特許第6633868号(P6633868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6633868
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】ウェハー研磨装置およびその研磨方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/30 20120101AFI20200109BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20200109BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20200109BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20200109BHJP
【FI】
   B24B37/30 A
   H01L21/304 621D
   H01L21/304 622H
   B24B41/06 L
   B24B49/12
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-164366(P2015-164366)
(22)【出願日】2015年8月24日
(65)【公開番号】特開2016-124097(P2016-124097A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2018年3月2日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0191612
(32)【優先日】2014年12月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511028928
【氏名又は名称】エスケー シルトロン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】アン ジン−ウ
(72)【発明者】
【氏名】ハン ケ−ユン
【審査官】 山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−264005(JP,A)
【文献】 特開2000−167767(JP,A)
【文献】 特開2012−161861(JP,A)
【文献】 実開昭57−075959(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/30
B24B 41/06
B24B 49/12
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側に所定の圧力空間を形成するハウジングと、前記ハウジングの下側にフラットに結合され、中心部形態が上下方向に可変できるドライブリングと、前記ドライブリングの中心部の上側に設けられたスリーブと、前記ドライブリングの下側に設けられ、下面にウェハーが装着されるウェハー装着部からなるヘッドアセンブリーと、
前記ハウジングの上側に設けられ、前記ドライブリングがフラットな状態であるときに前記ウェハー装着部に装着されたウェハー研磨パッドに接触する初期下降位置に前記ヘッドアセンブリーを移動させるため制御圧力に応じて前記ヘッドアセンブリーを上下方向に昇降させるヘッド昇降手段と、
前記スリーブに設けられ、前記ハウジングに基づいた前記ドライブリングの中心部の高さを測定するセンサーと、
前記ヘッド昇降手段に設けられ、前記ヘッド昇降手段が前記ヘッドアセンブリーを前記初期下降位置に移動させた後、前記センサーの測定値に応じて、前記ドライブリングの中心部がフラットになるように、前記ヘッドアセンブリーの高さを調節して前記ウェハーを前記研磨パッドに接触させるヘッド補助昇降手段と、を含むウェハー研磨装置。
【請求項2】
前記センサーは、
前記スリーブの上側に設けられた発光部と、
前記発光部と水平方向に所定間隔離隔して設置された受光部と、
前記ハウジングとの間の間隔を測定するように、前記発光部と前記受光部との間に可動に設けられたリニアスケールと、を含む請求項1に記載のウェハー研磨装置。
【請求項3】
前記センサーは、前記受光部に伝達されたデータを検出して増幅させる増幅器をさらに含む請求項2に記載のウェハー研磨装置。
【請求項4】
前記ヘッド昇降手段は、
前記ハウジングの上側に連結される昇降軸と、
前記昇降軸の上端に連結され、設定圧力が加えられることで前記ヘッドアセンブリーが前記初期下降位置に配置される位置に前記昇降軸を下降させるシリンダーハウジングと、
前記昇降軸の周りに設けられ、前記シリンダーハウジングの内壁と密着する少なくとも一つ以上のシーリング部と、を含む請求項1に記載のウェハー研磨装置。
