(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る電池の製造方法では、
図1に模式的に示すように、帯状(長尺のシート状)の第1の集電体シート11がロール100に巻回されて提供され、また、第2の集電体12は、所定形状に切断されて提供される。この第2の集電体12の形状については後に述べる。なお、
図1は、製造の工程を見やすくするため、第1の集電体シート11の幅方向中央で破断した断面を模式的に表す断面図としている。
【0014】
第1の集電体シート11及び第2の集電体12は、金属集電体や樹脂集電体を用いて形成すればよい。具体的に金属集電体としては、公知の金属集電体材料を用いることができる。例えば金属集電体材料は、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン、およびこれらの一種以上を含む合金、ならびにステンレス合金からなる群から選択される一種以上の材料を含んでなる。金属集電体は薄板または金属箔から形成されてもよいし、基材の表面にスパッタリング、電着、塗布等の手法により金属層が形成されたものであってもよい。
【0015】
また樹脂集電体は例えば、樹脂集電体材料を用いて形成する。この樹脂集電体材料は、導電性を有する高分子材料であってもよいし、導電性を有さない高分子材料であってもよい。具体的にこの高分子材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0016】
高分子材料は、上記のうち電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
【0017】
また、樹脂集電体は、導電性の高分子材料を含む樹脂集電体の導電性を向上させる目的、あるいは、導電性を有さない高分子材料を含む樹脂集電体に導電性を付与する目的から、導電性フィラーを含んでいることが好ましい。導電性フィラーは、導電性を有する材料から選択され、好ましくは、集電体内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料を用いる。このような材料として具体的には、カーボン材料、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、白金、クロム、スズ、インジウム、アンチモン、チタン、ニッケルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの導電性フィラーは一種類の素材を単独で用いてもよいし、二種以上の素材を併用してもよい。また、上記素材の合金材、例えばステンレス(SUS)等が用いられてもよい。導電性フィラーは、耐食性の観点からは、アルミニウム、ステンレス、カーボン材料、またはニッケルであることが好ましく、より好ましくはカーボン材料である。また、これらの導電性フィラーは、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに、上記で示される金属をメッキ等でコーティングしたものであってもよい。
【0018】
樹脂集電体の具体例としては、ポリプロピレンに導電性フィラーとしてアセチレンブラックを5〜20部分散させた後、熱プレス機で圧延したものが挙げられる。また、その厚みも特に制限されず、公知のものと同様、あるいは適宜変更して適用することができる。
【0019】
また、本発明の実施の形態に係る電池の製造方法では正極活物質13及び負極活物質14を予め用意しておく。このうち正極活物質13は、粉体状の正極活物質粒子、または当該正極活物質粒子を電解液に分散させて得られるスラリー状ないしゲル状の物質である。
【0020】
ここで正極活物質粒子としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLiCoO
2、LiNiO
2、LiMnO
2及びLiMn
2O
4)、遷移金属酸化物(例えばMnO
2及びV
2O
5)、遷移金属硫化物(例えばMoS
2及びTiS
2)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリフッ化ビニリデン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン及びポリカルバゾール)等がある。
【0021】
また、負極活物質14は、粉体状の負極活物質粒子、または当該負極活物質粒子を電解液に分散させて得られるスラリー状ないしゲル状の物質である。ここで負極活物質粒子としては、黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、高分子化合物焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)、炭素繊維、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、スズ、シリコン、及び金属合金(例えばリチウム−スズ合金、リチウム−シリコン合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−アルミニウム−マンガン合金等)、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLi
