特許第6634045号(P6634045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6634045
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】制御装置、制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20200109BHJP
   H02J 1/10 20060101ALI20200109BHJP
【FI】
   H02M3/28 W
   H02J1/10
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-55071(P2017-55071)
(22)【出願日】2017年3月21日
(65)【公開番号】特開2018-157737(P2018-157737A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2019年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 薫
(72)【発明者】
【氏名】半田 祐一
(72)【発明者】
【氏名】居安 誠二
【審査官】 小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−244862(JP,A)
【文献】 特開2016−025748(JP,A)
【文献】 特開平09−308231(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0163051(US,A1)
【文献】 特開2016−096591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H02J 1/10
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置(50)からの入力電圧を降圧する第1DC/DCコンバータ(20)及び第2DC/DCコンバータ(30)を備え、前記第1DC/DCコンバータ及び第2DC/DCコンバータから共通の給電対象(55,60)に出力電圧を供給する電力変換システム(90)に適用され、
前記入力電圧又は前記出力電圧を電圧パラメータとして取得する電圧取得部と、
前記給電対象に供給する負荷電流を取得する電流取得部と、
前記電圧パラメータ及び前記負荷電流に基づいて、前記第1DC/DCコンバータ及び前記第2DC/DCコンバータの前記負荷電流に対する分担量を設定する分担設定部と、
前記分担量に基づいて、前記第1DC/DCコンバータ及び前記第2DC/DCコンバータの動作を制御する動作制御部と、を備え、
前記第1DC/DCコンバータは、所定の前記電圧パラメータの範囲である第1範囲において、前記第2DC/DCコンバータよりも効率が高く、前記第2DC/DCコンバータは、前記第1範囲と異なる第2範囲において、前記第1DC/DCコンバータよりも効率が高く、
前記分担設定部は、前記電圧パラメータが前記第1範囲に含まれる場合に、前記第1DC/DCコンバータの前記分担量を、前記第2DC/DCコンバータの前記分担量よりも多く設定し、前記電圧パラメータが前記第2範囲に含まれる場合に、前記第2DC/DCコンバータの前記分担量を、前記第1DC/DCコンバータの前記分担量よりも多く設定し、
前記第1DC/DCコンバータは、所定の負荷閾値よりも小さい前記負荷電流を出力する場合に、前記第2DC/DCコンバータよりも効率が低く、
前記分担設定部は、前記電圧パラメータが前記第1範囲に含まれ、かつ前記負荷電流が前記負荷閾値よりも小さい場合は、前記第1DC/DCコンバータを動作させない制御装置。
【請求項2】
前記負荷電流が前記第1DC/DCコンバータの定格電流よりも小さい上限値未満であるか否かを判定する上限判定部を備え、
前記分担設定部は、前記上限判定部により前記負荷電流が前記上限値未満であると判定された場合に、前記第2DC/DCコンバータを動作させず、前記負荷電流が前記上限値以上と判定された場合に、前記第1DC/DCコンバータ及び前記第2DC/DCコンバータのそれぞれの前記分担量を設定して前記第1DC/DCコンバータ及び前記第2DC/DCコンバータを動作させる請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
蓄電装置(50)からの入力電圧を降圧する第1DC/DCコンバータ(20)及び第2DC/DCコンバータ(30)を備え、前記第1DC/DCコンバータ及び第2DC/DCコンバータから共通の給電対象(55,60)に出力電圧を供給する電力変換システム(90)に適用され、
前記入力電圧又は前記出力電圧を電圧パラメータとして取得する電圧取得部と、
前記給電対象に供給する負荷電流を取得する電流取得部と、
前記電圧パラメータ及び前記負荷電流に基づいて、前記第1DC/DCコンバータ及び前記第2DC/DCコンバータの前記負荷電流に対する分担量を設定する分担設定部と、
前記分担量に基づいて、前記第1DC/DCコンバータ及び前記第2DC/DCコンバータの動作を制御する動作制御部と、を備え、
前記第1DC/DCコンバータは、所定の前記電圧パラメータの範囲である第1範囲において、前記第2DC/DCコンバータよりも効率が高く、前記第2DC/DCコンバータは、前記第1範囲と異なる第2範囲において、前記第1DC/DCコンバータよりも効率が高く、
前記分担設定部は、前記電圧パラメータが前記第1範囲に含まれる場合に、前記第1DC/DCコンバータの前記分担量を、前記第2DC/DCコンバータの前記分担量よりも多く設定し、前記電圧パラメータが前記第2範囲に含まれる場合に、前記第2DC/DCコンバータの前記分担量を、前記第1DC/DCコンバータの前記分担量よりも多く設定し、
前記負荷電流が前記第1DC/DCコンバータの定格電流よりも小さい上限値未満であるか否かを判定する上限判定部を備え、
前記分担設定部は、前記上限判定部により前記負荷電流が前記上限値未満であると判定された場合に、前記第2DC/DCコンバータを動作させず、前記負荷電流が前記上限値以上と判定された場合に、前記第1DC/DCコンバータ及び前記第2DC/DCコンバータのそれぞれの前記分担量を設定して前記第1DC/DCコンバータ及び前記第2DC/DCコンバータを動作させる制御装置。
【請求項4】
前記電圧パラメータが前記第2範囲から前記第1範囲へ変化する際の前記第2DC/DCコンバータの効率の変化は、前記第1DC/DCコンバータの効率の変化よりも小さい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記分担設定部は、前記電圧パラメータが前記第2範囲に含まれる場合に、前記第1DC/DCコンバータを動作させない、請求項1〜4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記分担設定部は、前記第1DC/DCコンバータ及び前記第2DC/DCコンバータの前記分担量をそれぞれの定格電流を超えないよう設定する請求項1,4,5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載の前記制御装置と、
