特許第6634076号(P6634076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6634076小型マイクロ波アブレーションアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6634076
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】小型マイクロ波アブレーションアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/18 20060101AFI20200109BHJP
【FI】
   A61B18/18 100
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-517323(P2017-517323)
(86)(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公表番号】特表2017-533740(P2017-533740A)
(43)【公表日】2017年11月16日
(86)【国際出願番号】US2015053134
(87)【国際公開番号】WO2016054156
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2018年9月28日
(31)【優先権主張番号】14/503,926
(32)【優先日】2014年10月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ブラナン, ジョセフ
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−511348(JP,A)
【文献】 米国特許第08292881(US,B2)
【文献】 特開2010−279696(JP,A)
【文献】 特開2011−031047(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102711643(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発生器インピーダンスZを有する発生器に結合されたマイクロ波アプリケータであって、前記マイクロ波アプリケータは、長手軸を有し、
前記マイクロ波アプリケータは、
第1の内側導体と、前記第1の内側導体を囲む第1の外側導体とを含む第1の伝送線区画であって、前記第1の外側導体は、第1の外径を有する第1の伝送線区画と、
第2の内側導体と、前記第2の内側導体を囲む第2の外側導体とを含む第2の伝送線区画であって、前記第2の外側導体は、前記第1の外径より小さい第2の外径を有する第2の伝送線区画と、
前記第1の伝送線区画と前記第2の伝送線区画との接合点における接合点インピーダンスZLOADと、
第3の内側導体と、前記第3の内側導体を囲む第3の外側導体とを含む第3の伝送線区画であって、前記第3の外側導体は、前記第2の外径より小さい第3の外径を有する第3の伝送線区画
を備え
前記第2の伝送線区画のインピーダンスは、前記マイクロ波アプリケータの前記長手軸に沿った前記第3の伝送線区画の長さに基づき、
前記第3の伝送線区画の長さは、前記接合点インピーダンスZLOADを前記発生器インピーダンスZに合致させるように構成されている、マイクロ波アプリケータ。
【請求項2】
前記第1の伝送線区画および前記第2の伝送線区画および前記第3の伝送線区画の各伝送線区画は、剛性材料または半剛性材料または可撓性材料から構築されている、請求項1に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項3】
前記第2の内側導体の直径および前記第3の内側導体の直径は、前記第1の内側導体の直径等しい、請求項1に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項4】
前記第2の内側導体および前記第3の内側導体は、前記第1の内側導体の拡張である、請求項1に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項5】
前記第3の外側導体を囲むバラン外側導体を含む、請求項1に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項6】
前記バラン外側導体の外径は、前記第1の伝送線区画の前記第1の外側導体の前記第1の外径等しいか、またはほぼ等しい、請求項5に記載のマイクロ波アプリケータ。
【請求項7】
発生器インピーダンスZを有する発生器に結合されたアンテナアセンブリであって、
前記アンテナアセンブリは、
同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルは、第1の伝送線区画と、第2の伝送線区画と、前記第1の伝送線区画と前記第2の伝送線区画との接合点における接合点インピーダンスZLOADと、長さを有する第3の伝送線区画と、前記第3の伝送線区画上に配置される同軸バランとを含み、前記同軸バランの外径は、前記第1の伝送線区画の外径等しいか、またはほぼ等しく、前記第3の伝送線区画の長さは、前記接合点インピーダンスZLOADを前記発生器インピーダンスZに合致させるように構成されている、同軸ケーブルと、
前記第3の伝送線区画の遠位端に形成され放射区分と、
前記同軸ケーブルを受容するように構成され、かつ、前記放射区分に取り付けられ誘電体緩衝および冷却区画
を備える、アンテナアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の伝送線区画および前記第2の伝送線区画および前記第3の伝送線区画の各伝送線区画は、剛性材料または半剛性材料または可撓性材料から構築されている、請求項7に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項9】
