(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6633863
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】絶縁同期整流型DC/DCコンバータ、同期整流コントローラ、それを用いた電源装置、電源アダプタおよび電子機器、同期整流コントローラの制御方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20200109BHJP
【FI】
H02M3/28 H
【請求項の数】26
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-157186(P2015-157186)
(22)【出願日】2015年8月7日
(65)【公開番号】特開2017-38450(P2017-38450A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2018年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】菊池 弘基
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮
【審査官】
麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0192575(US,A1)
【文献】
特開2009−284667(JP,A)
【文献】
特開2014−166045(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0268914(US,A1)
【文献】
特開2010−074959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00−3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁同期整流型のDC/DCコンバータの2次側に配置され、同期整流トランジスタを制御する同期整流コントローラであって、
前記同期整流トランジスタのドレイン電圧を負の第1しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第1しきい値電圧より低くなるとセット信号をアサートする第1コンパレータと、
前記ドレイン電圧を負の第2しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第2しきい値電圧より高くなるとリセット信号をアサートする第2コンパレータと、
前記ドレイン電圧を分圧する分圧回路と、
前記分圧回路による分圧後の前記ドレイン電圧を正の第3しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が、前記第3しきい値電圧に応じて定まる電源電圧より高いしきい値を超えると解除信号をアサートする第3コンパレータと、
前記セット信号のアサートに応答してセットされ、その出力である制御パルスを前記同期整流トランジスタのオンを指示するオンレベルとし、前記リセット信号のアサートに応答してリセットされ、前記制御パルスを前記同期整流トランジスタのオフを指示するオフレベルとする制御回路と、
前記制御パルスに応じて前記同期整流トランジスタを駆動するドライバと、
を備え、
前記制御回路は、前記制御パルスが前記オフレベルに遷移してから、前記解除信号がアサートされるまでの間、セット動作が禁止されることを特徴とする同期整流コントローラ。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記セット信号が入力されるセット端子と、前記リセット信号が入力されるリセット端子を有し、前記制御パルスを出力する第1フリップフロップと、
前記制御パルス、前記解除信号を受け、前記制御パルスが前記オフレベルに遷移してから前記解除信号がアサートされるまでの間、前記リセット信号を強制的にアサート状態に固定する強制オフ回路と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の同期整流コントローラ。
【請求項3】
前記強制オフ回路は、
前記制御パルスのネガティブエッジに応答して第1レベル、前記解除信号のアサートに応答して第2レベルとなるマスク信号を生成するマスク信号生成回路と、
前記マスク信号と前記リセット信号を受け、前記第1フリップフロップのリセット端子に出力する論理ゲートと、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の同期整流コントローラ。
【請求項4】
前記マスク信号生成回路は、
前記制御パルスのネガティブエッジによりセットされ、前記解除信号に応じてリセットされる第2フリップフロップと、
前記第2フリップフロップの出力を反転するインバータと、
を含み、
前記論理ゲートは、ANDゲートを含むことを特徴とする請求項3に記載の同期整流コントローラ。
【請求項5】
前記制御回路は、前記制御パルスが前記オフレベルに遷移してから所定の第1ブランキング時間の間、前記リセット信号を強制的にアサート状態に固定する第1ブランキング回路をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の同期整流コントローラ。
【請求項6】
前記制御回路は、前記制御パルスが前記オフレベルに遷移してから所定の第1ブランキング時間の間、前記セット信号を強制的にネゲート状態に固定する第1ブランキング回路をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の同期整流コントローラ。
【請求項7】
前記制御回路は、前記制御パルスが前記オンレベルに遷移してから所定の第2ブランキング時間の間、前記リセット信号を強制的にネゲート状態に固定する第2ブランキング回路をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の同期整流コントローラ。
【請求項8】
絶縁同期整流型のDC/DCコンバータの2次側に配置され、同期整流トランジスタを制御する同期整流コントローラであって、
前記同期整流トランジスタのドレイン電圧を負の第1しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第1しきい値電圧より低くなるとセット信号をアサートする第1コンパレータと、
前記ドレイン電圧を負の第2しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第2しきい値電圧より高くなるとリセット信号をアサートする第2コンパレータと、
前記ドレイン電圧を正の第3しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第3しきい値電圧より高くなると、解除信号をアサートする第3コンパレータと、
前記セット信号のアサートに応答してセットされ、その出力である制御パルスを前記同期整流トランジスタのオンを指示するオンレベルとし、前記リセット信号のアサートに応答してリセットされ、前記制御パルスを前記同期整流トランジスタのオフを指示するオフレベルとする制御回路と、
前記制御パルスに応じて前記同期整流トランジスタを駆動するドライバと、
を備え、
前記制御回路は、前記制御パルスが前記オフレベルに遷移してから、前記解除信号がアサートされるまでの間、セット動作が禁止され、
前記制御回路は、前記制御パルスが前記オフレベルに遷移してから所定の第1ブランキング時間の間、前記リセット信号を強制的にアサート状態に固定する第1ブランキング回路をさらに備えることを特徴とする同期整流コントローラ。
【請求項9】
絶縁同期整流型のDC/DCコンバータの2次側に配置され、同期整流トランジスタを制御する同期整流コントローラであって、
前記同期整流トランジスタのドレイン電圧を負の第1しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第1しきい値電圧より低くなるとセット信号をアサートする第1コンパレータと、
前記ドレイン電圧を負の第2しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第2しきい値電圧より高くなるとリセット信号をアサートする第2コンパレータと、
前記ドレイン電圧を正の第3しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第3しきい値電圧より高くなると、解除信号をアサートする第3コンパレータと、
前記セット信号のアサートに応答してセットされ、その出力である制御パルスを前記同期整流トランジスタのオンを指示するオンレベルとし、前記リセット信号のアサートに応答してリセットされ、前記制御パルスを前記同期整流トランジスタのオフを指示するオフレベルとする制御回路と、
前記制御パルスに応じて前記同期整流トランジスタを駆動するドライバと、