【請求項5】
前記ヘッド補助昇降手段は、前記シーリング部を基準に上側から前記シリンダーハウジング内部に圧力を加える上部ノズルを含み、
前記上部ノズルは、前記センサーの測定値が基準値よりも大きいときは、その誤差に比例した圧力を加える請求項4に記載のウェハー研磨装置。
【請求項6】
前記ヘッド補助昇降手段は、前記シーリング部を基準に下側から前記シリンダーハウジング内部に圧力を加える下部ノズルを含み、
前記下部ノズルは、前記センサーの測定値が基準値よりも小さいときは、その誤差に比例した圧力を加える請求項4に記載のウェハー研磨装置。
【請求項7】
ハウジングの下側にドライブリングがフラットに結合され、前記ドライブリングの中心部の上側にスリーブが装着され、前記ドライブリングの下側にウェハー装着部を備えるヘッドアセンブリーに吸着されたウェハーを、定盤に載置された研磨パッドによって研磨するウェハー研磨方法であって、
所定の圧力が加えられることで前記ヘッドアセンブリーを、前記ドライブリングがフラットな状態であるときに前記ウェハー装着部に装着された前記ウェハーが研磨パッド接触する初期下降位置に移動させる第1ステップと、
前記第1ステップにおいて、前記ヘッドアセンブリー前記初期下降位置移動した後、前記スリーブに備えられたセンサーによって前記ハウジングに基づいた前記ドライブリングの中心部の高さを測定する第2ステップと、
前記第2ステップでの測定値に応じて前記ドライブリングの中心部がフラットになるように、前記ヘッドアセンブリーの高さを調節して前記ウェハーを前記研磨パッドに接触させる第3ステップと、を含むウェハー研磨方法。
【請求項8】
前記第1ステップは、前記ドライブリングがフラットな状態を基準値として前記ヘッドアセンブリーの下降位置が設定される請求項7に記載のウェハー研磨方法。
【請求項9】
前記第2ステップは、前記ハウジングに基づいた前記ドライブリングの中心部の高さを前記基準値と比較する過程を含む請求項8に記載のウェハー研磨方法。
【請求項10】
前記第3ステップは、
前記ドライブリングの中心部の高さが前記基準値より大きい場合、前記ハウジングに基づいた前記ヘッドアセンブリーの高さを低くなるように調節し、
前記ドライブリングの中心部の高さが前記基準値より小さい場合、前記ハウジングに基づいた前記ヘッドアセンブリーの高さを高くなるように調節する、請求項9に記載のウェハー研磨方法。
【請求項11】
前記第3ステップは、前記ドライブリングの中心部の高さが前記基準値と一致するように、前記ヘッドアセンブリーの高さを調節する、請求項9に記載のウェハー研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動でドライブリングをフラットな状態に維持できる、ウェハー研磨装置およびその研磨方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ウェハー製造工程では、ウェハーの平坦度を向上させるために鏡面研磨工程を行っているが、このような平坦化技術の最も重要な技術は、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)である。
【0003】
化学機械研磨は、化学的研磨剤であるスラリーを研磨パッドなどの研磨面の上に供給しながら、半導体ウェハーを研磨面に接触させて研磨を行う。
【0004】
このような研磨装置は、研磨パッドからなる研磨面を有する研磨テーブルと、半導体ウェハーを加圧するための加圧ヘッドとを具備している。このような研磨装置を用いて半導体ウェハーを研磨する場合、加圧ヘッドによって半導体ウェハーを加圧しながら、半導体ウェハーを研磨テーブルの研磨パッドと接触するように所定の圧力で加圧する。この時、研磨テーブルと加圧ヘッドを相対運動させることで、半導体ウェハーが研磨面に接触して、半導体ウェハーの表面が平坦化されて鏡面に研磨される。
【0005】
特許文献1には、基板の支持が容易とように、スピンドル軸の下側に所定の圧力を加えることができる加圧室を形成するハウジングおよび可撓性ドライブリング(Drive ring)が設けられ、前記ドライブリングの下側に設けられた多様な構成によって、その下面にウェハーを吸着させることができる研磨装置のヘッドアセンブリー構造が開示されている。
【0006】
図1a〜図1bは、従来技術に係るヘッドアセンブリーのドライブリングの一変形例を示す図である。
【0007】
従来のヘッドアセンブリーは、図1aおよび図1bに示すように、ウェハーが吸着された状態で定盤に載置された研磨パッドまでウェハーを下降した後、ウェハーと研磨パッドが相互に反対方向へ回転しながら研磨工程が行われる。
