特許第6634240号(P6634240)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6634240
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20200109BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20200109BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20200109BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20200109BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20200109BHJP
   G02B 30/00 20200101ALI20200109BHJP
【FI】
   G09F9/00 361
   G09F9/00 313
   G02F1/13 505
   G02F1/133 505
   G02F1/1343
   G02F1/1333
   G02B27/22
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-165448(P2015-165448)
(22)【出願日】2015年8月25日
(65)【公開番号】特開2017-44769(P2017-44769A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】楊 映保
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大地
(72)【発明者】
【氏名】小糸 健夫
【審査官】 中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−190017(JP,A)
【文献】 特開2009−122212(JP,A)
【文献】 特開2013−076724(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0200792(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 − 9/46
G09G 3/00 − 5/42
G02B 27/22
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のスイッチ回路が配置された第一の画像領域と、
第二のスイッチ回路が配置された第二の画像領域と、
前記第一のスイッチ回路に接続され、第一の映像信号を供給する第一のデータ線と、
前記第二のスイッチ回路に接続された第二のデータ線と、
一定の電位が付与された定電位線と、
切り替え信号を供給する切り替え信号線と、
前記切り替え信号に基づいて、前記第二のデータ線の接続先を、前記第一のデータ線と、前記定電位線と、の間で切り替える切り替え回路と、
を有し、
前記第二のデータ線は、切り替え回路によって、前記第一の映像信号、又は、前記一定の電位のいずれか一方を供給する表示装置。
【請求項2】
前記第二の画像領域が前記第一の画像領域との間に位置するように配置された第三の画像領域を更に有し、
前記第一の画像領域の画像を第1視点に供給し、前記第三の画像領域の画像を第2視点に供給する画像分離体を形成する分離部を更に有し、
前記第二の画像領域の前記第二のデータ線の接続先が前記定電位線に切り替わるタイミングに合わせて、前記画像分離体が形成される
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
第一のモードで表示が行われるときには、前記分離部に前記画像分離体が形成され、前記第二の画像領域に設けられた前記第二のデータ線の接続先は、前記定電位線に切り替えられ、
第二のモードで表示が行われるときには、前記分離部に前記画像分離体は形成されず、前記第二の画像領域に設けられた前記第二のデータ線の接続先は、前記第二の画像領域と隣り合う前記第一の画像領域に設けられた前記第一のデータ線に切り替えられる
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
観察者の位置情報に基づいて、前記画像分離体が形成される位置を制御する分離体制御部を有する
請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第二の画像領域が前記第一の画像領域との間に位置するように配置された第三の画像領域と、
前記第二の画像領域と前記第三の画像領域の間に位置するように配置された第四の画像領域と、
前記切り替え信号に基づいて、前記第四の画像領域に配置された第四のスイッチ回路と接続された第四のデータ線の接続先を、前記第三の画像領域に配置された第三のスイッチ回路と接続された第三のデータ線と、前記定電位線と、の間で切り替える第二の切り替え回路と、を更に有し、
前記第三のデータ線には、第二の映像信号が供給され、
前記第四のデータ線は、切り替え回路によって、前記第二の映像信号、又は、前記一定の電位のいずれか一方を供給する
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
第三のスイッチ回路が配置された第三の画素領域と、
前記第三のスイッチ回路に接続された第三のデータ線と、を有し、
前記第三のデータ線は、前記第二のデータ線に接続されている
請求項1ないしのいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第一のデータ線と電気的に接続される第一の副画素の表示面積は、前記第二のデータ線と電気的に接続される第二の副画素の表示面積よりも大きい
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
第1個数の前記第一の画像領域と、前記第1個数より少ない第2個数の前記第二の画像領域を有する