を備え、
前記制御回路は、前記制御パルスが前記オフレベルに遷移してから、前記解除信号がアサートされるまでの間、セット動作が禁止され、
前記制御回路は、前記制御パルスが前記オフレベルに遷移してから所定の第1ブランキング時間の間、前記セット信号を強制的にネゲート状態に固定する第1ブランキング回路をさらに備えることを特徴とする同期整流コントローラ。
【請求項10】
絶縁同期整流型のDC/DCコンバータの2次側に配置され、同期整流トランジスタを制御する同期整流コントローラであって、
前記同期整流トランジスタのドレイン電圧を負の第1しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第1しきい値電圧より低くなるとセット信号をアサートする第1コンパレータと、
前記ドレイン電圧を負の第2しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第2しきい値電圧より高くなるとリセット信号をアサートする第2コンパレータと、
前記ドレイン電圧を正の第3しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第3しきい値電圧より高くなると、解除信号をアサートする第3コンパレータと、
前記セット信号のアサートに応答してセットされ、その出力である制御パルスを前記同期整流トランジスタのオンを指示するオンレベルとし、前記リセット信号のアサートに応答してリセットされ、前記制御パルスを前記同期整流トランジスタのオフを指示するオフレベルとする制御回路と、
前記制御パルスに応じて前記同期整流トランジスタを駆動するドライバと、
を備え、
前記制御回路は、前記制御パルスが前記オフレベルに遷移してから、前記解除信号がアサートされるまでの間、セット動作が禁止され、
前記制御回路は、前記制御パルスが前記オンレベルに遷移してから所定の第2ブランキング時間の間、前記リセット信号を強制的にネゲート状態に固定する第2ブランキング回路をさらに備えることを特徴とする同期整流コントローラ。
【請求項11】
絶縁同期整流型のDC/DCコンバータの2次側に配置され、同期整流トランジスタを制御する同期整流コントローラであって、
前記同期整流トランジスタの両端間電圧にもとづいて制御パルスを生成するパルス発生器であって、前記DC/DCコンバータの1次側のスイッチングトランジスタのターンオフを検出すると前記制御パルスを前記同期整流トランジスタのオンを指示するオンレベルとし、トランスの2次巻線の電流が実質的にゼロになったことを検出すると、前記制御パルスを前記同期整流トランジスタのオフを指示するオフレベルとするパルス発生器と、
前記制御パルスに応じて前記同期整流トランジスタをスイッチングするドライバと、
前記スイッチングトランジスタのターンオンが検出されてから計時を開始して所定のタイムアップ期間の経過後、または前記同期整流トランジスタのターンオフを契機として、前記同期整流トランジスタを強制的にオフする強制オフ状態に移行する強制オフ回路と、
を備えることを特徴とする同期整流コントローラ。
【請求項12】
前記同期整流トランジスタのドレイン電圧を正の第4しきい値電圧と比較する第4コンパレータをさらに備え、
前記強制オフ回路は、前記ドレイン電圧が前記第4しきい値電圧を超えると、計時を開始することを特徴とする請求項11に記載の同期整流コントローラ。
【請求項13】
前記パルス発生器は、
前記スイッチングトランジスタのターンオフを検出するとアサートされるセット信号を生成するセット信号生成部と、
前記トランスの2次巻線の電流が実質的にゼロになったことを検出すると、アサートされるリセット信号を生成するリセット信号生成部と、
前記セット信号がアサートされるとオンレベルに遷移し、前記リセット信号がアサートされるとオフレベルに遷移する前記制御パルスを生成する第1フリップフロップと、
を含むことを特徴とする請求項11または12に記載の同期整流コントローラ。
【請求項14】
前記強制オフ回路は、前記スイッチングトランジスタのターンオンが検出されてから前記タイムアップ期間の経過後、または前記同期整流トランジスタのターンオフを契機としてアサートされる強制オフ信号を生成し、
前記第1フリップフロップは、前記リセット信号および前記強制オフ信号の少なくとも一方がアサートされると、前記制御パルスをオフレベルに遷移させることを特徴とする請求項13に記載の同期整流コントローラ。
【請求項15】
前記セット信号生成部は、前記同期整流トランジスタのドレイン電圧を負の第1しきい値電圧と比較し、比較結果に応じた前記セット信号を出力する第1コンパレータを含み、
前記リセット信号生成部は、前記ドレイン電圧を負の第2しきい値電圧と比較し、比較結果に応じた前記リセット信号を出力する第2コンパレータを含むことを特徴とする請求項13または14に記載の同期整流コントローラ。
【請求項16】
前記強制オフ回路は、
キャパシタと、
前記キャパシタを充電する電流源と、
前記キャパシタの電圧を所定の第5しきい値電圧と比較する第5コンパレータと、
前記同期整流トランジスタのターンオフを契機として、前記キャパシタの電圧を、前記第5しきい値電圧より高い電圧にプルアップするプルアップ回路と、
を含み、前記第5コンパレータの出力に応じて前記強制オフ状態に移行することを特徴とする請求項11から15のいずれかに記載の同期整流コントローラ。
【請求項17】
絶縁同期整流型のDC/DCコンバータの2次側に配置され、同期整流トランジスタを制御する同期整流コントローラであって、
前記同期整流トランジスタのドレイン電圧を負の第1しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第1しきい値電圧より低くなるとセット信号をアサートする第1コンパレータと、
前記ドレイン電圧を負の第2しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第2しきい値電圧より高くなるとリセット信号をアサートする第2コンパレータと、
前記セット信号がアサートされるとオンレベルに遷移し、前記リセット信号および強制オフ信号の少なくとも一方がアサートされるとオフレベルに遷移する制御パルスを生成する第1フリップフロップと、
前記ドレイン電圧を分圧する分圧回路と、
前記分圧回路による分圧後の前記ドレイン電圧を正の第4しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第4しきい値電圧に応じて定まる電源電圧より高いしきい値を超えると、検出信号をアサートする第4コンパレータと、
前記検出信号がアサートされてから計時を開始して所定のタイムアップ期間の経過後、または前記制御パルスのオフレベルへの遷移を契機として、前記強制オフ信号をアサートする強制オフ回路と、
を備えることを特徴とする同期整流コントローラ。
【請求項18】
前記強制オフ回路は、
キャパシタと、
前記キャパシタを充電する電流源と、
前記キャパシタの電圧を所定の第5しきい値電圧と比較する第5コンパレータと、
前記同期整流トランジスタのターンオフを契機として、前記キャパシタの電圧を、前記第5しきい値電圧より高い電圧にプルアップするプルアップ回路と、
を含み、前記強制オフ信号は、前記第5コンパレータの出力に応じていることを特徴とする請求項17に記載の同期整流コントローラ。
【請求項19】
ひとつの半導体基板に一体集積化されたことを特徴とする請求項1から18のいずれかに記載の同期整流コントローラ。
【請求項20】
絶縁同期整流型のDC/DCコンバータであって、
1次巻線および2次巻線を有するトランスと、
前記トランスの1次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、
前記トランスの2次巻線と接続される同期整流トランジスタと、
フォトカプラと、
前記フォトカプラの出力側と接続され、前記フォトカプラからのフィードバック信号に応じて前記スイッチングトランジスタをスイッチングする1次側コントローラと、
前記同期整流トランジスタを制御する請求項1から19のいずれかに記載の同期整流コントローラと、
前記フォトカプラの入力側と接続され、前記DC/DCコンバータの出力電圧に応じた誤差電流を発生するフィードバック回路と、
を備えることを特徴とするDC/DCコンバータ。
【請求項21】
商用交流電圧をフィルタリングするフィルタと、
前記フィルタの出力電圧を全波整流するダイオード整流回路と、
前記ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、
前記直流入力電圧を降圧し、負荷に供給する請求項20に記載のDC/DCコンバータと、
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項22】
負荷と、
商用交流電圧をフィルタリングするフィルタと、
前記フィルタの出力電圧を全波整流するダイオード整流回路と、
前記ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、