前記電力変換システムと、を備える制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電力変換システムに適用される制御装置、並びに電力変換システム及び制御装置を備える制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジンの回転により発電するオルタネータと、蓄電装置からの入力電圧を変圧するDC/DCコンバータとを備える電力変換システムが開示されている。DC/DCコンバータは、入力電圧を変圧することで、出力電圧を生成し、給電対象に給電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−95246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、共通の給電対象に給電する2つのDC/DCコンバータを備える電力変換システムが考えられる。このような電力変換システムにおいて、入力電圧又は出力電圧の変動に対応できるように、2つのDC/DCコンバータに対して広い入力電圧範囲又は出力電圧範囲に対応できる特性を均等に備えさせることが考えられる。しかし、2つのDC/DCコンバータに対して広い入力電圧範囲又は出力電圧範囲に対応できる特性を備えさせておくと、電力変換システムの効率が犠牲となる場合がある。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みたものであり、システム全体での効率を犠牲にすることなく、入力電圧又は出力電圧の変動に対応することができる制御装置、及び制御装置を備える制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係る制御装置は、蓄電装置からの入力電圧を降圧して出力する第1DC/DCコンバータ及び第2DC/DCコンバータと、を備え、前記第1DC/DCコンバータ及び第2DC/DCコンバータから共通の給電対象に出力電圧を供給する電力変換システムに適用される。制御装置は、入力電圧又は出力電圧を電圧パラメータとして取得する電圧取得部と、前記給電対象に供給する負荷電流を取得する電流取得部と、前記電圧パラメータ及び前記負荷電流に基づいて、前記第1DC/DCコンバータ及び前記第2DC/DCコンバータの前記負荷電流に対する分担量を設定する分担設定部と、前記分担量に基づいて、前記第1DC/DCコンバータ及び前記第2DC/DCコンバータの動作を制御する動作制御部と、を備える。
【0007】
DC/DCコンバータの効率は、入力電圧又は出力電圧と、負荷電流とに応じて変化する。そこで、上記構成では、入力電圧又は出力電圧である電圧パラメータと負荷電流とに基づいて、第1DC/DCコンバータと第2DC/DCコンバータとの負荷電流に対する分担量を設定する。そして、設定された分担量に基づいて、第1DC/DCコンバータと第2DC/DCコンバータとの動作を制御することとした。この場合、各DC/DCコンバータの効率を考慮して負荷電流の分担量が設定されることで、電力変換システム全体での効率を犠牲にすることなく、入力電圧又は出力電圧の変動に対応することができる。
【0008】
第2の発明では、前記第1DC/DCコンバータは、所定の前記電圧パラメータの範囲である第1範囲において、前記第2DC/DCコンバータよりも効率が高い。また、前記第2DC/DCコンバータは、前記第1範囲と異なる第2範囲において、前記第1DC/DCコンバータよりも効率が高い。そして、前記分担設定部は、前記電圧パラメータが前記第1範囲に含まれる場合に、前記第1DC/DCコンバータの前記分担量を、前記第2DC/DCコンバータの前記分担量よりも多く設定し、前記電圧パラメータが前記第2範囲に含まれる場合に、前記第2DC/DCコンバータの前記分担量を、前記第1DC/DCコンバータの前記分担量よりも多く設定する。
【0009】
上記構成により、変動後の電圧パラメータに応じて、第1,第2DC/DCコンバータのうち効率が高い方のDC/DCコンバータの分担量が、効率が低い方のDC/DCコンバータの分担量よりも多くなる。その結果、システム全体での効率の低下が抑制される。
【0010】
第3の発明では、前記電圧パラメータが前記第2範囲から前記第1範囲へ変化する際の前記第2DC/DCコンバータの効率の変化が、前記第1DC/DCコンバータの効率の変化よりも小さい。
【0011】
上記構成により、電圧パラメータが第1範囲に含まれる場合において、第2DC/DCコンバータを第1DC/DCコンバータに対して補助的に動作させる場合でも、第2DC/DCコンバータの効率が大きく低下しない。その結果、制御システム全体での効率の低下を抑制することができる。
【0012】
第4の発明では、前記分担設定部は、前記電圧パラメータが前記第2範囲に含まれる場合に、前記第1DC/DCコンバータを動作させない。上記構成により、効率が低い第2範囲では、第1DC/DCを動作させないことで、システム全体での効率の低下を抑制することができる。
【0013】
第5の発明では、前記第1DC/DCコンバータは、所定の負荷閾値よりも小さい負荷電流を出力する場合に、前記第2DC/DCコンバータよりも効率が低く、前記分担設定部は、前記電圧パラメータが前記第1範囲に含まれ、かつ前記負荷電流が前記負荷閾値よりも小さい場合は、前記第1DC/DCコンバータを動作させない。
【0014】
第1DC/DCコンバータの効率が第2DC/DCコンバータの効率よりも低くなる負荷電流範囲では、第1DC/DCコンバータを動作させる場合に第1DC/DCコンバータで発生する損失が、第2DC/DCコンバータを動作させる場合に第2DC/DCコンバータで発生する損失よりも大きくなる。そのため、上記構成では、第1範囲であっても、第1DC/DCコンバータの効率が低くなる負荷電流範囲では、第1DC/DCコンバータを動作させないこととした。その結果、システム全体での効率の低下を抑制することができる。
【0015】
第6の発明では、前記負荷電流が前記第1DC/DCコンバータの定格電流よりも小さい上限値未満であるか否かを判定する上限判定部を備え、前記分担設定部は、前記上限判定部により前記負荷電流が前記上限値より小さいと判定された場合に、前記第2DC/DCコンバータを動作させず、前記負荷電流が前記上限値以上と判定された場合に、前記第1DC/DCコンバータ及び前記第2DC/DCコンバータのそれぞれの前記分担量を設定して前記第1DC/DCコンバータ及び前記第2DC/DCコンバータを動作させる。
【0016】