前記誘電体緩衝および冷却区画は、第1の管と、前記第1の管内に配置され第2の管とを含み、前記第2の管は、前記第1の管の内面と前記第2の管の外面との間に流出導管を画定し、前記第2の管の内面と前記同軸ケーブルの外面および前記取り付けられた放射区分の外面との間に流入導管を画定する、請求項7に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項10】
前記誘電体緩衝および冷却区画は、冷却流体を搬送するための流入導管および流出導管を画定す第1の管を含む、請求項7に記載のアンテナアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、概して、マイクロ波アブレーションアセンブリに関し、より具体的には、小型マイクロ波アブレーションアセンブリおよびそれらの電力伝達を最大限にすることに関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の論議)
電磁場は、腫瘍細胞を加熱して破壊するために使用されることができる。治療は、アブレーションプローブを癌性腫瘍が識別された組織の中に挿入することを伴い得る。いったんアブレーションプローブが適切に位置付けられると、アブレーションプローブは、アブレーションプローブを取り囲む組織内に電磁場を誘発させる。
【0003】
癌等の疾患の治療の際、あるタイプの腫瘍細胞は、通常、健康な細胞への傷害となる温度を若干下回る、高温で変性することが見出されている。温熱療法等の公知の治療方法は、隣接する健康な細胞を不可逆的細胞破壊が生じる温度を下回って維持しながら、罹患細胞を41℃を上回る温度まで加熱する。これらの方法は、電磁場を印加し、組織を加熱またはアブレーションすることを伴う。
【0004】
電磁場を利用するデバイスが、種々の使用および用途のために開発されている。典型的には、アブレーション手技において使用するための装置は、エネルギーを標的組織に指向するために、エネルギー源および外科手術用器具(例えば、アンテナアセンブリを有するマイクロ波アブレーションプローブ)として機能する、電力発生源、例えば、マイクロ波発生器を含む。発生器および外科手術用器具は、典型的には、エネルギーを発生器から器具に伝送するため、かつ制御、フィードバック、および識別信号を器具と発生器との間で通信するため、複数の導体を有するケーブルアセンブリによって動作可能に結合される。
【0005】
例えば、組織アブレーション用途において使用され得る、モノポール、ダイポール、および螺旋等のいくつかのタイプのマイクロ波プローブが使用されている。モノポールおよびダイポールアンテナアセンブリでは、マイクロ波エネルギーは、概して、導体の軸から垂直に放射する。モノポールアンテナアセンブリは、典型的には、単一の伸長導体を含む。典型的ダイポールアンテナアセンブリは、直線状に整列され、それらの間に電気絶縁体が設置され、相互に対して端と端が近接するように位置付けられる、2つの伸長導体を含む。螺旋アンテナアセンブリは、種々の寸法、例えば、直径および長さの螺旋形状の導体構成を含む。螺旋アンテナアセンブリの主要動作モードは、螺旋によって放射される場が螺旋軸に垂直な平面において最大である、通常モード(ブロードサイド)と、最大放射が螺旋軸に沿う、軸方向モード(エンドファイア)である。
【0006】
熱アブレーションのための組織の加熱は、印加される表面または要素からの熱の伝導、電極から接地パッドに流れる電流によるイオン撹拌(電流ベースの技術)、光学波長吸収、またはマイクロ波アブレーションの場合、アンテナ電磁場内の水分子の誘電緩和(電場ベースの技術)を含む、種々のアプローチを通して遂行される。アブレーションゾーンは、2つの構成要素、すなわち、能動的アブレーションゾーンおよび受動的アブレーションゾーンに分けられることができる。
【0007】
能動的アブレーションゾーンは、アブレーションデバイスに最も近く、高強度のエネルギー吸収を受ける、組織の体積を包囲する。能動的ゾーンエネルギー吸収の有意な誘因は、エネルギー発生器によって生成されるエネルギーに由来する。熱伝導は、能動的ゾーンエネルギー吸収の重要ではない誘因である。電流ベースおよび電磁場ベースのアブレーション技術の場合、本能動的加熱は、抵抗損(電流ベース)および誘電緩和(電磁場ベース)に由来する。十分な量のエネルギーがアブレーションエネルギー発生器から能動的ゾーンに送達されると、熱的組織破壊が、大血管または気道の周囲およびその中等の非常に急速に流れる流体の面積を除く全体において、所与の印加時間で確実にされる。能動的アブレーションゾーンサイズおよび形状は、アブレーションデバイス設計によって判定されることができる。能動的アブレーションゾーンは、したがって、組織の所与の形状および体積にわたって予測可能アブレーション性効果を生成するために使用されることができる。
【0008】
受動的アブレーションゾーンは、能動的ゾーンを取り囲み、より低い強度のエネルギー吸収を被る、組織の体積を包囲する。受動的ゾーンエネルギー吸収の有意な誘因は、より高温の能動的ゾーンからの熱伝導に由来する。エネルギー発生器によって生成されるエネルギーに起因して、直接加熱することは、受動的ゾーンエネルギー吸収の重要ではない誘因である。受動的アブレーションゾーン内の組織は、所与の印加時間で組織破壊を被る場合もあり、またはそうではない場合もある。生理学的冷却は、より低いレベルエネルギー吸収からの加熱に対抗し、したがって、十分な加熱を受動的ゾーン内で生じさせ、組織を死滅させることを可能にしない場合がある。受動的ゾーン内の罹患または低灌流組織は、他の組織より加熱を受けやすくあり得、また、アブレーションゾーン内のより高温の面積から熱伝導をより受けやすくあり得る。これらの場合の受動的ゾーンは、予想外に大アブレーションゾーンをもたらし得る。標的生理学内の空間を横断するこれらの様々なシナリオに起因して、熱アブレーションを行うために受動的ゾーンに依拠することは、予測不能転帰を伴って困難である。