4Ti
5O1
2等)等がある。
【0022】
本実施の形態においては、正極活物質粒子または負極活物質粒子は、その表面の少なくとも一部が被覆用樹脂及び導電助剤を含む被覆剤で被覆されてなる被覆活物質粒子であることが好ましい。
【0023】
この例では、被覆剤は被覆用樹脂を含んでおり、正極活物質粒子の周囲が被覆剤で被覆されていると、電極の体積変化が緩和され、電極の膨脹を抑制することができる。被覆用樹脂の例としては、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート等が挙げられる。これらの中ではビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂又はポリアミド樹脂が好ましい。
【0024】
また導電助剤としては、導電性を有する材料から選択される。具体的には、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、金、銅及びチタン等の金属材料、グラファイト、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)などのカーボン材料、及びこれらの混合物等があるが、これらに限定されない。
【0025】
また、導電助剤として金属材料を用いる場合、その合金又は酸化物(金属酸化物)が用いられてもよい。電気的安定性の観点から導電助剤として用いる材料は、好ましくはアルミニウム、ステンレス、銀、金、銅、チタン等の金属や、カーボン、銀、金、銅、チタン(グラファイト、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)、単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブ等)及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、金、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電助剤とは、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電助剤の材料のうち金属のもの)をメッキ等でコーティングしたものでもよい。またここでは一種類の導電助剤を単独で用いてもよいし、二種以上の導電助剤を併用してもよい。
【0026】
さらに導電助剤として導電性繊維を用いることも可能である。導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼等の金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等がある。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。
【0027】
被覆活物質粒子は、例えば、活物質粒子を万能混合機に入れて30〜500rpmで撹拌した状態で、被覆用樹脂を含む樹脂溶液を1〜90分かけて滴下混合し、さらに導電助剤を混合し、撹拌したまま50〜200℃に昇温し、0.007〜0.04MPaまで減圧した後に10〜150分保持することにより得ることができる。
【0028】
また、正極活物質粒子または負極活物質粒子を、電解液に分散させてスラリー状またはゲル状の正極活物質13または負極活物質14とする場合、電解液としては、リチウムイオン電池の製造に用いられる、電解質及び非水溶媒を含有する電解液を使用することができる。
【0029】
具体的に電解質としては、LiPF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAsF
6及びLiClO
4等の無機酸のリチウム塩、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(C
2F
5SO
2)
2及びLiC(CF
3SO
2)
3等の有機酸のリチウム塩等がある。これらのうち、電池出力及び充放電サイクル特性の観点からはLiPF
6が好ましい。
【0030】
また非水溶媒としては、通常の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン等及びこれらの混合物を用いることができる。この非水溶媒は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上の非水溶媒を併用してもよい。
【0031】