第2DC/DCコンバータの動作が停止している状態から、第2DC/DCコンバータを起動して負荷電流を供給させる場合、第2DC/DCコンバータから負荷電流の供給が開始されるまでに時間を要する。そのため、給電対象に供給すべき負荷電流が急増する状況下、第1DC/DCコンバータの分担量が第1DC/DCコンバータの定格電流を超えた後に第2DC/DCコンバータを動作させ始めると、第2DC/DCコンバータからの電流の出力が遅れ、給電対象に実際に供給される負荷電流が供給すべき負荷電流よりも小さくなってしまうおそれがある。この点、上記構成では、第1DC/DCコンバータの定格電流よりも小さい値である上限値が定められている。そして、負荷電流が上限値以上となる場合に、第1,第2DC/DCコンバータのそれぞれを動作させることとした。この場合、第1DC/DCコンバータの定格電流未満の負荷電流を供給する状態から、第1,第2DC/DCコンバータを共に動作させることで、その後に負荷電流が増加する場合でも、第2DC/DCコンバータによる負荷電流の供給が遅れるのを防止することができる。
【0017】
第7の発明では、前記分担設定部は、前記第1DC/DCコンバータ及び前記第2DC/DCコンバータの前記分担量をそれぞれの定格電流を超えないよう設定する。
【0018】
上記構成により、各DC/DCコンバータの分担量がそれぞれの定格電流を超えない範囲に設定される。そのため、各DC/DCコンバータを適正な出力電流で動作させることができる。
【0019】
本発明に係る前記制御装置と、前記電力変換システムと、を備える制御システムとしても用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】制御システムの構成図。
図2】第1,第2DDCの第1端子電圧Vb1に対する効率特性を説明する図。
図3】各電圧範囲RV1〜RV3における第1,第2DDCの動作を説明する図。
図4】分担量の設定処理を説明するフローチャート。
図5】負荷電流ILと第1効率η1,η2との関係を説明する図。
図6】分担量を説明する図。
図7】第2実施形態に係る負荷電流ILと効率との関係を説明する図。
図8】第2実施形態に係る分担量を説明する図。
図9】第2実施形態に係る分担量の設定処理を説明するフローチャート。
図10】第3実施形態に係る分担量を説明する図。
図11】第3実施形態に係る分担量の設定処理を説明するフローチャート。
図12】第4実施形態に係る分担量の設定処理を説明するフローチャート。
図13図4のステップS21で制御装置により実施される処理を説明するフローチャート。
図14】出力電圧Voutと、効率ηとの関係を説明する図。
図15】第7実施形態に係る分担量の設定処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1実施形態に係る制御システム100の構成図である。制御システム100は、車両に搭載されている。また、この実施形態において、制御システム100が搭載される車両は、走行動力源として、内燃機関であるエンジンと、走行用モータとを備えるハイブリット車両である。
【0022】
制御システム100は、蓄電装置に相当する第1蓄電池50と、インバータ51と、第1DC/DCコンバータ20と、第2DC/DCコンバータ30と、を備えている。以下では、第1DC/DCコンバータ20を第1DDC20と記載し、第2DC/DCコンバータ30を第2DDC30と記載する。本実施形態では、第1蓄電池50と、インバータ51と、第1DDC20と、第2DDC30とが電力変換システム90を構成している。
【0023】
制御システム100には、給電対象としてのモータ11と、機器群60と、第2蓄電池55とが接続されている。そして、制御システム100は、第1蓄電池50により供給される電力に基づいて、モータ11と,機器群60と、第2蓄電池55とに給電する。
【0024】
第1蓄電池50は、制御システム100における主たる電源として機能する。本実施形態では、第1蓄電池50は、リチウムイオン蓄電池である。具体的には、第1蓄電池50は、複数のリチウムイオン蓄電池のセルを組み合わせた組電池であり、例えば、200V〜400Vの第1端子電圧Vb1を生じさせる。
【0025】
インバータ51は、第1蓄電池50から供給される電力を変換して、モータ11に給電する。インバータ51の入力側は、第1蓄電池50のプラス側端子と繋がる第1高圧ラインHL1、及び第1蓄電池50のマイナス側端子と繋がる第2高圧ラインHL2に接続されている。また、平滑コンデンサ52が、第1高圧ラインHL1と第2高圧ラインHL2との間においてインバータ51に並列接続されている。そして、インバータ51の出力側は、モータ11に接続されている。
【0026】
モータ11は、インバータ51によって変換された交流電圧により駆動する。モータ11は、車両の走行用モータである。モータ11は、車両の走行中において車両の運動エネルギを利用して回生発電する機能を有している。また、インバータ51は、交流電流を直流電流に整流する整流機能を備えている。インバータ51は、車両の制動時には、回生発電によってモータ11から出力された交流電流を直流電流に整流する。整流された直流電流が各高圧ラインHL1,HL2を通じて第1蓄電池50に供給されることにより、第1蓄電池50が充電される。
【0027】
第1DDC20は、インダクタとコンデンサとにより共振を生じさせる電流共振型のコンバータである。本実施形態では、第1DDC20は、低圧側の第1回路と高圧側の第2回路とがトランスを介して接続された絶縁型の降圧コンバータである。
【0028】
第1DDC20の第1回路は、複数の半導体スイッチを備える。第1DDC20は、各半導体スイッチのオン・オフを切り替えることで、第1端子電圧Vb1に対する降圧動作を実施する。第1DDC20の第1入力端子Ti1は、第1高圧ラインHL1と繋がる第3高圧ラインHL3に接続されている。また、第2入力端子Ti2は、第2高圧ラインHL2に繋がる第4高圧ラインHL4に接続されている。また、第1出力端子To1は、サブ配線SLに接続されている。
【0029】
第1回路には、この第1回路に流れる第1電流IH1を検出する第1電流センサ21が設けられている。第1電流センサ21により検出された第1電流IH1と、第1DDC20のトランスの巻数比とに基づいて、第1DDC20の第2回路から出力される出力電流を推定することができる。以下では、第1DDC20の出力電流を第1出力電流Iout1と記載する。
【0030】
第2DDC30は、複数の半導体スイッチのオン期間のタイミングを制御する位相シフト型のコンバータである。本実施形態では、第2DDC30は、低圧側の第3回路と高圧側の第4回路とがトランスを介して接続された絶縁型の降圧コンバータである。
【0031】
第2DDC30の第3回路は、複数の半導体スイッチを備える。第2DDC30は、各半導体スイッチのオン・オフを切り替えることで、第1端子電圧Vb1に対する降圧動作を実施する。第2DDC30の第3入力端子Ti3は、第1高圧ラインHL1と繋がる第5高圧ラインHL5に接続されている。また、第4入力端子Ti4は、第2高圧ラインHL2に繋がる第6高圧ラインHL6に接続されている。第2DDC30の第2出力端子To2は、サブ配線SLに接続されている。
【0032】
