特許第6634059号(P6634059)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6634059
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】カム型ハンド機構
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20200109BHJP
   F16H 25/18 20060101ALI20200109BHJP
【FI】
   B25J15/08 D
   F16H25/18 B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-200284(P2017-200284)
(22)【出願日】2017年10月16日
(65)【公開番号】特開2019-72795(P2019-72795A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2018年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106944
【氏名又は名称】シナノケンシ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515160873
【氏名又は名称】株式会社ミューラボ
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 禎章
(72)【発明者】
【氏名】伏見 雅英
【審査官】 臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−239491(JP,A)
【文献】 特開2008−114332(JP,A)
【文献】 特開2008−298165(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/046152(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0017528(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0116072(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第1310076(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/02−15/08
F16H 21/50−25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータから延設された回転子軸に直接若しくは間接的にカムベース部が着脱可能に組み付けられ、前記カムベース部の中心部に設けられた貫通孔から外周側に渡って複数のカム案内面が曲面状に連続する立体カムが複数箇所に起立形成されたカム台座部と、
前記回転子軸の軸線を中心に開閉可能な複数の爪部と、前記カムベース部の外周を覆って前記モータに一体に組み付けられるハンドベース部と、前記爪部の元端部近傍を前記回転子軸の径方向に対して直交配置された軸を中心に回動可能に軸支する爪支持部と、を具備し、
前記爪部の元端部に溝状に形成された一対のカムフォロワ面が設けられ、前記立体カムの内周側及び外周側に径方向及び高さ方向に漸進変化するように形成された一対の前記カム案内面と各々当接して組み付けられており、
前記立体カムの回転動作にともなって前記一対のカムフォロワ面が前記一対のカム案内面と常時当接したまま摺動する際に、前記爪部が前記軸を中心に回転子軸の軸線より離れる向き若しくは軸線方向に傾いて前記複数の爪部が開閉するハンド機構と、を備え、
前記カムベース部には、隣り合う前記立体カムどうしの径方向内側端部と径方向外側端部との隙間エリアに前記カム台座部を前記回転子軸と直接若しくは間接的に連結する連結部が複数箇所に形成されていることを特徴とするカム型ハンド機構。
【請求項2】
前記回転子軸の軸端には、前記カムベース部に設けられたカム側連結部に対応するモータ側連結部が複数箇所に形成されている請求項1記載のカム型ハンド機構。
【請求項3】