前記直流入力電圧を降圧し、負荷に供給する請求項20に記載のDC/DCコンバータと、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項23】
商用交流電圧をフィルタリングするフィルタと、
前記フィルタの出力電圧を全波整流するダイオード整流回路と、
前記ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、
前記直流入力電圧を降圧し、負荷に供給する請求項20に記載のDC/DCコンバータと、
を備えることを特徴とする電源アダプタ。
【請求項24】
絶縁同期整流型のDC/DCコンバータの同期整流トランジスタの制御方法であって、
前記同期整流トランジスタのドレイン電圧を負の第1しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第1しきい値電圧より低くなるとセット信号をアサートするステップと、
前記ドレイン電圧を負の第2しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第2しきい値電圧より高くなるとリセット信号をアサートするステップと、
前記ドレイン電圧を分圧するステップと、
分圧後の前記ドレイン電圧を正の第3しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が、前記第3しきい値電圧に応じて定まる電源電圧より高いしきい値を超えると、解除信号をアサートするステップと、
前記セット信号のアサートに応答して制御パルスが前記同期整流トランジスタのオンを指示するオンレベルに遷移し、前記リセット信号のアサートに応答して前記制御パルスが前記同期整流トランジスタのオフを指示するオフレベルに遷移するステップと、
前記制御パルスに応じて前記同期整流トランジスタを駆動するステップと、
前記制御パルスが前記オフレベルに遷移してから、前記解除信号がアサートされるまでの間、前記制御パルスのオンレベルの遷移を禁止するステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項25】
絶縁同期整流型のDC/DCコンバータの同期整流トランジスタの制御方法であって、
前記DC/DCコンバータの1次側のスイッチングトランジスタのターンオフを検出すると制御パルスが前記同期整流トランジスタのオンを指示するオンレベルに遷移するステップと、
トランスの2次巻線の電流が実質的にゼロになったことを検出すると、前記制御パルスが前記同期整流トランジスタのオフを指示するオフレベルに遷移するステップと、
前記制御パルスに応じて前記同期整流トランジスタをスイッチングするステップと、
前記スイッチングトランジスタのターンオンが検出されてから計時を開始して所定のタイムアップ期間の経過後、または前記同期整流トランジスタのターンオフを契機として、前記同期整流トランジスタを強制的にオフするステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項26】
絶縁同期整流型のDC/DCコンバータの同期整流トランジスタの制御方法であって、
前記同期整流トランジスタのドレイン電圧を負の第1しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第1しきい値電圧より低くなるとセット信号をアサートするステップと、
前記ドレイン電圧を負の第2しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が前記第2しきい値電圧より高くなるとリセット信号をアサートするステップと、
前記セット信号がアサートされるとオンレベルに遷移し、前記リセット信号および強制オフ信号の少なくとも一方がアサートされるとオフレベルに遷移する制御パルスを生成するステップと、
前記ドレイン電圧を分圧するステップと、
分圧後の前記ドレイン電圧を正の第4しきい値電圧と比較し、前記ドレイン電圧が、前記第4しきい値電圧に応じて定まる電源電圧より高いしきい値を超えると、検出信号をアサートするステップと、
前記検出信号がアサートされてから計時を開始して所定のタイムアップ期間の経過後、または前記制御パルスのオフレベルへの遷移を契機として、前記強制オフ信号をアサートするステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁同期整流型DC/DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビや冷蔵庫をはじめとするさまざまな家電製品は、外部からの商用交流電力を受けて動作する。ラップトップ型コンピュータ、携帯電話端末やタブレット端末をはじめとする電子機器も、商用交流電力によって動作可能であり、あるいは商用交流電力によって、機器に内蔵の電池を充電可能となっている。こうした家電製品や電子機器(以下、電子機器と総称する)には、商用交流電圧をAC/DC(交流/直流)変換する電源装置(AC/DCコンバータ)が内蔵される。あるいは電子機器の外部の電源アダプタ(ACアダプタ)にAC/DCコンバータが内蔵される場合もある。
【0003】
図1は、AC/DCコンバータ100rの基本構成を示すブロック図である。AC/DCコンバータ100rは主としてフィルタ102、整流回路104、平滑キャパシタ106およびDC/DCコンバータ200rを備える。
【0004】
商用交流電圧V
ACは、ヒューズおよび入力キャパシタ(不図示)を介してフィルタ102に入力される。フィルタ102は、商用交流電圧V
ACのノイズを除去する。整流回路104は、商用交流電圧V
ACを全波整流するダイオードブリッジ回路である。整流回路104の出力電圧は、平滑キャパシタ106によって平滑化され、直流電圧V
INに変換される。
【0005】
絶縁型のDC/DCコンバータ200rは、入力端子P1に直流電圧V
INを受け、それを降圧して、目標値に安定化された出力電圧V
OUTを出力端子P2に接続される負荷(不図示)に供給する。
【0006】
DC/DCコンバータ200rは、1次側コントローラ202、フォトカプラ204、フィードバック回路206、出力回路210、同期整流コントローラ300r、およびその他の回路部品を備える。出力回路210は、トランスT1、ダイオードD1、出力キャパシタC1、スイッチングトランジスタM1、同期整流トランジスタM2を含む。出力回路210のトポロジーは、一般的な同期整流型のフライバックコンバータのそれであるため、説明を省略する。
【0007】
トランスT1の1次巻線W1と接続されるスイッチングトランジスタM1がスイッチングすることにより、入力電圧V
INが降圧され、出力電圧V
OUTが生成される。そして1次側コントローラ202は、スイッチングトランジスタM1のスイッチングのデューティ比を調節する。
【0008】
DC/DCコンバータ200rの出力電圧V
OUTは、抵抗R1、R2により分圧される。フィードバック回路206は、たとえばシャントレギュレータあるいは誤差増幅器を含み、分圧された電圧(電圧検出信号)V
Sと所定の基準電圧V
REF(不図示)の誤差を増幅し、誤差に応じた誤差電流I
ERRを生成し、フォトカプラ204の入力側の発光素子(発光ダイオード)から引き込む(シンク)。
【0009】
フォトカプラ204の出力側の受光素子(フォトトランジスタ)には、2次側の誤差電流I
ERRに応じたフィードバック電流I
FBが流れる。このフィードバック電流I
FBが、抵抗およびキャパシタにより平滑化され、1次側コントローラ202のフィードバック(FB)端子に入力される。1次側コントローラ202は、FB端子の電圧(フィードバック電圧)V
FBにもとづいてスイッチングトランジスタM1のデューティ比を調節する。
【0010】
同期整流コントローラ300rは、スイッチングトランジスタM1のスイッチングと同期して、同期整流トランジスタM2をスイッチングする。より詳しくは、同期整流コントローラ300rは、スイッチングトランジスタM1がターンオフすると、同期整流トランジスタM2をターンオンし、同期整流トランジスタM2のオン期間に2次巻線W2に流れる2次電流I
Sが実質的にゼロになると、同期整流トランジスタM2をターンオフする。
【0011】
以上がAC/DCコンバータ100rの全体構成である。
【0012】
続いて同期整流コントローラ300rについて説明する。
図2は、本発明者が検討した同期整流コントローラ300rの回路図である。なお
図2の同期整流コントローラ300rを公知技術と認定してはならない。
【0013】
同期整流コントローラ300rは、ドレインセンス(DRAIN)端子、ゲート出力(GATE)端子、接地(GND)端子を有する。DRAIN端子は、同期整流トランジスタM2のドレインと接続され、GND端子は接地され、同期整流トランジスタM2のソースと共通に接続される。
【0014】
