特許第6634577号(P6634577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6634577-シリコン結晶の製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6634577
(24)【登録日】2019年12月27日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】シリコン結晶の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/06 20060101AFI20200109BHJP
   C30B 13/34 20060101ALI20200109BHJP
【FI】
   C30B29/06 501A
   C30B13/34
【請求項の数】1
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2017-9804(P2017-9804)
(22)【出願日】2017年1月5日
(65)【公開番号】特開2018-108912(P2018-108912A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2017年1月5日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597123571
【氏名又は名称】蒲池 豊
(73)【特許権者】
【識別番号】500306309
【氏名又は名称】山瀬 英夫
(72)【発明者】
【氏名】山瀬 英夫
(72)【発明者】
【氏名】蒲池 豊
【審査官】 谷本 怜美
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−180798(JP,A)
【文献】 特開2014−166932(JP,A)
【文献】 特開2013−103874(JP,A)
【文献】 特開平05−194074(JP,A)
【文献】 特開平09−142988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン多結晶原料ロッド加熱用プレヒーテイング・コイルをレーザー直径検知装置の出力により制御することを特徴とするFZ単結晶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用シリコン結晶の製造方法に関し、さらに詳しくはシリコン結晶のなかでもFZ法単結晶を、太陽電池用として使用する目的に限定して行う太陽電池用FZ単結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池用原料としては、現在世界で約80%強がシリコンを使用している。しかしながらこの原料シリコンの製造は、殆どのものが高コストのシーメンス法により行われている。しかもこのシーメンス法による多結晶シリコン製造プロセスは、基本的には半導体用として確立されたものである為、品質最優先の堅牢・複雑なプロセスとなり、その製品は約8〜10倍程度と格段に高価なものとなっている。
【0003】
このように原料費用が高価となるため、少ない原料シリコンで多くの発電量を確保するために、太陽電池として、より安価で大量生産可能であり、高い光電変換効率が得られる太陽電池用シリコン結晶の開発が求められている。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池で高い光電変換効率を得るためには、アモルファス→多結晶→CZ単結晶と進展してきた太陽電池セル用シリコン結晶を、更にFZ単結晶を採用することにより、安価で高効率である太陽光発電システムを確立し、民生用としての最終的な目的を達成することが出来る。しかしながらFZ単結晶は製造方法の違いにより、CZ単結晶と比較して格段に高価なものとの認識が一般的である。その為に現在の太陽電池には殆ど使用されていない。本発明は、太陽電池用に特化してコストを削減したFZ単結晶を提供するものである。
【0005】
太陽電池用基盤材料に特化したライフタイムの長い太陽電池用FZ単結晶の製造技術を提供する。
【0006】
本法により工業的に製造された太陽電池用FZ単結晶はこれまでのソーラー用CZ単結晶と異なりシリコン中に含まれる所謂俗称ライフタイムキラーと称されるFe、Cu、等重金属、Al、に代表される軽金属、シリコンと同族のC、並びにO2等を極端に減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願で特許請求される発明は以下の通りである。
(1)チャージ用原料シリコン多結晶原料ロッドは、通常その直径をミクロン単位でグラインド制御される必要があるが、原料加熱用プレヒーテイング・コイルをレーザー直径検知装置の出力により制御することを特徴とするFZ単結晶の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
従来品に対して、ライフタイムの長い安価な太陽電池用FZ単結晶が得られることになり、このことは従来品の中で最も光電変換効率が高いCZ単結晶に対して、はるかに光電変換効率が高いFZ単結晶を、ひいては、光電変換効率を近い将来、25%→30%→35%→45%と改善する事を現在技術の線上で工業的に可能とするタンデム型、シリコン量子ドット型等の工業化を容易とする太陽電池用原料として供給できることとなる。
【0009】
上記のことは、クリーンエネルギーとして将来性のある太陽電池事業が、その原料であるシリコン原料の不足の解消に大きく寄与し、太陽電池の利用拡大に大きく作用し、社会・環境の改善に貢献すること大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上記〔0006〕項に、具体的に記したが、これにより本発明により製造されるFZ単結晶は、半導体に通常要求される結晶の完全性(リネージ、スワール、双晶、その他微小欠陥等諸欠陥フリー)は求めないが、ライフタイムは600μ秒程度以上がキープされる事を主眼とする事を特徴とする。又、本発明により製造されるFZ単結晶は、これまでの太陽電池用CZ単結晶と異なり、シリコン中に含まれる所謂ライフタイムキラーと称されるFe、Cu、等の重金属、Al、に代表される軽金属及びシリコンと同族のC等を極端に減らすことが出来る。勿論O2含有量は、CZに比べ極端に少ないことは周知の通りである。
【実施例】
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明装置の実施例を示す説明図である。
高周波印加ワーキングコイル1により種用単結晶(シード)4を溶かしつつ、あらかじめ原料加熱用プレヒーティング・コイル6によりチャージ用原料シリコン多結晶原料ロッド2を高周波印加ワーキングコイル1によって溶解温度までその底面を溶解させる。然る後種用単結晶(シード)4を高周波印加ワーキングコイル1を貫通させてチャージ用原料シリコン多結晶原料ロッド2に接触させ、高周波印加ワーキングコイル1の供給電力を調整しつつ種用単結晶(シード)4を下方向に引き下げる。この時チャージ用原料シリコン多結晶原料ロッド2の軸に対し、種用単結晶(シード)4の軸が偏心的に配置設定され、チャージ用原料シリコン多結晶原料ロッド2より溶解されたシリコン原料を偏心的に供給することにより、製品FZ単結晶の生成を行う。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】結晶成長の全体図
【符号の説明】
【0013】
1・・・高周波印加ワーキングコイル
2・・・チャージ用原料シリコン多結晶原料ロッド
3・・・製品FZ単結晶
4・・・種用単結晶(シード)
5・・・アフターヒーテイング・コイル
6・・・原料加熱用プレヒーテイング・コイル
7・・・レーザー直径検知装置
8・・・製品単結晶支えリング
図1