、変数Nに1を代入する(ステップS101)。変数Nは、送電コイル110の番号を表している。制御回路150は、給電する送電コイルとして、N番目およびN+1番目の送電コイルを選択する(ステップS102)。このとき、制御回路150は、選択した2つの送電コイルに接続されている2つのスイッチのみをオンにする。その後、送電回路140は、送電パラメータを位置検出用の値に設定して一定時間発振する(ステップS103)。ここで設定されるパラメータには、例えば、周波数、およびインバータのスイッチング素子対間の位相ずれ量またはインバータの入力電圧が含まれ得る。送電回路140は、これらのパラメータを、受電コイルの位置検出に適した値に設定して発振する。次に、制御回路150は、回路内を流れる電流、電圧、インピーダンス等のモニタ値が所定の範囲内か否かを判定する(ステップS104)。モニタ値が所定の範囲内であれば、送電回路140は、出力を停止する(ステップS108)。続いて、制御回路150は、変数Nが、送電コイルの個数Nmaxに1を減じた値に等しいか否かを判定する(ステップS109)。NがNmax−1に等しくない場合、制御回路150は、変数NにN+1を代入する(ステップS110)。その後、モニタ値が所定の範囲内になるか、N=Nmax−1になるまで、ステップS102〜S104、S108〜S110が繰り返される。
【0090】
ステップS109において、N=Nmax−1であると判定された場合、送電装置100は、所定時間が経過するまで待機する(S111)。このケースは、全ての送電コイル110について判定が完了したにも関わらず、モニタ値の大きな変化が検出されなかったケースである。このとき、受電コイル210が近くに存在しないと考えられるため、送電装置100は所定時間だけ待機した後、再びステップS101を実行する。
【0091】
ステップS104において、モニタ値が所定の範囲外であると判定すると、制御回路150は、受電装置200との通信が確立しているか否かを判定する(ステップS105)。通信が確立している場合、送電回路140は、送電用のパラメータ値で送電を実行する(ステップS106)。このパラメータ値は、送電に適した値であり、受電装置200の負荷(例えば二次電池)に応じて設定される。制御回路150は、送電中、所定時間ごとにステップS105の動作を実行し、通信が途切れていないかを確認する。
【0092】
ステップS105において、通信が確立していないと判定された場合、送電回路140は、出力を停止する(ステップS107)。この場合、所定時間が経過するまで待機する(ステップS111)。その後、再びステップS101の動作を実行する。
【0093】
以上の動作により、受電コイル210の近接を検知したときのみ、受電コイル210に最も近い2つの送電コイルを用いて電力を伝送することができる。受電コイル210の検知は、例えば1mm秒〜数秒に1回だけ数周期分の交流を発振する断続的発振(間欠動作)によって行うことができる。受電コイル210を検知した場合にのみ連続動作に切替えるため、消費電力の増加を抑えることができる。この検出動作における送電回路140の動作周波数は、送電用の周波数と同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0094】
本実施形態によれば、電力伝送に用いられる送電コイルの数は、常に一定の数(上記の例では2個)に限定される。さらに、複数の送電コイルは一列に配列され、配列方向における各送電コイルの長さが、受電コイルの長さよりも小さい。このため、送電装置の小型化および高効率な電力伝送を実現できる。
【0095】
なお、上記の実施形態では、電力伝送に使用される送電コイルの数が常に一定の数に維持されるが、必ずしもこのような動作である必要はない。例えば、受電コイルの大きさに応じて、給電する送電コイルの数を変化させてもよい。送電コイルの幅Dwtが、受電コイルの幅Dwrの例えば1/3以下の場合、受電コイルに3つの送電コイルが対向することになる。このような場合は、2つではなく、3つの送電コイルに給電してもよい。
【0096】
本開示は、以下の項目に記載の送電装置及び送電装置を備えた無線電力伝送システムを含む。
【0097】
[項目1]
受電コイルを備える受電装置に非接触で電力を伝送する送電装置であって、
面上に一列に配列された複数の送電コイルと、
前記複数の送電コイルに接続され、前記複数の送電コイルに交流電力を供給する送電回路と、
前記送電回路と各送電コイルとの間の接続状態を制御する制御回路と、
を備え、
前記複数の送電コイルの配列方向において、各送電コイルの長さDwtは、前記受電コイルの最大径Dwrよりも小さく、
前記制御回路は、
前記複数の送電コイルに対する前記受電コイルの相対位置を検出し、
前記送電回路と前記複数の送電コイルとの接続状態を切り替えて前記検出された前記受電コイルの相対位置に対応する隣接する2つ以上の一定数の送電コイルを選択し、