同期整流コントローラ300rは、第1コンパレータCMP1、第2コンパレータCMP2、第1ブランキング回路312、第2ブランキング回路314,第1フリップフロップFF1、ドライバ306を備える。第1コンパレータ(セットコンパレータともいう)CMP1は、同期整流トランジスタM2のドレイン電圧(ドレインソース間電圧)V
Dを、負の第1しきい値電圧V
TH1(たとえば−100mV)と比較し、V
D<V
TH1となると、セット信号S11をアサート(たとえばハイレベル)する。セット信号S11は、第1フリップフロップFF1のセット端子に入力され、セット信号S11のアサートに応答して、第1フリップフロップFF1の出力(制御パルスという)S
CNTはハイレベルとなる。第1ブランキング回路312は、制御パルスS
CNTが変化してから、所定のブランキング時間T
BLNK1の間、セット信号S11をマスクする。
【0015】
第2コンパレータ(リセットコンパレータともいう)CMP2は、同期整流トランジスタM2のドレイン電圧(ドレインソース間電圧)V
Dを、負の第2しきい値電圧V
TH2(たとえば−3mV)と比較し、V
D>V
TH2となると、リセット信号S12をアサート(たとえばローレベル)する。リセット信号S12は、第1フリップフロップFF1のリセット端子(負論理)に入力され、リセット信号S12のアサート(ネガティブエッジ)に応答して、制御パルスS
CNTはローレベルとなる。第2ブランキング回路314は、制御パルスS
CNTが変化してから、所定のブランキング時間T
BLNK2の間、リセット信号S12をマスクする。ドライバ306は、制御パルスS
CNTに応じて同期整流トランジスタM2をスイッチングする。
【0016】
図3は、不連続モードにおける同期整流コントローラ300rの動作波形図である。時刻t0にスイッチングトランジスタM1がターンオンする。スイッチングトランジスタM1のオン期間T
ON1において、2次巻線W2の両端間電圧は、−V
IN×N
S/N
Pであるから、同期整流トランジスタM2のドレイン電圧V
D(つまりドレインソース間電圧V
DS)は、V
D=V
OUT+V
IN×N
S/N
Pとなる。N
P,N
Sは、1次巻線W1、2次巻線W2の巻数である。
【0017】
時刻t1にスイッチングトランジスタM1がオフすると、同期整流トランジスタM2のソースからドレインに向かって2次電流I
Sが流れるため、同期整流トランジスタM2のドレインソース間電圧は負電圧となる。同期整流コントローラ300rは、ドレイン電圧V
Dが負の第1しきい値電圧V
TH1(たとえば−100mV)より低くなると(時刻t1)、直ちに同期整流トランジスタM2をターンオンする(時刻t2)。t1〜t2の遅延の間、2次電流I
Sは同期整流トランジスタM2のボディダイオードに流れ、ドレイン電圧V
Dは−V
Fとなる。V
Fはダイオードの順方向電圧である。
【0018】
同期整流トランジスタM2のオン期間T
ON2において、トランスT1に蓄えられたエネルギーの減少にともない2次電流I
Sは減少していき、ドレインソース間電圧V
DSの絶対値は小さくなる。やがて2次電流I
Sが実質的にゼロになると、ドレインソース間電圧V
DSも実質的にゼロとなる。同期整流トランジスタM2のオン抵抗をR
ON2とするとき、オン期間T
ON2におけるドレイン電圧V
Dは、−I
S×R
ON2である。
【0019】
同期整流コントローラ300rは、ドレイン電圧V
Dが負の第2しきい値電圧V
TH2(たとえば−3mV)を超えると(時刻t3)、直ちに同期整流トランジスタM2をターンオフする。時刻t4に2次電流I
Sがゼロとなると、ドレイン電圧V
Dはリンギングする。その後、時刻t5に再びスイッチングトランジスタM1がターンオンする。
【0020】
時刻t4においてドレイン電圧V
Dが第1しきい値電圧V
TH1を超えると、セット信号S11はアサートされるが、第1ブランキング回路312によってマスクされるため、同期整流トランジスタM2のターンオンが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2010−074959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明者らは、
図1のDC/DCコンバータ200rについて検討した結果、以下の課題を認識するに至った。同期整流トランジスタM2のオン抵抗R
ON2はばらつきを有するところ、オン抵抗R
ON2が小さいと、同期整流トランジスタM2が2度、ターンオンするという誤動作が発生する。以下、この問題を具体的に説明する。
【0023】
図4は、同期整流トランジスタM2のオン抵抗R
ON2が小さいときの同期整流コントローラ300rの動作波形図である。オン抵抗R
ON2が小さいときのドレイン電圧V
Dを実線(i)で示し、比較のためにオン抵抗R
ON2が大きいときのドレイン電圧V
Dを一点鎖線(ii)で示す。同期整流トランジスタM2のオン期間中のドレイン電圧V
Dの傾きは、オン抵抗R
ON2に比例する。しきい値電圧V
TH2が一定とすると、オン抵抗R
ON2が小さいほど、リセット信号S12がアサートされるタイミングt3は前にシフトし、第1ブランキング回路312のブランキング期間T
BLANK1が前にシフトすることとなる。その結果、セット信号S11の二回目のアサート区間の一部が、ブランキング期間T
BLANK1より後に発生し、これにより時刻t4に同期整流トランジスタM2が再びターンオンする誤動作が発生する。
【0024】
このように
図2の同期整流コントローラ300rでは、同期整流トランジスタM2のオン抵抗R
ON2が小さいアプリケーションにおいて、1周期内で同期整流トランジスタM2が複数回、オンすることとなる。これは軽負荷状態におけるスイッチング損失の増加、ひいては効率の低下を意味するため、好ましくない。
【0025】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、同期整流トランジスタM2の2度のターンオンを抑制可能な同期整流コントローラの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明のある態様は、絶縁同期整流型のDC/DCコンバータの2次側に配置され、同期整流トランジスタを制御する同期整流コントローラに関する。同期整流コントローラは、同期整流トランジスタのドレイン電圧を負の第1しきい値電圧と比較し、ドレイン電圧が第1しきい値電圧より低くなるとセット信号をアサートする第1コンパレータと、ドレイン電圧を負の第2しきい値電圧と比較し、ドレイン電圧が第2しきい値電圧より高くなるとリセット信号をアサートする第2コンパレータと、ドレイン電圧を正の第3しきい値電圧と比較し、ドレイン電圧が第3しきい値電圧より高くなると、解除信号をアサートする第3コンパレータと、セット信号のアサートに応答してセットされ、その出力である制御パルスを同期整流トランジスタのオンを指示するオンレベルとし、リセット信号のアサートに応答してリセットされ、制御パルスを同期整流トランジスタのオフを指示するオフレベルとする制御回路と、制御パルスに応じて同期整流トランジスタを駆動するドライバと、を備える。制御回路は、制御パルスがオフレベルに遷移してから、解除信号がアサートされるまでの間、セット動作が禁止される。
この態様によると、同期整流トランジスタの2度のターンオンを抑制できる。
【0027】
制御回路は、セット信号が入力されるセット端子と、リセット信号が入力されるリセット端子を有し、制御パルスを出力する第1フリップフロップと、制御パルス、解除信号を受け、制御パルスがオフレベルに遷移してから解除信号がアサートされるまでの間、リセット信号を強制的にアサート状態に固定する強制オフ回路と、を含んでもよい。
これにより、同期整流トランジスタのセット動作が無効化され、同期整流トランジスタのターンオンが禁止される。
【0028】
強制オフ回路は、制御パルスのネガティブエッジに応答して第1レベル、解除信号のアサートに応答して第2レベルとなるマスク信号を生成するマスク信号生成回路と、マスク信号とリセット信号を受け、第1フリップフロップのリセット端子に出力する論理ゲートと、を含んでもよい。
なお論理ゲートは、その出力が適切な論理レベルとなるように設計すればよい。
【0029】
マスク信号生成回路は、制御パルスのネガティブエッジによりセットされ、解除信号に応じてリセットされる第2フリップフロップと、第2フリップフロップの出力を反転するインバータと、を含んでもよい。論理ゲートは、ANDゲートを含んでもよい。
【0030】
制御回路は、制御パルスがオフレベルに遷移してから所定の第1ブランキング時間の間、リセット信号を強制的にアサート状態に固定する第1ブランキング回路をさらに備えてもよい。
【0031】
制御回路は、制御パルスがオフレベルに遷移してから所定の第1ブランキング時間の間、セット信号を強制的にネゲート状態に固定する第1ブランキング回路をさらに備えてもよい。
【0032】
制御回路は、制御パルスがオンレベルに遷移してから所定の第2ブランキング時間の間、リセット信号を強制的にネゲート状態に固定する第2ブランキング回路をさらに備えてもよい。
