特許 6634069 キャリアを有する電気スイッチ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6634069

(24)【登録日】2019年12月20日

(45)【発行日】2020年1月22日

(54)【発明の名称】キャリアを有する電気スイッチ

(51)【国際特許分類】

   H05K 1/02 20060101AFI20200109BHJP

   H01H 1/04 20060101ALI20200109BHJP

【ＦＩ】

   H05K1/02 J

   H01H1/04 A

   H01H1/04 E

【請求項の数】12

【全頁数】7

(21)【出願番号】特願2017-508624(P2017-508624)

(86)(22)【出願日】2015年8月11日

(65)【公表番号】特表2017-526183(P2017-526183A)

(43)【公表日】2017年9月7日

(86)【国際出願番号】EP2015068504

(87)【国際公開番号】WO2016023925

(87)【国際公開日】20160218

【審査請求日】2018年4月24日

(31)【優先権主張番号】102014011958.0

(32)【優先日】2014年8月15日

(33)【優先権主張国】DE

(73)【特許権者】

【識別番号】592097392

【氏名又は名称】マルクアルト ゲーエムベーハー

【氏名又は名称原語表記】ＭＡＲＱＵＡＲＤＴ ＧＥＳＥＬＬＳＣＨＡＦＴ ＭＩＴ ＢＥＳＣＨＲＡＮＫＴＥＲ ＨＡＦＴＵＮＧ

(74)【代理人】

【識別番号】110000578

【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人

(72)【発明者】

【氏名】ロトラー フランク

(72)【発明者】

【氏名】ベルヒトルト ライナー

【審査官】 原田 貴志

(56)【参考文献】

【文献】 特表２０１０−５０１１２６（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開平０７−１９２５７２（ＪＰ，Ａ）

【文献】 BRAND T，SINGLE POLE PUSH SWITCH USING ELASTOMERIC ACTUATOR AND EDGE PLATED PCB，MOTOROLA TECHNICAL DEVELOPMENTS，米国，MOTOROLA INC.，１９９１年１２月 １日，V14，P59

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｈ０５Ｋ １／０２

Ｈ０１Ｈ １／０４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

少なくとも１つの固定接触部（５）、及び、前記固定接触部（５）と、前記固定接触部（５）を有するキャリアとの相互作用を切換えるための切換え接触部（６）を有する電気スイッチであって、
前記キャリアは、電気及び／又は電子コンポーネント用のキャリアであって、第１及び第２幅広面（２）を有し、また、幅狭面（３）を有し、少なくとも１つの導電性接触エリア（５）が設けられ、前記接触エリア（５）が、電気スイッチ（７）用の固定接触部として使用され、前記接触エリア（５）が、前記幅狭面（３）に配置され、
前記切換え接触部（６）は導電性ピル（８）を備え、前記切換え接触部（６）は、切換えマット（１６）に位置し、及び、前記切換えマット（１６）は、エラストマー、及び／又は、弾性プラスチックからなり、
前記切換えマット（１６）はキャリア部（９）に配置され、及び、前記接触エリア（５，５´）が前記切換え接触部（６）と電気接触するために露出されるよう、凹部（１０）が、前記キャリア部（９）に設けられ、
前記キャリア部（９）が前記プリント回路基板（１）の端面（３）に固定され、
前記凹部（１０）は、前記キャリアにおける前記接触エリア（５，５´）が設けられた部分を、前記第１幅広面が位置する第１側と、前記第２幅広面が位置する第２側とから挟み、
前記キャリアは、プリント回路基板であることを特徴とする、電気スイッチ。

【請求項2】

前記切換えマット（１６）は、前記キャリア部（９）における前記接触エリア（５，５´）の前記第１側に位置する部分と、前記キャリア部（９）における前記接触エリア（５，５´）の前記第２側に位置する部分とに配置されることを特徴とする、請求項１に記載の電気スイッチ。

【請求項3】

前記キャリア（１）が電気絶縁性材料からなること、及び、前記接触エリア（５）が、導電性材料からなることを特徴とする、請求項１又は２に記載の電気スイッチ。

【請求項4】

前記接触エリア（５）が、導電性金属を有する被覆部からなること、及び、前記被覆部が、前記幅狭面（３）で、部分的に形成されることを特徴とする、請求項１から３のいずれか１項に記載の電気スイッチ。

【請求項5】

前記被覆部は、部分的金めっきであることを特徴とする、請求項４に記載の電気スイッチ。

【請求項6】

２つの固定接触部（５，５´）が設けられること、及び、前記切換え接触部（６）が、架橋的方法で前記固定接触部（５，５´）と相互作用することを特徴とする、請求項１から５のいずれか１項に記載の電気スイッチ。