【0008】
一般的に、仕上げ研磨(Final polishing)工程に用いられる研磨パッドは、Nap層と、不織布基材のパッドとから構成されるが、研磨工程が行われることにつれて、Nap層をはじめ基材パッドの厚さがいずれも減少することになる。
【0009】
一方、仕上げ研磨工程を行うために、ヘッドアセンブリーが設定された位置だけ下降した後ウェハーを研磨パッドと接触させる。このとき、ヘッドアセンブリー内側のドライブリングが初期にフラットな形状を維持するが、研磨パッドの厚さが変わることにつれてヘッドアセンブリー内側のドライブリングの形態が変わることになる。
【0010】
繰り返される研磨工程によって研磨パッドの厚さが薄くなると、図1aに示すように、ドライブリング12の中心部が凹状に変形し、これによってウェハー装着部13を構成するスリーブとフランジとの間に隙間が発生するだけでなく、研磨工程時にウェハー装着部13の中心軸が左右に変動してしまうことがある。
【0011】
反面、研磨パッドの新規交替によって研磨パッドの厚さが厚くなると、図1bに示すように、ドライブリング12の中心部が凸状に変形し、これによってウェハー装着部13のエッジ部分に荷重が集中し、ウェハーのエッジ部分で研磨量が増加することになる。
【0012】
上述したように、従来技術に係るウェハー研磨装置は、研磨パッドの厚さが変化すると、ウェハー装着部13のバランスを合わせるドライブリング12の形状が変化する。そのため、ウェハーの研磨品質を均一に維持し難いだけでなく、研磨性能を低下させる問題点が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001-105305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、ドライブリング形状の変形を感知し、それに応じてヘッドアセンブリーの昇降位置を自動で調節して、ドライブリングの形状をフラットな状態に維持できる、ウェハー研磨装置およびその研磨方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、下側に所定の圧力空間を形成するハウジングと、前記ハウジングの下側にフラットに結合され、中心部形態が上下方向に可変できるドライブリングと、前記ドライブリングの下側に設けられ、下面にウェハーが装着されるウェハー装着部からなるヘッドアセンブリーと、前記ハウジングの上側に設けられ、制御圧力に応じて前記ヘッドアセンブリーを上下方向に昇降させるヘッド昇降手段と、前記ドライブリングの中心部に設けられ、前記ドライブリングの中心部の高さを測定するセンサーと、前記ヘッド昇降手段に設けられ、前記センサーの測定値に応じて、前記ドライブリングの中心部がフラットになるように、前記ヘッドアセンブリーの高さを調節するヘッド補助昇降手段と、を含むウェハー研磨装置を提供する。
【0016】
また、本発明は、ドライブリングのフラットな形状に応じてバランスが合わされるウェハー装着部を有するヘッドアセンブリーに吸着されたウェハーを、定盤に載置された研磨パッドによって研磨するウェハー研磨方法であって、所定の圧力が加えられることで前記ヘッドアセンブリーを下降させたときに、前記ウェハーが前記研磨パッドと接触する第1ステップと、前記ドライブリングの中心部形状を測定する第2ステップと、前記ドライブリングの中心部形状に応じて前記ヘッドアセンブリーの高さを調節する第3ステップと、を含むウェハー研磨方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のウェハー研磨装置およびその研磨方法は、ヘッドアセンブリーをヘッド昇降手段によって初期下降位置に移動させたときに、ヘッドアセンブリー内側のドライブリングの形状をセンサーによって測定し、それに応じてヘッドアセンブリーの下降位置を、ヘッド補助昇降手段によって自動で調節してドライブリングをフラットな状態に維持した後、研磨工程を行うことができる。
【0018】
従って、ドライブリングによってウェハー装着部のバランスを自動で調節した状態でウェハーの研磨工程を行うので、本発明のウェハー研磨装置およびその研磨方法には、ウェハーの研磨品質を均一に維持できるだけでなく、研磨性能を向上させることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1a】従来技術に係るヘッドアセンブリーのドライブリングの一変形例を示す図。
図1b】従来技術に係るヘッドアセンブリーのドライブリングの一変形例を示す図。
図2】本発明に係るウェハー研磨装置の一例を示す図。
図3図2に適用されたヘッドアセンブリーの一例を示す図。
図4図2に適用されたヘッド昇降手段の一例を示す図。