前記カム側連結部と前記モータ側連結部はねじ孔であり、互いに重ね合わせて連結ねじをねじ篏合させて前記カム台座部が前記回転子軸の軸端に着脱可能に組み付けられる請求項2記載のカム型ハンド機構。
【請求項4】
前記回転子軸は中空軸孔が設けられた中空軸であり、前記カム台座部の前記カムベース部に設けられた前記貫通孔と連通するように組み付けられる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカム型ハンド機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立体カムを備えたカム型ハンド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットハンドやロボットアームの関節などの曲げ伸ばしには、駆動源の回転駆動を歯車機構やワイヤ移動機構などの様々な駆動機構が用いられていた。歯車機構は、歯車のバックラッシュによる制御性や歯車列による大型化、重量化などの課題があり、ワイヤ移動機構はワイヤのテンション調節やワイヤの伸びなどにより制御性やワイヤを回転させる機構が必要となるため部品点数が増加し大型化する等の課題があった。
【0003】
これに対して、モータ軸に連結されたカム回転軸が支持部材に支持され、カム回転軸を中心に回転する立体カムのカム案内面に、上記支持部材に支持された従節側リンクが案内されて立体カムの回転運動を従節側リンクの揺動運動に変換する立体カム機構が提案されている。これにより、歯車機構のようにバックラッシュを発生させることなく、カム案内面形状の自在な設計により従節側リンクの円滑な揺動運動を実現できるようになっている(特許文献1:特許第4448554号公報,特許文献2:特許第4388566号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4448554号公報
【特許文献2】特許第4388566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1,2の立体カム機構において、例えば従節側リンクの軌跡を変更するため、立体カムを替えるためには、モータ軸と連結するカム回転軸を支持する支持部材や支持部材に支持された立体カム並びに従節側リンク等を含むすべての部品を交換する必要があり、交換部品の点数が多くなり段取り替えに手間がかかるうえにメンテナンスコストがかかる。
また、ロボットハンドの多機能化を図るためハンドの開閉操作の他にハンドの中心部から撮像しながらハンドの開閉操作を制御したいというニーズもある。この場合、モータ軸に連結する中空回転軸を用いて立体カムを回転させる必要があるため部品全体が大型化、重量化しやすく、交換部品を必要最小限に留めたいというニーズもあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、立体カムとその回転動作にともなって開閉する爪部を備えたハンド機構の交換部品を必要最小限にしてメンテナンスコストを低減し、かつハンド機構の多機能化に伴う大型化を抑制したカム型ハンド機構を提供することにある。
【0007】
上記目的を達成するため、以下に述べる実施形態には、次の構成を備える。
モータと、前記モータから延設された回転子軸に直接若しくは間接的にカムベース部が着脱可能に組み付けられ、前記カムベース部の中心部に設けられた貫通孔から外周側に渡って複数のカム案内面が曲面状に連続する立体カムが複数箇所に起立形成されたカム台座部と、前記回転子軸の軸線を中心に開閉可能な複数の爪部と、前記カムベース部の外周を覆って前記モータに一体に組み付けられるハンドベース部と、前記爪部の元端部近傍を前記回転子軸の径方向に対して直交配置された軸を中心に回動可能に軸支する爪支持部と、を具備し、前記爪部の元端部に溝状に形成された一対のカムフォロワ面が設けられ、前記立体カムの内周側及び外周側に径方向及び高さ方向に漸進変化するように形成された一対の前記カム案内面と各々当接して組み付けられており、前記立体カムの回転動作にともなって前記一対のカムフォロワ面が前記一対のカム案内面と常時当接したまま摺動する際に、前記爪部が前記軸を中心に回転子軸の軸線より離れる向き若しくは軸線方向に傾いて前記複数の爪部が開閉するハンド機構と、を備え、前記カムベース部には、隣り合う前記立体カムどうしの径方向内側端部と径方向外側端部との