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第二のデータ線と電気的に接続された副画素が表示する色は、前記第二のデータ線の接続先となる前記第一のデータ線と電気的に接続された副画素が表示する色と同じである
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
視差バリアやレンチキュラーレンズなどの画像分離体を用いて複数の視点画像を分離して表示する表示装置が知られている。画像分離体を液晶パネルなどで形成することで、画像分離体の生成と消滅を電気的に制御する技術も知られている。画像分離体の生成と消滅を電気的に制御することで、複数の視点画像を表示する第一のモード(例えば3Dモード)と、複数の視点画像を含まない単一の画像を表示する第二のモード(例えば、2Dモード)と、を切り替え可能な表示装置が提供される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−76724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
視点画像の観察角度を変化させると、隣の視点画像の一部が混ざって観察されることがある。この現象はクロストークと呼ばれる。クロストークが発生する角度範囲は、例えば、視点画像どうしの間隔によって変化する。視点画像どうしの間隔が狭いとクロストークが発生しやすい。
【0005】
特許文献1では、視点画像どうしの間に黒画像を表示し、黒画像によって視点画像どうしを隔てている。視点画像を表示する第一の画像領域の間には、黒画像を表示するための第二の画像領域が別途設けられる。単一の画像を表示する第二のモードでは、第二の画像領域に設けられた副画素は、第一の画像領域に設けられた副画素とともに、画像表示に寄与する。よって、画像の解像度は高まる。しかし、独立に駆動する副画素の数が多くなるため、書き込み時間が増え、データ線駆動回路の負荷が大きくなる。
【0006】
本発明の目的は、データ線駆動回路に大きな負荷をかけずに、高品質な表示を行うことが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る表示装置は、複数の第一の画像領域と、前記複数の第一の画像領域と交互に設けられた複数の第二の画像領域と、前記複数の第一の画像領域の各々に設けられた一本または複数本の第一のデータ線と、前記複数の第二の画像領域の各々に設けられた一本または複数本の第二のデータ線と、一定の電位が付与された定電位線と、切り替え信号を供給する切り替え信号線と、前記切り替え信号に基づいて、前記複数の第二の画像領域の各々に設けられた前記一本または複数本の第二のデータ線の各々の接続先を、前記第二の画像領域と隣り合う前記第一の画像領域に設けられたいずれか一本の前記第一のデータ線と、前記定電位線と、の間で切り替える切り替え回路と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第一の実施形態に係る表示装置の概略図である。
図2図2は、画像形成部の概略構成を示す断面図である。
図3図3は、表示部の回路構成の一例を示す図である。
図4図4は、副画素の構成の一例を示す図である。
図5図5は、切り替え素子の構成の一例を示す図である。
図6図6は、本実施形態で採用可能なデータ線の配置を示す図である。
図7図7は、比較例1の表示特性を示す図である。
図8図8は、実施例1の表示特性を示す図である。
図9図9は、比較例2の回路構成を示す図である。
図10図10は、第二の実施形態に係る表示装置の回路構成の一例を示す図である。
図11図11は、第三の実施形態に係る表示装置の回路構成の一例を示す図である。
図12図12は、比較例3の表示特性のシミュレーション結果を示す図である。
図13図13は、実施例2の表示特性のシミュレーション結果を示す図である。
図14図14は、実施例3の表示特性のシミュレーション結果を示す図である。
図15図15は、バリア開口数とクロストークの大きさとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
[第一の実施形態]
図1は、第一の実施形態に係る表示装置1の概略図である。
【0011】
表示装置1は、画像形成部100と、制御部200と、検出部300と、を有する。
【0012】
画像形成部100は、例えば、表示部110と、分離部120と、を有する。観察者Uは、表示部110で表示された画像を分離部120を介して観察する。画像形成部100は、複数の視点画像を表示する第一のモードと、複数の視点画像を含まない単一の画像を表示する第二のモードと、を有する。第一のモードで表示が行われるときには、分離部120に画像分離体Bが形成され、表示部110に複数の視点画像(例えば、右眼用視点画像と左眼用視点画像)を含む画像が表示される。第二のモードで表示が行われるときには、分離部120には画像分離体Bが形成されず、表示部110には単一の画像が表示される。なお、画像形成部100の詳細については、後述する。
【0013】
制御部200は、表示制御部210と、分離体制御部220と、を有する。表示制御部210は、表示部110を制御して、表示部110に第一のモード用の画像または第二のモード用の画像を表示させる。分離体制御部220は、分離部120を制御して、第一のモード時に分離部120に画像分離体Bを形成させる。分離体制御部220は、画像分離体Bが形成される位置および画像分離体Bが形成されるタイミングなどを制御する。
【0014】
検出部300は、観察者Uの位置に関する位置情報を検出する。検出部300は、例えば、観察者Uを撮像する撮像部310と、撮像部310により撮像された観察者Uの画像を解析して位置情報を検出する画像解析部320と、を有する。分離体制御部220は、画像解析部320から観察者Uの位置に関する位置情報を取得し、この位置情報に基づいて画像分離体Bが形成される位置を制御する。
【0015】