図5図2に適用されたドライブリングの変形を感知するセンサーの一例を示す図。
図6】本発明に係るウェハー研磨方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付される図面を参照して本発明の実施例を詳しく説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。
【0021】
図2は、本発明に係るウェハー研磨装置の一例を示すものである。
【0022】
本発明のウェハー研磨装置は、図2に示すように、研磨パッドPが載置される定盤101と、ウェハーWを吸着するヘッドアセンブリー110とから構成され、前記定盤101およびヘッドアセンブリー110は回転可能に装着される。
【0023】
前記定盤101は、円盤状に形成され、前記定盤101の下面中心に駆動軸102が設けられる。前記駆動軸102を回転させるため前記駆動軸102の一方の側には別途、駆動モーター103が設けられる。
【0024】
前記ヘッドアセンブリー110は、ヘッド回転手段120によって回転可能に設置される。前記ヘッドアセンブリー110は、ヘッド昇降手段130によって上下方向に昇降可能に設置され、ヘッド補助昇降手段150によって自動で上下の高さが微細に調整される。
【0025】
前記ヘッドアセンブリー110は、下側にウェハーWを真空吸着できるように構成される。以下より詳しく説明する。
【0026】
前記ヘッド回転手段120は、前記ヘッドアセンブリー110の上側に設けられた回転軸121と、前記回転軸121に回転力を提供する回転モーター122と、前記回転モーター122の動力を前記回転軸121に伝達するプーリーおよびベルト123とから構成される。
【0027】
なお、以下詳しく説明されるヘッド昇降手段130に含まれた昇降軸131は前記ヘッドアセンブリー110の上側に直接連結され、前記昇降軸131を取り囲むように前記回転軸121が設けられる。
【0028】
この時、前記回転軸121の内側に前記昇降軸131が昇降可能に設置され、前記昇降軸131は前記回転軸121と一緒に回転可能に設置される。
【0029】
図3は、図2に適用されたヘッドアセンブリーの一例を示すものである。
【0030】
前記ヘッドアセンブリー110は、ウェハーを真空吸着できる形態に構成され、図3に示すように、ハウジング111と、前記ハウジング111の下面をカバーするようにテンションスリーブ112aおよびフランジ113aによって固定されたドライブリング112と、前記ドライブリング112の下側に積層されるように設けられたウェハー装着部とから構成される。
【0031】
前記ハウジング111は、下側に所定の圧力空間111aを有するように形成され、下側が開放され、下端周りに段差を有する形態に形成される。
【0032】
なお、前記ハウジング111には、前記ハウジング111の内側に所定の圧力を加えることができる圧力提供手段が別途に連結されるが、その詳しい説明は省略することとする。
【0033】
前記テンションスリーブ112aは、前記ハウジング111の下端にある段差が形成された部分に嵌合するように装着され、前記フランジ113aは、前記テンションスリーブ112aの外周の下側部に嵌合するように装着される。前記ドライブリング112の外周縁部は前記テンションスリーブ112aとフランジ113aとの間に固定される。
【0034】
前記ドライブリング112は、前記ハウジング111の開放された下側をカバーするように設置される。前記ドライブリング112には、円盤状に形成され、所定の圧力を伝達できる複数のホールが設けられ、前記ドライブリング112はその中心部が上下方向に昇降できるフレキシブルな材質から構成される。
【0035】
前記ウェハー装着部は、スリーブ113と、セラミックブロック114と、テンプレートアセンブリー115と、ガイド部116とから構成される。前記ハウジング111とドライブリング112との間の真空圧力を伝達する流路が、前記スリーブ113とセラミックブロック114との内部に設けられる。
【0036】
前記スリーブ113は、前記ドライブリング112の下面と当接し、前記フランジ113aの内周面の下側部に嵌合するように装着される。
【0037】
前記セラミックブロック114は、前記スリーブ113の強度を補強するため、前記スリーブ113の下側に設けられる。
【0038】
前記テンプレートアセンブリー115は、ポリウレタンなどのような素材からなるノンスリップパッドの一種であり、ウェハーWを吸着または加圧するように、前記セラミックブロック114の下側に設けられる。
【0039】
前記ガイド部116は、前記テンプレートアセンブリー115の下面周りに設けられ、ウェハーWの縁部をガイドする。