【0033】
本発明の別の態様もまた、同期整流コントローラである。この同期整流コントローラは、同期整流トランジスタの両端間電圧にもとづいて制御パルスを生成するパルス発生器であって、DC/DCコンバータの1次側のスイッチングトランジスタのターンオフを検出すると制御パルスを同期整流トランジスタのオンを指示するオンレベルとし、トランスの2次巻線の電流が実質的にゼロになったことを検出すると、制御パルスを同期整流トランジスタのオフを指示するオフレベルとするパルス発生器と、制御パルスに応じて同期整流トランジスタをスイッチングするドライバと、スイッチングトランジスタのターンオンが検出されてから計時を開始して所定のタイムアップ期間の経過後、または同期整流トランジスタのターンオフを契機として、同期整流トランジスタを強制的にオフする強制オフ状態に移行する強制オフ回路と、を備える。
【0034】
この態様によると、同期整流トランジスタの2度のターンオンを抑制できる。
【0035】
ある態様の同期整流コントローラは、同期整流トランジスタのドレイン電圧を正の第4しきい値電圧と比較する第4コンパレータをさらに備えてもよい。強制オフ回路は、ドレイン電圧が第4しきい値電圧を超えると、計時を開始してもよい。
【0036】
パルス発生器は、スイッチングトランジスタのターンオフを検出するとアサートされるセット信号を生成するセット信号生成部と、トランスの2次巻線の電流が実質的にゼロになったことを検出すると、アサートされるリセット信号を生成するリセット信号生成部と、セット信号がアサートされるとオンレベルに遷移し、リセット信号がアサートされるとオフレベルに遷移する制御パルスを生成する第1フリップフロップと、を含んでもよい。
【0037】
強制オフ回路は、スイッチングトランジスタのターンオンが検出されてからタイムアップ期間の経過後、または同期整流トランジスタのターンオフを契機としてアサートされる強制オフ信号を生成し、第1フリップフロップは、リセット信号および強制オフ信号の少なくとも一方がアサートされると、制御パルスをオフレベルに遷移させてもよい。
【0038】
セット信号生成部は、同期整流トランジスタのドレイン電圧を負の第1しきい値電圧と比較し、比較結果に応じたセット信号を出力する第1コンパレータを含んでもよい。リセット信号生成部は、ドレイン電圧を負の第2しきい値電圧と比較し、比較結果に応じたリセット信号を出力する第2コンパレータを含んでもよい。
【0039】
強制オフ回路は、キャパシタと、キャパシタを充電する電流源と、キャパシタの電圧を所定の第5しきい値電圧と比較する第5コンパレータと、同期整流トランジスタのターンオフを契機として、キャパシタの電圧を、第5しきい値電圧より高い電圧にプルアップするプルアップ回路と、を含み、第5コンパレータの出力に応じて強制オフ状態に移行してもよい。
【0040】
本発明のさらに別の態様もまた、同期整流コントローラである。この同期整流コントローラは、同期整流トランジスタのドレイン電圧を負の第1しきい値電圧と比較し、ドレイン電圧が第1しきい値電圧より低くなるとセット信号をアサートする第1コンパレータと、ドレイン電圧を負の第2しきい値電圧と比較し、ドレイン電圧が第2しきい値電圧より高くなるとリセット信号をアサートする第2コンパレータと、セット信号がアサートされるとオンレベルに遷移し、リセット信号および強制オフ信号の少なくとも一方がアサートされるとオフレベルに遷移する制御パルスを生成する第1フリップフロップと、ドレイン電圧を正の第4しきい値電圧と比較し、ドレイン電圧が第4しきい値電圧より高くなると、検出信号をアサートする第4コンパレータと、検出信号がアサートされてから計時を開始して所定のタイムアップ期間の経過後、または制御パルスのオフレベルへの遷移を契機として、強制オフ信号をアサートする強制オフ回路と、を備える。
【0041】
強制オフ回路は、キャパシタと、キャパシタを充電する電流源と、キャパシタの電圧を所定の第5しきい値電圧と比較する第5コンパレータと、同期整流トランジスタのターンオフを契機として、キャパシタの電圧を、第5しきい値電圧より高い電圧にプルアップするプルアップ回路と、を含み、強制オフ信号は、第5コンパレータの出力に応じていてもよい。
【0042】
ある態様において同期整流コントローラは、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。
回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0043】
本発明の別の態様は、絶縁同期整流型のDC/DCコンバータに関する。DC/DCコンバータは、1次巻線および2次巻線を有するトランスと、トランスの1次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、トランスの2次巻線と接続される同期整流トランジスタと、フォトカプラと、フォトカプラの出力側と接続され、フォトカプラからのフィードバック信号に応じてスイッチングトランジスタをスイッチングする1次側コントローラと、同期整流トランジスタを制御する上述のいずれかの同期整流コントローラと、フォトカプラの入力側と接続され、DC/DCコンバータの出力電圧に応じた誤差電流を発生するフィードバック回路と、を備える。
【0044】
DC/DCコンバータは、フライバック型であってもよいし、フォワード型であってもよい。
【0045】
本発明の別の態様は、電源装置(AC/DCコンバータ)に関する。電源装置は、商用交流電圧をフィルタリングするフィルタと、フィルタの出力電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧し、負荷に供給する上述のDC/DCコンバータと、を備える。
【0046】
本発明の別の態様は、電子機器に関する。電子機器は、負荷と、商用交流電圧をフィルタリングするフィルタと、フィルタの出力電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧し、負荷に供給する上述のDC/DCコンバータと、を備える。
【0047】
本発明の別の態様は、ACアダプタに関する。ACアダプタは、商用交流電圧をフィルタリングするフィルタと、フィルタの出力電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧し、直流出力電圧を生成する上述のDC/DCコンバータと、を備える。
【0048】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0049】
本発明のある態様によれば、同期整流トランジスタの2度のオンを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】AC/DCコンバータの基本構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明者が検討した同期整流コントローラの回路図である。
【
図3】不連続モードにおける同期整流コントローラの動作波形図である。
【
図4】同期整流トランジスタのオン抵抗が小さいときの同期整流コントローラの動作波形図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る同期整流コントローラの回路図である。
【
図6】
図5の同期整流コントローラの動作波形図である。
【
図7】同期整流コントローラの具体的な構成例を示す回路図である。
【
図9】
図7および
図8の同期整流コントローラの動作波形図である。
【
図10】
図10(a)、(b)は、第1変形例に係る制御回路の回路図である。
【
図11】第2の実施の形態に係る同期整流コントローラの回路図である。
【
図12】従来の同期整流コントローラの連続モードの動作波形図である。
【
図13】
図11の同期整流コントローラの連続モードの動作波形図である。
【
図14】
図11の同期整流コントローラの不連続モードの動作波形図である。
【
図15】強制オフ回路の構成例を示す回路図である。
【
図16】AC/DCコンバータを備えるACアダプタを示す図である。
【
図17】
図17(a)、(b)は、AC/DCコンバータを備える電子機器を示す図である。
【
図18】第4変形例に係るDC/DCコンバータの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0052】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0053】
(第1の実施の形態)
図5は、第1の実施の形態に係る同期整流コントローラ300の回路図である。同期整流コントローラ300の周辺回路は、
図1に示した通りであるため一部のみを示し、説明を省略する。
【0054】
同期整流コントローラ300は、電源(VCC)端子、ゲート出力(GATE)端子、ドレインセンス(DRAIN)端子、接地(GND)端子を有し、ひとつの半導体基板に集積化された機能IC(Integrated Circuit)である。同期整流コントローラ300は、同期整流トランジスタM2と同一のパッケージに収容され、一体不可分な単一のモジュールを構成してもよい。