【0009】
電磁場が、マイクロ波プローブによってある距離に誘発され得るにつれて、マイクロ波アブレーションは、大規模な能動的ゾーンを生成する潜在性を有し、その形状およびサイズは、設計によって判定され、一定に保持されることができる。さらに、形状およびサイズは、具体的医療用途に適合するように設計を通して判定されることができる。不確定の受動的アブレーションゾーンに依拠せずに、所定の能動的ゾーンを利用して、予測可能アブレーションゾーンを生成することによって、マイクロ波アブレーションは、他のアブレーション性技法を用いて不可能である、あるレベルの予測精度および手技適合性を提供することができる。
【0010】
アンテナを中心とする能動的ゾーンのサイズおよび形状は、動作の周波数、アンテナの幾何学形状、アンテナの材料、およびアンテナを取り囲む媒体によって判定される。加熱組織等の電気特性を動的に変化させる媒体内でアンテナを動作させることは、電磁場のサイズおよび形状変化、したがって、能動的ゾーンのサイズおよび形状変化をもたらす。所与の手技タイプの許容範囲内でマイクロ波アンテナを中心とする能動的ゾーンのサイズおよび形状を維持するために、周囲媒体の電気特性の電磁場に及ぼす影響の程度は、低減される。
【0011】
アンテナを中心とする能動的ゾーン内のエネルギーの強度は、マイクロ波発生器からアンテナに送達され得る、エネルギーの量によって判定される。十分なエネルギー強度が、ゾーン内で予測可能な凝固を生成するために、能動的ゾーンエンベロープ内で必要とされる。加えて、より多くのエネルギーがアンテナに送達されると、能動的ゾーンアブレーションは、より短い手技時間で達成されることができる。マイクロ波発生器から導波管を通してマイクロ波アンテナまでのエネルギー伝達を最大限にすることは、各システム構成要素が、同一インピーダンスを有するか、またはインピーダンス整合されることを要求する。発生器および導波管のインピーダンスは、典型的には、固定されるが、マイクロ波アンテナのインピーダンスは、動作の周波数、アンテナの幾何学形状、アンテナの材料、およびアンテナを取り囲む媒体によって判定される。加熱組織内等の動的に変化する電気特性の媒体内でアンテナを動作させることは、アンテナインピーダンスの変化およびアンテナへの可変エネルギー送達をもたらし、その結果、能動的ゾーン内で変化するエネルギー強度をもたらす。マイクロ波アンテナを中心とする能動的ゾーン内でエネルギー強度を維持するために、周囲媒体の電気特性のアンテナインピーダンスに及ぼす影響の程度は、低減されなければならない。
【0012】
電磁場ベースの熱アブレーションでは、能動的ゾーンサイズおよび形状変化の主要原因は、電磁波の伸長である。波長伸長は、組織脱水に起因して、加熱組織内に生じる。脱水は、誘電定数を低下させ、マイクロ波場の波長を伸長させる。波長伸長はまた、組織タイプ間の可変誘電定数に起因して、マイクロ波デバイスが種々の組織タイプを横断して使用されるときにも遭遇される。例えば、電磁波は、肝臓組織内よりも肺組織内で有意に長くなる。
【0013】
波長伸長は、標的組織上へのマイクロ波エネルギーの集束を損なわせる。大体積アブレーションを用いて、略球状の能動的ゾーンが、エネルギーを略球状組織標的上に集束させることが好ましい。波長伸長は、デバイスの長さに沿って発生器に向かって電磁場を伸展させ、略彗星または「ホットドッグ」形状の能動的ゾーンをもたらす。
【0014】
波長伸長は、それぞれの開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる、米国出願第13/835,283号および第13/836,519号で説明されるように、不変誘電定数を有する材料を用いてアンテナ幾何学形状を誘電的に緩衝することによって、医療マイクロ波アンテナ内で有意に低減されることができる。不変誘電定数の材料は、アンテナを取り囲み、アンテナ波長に及ぼす組織電気特性の影響を低減させる。誘電緩衝を通して波長伸長を制御することによって、アンテナインピーダンス整合および場形状は、所望の範囲内で維持され、所定の、および頑丈な形状を伴う大規模な能動的アブレーションゾーンを可能にすることができる。
【0015】
生理食塩水または水等の循環流体を用いて誘電緩衝を提供することによって、これらの材料の高誘電定数は、アンテナ幾何学形状設計において活用されることができ、さらに、循環流体は、同時に、同軸供給線およびアンテナを含む、マイクロ波構成要素を冷却するために使用されることができる。マイクロ波構成要素の冷却はまた、より多くのエネルギーをアンテナ能動的ゾーンに送達するために使用され得る、構成要素のより高い電力取扱量を可能にする。
【0016】
上記で説明されるように、アンテナの周囲の能動的ゾーンのサイズおよび形状は、部分的に、アンテナの幾何学形状によって決定される。通常のアブレーションアンテナは、マイクロ波場形状およびサイズを効果的に制御するために、波長緩衝と組み合わせてアンテナ幾何学形状を利用しない。これらのアンテナは、球形の能動的ゾーン形状を作成することもなく、組織型にわたって、または組織加熱中に頑丈かつ不変の能動的ゾーンでもない。これらのアンテナは、マイクロ波エネルギーがデバイス先端から発生器に向かってデバイスの外部導体に沿って拡散することを可能にする。シャフトに沿ったマイクロ波エネルギーの拡散は、彗星または「ホットドッグ」形状の能動的ゾーンをもたらす。
【0017】
マイクロ波アンテナは、インピーダンス整合を向上させ、また、所定の形状にマイクロ波エネルギーを集束することにも役立ち得る、アンテナ幾何学形状の構成要素である、チョークまたはバランを具備されることができる。波長緩衝と組み合わせられるとき、バランまたはチョークは、種々の組織型にわたって、かつ組織加熱中に、発生器に向かって外部導体に沿った電磁場の後方伝搬を効果的に遮断し、頑丈な球形の能動的ゾーンにエネルギーを集束することができる。