第3回路には、この第3回路に流れる第2電流IH2を検出する第2電流センサ31が設けられている。第2電流センサ31により検出された第2電流IH2と、第2DDC30のトランスの巻数比とに基づいて、第2DDC30の第4回路から出力される出力電流を推定することができる。以下では、第2DDC30の出力電流を第2出力電流Iout2と記載する。
【0033】
本実施形態では、第1DDC20の定格電流は、第2DDC30の定格電流よりも大きい。例えば、第1DDC20の定格電流は、150[A]であり、第2DDC30の定格電流は、30[A]である。また、第1DDC20の定格電流は、制御システム100に対して要求される負荷電流ILの最大値よりも大きい値となっている。
【0034】
サブ配線SLには、このサブ配線SLを通じて給電される機器群60と第2蓄電池55とが接続されている。機器群60の正極側端子は、サブ配線SLに接続されている。また、機器群60の負極側端子は、グランドに接続されている。機器群60は、例えば、オーディオ機器、ナビゲーション装置、パワースライドドア、パワーバックドア、メータ等である。また、第2蓄電池55のプラス側端子はサブ配線SLに接続され、マイナス側端子はグランドに接続されている。そのため、サブ配線SLには、第1,第2DDC20,30の出力電圧Vout及び第2蓄電池55の端子電圧である第2端子電圧Vb2の少なくともいずれかが印加される。
【0035】
本実施形態において、第2蓄電池55の蓄電容量は、第1蓄電池50の蓄電容量よりも小さい。また、第2蓄電池55の第2端子電圧Vb2は、第1蓄電池50の第1端子電圧Vb1よりも小さい。例えば、第2蓄電池55の満充電時の端子電圧は、12Vである。
【0036】
制御システム100は、制御装置10を備えている。制御装置10は、ユーザのアクセル操作量に応じてモータ11の駆動に必要な指令トルクを算出する。制御装置10は、モータ11のトルクを指令トルクに制御すべく、インバータ51を制御する。
【0037】
また、制御装置10は、第1,第2DDC20,30の半導体スイッチを駆動させる。制御装置10は、第1,第2DDC20,30の出力電圧Vout1,Vout2を第1,第2出力電圧指令値V1*,V2*に制御すべく、各半導体スイッチの1スイッチング周期に対するオン期間の比であるデューティ比を制御する。例えば、制御装置10は、第1,第2DDC20,30に共通となる上位電圧指令値VP*を設定し、この上位電圧指令値VP*から各出力電圧指令値V1*,V2*を設定する。制御装置10によるデューティ比の制御により、第1,第2DDC20,30の出力電圧Vout1,Vout2が制御され、サブ配線SLに供給される。
【0038】
なお、本実施形態では、制御装置10を一つの装置として説明するが、これに限定されない。例えば、インバータ51を制御する制御装置と、第1,第2DDC20,30の半導体スイッチを駆動させる制御装置とを別々に備える構成としてもよい。
【0039】
制御システム100は、電圧センサ53を備えている。電圧センサ53は、第1蓄電池50のプラス側端子とマイナス側端子とに並列接続されており、第1端子電圧Vb1を検出する。
【0040】
次に、第1,第2DDC20,30の第1端子電圧Vb1に対する効率特性を、図2を用いて説明する。図2では、横軸を第1端子電圧Vb1とし、縦軸を効率η(電力変換効率)とするグラフである。横軸において、第1端子電圧Vb1を、第1電圧範囲RV1と、第2電圧範囲RV2と、第3電圧範囲RV3とに区別している。第1電圧範囲RV1に含まれる電圧値は第1境界値よりも小さく、第2電圧範囲RV2に含まれる電圧値は第1境界値よりも大きい。また、第2電圧範囲RV2に含まれる電圧値は第2境界値よりも小さく、第3電圧範囲RV3に含まれる電圧値は第2境界値よりも大きい。第1境界値は第2境界値よりも小さい値である。また、第1電圧範囲RV1の最小値が、第1端子電圧Vb1の下限値となっている。そして、第3電圧範囲RV3の最大値が、第1端子電圧Vb1の上限値となっている。
【0041】
第2電圧範囲RV2が第1範囲に相当し、第1電圧範囲RV1及び第3電圧範囲RV3が第2範囲に相当する。本実施形態では、効率ηを、第1,第2DDC20,30の入力電力に対する出力電力の割合として定めている。
【0042】
第1DDC20の第1効率η1は、第2電圧範囲RV2において、第2DDC30の第2効率η2よりも高い値となる。図2では、第2電圧範囲RV2において、第1効率η1は第1効率閾値Thη1以上の値であるのに対して、第2効率η2は第1効率閾値Thη1より低い値となる。一方、第1,第3電圧範囲RV1,RV3において、第1効率η1は第2効率η2よりも低い値となる。
【0043】
また、第1端子電圧Vb1が第2電圧範囲RV2から第1電圧範囲RV1又は第3電圧範囲RV3へ変化する際の第1端子電圧Vb1の変化に対する第2効率η2の変化は、第1効率η1の変化よりも小さい。各電圧範囲RV1〜RV3において、第1DDC20の第1効率η1は、第1効率閾値Thη1以上の値から第2効率閾値Thη2以下の値に変動する。一方、各電圧範囲RV1〜RV3において、第2効率η2は、第2効率閾値Thη2以上でかつ第1効率閾値Thη1未満の値に変動する。第2効率閾値Thη2は第1効率閾値Thη1よりも小さな値である。
【0044】
ところで、制御システム100では、入力電圧である第1端子電圧Vb1に変動が生じる場合がある。例えば、第1蓄電池50からインバータ51を通じてモータ11に供給される電流が多くなることで、第1端子電圧Vb1が低下する。ここで、第1,第2DDC20,30に対して広い入力電圧範囲に対応できる特性を均等に備えさせておくと、制御システム100全体での効率が犠牲となる場合がある。また、制御システム100では、機器群60の要求する負荷電流ILが変動する場合がある。そして、第1,第2DDC20,30の各効率η1,η2は、負荷電流ILの変動によっても変化する。
【0045】
そこで、制御装置10は、第1端子電圧Vb1を電圧パラメータとし、この電圧パラメータと、負荷電流ILとに応じて、第1,第2DDC20,30の負荷電流ILの分担量(Iout1,Iout2)を設定することとした。図3は、各電圧範囲RV1〜RV3での第1,第2DDC20,30の動作を説明する図である。本実施形態では、第1DDC20の第1効率η1が第2DDC30の第2効率η2よりも高い第2電圧範囲RV2において、第1DDC20を優先的に動作させる。即ち、第1DDC20の第1出力電流Iout1が第2DDC30の第2出力電流Iout2よりも多くなるよう設定される。一方、第2DDC30の第2効率η2が第1DDC20の第1効率η1よりも高い第1電圧範囲RV1及び第3電圧範囲RV3では、第2DDC30を優先的に動作させる。即ち、第2出力電流Iout2が第1出力電流Iout1よりも多くなるよう設定される。更に、第2電圧範囲RV2においても、第1DDC20における負荷電流ILに対する特性に応じて、第2DDC30を補助的に動作させることで、分担量を変更している。
【0046】