【請求項7】

前記キャリアが、留め金フック（１１）によって前記キャリア部（９）に固定されることを特徴とする、請求項１から６のいずれか１項に記載の電気スイッチ。

【請求項8】

固定ピン（１２，１４）が、前記キャリア（１）をハウジング内に配置するために前記キャリア部（９）に設けられることを特徴とする、請求項７に記載の電気スイッチ。

【請求項9】

前記幅広面（２）は電気導体トラック（４）を収容していることを特徴とする、請求項１から８のいずれか１項に記載の電気スイッチ。

【請求項10】

前記ピル（８）が、炭素、又は、グラファイトからなること、請求項１から９のいずれか１項に記載の電気スイッチ。

【請求項11】

前記切換えマット（１６）が、シリコーンからなることを特徴とする、請求項１から１０のいずれか１項に記載の電気スイッチ。

【請求項12】

前記キャリア部（９）が、停止部（１３）に押付けられることを特徴とする、請求項１から１１のいずれか１項に記載の電気スイッチ。

【発明の詳細な説明】

【発明の詳細な説明】

【0001】

本発明は、特許請求項１の事前特徴付け条項によるキャリアに関する。
こうしたキャリアは、電気及び／又は電子コンポーネントを収容するために使用される。

【0002】

こうしたキャリアは、平坦であり、また、幅広面及び幅狭面を有する。特に、キャリアは、導体トラック（ｔｒａｃｋ）によってコンポーネント用の電気接続を同時に提供するプリント回路基板として使用され得る。電気導体トラックは、キャリアの幅広面にある。電気スイッチは、同様に、従来通りキャリアの幅広面に配置されてもよい。少なくとも１つの露出した導電性接触エリアが、その後、幅広面に設けられ、接触エリアは、電気スイッチ用の固定接触部として使用される。しかし、こうしたキャリアの機能は、幾つかの場合、特に、キャリアが電気スイッチを収容するために使用される場合、制限される。

【0003】

本発明は、キャリアの機能を増加させるという目的に基づく。特に、電気スイッチを収容するためにキャリアを使用するとき、その意図は、キャリア及び／又はプリント回路基板に、直角に、すなわち、スイッチの直前の作動方向に実質的に直角に、スイッチによって切換え信号を生成することである。

【0004】

一般的なタイプのキャリアの場合、この目的は、請求項１で特徴付けられた構成によって達成される。
本発明によるキャリアにおいて、接触エリアは、幅狭面に配置される。結果として、電気スイッチは、有利には、この目的ために過去に使用されなかった、キャリア及び／又はプリント回路基板の端面幅狭面に、コンパクトな方法で配置される可能性がある。従属請求項は、本発明の更なる構成に関する。

【0005】

キャリアは、便法として、電気絶縁性材料、キャリアにおそらくは位置する導電性材料からなる導体トラックからなり得る。接触エリアは、次に、導電性材料からなり得る。費用効果的な方法で、接触エリアは、導電性金属を有する被覆部からなり得る。被覆部は、材料を節約するため、幅狭面に部分的に形成され得る。これは、良好な電気伝導率のための幅狭面の部分的金めっきであってもよい。こうした金めっきは、腐食に対する低い傾向を有し、したがって、耐久性があり、かつ、機能的に信頼性がある。

【0006】

電気スイッチは、少なくとも１つの固定接触部、及び、固定接触部との相互作用を切換えるための切換え接触部を備える。本発明によれば、固定接触部は、こうして構成されるプリント回路基板に、すなわち、プリント回路基板の端面幅狭面に配置され得る。

【0007】

２つの固定接触部が、電気スイッチのために設けられてもよい。切換え接触部は、架橋的方法で、固定接触部と容易に相互作用し得る。コンパクトさのために、切換え接触部は、導電性ピル（ｐｉｌｌ）を備え得る。ピルは、炭素、特にグラファイトからなる可能性があり、良好な電気伝導性を有し、それでも、費用効果的である材料がここでは必要とされる。切換え接触部は、特に費用効果的な方法で生産される可能性がある切換えマット（ｍａｔ）に位置する可能性がある。切換えマットは、エラストマーの及び／又は弾性プラスチック、特にシリコーン、からなり得、その結果、切換えマットは、射出成形を使用して容易に生産され得る。こうした切換えマットは、また、長寿命である。

【0008】

機能的に信頼性のある方法で、切換えマットは、キャリア部に配置され得る。接触エリアが切換えマットと電気接触するために露出されるよう、凹部がキャリア部に設けられ得る。コンパクトな設計において、キャリア部は、プリント回路基板の端面に固定される可能性がある。簡単な設置のために、キャリア部は、この目的のために、停止部によってプリント回路基板に載る可能性がある。信頼性のある固定のために、留め金フックによってキャリア部に固定されることが、プリント回路基板として適切である場合もある。最後に、固定ピンが、プリント回路基板をハウジング内に配置するためにキャリア部に設けられる可能性があり、それにより、プリント回路基板が、ハウジング内に容易に位置決め、及び／又は、固定されることを可能にする。

【0009】

以下では、本発明の特に好ましい構成について述べられ得る。
本発明は、プリント回路基板に端面切換え接触部を提供し、その結果、切換え信号が、プリント回路基板に直角に生成される可能性がある。この目的のために、プリント回路基板は、側面で、すなわち、その端面で、部分的に金めっきされる。切換え信号は、切換えマットの導電性ピルによって確立される。この場合、切換えマット及びプリント回路基板は、キャリア部によって適宜に位置決めされる。