【0018】
バランの一実装は、同軸ケーブルの外側導体上に配置されるバラン誘電体と、バラン誘電体上に配置される外側バラン導体とを含む。バランは、同軸ケーブルの外側導体がバランの内側導体である、内側同軸ケーブルの周囲に配列される同軸導波管の短い区分を作成する。バランは、アンテナの給電部の近傍で同軸ケーブルの周囲に配置され、一実装では、λがバラン内の電磁波の波長である、λ/4の長さを有する。バラン外側導体および内側導体は、λ/4短絡バランを作成するように、近位端においてともに短絡させられる。
【0019】
λ/4短絡バランの機能を説明する1つの方法は、以下の通りである。電磁波が、アンテナの放射区分に沿って近位に伝搬し、バランに進入し、バランの短絡近位端から反射し、バランの遠位端まで前方に伝搬し、アンテナ放射区分上に戻るようにバランから退出する。バラン長の本配列を用いると、電磁波がバランの遠位端に到達し、アンテナ放射区分上に戻るとき、電磁波は、完全なλの相変化を蓄積している。これは、バラン内で前方に進行したλ/4距離、バラン内で後方に進行したλ/4距離、およびバランの短絡近位端からの反射とともに起こるλ/2相変化によるものである。結果は、発生器に向かってケーブルの外面に沿って伝搬するのではなく、アンテナ放射区分上の他の波動と位相同期してアンテナの遠位先端に向かって戻るように再指向される波動である、電磁波である。
【0020】
マイクロ波アブレーションアセンブリにおいて必要とされる種々の構成要素により、マイクロ波アブレーションアセンブリ、ならびにマイクロ波アブレーションアセンブリが通過する針の直径は、増大させられる。針のサイズは、特に、反復治療があるときに、低侵襲手技におけるマイクロ波アブレーションアセンブリの使用を制限し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0276033号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0046174号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
(要旨)
一側面では、本開示は、マイクロ波アプリケータを対象とする。マイクロ波アプリケータは、第1の伝送線区画と、第2の伝送線区画と、第3の伝送線区画とを含む。第1の伝送線区画は、第1の内側導体と、第1の内側導体を囲む第1の外側導体であって、第1の外径を有する、第1の外側導体とを含む。第2の伝送線区画は、第2の内側導体と、第2の内側導体を囲む第2の外側導体であって、第1の外径より小さい第2の外径を有する、第2の外側導体とを含む。第3の伝送線区画は、第3の内側導体と、第3の内側導体を囲む第3の外側導体であって、第2の外径より小さい第3の外径を有する、第3の外側導体とを含む。
【0023】
第1の伝送線区画、第2の伝送線区画、第3の伝送線区画のうちの1つまたはそれを上回るものは、剛性、半剛性、もしくは可撓性である。第2および第3の内側導体の直径は、第1の内側導体の直径と等しくあり得る。第2および第3の内側導体は、第1の内側導体の拡張であってもよい。マイクロ波アプリケータはまた、第3の外側導体を囲むバラン外側導体を含んでもよい。バラン導体の外径は、第1の伝送線区画の第1の外側導体の第1の外径と等しくあり得る。
【0024】
別の側面では、本開示は、第1の伝送線区画と、第2の伝送線区画と、第3の伝送線区画と、第3の伝送線区画上に配置される同軸バランとを含む、同軸ケーブルを含む、アンテナアセンブリを特色とする。同軸バランの外径は、第1の伝送線区画の外径と等しいか、またはほぼ等しい。アンテナアセンブリはまた、第3の伝送線区画の遠位端に形成される、放射区分と、同軸ケーブルを受容するように構成され、放射区分に取り付けられる、誘電体緩衝および冷却区画とを含む。
【0025】
第1の伝送線区画、第2の伝送線区画、第3の伝送線区画ののうちの1つまたはそれを上回るものは、剛性、半剛性、もしくは可撓性である。
【0026】
誘電体緩衝および冷却区画は、第1の管と、第1の管内に配置される第2の管とを含んでもよい。第2の管は、第1の管の内面と第2の管の外面との間に流出導管を画定し、第2の管の内面と同軸ケーブルおよび取り付けられた放射区分の外面との間に流入導管を画定する。誘電体緩衝および冷却区画は、冷却流体を搬送するための流入および流出導管を画定する、第1の管を含んでもよい。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
長手軸を有するマイクロ波アプリケータであって、
第1の内側導体と、前記第1の内側導体を囲む第1の外側導体であって、第1の外径を有する、第1の外側導体とを含む、第1の伝送線区画と、
第2の内側導体と、前記第2の内側導体を囲む第2の外側導体であって、前記第1の外径より小さい第2の外径を有する、第2の外側導体とを含む、第2の伝送線区画と、
第3の内側導体と、前記第3の内側導体を囲む第3の外側導体であって、前記第2の外径より小さい第3の外径を有する、第3の外側導体とを含む、第3の伝送線区画と、
を備え、前記第2の伝送線区画のインピーダンスは、前記マイクロ波アプリケータの前記長手軸に沿った前記第3の伝送線区画の長さに基づく、
マイクロ波アプリケータ。
(項目2)
前記第1の伝送線区画、前記第2の伝送線区画、前記第3の伝送線区画のうちの1つまたはそれを上回るものは、剛性、半剛性、もしくは可撓性である、項目1に記載のマイクロ波アプリケータ。
(項目3)
前記第2の内側導体および第3の内側導体の直径は、前記第1の内側導体の直径と等しい、項目1に記載のマイクロ波アプリケータ。
(項目4)