制御部200は、観察者Uの位置情報に基づいて、表示部110および分離部120を制御する。第一のモードで表示が行われるときには、分離部120は、位置情報に基づいて画像分離体Bの位置を変化させる。表示部110は、複数の視点画像を含む画像を表示する。第二のモードで表示が行われるときには、分離部120は、画像分離体Bを形成せず、表示部110は、複数の視点画像を含まない単一の視点画像のみの画像を表示する。
【0016】
図2は、画像形成部100の概略構成を示す断面図である。
【0017】
画像形成部100は、例えば、表示部110と、分離部120と、照明部130と、を有する。以下の説明では、観察者Uによって画像が観察される側を「前面側」とし、観察者Uによって画像が観察される側とは反対側を「背面側」として、各部材の構成を説明する。また、複数の視点画像が並ぶ第一の方向をX方向とするXYZ直交座標系を用いて各部材の配置を説明する。
【0018】
表示部110は、第一の基板111と、第一の基板111と対向する第二の基板112と、第一の基板と第2の基板の間に配置された液晶層113と、第一の基板111の外面側(液晶層113とは反対側)に配置された第一の偏光板114と、第二の基板112の外面側(液晶層113とは反対側)に配置された第二の偏光板115と、を有する。照明部130から照射された照明光は、第二の偏光板115を透過して液晶層113に入射し、液晶層113で変調される。液晶層113で変調された照明光は、第一の偏光板114を透過して画像として表示される。
【0019】
図3および図4を用いて後述するが、表示部110には、複数の副画素SPXがマトリクス状に設けられている。各副画素SPXには、画素電極PEとコモン電極CEとが設けられている。画素電極PEとコモン電極CEとの間に発生する電界によって液晶層113の配向が制御される。
【0020】
表示部110の表示モードは特に限定されない。縦電界(液晶層113の層厚方向の電界)を利用した縦電界モードや横電界(液晶層113の層厚方向と直交する方向の電界)を利用した横電界モードが採用可能である。縦電界モードとしては、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Virtical Alignment)モードなどが例示される。横電界モードとしては、IPS(In−Plane Switching)モードなどが例示される。
【0021】
表示部110には、複数の第一の画像領域116Aと、複数の第一の画像領域116Aと交互に設けられた複数の第二の画像領域116Bと、が設けられている。第一のモードで表示が行われるときには、複数の第一の画像領域116Aの並びに沿って、複数の視点画像が交互に表示される。例えば、図2では、右眼用視点画像Rに対応した第一の画像領域116Aと左眼用視点画像Lに対応した第一の画像領域116AとがX方向に繰り返し交互に配置されている。複数の第二の画像領域116Bには、視点画像どうしを隔てる分離ラインGが表示される。第二のモードで表示が行われるときには、複数の第一の画像領域116Aと複数の第二の画像領域116Bには、分離ラインGを含まない単一の画像が表示される。
【0022】
表示部110の前面側には、接着層125を介して分離部120が設けられている。分離部120は、第一の基板121と、第二の基板122と、液晶層123と、第一の偏光板114と、第三の偏光板124と、を有する。第一の偏光板114は、表示部110の第一の偏光板114と兼用される。第一の偏光板114を透過した照明光は、液晶層123で変調される。液晶層123で変調された照明光は、第三の偏光板124を透過して観察者に観察される。
【0023】
分離部120の表示モードは特に限定されない。縦電界(液晶層123の層厚方向の電界)を利用した縦電界モードや横電界(液晶層123の層厚方向と直交する方向の電界)を利用した横電界モードが採用可能である。縦電界モードとしては、ECBモード、TNモード、VAモードが例示される。横電界モードとしては、IPSモードなどが例示される。
【0024】
分離部120は、例えば、光の透過率を制御可能な複数のシャッター領域126を有する。複数のシャッター領域126の各々の透過率は、分離部120に入力される分離体制御信号によって制御される。分離体制御信号によって、複数のシャッター領域126の各々の液晶層123に印加される電圧が制御され、これにより、複数のシャッター領域126の各々の液晶層123の変調量が制御される。
【0025】
例えば、複数のシャッター領域126は、分離体制御信号によってそれぞれ、電圧が液晶層123に印加されるオン状態と、電圧が液晶層123に印加されないオフ状態と、のいずれかの状態に制御される。シャッター領域126がオン状態のときには、シャッター領域126に入射した照明光は、第三の偏光板124に吸収される方向に偏光方向が調整される。よって、シャッター領域126の透過率は低くなる。シャッター領域126がオフ状態のときには、シャッター領域126に入射した照明光は、第三の偏光板124を透過する方向に偏光方向が調整される。よって、シャッター領域126の透過率は高くなる。
【0026】
図2に示すように、第一のモードで表示が行われるときには、分離部120は、複数のシャッター領域126のうち、画像分離体Bが形成されるべき位置の複数のシャッター領域126Sの透過率を低下させる。これにより、視差バリアとしての画像分離体Bが形成される。画像分離体Bは、透過率が低下した複数のシャッター領域126Sによって形成される。画像分離体Bが形成されない位置の複数のシャッター領域126Pは、高い透過率を有する。第二のモードで表示が行われるときには、全てのシャッター領域126の透過率が高い状態に維持される。
【0027】
複数のシャッター領域126の形状は任意である。例えば、分離部120には、画像領域116の形状に対応した複数のストライプ状のシャッター領域126がX方向に並べて設けられるが、分離部120には、複数の矩形のシャッター領域126が、X方向およびY方向にマトリクス状に設けられてもよい。X方向における複数のシャッター領域126のピッチは、複数の第一の画像領域116Aのピッチよりも小さいことが好ましい。これにより、観察者Uの位置に応じて画像分離体Bの位置を微細に調整することができる。