次に、第1端子電圧Vb1と負荷電流ILとに応じた分担量の設定処理を説明する。図4は、第1,第2DDC20,30の分担量の設定処理を説明するフローチャートである。図4のフローチャートで示す処理は、制御装置10により所定の制御周期で繰り返し実施される。図4において、ステップS13〜S18,S21が分担設定部に相当する。
【0047】
ステップS11では、第1端子電圧Vb1を取得する。第1端子電圧Vb1は、電圧センサ53による実測値として取得される。ステップS11が電圧取得部に相当する。
【0048】
ステップS12では、負荷電流ILを取得する。本実施形態では、第1電流IH1と第2電流IH2とに基づいて、第1,第2DDC20,30の出力電流Iout1,Iout2の合計を負荷電流ILとして推定する。ステップS12が電流取得部に相当する。
【0049】
ステップS13では、ステップS11で取得した第1端子電圧Vb1が第2電圧範囲RV2に含まれるか否かを判定する。ステップS13において、第1端子電圧Vb1が第2電圧範囲RV2に含まれると判定すると、ステップS14に進む。ステップS14〜S18では、負荷電流ILに占める第1出力電流Iout1が第2出力電流Iout2よりも多くなるように、分担量を設定する。
【0050】
図5は、第2電圧範囲RV2における負荷電流ILと効率η1,η2との関係を説明する図である。図5では、横軸を負荷電流ILとし、縦軸を効率ηとして示している。また、第1DDC20の定格電流と比べて低負荷電流範囲となる境界を第1負荷閾値ThL1として示している。以下では、第1DDC20の定格電流を第1定格電流Ir1とし、第2DDC30の定格電流を第2定格電流Ir2とする。
【0051】
第2電圧範囲RV2においても、負荷電流ILに応じて第1DDC20の第1効率η1が変化する。第1DDC20の第1定格電流Ir1は、第1負荷閾値ThL1よりも大きな値であるため、負荷電流ILが減少することで第1定格電流Ir1から離れるに従い、第1効率η1が低くなっている。これに対して、第2DDC30の第2定格電流Ir2は第1定格電流Ir1と比べて第1負荷閾値ThL1に近い値であり、第1負荷閾値ThL1以下であっても、負荷電流ILの減少に対する第2効率η2の低下は、第1効率η1の低下よりも少ない。そのため、第1負荷閾値ThL1以下となる低負荷電流範囲では、第1DDC20の第1効率η1は、第2DDC30の第2効率η2よりも低くなっている。
【0052】
図6は、負荷電流ILに応じた分担量を説明する図である。負荷電流ILが第1負荷閾値ThL1よりも小さい場合は、制御装置10は、第2出力電流Iout2のみで負荷電流ILを供給するよう第1,第2DDC20,30の分担量を設定する。一方、負荷電流ILが第1負荷閾値ThL1以上である場合は、第1出力電流Iout1のみで負荷電流ILを供給するよう第1,第2DDC20,30の分担量を設定する。
【0053】
図4の説明に戻り、ステップS14では、負荷電流ILを第1負荷閾値ThL1と比較する。ステップS14において、負荷電流ILが第1負荷閾値ThL1より小さいと判定すると、ステップS15に進む。ステップS15では、ステップS12で取得した負荷電流ILを第2DDC30の分担量である第2出力電流Iout2として設定する。
【0054】
ステップS16では、第1DDC20から機器群60へ電流が供給されないように、第1DDC20の分担量である第1出力電流Iout1を0に設定する。すなわち、負荷電流ILが第1負荷閾値ThL1より小さい場合は、第2DDC30のみで負荷電流ILを供給させ、第1DDC20に負荷電流ILを供給させない。
【0055】
一方、ステップS14において負荷電流ILが第1負荷閾値ThL1以上であると判定すると、ステップS17に進む。ステップS17では、ステップS12で取得した負荷電流ILを、第1出力電流Iout1として設定する。
【0056】
ステップS18では、第2DDC30から機器群60へ負荷電流ILが供給されないよう第2出力電流Iout2を0に設定する。すなわち、負荷電流ILが第1負荷閾値ThL1以上である場合は、第1DDC20のみで負荷電流ILを供給させ、第2DDC30に負荷電流ILを供給させない。
【0057】
ステップS13において、第1端子電圧Vb1が第2電圧範囲RV2に含まれないと判定すると、ステップS19に進む。この場合、第1端子電圧Vb1は、各電圧範囲RV1,RV3に含まれるため、第2DDC30を優先的に動作させるほうが、制御システム100の効率が高くなる。そのため、ステップS21では、第2出力電流Iout2のみで負荷電流ILを供給するよう分担量を設定する。具体的には、第1出力電流Iout1を0に設定し、第2出力電流Iout2を負荷電流ILに設定する。
【0058】
ステップS20では、ステップS16、S17又はS21で設定した第1出力電流Iout1に応じて、第1出力電圧指令値V1*を設定する。例えば、各ステップS16,S17で設定した第1出力電流Iout1と、第1電流IH1に応じて推定した第1出力電流Iout1との偏差ΔI1を算出する。そして、算出した偏差ΔI1に応じて、第1出力電圧指令値V1*を設定する。具体的には、偏差ΔI1を入力値とし、上位電圧指令値VP*の補正値を出力値とする比例積分制御を実施する。そして算出した補正値により上位電圧指令値VP*補正し、補正後の上位電圧指令値VP*を第1出力電圧指令値V1*として設定する。
【0059】
ステップS21では、ステップS15、S18又はS21で設定した第2出力電流Iout2に応じて第2出力電圧指令値V2*を設定する。例えば、各ステップS15,S18で設定した第2出力電流Iout2と、第2電流IH2に応じて推定した第2出力電流Iout2との偏差ΔI2を算出する。そして、算出した偏差ΔI2に応じて、第2出力電圧指令値V2*を設定する。具体的には、偏差ΔI2を入力値とし、上位電圧指令値VP*の補正値を出力値とする比例積分制御を実施する。そして算出した補正値により上位電圧指令値VP*を補正し、補正後の上位電圧指令値VP*を第2出力電圧指令値V2*として設定する。
【0060】
ステップS22では、ステップS20,S21で設定した各出力電圧指令値V1*,V2*に応じて、第1,第2DDC20,30を動作させる。ステップS22が動作制御部に相当する。
【0061】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0062】
・制御装置10は、第1端子電圧Vb1及び負荷電流ILに基づいて、第1,第2DDC20,30における負荷電流ILの分担量を設定する。そして、設定した分担量に基づいて、第1,第2DDC20,30を動作させることとした。この場合、第1,第2DDC20,30の各効率η1,η2を考慮して、各出力電流Iout1,Iout2が設定されることで、制御システム100全体での効率を犠牲にすることなく第1端子電圧Vb1の変動に対応することができる。
【0063】