前記第2の内側導体および第3の内側導体は、前記第1の内側導体の拡張である、項目1に記載のマイクロ波アプリケータ。
(項目5)
前記第3の外側導体を囲むバラン外側導体を含む、項目1に記載のマイクロ波アプリケータ。
(項目6)
前記バラン外側導体の外径は、前記第1の伝送線区画の前記第1の外側導体の前記第1の外径と等しいか、またはほぼ等しい、項目5に記載のマイクロ波アプリケータ。
(項目7)
第1の伝送線区画と、第2の伝送線区画と、第3の伝送線区画と、前記第3の伝送線区画上に配置される同軸バランとを含む、同軸ケーブルであって、前記同軸バランの外径は、前記第1の伝送線区画の外径と等しいか、またはほぼ等しい、同軸ケーブルと、
前記第3の伝送線区画の遠位端に形成される、放射区分と、
前記同軸ケーブルを受容するように構成され、前記放射区分に取り付けられる、誘電体緩衝および冷却区画と、
を備える、アンテナアセンブリ。
(項目8)
前記第1の伝送線区画、前記第2の伝送線区画、前記第3の伝送線区画ののうちの1つまたはそれを上回るものは、剛性、半剛性、もしくは可撓性である、項目7に記載のアンテナアセンブリ。
(項目9)
前記誘電体緩衝および冷却区画は、第1の管と、前記第1の管内に配置される第2の管とを含み、前記第2の管は、前記第1の管の内面と前記第2の管の外面との間に流出導管を画定し、前記第2の管の内面と前記同軸ケーブルおよび取り付けられた放射区分の外面との間に流入導管を画定する、項目7に記載のアンテナアセンブリ。
(項目10)
前記誘電体緩衝および冷却区画は、冷却流体を搬送するための流入導管および流出導管を画定する、第1の管を含む、項目7に記載のアンテナアセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0027】
流体冷却プローブアセンブリを伴う本開示されるエネルギー送達デバイスならびに同一物を含むシステムの目的および特徴は、添付図面を参照して、その種々の実施形態の説明が解読されるときに、当業者に明白となるであろう。
【0028】
図1図1は、本開示の側面による、マイクロ波アブレーションシステムのブロック図である。
【0029】
図2図2は、本開示の側面による、図1のマイクロ波アブレーションシステムのマイクロ波アプリケータの側面図である。
【0030】
図3A図3Aは、基本伝送線の概略図である。
【0031】
図3B図3Bは、図2のマイクロ波アプリケータの伝送線ネットワーク表現である。
【0032】
図4A図4Aは、図2のマイクロ波アプリケータの第1の伝送線区分の概略図である。
【0033】
図4B図4Bは、図2のマイクロ波アプリケータの第2の伝送線区分の概略図である。
【0034】
図4C図4Cは、図2のマイクロ波アプリケータの第3の伝送線区分の概略図である。
【0035】
図4D図4Dは、図2のマイクロ波アプリケータの遠位放射区分の概略図である。
【0036】
図5図5は、図4A−4Dの複合概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(詳細な説明)
本開示は、概して、マイクロ波アプリケータの断面直径を小型化しながら、発生器からアンテナ負荷への電力伝達を最適化することが可能なマイクロ波アブレーションデバイスを対象とする。これは、部分的に、発生器および第1の伝送線区画のインピーダンスを、アンテナにおいて終端する第2および第3の伝送線区画を含むネットワークへ入るインピーダンスと合致させることによって、達成される。
【0038】
本開示によると、アンテナ幾何学形状の直径は、同軸供給線の直径未満またはそれと等しくなるように縮小されてもよい。アンテナ幾何学形状の小型化は、少なくとも以下の利点を提供し、すなわち、(1)アブレーション性能またはデバイス強度を有意に損なうことなく、マイクロ波アプリケータの全体半径方向サイズを縮小する、(2)より大型の同軸ケーブル供給線の使用を可能にし、同軸ケーブル供給線内のエネルギー損失を低減させ、したがって、ラジエータへのエネルギー送達を増加させる、(3)流体チャネル、強化部材、および中心化特徴またはセンサ等のマイクロ波アプリケータの種々の構造ならびに特徴のために全体半径方向サイズを増大させることなく、マイクロ波アプリケータ内に付加的空間を提供する、(4)マイクロ波同軸ケーブルとアンテナとの間の一貫性のない半径方向寸法により、そうでなければ可能ではないであろう、一方の端部から多管腔カテーテルの中へ完全に組み立てられたマイクロ波構成要素を摺動させること等の種々の製造技法を可能にする。
【0039】
気管支内アブレーションに関して、マイクロ波アプリケータの小型化は、2.8mm気管支鏡チャネルサイズにおいて、生理食塩水または水で誘電体緩衝され、(バランを介して)電気的にチョークされたマイクロ波ラジエータの技術的実行可能性(例えば、必要組織効果および冷却の適切性)を可能にする。これは、3.2mmまでのサイズの同一用途の気管支鏡チャネルサイズデバイスの組織効果および冷却性能をさらに向上させる。カテーテルサイズ(フレンチのサイジング)が臨床的に重要である、他の血管内、経皮的、外科的、および腹腔鏡的用途が、同様に利益を得ると想定される。これはまた、それぞれの開示が参照することによって本明細書に組み込まれる、米国出願第13/836,519号および第13/924,277号で説明される、熱電対温度センサのためにマイクロ波アプリケータアセンブリ内に空間を提供してもよい。加えて、供給線同軸区画の直径と(バランを含む)アンテナ幾何学形状の直径との間の線間寸法を維持することによって、マイクロ波アプリケータアセンブリは、近位端から閉鎖(先端付き)管腔の中へ摺動させられてもよく、したがって、製造プロセスを単純化する。本開示の製造方法は、アブレーション針およびカテーテルの小型化ならびに強化で使用されてもよい。
【0040】