上記の非水溶媒の例のうち、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、ラクトン化合物、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及びリン酸エステルであり、より好ましいのはラクトン化合物、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルであり、さらに好ましいのは環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルの混合液である。特に好ましいのはプロピレンカーボネート(PC)、またはエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合液である。
【0032】
またスラリー状とする場合、活物質粒子並びに導電助剤を電解液の重量に基づいて10〜60重量%の濃度で分散してスラリー化することにより調製することが好ましい。
【0033】
さらに本実施の形態では、所定形状に切断されたセパレータ15が用意される。このセパレータ15は、ポリエチレン、ポリプロピレン等、ポリオレフィン製の微多孔膜フィルム、多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンとの多層フィルム、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等で構成される。このセパレータ15の形状については後に述べる。
【0034】
また互いに隣接する、第1の集電体110(第1の集電体シート11が切断されたもの)、正極活物質13、セパレータ15、負極活物質14、及び第2の集電体12を有する電池構造体10間を仕切る堤状の枠体16を形成するシール材料を用意しておく。このシール材料としては、第1、第2の集電体11、12に対する接着性を有し、正極活物質13または負極活物質14に含まれ得る電解液に対して耐久性のある材料であれば特に限定されないが、高分子材料、特に熱硬化性樹脂が好ましい。具体的には、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフッ化ビニデン樹脂等でよい。耐久性が高く取り扱いが容易であることを考慮すると、これらのうちエポキシ系樹脂が好ましい。
【0035】
以上の用意の下、次の工程により電池を製造する。
【0036】
すなわち、ロール100に巻回された帯状(長尺のシート状)の第1の集電体シート11(その幅をWとする)を、図示しない支持部材上で所定の搬送方向(例えば長手方向)に搬送して連続供給し、この連続供給される第1の集電体シート11上に所定の間隔Lの間隙をおいて、第1の集電体シート11の長手方向に長さd/2、高さhを有し、所定形状の空間を画定する枠体下層部16aを、繰り返し形成する(枠体下層部配置工程:S11)。また、第1の集電体シート11の幅方向両端からそれぞれ幅w(w<W/2)の範囲に連続して枠体下層部16aを形成する。従って互いに隣接する枠体下層部16aの、第1の集電体シート11の幅方向に延びる辺(以下、第1の集電体シート11の長手方向に沿って形成される辺と区別する必要がある場合は、仕切り辺と呼ぶ)は、第1の集電体シート11の長手方向にd/2+d/2=dだけの幅で形成される。ここではシール材料を加熱してゲル状に溶融して、
図1の第1の位置P1にて第1の集電体シート11上に滴下することで枠体下層部16aを形成するものとする。つまりこの例では、枠体16の形状は、矩形状をなすようになる。
【0037】
次に第2の位置P2にて、長さ方向にある一対の枠体下層部16aと、幅方向に配した一対の枠体下層部16aによって形成された幅W−2w×長さL×高さhの矩形状の(枠体内部の)空間に、正極活物質13または負極活物質14の一方を滴下して少なくとも枠体下層部16aの高さhまで充填する(第1の充填工程:S12)。なお、図面においては、ここで正極活物質13を充填するものとして図示している。さらにこの充填後、第1の集電体シート11に振動、衝撃を与えることで、正極活物質13または負極活物質14を上記一対の枠体下層部16a間の間隔Lの範囲に均一に分散させてもよい。これにより正極室または負極室の一方が形成される。
【0038】
また本実施の形態では、シート状のセパレータ15を予め、幅sw×長さsdの矩形に切断しておく。ここで、swはW−2w<sw≦W(Wは第1の集電体シート11の幅)であり、L<sd<L+d/2とする。本実施の形態では、枠体下層部16a間に正極活物質13または負極活物質14の一方を充填した後、この充填された活物質をカバーするよう、このセパレータ15を配して、上部から押圧する(セパレータ配置工程:S13)。このとき、セパレータ15の幅方向(幅swを有する方向)を第1の集電体シート11の幅方向にあわせ、セパレータ15の長さ方向を第1の集電体シート11の長手方向にあわせる。また、セパレータ15の、第1の集電体シート11の長手方向の両端部がいずれも各枠体下層部16aの外周に重ならないように(枠体16とセパレータ15との重なり部分の幅が枠体16の辺の幅d/2未満となるよう)セパレータ15を位置決めする。ここで枠体下層部16aの外周は、第1の集電体シート11の幅方向においては第1の集電体シート11の外周に一致し、第1の集電体シート11の長手方向においては、