【0010】

本発明によって達成される利点は、特に、複雑でかつ費用がかかる更なる部品、例えば、光バリア（ｌｉｇｈｔ ｂａｒｒｉｅｒｓ）、接触シート等なしで、電気スイッチによって、プリント回路基板に直角に信号を生成することが可能であることである。更に、コストが集中する、以前に使用されたリジッドフレキシブルプリント回路基板又は同様な構成を、不要にすることが可能である。本発明によるキャリアは、非常に短いトレランスチェーン（ｔｏｌｅｒａｎｃｅ ｃｈａｉｎ）を提供し、それは、短ストロークのボタン、又は、短ストロークの搖動体、或は、他の搖動体、及び／又は、プッシュボタンを有する電気スイッチにおいて、特に有利である。

【0011】

異なる開発及び構成を有する本発明の１つの例示的な実施形態は、図面で示され、以下でより詳細に述べられる。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】キャリアの斜視図である。

【図2】図１によるキャリアを備える電気スイッチ用のキャリア部を示す図である。

【図3】図２のライン３−３に沿う断面による電気スイッチを示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0013】

電気及び／又は電子コンポーネントを収容するためのプリント回路基板の形態のキャリア１を、図１から見ることができる。平坦キャリア１は、幅広面２及び端面幅狭面３を有し、電気絶縁性材料からなる。図１で概略的に示すだけである電気導体トラック４は、例えば、キャリア１の幅広面２に位置する。キャリア１上のこれらの電気コンポーネントのうちの１つは、特に、電気スイッチであり、その電気スイッチのため、少なくとも１つの露出した導電性接触エリア５であって、したがって、導電性材料からなる導電性接触エリア５が、キャリア１に固定接触部として設けられる。この導電性接触エリア５は、キャリア１の幅狭面３に配置される。本事例において、接触エリア５は、導電性金属を有する被覆部からなり、被覆は、接触エリア５のサイズに応じて部分的に実施される。特に、接触エリア５は、特に、良好な機能的信頼性のため、幅狭面３の部分的金めっきである。

【0014】

既に述べたように、キャリア１は、図３においてより詳細に見られる電気スイッチ７の一部であってよい。スイッチ７は、少なくとも１つの固定接触部５、及び、固定接触部５との相互作用を切換えるための切換え接触部６を備え、固定接触部５は、接触エリアとして、プリント回路基板１の幅狭面３に位置する。本事例において、図１によれば、２つの接触エリア５、５´が、電気スイッチ７用の固定接触部として設けられ、絶縁エリア１５によって互いから絶縁される。切換え接触部６は、その後、切換え中に、架橋的方法で、固定接触部５、５´と相互作用する。

【0015】

図３によれば、切換え接触部６は、切換えマット１６に位置する。切換えマット１６は、弾性、及び／又は、エラストマーのプラスチック、例えばシリコーンから生産される。切換え接触部６は、同様に、導電性ピル８を備え、導電性ピル８は、電気的接触がそこで閉じられることができる接触ポイントとして、固定接触部５、５´と相互作用する。ピル８は、炭素、特に、良好な電気伝導率を有するグラファイトからなる。切換えマット１６は、図２においてより詳細に見られるキャリア部９に配置される。接触エリア５，５´が、切換えマット１６の切換え接触部６と電気接触するために露出されるよう、凹部１０がキャリア部９に設けられる。

【0016】

図２から見られるように、キャリア部９は、プリント回路基板１の端面３のキャリア部９の停止部１３に押付けられる。プリント回路基板１は、設置又は取付け中に、更なる部品（ここでは示さず）によってこの停止部１３に押付けられる。プリント回路基板１は、留め金フック１１によってキャリア部９に更に固定される。キャリア部９は、同様に、更には示さないハウジング内で、電気スイッチ７と共にプリント回路基板１を固定及び／又は位置決めするための固定ピン１２、１４を有する。

【0017】

本発明は、述べられ図示される例示的な実施形態に限定されない。むしろ、本発明は、同様に、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内で当業者によって実施される全ての開発を含む。したがって、こうしたキャリア１は、多様な方法で、特に、スイッチパネルにおいて、機能等を選択するための多機能スイッチ等において使用され得、次に、自動車、家庭用機器、又は別の電気デバイスにおいて使用され得る。

【符号の説明】

【0018】

１…キャリア／プリント回路基板、２…（キャリアの）幅広面、３…（キャリアの）幅狭面／端面、４…導体トラック、５，５´…接触エリア／固定接触部、６…切換え接触部、７…（電気）スイッチ、８…（導電性）ピル、９…キャリア部、１０…（キャリア部の）凹部、１１…留め金フック、１２…（キャリア部の）固定ピン、１３…停止部、１４…（キャリア部の）固定ピン、１５…（端面の）（絶縁）エリア、１６…切換えマット。

【図1】

【図2】

【図3】