・制御装置10は、第1端子電圧Vb1が第2電圧範囲RV2に含まれる場合に、第1出力電流Iout1を第2出力電流Iout2よりも多くする。また、制御装置10は、第1端子電圧Vb1が第1電圧範囲RV1又は第3電圧範囲RV3に含まれる場合に、第2出力電流Iout2を第1出力電流Iout1よりも多くする。上記構成により、第1端子電圧Vb1が変動する場合でも、効率が高い方のDDC20,30の出力電流Iout1,Iout2が、効率が低い方のDDC30の出力電流Iout1,Iout2よりも多くなる。そのため、制御システム100全体での効率を高めることができる。
【0064】
・第1端子電圧Vb1が第2電圧範囲RV2から第1電圧範囲RV1又は第3電圧範囲RV3へ変化する際の第2DDC30の第2効率η2の変化は、第1DDC20の第1効率η1の変化よりも小さい。上記構成により、第1端子電圧Vb1が第2電圧範囲RV2に含まれる場合において、制御装置10が第2DDC30を第1DDC20に対して補助的に動作させる場合でも、第2効率η2が大きく低下しない。その結果、制御システム100全体での効率の低下を抑制することができる。
【0065】
・制御装置10は、第1端子電圧Vb1が第2電圧範囲RV2に含まれない場合に、第1DDC20を動作させない。上記構成により、効率が低い範囲では、第1DDC20を動作させないことで、制御システム100全体での効率が低下するのを抑制することができる。
【0066】
・制御装置10は、第1端子電圧Vb1が第2電圧範囲RV2に含まれ、負荷電流ILが低負荷電流範囲に含まれる場合は、第2出力電流Iout2のみで負荷電流ILを供給させるように、各出力電流Iout1,Iout2を設定する。そのため、低負荷電流範囲においては、第1DDC20を動作させず、制御システム100全体での効率の低下を抑制することができる。
【0067】
(第2実施形態)
この第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0068】
図7は、第2実施形態に係る負荷電流ILと、効率ηとの関係を説明する図である。第2電圧範囲RV2において、第1DDC20を優先的に動作させる場合でも、負荷電流ILが第1DDC20の第1定格電流Ir1よりも大きな値となる場合がある。図7では、第2負荷閾値ThL2は、第1定格電流Ir1を示す値である。また、第3負荷閾値ThL3は、機器群60が要求する負荷電流ILの最大値であり、第2負荷閾値ThL2よりも大きな値である。図7に示すように、負荷電流ILが第2負荷閾値ThL2よりも大きくかつ第3負荷閾値ThL3以下の値では、第1DDC20のみで負荷電流ILを供給できない場合がある。
【0069】
図8は、第2実施形態に係る負荷電流ILの分担量を説明する図である。この第2実施形態では、第1,第2DDC20,30の定格電流は同じ値(例えば、75A)である。負荷電流ILが第2負荷閾値ThL2よりも小さい場合、制御装置10は第1DDC10のみで負荷電流ILを供給させる。また、負荷電流ILが第2負荷閾値ThL2以上となる場合、制御装置10は、第1DDC20を優先的に動作させつつ、第2DDC30を第1DDC20に対して補助的に動作させることで、負荷電流ILが不足することを防止している。
【0070】
図9は、第2実施形態に係る第1,第2DDC20,30の分担量の設定処理を説明するフローチャートである。図9のフローチャートで示す処理は、制御装置10により所定の制御周期で繰り返し実施される。
【0071】
ステップS31では、負荷電流ILと第2負荷閾値ThL2とを比較する。ステップS31において、負荷電流ILが第2負荷閾値ThL2より小さいと判定すれば、ステップS32に進む。
【0072】
ステップS32では、ステップS12で取得した負荷電流ILを第1出力電流Iout1として設定する。ステップS33では、第2DDC20から機器群60へ負荷電流ILが供給されないよう第2出力電流Iout2を0に設定する。
【0073】
ステップS31において、負荷電流ILが第2負荷閾値ThL2以上であると判定すれば、ステップS34に進む。ステップS34では、第1出力電流Iout1を第1定格電流Ir1を超えない範囲で設定する。本実施形態では、第1定格電流Ir1を第1出力電流Iout1に設定する。
【0074】
ステップS35では、負荷電流ILからステップS34で設定した第1出力電流Iout1を引いた値を、第2出力電流Iout2として設定する。
【0075】
ステップS20では、ステップS32、S34及びS19で設定した第1出力電流Iout1に応じて、第1出力電圧指令値V1*を設定する。ステップS21では、ステップS33、S35及びS19で設定した第2出力電流Iout2に応じて、第2出力電圧指令値V2*を設定する。
【0076】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏する。
【0077】
・制御装置10は、負荷電流ILの分担量を第1,第2DDC20,30の定格電流Ir1,Ir2を超えないよう設定する。そのため、第1,第2DDC20,30を適正な出力電流Iout1,Iout2で動作させることができる。
【0078】
(第3実施形態)
この第3実施形態では、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0079】
図10は、第3実施形態に係る負荷電流ILの分担量を説明する図である。この第3実施形態では、第1DDC20の定格電流は120Aであるのに対して、第2DDC30の定格電流は30Aであり、定格電流が異なる。また、負荷電流ILの最大値は、第1,第2DDC20,30のそれぞれの定格電流Ir1,Ir2よりも大きく、かつ第1,第2DDC20,30のそれぞれの定格電流Ir1,Ir2の和以下となっている。本実施形態では、負荷電流ILの最大値は、第1定格電流Ir1と第2定格電流Ir2との和(例えば、150A)となっている。
【0080】
負荷電流ILが第1負荷閾値ThL1よりも小さい場合は、制御装置10は、第2DDC30のみで負荷電流ILを供給させる。一方、負荷電流ILが第1負荷閾値ThL1以上であり、かつ第3負荷閾値ThL3より小さい場合は、制御装置10は、第1DDC20のみで負荷電流ILを供給させる。そして、負荷電流ILが第3負荷閾値ThL3以上となる最大負荷範囲において、第1,第2DDC20,30を共に動作させる。
【0081】
図11は、第3実施形態に係る第1,第2DDC20,30の分担量の設定処理を説明するフローチャートである。図11のフローチャートで示す処理は、制御装置10により所定の制御周期で繰り返し実施される。
【0082】
ステップS14において、負荷電流ILが第1負荷閾値ThL1以上であれば、ステップS41に進み、負荷電流ILの最大値付近を示す第3負荷閾値ThL3と比較する。ステップS41において、負荷電流ILが第3負荷閾値ThL3より小さいと判定すると、ステップS17に進む。ステップS41が負荷判定部に相当する。
【0083】
一方、ステップS41において、負荷電流ILが第3負荷閾値ThL3以上であると判定すると、ステップS42に進む。ステップS42では、第1出力電流Iout1を第1定格電流Ir1に設定する。ステップS43では、第2出力電流Iout2を第2定格電流Ir2に設定する。