隙間エリアに前記カム台座部を前記回転子軸と直接若しくは間接的に連結する連結部が複数箇所に形成されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、複数の立体カムが形成されるカムベース部には、隣り合う立体カムどうしの径方向内側端部と径方向外側端部との隙間エリアにカム台座部を回転子軸と直接若しくは間接的に連結する連結部が複数箇所に形成されているので、カムベース部上に形成された立体カムより更に外周側に連結部を設ける場合に比べてカム台座部及びハンド機構を小型化することができ、回転子軸に対して直接若しくは間接的にカム台座部を着脱することにより爪部の数や形状の異なるハンド機構に交換することができる。特に、連結部が隣り合う立体カムどうしの径方向内側端部と径方向外側端部との隙間エリアに設けられているので、カム台座部が径方向に大型化することはないうえに、カムベース部の中心部に設けられた貫通孔内に撮像部を設けるなどの多機能化を図っても大型化することはない。
また、モータの回転に伴い回転子軸に直接若しくは間接的に組み付けられたカム台座部が回転し、立体カムの回転動作にともなって元端部に設けられた一対のカムフォロワ面が対応する立体カムの一対のカム案内面と常時当接したまま摺動して回転子軸の軸線を中心に複数の爪部にスラストガタを生じることなく開閉動作させることができる。
【0009】
前記回転子軸の軸端には、前記カムベース部に設けられたカム側連結部に対応するモータ側連結部が複数箇所に形成されていることが望ましい。これにより、カム側連結部とモータ側連結部を位置合わせしてカム台座部を回転子軸の軸端に着脱するだけでハンド機構を交換することができる。
【0010】
前記カム側連結部と前記モータ側連結部はねじ孔であり、ねじ孔どうしを互いに重ね合わせてねじをねじ篏合させて前記カム台座部が前記回転子軸の軸端に着脱可能に組み付けられるようにしてもよい。
これにより、カム台座部側のねじ孔とモータ側のねじ孔とを位置合わせしてねじ止めすることで、カム台座部を回転子軸の軸端に着脱して爪部の数や形状の異なるハンド機構に交換することができる。
【0012】
前記回転子軸は中空軸孔が設けられた中空軸であり、前記カム台座部の前記カムベース部に設けられた前記貫通孔と連通するように組み付けられるようにしてもよい。
これにより、モータから延設された回転子軸の中空軸孔と連通するカムベース部の貫通孔を通じてハンド機構の中心部にモータ側より軸線方向に撮像カメラを挿入したり、エアーを噴出させたりして多機能化を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
立体カムとその回転動作にともなって開閉する爪部を備えたハンド機構の交換部品を必要最小限にしてメンテナンスコストを低減し、かつハンド機構の多機能化に伴う大型化を抑制したカム型ハンド機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】3爪部を有するカム型ハンド機構の正面図、右側面図、垂直断面図、背面図及び斜視図である。
図2】モータ軸よりカム台座部及びハンド機構(図示せず)を取り外した状態の斜視図である。
図3図1のカム台座部の平面図、前後左右側面図、矢印X−X方向断面図及び斜視図である。
図4】モータ軸の正面図、左右側面図、矢印Y−Y方向断面図、及び斜視図である。
図5】2爪部を有するカム型ハンド機構の斜視図である。
図6図5のカム型ハンド機構のモータ軸よりカム台座部及びハンド機構(図示せず)を取り外した状態の斜視図である。
図7図5のカム型ハンド機構のエンコーダ部を除いた垂直断面図である。
図8図5のカム台座部の平面図、前後左右側面図、矢印X−X方向断面図及び斜視図である。
図9】カム型ハンド機構のモータ軸から3爪用カム台座部と2爪用カム台座部を交換する場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るカム型ハンド機構の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。先ず、3爪部を有するカム型ハンド機構について図1乃至図4を参照して説明する。
【0016】