【0028】
表示部110の背面側には、照明部130が設けられている。照明部130は、表示部110を背面側から照明する。照明部130から照射された照明光は、表示部110および分離部120を透過して観察者Uに観察される。表示部110を透過した照明光は画像として表示される。第一のモードで表示が行われるときには、表示部110を透過した照明光は、複数の視点画像(右眼用視点画像R、左眼用視点画像L)を含む画像として表示される。この画像に含まれる複数の視点画像は、分離部120に形成された画像分離体Bによって分離され、観察者Uの右眼と左眼にそれぞれ入射する。これにより、観察者Uにおいて立体画像が観察される。
【0029】
図3は、表示部110の回路構成の一例を示す図である。図4は、副画素SPXの構成の一例を示す図である。図5は、切り替え素子144の構成の一例を示す図である。
【0030】
図3に示すように、表示部110には、表示領域110Aが設けられている。表示領域110Aには、Y方向に並ぶ複数のゲート線145と、X方向に並ぶ複数のデータ線146と、が設けられている。複数のゲート線145と複数のデータ線146との各交差部に対応して副画素SPXが一つずつ設けられている。表示領域110Aには、複数の副画素SPXがX方向およびY方向に並べて配置されている。一本のデータ線146と電気的に接続された一列分の複数の副画素SPXによって一本の副画素列SA(図4参照)が構成されている。表示領域110Aには、複数の副画素列SAがX方向に並べて配置されている。複数の視点画像の各々は、複数の副画素列SAに表示された複数の帯状の画像によって形成される。
【0031】
図4に示すように、複数の副画素SPXには、複数の第一の副画素SPX1と、複数の第二の副画素SPX2と、が含まれている。複数の第一の副画素SPX1は、複数の第一の画像領域116Aに配置された複数の副画素SPXである。複数の第二の副画素SPX2は、複数の第二の画像領域116Bに配置された複数の副画素SPXである。複数のデータ線146には、複数の第一のデータ線146Aと、複数の第二のデータ線146Bと、が含まれている。複数の第一のデータ線146Aの各々は、Y方向に並ぶ複数の第一の副画素SPX1と電気的に接続されている。複数の第二のデータ線146Bの各々は、Y方向に並ぶ複数の第二の副画素SPX2と電気的に接続されている。
【0032】
X方向には、例えば、互いに同じ色を表示する副画素SPXが隣り合って並んでいる。Y方向には、例えば、互いに異なる色を表示する複数の副画素SPXが繰り返し交互に並んでいる。Y方向に隣り合って並ぶ複数種類の副画素SPXによって一つの画素PXが構成されている。図4では、例えば、Y方向に並ぶ三種類の副画素SPX(赤色副画素SPXr、緑色副画素SPXg、青色副画素SPXb)によって一つの画素PXが構成されているが、一画素PXを構成する副画素SPXの数は三つに限られず、四つ以上でもよい。
【0033】
図3に示すように、表示領域110Aの周囲には、ゲート線駆動回路141と、データ線駆動回路142と、切り替え回路143と、映像信号線140と、定電位線148と、切り替え信号線149と、が設けられている。複数のゲート線145は、ゲート線駆動回路141と電気的に接続されている。複数の第一のデータ線146Aは、データ線駆動回路142と電気的に接続されている。映像信号線140は、データ線駆動回路142に映像信号VSigを供給する。データ線駆動回路142は、複数の第一のデータ線146Aに映像信号VSigを供給する。切り替え信号線149は、切り替え回路143に切り替え信号VSWを供給する。
【0034】
図4に示すように、定電位線148には、一定の電位VDDが付与されている。電位VDDは、例えば、各副画素SPXのコモン電極CEの電位VCOM(コモン電位)と同じ電位である。切り替え回路143は、第二のデータ線146Bを第一のデータ線146Aと定電位線148とに切り替え可能に接続する。切り替え回路143は、切り替え信号VSWに基づいて、第二のデータ線146Bの接続先を第一のデータ線146Aと定電位線148との間で切り替える。第二のデータ線146Bには、切り替え回路143を介して、第一のデータ線146Aまたは定電位線148から信号VOUTが供給される。
【0035】
第一のデータ線146Aに供給された映像信号VSigは、第一のデータ線146Aおよびゲート線145と電気的に接続された薄膜トランジスタ147を介して、第一の副画素SPX1の画素電極PEに供給される。第二のデータ線146Bに供給された信号VOUTは、第二のデータ線146Bおよびゲート線145と電気的に接続された薄膜トランジスタ147を介して第二の副画素SPX2の画素電極PEに供給される。
【0036】
切り替え回路143は、例えば、複数の切り替え素子144を有する。複数の切り替え素子144は、互いに異なる第一のデータ線146Aと電気的に接続されている。複数の切り替え素子144は、例えば、複数の第二のデータ線146Bとそれぞれ電気的に接続されている。切り替え素子144は、例えば、図5に示すような論理回路で構成されるが、切り替え素子144の構成はこれに限られない。
【0037】
図1に示した表示制御部210は、切り替え回路143を制御して、第二のデータ線146Bの接続先を第一のデータ線146Aと定電位線148との間で切り替える。分離体制御部220は、第二のデータ線146Bの接続先が定電位線148に切り替わるタイミングに合わせて分離部120に画像分離体Bを形成する。分離体制御部220は、第二のデータ線146Bが第一のデータ線146Aと電気的に接続されている間は、分離部120に画像分離体Bを形成しない。
【0038】