【0084】
ステップS20では、設定した第1出力電流Iout1に応じて第1出力電圧指令値V1*を設定する。ステップS21では、設定した第2出力電流Iout2に応じて第2出力電圧指令値V2*を設定する。そのため、機器群60には、第1定格電流Ir1と第2定格電流Ir2とを足し合わせた負荷電流が流れる。
【0085】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0086】
・制御装置10は、負荷電流ILの最大値付近では、第1,第2DDC20,30にそれぞれの定格電流Ir1,Ir2を供給させることとした。そのため、負荷電流ILの最大値よりも第1定格電流Ir1を小さくすることができるため、第1DDC20の出力容量の増加を抑制し、体格を小さくすることができる。そのため、制御システム100のコストを抑えることができる。
【0087】
(第4実施形態)
この第4実施形態では、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0088】
第2DDC30の動作が停止している状態から、負荷電流ILを供給させる場合、負荷電流ILの供給が開始するまでに所定の時間を要する。そのため、第1DDC20の分担量が第1定格電流Ir1を超えた後に、第2DDC30を補助的に動作させると、負荷電流ILの増加に第2DDC30による第2出力電流Iout2の供給が遅れるおそれがある。そこで、制御装置10は、第1出力電流Iout1の負荷電流ILに対する割合が高い値とならないように上限値を設け、負荷電流ILが上限値以上となった場合に、第1,第2DDC20,30のそれぞれの分担量を設定する。
【0089】
図12は、第4実施形態に係る第1,第2DDC20,30の分担量の設定処理を説明するフローチャートである。図12のフローチャートで示す処理は、制御装置10により所定の制御周期で繰り返し実施される。
【0090】
ステップS14において、負荷電流ILが第1負荷閾値ThL1以上であると判定すると、ステップS51に進む。ステップS51では、負荷電流ILを上限閾値ULと比較する。上限閾値ULは、第1定格電流Ir1より小さな値を示す。割合値SRが上限閾値ULより小さい場合、ステップS17に進む。ステップS51が上限判定部に相当する。
【0091】
ステップS17では、負荷電流ILを第1出力電流Iout1として設定する。そして、ステップS18では、第2出力電流Iout2を0に設定する。
【0092】
一方、負荷電流ILが上限閾値ULより大きいと判定すると、ステップS53に進む。ステップS53,S54では、負荷電流ILの増加に応じて設定される第1DDC20の分担量が第1定格電流Ir1を超えないように、第2DDC30の分担量を設定する。例えば、ステップS53では、第1定格電流Ir1から電流補正値Ciを引いた値を第1出力電流Iout1として設定する。電流補正値Ciは、ステップS12で取得された負荷電流ILに応じて変化する値である。ステップS54では、負荷電流ILからステップS54で設定した第1出力電流Iout1を引いた値を、第2出力電流Iout2として設定する。
【0093】
ステップS20では、設定した第1出力電流Iout1に応じて第1出力電圧指令値V1*を設定する。ステップS21では、設定した第2出力電流Iout2に応じて第2出力電圧指令値V2*を設定する。
【0094】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0095】
・制御装置10は、負荷電流ILが第1定格電流Ir1より小さい値を示す上限閾値ULより小さいと判定すると、第1DDC20のみを動作させ、負荷電流ILが上限閾値UL以上であると判定すると、第1,第2DDC20,30のそれぞれを動作させることとした。そのため、負荷電流ILが第1定格電流Ir1よりも小さい状態で、第1,第2DDC20,30を共に動作させることで、急な負荷電流ILの増加に第2DDC30による第2出力電流Iout2の供給が遅れるのを防止することができる。
【0096】
(第4実施形態の変形例)
第1定格電流Ir1に占める第1出力電流Iout1の割合を算出し、ステップS51において、この割合が上限値を超える場合に、第1,第2DDC20,30を共に動作させるものであってもよい。
【0097】
(第5実施形態)
この第5実施形態では、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0098】
図4のステップS19において、第2DDC30を優先動作させる場合に、負荷電流ILに応じて、第1DDC20を第2DDC30に対して補助的に動作させる。
【0099】
図13は、図4のステップS19で制御装置10が実施する処理を説明するフローチャートである。ステップS61では、負荷電流ILを第4負荷閾値ThL4と比較する。第4負荷閾値ThL4は、第2DDC20の第2定格電流Ir2を示す値である。
【0100】
ステップS61において、負荷電流ILが第4負荷閾値ThL4よりも小さい場合、第2DDC30のみで負荷電流ILを供給することができる。そのため、ステップS62では、負荷電流ILを第2出力電流Iout2として設定する。ステップS63では、第1DDC20から負荷電流ILを供給させないように第1出力電流Iout1を0に設定する。
【0101】
一方、ステップS61において、負荷電流ILが第4負荷閾値ThL4以上であれば、第2DDC30のみで負荷電流ILを供給することができなくなる。そのため、ステップS64では、第2定格電流Ir2を第2出力電流Iout2として設定する。
【0102】
ステップS65では、負荷電流ILからステップS64で設定した第2出力電流Iout2を引いた値を、第1出力電流Iout1として設定する。
【0103】
ステップS66では、ステップS62又はS64で設定した第2出力電流Iout2に応じて、第2出力電圧指令値V2*を設定する。ステップS67では、ステップS63又はS65で設定した第1出力電流Iout1に応じて、第1出力電圧指令値V1*を設定する。
【0104】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0105】
・制御装置10は、第1端子電圧Vb1が第2電圧範囲VR2以外となる場合においても、第2DDC30の第2出力電流Iout2が第2定格電流Ir2以上となることを防止する。そのため、第1,第2DDC20,30を適正に動作させることができる。
【0106】
(第6実施形態)
この第6実施形態では、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0107】
この第6実施形態では、第1DDC20と第2DDC30とは、共に位相シフト型のコンバータとして構成されているが、トランスの巻数比が異なる。具体的には、第1端子電圧Vb1が第1,第2DDC20,30を高い効率η1,η2とする電圧範囲に含まれる場合に、適正な各出力電圧Vout1,Vout2となるよう第1,第2DDC20,30のトランスの巻数比が定められている。以下では、第1DDC20のトランスの巻数比をN1とし、第2DDC30のトランスの巻数比をN2とする。巻数比を、二次側のコイルの巻数に対する一次側のコイルの巻数の比により定めている。そして、第1DDC20の巻数比N1は、第2DDC30の巻数比N2よりも小さい値となっている。