マイクロ波アブレーションシステムおよび構成要素の実施形態が、添付図面を参照して説明される。類似参照数字は、図の説明の全体を通して類似または同一要素を指し得る。図面に示されるように、かつ本説明で使用されるように、「近位」という用語は、ユーザにより近い、装置または装置の構成要素のその一部を指し、「遠位」という用語は、ユーザからより遠い、装置または装置の構成要素のその一部を指す。
【0041】
本明細書は、本開示による同一もしくは異なる実施形態のうちの1つまたはそれを上回るものをそれぞれ指し得る、「一実施形態では」、「実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、または「他の実施形態では」という語句を使用し得る。
【0042】
本明細書で使用されるように、「マイクロ波」は、概して、300メガヘルツ(MHz)(3×10サイクル/秒)〜300ギガヘルツ(GHz)(3×1011サイクル/秒)の周波数範囲内の電磁波を指す。本明細書で使用されるように、「アブレーション手技」は、概して、例えば、マイクロ波アブレーション、高周波(RF)アブレーション、またはマイクロ波もしくはRFアブレーション支援切除等の任意のアブレーション手技を指す。本明細書で使用されるように、「伝送線」は、概して、1つの点から別の点までの信号の伝搬に使用されることができる、任意の伝送媒体を指す。本明細書で使用されるように、「流体」は、概して、液体、ガス、または両方を指す。
【0043】
図1は、本開示の側面による、マイクロ波組織治療システム10のブロック図である。マイクロ波組織治療システム10は、供給線60を通してマイクロ波発生器40に接続されたマイクロ波アプリケータまたはアンテナアセンブリ100を有する、マイクロ波組織治療デバイス20を含む。マイクロ波組織治療デバイス20は、冷却システム180の流入流体導管182および流出流体導管184を介して、マイクロ波アプリケータまたはアンテナアセンブリ100を通して冷却もしくは熱放散流体を循環させるために、1つまたはそれを上回るポンプ80、例えば、蠕動ポンプもしくは同等物を含んでもよい。システムを通して流体を駆動させるポンプの機械的機能性は、流体を駆動することによって、加圧および調整されたリザーバと置換されてもよい。
【0044】
供給線60は、長さが約7フィートから約10フィートに及んでもよいが、特定の用途で必要とされる場合、実質的により長いか、または短いかのいずれかであり得る。供給線60は、マイクロ波エネルギーをマイクロ波組織治療デバイス20に伝達する。供給線60は、内側導体と、外側導体と、内側および外側導体の間に間置される誘電体とを有する、同軸ケーブルを含む。誘電体は、外側導体から内側導体を電気的に分離および/または隔離する。供給線60はさらに、任意の伝導性または非伝導性材料から形成される、任意のスリーブ、管、ジャケット、もしくは同等物を含んでもよい。供給線60は、アンテナアセンブリ100またはマイクロ波組織治療デバイス20から分離可能であり、そこに接続可能であり得る。
【0045】
内側および外側導体はそれぞれ、少なくとも部分的に、ステンレス鋼、銅、または金等の伝導性材料もしくは金属でから成される。ある実施形態では、供給線60の内側および外側導体は、好適な伝導性材料でめっきまたはコーティングされる、伝導性もしくは非伝導性基材を含んでもよい。誘電体は、延伸発泡ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、二酸化ケイ素、またはフッ素重合体を含むが、それらに限定されない、相互からそれぞれの内側および外側導体を電気的に分離および/または隔離するために十分な値の誘電値ならびに接線損失定数を有する、材料から形成されてもよい。誘電体は、それぞれの内側および外側導体の間で所望のインピーダンス値ならびに電気的構成を維持することが可能な任意の非伝導性材料から形成されてもよい。加えて、誘電体は、誘電材料の組み合わせから形成されてもよい。
【0046】
マイクロ波組織治療システム10のアンテナアセンブリ100は、第1の伝送線区画112と、第2の伝送線区画114と、チョークまたは同軸バラン118が配置される第3の伝送線区画116と、遠位放射区分120と、誘電体緩衝および冷却構造122とを含む。
【0047】
アンテナアセンブリ100の近位部分は、接続ハブ140を含んでもよい。接続ハブ140は、供給線60の遠位端を受容するような構成および寸法にされる導管と、冷却システム180の流入導管182ならびに流出導管184を受容するような構成および寸法にされる付加的導管と、それぞれ、流入導管182ならびに流出導管184を受容するような構成および寸法にされる、接続ハブ140の内面に形成される1つまたはそれを上回る開口とを画定する。接続ハブ140は、ポリマー材料を含むが、それに限定されない、任意の好適な材料から形成されてもよい。明示的に示されていないが、ハブはまた、熱電対、電磁ナビゲーションコイル、またはインピーダンス監視電極を含むが、それらに限定されない、センサを受容するような構成および寸法にされる導管を含んでもよく、組織の放射へのアブレーションの影響を感知するために使用される放射計の1つまたはそれを上回る構成要素を収納してもよい。
【0048】
上記で説明されるように、本開示のアンテナアセンブリ100は、マイクロ波アプリケータ200の半径方向寸法を最小限にする。具体的には、マイクロ波アプリケータ200の金属構造の半径方向寸法は、図2−5を参照して以下で説明されるように、それぞれ、発生器および第1の伝送線区分112のインピーダンスを第2および第3の伝送線区分114ならびに116と整合させるように最適化される。
【0049】
図2は、誘電体緩衝および冷却構造122に挿入されたマイクロ波アプリケータ200を示す。第1の伝送線区画112(図1)は、剛性、半剛性、または可撓性同軸ケーブルを含む、任意の種類の同軸ケーブルから構築されてもよい。同軸ケーブルによって形成される導波路のインピーダンスは、50オームであってもよいが、20オームから150オームに及んでもよい。第1の伝送線区分区画112の内側導体212は、誘電絶縁体214によって取り囲まれ、これは順に、外側導体216(遮蔽体とも称される)によって部分的または完全に覆われる。