図2に例示するd/2幅の仕切り辺の外周(仕切り辺は隣接する枠体下層部16aの仕切り辺に連続しているので、この外周は隣接する枠体下層部16aの外周に一致している)となる。セパレータ15は、少なくとも仕切り辺の外周には重なり合わないよう配置され、従って、互いに隣接する枠体下層部16aに配される一対のセパレータ15も重なり合わないよう配されることとなる。これにより、第1の集電体シート11の長手方向にセパレータ15の存在しない部分(間隙)が形成される。
【0039】
次いで、この枠体下層部16aが形成された部分に、さらに高さh′の枠体上層部16bを配し、枠体16を形成する(枠体形成工程:S14)。この枠体上層部16bもまた、シール材料を加熱してゲル状に溶融して、
図1の第3の位置P3にて枠体下層部16a上に実質的に同一形状で滴下することで形成できる。このとき、セパレータ15の第1の集電体シート11の長手方向の両端部は、枠体下層部16aと枠体上層部16bとの間に挟持された状態となり、枠体16によって封止される。
【0040】
この枠体形成工程の後、一対の枠体上層部16bと、セパレータ15とによって区画された空間(第1の集電体シート11の長手方向に長さLを有する空間)に、正極活物質13または負極活物質14の他方を充填する(第2の充填工程:S15)。つまり、工程S12において、正極活物質13を充填したならば、ここでは負極活物質14を充填する。また、工程S12において負極活物質14を充填したならば、ここでは正極活物質13を充填する。図面においては、ここで負極活物質14を充填するものとして図示している。
【0041】
ここでの活物質の充填においても、
図1の第4の位置P4にて、活物質を滴下して少なくとも枠体上層部16bの高さh′まで充填する。またここでも充填後、第1の集電体シート11に振動、衝撃を与えることで、負極活物質14または正極活物質13を上記一対の枠体下層部16a間の間隔Lの範囲に均一に分散させてもよい。これにより負極室または正極室が形成される。
【0042】
またここでは、シート状の第2の集電体12を予め、幅tw×長さtdの矩形に切断しておく。ここで、twはW−2w<tw≦W(Wは第1の集電体シート11の幅、wは第1の集電体シート11の幅方向両端に配した枠体下層部16aの幅)、好ましくはtw=Wであり、L<td<L+d/2とする。
【0043】
本実施の形態では、枠体上層部16bとセパレータ15とにより形成された空間に正極活物質13または負極活物質14の他方を充填した後、この充填された活物質をカバーするよう、第2の集電体12を配する(集電体配置工程:S16)。このとき、第2集電体12の幅方向(幅twを有する方向)を第1の集電体シート11の幅方向にあわせ、第2集電体12の長さ方向を第1の集電体シート11の長手方向にあわせる。また第2集電体12の、第1の集電体シート11の長手方向の両端部がいずれも枠体16の長さ方向の外周に重ならないように第2集電体12を配する。つまり、枠体16の第1の集電体シート11の幅方向に形成された辺(仕切り辺)の外周には、第2集電体12が重なり合わないよう、第2集電体12と枠体16の仕切り辺との重なり部分の幅は、枠体16の仕切り辺の幅d/2未満とする。このように第2集電体12も、少なくとも枠体16の仕切り辺の外周には重なり合わないよう配置され、従って、互いに隣接する枠体16に配される一対の第2集電体12も互いに重なり合わないよう配されることとなる。これにより、第1の集電体シート11の長手方向に第2集電体12の存在しない部分(間隙)が形成される。
またこの集電体配置工程では、第2集電体12を加熱しながら押圧することで、第2集電体12が枠体16に圧着されて枠体16に固定され、枠体16と第2集電体12との上面側が実質的に面一となるようにしてもよい。
【0044】
これにより、連続的な第1の集電体シート11上に、少なくとも正極活物質13、セパレータ15、負極活物質14、及び第2の集電体12を有する電池構造体10が、所定の間隔で配された枠体16(より詳しくは枠体16の仕切り辺)によって仕切られ、被切断体20が形成される。
【0045】
なお、本実施の形態では、工程S14にて枠体16を形成した後、ここまでの間に、枠体16の上面側(後に切断が開始される側の面)であって、枠体16の仕切り辺の外周位置(互いに隣接する枠体16の仕切り辺は連続して形成されているため、長さ方向の両端部からそれぞれ距離d/2の位置となる)に、断面V字ないしU字等の所定形状を有する溝160を形成してもよい。
図1では、工程S14の直後に、この溝160を形成する例を示している。この溝160は押圧ないし切削形成してもよいし、又は工程S14においてシール材料を、このような形状になるように滴下することによって形成してもよい。
【0046】
次に、本実施の形態では、得られた被切断体20を、枠体16の仕切り辺の外周位置で、枠体16の上面側から切断する(S17)。この切断は、
図3に例示するように、不導体の切断刃Bを枠体16の仕切り辺の外周位置において押圧することで行う。なお、溝160が形成されている場合は、この溝160の位置に不導体の切断刃Bをガイドして押圧し、被切断体20を切断する。これにより、第1の集電体シート11を切断して得られた第1の集電体110、並びに、正極活物質13、セパレータ15、負極活物質14、及び第2の集電体12を有する電池構造体10が形成される。