【0055】
同期整流コントローラ300のVCC端子には、DC/DCコンバータ200の出力電圧V
OUTが供給され、GND端子は同期整流トランジスタM2のソースと接続されるとともに接地され、DRAIN端子は同期整流トランジスタM2のドレインと接続され、GATE端子は同期整流トランジスタM2のゲートと接続される。
【0056】
同期整流コントローラ300は、そのGND端子が同期整流トランジスタM2のソースと接続され、ソース電圧を基準として動作することから、DRAIN端子のドレイン電圧V
Dは、同期整流トランジスタM2の両端間電圧(ドレインソース間電圧)V
DSに他ならない。
【0057】
同期整流コントローラ300は、パルス発生器304、ドライバ306を備える。パルス発生器304は、同期整流トランジスタM2の両端間電圧V
DS(以下、単にドレイン電圧V
Dとも表記する)にもとづいて制御パルスS
CNTを生成する。パルス発生器304は、DC/DCコンバータ200の1次側のスイッチングトランジスタM1のターンオフを検出すると制御パルスS
CNTを同期整流トランジスタM2のオンを指示するオンレベル(たとえばハイレベル)とし、トランスT1の2次巻線W2の電流I
Sが実質的にゼロになったことを検出すると、制御パルスS
CNTを同期整流トランジスタM2のオフを指示するオフレベル(たとえばローレベル)とする。ドライバ306は、制御パルスS
CNTに応じて同期整流トランジスタM2をスイッチングする。
【0058】
パルス発生器304は、第1コンパレータCMP1、第2コンパレータCMP2、第3コンパレータCMP3および制御回路310を備える。第1コンパレータCMP1は、ドレイン電圧V
Dを負の第1しきい値電圧V
TH1と比較し、ドレイン電圧V
Dが第1しきい値電圧V
TH1より低くなるとセット信号S11をアサートする。第1しきい値電圧V
TH1は、−100mV程度である。第1コンパレータCMP1は、スイッチングトランジスタM1のターンオフを検出するセット信号生成部307と把握できる。第2コンパレータCMP2は、ドレイン電圧V
Dを負の第2しきい値電圧V
TH2と比較し、ドレイン電圧V
Dが第2しきい値電圧V
TH2より高くなるとリセット信号S12をアサートする。第2しきい値電圧V
TH2は−3mV程度である。第2コンパレータCMP2は、スイッチングトランジスタM1のターンオフを検出するリセット信号生成部308と把握できる。
【0059】
抵抗R11,R12は、ドレイン電圧V
Dを分圧する。第3コンパレータCMP3は、分圧されたドレイン電圧V
D’、第3しきい値電圧V
TH3’と比較する。第3コンパレータCMP3は、等価的にドレインV
Dを正の第3しきい値電圧V
TH3と比較し、ドレイン電圧V
Dが第3しきい値電圧V
TH3より高くなると、解除信号S13をアサートする。第3しきい値電圧V
TH3は、電源電圧V
CCより高く、たとえばV
CC×1.4程度に定められる。
【0060】
制御回路310は、セット信号S11のアサートに応答してセットされ、その出力である制御パルスS
CNTが同期整流トランジスタM2のオンを指示するオンレベル(たとえばハイレベル)に遷移する。また制御回路310は、リセット信号S12のアサートに応答してリセットされ、制御パルスS
CNTが同期整流トランジスタM2のオフを指示するオフレベル(たとえばローレベル)に遷移する。
【0061】
制御回路310は制御パルスS
CNTがオフレベルに遷移してから、解除信号S13がアサートされるまでの間、セット動作が禁止され、これにより制御パルスS
CNTがオンレベルに遷移するのが禁止される。
【0062】
制御回路310は、第1フリップフロップFF1および強制オフ回路320を含む。第1フリップフロップFF1は、セット端子にセット信号S11を受け、リセット端子(反転論理)にリセット信号S12を受け、制御パルスS
CNTを出力するSR(Set Reset)フリップフロップである。セット信号S11は正論理であるからアサートはハイレベルであり、リセット信号S12は負論理であるから、アサートはローレベルである。
【0063】
強制オフ回路320は、制御パルスS
CNTおよび解除信号S13を受け、制御パルスS
CNTがオフレベル(ローレベル)に遷移してから解除信号S13がアサートされるまでの間、リセット信号S12aを強制的にアサート状態(ローレベル)に固定する。
【0064】
なお
図5の同期整流コントローラ300において、
図2の第1ブランキング回路312、第2ブランキング回路314の機能は必須ではない。
【0065】
以上が同期整流コントローラ300の基本構成である。続いてその動作を説明する。
図6は、
図5の同期整流コントローラ300の動作波形図である。
図6には、同期整流トランジスタM2のオン抵抗R
ON2が小さいときの動作が示される。
【0066】
時刻t1にスイッチングトランジスタM1がターンオフすると、ドレイン電圧V
Dが−V
Fまで低下し、セット信号S11がアサートされる。セット信号S11のアサートに応答して、時刻t2に制御パルスS
CNTがハイレベルとなり同期整流トランジスタM2がターンオンする。
【0067】
時刻t3にドレイン電圧V
Dが第2しきい値電圧V
TH2を超えると、リセット信号S12がアサート(ローレベル)され、これに応答して制御パルスS
CNTがローレベルに遷移する。制御パルスS
CNTがローレベルに遷移すると、第1フリップフロップFF1のセット動作が禁止される。
【0068】
具体的には、リセット信号S12がネゲート(ハイレベル)された後も、第1フリップフロップFF1へのリセット信号S12aがアサート状態(ローレベル)に固定される。リセット優先のフリップフロップを用いれば、リセット信号S12aがアサートの間、セット信号S11は無効となる。したがって同期整流トランジスタM2は再度、ターンオンしない。
【0069】
そして時刻t4に、2次電流I
Sが完全にゼロとなると、ドレイン電圧V
Dが跳ね上がり、第3しきい値電圧V
TH3を超えて解除信号S13がアサートされる。これによりリセット信号S12aがネゲートされ、第1フリップフロップFF1のセット動作が許可される。
【0070】
この同期整流コントローラ300によれば、時刻t3〜t4の間、同期整流トランジスタM2のターンオンが禁止される。これにより第1ブランキング期間T
BLANK1の経過後の同期整流トランジスタM2の2度目のターンオンを防止できる。
【0071】
本発明は、
図5のブロック図や回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、回路に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本発明の範囲を狭めるためではなく、発明の本質や回路動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例を説明する。
【0072】
図7は、同期整流コントローラ300の具体的な構成例を示す回路図である。強制オフ回路320は、マスク信号生成回路322および論理ゲート324を含む。
【0073】
マスク信号生成回路322は、制御パルスS
CNTおよび解除信号S13に応じて、マスク信号S21を生成する。マスク信号S21は、制御パルスS
CNTのネガティブエッジに応答して第1レベル(アサート、ローレベル)、解除信号S13のアサートに応答して第2レベル(ネゲート、ハイレベル)となる。
【0074】
論理ゲート324は、マスク信号S21とリセット信号S12を受け、それらを論理演算した結果を、第1フリップフロップFF1のリセット端子に出力する。たとえば論理ゲート324は、リセット信号S12とマスク信号S21の少なくとも一方がアサートされると、その出力をアサートするように構成される。第1フリップフロップFF1のリセット端子は負論理系であるから、論理ゲート324はANDゲートで構成すればよい。なお、
図7の第1フリップフロップFF1は、Dフリップフロップであり、
図5のそれと等価である。
【0075】
制御回路310は、第1フリップフロップFF1、強制オフ回路320に加えて、セット用の第1ブランキング回路312と、リセット用の第2ブランキング回路314を含む。第1ブランキング回路312は、制御パルスS
CNTがオフレベルに遷移してから所定の第1ブランキング時間T
BLANK1の間、リセット信号S12を強制的にアサート状態(ローレベル)に固定する。たとえば第1ブランキング回路312は、第1ブランキング期間T
BLANK1の間、アサート(ローレベル)となる第1ブランキング信号S31を生成し、論理ゲート324は、リセット信号S12、マスク信号S21、第1ブランキング信号S31の論理積を生成してもよい。
【0076】
なお第1ブランキング回路312は、