第一のモードで表示が行われるときには、分離部120に画像分離体Bが形成され、複数の第二の画像領域の各々に設けられた第二のデータ線146Bの接続先は、定電位線148に切り替えられる。第二のデータ線146Bには、電位VDDの信号VOUTが供給される。これにより、第二の画像領域116Bには、黒い帯状の分離ラインG(図2参照)が表示される。隣り合う視点画像どうしが分離ラインGによって隔てられるため、クロストークが発生しにくくなる。
【0039】
第二のモードで表示が行われるときには、分離部120に画像分離体Bは形成されず、複数の第二の画像領域116Bの各々に設けられた第二のデータ線146Bの接続先は、第二の画像領域116Bと隣り合う第一の画像領域116Aに設けられた第一のデータ線146Aに切り替えられる。第二のデータ線146Bには、第一のデータ線146Aに供給された映像信号VSigと同じ信号VOUTが供給される。これにより、第二の画像領域116Bには、第一の画像領域116Aと同じ画像が表示される。第二の画像領域116Bが画像表示に寄与するので、疑似的に画像の解像度は高まる。
【0040】
単一の視点画像のみを含む画像が表示部110に表示されているときには、分離部120に画像分離体Bは形成されない。例えば、第二のモードから第一のモードに切り替えられる場合には、表示部110に複数の視点画像を含む画像が表示されてから、分離部120に画像分離体Bが形成される。第一のモードから第二のモードに切り替えられる場合には、分離部120から画像分離体Bが消滅してから、表示部110に単一の視点画像のみを含む画像が表示される。これにより、二重像が発生して画像がぼやけることが抑制される。
【0041】
分離部120に画像分離体Bが形成されているときには、分離部120に画像分離体Bが形成されていないときよりも、照明部130から照射される照明光の光量は大きい。例えば、第二のモードから第一のモードに切り替えられるときには、照明光の光量が大きくなるように照明光の光量が制御され、第一のモードから第二のモードに切り替えられるときには、照明光の光量が小さくなるように照明光の光量が制御される。これにより、第一のモードと第二のモードとが切り替えられたときに、観察者Uが観察する画像の明るさが大きく変化することが抑制される。
【0042】
図3および図4の例では、第一のデータ線146Aと第二のデータ線146Bとは一本ずつ交互に並んでいる。複数の第二のデータ線146Bの各々は、切り替え回路143を介して、第二のデータ線146Bの一方側(−X側)に隣り合う第一のデータ線146Aと電気的に接続されている。しかし、第一のデータ線146Aと第二のデータ線146Bの構成はこれに限定されない。
【0043】
図6は、本実施形態で採用可能なデータ線の配置を示す図である。図6において、rとsは、それぞれ1以上の整数を示す。第一の画像領域116Aに設けられたr本の第一のデータ線146Aおよびr本の第一の副画素列SA1の符号には、1からrまでの番号が付されている。第二の画像領域116Bに設けられたs本の第二のデータ線146Bおよびs本の第二の副画素列SA2の符号には、1からsまでの番号が付されている。
【0044】
本実施形態では、第一の画像領域116Aおよび第二の画像領域116Bに、それぞれ一本以上のデータ線146を設けることができる。複数の第一の画像領域116Aの各々には、一本または複数本の第一のデータ線146Aが設けられる。複数の第二の画像領域116Bの各々には、一本または複数本の第二のデータ線146Bが設けられる。
【0045】
図3に示した切り替え回路143は、切り替え信号VSWに基づいて、複数の第二の画像領域116Bの各々に設けられた一本または複数本の第二のデータ線146Bの各々の接続先を、第二の画像領域116Bと隣り合う第一の画像領域116Aに設けられたいずれか一本の第一のデータ線146Aと、定電位線148と、の間で切り替える。分離部120(図2参照)には、複数の第二の画像領域116Bの各々に設けられた一本または複数本の第二のデータ線146Bの各々の接続先が定電位線148に切り替わるタイミングに合わせて画像分離体Bが形成される。画像分離体Bは、第二の画像領域116Bを挟んで隣り合う二つの第一の画像領域116Aにそれぞれ表示された二つの視点画像を互いに異なる視点位置に供給する。
【0046】
第一のモードで表示が行われるときには、分離部120(図2参照)に画像分離体Bが形成され、複数の第二の画像領域116Bの各々に設けられた一本または複数本の第二のデータ線146Bの各々の接続先は、定電位線148に切り替えられる。第二のモードで表示が行われるときには、分離部120(図2参照)に画像分離体Bは形成されず、複数の第二の画像領域116Bの各々に設けられた一本または複数本の第二のデータ線146Bの各々の接続先は、第二の画像領域116Bと隣り合う第一の画像領域116Aに設けられたいずれか一本の第一のデータ線146Aに切り替えられる。
【0047】
例えば、図6に示すように、複数のデータ線146には、s本おきにr本ずつ配置された複数の第一のデータ線146Aと、複数の第一のデータ線146A以外の複数の第二のデータ線146Bと、が含まれている。Y方向に並ぶ一列分の複数の第一の副画素SPX1によって第一の副画素列SA1が構成されている。Y方向に並ぶ一列分の複数の第二の副画素SPX2によって第二の副画素列SA2が構成されている。
【0048】
複数の第二のデータ線146Bの各々は、切り替え回路143(図3参照)を介して、第二のデータ線146Bの一方側(−X側)および他方側(+X側)にそれぞれr本ずつ配置された合計2r本の第一のデータ線146Aのうちのいずれか一本の第一のデータ線146Aと電気的に接続される。接続先となる第一の画像領域116Aは、第二の画像領域116Bの一方側(−X側)に配置された第一の画像領域116Aでもよく、他方側(+X側)に配置された第一の画像領域116Aでもよい。第二のデータ線146Bと電気的に接続された副画素SPXが表示する色は、第二のデータ線146Bの接続先となる第一のデータ線146Aと電気的に接続された副画素SPXが表示する色と同じである。
【0049】