【0047】
図3において、図面手前側の電池構造体10については、一部を破断し、また、第2の集電体12を捲り上げてその内部を示している。この
図3により理解される通り、枠体16の外周(破断した位置)に第2の集電体12やセパレータ15が重なり合っておらず、この破断位置に第2の集電体12やセパレータ15が存在しない(間隙となっている)ので、第2の集電体12やセパレータ15が曲げ変形して第1の集電体11に短絡することがない。
【0048】
つまり本実施の形態では
図4(a)に模式的に被切断体20の切断位置を含む断面を示すように、切断刃Bによる切断位置において第2の集電体12やセパレータ15が積層されていない。従って、
図4(b)に例示するように、切断のときに第2の集電体12やセパレータ15が曲げ変形されることがなく、従って第2の集電体12やセパレータ15が第1の集電体11に短絡することがなくなる。なお、切断時には、切断位置において第1の集電体シート11の下部を受け30によって支持しておいてもよい。
【0049】
さらに本実施の形態では、被切断体20を切断して得た複数の電池構造体10を積層配置し、上面と下面側にそれぞれ接触する一対の電極を配して封止し、電池を得る(S18)。この積層並びに、電極配置、封止の各工程は従来知られている方法を採用できるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0050】
図2は、本実施の形態の一例に係る電池の製造方法を、一つの電池構造体10の区画に注目して示したものである。
図2に例示するように本実施の形態では、第1の集電体11シートの搬送方向に沿って長さLの間隙を空けて、枠体下層部16aの仕切り辺を形成する(S21)。そして、この長さLの空間に正極活物質13または負極活物質14の一方、例えば正極活物質13を充填する(S22,S23)。なお、このとき枠体下層部16aの、第1の集電体シート11の搬送方向端部の高さは、正極活物質13を充填した空間側の高さより段階的、または連続的に大きくなっていてもよい。
【0051】
そして充填された正極活物質13をカバーするよう、セパレータ15を配する(S24)。このとき、セパレータ15の幅方向(幅swを有する方向)を第1の集電体シート11の幅方向にあわせ、セパレータ15の長さ方向を第1の集電体シート11の長手方向にあわせる。また、セパレータ15の、第1の集電体シート11の長手方向(搬送方向)の両端部がいずれも枠体下層部16aの仕切り辺の外周位置(
図2において第1の集電体シート11の搬送方向端部)に重ならないようにセパレータ15を配する。
【0052】
そして枠体下層部16aが形成された部分に、さらに高さh′の枠体上層部16bを配し、枠体16を形成する(S25)。このとき、セパレータ15の第1の集電体シート11の長手方向(搬送方向)の両端部は、枠体下層部16aと枠体上層部16bとの間に挟持された状態となる。
【0053】
そして枠体上層部16bと、セパレータ15とによって区画された空間に、正極活物質13または負極活物質14の他方を充填する(S26)。ここでは工程S22において、正極活物質13を充填したので、ここでは負極活物質14を充填する。ここでも枠体上層部16bの、第1の集電体シート11の搬送方向端部の高さは、正極活物質13を充填した空間側の高さより段階的、または連続的に大きくなっていてもよい。具体的には第2の集電体12の形状に合わせて枠体上層部16bの上面に凹部を形成しておいてもよい。
【0054】
次にこの充填された負極活物質14をカバーするよう、第2の集電体12を配する(S27)。枠体上層部16bに凹部を形成したときには、この凹部に第2の集電体12を配置する。このとき、第2集電体12の幅方向(幅twを有する方向)を第1の集電体シート11の幅方向にあわせ、第2集電体12の長さ方向を第1の集電体シート11の長手方向にあわせる。また第2集電体12の、第1の集電体シート11の長手方向の両端部がいずれも枠体16の仕切り辺の外周位置に重ならないように第2集電体12を配する。
【0055】
これにより、連続的な第1の集電体シート11上に、少なくとも正極活物質13、セパレータ15、負極活物質14、及び第2の集電体12を有する電池構造体10が、所定の間隔で配された枠体16によって仕切られて、断続的に複数個形成されてなる被切断体20が形成される(S28)。
【0056】
そしてこの被切断体20を枠体16の所定位置で切断することで、第1の集電体シート11が切断されて得られた第1の集電体110、並びに、正極活物質13、セパレータ15、負極活物質14、及び第2の集電体12を有する電池構造体10が形成される。
【0057】
本実施の形態によると、第2の集電体を含む電池構造体が、枠体によって仕切られて断続的に配置されており、枠体の所定位置で切断するだけで短絡のおそれなく電池を製造でき、製造の効率化を図ることが可能となる。