カム型ハンド機構の駆動源として、図1Cに示すようにステッピングモータ1が用いられる。ステッピングモータ1の代わりにブラシレスモータなど他のモータを用いてもよい。ステッピングモータ1は、回転子軸2(モータ軸)に回転子極歯が設けられた回転子3が一体に組み付けられている。回転子3は回転子コアに永久磁石が挟み込まれたハイブリッド型であってもよい。回転子軸2は、長手方向一端部2aで軸受保持部材5に軸受5aを介して、長手方向他端部2bで軸受保持部材4に軸受4a,4bを介して各々回転可能に支持されている。回転子軸2としては中空軸が好適に用いられる。この回転子3の周囲には固定子コアを有する固定子6が設けられている。固定子コアには回転子極歯に対向して固定子極歯が設けられている。固定子極歯にはインシュレータを介してコイルが巻かれている。回転子軸2の一端部2aにはエンコーダディスクを有するエンコーダ7が設けられている(図1C,D参照)。またコイルへ給電する接続線8a及びコネクタ8b、エンコーダ7に接続する信号線9a及びコネクタ9bが接続されている。また、回転子軸2の他端部2bには、軸線を中心に開閉可能な3箇所に爪部12を備えたハンド機構10が設けられている(図1A,B,C,E参照)。3箇所に設けられた爪部12は、回転子軸2を中心に120度ずつ位相がずれた位置で開閉可能に設けられている(図1A参照)。
【0017】
図1Cにおいて、回転子軸2の他端部2bにはカム台座部11が着脱可能に組み付けられている。カム台座部11には複数の立体カムが形成されている。ハンド機構10は、後述する立体カム11bに常時当接して軸受保持部材4に一体に組み付けられ、立体カム11bの回転動作にともなって複数の爪部12が開閉動作するようになっている。
尚、カム台座部11は回転子軸2に直接組み付けられているが、ステッピングモータ1の回転子軸2に減速機が組み付けられた場合には、当該減速機を介して回転子軸2と間接的に組み付けられていてもよい。
【0018】
図3A〜Gを参照してカム台座部11の構成について説明する。カム台座部11は、ステッピングモータ1から延設された回転子軸2に直接若しくは間接的にカムベース部11aが着脱可能に組み付けられている。このカムベース部11aの中心部に設けられた貫通孔11eから外周側に渡って複数のカム案内面11cが連続する立体カム11bが複数箇所(例えば3箇所)に起立形成されている。図3Aでは、立体カム11bは、カムベース部11aの貫通孔11eの近傍から外周縁部に渡って設けられている。立体カム11bの各カム案内面11cは、立体カム11bの長手方向に沿って連続する曲面状に形成されている。また、カムベース部11aには、隣り合う立体カム11bどうしの径方向内側端部L1と径方向外側端部L2との間に形成される隙間エリアS(図3A,G参照)に、回転子軸2とカム台座部11とを連結するカム側ねじ孔11d(連結部)が3箇所で軸対称に形成されている。また、カムベース部11aの中心部には、回転子軸2の中空軸孔2c(図1C参照)に連通する貫通孔11eが穿孔されている。尚、カム側ねじ孔11dは必ずしも軸対称に形成されていなくてもよい。
【0019】
上記構成によれば、複数の立体カム11bが形成されるカムベース部11aには、隣り合う立体カム11bどうしの径方向内側端部L1と径方向外側端部L2との間に形成される隙間エリアSに回転子軸2とカム台座部11とを連結するカム側ねじ孔11dが複数箇所に形成されているので、カムベース部11a上に形成された立体カム11bの外周側にカム側ねじ孔11dを設ける場合に比べてカム台座部11及びハンド機構10を小型化することができ、回転子軸2に対してカム台座部11を着脱することにより爪部の数や形状の異なるハンド機構10に交換することができる。特に、カム側ねじ孔11dが隣り合う立体カム11bどうしの径方向内側端部L1と径方向外側端部L2との隙間エリアSに設けられているので、カム台座部11が径方向に大型化することはないうえに、カムベース部11aの中心部に撮像部を設けるなどの多機能化を図っても大型化することはない。また、複数のカム側ねじ孔11dが軸対称に形成されていると、カム台座部11の回転子軸2への着脱に際しての方向性は無く、ハンド機構10の交換作業を容易に行える。
【0020】
次に回転子軸2の構成について図4A〜Eを参照して説明する。