前記選択した隣接する少なくとも2つの送電コイルに前記交流電力を供給する、
送電装置。
上記態様によれば、
前記複数の送電コイルに対する前記受電コイルの相対位置を検出し、
前記送電回路と前記複数の送電コイルとの接続状態を切り替えて前記検出された前記受電コイルの相対位置に対応する隣接する2つ以上の一定数の送電コイルを選択し、
前記選択した隣接する少なくとも2つの送電コイルに前記交流電力を供給する。
このことにより、前記受電コイルが前記配列方向に移動しても、送電コイルと前記受電コイルとの結合係数を高い値で維持できる。そして、送電コイルと前記受電コイルとの送電効率も高い値で維持できる。従って、各送電コイルの巻き数または積層数を増加させず、また、各送電コイルにキャパシタを多数設けることが不要となるので、送電装置を薄型化または小型化ができる。
【0098】
[項目2]
前記複数の送電コイルの配列方向において、各送電コイルの長さDwtは、前記受電コイルの最大径Dwrよりも小さく、0.2≦Dwt/Dwr≦0.7を満足する、項目1に記載の送電装置。
上記態様によれば、
0.2≦Dwt/Dwr≦0.7を満足させることで、前記受電コイルが前記配列方向に移動しても、送電コイルと前記受電コイルとの結合係数を高い値で維持できる。そして、送電コイルと前記受電コイルとの送電効率も高い値で維持できる。
【0099】
[項目3]
前記2つ以上の一定数の送電コイルは2つの送電コイルである、項目1〜2に記載の送電装置。
上記態様によれば、
同時に給電される送電コイルの数を2のような小さい数にすれば、各送電コイルのインダクタンスを過度に大きくする必要がないため、装置の小型化につながる。
【0100】
[項目4]
前記選択された2つ以上の一定数の送電コイルは同位相の磁界を発生させ、前記送電回路に接続されている、項目1〜3のいずれかに記載の送電装置。
【0101】
[項目5]
前記面上における前記配列方向に垂直な方向において、前記各送電コイルの長さ(Dlt)と前記受電コイルの長さ(Dlr)の比(Dlt/Dlr)が、1.0以上2.0以下である、項目1〜4のいずれかに記載の送電装置。
上記態様によれば、
各送電コイルの長さ(Dlt)と前記受電コイル(Dlr)の長さの比(Dlt/Dlr)が1.0以上2.0以下の範囲で、結合係数が良好な結果が得られる。Dlt/Dlrが2.0を超えると結合係数が急激に低下するので良くない。
また、Dlt/Dlrが1.0以上2.0以下の範囲において、最大伝送効率が75%以上となり、高い値に維持することができる。Dlt/Dlrが2.0を超えると最大伝送効率が急激に低下するので良くない。
よって、結合係数及び伝送効率の観点から、Dlt/Dlrが1.0以上2.0以下の範囲内であることが好ましい。
【0102】
[項目6]
前記配列方向における各送電コイルの長さは、24mmよりも小さく、前記面上において前記配列方向に垂直な方向における各送電コイルの長さは、24mmよりも大きい、項目1〜5のいずれかに記載の送電装置。
【0103】
[項目7]
前記複数の送電コイルは、前記送電回路に対して互いに並列に接続され、
前記送電装置は、前記送電回路と前記複数の送電コイルとの間にそれぞれ配置された複数のスイッチをさらに備え、
前記制御回路は、前記複数のスイッチの導通状態を切り替えることにより、前記送電回路と前記複数の送電コイルとの接続状態を切り替える、項目1〜6のいずれかに記載の送電装置。
上記態様によれば、
前記複数の送電コイルから放射される磁界が、前記送電回路に遮られることがないので、伝送効率を低下させずに、電力を伝送できる。
【0104】
[項目8]
前記複数の送電コイルの各々の一端は、互いに接続され、
前記複数の送電コイルの各々の他端は、前記複数のスイッチの1つに接続され、
前記送電装置は、前記複数の送電コイルの前記一端と前記送電回路との間に接続された共振キャパシタをさらに備えている、項目1〜7のいずれか1項に記載の送電装置。
上記態様によれば、
キャパシタを用いることで、各コイルに印加される電圧を低減することができる。これにより、耐圧の低いスイッチを使用することができる。
【0105】
[項目9]
送電装置と、
受電コイルを有する受電装置と、を備える無線電力伝送システムであって、
前記送電装置は、
面上に一列に配列された複数の送電コイルと、
前記複数の送電コイルに接続され、前記複数の送電コイルに交流電力を供給する送電回路と、
前記送電回路と各送電コイルとの間の接続状態を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記複数の送電コイルの配列方向において、各送電コイルの長さDwtは、前記受電コイルの最大径Dwrよりも小さく、
前記複数の送電コイルに対する前記受電コイルの相対位置を検出し、