【0040】
従って、前記ハウジング111の圧力空間111aに真空圧力が加えられると、前記ドライブリング112を介して前記ウェハー装着部にその圧力が伝達される。これにより、前記テンプレートアセンブリー115の下面にウェハーWが吸着される。
【0041】
図4は、図2に適用されたヘッド昇降手段の一例を示すものである。
【0042】
前記ヘッド昇降手段130は、一種のシリンダーであり、図4に示すように、昇降軸131がシリンダーハウジング132内側に昇降可能に設置される。
【0043】
前記昇降軸131は、前記ヘッドアセンブリー110(図2を参照)の上側に直接連結され、上述したように回転軸121(図2を参照)と一緒に回転される。
【0044】
前記シリンダーハウジング132は、内部に所定の圧力空間が設けられ、別途、圧力がその圧力空間に加えられる。
【0045】
ここで、前記昇降軸131の上端は前記シリンダーハウジング132の内部に収容され、前記昇降軸131の周りに設けられた少なくとも一つ以上のシーリング部133が、前記シリンダーハウジング132の内壁と密着するように設置される。
【0046】
なお、前記シーリング部133が前記昇降軸131とシリンダーハウジング132との間に介在しても、前記昇降軸131の上端は前記シリンダーハウジング132の内側で昇降できるように構成されている。
【0047】
一方、前記シリンダーハウジング132の下側には、前記昇降軸131と密着するように設けられた手動の調節部材134が設けられ、手動で前記調節部材134を調節することにより、前記昇降軸131の高さを調節することができる。
【0048】
さらに、前記シリンダーハウジング132の一方の側にはヘッド補助昇降手段150が設けられ、前記ヘッド補助昇降手段150は前記昇降軸131の高さを自動で調節することができる。
【0049】
具体的に、前記ヘッド補助昇降手段150は、前記シリンダーハウジング132内部に圧力を加える上部・下部ノズル151,152と、前記上部・下部ノズル151,152に加える圧力を調節する圧力制御部153とから構成される。前記ヘッド補助昇降手段150は、上述のドライブリング112(図3を参照)の形状を測定するセンサー140から入力された値に応じて、その作動が制御される。
【0050】
前記上部ノズル151は、前記シリンダーハウジング132の一方の側の上部に設けられ、前記シーリング部133よりも上側に位置するように設置される。従って、前記上部ノズル151から圧力が加えられると、前記シーリング部133に対する、前記シリンダーハウジング132の上側空間の圧力が相対的に高まり、前記昇降軸131が下降する。
【0051】
前記下部ノズル152は、前記シリンダーハウジング132の一方の側の下部に設けられ、前記シーリング部133よりも下側に位置するように設置される。従って、前記下部ノズル152から圧力が加えられると、前記シーリング部133に対する、前記シリンダーハウジング132の下側空間の圧力が相対的に高まり、前記昇降軸131が上昇する。
【0052】
前記圧力制御部153は、前記センサー140から入力された値に応じて、前記上部・下部ノズル151,152に加える圧力を制御するように構成される。
【0053】
具体的に、前記センサー140によって測定されたドライブリングの形状が凹状(concave)であれば、前記圧力制御部153は前記上部ノズル151に圧力を加えるように制御し、前記センサー140によって測定されたドライブリングの形状が凸状(convex)であれば、前記圧力制御部153は前記下部ノズル152に圧力を加えるように制御する。
【0054】
図5は、図2に適用されたドライブリングの変形を感知するセンサーの一例を示すものである。
【0055】
前記センサー140は、光学式リニアスケールタイプに構成される。前記センサー140は、図3図5に示すように、発光部141と、受光部142と、リニアスケール143と、増幅器144とを含む。
【0056】
なお、前記センサー140は、前記ドライブリング112の中心部の上側に設けられたスリーブに装着される。
【0057】
前記発光部141と前記受光部142は、水平方向に所定間隔離隔して位置する。前記発光部141には光を発生させるLEDを用いることができ、前記受光部142には光を感知するフォトダイオードを用いることができる。
【0058】
前記リニアスケール143は、前記発光部141と受光部142との間で、上下方向へ移動可能に設けられ、光が通過できるインデックススケールが設けられる。
【0059】
ここで、前記リニアスケール143は、前記ハウジング111と接触した形態で、前記ドライブリング112の中心部が昇降することに伴って、前記ハウジング111の内側上面との間の間隔を測定できるように設けられる。