図4A〜Eに示すように、回転子軸2の一端部2aはステッピングモータ1と連結される。回転子軸2の回転子3が組み付けられる軸径は細径になっており段付き部2dに回転子コアが突き当てられて組み付けられる。また回転子軸2の他端部2bは太径になっており、外周部に軸受4a,4bを介して軸受保持部材4が組み付けられる(図1C参照)。この回転子軸2の他端部2bには、カムベース部11aに設けられたカム側ねじ孔11dに対応するモータ側ねじ孔2e(連結部)が3箇所に形成されている。これにより、カム側ねじ孔11dとモータ側ねじ孔2eを位置合わせしてカム台座部11を回転子軸2の他端部に着脱することができる。尚、モータ側ねじ孔2eのうち少なくとも1のねじ孔2eには180度位相が異なる位置にモータ側ねじ孔2eが更に設けられている(図4B参照)。後述するようにカム台座部11を取り換えて爪部10aが2か所に設けられたハンド機構10に交換するためである。
【0021】
このように、カム側ねじ孔11dとモータ側ねじ孔2eを互いに重ね合わせて連結ねじをねじ篏合させてカム台座部11が回転子軸2に着脱可能に組み付けられる。よって、カム台座部11を交換するだけで、爪部の数や形状の異なるハンド機構10と容易に交換することができる。
【0022】
ここでハンド機構10の一例について説明する。ハンドベース部10aは、カムベース部11aの外周を覆ってステッピングモータ1に組み付けられる。具体的には、ハンドベース部10aの四隅に設けられたねじ孔10dと軸受保持部材4の対応する端面4cに設けられたねじ孔4d(図2参照)を位置合わせし、図示しないねじにてねじ止めすることにより、ハンドベース部10aがステッピングモータ1側に一体に組み付けられる(図1E参照)。ハンドベース部10aには爪支持部10bが設けられている。爪支持部10bには、3箇所に設けられた爪部12を回転子軸線方向に対して直交配置された軸10cを中心に各々回動可能に軸支されている(図1B,E参照)。各爪部12は元端部12aに設けられた複数のカムフォロワ面12bが対応する複数のカム案内面11cと常時当接したまま摺動する(図1C図3A参照)。また、爪支持部10bの中心部にも貫通孔11eと連通する貫通孔10e(図1A参照)が設けられている。
これにより、モータ1の回転に伴い回転子軸2に組み付けられたカム台座部11が回転し、立体カム11bの回転動作にともなって元端部12aに設けられたカムフォロワ面12bが対応する立体カム11bのカム案内面11cと常時当接したまま摺動して回転子軸2の軸線を中心に3箇所に設けられた爪部12がスラストガタを生じることなく開閉動作させることができる(図1C参照)。
【0023】
また、前述したように回転子軸2は中空軸であり、カムベース部11aには中空軸孔2cに連通する貫通孔11e(図3A参照)が、爪支持部10bには貫通孔11eに連通する貫通孔10e(図1A参照)が各々設けられている。これにより、回転子軸2の中空軸孔2cが連通するカムベース部11aの貫通孔11e及び爪支持部10bの貫通孔10e(図1A参照)を通じてモータ1側より撮像カメラを挿入したり、エアーを噴出させたりして多機能化を図ることができる。
【0024】
ハンド機構10を交換する場合には、ハンドベース部10aの四隅に設けられたねじ孔10d(図1A,E参照)から図示しないねじを外すことでハンド機構10をステッピングモータ1より取り外す。次いで、図2に示すように、カム台座部11の3か所に設けられたカム側ねじ孔11dより図示しないねじを取り外すことによりカム台座部11を回転子軸2の他端部2bより取り外す。ことで、新たなカム台座部11及びハンド機構10と交換することができる。図9に示すように、立体カム11bが2箇所に設けられたカム台座部11と交換し、爪部12が2箇所に設けられたハンド機構10(図5参照)と交換することができる。
この場合、カム台座部11に180度位相が異なる位置に2箇所に設けられたカム側ねじ孔11d(図9参照)と対応する回転子軸2に設けられたモータ側ねじ孔2eとを位置合わせしてねじ止めすることでカム台座部11を交換することができる。
【0025】
以上説明したように、立体カム11bとその回転動作にともなって開閉する爪部10aを備えたハンド機構10の交換部品を必要最小限にしてメンテナンスコストを低減し、かつハンド機構10の多機能化に伴う大型化を抑制したカム型ハンド機構を提供することができる。
【0026】