第二のデータ線146Bが複数本ずつ隣り合って配置される場合には(s≧2)、接続先となる第一の画像領域116Aを第二の画像領域116Bの一方側(−X側)に配置された第一の画像領域116Aと他方側(+X側)に配置された第一の画像領域116Aに振り分けてもよい。
【0050】
例えば、複数の第二の画像領域116Bの各々に設けられた複数本の第二のデータ線146Bのうち、少なくとも一本の第二のデータ線146Bは、切り替え回路143を介して、第二の画像領域116Bの一方側(−X側)に隣り合う第一の画像領域116Aに設けられた一本の第一のデータ線146Aと電気的に接続され、残りの少なくとも一本の第二のデータ線146Bは、切り替え回路143を介して、第二の画像領域116Bの他方側(+X側)に隣り合う第一の画像領域116Aに設けられた一本の第一のデータ線146Aと電気的に接続されてもよい。
【0051】
複数の第一の画像領域116Aに設けられた第一のデータ線146Aの総数は、例えば、複数の第二の画像領域116Bに設けられた第二のデータ線146Bの総数以上であることが好ましい。例えば、隣り合って配置される第一のデータ線146Aの本数rは、隣り合って配置される第二のデータ線146Bの本数s以上であることが好ましい。これにより、第二のモードで表示が行われるときの画像の再現性が高まる。隣り合って配置される第二のデータ線146Bの本数sを増減することによって、第二の画像領域116Bの大きさを調整することができる。
【0052】
第一のデータ線146Aと電気的に接続される第一の副画素SPX1の表示面積は、第二のデータ線146Bと電気的に接続される第二の副画素SPX2の表示面積よりも大きいことが好ましい。副画素SPXの表示面積とは、副画素SPXを縁取るように配置されたブラックマトリクスの開口面積を意味する。第一の副画素SPX1の表示面積は、隣り合う第一のデータ線146Aどうしの間隔によって調整される。第二の副画素SPX2の表示面積は、隣り合う第二のデータ線146Bどうしの間隔によって調整される。本実施形態では、例えば、隣り合う第一のデータ線146Aどうしの間隔は、隣り合う第二のデータ線146Bどうしの間隔よりも大きい。そのため、第一の副画素SPX1の表示面積は、第二の副画素SPX2の表示面積よりも大きい。よって、第二のモードで表示が行われるときの画像の再現性が高まる。
【0053】
以下、図7ないし図9を用いて、本実施形態の表示装置1の効果を説明する。
【0054】
図7は、二つの第一の画像領域116Aの間に第二の画像領域116Bが設けられない場合(比較例1)の表示特性を示す図である。図8は、二つの第一の画像領域116Aの間に第二の画像領域116Bが設けられる場合(実施例1)の表示特性を示す図である。図7および図8において、横軸は、Z方向を0°としたときの観察者Uの観察角度θを示しており、縦軸は、画像の輝度BRを示している。図9は、第二の副画素SPX2をデータ線駆動回路142によって第一の副画素SPX1と独立に駆動する場合(比較例2)の回路構成を示す図である。
【0055】
図7に示すように、二つの第一の画像領域116Aの間に第二の画像領域116Bが設けられない場合には、二つの第一の画像領域116Aのそれぞれの中心は、シャッター領域126Pの中心から近い位置に配置される。よって、二つの第一の画像領域116Aの画像の輝度は、観察角度θが小さい領域でピークを示す。そのため、それぞれの画像の輝度BRのカーブが重なる角度範囲θcは大きくなり、クロストークが発生しやすくなる。
【0056】
図8に示すように、二つの第一の画像領域116Aの間に第二の画像領域116Bが設けられる場合には、二つの第一の画像領域116Aのそれぞれの中心は、シャッター領域126Pの中心から遠い位置に配置される。よって、二つの第一の画像領域116Aの画像の輝度は、観察角度θが大きい領域でピークを示す。そのため、それぞれの画像の輝度BRのカーブが重なる角度範囲θcは小さくなり、クロストークは発生しにくくなる。
【0057】
図9に示すように、第二の副画素SPX2(第二の副画素列SA2)をデータ線駆動回路142によって第一の副画素SPX1(第一の副画素列SA1)と独立に駆動して、第二の画像領域116Bに分離ラインGを表示しても、上述と同様の理由によりクロストークは発生しにくくなる。しかし、この構成では、独立に駆動される副画素SPXの数が増えるため、書き込み時間が増え、データ線駆動回路142の負荷が大きくなる。
【0058】
一方、本実施形態では、第二の副画素SPX2をデータ線駆動回路142によって直接駆動せずに、第二の副画素SPX2を、近接する第一の副画素SPX1または定電位線148と電気的に接続することで、第二の画像領域116Bに画像を表示する。この構成では、図9の構成で得られる画像と概ね同じ画像が第二の画像領域116Bに表示されるため、複数の視点画像と単一の視点画像の双方について高品質な表示を行うことができる。また、分離ラインGを表示するための副画素SPXをデータ線駆動回路142によって駆動する必要がないので、書き込み時間が増えない。よって、図9の構成のようにデータ線駆動回路に大きな負荷がかかりにくい。
【0059】
[第二の実施形態]
図10は、第二の実施形態に係る表示装置2の回路構成の一例を示す図である。本実施形態において第一の実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0060】
本実施形態において第一の実施形態と異なる点は、第二の画像領域116Bに複数(例えば、二本)の第二のデータ線146Bが設けられている点と、同一もしくは異なる第二の画像領域116Bに設けられた複数本(例えば、二本)の第二のデータ線146Bが、互いに短絡され、同一の切り替え素子144を介して同一の第一のデータ線146Aと電気的に接続されている点、である。
【0061】