前記送電回路と前記複数の送電コイルとの接続状態を切り替えて前記検出された前記受電コイルの相対位置に対応する隣接する少なくとも2つの送電コイルを選択し、
前記選択した隣接する少なくとも2つの送電コイルに前記交流電力を供給する、
無線電力伝送システム。
【0106】
[項目10]
受電コイルを備える受電装置に非接触で電力を伝送する送電装置であって、
面上に一列に配列された複数の送電コイルと、
前記複数の送電コイルに接続され、前記複数の送電コイルに交流電力を供給する送電回路と、
前記送電回路と各送電コイルとの間の接続状態を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記複数の送電コイルに対する前記受電コイルの相対位置を検出し、
前記送電回路と前記複数の送電コイルとの接続状態を切り替えて前記検出された前記受電コイルの相対位置に対応する隣接する2つ以上の一定数の送電コイルを選択し、
前記選択した隣接する少なくとも2つの送電コイルに前記交流電力を供給し、
前記複数の送電コイルの配列方向において、各送電コイルの長さDwtは、前記受電コイルの最大径Dwrよりも小さく、0.2≦Dwt/Dwr≦0.7を満足する、送電装置。
【0107】
[項目11]
受電コイルを備える受電装置に非接触で電力を伝送する送電装置であって、
面上に一列に配列された複数の送電コイルと、
前記複数の送電コイルに接続され、前記複数の送電コイルに交流電力を供給する送電回路と、
前記送電回路と各送電コイルとの間の接続状態を制御する制御回路と、
を備え、
前記複数の送電コイルの配列方向において、各送電コイルの長さは、前記受電コイルの長さよりも小さく、
前記面上における前記配列方向に垂直な方向において、各送電コイルの長さは、前記受電コイルの長さよりも大きく、
前記制御回路は、前記複数の送電コイルに対する前記受電コイルの相対位置に応じて、前記複数の送電コイルから選択した隣接する少なくとも2つの送電コイルに前記交流電力が供給されるように、前記送電回路と前記複数の送電コイルとの接続状態を切り替える、送電装置。
【0108】
[項目12]
前記制御回路は、送電を行う際、前記複数の送電コイルから選択した一定数の送電コイルを前記送電回路に接続する、項目11に記載の送電装置。
【0109】
[項目13]
前記制御回路は、送電を行う際、前記複数の送電コイルから選択した2つの送電コイルを前記送電回路に接続する、項目12に記載の送電装置。
【0110】
[項目14]
前記複数の送電コイルは、選択された前記少なくとも2つの送電コイルが同位相の磁界を発生させるように前記送電回路に接続されている、項目11〜13のいずれかに記載の送電装置。
【0111】
[項目15]
前記配列方向における各送電コイルの長さをDwtとし、前記受電コイルの最大径Dwrとするとき、0.2≦Dwt/Dwr≦0.7を満足する、項目11〜14のいずれかに記載の送電装置。
【0112】
[項目16]
前記配列方向における各送電コイルの長さは、24mmよりも小さく、前記面上において前記配列方向に垂直な方向における各送電コイルの長さは、24mmよりも大きい、項目11〜15のいずれかに記載の送電装置。
【0113】
[項目17]
前記複数の送電コイルは、前記送電回路に対して互いに並列に接続され、
前記送電装置は、前記送電回路と前記複数の送電コイルとの間にそれぞれ配置された複数のスイッチをさらに備え、
前記制御回路は、前記複数のスイッチの導通状態を切り替えることにより、前記送電回路と前記複数の送電コイルとの接続状態を切り替えるように構成されている、
項目11〜16のいずれかに記載の送電装置。
【0114】
[項目18]
前記複数の送電コイルの各々の一端は、互いに接続され、
前記複数の送電コイルの各々の他端は、前記複数のスイッチの1つに接続され、
前記送電装置は、前記複数の送電コイルの前記一端と前記送電回路との間に接続された共振キャパシタをさらに備えている、
項目17に記載の送電装置。
【0115】
[項目19]
送電装置と、
受電コイルを有する受電装置と、
を備える無線電力伝送システムであって、
前記送電装置は、
面上に一列に配列された複数の送電コイルと、
前記複数の送電コイルに接続され、前記複数の送電コイルに交流電力を供給する送電回路と、
前記送電回路と各送電コイルとの間の接続状態を制御する制御回路と、
を備え、
前記複数の送電コイルの配列方向において、各送電コイルの長さは、前記受電コイルの長さよりも小さく、
前記面上における前記配列方向に垂直な方向において、各送電コイルの長さは、前記受電コイルの長さよりも大きく、
前記制御回路は、前記複数の送電コイルに対する前記受電コイルの相対位置に応じて、前記複数の送電コイルから選択した隣接する少なくとも2つの送電コイルに前記交流電力が供給されるように、前記送電回路と前記複数の送電コイルとの接続状態を切り替える、無線電力伝送システム。