図5乃至図9にカム型ハンド機構の他例を示す。ステッピングモータ1の構成は変更なく(図7ではエンコーダ7の図示を省略)、カム台座部11と爪部12を2箇所有するハンド機構10に変更した実施例を示す。前述した実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。
【0027】
図8A〜Gを参照してカム台座部11の構成について説明する。カム台座部11は、カムベース部11a上に回転子軸2の軸線中心部近傍から外周縁部に渡って複数のカム案内面11cが連続する立体カム11bが、位相が180°異なる軸対称位置の2箇所に起立形成されている(図8A,G参照)。また、カムベース部11aには、隣り合う立体カム11bどうしの径方向内側端部L1と径方向外側端部L2との間に形成された隙間エリアSにカム側ねじ孔11d(連結部)が2箇所で軸対称に形成されている。カム側ねじ孔11dは、カム台座部11と回転子軸2とを連結するために用いられる。また、カムベース部11aの中心部には、回転子軸2の中空軸孔2cに連通する貫通孔11eが穿孔されている(図8A,F,G参照)。尚、カム側ねじ孔11dは必ずしも軸対称に形成されていなくともよい。
【0028】
ハンド機構10は、図7に示すようにハンドベース部10aが、カムベース部11aの外周を覆ってステッピングモータ1に組み付けられる。具体的には、ハンドベース部10aの四隅に設けられたねじ孔10d(図5参照)と軸受保持部材4の対応するねじ孔を位置合わせして図示しないねじにてねじ止めすることにより、ハンドベース部10aがモータ側に一体に組み付けられる。図5において、ハンドベース部10aには爪支持部10bが設けられている。爪支持部10bには、180°位相が異なる位置に2箇所に設けられた爪部12を回転子軸線方向に対して直交配置された軸10c(図7参照)を中心に各々回動可能に軸支されている。各爪部12は元端部12aに設けられた複数のカムフォロワ面12b(図7参照)が対応する複数のカム案内面11cと常時当接したまま摺動する。
【0029】
ハンド機構10を交換する場合には、先ず、図5に示すハンドベース部10aの四隅に設けられたねじ孔10dよりねじを外すことでハンド機構10を図6に示す軸受保持部材4の端面4c(図6参照)より取り外す。次いで、図6に示すように、カム台座部11の2か所に設けられたカム側ねじ孔11dより図示しないねじを取り外すことによりカム台座部11を回転子軸2の他端部2bより取り外す。これにより、新たなカム台座部11及びハンド機構10と交換することができる。例えば、図9に示すように、立体カム11bが3箇所に設けられたカム台座部11と交換し、爪部12が3箇所に設けられたハンド機構10(図1E参照)と交換することができる。この場合、カム台座部11に120度位相が異なる位置に3箇所に設けられたカム側ねじ孔11d(図9参照)と対応する回転子軸2に設けられたモータ側ねじ孔2eとを位置合わせしてねじ止めすることで交換することができる。
【0030】
上記実施例は、モータとしてステッピングモータを用いたが、他のモータ例えばDCブラシレスモータであってもよい。
また、カム台座部11が回転子軸2に直接取付られていたが、減速機を設ける場合には、減速機の回転伝達部材に対してカム台座部11を着脱可能に設けられていてもよい。
また、ハンド機構10に設けられる爪部12の数は4か所以上であってもよく、爪部12の形態も図示した形態に限られない。爪部12の数に対応する立体カム11bを備えたカム台座部11についても同様である。
【符号の説明】
【0031】
1 ステッピングモータ 2 回転子軸 2a 一端部 2b 他端部 2c中空軸 孔 2d 段付き部 2e モータ側ねじ孔 3 回転子 4,5 軸受保持部材 4 a,4b,5a 軸受 4c 端面 4d,10d ねじ孔 6 固定子 7 エンコ ーダ 8a 接続線 8b,9b コネクタ 9a 信号線 10 ハンド機構 10 a ハンドベース部 10b 爪支持部 10c 軸 10e,11e 貫通孔 1 1 カム台座部 11a カムベース部 11b 立体カム 11c カム案内面 1 1d カム側ねじ孔 12 爪部 12a 元端部 12b カムフォロワ面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9