この構成では、複数の第二のデータ線146Bに対して一つの切り替え素子144が対応付けられる。そのため、切り替え素子144の数を少なくすることができる。本実施形態では、例えば、異なる第二の画像領域116Bに設けられた複数本の第二のデータ線146Bが、互いに短絡され、同一の切り替え素子144を介して同一の第一のデータ線146Aと電気的に接続されている。しかし、同一の第二の画像領域116Bに設けられた複数本の第二のデータ線146Bが、互いに短絡され、同一の切り替え素子144を介して同一の第一のデータ線146Aと電気的に接続されてもよい。
【0062】
本実施形態では、例えば、第一のデータ線146Aの両側を挟む位置に設けられた二本の第二のデータ線146Bは、互いに短絡され、同一の切り替え素子144を介して同一の第一のデータ線146Aと電気的に接続されている。この構成では、第二のモードで表示が行われる場合に、第一の画像領域116Aの両側の二つの第二の画像領域116Bに、第一の画像領域116Aと同じ画像が表示される。この場合、三つの画像領域に跨って表示される画像の中心の位置は第一の画像領域116Aの中心の位置と一致する。よって、第一のモードで表示が行われる場合と第二のモードで表示が行われる場合とで画像の中心位置がずれないという利点がある。
【0063】
[第三の実施形態]
図11は、第三の実施形態に係る表示装置3の回路構成の一例を示す図である。本実施形態において第一の実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0064】
本実施形態において第一の実施形態と異なる点は、以下の点である。第一の点は、第一の画像領域116Aと第二の画像領域116Bの双方に三本のデータ線146が設けられている点である。第二の点は、第二の画像領域116Bに設けられた三本の第二のデータ線146Bのうちの一本の第二のデータ線146Bが、切り替え素子144を介して、第二の画像領域116Bの一方側(−X側)に隣り合う第一の画像領域116Aに設けられた一本の第一のデータ線146Aと電気的に接続され、残りの二本の第二のデータ線146Bが、切り替え素子144を介して、第二の画像領域116Bの他方側(+X側)に隣り合う第一の画像領域116Aに設けられた二本の第一のデータ線146Aとそれぞれ電気的に接続されている点である。
【0065】
表示領域には、互いに異なる色を表示する三種類の副画素SPX(赤色副画素SPXr、緑色副画素SPXg、青色副画素SPXb)がX方向に繰り返し交互に並んで配置されている。Y方向には、互いに同じ色を表示する複数の副画素SPXが隣り合って配置されている。第一の画像領域116Aと第二の画像領域116Bには、それぞれ三種類の副画素SPXが設けられている。第二の画像領域116Bに設けられた三種類の第二の副画素SPX2は、切り替え回路143を介して、それぞれ同じ色を表示する三種類の第一の副画素SPX1と電気的に接続されている。そのため、第二のモードで表示が行われる場合に、表示が乱れにくい。
【0066】
[表示特性のシミュレーション]
以下、表示特性のシミュレーション結果を説明する。図12は、比較例3の表示特性のシミュレーション結果を示す図である。図13は、実施例2の表示特性のシミュレーション結果を示す図である。図14は、実施例3の表示特性のシミュレーション結果を示す図である。
【0067】
図12図13および図14の横軸は、Z方向を0°とする観察者Uの観察角度θを示しており、縦軸は、画像の輝度BRを示している。細い実線は、左眼用視点画像Lの輝度BRを示しており、点線は、右眼用視点画像Rの輝度BRを示しており、太い実線は、左眼用視点画像Lと右眼用視点画像Rのトータルの輝度BRを示している。
【0068】
比較例3、実施例2および実施例3では、6本の副画素列(SA1、SA2)に18本のシャッター領域(126S、126P)が対向配置されている。シャッター領域126Pの数をバリア開口数とすると、比較例3のバリア開口数は5であり、実施例2のバリア開口数は8であり、実施例3のバリア開口数は7である。複数のシャッター領域126Sによって形成される複数のストライプ状の遮光部のピッチをbとし、一本の遮光部の幅をaとし、aとbとの比(a/b)をバリア開口率とすると、比較例3のバリア開口率は27.8%であり、実施例2のバリア開口率は44.4であり、実施例3のバリア開口率は38.9である。比較例3には、第二の画像領域116Bは設けられていない。実施例2および実施例3には、2副画素列分の幅を有する第一の画像領域116Aと1副画素列分の幅を有する第二の画像領域116Bとが交互に設けられている。
【0069】
図12に示すように、比較例3では、左眼用視点画像Lと右眼用視点画像Rとが分離ラインGを介さずに近接している。そのため、トータルの輝度BRはどの方向から観察しても高い。左眼用視点画像Lと右眼用視点画像Rが十分に分離されていないことがわかる。
【0070】
図13および図14に示すように、実施例2および実施例3では、左眼用視点画像Lと右眼用視点画像Rとが分離ラインGによって隔てられている。そのため、トータルの輝度BRは、観察角度θによって変化しており、輝度BRの曲線には山と谷の分布が発生している。左眼用視点画像Lと右眼用視点画像Rが良好に分離されていることがわかる。
【0071】
実施例2では実施例3よりも、輝度BRの曲線の山の部分の幅(曲線がフラットになっている部分の角度範囲)が広い。この角度範囲が広いと、観察者Uの位置情報に基づいて画像分離体Bの位置を調整する際の制御(ヘッドトラッキング制御)が容易になる。実施例2は実施例3よりもバリア開口率が大きくなっており、バリア開口率を大きくすることが、ヘッドトラッキング制御を行う上で有利であることがわかる。
【0072】
図15は、バリア開口率とクロストークの大きさとの関係を示す図である。「分離ラインなし」は、第二の画像領域116Bが設けられない構成(比較例4)を示している。「分離ラインあり」は、1副画素列分の幅を有する第一の画像領域116Aと2副画素列分の幅を有する第二の画像領域116Bとが交互に設けられる構成(実施例4)を示している。比較例4および実施例4は、図12などに示したものと同様に、6本の副画素列(SA1、SA2)に18本のシャッター領域(126S、126P)が対向配置された構成を有する。