【0050】
内側導体212は、銀めっき中実銅線であってもよい。誘電絶縁体214は、誘電体テープ、押出ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)誘電絶縁体、包装PTFE、発泡PTFE、またはペルフルオロアルコキシ(PFA)であってもよい。外側導体216は、平坦または丸い編組ワイヤのいずれかから構築される、銀めっき銅線編組であってもよい。環境的および機械的頑丈さのためのジャケット(図示せず)が、編組遮蔽体上に適用され、またはその中へ融解させられてもよい。ジャケットは、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはフッ素化エチレンプロピレン(FEP)、もしくは押出熱可塑性物質等の熱収縮材料であってもよい。第1の伝送線区画112は、外側半径方向寸法dを有する(図5参照)。
【0051】
第2の伝送線区画114は、同軸供給線区画112の内側導体212と同一である内側導体222を含んでもよい。したがって、内側導体222は、マイクロ波アプリケータの製造を単純化し、電気的性能を向上させるように、第1の伝送線区画112と第2の伝送線区画114との間で不変かつシームレスであり得る。換言すると、内側導体222は、内側導体212の拡張であってもよい。実施形態では、内側導体222の半径方向寸法は、縮小されてもよい。第1の伝送線区画112と第2の伝送線区画114との差異は、第1の伝送線区画の誘電絶縁体214と比較して、縮小直径を有する誘電絶縁体224を採用することによって、第2の伝送線区画の外側半径方向寸法114dが縮小されることである。
【0052】
第2の伝送線区画114の長さは、動作周波数の波長の4分の1における電気的性能のために最適化されてもよい。第2の伝送線区画114の長さは、第2の伝送線区画の誘電絶縁体224の誘電定数によって拡大縮小されてもよい。例えば、第2の伝送線区画114の長さは、2450MHzの動作周波数については2.1cmであってもよい。他の実施形態では、第2の伝送線区画114の長さは、4分の1波長から逸脱し得る。例えば、第2の伝送線区画114の長さは、915MHzの動作周波数については5.6cm、5800MHzについては0.9cmであってもよい。さらに他の実施形態では、第2の伝送線区画114は、先細逓減、多区画逓減、または指数関数的先細を含む、種々のアプローチを使用して、逓減させられてもよい。
【0053】
第2の伝送線区画114は、第1の伝送線区画112と同一の材料から構築されてもよく、または第2の伝送線区画114は、第1の伝送線区画112と異なる材料の組み合わせを使用してもよい。誘電絶縁体224は、低密度PTFE(LDPTFE)または微孔性PTFE等の発泡PTFE、テープを巻かれたPTFE、テープを巻かれて焼結されたPTFE、もしくはPFAであってもよい。外側導体226は、銀めっき銅平坦ワイヤ編組、中実延伸銅管、伝導性インクでコーティングされたPET熱収縮(例えば、銀インクでコーティングされたPET熱収縮)、または銀めっき銅被覆鋼編組であってもよい。
【0054】
第3の伝送線区画116は、第3の伝送線区画116の製造を単純化し、電気的性能を向上させるであろう、第2の伝送線区画114の内側導体222および第1の伝送線区画112の内側導体212とともに、不変かつシームレスである内側導体232を含んでもよい。第3の伝送線区画116の内側導体232が第3の伝送線区画116とともに変化する場合、その半径方向寸法は、縮小されてもよい。第3の伝送線区画116と第2の伝送線区画114との差異は、再度、第1の伝送線区画112の誘電絶縁体214および第2の伝送線区画114の誘電絶縁体224と比較して、縮小直径を有する誘電絶縁体234を採用することによって、第3の伝送線区画の外側半径方向寸法116dが縮小されることである。
【0055】
第3の伝送線区画116は、第1の伝送線区画112および/または第2の伝送線区画114と同一の材料、または異なる材料から構築されてもよい。ラジエータ基礎区画116の誘電絶縁体234は、低密度PTFE(例えば、発泡PTFE)、テープを巻かれたPTFE、テープを巻かれて焼結されたPTFE、またはPFAであってもよい。外側導体236は、銀めっき銅平坦ワイヤ編組、中実延伸銅管、銀インクでコーティングされたPET熱収縮、または銀めっき銅被覆鋼編組であってもよい。
【0056】
同軸バラン118は、図2に示されるように、第3の伝送線区画116の頂部上に組み立てられる。同軸バラン118は、バラン誘電絶縁体118aおよびバラン外側導体118bを含む。バラン誘電絶縁体118aは、バラン外側導体118bの遠位端を越えて延在してもよい。
【0057】
同軸バランの全体外径118dは、デバイスの最大全体半径方向寸法が同軸バラン118によって増大させられないように、第1の伝送線区画112の全体外径と等しく、またはそれ未満に設定されてもよい。同軸バラン118は、第1の伝送線区画112と同一の材料から構築されてもよく、または第1の伝送線区画112の具体的材料と異なってもよい。
【0058】