図2の第1ブランキング回路312のように、第1コンパレータCMP1と第1フリップフロップFF1の間に設けられてもよい。この場合、第1ブランキング回路312は、制御パルスS
CNTがオフレベルに遷移してから第1ブランキング時間T
BLANK1の間、セット信号S11を強制的にネゲート状態に固定してもよい。
【0077】
第2ブランキング回路314は、制御パルスS
CNTがオンレベルに遷移してから所定の第2ブランキング時間T
BLANK2の間、リセット信号S12を強制的にネゲート状態(ハイレベル)に固定する。たとえば第2ブランキング回路314は、第2ブランキング期間T
BLANK2の間、ネゲート(ハイレベル)となる第2ブランキング信号S32を生成し、論理ゲート326は、リセット信号S12aと第2ブランキング信号S32の論理和S12bを生成してもよい。
【0078】
図8は、同期整流コントローラ300の回路図である。
図8のマスク信号生成回路322は、ワンショット回路327、インバータ328,329、第2フリップフロップFF2を含む。
【0079】
第2フリップフロップFF2は、制御パルスS
CNTのネガティブエッジによりセットされ、解除信号S13に応じてリセットされる。インバータ328は、第2フリップフロップFF2の出力を反転し、マスク信号S21を出力する。たとえば第2フリップフロップFF2は、Dフリップフロップを含み、インバータ329は、解除信号S13の反転信号をDフリップフロップのクロック端子に供給してもよい。ワンショット回路327は、解除信号S13のアサート(ポジティブエッジ)に応答して所定時間、ローレベルとなるパルスを生成し、第2フリップフロップFF2のリセット端子(反転論理)に出力する。
【0080】
以上が第1の実施の形態に係る同期整流コントローラ300の構成である。続いてその動作を説明する。
図9は、
図7および
図8の同期整流コントローラ300の動作波形図である。このように
図7、
図8の同期整流コントローラ300によれば、同期整流トランジスタM2の2度のターンオンを防止できる。
【0081】
続いて第1の実施の形態の変形例を説明する。
【0082】
(第1変形例)
制御回路310において、そのセット動作を禁止・無効化するための構成は
図5に限定されない。
図10(a)、(b)は、第1変形例に係る制御回路310aの回路図である。第1変形例において強制オフ回路320aは、セット信号S11に作用することにより、制御回路310aのセット動作を禁止する。具体的には強制オフ回路320aは、制御パルスS
CNTおよび解除信号S13を受け、制御パルスS
CNTがオフレベル(ローレベル)に遷移してから解除信号S13がアサートされるまでの間、セット信号S11aを強制的にネゲート状態(ローレベル)に固定する。
【0083】
図10(b)に示すように、強制オフ回路320aは、論理ゲート325およびマスク信号生成回路322aを含んでもよい。
【0084】
強制オフ回路320aのマスク信号生成回路322aは、制御パルスS
CNTおよび解除信号S13に応じて、マスク信号S22を生成する。マスク信号S22は、制御パルスS
CNTのネガティブエッジに応答して第1レベル(ネゲート、ローレベル)、解除信号S13のアサートに応答して第2レベル(アサート、ハイレベル)となる。
【0085】
論理ゲート325は、マスク信号S22とセット信号S11を受け、それらを論理演算した結果を示す信号S11aを、第1フリップフロップFF1のセット端子に出力する。たとえば論理ゲート325は、セット信号S11とマスク信号S22の両方がアサートされると、その出力をアサートするように構成され、たとえばANDゲートを含んでもよい。
【0086】
(第2の実施の形態)
図11は、第2の実施の形態に係る同期整流コントローラ300bの回路図である。同期整流コントローラ300bは、パルス発生器304bおよびドライバ306、強制オフ回路330および第4コンパレータCMP4を備える。
【0087】
パルス発生器304bは、同期整流トランジスタM2の両端間電圧V
DS(つまりドレイン電圧V
D)もとづいて制御パルスS
CNTを生成する。パルス発生器304bは、スイッチングトランジスタM1のターンオフを検出すると制御パルスS
CNTをオンレベルとし、トランスT1の2次巻線W2の電流I
Sが実質的にゼロになったことを検出すると、制御パルスS
CNTをオフレベルとする。ドライバ306は、制御パルスS
CNTに応じて同期整流トランジスタM2をスイッチングする。パルス発生器304bの基本構成は、第1の実施の形態のパルス発生器304と同じである。
【0088】
強制オフ回路330は、スイッチングトランジスタM1のターンオンが検出されてから計時を開始して所定のタイムアップ期間T
UPの経過後、または同期整流トランジスタM2のターンオフを契機として、同期整流トランジスタM2を強制的にオフする強制オフ状態に移行する。
【0089】
第4コンパレータCMP4は、同期整流トランジスタM2のドレイン電圧V
Dを正の第4しきい値電圧V
TH4と比較し、ドレイン電圧V
Dが第4しきい値電圧V
TH4を超えると、検出信号S14をアサート(たとえばローレベル)する。第4しきい値電圧V
TH4は、電源電圧V
CCより高く、たとえばV
CC×1.4程度に定められる。
【0090】
強制オフ回路330は、検出信号S14がアサートされると、計時を開始し、タイムアップ期間T
UPの経過後、強制オフ信号S41をアサート(ローレベル)する。また強制オフ回路330は、同期整流トランジスタM2のターンオフを契機として強制オフ信号S41をアサートする。強制オフ信号S41は、論理ゲート324に入力される。これにより第1フリップフロップFF1は、リセット信号S12および強制オフ信号S41の少なくとも一方がアサートされると、制御パルスS
CNTをオフレベルに遷移させる。
【0091】
以上が第2の実施の形態に係る同期整流コントローラ300bの構成である。続いてその動作を説明する。
強制オフ回路330の技術的意義を明確とするため、強制オフ回路330を設けない場合の動作および問題点を説明する。
図12は、従来の同期整流コントローラ300rの連続モードの動作波形図である。
【0092】
時刻t1より前、スイッチングトランジスタM1はオン状態であり、同期整流トランジスタM2のドレイン電圧V
Dは、V
OUT+V
IN×N
S/N
Pである。時刻t1にスイッチングトランジスタM1がターンオフすると、2次巻線W2に2次電流I
Sが流れ始め、ドレイン電圧V
Dは負となる。同期整流コントローラ300rは、ドレイン電圧V
Dが、上から下に、第1しきい値電圧V
TH1とクロスしたことを検出し、制御パルスS
CNTをオンレベルとし、同期整流トランジスタM2をオンする。
【0093】
同期整流トランジスタM2のオン期間、ドレイン電圧V
Dの絶対値は、2次電流I
Sの減少とともに小さくなる。時刻t2にスイッチングトランジスタM1がターンオンすると、2次電流I
Sがゼロとなり、ドレイン電圧V
Dは再び、V
OUT+V
IN×N
S/N
Pに跳ね上がる。同期整流コントローラ300rはドレイン電圧V
Dが、下から上に第2しきい値電圧V
TH2とクロスすると、制御パルスS2をオフレベルとし、同期整流トランジスタM2をターンオフする。
【0094】
ここで、時刻t2にドレイン電圧V
Dがしきい値電圧V
TH2とクロスしてから、制御パルスS
CNTがオフレベルに遷移して同期整流トランジスタM2がターンオフする時刻t3までには、ある遅延τ
Dが存在する。この遅延τ
Dの間、同期整流トランジスタM2がオンであり、そのインピーダンスが非常に小さいにも関わらず、その両端間には大きな電圧V
Dが発生しているため、同期整流トランジスタM2に大電流(破線I
S’)が流れるおそれがある。
【0095】
またこの遅延時間τ
Dの間、同期整流トランジスタM2に流れる大電流I
S’は、2次巻線W2を経由する。時刻t3に同期整流トランジスタM2がオフすると、2次巻線W2に流れていた電流I
S’が遮断されるため、その両端間に高電圧Vx=dI
S’/dtが発生する。この高電圧Vxは、1次巻線W1の両端間にVy=−Vx×N
P/N
Sを誘起する。この電圧VyがスイッチングトランジスタM1に印加されると、スイッチングトランジスタM1の信頼性に影響を及ぼすおそれがある。
【0096】
続いて第2の実施の形態に係る同期整流コントローラ300bの動作を説明する。
図13は、
図11の同期整流コントローラ300bの連続モードの動作波形図である。時刻t1に、スイッチングトランジスタM1がターンオンする。このターンオンを契機として強制オフ回路330は計時を開始し、タイムアップ期間T
UPが経過すると、強制オフ信号S41がアサートされる。ここでT
UP<T
SWであるため、次のサイクルにおいてスイッチングトランジスタM1がターンオンする時刻t4より前に、制御パルスS
CNTがオフレベルとなり、同期整流トランジスタM2をオフさせることができる。
【0097】
この同期整流コントローラ300bによれば、