【0073】
クロストークの大きさは、本来観察されるべき画像の明るさと他の画像の明るさとの割合によって定義される。例えば、クロストークの大きさは、次のようにして求められる。まず、右眼用視点画像を白画像(最大階調で表示される画像)とし、左眼用視点画像を黒画像(最小階調で表示される画像)としたときの右眼の観察位置の輝度をBR1とする。次に、右眼用視点画像を黒画像とし、左眼用視点画像を白画像としたときの右眼の観察位置の輝度をBR2とする。次に、右眼用視点画像を黒画像とし、左眼用視点画像を黒画像としたときの右眼の観察位置の輝度をBR3とする。このとき、下記の式で算出される値CTが、右眼の観察位置におけるクロストークの大きさである。
【0074】
CT=(BR2−BR3)/(BR1−BR3)×100
【0075】
左目の観察位置におけるクロストークの大きさも同様の方法で求められる。クロストークの大きさは観察位置によって変化する。観察位置とクロストークの大きさとの相関関係が右眼と左眼とで対称となるように表示部110および分離部120の構成を設計したときのCTの最小値が、図19の縦軸に示されるクロストークの大きさである。
【0076】
図15に示すように、実施例4は比較例4に比べてクロストークが非常に小さい。クロストークはバリア開口率を小さくすることによって小さくすることができるが、バリア開口率を小さくしすぎると、回折の影響で逆にクロストークが大きくなる。比較例4では、バリア開口率が22.2%のときにクロストークが最小となるが、クロストークはせいぜい2%程度までしか小さくならない。実施例4では、バリア開口率を50%まで大きくしてもクロストークは非常に小さい。よって、分離ラインを設けることがクロストークの抑制に大きく寄与することがわかる。また、分離ラインを設けることで、クロストークが十分に抑止されるので、バリア開口率を大きくすることができる。よって、ヘッドトラッキング制御が容易になることがわかる。
【0077】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【0078】
例えば、上記の実施形態では、画像分離体Bとして視差バリアを用いたが、画像分離体Bの構成はこれに限られない。液晶層の配向を制御して液晶層内に屈折率分布を形成し、レンチキュラーレンズと同等の機能を有するようにした液晶レンズを画像分離体Bとして用いてもよい。
【0079】
また、上記の実施形態では、画像分離体Bの生成と消滅とが電気的に制御される分離部120が用いられたが、分離部120の構成はこれに限られない。画像分離体Bが固定的に設けられ、画像分離体Bの生成と消滅とが電気的に制御されない分離部120が用いられてもよい。この場合、画像分離体Bと表示部110との相対位置は固定される。そのため、観察者Uの位置情報に基づいて、視点画像が表示される位置が制御される。例えば、観察者Uが第一の画像領域116の並び方向に沿って第一の位置から第二の位置に移動したときには、視点画像が表示される位置は、第二の位置から第一の位置に向かう方向に移動する。
【0080】
また、上記の実施形態では、検出部300として、撮像部310と画像解析部320とを有するものが例示されたが、検出部300の構成はこれに限られない。例えば、検出部300は、赤外線や超音波を観察者Uに照射し、その反射波が受信されるまでの時間を距離に換算して観察者Uの位置情報を検出してもよい。また、検出部300は、GPS(Global Positioning System)を用いて、観察者Uと表示部110との相対位置に関する情報(位置情報)を検出してもよい。また、検出部300は、表示装置1の外部に設けられた撮像部および画像解析部によって検出された観察者Uの位置情報を有線もしくは無線で取得する機能のみを有するものでもよい。また、検出部300は、表示装置1の外部に設けられた撮像部によって撮像された観察者Uの画像を解析し、観察者Uの位置情報を検出するものでもよい。
【0081】
また、上記の実施形態では、分離部120は表示部110の前面側(照明部130とは反対側)に配置されたが、分離部120は表示部110の背面側(照明部130側)に配置されてもよい。この場合、表示部110の分離部120側の偏光板(第二の偏光板115)は、分離部120の表示部110側の偏光板として兼用される。
【0082】
また、上記の実施形態では、表示部110として液晶パネルを用いたが、表示部110の構成はこれに限られない。OLED(Organic Light‐Emitting Diode)を用いた自発光型の表示パネルを表示部110として用いてもよい。この場合、照明部130と第二の偏光板115は不要である。また、分離ラインGを表示するための電力が不要なので、消費電力が低減される。
【0083】
また、上記の実施形態では、表示部110として透過型の液晶パネルが用いられたが、表示部110として反射型の液晶パネルが用いられてもよい。透過型の液晶パネルは、表示部110の背面側(観察者Uが視認する側とは反対側)から入射した照明光を変調して画像を形成するものであり、反射型の液晶パネルは、表示部110の前面側(観察者Uが視認する側)から入射した外光を変調して画像を形成するものである。反射型の液晶パネルが用いられる場合も、照明部130と第二の偏光板115は不要となる。
【0084】
また、上記の実施形態では、画素PXが、赤色副画素SPXr、緑色副画素SPXgおよび青色副画素SPXbによって構成される例が示されたが、画素PXの構成はこれに限られない。データ線146の並び方向と副画素SPXの並び方向との関係も、上記の実施形態で示されたものに限られない。
【符号の説明】
【0085】
1,2,3 表示装置
116A 第一の画像領域
116B 第二の画像領域
143 切り替え回路
144 切り替え素子
146A 第一のデータ線
146B 第二のデータ線
148 定電位線
149 切り替え信号線
B 画像分離体
VDD 電位
VSW 切り替え信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15