【0060】
前記増幅器144は、微細な動きまでも測定できるように、前記受光部142に伝達されたデータを検出して増幅させる。
【0061】
従って、前記ドライブリング112の中心部が昇降するとき、前記リニアスケール143が前記ハウジング111の内側上面を基準に移動することで、インデックススケールを通過する光の程度が絶えまなく変化する。それに応じて前記ハウジング111を基準に前記ドライブリング112の高さを測定することができ、前記ドライブリング112の中心部形状を感知することができる。
【0062】
この時、前記ドライブリング112の中心部が上昇して凹状であれば、前記ハウジング111とドライブリング112との間の間隔が基準値よりも小さく測定される。一方、前記ドライブリング112の中心部が下降して凸状であれば、前記ハウジング111とドライブリング112との間の間隔が基準値より大きく測定される。
【0063】
図6は、本発明に係るウェハー研磨方法を示すフローチャートである。
【0064】
本発明に係るウェハー研磨方法は、研磨工程が行われる直前の、ヘッドアセンブリー110のウェハーWが定盤101の研磨パッドPと当接する時点に適用される。ヘッドアセンブリー110のドライブリング112がフラットな状態を維持するように、ヘッドアセンブリー110の高さを自動で調節する過程を、以下、図2図3および図6を参照して説明する。
【0065】
前記ヘッド昇降手段130に設定圧力Poが印加されると、前記ヘッドアセンブリー110は初期設定位置まで下降する(S1、S2参照)。
【0066】
なお、前記ヘッドアセンブリー110のウェハーWが初期位置まで下降するとき、ウェハーWが前記定盤101の研磨パッドPと接触することが好ましい。
【0067】
ところが、繰り返し使用されることによって研磨パッドPの厚さが薄くなった場合、前記ヘッドアセンブリー110のウェハーWが初期位置まで下降しても、ウェハーWが前記定盤101の研磨パッドPと接触しなくなることがある。そのため、前記ヘッドアセンブリー110内側のドライブリング112が凸状に変形することがある。
【0068】
また、新しく交換されることによって研磨パッドPの厚さが厚くなる場合、前記ヘッドアセンブリー110のウェハーWが初期位置まで下降して、前記定盤101の研磨パッドPと過剰に接触することがある。そのため、前記ヘッドアセンブリー110の周りの部分に過度な荷重が加えられることで、前記ヘッドアセンブリー110内側のドライブリング112が凹状に変形することがある。
【0069】
ここで、前記センサー140によって前記ドライブリング112の中心部の高さを測定する(S3参照)。
【0070】
この時、前記センサー140は、光学式リニアスケールタイプであり、上述したように、発光部および受光部が前記ドライブリング112の中心部と一緒に昇降する。一方、リニアスケールは前記ハウジング111に接触するように設置されている。
【0071】
従って、前記ドライブリング112の中心部が昇降するときに、前記リニアスケールに対して前記発光部および前記受光部が昇降することで、前記リニアスケールを通過する光が変化する。その結果、前記リニアスケールを通過する光の変化によって前記ドライブリング112の高さを測定することができる。
【0072】
前記ドライブリング112の高さhが基準値hoと一致する場合、研磨工程を始める(S4、S5参照)。
【0073】
なお、前記ドライブリング112がフラットな状態において前記ドライブリング112の高さhを基準値hoとして予め入力しておき、前記センサー140によって測定されたドライブリング112の高さhを基準値hoと比較する。
【0074】
この時、前記ドライブリング112の高さhが基準値hoと一致する場合、前記ドライブリング112がフラットで、前記ヘッドアセンブリー110のバランスが合わされたと判断し、別途、前記ヘッドアセンブリー110の位置を調節しない状態で研磨工程を行う。
【0075】
一方、前記ドライブリング112の高さhが基準値hoと一致しない場合、前記ヘッド補助昇降手段150によって前記ヘッドアセンブリー110の昇降を調節する(S4、S6参照)。
【0076】
この時、前記ドライブリング112の高さhが基準値hoと一致しない場合、前記ドライブリング112が凸状または凹状となって、前記ヘッドアセンブリー110のバランスが合わされていないと判断し、前記ヘッドアセンブリー110の位置を自動で調節する。
【0077】
具体的に、前記ドライブリング112の高さhが基準値hoより小さい場合、前記ドライブリング112の中心部が上昇して凹状であると判断し、前記ヘッド補助昇降手段150は前記ヘッドアセンブリー110の初期下降位置を微細に上昇させるように調節する。