図13に示すように、連続モードにおいて、スイッチングトランジスタM1がターンオンする前に、同期整流トランジスタM2がターンオフするため、連続モードにおいて生じうる問題を解決することができる。この制御のために、1次側コントローラ202から同期整流コントローラ300に対して、スイッチングトランジスタM1のターンオンを示すタイミング信号を供給する必要がないため、タイミング信号の伝送のために必要なフォトカプラやキャパシタなど追加の部品が不要であり、コストの観点からも有利である。
【0098】
図14は、
図11の同期整流コントローラ300bの不連続モードの動作波形図である。
図14は同期整流トランジスタM2のオン抵抗R
ON2が小さいときの動作を示している。時刻t0にスイッチングトランジスタM1がオンすると、ドレイン電圧V
Dが跳ね上がり、検出信号S14がアサートされる。そこから強制オフ回路330の計時動作が始まる。時刻t3に制御パルスS
CNTがローレベルに遷移すると、強制オフ信号S41がアサートされ、第1フリップフロップFF1のセットが禁止される。したがって同期整流トランジスタM2は再度、ターンオンしない。
【0099】
そして時刻t4に、2次電流I
Sが完全にゼロとなると、ドレイン電圧V
Dが跳ね上がり、第4しきい値電圧V
TH4を超えて検出信号S14がアサートされる。これにより強制オフ信号S41がネゲートされ、第1フリップフロップFF1のセット動作が許可される。
【0100】
この同期整流コントローラ300によれば、時刻t3〜t4の間、同期整流トランジスタM2のターンオンが禁止される。これによりタイムアップ期間T
UPの経過後の同期整流トランジスタM2の2度目のターンオンを防止できる。
【0101】
図15は、強制オフ回路330の構成例を示す回路図である。強制オフ回路330は、キャパシタC41、電流源CS41、第5コンパレータCMP5、プルアップ回路332を備える。
【0102】
キャパシタC41の一端は接地される。放電スイッチM41は、キャパシタC41と並列に接続される。電流源CS41はキャパシタC41を充電する。第5コンパレータCMP5は、キャパシタC41の電圧V
C41を所定の第5しきい値電圧V
TH5と比較する。第5しきい値電圧V
TH5は、タイムアップ期間T
UPの長さを規定する。プルアップ回路332は、同期整流トランジスタM2のターンオフを契機として、キャパシタC41の電圧V
C41を、第5しきい値電圧V
TH5より高い電圧にプルアップする。プルアップ回路332は、たとえばインバータ333,334、第3フリップフロップFF3、トランジスタM42、抵抗R41を含む。第3フリップフロップFF3のセット端子には、インバータ333により反転された制御パルスS
CNTが入力され、制御パルスS
CNTのネガティブエッジに応答してセットされる。また第3フリップフロップFF3のリセット端子(反転論理)には、検出信号S14が入力され、検出信号S14がアサート(ローレベル)されるとリセットされる。第3フリップフロップFF3の出力は、インバータ334によって反転され、トランジスタM42のゲートに入力される。
【0103】
放電スイッチM41は、強制オフ回路330の計時開始に先立ってオンとなり、電圧V
C41をゼロリセットする。計時開始とともに放電スイッチM41がオフすると、キャパシタC41が電流Icによって充電され、電圧V
C41が時間とともに増加する。そして計時開始からタイムアップ期間T
UPの経過後に電圧V
C41が第5しきい値電圧V
TH5を超えると、強制オフ信号S41がアサートされる。
【0104】
また計時開始からタイムアップ期間T
UPの経過前に、同期整流トランジスタM2がターンオフすると、トランジスタM42がオンとなり、電圧V
C41がプルアップされ、強制オフ信号S41がアサートされる。
【0105】
続いて第2の実施の形態の変形例を説明する。
【0106】
(第2変形例)
第1ブランキング回路312、第2ブランキング回路314の少なくとも一方を省略してもよい。またパルス発生器304bの構成は
図11のそれには限定されない。
【0107】
(第3変形例)
強制オフ回路330は、デジタルのタイマー回路で構成することも可能である。
【0108】
(用途)
続いて、実施の形態で説明したDC/DCコンバータ200の用途を説明する。
図16は、AC/DCコンバータ100を備えるACアダプタ800を示す図である。ACアダプタ800は、プラグ802、筐体804、コネクタ806を備える。プラグ802は、図示しないコンセントから商用交流電圧V
ACを受ける。AC/DCコンバータ100は、筐体804内に実装される。AC/DCコンバータ100により生成された直流出力電圧V
OUTは、コネクタ806から電子機器810に供給される。電子機器810は、ノートPC、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話、携帯オーディオプレイヤなどが例示される。
【0109】
図17(a)、(b)は、AC/DCコンバータ100を備える電子機器900を示す図である。
図17(a)、(b)の電子機器900はディスプレイ装置であるが、電子機器900の種類は特に限定されず、オーディオ機器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など、電源装置を内蔵する機器であればよい。
プラグ902は、図示しないコンセントから商用交流電圧V
ACを受ける。AC/DCコンバータ100は、筐体804内に実装される。AC/DCコンバータ100により生成された直流出力電圧V
OUTは、同じ筐体904内に搭載される、マイコン、DSP(Digital Signal Processor)、電源回路、照明機器、アナログ回路、デジタル回路などの負荷に供給される。
【0110】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0111】
(第4変形例)
実施の形態では、同期整流トランジスタM2が1次巻線W1より低電位側に配置される場合を説明したが、同期整流トランジスタM2より出力端子P2側に配置してもよい。
図18は、第4変形例に係るDC/DCコンバータ200cの回路図である。トランスT1の補助巻線W4、ダイオードD4およびキャパシタC4は、補助コンバータを形成しており、出力電圧V
OUTよりも高い直流電圧V
CC1を発生する。この直流電圧V
CC1はVCC端子に供給される。同期整流コントローラ300のGND端子は、同期整流トランジスタM2のソースと接続される。同期整流コントローラ300の構成は、実施の形態と同様である。この変形例においても、実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0112】
(第5変形例)
実施の形態では、フライバックコンバータを説明したが、本発明はフォワードコンバータにも適用可能である。この場合にはトランスT1の2次側に、複数の同期整流用のトランジスタが配置されることとなる。同期整流コントローラは、複数の同期整流トランジスタをスイッチングするよう構成されてもよい。またコンバータは疑似共振型であってもよい。
【0113】
(第6変形例)
スイッチングトランジスタや同期整流トランジスタの少なくとも一方は、バイポーラトランジスタやIGBTであってもよい。
【0114】
(第7変形例)
実施の形態で説明したアサート、ネゲート、ハイレベル、ローレベルの論理値の設定は一例であって、当業者によればそれらを自由に変更することが可能である。
【0115】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0116】
P1…入力端子、P2…出力端子、M1…スイッチングトランジスタ、M2…同期整流トランジスタ、C1…出力キャパシタ、T1…トランス、W1…1次巻線、W2…2次巻線、CMP1…第1コンパレータ、CMP2…第2コンパレータ、CMP3…第3コンパレータ、CMP4…第4コンパレータ、CMP5…第5コンパレータ、S11…セット信号、S12…リセット信号、S
CNT…制御パルス、S13…解除信号、S14…検出信号、S21,S22…マスク信号、S31,S32…ブランキング信号、S41…強制オフ信号、100…AC/DCコンバータ、102…フィルタ、104…整流回路、106…平滑キャパシタ、200…DC/DCコンバータ、202…1次側コントローラ、204…フォトカプラ、206…フィードバック回路、210…出力回路、300…同期整流コントローラ、304…パルス発生器、306…ドライバ、307…セット信号生成部、308…リセット信号生成部、310…制御回路、312…第1ブランキング回路、314…第2ブランキング回路、FF1…第1フリップフロップ、320…強制オフ回路、322…マスク信号生成回路、324,325,326…論理ゲート、FF2…第2フリップフロップ、327…ワンショット回路、328,329…インバータ、330…強制オフ回路、332…プルアップ回路、800…ACアダプタ、802…プラグ、804…筐体、806…コネクタ、810,900…電子機器、902…プラグ、904…筐体。