【0108】
第1DDC20は、第1端子電圧Vb1が第2電圧範囲RV2に含まれる場合に、適正な第1出力電圧Vout1となるようトランスの巻数比N1が定められている。また、第2DDC30は、第1端子電圧Vb1が第1電圧範囲RV1に含まれる場合に、適正な第2出力電圧Vout2となるようトランスの巻数比N2が定められている。
【0109】
上記構成の制御システム100においても、図4のステップS13で、第1端子電圧Vb1が第2電圧範囲RVに含まれると判定すると、第1DDC20を優先的に動作させるよう第1,第2DDC20,30の分担量を設定する(ステップS14〜S18)。また、ステップS13において、第1端子電圧Vb1が第2電圧範囲RVに含まれないと判定すると、第2DDC20を優先的に動作させるよう第1,第2DDC20,30の分担量を設定する(ステップS19)。
【0110】
(第7実施形態)
この第7実施形態では、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0111】
第1,第2DDC20,30の効率η1,η2は、各出力電圧Vout1,Vout2によっても変化する。図14は、出力電圧Voutと、効率ηとの関係を説明する図である。図14では、横軸を各出力電圧Vout1,Vout2とし、縦軸を効率ηとした場合のグラフである。横軸において、各出力電圧Vout1,Vout2を、第4電圧範囲RV4と、第5電圧範囲RV5と、第6電圧範囲RV6とに区別している。第4電圧範囲RV4に含まれる電圧値は第3境界値よりも小さく、第5電圧範囲RV5に含まれる電圧値は第3境界値よりも大きい。また、第5電圧範囲RV5に含まれる電圧値は第4境界値よりも小さく、第6電圧範囲RV6に含まれる電圧値は第4境界値よりも大きい。第3境界値は第4境界値よりも小さい値である。第4電圧範囲RV4の最小値は、第1,第2DDC20,30の各出力電圧Vout1,Vout2の下限値であり、第6電圧範囲RV6の最大値は、第1,第2DDC20,30の各出力電圧Vout1,Vout2の上限値である。
【0112】
第1DDC20の第1効率η1は、第5電圧範囲RV5において、第2DDC30の第2効率η2よりも高い値となる。図14では、第5電圧範囲RV5において、第1効率η1は第3効率閾値Thη3より高い値であるのに対して、第2効率η2は第3効率閾値Thη3より低い値となる。一方、第4,第6電圧範囲RV4,RV6において、第1効率η1は第2効率η2よりも低い値となる。
【0113】
また、各出力電圧Vout1,Vout2が第5電圧範囲RV5から第4電圧範囲RV4又は第6電圧範囲RV6へ変化する際の各出力電圧Vout1,Vout2の変化に対する第2効率η2の変化は、第1効率η1の変化よりも小さい。各電圧範囲RV4〜RV6において、第1DDC20の第1効率η1は、第3効率閾値Thη3以上の値から第4効率閾値Thη4以下の値に変動する。一方、各電圧範囲RV4〜RV6において、第2効率η2は、第4効率閾値Thη4以上でかつ第3効率閾値Thη3未満の値に変動する。第4効率閾値Thη4は第3効率閾値Thη3よりも小さな値である。
【0114】
図15は、第7実施形態に係る第1,第2DDC20,30の分担量の設定処理を説明するフローチャートである。図15のフローチャートで示す処理は、制御装置10により所定の制御周期で繰り返し実施される。
【0115】
ステップS71では、第1DDC20に要求される第1出力電圧Vout1を取得する。例えば、現在の第1出力電圧指令値V1*に応じて、第1DDC20の第1出力電圧Vout1を推定する。なお、第2出力電圧Vout2と第1出力電圧Vout1とが同じ値である場合に、ステップS71では、第2出力電圧Vout2を取得するものであってもよい。
【0116】
ステップS72では、ステップS71で取得した第1出力電圧Vout1が第5電圧範囲RV5に含まれるか否かを判定する。ステップS73において、第1出力電圧Vout1が第5電圧範囲RV5に含まれると判定すると、ステップS14に進む。そして、負荷電流ILに応じて、第1DDC20の分担量と、第2DDC30の分担量とを設定する(ステップS15〜S18)。
【0117】
ステップS72において、第1出力電圧Vout1が第5電圧範囲RV5に含まれないと判定すると、ステップS19に進む。ステップS19では、第2DDC30により負荷電流ILを供給させるよう分担量を設定する。
【0118】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0119】
・制御装置10は、第1出力電圧Vout1が変動する場合において、第1,第2DDC20,30の効率η1,η2を考慮して、負荷電流ILに対する分担量(Iout1,Iout2)を設定する。そのため、制御システム100全体での効率を犠牲にすることなく出力電圧Voutの変動に対応することができる。
【0120】
(その他の実施形態)
・第1,第2DDC20,30の定格電流Ir1,Ir2が異なる場合に、第1定格電流Ir1により定めた定格電流範囲に基づいて、第1,第2DDC20,30の分担量を設定するものであってもよい。この場合、第1端子電圧Vb1が第2電圧範囲RV2に含まれており、かつ負荷電流ILが定格電流範囲に含まれていることを条件に、第1DDC20の分担量を、第2DDC30の分担量よりも多くする。一方、第1端子電圧Vb1が第2電圧範囲RV2に含まれておらず、又は負荷電流ILが定格電流範囲に含まれていない場合のいずれかが成立する場合に、第2DDC30の分担量を、第1DDC20の分担量よりも多くする。
【0121】
・第1DDC20をフライバック方式のコンバータにより構成し、第2DDC30を位相シフト方式のコンバータにより構成するものであってもよい。この場合においても、第1DDC20は第2電圧範囲RV2において第2DDC30よりも高い効率となる。
【0122】
・蓄電装置は、直流電圧を供給する装置であればよく、蓄電池に限定されない。例えば、蓄電装置としてキャパシタが用いられてもよい。
【0123】
・第1,第2DDC20,30は、車両以外の装置に搭載されるものであってもよい。
【0124】
・電流センサは、サブ配線SLに流れる負荷電流ILを直接検出するものであってもよい。
【0125】
・制御システム100は、第2蓄電池55を備えていなくともよい。
【符号の説明】
【0126】
10…制御装置、20…第1DC/DCコンバータ、30…第2DC/DCコンバータ、50…第1蓄電池、90…電力変換システム、100…制御システム、IL…負荷電流。
図1
図2
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図15