【0078】
一方、前記ドライブリング112の高さhが基準値hoより大きい場合、前記ドライブリング112の中心部が下降して凸状であると判断し、前記ヘッド補助昇降手段150は前記ヘッドアセンブリー110の初期下降位置を微細に下降させるように調節する。
【0079】
このような過程を繰り返すことで、前記ヘッドアセンブリー110の初期下降位置で前記ヘッドアセンブリー110のバランスを自動で合わせることができる。そのため、作業者の便宜を図ることができる。前記ヘッドアセンブリー110のウェハーWが前記定盤101の研磨パッドPと均一な圧力で接触した状態で研磨工程が行われるので、研磨品質を均一に維持できるだけでなく、研磨性能を向上させることができる。
[付記]
[付記1]
下側に所定の圧力空間を形成するハウジングと、前記ハウジングの下側にフラットに結合され、中心部形態が上下方向に可変できるドライブリングと、前記ドライブリングの下側に設けられ、下面にウェハーが装着されるウェハー装着部からなるヘッドアセンブリーと、
前記ハウジングの上側に設けられ、制御圧力に応じて前記ヘッドアセンブリーを上下方向に昇降させるヘッド昇降手段と、
前記ドライブリングの中心部に設けられ、前記ドライブリングの中心部の高さを測定するセンサーと、
前記ヘッド昇降手段に設けられ、前記センサーの測定値に応じて、前記ドライブリングの中心部がフラットになるように、前記ヘッドアセンブリーの高さを調節するヘッド補助昇降手段と、を含むウェハー研磨装置。
[付記2]
前記ヘッドアセンブリーは、前記ドライブリングの中心部の上側に設けられたスリーブをさらに含み、
前記センサーは、前記スリーブの上側に設けられた光学式リニアスケールタイプに構成される付記1に記載のウェハー研磨装置。
[付記3]
前記センサーは、
前記スリーブの上側に設けられた発光部と、
前記発光部と水平方向に所定間隔離隔して設置された受光部と、
前記ハウジングとの間の間隔を測定するように、前記発光部と前記受光部との間に可動に設けられたリニアスケールと、を含む付記2に記載のウェハー研磨装置。
[付記4]
前記センサーは、前記受光部に伝達されたデータを検出して増幅させる増幅器をさらに含む付記3に記載のウェハー研磨装置。
[付記5]
前記ヘッド昇降手段は、
前記ハウジングの上側に連結される昇降軸と、
前記昇降軸の上端に連結され、圧力が加えられることで前記昇降軸を昇降させるシリンダーハウジングと、
前記昇降軸の周りに設けられ、前記シリンダーハウジングの内壁と密着する少なくとも一つ以上のシーリング部と、を含む付記1に記載のウェハー研磨装置。
[付記6]
前記ヘッド補助昇降手段は、前記シーリング部を基準に上側から前記シリンダーハウジング内部に圧力を加える上部ノズルを含む付記5に記載のウェハー研磨装置。
[付記7]
前記ヘッド補助昇降手段は、前記シーリング部を基準に下側から前記シリンダーハウジング内部に圧力を加える下部ノズルを含む付記5に記載のウェハー研磨装置。
[付記8]
ドライブリングのフラットな形状に応じてバランスが合わされるウェハー装着部を有するヘッドアセンブリーに吸着されたウェハーを、定盤に載置された研磨パッドによって研磨するウェハー研磨方法であって、
所定の圧力が加えられることで前記ヘッドアセンブリーを下降させたときに、前記ウェハーが前記研磨パッドと接触する第1ステップと、
前記ドライブリングの中心部形状を測定する第2ステップと、
前記ドライブリングの中心部形状に応じて前記ヘッドアセンブリーの高さを調節する第3ステップと、を含むウェハー研磨方法。
[付記9]
前記第1ステップは、前記ドライブリングがフラットな状態を基準値として前記ヘッドアセンブリーの下降位置が設定される付記8に記載のウェハー研磨方法。
[付記10]
前記第2ステップは、前記ドライブリングの中心部の高さを前記基準値と比較する過程を含む付記9に記載のウェハー研磨方法。
[付記11]
前記第3ステップは、
前記ドライブリングの中心部の高さが前記基準値より大きい場合、前記ヘッドアセンブリーの高さを低くなるように調節し、
前記ドライブリングの中心部の高さが前記基準値より小さい場合、前記ヘッドアセンブリーの高さを高くなるように調節する、付記10に記載のウェハー研磨方法。
[付記12]
前記第3ステップは、前記ドライブリングの中心部の高さが前記基準値と一致するように、前記ヘッドアセンブリーの高さを調節する、付記10に記載のウェハー研磨方法。
【符号の説明】
【0080】
110 ヘッドアセンブリー、
120 ヘッド回転手段、
130 ヘッド昇降手段、
140 センサー、
150 ヘッド補助昇降手段。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6