第3の伝送線区画116は、誘電絶縁体234の露出および外側導体236の最遠位部分の除去によって形成される、供給間隙237を含む。バラン外側導体118bの遠位端を越えて延在し、供給間隙237まで延在する、外側導体236の部分は、近位放射区分238を形成する。供給間隙237の遠位で、遠位放射区分120は、第3の伝送線区画116の内側導体232の遠位端上にはんだ付けされ、圧着され、または溶接され、誘電絶縁体234から形成される供給間隙237の遠位端に対して隣接し得る、伸長導体242を含む。供給間隙237は、遠位放射区分(120)または近位放射区分(238)のいずれか一方の長さの一部と見なされてもよい。組み合わせて、近位および遠位放射区分238ならびに120は、ラジエータ250を形成する。伸長導体242の形状は、円筒であってもよい。代替として、遠位放射区分120は、拡大基部を伴うバーベルまたはピン等の変動直径のいくつかの円筒を含んでいてもよい。バーおよびフィン等の付加的ヒートシンク特徴が、マイクロ波アプリケータ200の放射有効性を増加させるように、伸長導体242に追加されてもよい。上記のバーベル等のこれらの特徴はまた、誘電体緩衝および冷却構造122内でラジエータを中心に置くことに役立ち、構造122内のラジエータの同心性が電磁場形状における要因であるため、生成される電磁場の形状をさらに制御し得る。
【0059】
ラジエータ250は、第1の伝送線区画112、第2の伝送線区画114、および/または第3の伝送線区画116と同一の材料、もしくは異なる材料から構築されてもよい。
【0060】
誘電体緩衝および冷却構造122は、デバイス用の機械的支持体と、ガスまたは液体等の循環冷却流体と、それぞれ、流体経路208および206を形成する、同心の流入および流出管202ならびに203等の流体の循環を可能にするチャンバとを含む。周辺組織環境からのアンテナの誘電体緩衝は、放射区分の長さにわたって延在する循環液体によって提供される。代替として、冷却管腔および流体は、遠位放射区分120の近位で終端してもよく、高誘電性固体材料は、アンテナを誘電的に緩衝し、組織の中へ、および/または組織を通して放射区分を前進させるために、機械的剛性ならびに増進した組織切断を提供するように、マイクロ波アプリケータの放射区分120を覆って遠位に配置されてもよい。
【0061】
誘電体緩衝および冷却構造122は、種々の熱可塑性物質を含んでいてもよく、多管腔押出アプローチに従って製造されてもよい。誘電体緩衝および冷却構造122は、繊維ガラスを含む流出管203と、ポリイミドまたはPET押出を含む流入管202とを含んでもよく、材料が相互の上で層状である、同心アプローチに従って製造されてもよい。流入管202および流出管203は、代替として、ケブラー(Kevlar)編組熱可塑性複合材料を含んでいてもよい。冷却流体は、水、生理食塩水、または任意の一般的な水性液体であってもよい。高誘電性固体材料は、YTZP等のセラミック材料であってもよい。
【0062】
発生器からアンテナアセンブリ/組織への電力伝達を最大限にするために、第1の伝送線区画112および第2の伝送線区画114の接合点におけるインピーダンスである、インピーダンスZLOADは、発生器インピーダンスZと実質的に等しくあるべきである。最大電力伝達を達成することが可能なマイクロ波アプリケータ200の設計は、図3A−5に示される概略図を参照して、以下で議論される。図3Aは、基本伝送線の概略図である。図3Aに示される伝送線では、伝送線のインピーダンスZ(l)は、以下のように計算される。
【数1】

式中、Zは、伝送線のインピーダンスであり、lは、線の長さであり、Zは、線を終端する負荷のインピーダンスである。線の長さlが4分の1波長と等しい状況では、伝送線のインピーダンスは、以下のように計算される。
【数2】
【0063】
遠位放射区分120のインピーダンスZは、組織における球形アブレーションのために最適化され、第1の伝送線区画112は、発生器のインピーダンスZと等しいインピーダンスZを有するように設計される。
【0064】
第3の伝送線区画116と遠位放射区分120との間の接合点から開始して、インピーダンスZA3は、以下のように方程式(1)を使用して計算される。
【数3】

上記の方程式(1)および(3)を使用して、第1の伝送線区画112および第2の伝送線区画114の接合点における間のインピーダンスZLOADは、以下のように計算される。
【数4】

第2の伝送線区画114の長さlを4分の1波長に設定することによって、インピーダンスZLOADは、以下のように方程式(2)を使用して計算される。
【数5】

次いで、方程式(3)は、方程式(5)に代入され、インピーダンスZLOADは、以下のように計算される。
【数6】

第2の伝送線区分114のインピーダンスは、以下のようにZについて方程式(6)を解くことによって計算される。
【数7】

第1の伝送線区画112のインピーダンスに等しいZload、すなわち、インピーダンス合致条件、およびグループ化項を設定することによって、方程式(7)は、以下のように単純化されることができる。
【数8】
【0065】
したがって、発生器とマイクロ波アプリケータとの間の合致を最適化するために、第3の伝送線区画の長さlが調節され、長さlは、バラン116およびアンテナ近位アーム239(図2)の存在に起因して、マイクロ波エネルギーの4分の1波長を上回る。第2の伝送線区画114のインピーダンスZは、第1の伝送線区画112のインピーダンスZと第3の伝送線区画116のインピーダンスZとの間の範囲になるように選択される。第1、第2、および第3の伝送線区画112、114、ならびに116のインピーダンスは、処理技法および区画を構築するために使用される材料に基づく。lの長さを調節することは、第1(112)および第2の(114)伝送線区画の間の接合点からアンテナに向かったネットワークのインピーダンスを、第1の伝送線区画(112)のインピーダンス、したがって、発生器インピーダンスと合致させる。
【0066】
例証および説明の目的で添付図面を参照して実施形態が詳細に説明されているが、本発明のプロセスおよび装置は、それによって限定されると解釈されるものではないことを理解されたい。本開示の範囲から逸脱することなく、前述の実施形態への種々の修正が行われ得ることが、当業者に明白である。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5